(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面を参照し、本発明を説明する。重複する説明は、適宜簡略化或いは省略する。各図において、同一の符号は同一の部分又は相当する部分を示す。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1におけるエレベーター装置の例を示す図である。
図1に示すように、エレベーター装置は、例えばかご1及びつり合いおもり2を備える。かご1は、昇降路3を上下に移動する。つり合いおもり2は、昇降路3を上下に移動する。かご1及びつり合いおもり2は、主ロープ4によって昇降路3に吊り下げられる。
【0012】
主ロープ4は、巻上機5の駆動綱車6に巻き掛けられる。制御装置7は、巻上機5等の各種機器を制御する。例えば、制御装置7は、駆動綱車6の回転及び停止を制御する。駆動綱車6の回転に応じてかご1は移動する。即ち、巻上機5は、かご1を駆動する駆動装置の一例である。制御装置7に、通信装置8が接続される。通信装置8は、外部の機器9と通信するための装置である。通信装置8が機器9と通信する方式は、如何なる方式であっても良い。機器9には、例えば、エレベーターの保守員が所有する携帯端末が含まれる。
【0013】
図2は、制御装置7の例を示す図である。制御装置7は、例えば動作制御部11、故障検出部12、及びコード出力部13を備える。以下に、
図3も参照し、制御装置7の機能について説明する。
図3は、実施の形態1における制御装置7の動作例を示すフローチャートである。
【0014】
動作制御部11は、巻上機5等の各種機器を制御する。動作制御部11が各種機器を制御することにより、通常運転が行われる(S101)。通常運転は、登録された呼びにかご1を順次応答させる運転である。
【0015】
故障検出部12は、エレベーターで発生した故障を検出する。例えば、制御装置7は、通常運転が行われている時に故障が検出されたか否かを判定する(S102)。エレベーターで何らかの故障が発生すると、故障検出部12によってその故障が検出される(S102のYes)。故障検出部12が故障を検出すると、動作制御部11は通常運転を停止する(S103)。
【0016】
また、故障検出部12が故障を検出すると、コード出力部13は、故障検出部12が検出した故障に応じて故障コードを出力する(S104)。故障コードは、発生した故障を表すコードである。例えば、巻上機5に備えられたブレーキで故障が発生すると、コード出力部13は、ブレーキで故障が発生したことを示す故障コードを出力する。他の例として、制御装置7に備えられた電源回路で故障が発生すると、コード出力部13は、電源回路で故障が発生したことを示す故障コードを出力する。他の例として、かご1に備えられたドア装置で故障が発生すると、コード出力部13は、ドア装置で故障が発生したことを示す故障コードを出力する。コード出力部13から出力される故障コードは予め設定される。
【0017】
図4は、通信装置8の例を示す図である。通信装置8は、例えば記憶部20、受信部21、データ作成部22、決定部23、及び送信部24を備える。
【0018】
記憶部20に、第1連絡先テーブルが記憶される。表1は、第1連絡先テーブルの一例を示す。
【0020】
記憶部20に記憶される第1連絡先テーブルは、特定の故障コードに対するものである。表1は、故障コード0100に対する第1連絡先テーブルの例を示す。故障コード0100は、例えば、故障検出部12が閉じ込めを検出した際にコード出力部13から出力されるコードである。
【0021】
第1連絡先テーブルに、複数の連絡先が登録される。表1は、保守員が所持する機器9に情報を送信するためのアドレスが連絡先として登録される例を示す。例えば、保守員番号が12345である保守員Aの機器9のアドレスが連絡先として登録される。同様に、保守員番号が22222である保守員Bの機器9のアドレスが連絡先として登録される。保守員番号が33335である保守員Cの機器9のアドレスが連絡先として登録される。
【0022】
表1は、第1連絡先テーブルの一例である。第1連絡先テーブルに、例えば、電話番号のみを連絡先として登録しても良い。第1連絡先テーブルに、メールアドレスのみを連絡先として登録しても良い。他の例として、第1連絡先テーブルに、所謂トークアプリを利用するための連絡先を登録しても良い。
【0023】
また、第1連絡先テーブルに、連絡先のそれぞれに紐付けて復旧時間が登録される。復旧時間は、当該故障を解消するために必要とされる見込み時間を表す。表1に示す例では、復旧時間は、コード出力部13から故障コード0100が出力される故障、即ち閉じ込めを解消するために必要とされる見込み時間である。復旧時間は、保守員が実際に行った復旧作業の実績時間等に基づいて予め登録される。例えば、以前に故障コード0100が出力された時に保守員Aが復旧作業を行い、復旧までに要した時間が20分であったとする。かかる場合、第1連絡先テーブルの保守員Aの復旧時間の欄に「20分」と記載される。復旧時間は、保守員が受けた研修実績等に基づいて登録されても良い。
【0024】
以下に、
図5も参照し、通信装置8の機能について説明する。
図5は、実施の形態1における通信装置8の動作例を示すフローチャートである。
【0025】
通信装置8は、例えば一定の周期で、特定の故障コードを受信したか否かを判定する(S201)。特定の故障コードは、コード出力部13から出力される故障コードの一部である。例えば、記憶部20に表1に示す第1連絡先テーブルが記憶されている場合、S201において故障コード0100を受信したか否かが判定される。コード出力部13から出力された故障コードは、受信部21によって受信される。このため、コード出力部13から特定の故障コードが出力された場合も、その故障コードは受信部21によって受信される。受信部21が特定の故障コードを受信すると(S201のYes)、データ作成部22は第1要請データを作成する(S202)。第1要請データは、エレベーターの保守員の派遣を要請するためのデータである。第1要請データは、音声データでもテキストデータでも良い。第1要請データには、例えば、エレベーター装置を特定するための情報と故障が発生したことを示す情報とが含まれる。
【0026】
また、受信部21が特定の故障コードを受信すると、決定部23は、第1要請データを送信するための第1データ送信先を決定する(S203)。決定部23は、第1連絡先テーブルに登録された複数の連絡先の中から復旧時間に基づいて第1データ送信先を決定する。例えば、決定部23は、受信部21が特定の故障コードを受信すると、第1連絡先テーブルに登録された複数の連絡先の中で最も短い復旧時間が紐付けられた連絡先を第1データ送信先として決定する。
【0027】
表1に示す第1連絡先テーブルが記憶部20に記憶されている場合、決定部23は、受信部21が故障コード0100を受信すると、保守員Aが所持する機器9の連絡先を第1データ送信先として決定する。以下においては、説明を容易にするため、保守員Aが所持する機器を機器9Aと表記し、機器9Aの連絡先を連絡先Aと表記する。同様に、保守員Bが所持する機器を機器9Bと表記し、機器9Bの連絡先を連絡先Bと表記する。保守員Cが所持する機器を機器9Cと表記し、機器9Cの連絡先を連絡先Cと表記する。
【0028】
送信部24は、データ作成部22がS202で作成した第1要請データを、決定部23がS203で決定した第1データ送信先に送信する(S204)。例えば、送信部24は、第1要請データを連絡先Aに送信する。
【0029】
送信部24から送信された第1要請データは、例えば機器9Aによって受信される。機器9Aは、例えば表示器を備える。機器9Aは、第1要請データを受信すると、故障が発生したエレベーター装置を特定するための情報を表示器に表示させる。機器9Aは、スピーカを備えても良い。機器9Aは、第1要請データを受信すると、上記情報をスピーカから出力しても良い。これにより、保守員Aは、どこのエレベーター装置で重大な故障が発生しているのかを知ることができる。また、保守員Aは、自分に対して派遣要請が行われていることを知ることができる。実施の形態1に示す例であれば、エレベーター装置の集中監視を行う監視センターを要することなく、保守員の派遣要請を行うことができる。
【0030】
通信装置8は、S204で第1要請データを送信すると、その送信先から応答があったか否かを判定する(S205)。例えば、S204で連絡先Aに電話が掛けられた場合、その電話に相手が出れば、S205でYesと判定される。S204で連絡先Aにメールが送信された場合、そのメールの開封通知を受信すれば、S205でYesと判定される。トークアプリを利用する場合、S204で送信したメッセージが既読になれば、S205でYesと判定される。
【0031】
S205でYesと判定されると、通信装置8は、派遣要請に対して保守員が対応可能であるか否かを判定する(S206)。例えば、保守員Aは、第1要請データを受信した機器9Aから、対応可能である旨をメールで返信する。通信装置8は、上記返信メールを受信することにより、保守員Aが対応可能であることを判定する(S206のYes)。通信装置8は、第1要請データを受信した機器9Aにおいて他の特定の操作が行われることにより、保守員Aが対応可能であることを判定しても良い。
【0032】
通信装置8は、S206において保守員が対応可能であることを判定すると、復旧作業が開始されたか否かを判定する(S207)。例えば、対応可能である旨を機器9Aから返信した保守員Aは、復旧作業を行うためにエレベーター装置の設置現場に向かう。保守員Aは、現場に到着すると、復旧作業を行うために例えば制御装置7に備えられた保守スイッチをオンにする。通信装置8は、この保守スイッチがオンになることにより、復旧作業が開始されたことを判定する(S207のYes)。通信装置8は、機器9A或いは他の機器から特定の信号を受信することにより、S207において復旧作業が開始されたことを判定しても良い。通信装置8は、他の方法によって復旧作業が開始されたことを判定しても良い。
【0033】
一方、S204で第1要請データを送信した先から応答がない場合(S205のNo)、通信装置8は、送信部24が第1要請データを送信してから一定時間が経過したか否かを判定する(S208)。S205でYesと判定されることなく上記一定時間が経過すると(S208のYes)、通信装置8の処理はS202に戻る。
【0034】
また、保守員が第1要請データを機器9で受けても、その保守員が派遣要請に常に応えることができるとは限らない。例えば、他のエレベーター装置で保守作業を行っている保守員は、派遣要請を受けてもその要請に応えることはできない。そのような保守員は、第1要請データを機器9で受信すると、例えば対応できない旨をメールで返信する。通信装置8は、上記返信メールを受信することにより、保守員が派遣要請に対応できないことを判定する(S206のNo)。保守員が派遣要請に対応できない場合、通信装置8の処理はS202に戻る。
【0035】
S208でYesと判定される場合、及びS206でNoと判定される場合は、保守員の派遣が行われない場合の例である。上述したように、表1に示す第1連絡先テーブルが記憶部20に記憶されている場合、受信部21が特定の故障コードを受信すると、先ず、機器9Aに対して第1要請データが送信される。この要請に対して保守員Aの派遣が行われなければ、通信装置8の処理はS202に戻る。なお、第1要請データを変更する必要がなければ、通信装置8の処理はS203に戻っても良い。
【0036】
連絡先Aに送信された第1要請データに対して保守員Aの派遣が行われない場合、決定部23は、第1要請データを送信するための次の第1データ送信先を決定する(S203)。例えば、決定部23は、連絡先テーブルに登録された複数の連絡先の中で2番目に短い復旧時間が紐付けられた連絡先を次の第1データ送信先として決定する。表1に示す例であれば、決定部23は、連絡先Bを次の第1データ送信先として決定する。送信部24は、決定部23が決定した最新の第1データ送信先、即ち連絡先Bに第1要請データを送信する(S204)。
【0037】
なお、保守員Bの派遣も行われない場合、決定部23は、第1連絡先テーブルに登録された複数の連絡先のうち第1要請データを未だ送信していない連絡先の中で最も短い復旧時間が紐付けられた連絡先を第1データ送信先として決定する。これにより、特定の故障が発生した場合に、その故障を早期に直すことができる保守員に対して、派遣要請を順次行うことができる。
【0038】
上記例では、第1連絡先テーブルに、故障コード0100に関する情報のみが登録されている例について説明した。これは一例である。表2は、第1連絡先テーブルの他の例を示す。
【0040】
表2は、他の故障コード、即ち故障コード0110に関する情報が第1連絡先テーブルに登録されている例を示す。表2に示す例では、コード出力部13から故障コード0110が出力される故障、即ち使用不能状態を解消するために必要とされる見込み時間が復旧時間として登録される。例えば、以前に故障コード0110が出力された時に保守員Bが復旧作業を行い、復旧までに要した時間が15分であったとする。かかる場合、第1連絡先テーブルの保守員Bの復旧時間の欄に「15分」と記載される。
【0041】
記憶部20に表2に示す第1連絡先テーブルが記憶されている場合、S201において、故障コード0110を受信したか否かが判定される。受信部21が故障コード0110を受信すると、データ作成部22は第1要請データを作成する(S202)。受信部21が故障コード0110を受信すると、決定部23は、S203において連絡先Bを第1データ送信先として決定する。送信部24は、データ作成部22がS202で作成した第1要請データを連絡先Bに送信する(S204)。
【0042】
なお、連絡先Bに送信された第1要請データに対して保守員Bの派遣が行われない場合、決定部23は、第1要請データを送信するための次の第1データ送信先を決定する(S203)。例えば、決定部23は、2番目に短い復旧時間が紐付けられた連絡先Cを次の第1データ送信先として決定する。
【0043】
表3は、第1連絡先テーブルの他の例を示す。
【0045】
表3は、第1連絡先テーブルに、複数の故障コードに関する情報が登録される例を示す。例えば、第1連絡先テーブルに、コード出力部13から出力され得る多数の故障コードのうちの一部の故障コードに関する情報が登録される。例えば、出力された際に早期の復旧が必要になる複数の故障コードに関する情報が第1連絡先テーブルに登録される。表3に示す例では、故障コード0100に関する情報、故障コード0110に関する情報、及び故障コード0090に関する情報が連絡先テーブルに登録される。
【0046】
記憶部20に表3に示す第1連絡先テーブルが記憶されている場合、S201において、故障コード0100、0110、或いは0090の何れかを受信したか否かが判定される。データ作成部22は、受信部21が故障コード0100、0110、或いは0090を受信すると、第1要請データを作成する(S202)。決定部23は、受信部21が受信した特定の故障コードに基づいて、第1データ送信先を決定する。例えば、受信部21が故障コード0100を受信すると、決定部23は連絡先Aを第1データ送信先として決定する。受信部21が故障コード0110を受信すると、決定部23は連絡先Bを第1データ送信先として決定する。受信部21が故障コード0090を受信すると、決定部23は連絡先Dを第1データ送信先として決定する。
【0047】
以下に、本エレベーター装置が採用可能な他の機能について説明する。
【0048】
本実施の形態では、予め設定された復旧時間のみに基づいて決定部23が第1データ送信先を決定する例について説明した。これは一例である。決定部23は、復旧時間と他の要素とに基づいて第1データ送信先を決定しても良い。
【0049】
本実施の形態では、データ作成部22が、受信部21が受信した故障コードに関わらず同じ内容の第1要請データを作成する例について説明した。これは一例である。データ作成部22は、S202において、受信部21が受信した故障コードに応じて第1要請データの内容を変更しても良い。例えば、第1要請データに、エレベーター装置を特定するための情報と故障内容を示す情報とが含まれても良い。このような第1要請データを受信した機器9では、例えば、故障が発生したエレベーター装置を特定するための情報と故障内容を示す情報とが報知される。
【0050】
実施の形態2.
本実施の形態では、第1連絡先テーブルに登録された復旧時間を更新する機能について説明する。
図6は、実施の形態2における通信装置8の例を示す図である。通信装置8は、例えば記憶部20、受信部21、データ作成部22、決定部23、送信部24に加え、時間検出部25及び更新部26を更に備える。
【0051】
以下に、
図7も参照し、通信装置8の機能について説明する。
図7は、実施の形態2における通信装置8の動作例を示すフローチャートである。
図7に示す動作は、保守員による復旧作業が開始されてからの動作を示す。復旧作業が開始されるまでの動作は、実施の形態1で開示された何れの動作が行われても良い。以下においては、コード出力部13から故障コード0100が出力され、
図5のS204において機器9Aに第1要請データが送信された例について詳しく説明する。また、S206において保守員Aが対応可能であると判定されたものとする。
【0052】
通信装置8は、例えば制御装置7に備えられた保守スイッチがオンになることにより、復旧作業が開始されたことを検出する(S301)。時間検出部25は、故障を解消するために保守員が行った作業、即ち復旧作業に要した時間を検出する。このため、通信装置8は、復旧作業が開始されると、タイマーをオンにし、時間の計測を開始する(S302)。
【0053】
通信装置8は、復旧作業が開始されると、その復旧作業が終了したか否かを判定する(S303)。保守員Aは、復旧作業が終了すると、例えば保守スイッチをオフにする。通信装置8は、保守スイッチがオンからオフに切り替わることにより、復旧作業が終了したことを判定する(S303のYes)。通信装置8は、機器9A或いは他の機器から特定の信号を受信することにより、S303において復旧作業が終了したことを判定しても良い。通信装置8は、他の方法によって復旧作業が終了したことを判定しても良い。
【0054】
復旧作業が終了すると、通信装置8はタイマーをオフにし、S302で開始した時間の計測を終了する(S304)。時間検出部25は、タイマーによる計測結果に基づいて復旧作業に要した時間を検出する(S305)。本実施の形態に示す例では、コード出力部13から故障コード0100が出力される故障が発生している。このため、S305では、この故障を解消するために保守員が行った作業時間が時間検出部25によって検出される。
【0055】
更新部26は、時間検出部25によって検出された作業時間に基づいて、記憶部20に記憶された復旧時間を更新する(S306)。本実施の形態に示す例であれば、更新部26は、故障コード0100に対する第1連絡先テーブルに登録された復旧時間のうち、保守員Aの連絡先に紐付けて記憶された復旧時間を更新する。
【0056】
更新部26が復旧時間を更新する方法は如何なる方法であっても構わない。例えば、更新部26は、記憶部20に記憶されている復旧時間を、S305で時間検出部25によって検出された時間に書き換える。更新部26は、記憶部20に記憶されている復旧時間と時間検出部25によって検出された時間との双方を用いて、復旧時間の更新を行っても良い。これにより、保守員が行った復旧作業の実績時間に合わせて、復旧時間を適切に更新できる。
【0057】
他の例として、通信装置8は、
図6に示すように送信部27を更に備えても良い。送信部27は、更新情報を他のエレベーター装置に送信する。更新情報には、例えば、故障コードに関する情報と連絡先に関する情報と復旧時間に関する情報とが含まれる。本実施の形態に示す例であれば、更新情報に、故障コード0100を特定するための情報と保守員A或いは保守員Aの連絡先を特定するための情報と更新部26によって更新された復旧時間を特定するための情報とが含まれる。復旧時間に関する情報として、時間検出部25によって検出された時間を特定するための情報が更新情報に含まれても良い。
【0058】
故障コードに関する情報は、例えば
図5のS201で受信した故障コードから特定できる。連絡先に関する情報は、例えば
図5のS206で対応可能であると判定された保守員から特定できる。なお、保守員は、復旧作業を行う際に保守端末を有線或いは無線で制御装置7に接続する。故障コードに関する情報及び連絡先に関する情報は、制御装置7に接続された保守端末から取得されても良い。
【0059】
他のエレベーター装置では、更新情報を受信すると、受信した更新情報に基づいて対象の復旧時間を更新する。本実施の形態に示す例であれば、他のエレベーター装置において、故障コード0100に対する第1連絡先テーブルに保守員Aの連絡先が登録されていれば、その連絡先に紐付けて記憶されている復旧時間が更新される。これにより、1つのエレベーター装置において得られた復旧時間に関する最新情報を他のエレベーター装置で共有することができる。
【0060】
実施の形態3.
本実施の形態では、
図5のS201でNoと判定された場合の他の動作例について説明する。
図5のS201でYesと判定された場合の動作は、実施の形態1で開示された何れの動作が行われても良い。復旧作業が開始されてからの動作は、実施の形態2で開示された何れの動作が行われても良い。
【0061】
図8は、実施の形態3における通信装置8の例を示す図である。通信装置8は、例えば記憶部20、受信部21、データ作成部22、決定部23、及び送信部24を備える。通信装置8は、時間検出部25及び更新部26を更に備えても良い。通信装置8は、送信部27を更に備えても良い。
【0062】
記憶部20に、第1連絡先テーブルに加え、第2連絡先テーブルが記憶される。上述したように、第1連絡先テーブルは、
図5のS201でYesと判定された場合に用いられる。一方、第2連絡先テーブルは、
図5のS201でNoと判定された場合に用いられる。第2連絡先テーブルには、複数の連絡先が優先順位とともに登録される。表4は、第2連絡先テーブルの一例を示す。
【0064】
表4に示す例では、優先順位が1位の連絡先として、連絡先Cが登録される。優先順位が2位の連絡先として、連絡先Aが登録される。優先順位が3位の連絡先として、連絡先Bが登録される。表4は、第2連絡先テーブルに登録された連絡先が第1連絡先テーブルに登録された連絡先と同じである例を示す。第2連絡先テーブルに登録される連絡先は、第1連絡先テーブルに登録される連絡先と一致しなくても良い。第2連絡先テーブルに登録される連絡先は、第1連絡先テーブルに登録される連絡先の一部と一致しても良い。第2連絡先テーブルに登録される連絡先の一部が、第1連絡先テーブルに登録される連絡先の一部と一致しても良い。
【0065】
以下に、
図9も参照し、通信装置8の機能について説明する。
図9は、実施の形態3における通信装置8の動作例を示すフローチャートである。
【0066】
特定の故障コードを受信していないとS201で判定されると、通信装置8は、上記特定の故障コード以外の故障コードを受信したか否かを判定する(S401)。上述したように、コード出力部13から出力された故障コードは、受信部21によって受信される。このため、上記特定の故障コードとは異なる故障コードも受信部21によって受信される。受信部21が特定の故障コード以外の故障コードを受信すると(S401のYes)、データ作成部22は第2要請データを作成する(S402)。第2要請データは、エレベーターの保守員の派遣を要請するためのデータである。第2要請データは、音声データでもテキストデータでも良い。第2要請データには、例えば、エレベーター装置を特定するための情報と故障が発生したことを示す情報とが含まれる。第2要請データは、第1要請データと同じであっても良い。データ作成部22は、受信部21が受信した故障コードに応じて第2要請データの内容を変更しても良い。
【0067】
また、受信部21が特定の故障コード以外の故障コードを受信すると、決定部23は、第2要請データを送信するための第2データ送信先を決定する(S403)。決定部23は、第2連絡先テーブルに登録された複数の連絡先の中から優先順位に基づいて第2データ送信先を決定する。例えば、決定部23は、受信部21が特定の故障コード以外の故障コードを受信すると、第2連絡先テーブルに登録された複数の連絡先の中で優先順位が最も高い連絡先を第2データ送信先として決定する。
【0068】
送信部24は、データ作成部22がS402で作成した第2要請データを、決定部23がS403で決定した第2データ送信先に送信する(S404)。記憶部20に表4に示す第2連絡先テーブルが記憶されている場合、送信部24は、第2要請データを連絡先Cに送信する。
【0069】
送信部24から送信された第2要請データは、例えば機器9Cによって受信される。機器9Cは、例えば表示器を備える。機器9Cは、第2要請データを受信すると、故障が発生したエレベーター装置を特定するための情報を表示器に表示させる。機器9Cは、スピーカを備えても良い。機器9Cは、第2要請データを受信すると、上記情報をスピーカから出力しても良い。これにより、保守員Cは、どこのエレベーター装置で故障が発生しているのかを知ることができる。また、保守員Cは、自分に対して派遣要請が行われていることを知ることができる。実施の形態3に示す例であれば、特定の故障コード以外の故障コードが出力された場合でも、エレベーター装置の集中監視を行う監視センターを要することなく、保守員の派遣要請を行うことができる。
【0070】
図9のS405からS408に示す動作は、
図5のS205からS208に示す動作と同様である。例えば、通信装置8は、S404で第2要請データを送信すると、その送信先から応答があったか否かを判定する(S405)。S405でYesと判定されると、通信装置8は、派遣要請に対して保守員が対応可能であるか否かを判定する(S406)。通信装置8は、S406において保守員が対応可能であることを判定すると、復旧作業が開始されたか否かを判定する(S407)。例えば、通信装置8は、保守スイッチがオンになることにより、復旧作業が開始されたことを判定する(S407のYes)。
【0071】
一方、S404で第2要請データを送信した先から応答がない場合(S405のNo)、通信装置8は、送信部24が第2要請データを送信してから一定時間が経過したか否かを判定する(S408)。S405でYesと判定されることなく上記一定時間が経過すると(S408のYes)、通信装置8の処理はS402に戻る。また、保守員が第2要請データを機器9で受けても、その保守員が派遣要請に常に応えることができるとは限らない。例えば、通信装置8は、対応できない旨の返信メールを受信することにより、保守員が派遣要請に対応できないことを判定する(S406のNo)。保守員が派遣要請に対応できない場合、通信装置8の処理はS402に戻る。なお、第2要請データを変更する必要がなければ、通信装置8の処理はS403に戻っても良い。
【0072】
例えば、連絡先Cに送信された第2要請データに対して保守員Cの派遣が行われない場合、決定部23は、第2要請データを送信するための次の第2データ送信先を決定する(S403)。例えば、決定部23は、第2連絡先テーブルに登録された複数の連絡先の中で優先順位が2番目に高い連絡先を次の第2データ送信先として決定する。表4に示す例であれば、決定部23は、連絡先Aを次の第2データ送信先として決定する。送信部24は、決定部23が決定した最新の第2データ送信先、即ち連絡先Aに第2要請データを送信する(S404)。
【0073】
保守員Aの派遣も行われない場合、決定部23は、第2連絡先テーブルに登録された複数の連絡先のうち第2要請データを未だ送信していない連絡先の中で優先順位が最も高い連絡先を第2データ送信先として決定する。これにより、特定の故障コード以外の故障コードが出力された場合に、予め設定された優先順位に基づいて、保守員の派遣要請を順次行うことができる。
【0074】
実施の形態1から3では、通信装置8がエレベーター装置の一部である例について説明した。これは一例である。例えば、既設のエレベーター装置に通信装置8を後付けすることにより、上述した各機能を実現しても良い。
【0075】
実施の形態1から3では、監視センターを要することなくエレベーターの保守員の派遣要請を行う例について説明した。これは一例である。実施の形態1から3に示す例は、例えばエスカレーターといった他の昇降機において保守員の派遣要請を行う場合にも適用できる。
【0076】
実施の形態1から3において、符号20〜27に示す各部は、通信装置8が有する機能を示す。
図10は、通信装置8のハードウェア資源の例を示す図である。通信装置8は、ハードウェア資源として、例えばプロセッサ30とメモリ31とを含む処理回路32を備える。記憶部20が有する機能は、メモリ31によって実現される。通信装置8は、メモリ31に記憶されたプログラムをプロセッサ30によって実行することにより、符号21〜27に示す各部の機能を実現する。
【0077】
プロセッサ30は、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ或いはDSPともいわれる。メモリ31として、半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク或いはDVDを採用しても良い。採用可能な半導体メモリには、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM及びEEPROM等が含まれる。
【0078】
図11は、通信装置8のハードウェア資源の他の例を示す図である。
図11に示す例では、通信装置8は、例えばプロセッサ30、メモリ31、及び専用ハードウェア33を含む処理回路32を備える。
図11は、通信装置8が有する機能の一部を専用ハードウェア33によって実現する例を示す。通信装置8が有する機能の全部を専用ハードウェア33によって実現しても良い。専用ハードウェア33として、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又はこれらの組み合わせを採用できる。
【0079】
同様に、符号11〜13に示す各部は、制御装置7が有する機能を示す。制御装置7のハードウェア資源は、
図10に示す例と同様である。制御装置7は、ハードウェア資源として、例えばプロセッサとメモリとを含む処理回路を備える。制御装置7は、メモリに記憶されたプログラムをプロセッサによって実行することにより、符号11〜13に示す各部の機能を実現する。制御装置7は、ハードウェア資源として、プロセッサ、メモリ、及び専用ハードウェアを含む処理回路を備えても良い。また、制御装置7が有する機能の全部を専用ハードウェアによって実現しても良い。
エレベーター装置は、かご(1)、巻上機(5)、制御装置(7)、及び通信装置(8)を備える。通信装置(8)は、受信部(21)、データ作成部(22)、記憶部(20)、決定部(23)、及び送信部(24)を備える。データ作成部(22)は、保守員の派遣を要請するための第1要請データを作成する。決定部(23)は、第1要請データを送信するための第1データ送信先を、第1連絡先テーブルに登録された複数の連絡先の中から決定する。送信部(24)は、第1要請データを第1データ送信先に送信する。