特許第6533907号(P6533907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6533907
(24)【登録日】2019年6月7日
(45)【発行日】2019年6月26日
(54)【発明の名称】複合シート及び前記複合シート製の袋
(51)【国際特許分類】
   B32B 1/06 20060101AFI20190617BHJP
   B65D 30/02 20060101ALI20190617BHJP
   B65D 30/10 20060101ALI20190617BHJP
   B32B 3/12 20060101ALN20190617BHJP
   E01C 9/08 20060101ALN20190617BHJP
   E01C 5/08 20060101ALN20190617BHJP
【FI】
   B32B1/06
   B65D30/02
   B65D30/10 E
   !B32B3/12 Z
   !E01C9/08 Z
   !E01C5/08
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-204814(P2018-204814)
(22)【出願日】2018年10月31日
【審査請求日】2018年11月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】310011011
【氏名又は名称】クリアーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161285
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 正彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 廣義
(72)【発明者】
【氏名】中村 考宏
【審査官】 高崎 久子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−539660(JP,A)
【文献】 特表2015−504377(JP,A)
【文献】 特表2012−516395(JP,A)
【文献】 特開平09−189017(JP,A)
【文献】 特開平06−341124(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B
E01C1/00−17/00
E02B3/04−3/14
E02D17/00−17/20
B65D30/00−33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内包させる材料に対する遮蔽性及び柔軟性を備えた第2シートと、
平面状の網を加工して前記平面状の網から分割された複数の点・線・面の集合体からなる所定の間隔を保持できる二つの面が形成されている所定の目開きの変形させた網と、
前記第2シートに、前記変形させた網に形成された一方の面を接合させて前記第2シートの一面に前記変形させた網で所定の空間を形成し、
前記空間に鉱物を粉砕または鉱物を焼成・粉砕した原材料料を主成分とする粉粒材を充填させた後に、
前記変形させた網に形成された他方の面に、内包させる材料に対する遮蔽性及び柔軟性を備えた第1シートを接合させ、
前記変形させた網の側面を塞ぎ、前記粉粒材を内包させた複合シート。
【請求項2】
前記第1シートが通水性を備え、前記第2シートが不通水性を備えている請求項1記載の複合シート。
【請求項3】
前記第1シートが不通水性を備え、前記第2シートが通水性を備えている請求項1記載の複合シート。
【請求項4】
前記第1シートと前記第2シートが通水性を備えている請求項1記載の複合シート。
【請求項5】
前記粉粒材は、前記網の網目を通過する粉粒と、前記網の網目を通過しない若しくは通過し難い粉粒が混合されている請求項1乃至請求項4記載の複合シート。
【請求項6】
前記粉粒材の主成分は、水分により固化する性質を備えている請求項1乃至請求項5記載の複合シート。
【請求項7】
前記網は、樹脂素材繊維で編んで、前記樹脂素材繊維相互の結合部分は、結び目がある請求項1乃至請求項6記載の複合シート。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7記載の複合シートが用いられた複合シート製の袋。
【請求項9】
前記複合シート製の袋には、少なくとも外形の四隅近傍に孔が設けられている請求項8記載の複合シート製の袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に主成分が鉱物を原材料とする粉体や粒体を充填させた複合シートまたは、前記複合シート製の袋に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の異常気象による台風やゲリラ豪雨の多発による山間部の斜面崩落や、道路盛土体、鉄道盛土体や河川堤防の決壊氾濫等、社会インフラの豪雨被災が相次いでいる。社会資本は一国の活力基盤であり、活発な経済活動や豊かで安全な生活がそのうえに築かれるものであるから、その充実と安全・維持管理は極めて重要である。豪雨被災ではブルーシートでの法面表層保護やフレコンバッグ、土嚢等による盛土体の応急修理が行われ、重宝されているが、あくまで、仮の復旧であり、長く安全に保護できるものではない。
【0003】
法面、道路路体、側溝、河川堤防、護岸等の応急修理は、いかに早く安く有効に応急修理・仮復旧するかにあり、後日、本格的なコンクリート護岸工事をする本復旧予算を申請、事業決定し、恒久護岸補強工事を行うのが一般的であった。
【0004】
また、従来の河川堤防や地山斜面の応急修理に使用されるブルーシートや土嚢袋は、ポリエチレンやポリエステル、ポリプロピレン等の繊維シートで構成され、盛土工事等の仮復旧工事等に広く活用されているが、あくまで仮復旧工事用であり、そのままでは長期間の使用に耐えられないものであった。早く本格復旧工事の着手が必要だが、近年予算が乏しいために、仮復旧のまま、長期間放置されることが増えており、シート素材の経年劣化による風化破損が問題となっている。
【0005】
建設業界のインフラ形成の主要資材、生コンクリートやアスファルトは運搬時流動性ボリュームがあり、重たく特殊な運搬が必要で、形成固化強度発現にボリューム厚が必要なため、現場への運搬・施工に多大な労力を要する欠点がある。利点は長期間の耐久性・安定性である・一方、仮設に利用されるブルーシートや土嚢袋は運搬時には薄く柔軟性があり、現場で簡易に設置できる利点があるが、欠点は劣化しやすく耐久性が短くもろい。ブルーシートの素材は、ポリエチレンやポリエステル、ポリプロピレン等の樹脂系繊維シートで構成され、斜面崩壊や盛土工事等の仮復旧工事、又、工事中の河川現場の流れからの分離仮堤防等、広く活用されているが、あくまで仮復旧工事であり、そのままでは長期間の使用に耐えられないものであった。早く本格復旧工事の着手が必要だが、近年予算が乏しいために、仮復旧のまま、長期間放置されることが増えており、繊維シートは経年劣化による風化破損に弱く、豪雨時の流木等の衝突等による破損にも弱く、耐久性が問題となっている。
【0006】
また、今後高齢化が進む一方、若年層を中心に3K忌避の風潮がますます高まるため、土木工事を含め、社会資本の維持管理のための労働力不足が深刻となる。これに対処する為には軽量で長期耐久性があり、敷設が簡単で老若男女でも短時間に施工できる製品と敷設方法の開発が必要である。そのため、即効性があり、恒久的材料であり、最少の維持補修費で最大の耐用年数を確保する製品と敷設方法が望まれている。
【0007】
これらの背景技術から、特許文献1乃至特許文献3の発明の名称「含浸布」が提案されている。特許文献1乃至特許文献3の発明は、連結繊維を上面と下面の間に介在させて編まれた布地であり、連結繊維にセメント粉末等を導入させるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2012−516395号公報
【特許文献2】特開2014−074260号公報
【特許文献3】特開2015−163745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の特許文献1乃至特許文献3の含浸布では、厚みを持たせた布の疎に編んだ表面(特許文献1乃至3によれば、上表面層12)に、孔20がありこの孔20から含浸に用いられる連結繊維に、硬化可能な粉末材料を浸透させるものであった。そして、上表面層12の孔20について、PVCペーストの薄いコーティングの塗布をする必要があった、そのため、粉末材料を浸透させるのが難しいことや、粉末材料の粒度について制限があるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0011】
第1発明の複合シートは、内包させる材料に対する遮蔽性及び柔軟性を備えた第2シートと、平面状の網を加工して前記平面状の網から分割された複数の点・線・面の集合体からなる所定の間隔を保持できる二つの面が形成されている所定の目開きの変形させた網と、前記第2シートに、前記変形させた網に形成された一方の面を接合させて前記第2シートの一面に前記変形させた網で所定の空間を形成し、前記空間に鉱物を粉砕または鉱物を焼成・粉砕した原材料料を主成分とする粉粒材を充填させた後に、前記変形させた網に形成された他方の面に、内包させる材料に対する遮蔽性及び柔軟性を備えた第1シートを接合させ、変形させた網の側面を塞ぎ、前記粉粒材を内包させている。
第2発明の複合シートは、請求項1記載の発明において、前記第1シートが通水性を備え、前記第2シートが不通水性を備えている。
第3発明の複合シートは、請求項1記載の発明において、前記第1シートが不通水性を備え、前記第2シートが通水性を備えている。
第4発明の複合シートは、請求項1記載の発明において、前記第1シートと前記第2シートが通水性を備えている。
第5発明の複合シートは、請求項1乃至請求項4記載の発明において、前記粉粒材は、前記網の網目を通過する粉粒と、前記網の網目を通過しない若しくは通過し難い粉粒が混合されている。
第6発明の複合シートは、請求項1乃至請求項5記載の発明において、前記粉粒材の主成分は、水分により固化する性質を備えている。
第7発明の複合シートは、請求項1乃至請求項6記載の発明において、前記網は、樹脂素材繊維で編んで、前記樹脂素材繊維相互の結合部分は、結び目がある。
第8発明の複合シート製の袋は、請求項1乃至請求項7記載の複合シートが用いられている。
第9発明の複合シート製の袋は、請求項8記載の発明において、前記複合シート製の袋の少なくとも外形の四隅近傍に孔が設けられている。
【発明の効果】
【0012】
以上のような、技術的手段を有することにより、以下の効果を有する。
【0013】
特許文献1乃至特許文献3の発明の名称「含浸布」のように、上表面層12の孔20から粉末材料を入れる必要がなく、浸透が容易である。さらに、粉末材料以外の粒の大きい粒状の材料を充填することができる。さらには、「含浸布」では必要となっている上表面層12の孔20について、PVCペーストの薄いコーティングをする必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る第1の実施形態の複合シートの外観図である。
図2】本発明に係る第1の実施形態の複合シートの外観図である。
図3】本発明に係る第1の実施形態の複合シート他の外観図である。
図4】本発明に係る第1の実施形態の複合シートの組立説明図である。
図5】本発明に係る第1の実施形態の複合シートの組立説明図である。
図6】本発明に係る第1の実施形態の複合シートの拡大断面図である。
図7】本発明に係る第2の実施形態の複合シートの拡大断面図である。
図8】本発明に係る第3の実施形態の複合シートを拡大断面図である。
図9】本発明に係る第4の実施形態の変形させた網の説明図である。
図10】本発明に係る第5の実施形態の変形させた網の説明図である。
図11】本発明に係る第6の実施形態の複合シート製の袋の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る複合シート及び前記複合シート製の袋の実施の形態について図1乃至図11に基づき説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
(第1の実施形態)
第1の実施形態について、図1乃至図6に基づき説明する。まず、図1の斜視図を用いて本発明の複合シート1の外観を説明する。
【0017】
図1において、複合シート1の概略の構成を説明する。図1において、複合シート1は、図中上から、第1シート10、変形させた網21、第2シート30、及び、詳しくは後述する粉粒材40で構成されている。詳細については、図4図5及び図6を用いて説明する。
【0018】
なお、図1において、内部の状況が判る様に、第1シート10で、変形させた網21の四方の側面を塞いでない形状の第1シート10としている。
【0019】
本出願書類において「シート」として呼ぶものは、英語の「sheet」のことであり、フィルムよりは厚いが、柔軟性を備えている平板の材料のことである。
【0020】
第1シート10の外形寸法を、変形させた網21と第2シート30の外形寸法よりも変形させた網21の厚みを考慮した寸法分大きくして、第1シート10の外周の余白部分と、変形させた網21及び第2シート30の四方の側面に対して接着または溶着することで、変形させた網21の四方の側面を塞いだ状態の形状は図2の複合シート1となる。
【0021】
本出願書類において接合する方法として、「接着、溶着」と説明するものは、素材を変性劣化がし難い、熱溶着、超音波溶着、接着剤、溶射、ホットメルト接着シート等のことである。
【0022】
また、第1シート10と第2シート30の外形寸法を、変形させた網21の外形寸法よりも変形させた網21の厚みを考慮した寸法分大きくして、第1シート10と第2シート30の外周で接着または溶着することで、変形させた網21の四方の側面を塞いだ状態の形状は図3の複合シート1aとなる。
【0023】
第1シート10と第2シート30に挟まれた変形させた網21の側面を塞ぐ方法としては、前記以外にも、第1シート10、変形させた網21と第2シート30を接合した状態で3枚の外周近傍を縫い合わせる方法でも良い。さらには、第1シート10と第2シート30に挟まれた変形させた網21の側面を、側面の幅若しくは側面の幅に所定の余裕を加えた幅の接着剤が塗布されたテープで塞ぐ方法でも良い。
【0024】
複合シート1、厚さについては、第1シート10、変形させた網21と第2シート30の合計の厚みとなる。またその広さについては、第1シート10、後述する平面状の網2や第2シート30を原材料として供給可能な広さや、複合シート1を製造するため設備により変わるが、できるだけ広い面積の方が好ましい。
【0025】
図4及び図5を用いて複合シート1の製造方法について説明する。
図4は、変形させた網21の加工形状説明図である。図4の略長方形の平面状の網20の短手側の直線は維持しつつ、長手方向側を連続する波状に変化させることにより、平面状の網20を波状の変形させた網21に加工する。なお、波状への加工方法としては、一端から順次所定の間隔で上下に折り曲げる方法や、金型を用いてプレス加工する方法で成形する。
【0026】
これにより、平面状の網20を加工変形させた網21は、平面状の網20から分割された複数の点・線・面の集合体からなる所定の間隔を保持できる二つの面が形成されていることになる。本実施形態においては、略平行する複数の線の集まりにより、二つの面に形成されている。
【0027】
ここで、通常、「点」や「線」については、大きさや幅を持たない概念であるが、本出願書類において、直径0.1〜2mm程度の微細な大きさの円形の面を「点」として、0.1〜2mm程度の微細な幅の長方形の面を「線」と呼んで説明している。
【0028】
変形させた網21は、ポリエチレ(PE)、ポリプロピレン(PP)、塩化ビニル(PVC)、等の合成樹脂や、ステンレス、アルミ、銅、鉄樹脂被覆等の金属系の繊維や糸(針金)の一本の糸又は複数の糸(繊維)を撚り合わせた糸により編んだものである。なお、編まないで成形により編み目を加工する方法によっても良い。
【0029】
変形させた網21の網目については、4〜50メッシュであり、変形させた網21の糸の太さは、編み方等により異なり、加工後の強度に耐える太さ、例えば0.1〜1mmとしている。なお、糸の太さを太くした場合や金属系の金属系の繊維や糸(針金)の場合には、複合シート1を硬化させる前段階で形状保持が可能となり、埋め込み仮枠やボックス形状等の多彩な形状の仮造形・自立が可能となる。
【0030】
加工後の変形させた網21についての波形状の高さは2〜15mm、波形状のピッチ(波の頂上から次の頂上までの間隔)は、2〜6mmである。
なお、本実施形態においては、ポリエチレの太さ0.2mmの一本の糸を編み、途中に結び目25がある(結び目25については、図4中の拡大図参照。)また、網目については、8メッシュ(目開き約3mmの網目)変形させた網21である。また、加工後の形状は、高さ4mm、ピッチ4mmとしている。ここで、「メッシュ」とは、25.4mm(1インチ)当たりの網目の数のことであり、「目開き」とは網目の有効開口度のことである。
【0031】
平面状の網20については、樹脂素材の繊維で適宜なメッシュで編んだネット交点の結び目(突起)25が多数点在する構造や異形断面繊維糸(凹凸ポッチこぶ状)で織られた格子状、菱状材料等であると良い。変形させた網21で形成される空間内で粉粒材40が移動せずに偏らない様にすることができるからである。なお、図4において、結び目25については、拡大図で示しており、他の箇所にもあるものとする。また、その他の図においても、結び目25の記載については省略している。
【0032】
図5は、複合シート1の製造説明図である。
まず、波形状に加工された変形させた網21の複数の波の底の部分と、第2シート30を接着または溶着する(図4を参照)。第2シート30に変形させた網21が接着または溶着された第2シート30を網付き第2シート32と呼ぶ。
次に、網付き第2シート32の変形させた網21が接着または溶着されている側に、粉粒材40を変形させた網21により形成される空間と同等の容量を含ませる。
その後、粉粒材40を内包した網付き第2シート32の変形させた網21の側に、変形させた網21の複数の山の部分と第1シート10を接着または溶着させている。
【0033】
粉粒材40は、鉱物を粉砕または鉱物を焼成・粉砕した原材料料を主成分としている。
具体的には、石灰系材料、石膏系材料、セメント系材料、微細砂、カオリン、木伏粘土、パーライト、シラス砂、サンゴ砂等を主成分としている。また、粉粒材40には、その他の成分として、樹脂系粉粒体材料(水和硬化性樹脂等)や、硬化遅延剤、例えば、吸水ポリマーや、硬化促進剤、例えばマグネシウム・塩化ナトリウム系等を使用目的に合わせて適宜混合したものである。粉粒材40の主成分が、前述の材料であることから、複合シート1は耐候性、剛性、耐摩耗性を向上させることができる。
【0034】
後述する「水に浮く軽量化性」とする場合には、軽量化材料、例えば、軽量化セメント、軽量スラグ、パーライト、シラス砂、サンゴ砂、発泡砂等、や無機系、有機系のバインダーを配合する。
【0035】
前述の材料の混合する割合を変化させることにより、水分を吸収することにより粉粒材40が「早強硬化性」、「半硬化性」、「無硬化性」、「水に浮く軽量化性」等の各種の性質を有する粉粒材40にすることができる。
【0036】
例えば、「早強硬化性」は、盛土堤防等の補強や、豪雨濁流の流木等の衝撃に対応させる複合シートに内包させることにより利用できる。水災害における応急処置が可能となるからである。
【0037】
「半硬化性」は、山間部の遊歩道や長大斜面、土側溝の複合シートに内包させることにより利用できる。人が歩き、踏み固めるごとに、徐々に半硬化して地山と強固に一体化することができるからである。半硬化性粉粒体材料は古来のたたき技法を応用した材料で構成され粘土や石灰と海水中に含まれるマグネシウム、塩化ナトリウム等が水分を介して結合する硬化現象である。
【0038】
「無硬化性」は、盛土の法面保護、防草、防竹等に用いられる複合シートに内包させることにより利用できる。柔らかな地山となじんで、長期間地表を保護する。
【0039】
「水に浮く軽量化性」は、高山の遊歩道や土側溝の保全に用いられる複合シートに内包させることにより利用できる。車や運搬機が入らず、人力のみで運搬せざるを得ない尾瀬沼高原等に利用できるからである。
【0040】
硬化遅延剤としての吸水ポリマーについて説明する。粉粒材40の中に吸水ポリマーを適宜配合する場合については、雨水等が少量でも吸水ポリマーがしっかり水分を捕まえ、ゲル化保存することができる。その後ゲル中の水分によりセメント系材料等の水分により硬化する材料の粉粒材40のアルカリ成分が溶出し、それが吸水ポリマーに作用し、徐々に吸水ゲルをアルカリ分解して水分に戻し、セメント系材料等の水分により硬化する材料の粉粒材40に水分を徐々に供給する。これにより、セメント系材料等の水分により硬化する材料の粉粒材40はゆっくり水分を吸収しながら硬化を進行させることができる。
【0041】
第1シート10は、0.2〜3mmの適度な強度及び耐久性を有すると同時に、粉粒材40に対する遮蔽性と、柔軟性を有したシートである。なお、本実施形態においては、厚みを0.2mmとしている。
【0042】
また、第1シート10の具体的な材質としては、ポリエステル系合成繊維、ポリアミド系合成繊維(例えば、ナイロン)、セルロース系再生繊維、ガラス繊維、炭素繊維等の化学繊維や、木綿、麻、パルプ、羊毛、絹等の天然繊維を一種類または複数を混合させて布やシートに加工したものである。加工方法としては、繊維を織る、絡み合わせる、接着する、溶着させる等の方法により、通水性(透水性)を有した不織布、織布、立体織布、多孔性シート等である。
【0043】
第2シート30は、0.2〜3mmの適度な強度及び耐久性を有すると同時に、粉粒材40に対する遮蔽性と、柔軟性を有したシートである。なお、本実施形態においては、厚みを0.2mmとしている。また、第2シート30の具体的な材質としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエステル(PEs)、塩化ビニル(PVC)等をシート状に加工したものや、アルミフィルム等の軟性金属をシート状に加工した不通水性(遮水性)を有したシートである。なお、前述の第1シートと同様の材質の不織布、織布、立体織布等であっても、防水処理をすることにより、不通水性(遮水性)を有するものとしても良い。
【0044】
複合シート1の表面(地面等に接触する側では無い面)には、耐候性向上、滑り止め、景観グラデーションを良くする為に表面処理をすることができる。表面処理の例としては、第1シート10の表面に粒状や繊維状、ネット状の化粧コーティングを複合した構造を持ち、化粧コーティング材料は無機系(ガラス粉粒体、粉粒状天然石、セラミック等の磁器系)、有機系(ゴム、樹脂等)又、金属系(鉄、ステンレス、アルミ等)を個別に使用、又は、配合、溶着・接着させることによる。
【0045】
これにより、複合シート1の表面に光沢をもたせ、多色のバリエーションで色彩や景観性を良くさせ、滑り止め機能を持ち、更に耐候性を向上させ、通水性を合わせ持たせることもできる。
【0046】
表面処理の他の例としては、樹脂系、ゴム系材料や繊維系材料又は金属系材料で立体的に突設整形された連続立体ポッチ、例えば、格子状、ハニカム状、連続円柱状、キャタピラー状等が複合化されたものである。
【0047】
これにより、景観性、耐候性、排水性、滑り止め防止の歩行性を向上させると共に、流水溝としても機能する排水性を併せ持たせることができる。
【0048】
また、複合シート1の表面処理の他の方法としては、第1シート10の表面に、植生種機能、例えば、砂苔、杉苔等のコケ類、芝類、芝桜等の底被覆植物等の土壌マットを貼り付けても良い。緑化する機能を保つ斜面防災と被覆緑化を合わせ持つ緑化用として利用できるからである。
【0049】
複合シート1の充填された粉粒材40が、「早強硬化性」や「半硬化性」の場合には、第1シート10が通水性を有しているので、製造後の保管時に空気中の水分で、複合シート1が硬化する場合がある。そのため、通水性のある第1シート10、及び通水性のある第1シート10への表面処理の表面を水溶解性のPVA・PVAL(ポリビニルアルコール)シート等で覆うこともできる。
【0050】
これにより、空気中の水分を遮断することができ、保管・運搬中に空気中の防湿効果を発揮させることで、複合シート1の硬化による粉粒材40の変質を長期間防止することができる。また、複合シート1の設置後に水中に浸漬や散水等によりPVA・PVALが溶解して、第1シート10、及び第1シート10への表面処理の通水性は発現され、複合シート1を硬化させることができる。なお、複合シート1全体をポリエチレン袋やビニル袋で密閉することで、防湿性を持たせる様にしても良い。
【0051】
図6は複合シート1の波状に変形させた網21の波の形状によって形成される複数の線に直交して切断した一部を拡大した断面図である。ここで、前述の様に、第2シート30に変形させた網21に形成された一方の面(図中においては下側)を接着または溶着した後、粉粒材40を変形させた網21で確保される空間に充填させている。その後、変形させた網21に形成された他方の面(図中においては上側)を第1シート10と接着または溶着した状態になっている。
【0052】
ここで、粉粒材40には、変形させた網21の網目(目開きの寸法)を通過する粉粒(以下、小粉粒41と呼ぶ。図6図8においては、小さな点として図示。)と、変形させた網21の網目を通過しない若しくは通過し難い粉粒(以下、大粉粒42と呼ぶ。図6図8においては、大きな点として図示。)が混合されているとすると、変形させた網21を境にして、粉粒材40は分離される。
【0053】
具体的には、変形させた網21を境にして、第2シート30に近い側には、小粉粒41だけが集まり、第1シート10に近い側に小粉粒41と大粉粒42が集まることになる。
複合シート1は、設置する場合の表面(地面等に接触する側では無い面)に通水性のある第1シート10、裏面(地面等に接触する側の面)に不通水性の第2シート30として形成されている。なお、図6図8において、通水性のシートは間隔の広い斜線で、不通水性のシートは、幅の狭い斜線として図示している。
【0054】
すると、小粉粒41については早強硬化性の粉粒とし、大粉粒42については硬化遅延剤の吸水ポリマーの粉粒とすると、地面の接触する側、第2シート30に近い側を先に硬化させ、複合シート1、表面側をゆっくり硬化させることができる。
【0055】
また、小粉粒41については早強硬化性や半硬化性の粉粒とし、大粉粒42については無硬化性の砕石や砂等の粉粒とすると、地面の接触する側の第2シート30側については、地面に密着する様に硬化させることができ、複合シート1の表面側に砕石や砂等を密集させることにより、複合シート1の表面側の強度や硬度を向上させることができる。
【0056】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の複合シート2について、図7に基づき説明する。複合シート2の製造方法や、原材料については、複合シート1と同様であり、同一の符号を附して説明を省略する。複合シート2と複合シート1の違いは、第1シート10が不通水性の第1シート10aであり、第2シート30が、通水性の第2シート30aで形成されている。
【0057】
第1シート10aは、0.2〜3mmの適度な強度及び耐久性を有すると同時に、粉粒材40に対する遮蔽性と、柔軟性を有し、不通水性のシートである。なお、本実施形態においては、厚みを0.2mmとしている。なお、材質については、第1の実施形態の第2シート30と同様であるので説明を省略する。
【0058】
2シート30aは、0.2〜3mmの適度な強度及び耐久性を有すると同時に、粉粒材40に対する遮蔽性と、柔軟性を有し、通水性のシートである。なお、本実施形態においては、厚みを0.2mmとしている。なお
【0059】
図7は複合シート2の波状に変形させた網21の波の形状によって形成される複数の線に直交して切断した一部を拡大した断面図である。ここで、第1の実施形態と同様に、第2シート30aに変形させた網21に形成された一方の面(図中においては下側)を接着または溶着した後、粉粒材40を変形させた網21で確保される空間に充填させている。その後、変形させた網21に形成された他方の面(図中においては上側)を第1シート10aと接着または溶着した状態になっている。
【0060】
ここで、粉粒材40には、小粉粒41と、大粉粒42が混合されているとすると、変形させた網21を境にして、粉粒材40は分離される。
【0061】
具体的には、変形させた網21を境にして、第2シート30aに近い側には、小粉粒41だけが集まり、第1シート10aに近い側に小粉粒41と大粉粒42が集まることになる。
複合シート1は、設置する場合の表面(地面等に接触する側では無い面)に通水性のある第2シート30a、裏面(地面等に接触する側の面)に不通水性の第1シート10aとして形成されている。
【0062】
すると、小粉粒41については早強硬化性の粉粒とし、大粉粒42については硬化遅延剤の吸水ポリマーの粉粒とすると、地面の接触する側、第1シート10aに近い側をゆっくり硬化させ、複合シート2の表面側、第2シート30aに近い側を早く硬化させることができる。
【0063】
また、小粉粒41については早強硬化性や半硬化性の粉粒とし、大粉粒42については無硬化性の砕石や砂等の粉粒とすると、地面の接触する側の第1シート10aに近い側については、砕石や砂等を密集させることにより、複合シート2の裏面側の強度や硬度を向上させることができ、複合シート2の表面側、第2シート30aに近い側の形状を地面の形状に馴染む様に形成することができる。
【0064】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の複合シート3について、図8に基づき説明する。複合シート3の製造方法や、原材料については、複合シート1と同様であり、同一の符号を附して説明を省略する。複合シート3と複合シート1の違いは、第2シート30が、通水性の第2シート30aで形成されている。なお、第1シート10と第2シート30aについては、材質や厚み等については、第1の実施形態と第2の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0065】
図8は複合シート3の波状に変形させた網21の波の形状によって形成される複数の線に直交して切断した一部を拡大した断面図である。ここで、第1の実施形態と同様に、第2シート30aに変形させた網21に形成された一方の面(図中においては下側)を接着または溶着した後、粉粒材40を変形させた網21で確保される空間に充填させている。その後、変形させた網21に形成された他方の面(図中においては上側)を第1シート10と接着または溶着した状態になっている。
【0066】
ここで、粉粒材40には、小粉粒41と、大粉粒42が混合されているとすると、変形させた網21を境にして、粉粒材40は分離される。
【0067】
具体的には、変形させた網21を境にして、第2シート30aに近い側には、小粉粒41だけが集まり、第1シート10aに近い側に小粉粒41と大粉粒42が集まることになる。
複合シート3の両面は通水性のある第1シート10と第2シート30aであるので、前述の第1の実施形態や第2の実施形態の様に設置する場合の表面を第1シート10と第2シート30aのどちらでも選択でき、複合シート3の変形させた網21を境にして、粉粒材40は分離による第1シート10側と第2シート30a側の粉粒材40の性質の違いを備えた、2タイプの使用態様が実施可能となる。
【0068】
2タイプの使用態様が実施可能となることで、製造や在庫の手間が削減できる。なお、第1シート10または第2シート30aの何れかに不通水性が製造後に必要になった場合には、第1シート10または第2シート30aの何れかに、不通水性の液状の合成樹脂を塗布する方法や、不通水性の合成樹脂シートを貼付しても良い。
【0069】
なお、粉粒材40が小粉粒41と、大粉粒42が混合されている場合を第1の実施形態、第2の実施形態及び第3の実施形態で説明しているが、もちろん、粉粒材40が小粉粒41だけの場合でも実施できる。その場合については、変形させた網21により粉粒材40が分離されずに均一に粉粒材40が充填される。また、第1シート10aと第2シート30が両方とも、不通水性である場合であっても実施可能であるが、その場合には、水分による粉粒材40の硬化は行われないことになる。
【0070】
(第4の実施形態)
第4の実施形態の複合シート4について、図9の平面図とA―A断面図に基づき説明する。複合シート4の製造方法や、原材料については、複合シート1と同様であり、説明を省略する。複合シート4と複合シート1の違いは、変形させた網21が、波状であるのに対して、変形させた網22が、複数の六角形のすり鉢状の窪みが設けられていることである。平面状の網20から変形させた網22への加工については、その素材により、プレス加工や、熱を加えたプレス加工により成形する。
【0071】
これにより、平面状の網20を加工変形させた網22は、平面状の網20から分割された複数の点・線・面の集合体からなる所定の間隔を保持できる二つの面が形成されていることになる。本実施形態においては、複数の分割された六角形の集まりと、未加工の部分により、二つの面が形成されている。
【0072】
また、図9においては、変形させた網22の加工形状を説明するためのものであり、網目については図示を省略している。変形させた網22の材料や形状等については、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。さらに、その他については第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0073】
(第5の実施形態)
第5の実施形態の複合シート5について、図10の平面図とB―B断面図に基づき説明する。複合シート10の製造方法や、原材料については、複合シート1と同様であり、説明を省略する。複合シート5と複合シート1の違いは、変形させた網21が、波状であるのに対して、変形させた網23が、複数の円形のすり鉢状と、四角形のすり鉢状の窪みが設けられていることである。平面状の網20から変形させた網22への加工については、その素材により、プレス加工や、熱を加えたプレス加工により成形する。
【0074】
これにより、平面状の網20を加工変形させた網23は、平面状の網20から分割された複数の点・線・面の集合体からなる所定の間隔を保持できる二つの面が形成されていることになる。本実施形態においては、複数の分割された円形と四角形の集まりと、未加工の部分により、二つの面が形成されている。
【0075】
また、図10においては、変形させた網23の加工形状を説明するためのものであり、網目については図示を省略している。変形させた網23の材料や形状等については、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。さらに、その他については第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0076】
(第6の実施形態)
第6の実施形態については、第1の実施形態乃至第5の実施形態の複合シート1乃至複合シート5を用いた袋7について、図11に基づき説明する。複合シート1乃至複合シート5の形状、製造方法や、原材料については、複合シート1乃至複合シート5と同様であり、同一の符号を附して説明を省略する。なお、記載を簡略にするため、複合シート1乃至複合シート5の全てを含む複合シートを、複合シート6と記載して説明する。
【0077】
袋7は、二つ折りした複合シート6、または同形状の2枚の複合シート6を、一つの開口部51を残して、外周を接着、溶着、縫製し、所謂袋状にしたものである。袋7の外形は、本実施形態においては、製作が容易であることや使用できる範囲が広がることから、短辺に開口部51を設けた長方形としているが、正方形、三角形、台形、六角形、略円形や略楕円形等としても良い。
【0078】
袋7の大きさについては、本実施形態においては、長辺800mm、短辺400mmとしているが、袋7の中に入れる物や、使用される場所に合わせて適宜大きさを選択しても良い。なお、長辺側を長くし、内部に後述する詰め物入れて土嚢または水嚢にして用いれば、法面の補強や、多段に積み上げ一体化して、河川堤防嵩上げ構造体、軟弱地盤軽量盛土材料、化学プラントの油火災拡散を阻止する防火堤防、消波・防油機能の浮き堤防として利用できる。
【0079】
方形である袋7の4つの角の近傍には、金属製や合成樹脂製のハトメ(鳩目)で補強された孔52が設けられている。孔52は、紐、ロープ、針金、杭等が貫通できる大きさであり、本実施形態においては、孔52の径を10mmとしているが、5から20mmとしても良い。
【0080】
なお、孔52については、ハトメにより補強している説明したが、複合シート6に直接孔52を開けても良く、他の布、不織布、皮、合成皮革等を、接着、溶着、縫製して補強し、これに孔52を開ける様にしても良い。また、孔52については、4つの角以外にも複数設けても良い。また、孔52を設けるのではなく、直接袋7の4つの角の近傍に、所定の長さに切断した紐、ロープ等を接着、溶着、縫製しても良い。
【0081】
孔52を設けることにより、複数の袋7相互を連結することや、地面や家、塀、壁等の構造物に固定することができる。さらに、杭やアンカー金具等により、地面や構造部に固定することができる。
【0082】
なお、袋7の開口部51には、開口部51を紐、ロープ、針金等で簡単に閉じるための連続する一個の孔や複数の孔を設けても良い。また、開口部51を閉じる他の方法としては、開口部51を接着、溶着、縫製する方法や、接着剤が塗布されたテープで塞ぐ方法によっても良い。
【0083】
袋7の内部に入れる詰め物の例としては、地山の土砂、土砂地盤改良材混合硬化性土砂、生コンクリート、ドライコンクリート、水、軽量材料、例えば軽量化セメント、軽量スラグ、パーライト、シラス砂、サンゴ砂、発泡砂等がある。これらの詰め物を入れて開口部51を塞ぐことで、土嚢や水嚢として使用することができる。複合シート6の袋7を土嚢または水嚢とすることで、耐候性と剛性、耐摩耗性を備えた土嚢または水嚢となる。
【0084】
なお、軽量材料の詰め物を用い、比重1以下の材料で配合し、水に浮く機能を発現し、軟弱地盤の改良材料、湿地帯の地盤造成、道路盛土体の路体材料や消波浮き堤防、耐火防油浮き堤防として使用することができる。
【0085】
以上、本発明について、第1〜第6の実施形態に基づき説明してきたが、本発明は何らこれらの実施形態の構成に限定するものではない。例えば、第1〜第6の実施形態の組み合わせについては適宜組合せを変えて実施可能である。
【0086】
さらには、この発明は、これらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本件出願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
[1]付記1は、内包させる材料に対する遮蔽性及び柔軟性を備えた第1シートと、
平面状の網を変形させて前記平面状の網から分割された複数の点・線・面の集合体からなる所定の間隔を保持できる二つの面が形成されている所定の目開きの網と、前記第1シートに、前記変形させた網に形成された一方の面を接合させて前記第1シートの一面に前記変形させた網で所定の空間を形成し、前記空間に鉱物を粉砕または鉱物を焼成・粉砕した原材料料を主成分とする粉粒材を充填させた後に、前記変形させた網に形成された他方の面に、内包させる材料に対する遮蔽性及び柔軟性を備えた第2シートを接合させ、第1シートの周囲と第2シートの周囲を接合させ前記粉粒材を内包させた複合シートである。
[2]付記2は、前記第1シートが通水性を備え、前記第2シートが不通水性を備えている請求項1記載の複合シートである。
[3]付記3は、前記第1シートが不通水性を備え、前記第2シートが通水性を備えている請求項1記載の複合シートである。
[4]付記4は、前記第1シートと前記第2シートが通水性を備えている請求項1記載の複合シートである。
[5]付記5は、前記粉粒材は、前記網の網目を通過する粉粒と、前記網の網目を通過しない若しくは通過し難い粉粒が混合されている請求項1乃至請求項4記載の複合シートである。
[6]付記6は、前記粉粒材の主成分は、水分により固化する性質を備えている請求項1乃至請求項5記載の複合シートである。
[7]付記7は、前記網は、樹脂素材繊維で編んで、前記樹脂素材繊維相互の結合部分は、結び目がある請求項1乃至請求項6記載の複合シートである。
[8]付記8は、請求項1乃至請求項7記載の複合シートが用いられた複合シート製の袋である。
[9]付記9は、前記複合シート製の袋には、少なくとも外形の四隅近傍に孔が設けられている請求項8記載の複合シート製の袋である。
【産業上の利用可能性】
【0087】
重要な社会インフラである河川護岸の洪水による浸食対策に迅速化、効率化とコスト低減に多大の貢献をなすものである。又、台風、豪雨による宅地の法面崩壊防止、送電線の鉄塔基礎地盤又管理道、公共の道路路体に限らず、鉄道等の路体盛土等の補強に幅広く利用が可能である。
【符号の説明】
【0088】
1、1a、2、3、4、5、6:複合シート
7:袋
10、10a:第1シート
20:平面状の網
21、22、23:変形させた網
25:結び目
30、30a:第2シート
32:網付き第2シート
40:粉粒材
41:小粉粒
42:大粉粒
51:開口部
52:孔
【要約】
【課題】
従来の含浸布では、上表面層の布に孔がありこの孔から含浸に用いられる連結繊維硬化可能な粉末材料を浸透させるものであった。そして、上表面層の孔について、PVCペーストの薄いコーティングの塗布をする必要があるという問題があった。
【解決手段】
複合シート1は、内包させる材料に対する遮蔽性を備えた第2シート30と、所定の間隔を保持できる二つの面が形成されている所定の目開きの変形させた網21と、第2シート30に、変形させた網21に形成された一方の面を接合させて、第2シート30の一面に変形させた網21で所定の空間を形成し、前記空間に鉱物を粉砕または鉱物を焼成・粉砕した原材料料を主成分とする粉粒材40を充填させた後に、変形させた網21に形成された他方の面に、第1シート10を接合させ、変形させた網21の側面を塞ぎ、粉粒材40を内包させている。
【選択図】図1
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図2
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図6
図7
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図9
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