特許第6534145号(P6534145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大嶋 正剛の特許一覧

特許6534145スリット付きL形歩車道境界排水ブロック
<>
  • 特許6534145-スリット付きL形歩車道境界排水ブロック 図000002
  • 特許6534145-スリット付きL形歩車道境界排水ブロック 図000003
  • 特許6534145-スリット付きL形歩車道境界排水ブロック 図000004
  • 特許6534145-スリット付きL形歩車道境界排水ブロック 図000005
  • 特許6534145-スリット付きL形歩車道境界排水ブロック 図000006
  • 特許6534145-スリット付きL形歩車道境界排水ブロック 図000007
  • 特許6534145-スリット付きL形歩車道境界排水ブロック 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6534145
(24)【登録日】2019年6月7日
(45)【発行日】2019年6月26日
(54)【発明の名称】スリット付きL形歩車道境界排水ブロック
(51)【国際特許分類】
   E01C 11/22 20060101AFI20190617BHJP
【FI】
   E01C11/22 A
   E01C11/22 B
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-240050(P2017-240050)
(22)【出願日】2017年11月29日
(65)【公開番号】特開2019-100166(P2019-100166A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2017年12月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】503234115
【氏名又は名称】大嶋 正剛
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 正剛
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−096079(JP,A)
【文献】 特開2011−038350(JP,A)
【文献】 特開2002−061273(JP,A)
【文献】 実開昭62−133784(JP,U)
【文献】 特開2006−132320(JP,A)
【文献】 特開2007−138485(JP,A)
【文献】 特開2003−253611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車道部上面舗装をそのまま延長した街渠底近くまでのエプロン舗装によって、段差や目地を被覆して自動車道路肩とL形通水断面街渠エプロンにまたがって自転車走行用アスファルト道路側帯を設置し、内部の副水路に直結するスリット付の街渠施設を築造するプレキャストコンクリートL形歩車道境界排水ブロックであって、
車道側面端を主舗装止めとし、縁石側面とのコーナー部渠底のエプロン面に開口するスリットが縁石下を通らず直結するための副水路を縁石下からエプロン下にもまたがる内径断面に形成したL形状ブロックで低い縁石でもスリットが同一位置で高低均一の排水効果を得るものとし、通水断面内の街渠近くを上面舗装止めとする車道部の上面舗装をそのまま延長したエプロン舗装厚さ分の切下げエプロンを街渠エプロン面と平行に設けてなり、
主舗装を前記主舗装止めによって固定し、前記上面舗装止めまで前記エプロン舗装を施してL形通水断面の街渠を形成することにより、車道部からエプロンへの断勾配の急変化が無く、併せて縁石高さが道路側帯沿い低い縁石の横断乗入箇所との高低交互設置においても副水路への排水機能の変化は無く、路面排水能力を補って降雨時初期排水もよい自転車走行に適した道路側帯を構成することを特徴とする副水路付きL形歩車道境界排水ブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の車道側帯に使用し、L形排水部エプロンをアスファルト舗装の自転車走行用に形成するスリット付きL形歩車道境界排水ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
プレキャストコンクリートL形街渠用歩車道境界ブロックは側面をアスファルト舗装止とし、一般にエプロン幅50cmがL形状通水断面となる雨水排水施設を形成し、道路縦断勾配に沿って集水桝へ排水する。
【0003】
かまぼこ状断面の車道部は路肩がおおむね1.5%〜2%の横断勾配でL形排水部と接し、エプロンが幅50cm6%傾斜面の通水断面となっている。
近時、車道の側帯を自転車走行用とする必要が高まっているが、国が示す「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」では、自転車の安全性向上を図るため側溝などについて、エプロン幅が狭く自転車通行空間を広く確保できるものや平坦性の高いものへの置き換えや滑り止め加工をはじめ、側溝との舗装すりつけ等の段差等にも留意することとされていて、路肩の横断勾配とおおむね一致するエプロン2%で全体をアスファルト舗装とすることが求められる。
車道用舗装道路おいては、路肩端のエプロンに歩車道境界ブロック部を加えた部分は排水施設に必要であり、このL形排水部を維持した上で自転車走行に適合する路面を形成することである。
【先行技術文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−253611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようする課題】
【0005】
歩車道境界ブロックによるL形排水部構造においては、車道部側端のアスファルト主舗装止めとする基本構造を維持したまま、エプロン面の一部も含めてアスファルト上面舗装とし、併せて車道部路肩からエプロンへの横断勾配急変化を緩和させるか又は無くすることにより自転車走行に適合させる。
この場合、エプロン部L形傾斜面が6%から2%に平坦化しても、排水断面の減少による排水能力の低下分を補うことができるものとする。
道路側帯に沿って連続する歩車道境界ブロックの縁石高さは標準部で15cm〜25cmとするほか、車両等の横断乗入箇所では2cm〜5cm程度と低くするため、高低交互に設置されても排水機能に変化が生じないことが必要とされる。
先行技術では、縁石高標準部において縁石の直下に中心線がほぼ一致する副水路断面が縁石幅より狭い内径幅で位置しているので、街渠からの排水流入スリットは側面から縁石内を通って副水路に達するものとなっている。
しかし、低い縁石の横断乗入箇所との高低交互設置においては同一位置にスリットを設置出来ず、均一な排水効果を得にくい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため本発明のL形歩車道境界ブロックは、縁石下から中心線をずらしエプロン下にもまたがる内径断面の副水路があり、車道寄外側にエプロン渠底部を備えたL形状断面となっている。
縁石側面と渠底とはコーナー部エプロン面で間隔を設けてスリットを形成して内包する副水路の開口部とする。
エプロン渠底部は切下げ小段による上面舗装止めと、主舗装止めとがあり、自転車走行用道路側帯はエプロン切下げ小段面に車道部から渠底の上面舗装止めまで連続する上面アスファルト舗装とするものである。
【0007】
エプロン舗装は車道部の上面舗装をそのまま延長して、横断勾配を6%から車道路肩の1.5%〜2%に近づけた結果、L形排水部の断面縮小で通水能力が低下してもスリット開口副水路で補うものである。
【0008】
L形歩車道境界排水ブロックの縁石は、下部副水路の一方のみ側壁を高くした頭部が副水路を覆う張出し構造であり、張出し先端縁石側面と渠底とのコーナー部エプロン面にスリット開口を形成している。
縁石高さが道路側帯に沿いに高低交互に設置されてもスリット開口がエプロン面にあり縁石高さに影響されず副水路への排水機能は変化しない。
【発明の効果】
【0009】
L形歩車道境界ブロックによる主舗装止め端面のずれや段差および歩車道境界ブロックの連続布設接合部目地が上面舗装に被覆され自転車走行に適した路側帯が形成される。
さらに車道部の横断勾配1.5%〜2%と同じエプロン部勾配によって自転車走行上の安全が高まる。
【0010】
L形排水断面渠底コーナー部で副水路に直結するスリット開口によって水はけがよく、降雨時初期の排水がよく、自転車通行においても安全が高まる。
【0011】
スリット開口が道路延長に沿って歩車道境界縁石の高低にかかわらず同一線に連続して均一な排水効果があり、副水路内の清掃等の維持管理にも適している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】 路盤面に直接設置し、アスファルト舗装の自転車走行用に形成した街渠用L形歩車道境界排水ブロックの実施例を示す切欠斜面図である。
図2図1のA〜A線にそった断面図である。
図3図1のB〜B線にそった断面図である。
図4図2の実施例におけるL形歩車道境界排水ブロックの斜面図である。
図5図3の実施例におけるL形歩車道境界排水ブロックの斜面図である。
図6】 スリットが断続するL形歩車道境界ブロックの実施例を示す切欠斜面図である。
図7】 スリットが断続するL形歩車道境界ブロックの横断乗入部用の実施例を示す切欠斜面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
L形歩車道境界排水ブロックは高さ15cm〜25cmの縁石と一体でおおむねエプロン幅10cm〜15cm、渠底に向って2%傾斜の三角形状通水断面とする街渠を形成し、縁石側面とエプロン渠底とのコーナー部エプロン面にスリットが直下の副水路に向って開口している。
車道の舗装止め部はおおむね厚さ20cm〜25cmで縁石部から張出してL形エプロン部を形成している。副水路は角形、円形等とし、縁石下からL形エプロン部にまたがる内径幅で設けるものであり、スリットが縁石下を通らず副水路に直結する。
長さは0.6m、1m、2m等とするプレキャストコンクリートで供給され、道路縦断勾配に沿い基礎上に順勾配施工で布設する。
歩道への横断乗入箇所は、縁石の高さが低く副水路上部を覆う張出し版となり縁石側面とエプロン渠底のコーナー部にスリット付とするL型ブロックとなる。
本発明のL形ブロックは、エプロンを切下げ渠底の近くに上面舗装止めが形成され、車道の上面舗装がそのままエプロン舗装として延長されるものである。
【0014】
本発明のL形ブロックはアスファルト上面舗装厚さに対応し、おおむね5cmの平行切下げエプロンを形成し、渠底近くの上面舗装止めまでエプロン舗装とするものであるため、L形ブロックを構成するエプロン自体の必要厚さは底面で調整する。
【0015】
上面舗装を透水性の場合にはエプロン舗装の端末となる上面舗装止め沿いにエプロン1個毎に渠低下を横切る流水口から副水路へ浸透水が流入し、道路縦断勾配により集水ますへ排水する。
【0016】
副水路はおおむね内幅15cm内高10cm〜15cm以上、内底面高が上面舗装止め以下でL形通水断面部とスリットで直結し、街渠の排水能力を充足するが、維持管理と自転車走行安全上スリット幅を1cm〜2cmとしている。
【実施例】
【0017】
図1に路盤面へ直接設置し、エプロンをアスファルト舗装の自転車走行用に形成した街渠用L形歩車道境界排水ブロックの実施例を示す。
図1の実施例は図2図3図4図5図6図7にも示すとおり縁石とエプロン一体のL形歩車道境界排水ブロック(1)で、エプロン(2)を切下げ、上面舗装止め(7)までエプロン舗装(10)とするスリット(12)が直結する縁石部内の副水路(20)付き街渠施設である。
エプロン(2)は渠底近くに上面舗装止め(7)が長さ方向に連続し、切下げエプロン(4)とでフーチング付縁石とするL形状ブロックであり、縁石部(3)の側面とエプロン(2)とのコーナーのエプロン面にスリット(12)を設け、直結する副水路(20)を形成している。
【0018】
上面舗装止め(7)には図1図4図5図6図7に示すとおり両端面に流出口(13)があり、排水性舗装での浸透水がL形歩車道境界排水ブロック1個毎に渠低下を横切って副水路(20)へ流入する。
スリット(12)は図1図2図3図4図5に示すとおり街渠(15)に沿って、連続するほか、図6図7に示すとおり適宜間隔の固定部(25)で断続することも可能であり、固定部上面の両スリットを同じ幅で深さ1cm〜1.5cmの浅い溝により連続させることもある。(図示省略)。
【0019】
図5図7の実施例は歩車道乗入れ横断箇所における縁石低頭タイプでスリットが図1に示すように一般部と同一線連続し、エプロン(2)は街渠近くに上面舗装止め(7)が長さ方向に連続する切下げエプロン(4)付きで縁石部(3)と一体の副水路(20)が貫通するL形歩車道境界排水ブロック(1)を構成している。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明のL形歩車道境界排水ブロックは、従来の一般流通街渠用L形製品と同等に使用でき普及面での制約は生じない。
さらに、生産供給においても在来の道路用コンクリート製品と同等に安価に流通する。
【符号の説明】
【0021】
1 L形歩車道境界排水ブロック
2 エプロン
3 縁石部
4 切下げエプロン
5 L形エプロン部
6 主舗装止め
7 上面舗装止め
8 主舗装
9 上面舗装
10 エプロン舗装
11 水抜
12 スリット
13 流出口
15 街渠
16 路肩
17 歩道
20 副水路
25 固定部
30 基礎材
31 敷モルタル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7