【実施例1】
【0013】
以下、本発明のニッパ装置をサーボモータ駆動型の電動モータ型ニッパ装置として実施した実施例に基づいて説明する。
図1及び
図2に示すように電動モータ型ニッパ装置1における本体3の一側側(図示左側)には、開口5が形成され、該開口5に応じた本体3には、一対のニッパ本体7が中央部にて交差して軸9を中心に
回動するように軸支される。
【0014】
各ニッパ本体7は、
図2に示す下端側に刃体7aが対向して設けられると共に
図2に示す上端側に柄部7bが一体に設けられ、柄部7bの開閉により各刃体7aが互いに近接する位置と離間した位置の間で回動される。
【0015】
各ニッパ本体7の柄部7b間には、圧縮ばね等の弾性部材11が設けられ、各ニッパ本体7は、弾性部材11の弾性力により柄部7b相互
が離間する
方向へ付勢されて平面ハ字形になる
ことにより各刃体7a相互を開放させるように
回動される。
【0016】
上記各ニッパ本体7
を軸支する軸9の両側に応じた本体3には、柄部7bの外面に沿って伸び、該柄部7bより長い(例えば柄部7bの長さに対して1.5〜2倍の長さ)カムレバー13の基端部が軸15を中心に搖動するように軸支される。
【0017】
上記本体3内には、移動体17が
図2に示す上下方向へ往復移動するように
取付けられる。該移動体17の
図2に示す左右側には、本体3の
図2に示す左右側板の内面に沿って転動して移動体17を支承するローラ19がそれぞれ軸支される。
【0018】
上記移動体17の
図2に示す下部左右端側には、
図2に示す左右一対のローラカムフオロア21が軸部9寄りの箇所にて
カムレバー13の外側面に
当接して転動するように軸支される。
【0019】
上記本体3の
図2に示す上中央部には、移動手段を構成する数値制御可能なサーボモータ23が設けられる。該サーボモータ23は、ロータ(図示せず)の中心部に軸線方向へ延出する中空部(図示せず)が形成されると共に該中空部の内周面に雌ねじ(図示せず)が形成された中空ロータ構造からなる。
【0020】
また、サーボモータ23には、ロータ理エンコーダ等の検知器23aが設けられ、コントローラ(制御手段、図示せず)は、該検知器23aからの信号に基づいてロータの回転位置により送りねじ25の移動量、サーボモータ23に印加される電流値により送りねじ23の移動トルク等を検知する。
【0021】
上記サーボモータ23におけるロータの中空部には、外周面に雄ねじが旋設され、上記移動体17の移動距離に対応する軸線長さの送りねじ25が雌ねじに噛合わされ、本体3内に突出する送りねじ25の軸端部は、上記移動体17の図示する右側面に固定される。
【0022】
次に、上記のように構成された電動モータ型ニッパ装置1によるワークの切断作用を説明する。
先ず、非切断時の状態について説明すると、ワークの非切断時においては、サーボモータ23の駆動により
図2に示す実線矢印方向へ移動する送りねじ25により移動体17が
図2に示す
下側へ移動されている。
なお、ワークとしては、樹脂成形された直後の樹脂成形品、ダイキャスト、電線等の金属線等のいずれであってもよい。
【0023】
この状態にて各ローラカムフオロア21は、相互間隔が短くなった柄部7bの軸9寄りに応じたカムレバー13の外面に当接するように位置し、柄部7b及びカムレバー13相互を弾性部材11の弾性力により自由端側の相互間隔が広くなる平面ハ字形に開放させる。
【0024】
これにより各ニッパ本体7の刃体7aは、互いに離間し、ワークの切断個所を差し込むための空間が形成される。
【0025】
次に、上記状態にて刃体7a相互の空間内にワークの切断個所を位置させた後にサーボモータ23を駆動制御して送りねじ25が
図3に示す実線矢印方向へ移動されると、これに伴って移動体17が
図3に示す上側へ移動される。
【0026】
上記移動体17の移動時においては、ローラカムフオロア21の相互間隔が一定に設定されているため、カムレバー13の外面に対して
図3に示す下方から上方に向かって転動しながらカムレバー13を
図3に示す上部の相互間隔が徐々に縮小するように押圧することにより
各ニッパ本体7を柄部7b相互が近接する方向へ回動
させることにより刃体7a相互を徐々に閉作動してワークの切断個所を切断する。
【0027】
上記ワークの切断時においては、柄部7bに対してカムレバー13が長く、その
自由端側を押圧して刃体7aを閉作動するため、柄部7bの自由端部を押圧して刃体7aを閉作動する場合に比べて小さな力で大きな切断力を得る。
【0028】
これにより移動体17を移動する駆動源として小トルクのサーボモータ23を使用することができ、装置自体を小型化及び軽量化することができる。
【0029】
また、カムレバー17を閉作動する駆動源をサーボモータ23とすることによりワークの切断する際には、切断開始から切断完了までの間に複数の切断ポイントを設定し、例えば切断開始から次の切断ポイントに至るまでは、切断トルクを大きくすると共に切断速度を速くし、次の切断ポイントに徐々に切断トルクを小さくすると共に即断速度が遅くなるようにトルク制御、速度制御及び位置制御することができ、平滑性に優れた切断面になるようにワークを高品質で切断することができる。
【0030】
本実施例は、ニッパ本体7を閉動作する駆動源をサーボモータ23とすることにより刃体7aを切断トルク制御、速度制御及び切断位置制御してワークにおける切断個所を切断面が平滑になるように高品質に切断することができる。
【0031】
また、柄部7bが短いニッパ本体7であっても、該柄部7bより長いカムレバー13により閉作動することにより小トルクのサーボモータ23により大トルクでワークを切断することができ、装置自体を小型化及び軽量化することができる。
【0032】
上記説明のニッパ本体7にあっては、例えば合成樹脂ワークを切断する場合にあっては、刃体7aに電気ヒータに設けて合成樹脂が軟化する温度まで加熱する加熱ニッパとすることにより切断面が平滑になるように高品質に切断することができる。
【0033】
上記説明は、ロータの内周面に雌ねじが形成された中空軸サーボモータとし、ロータの中空部に、一方端部が移動体17に固定された送りねじ25を噛合わせ、ロータの回転に伴って送りねじ25を移動することにより移動体17を移動する構成としたが、
図4に示すように本体3内に移動体17の移動方向と一致する方向に軸線を有し、移動体17に設けられたナット17a(
図5に破線で示す)に噛合わされる送りねじ51を軸受55により回転可能に軸支すると共に該送りねじ51にサーボモータ53の出力軸53aを駆動連結し、サーボモータ53の回転駆動に伴って回転する送りねじ51により移動体17をトルク制御、速度制御及び位置制御しながら移動する構成としてもよい。
【0034】
上記説明は、移動体17にローラ19を設け、本体3内にて移動体17の移動を案内する構成としたが、本体3内に移動体17の移動方向へ延出する直線ガイドを設け、該直線ガイドに移動体を長手方向へ移動するように支持する構成としても実施することができる。
【0035】
上記説明は、移動手段としてサーボモータ23を用いてニッパ装置を構成したが、
図5に示すように移動手段を油圧または空圧のシリンダ61により構成しても実施可能である。
【0036】
移動手段をシリンダ61とする場合には、シリンダ61のロッド61aを移動体17に取り付け、シリンダ61の作動に伴うロッド61aの伸縮に伴って移動体17を移動させることによりニッパ本体7の刃体7aを柄部7bに対するカムレバー13の長さ比に応じたトルクで閉作動してワークを切断することができる。
【0037】
なお、移動手段をシリンダ61とする場合には、サーボモータ23により構成する場合と相違し、切断の進展に伴って切断トルクを可変することができないが、低圧の圧縮流体を使用して高い切断トルクを得ることができ、装置自体を小型化及び軽量化することができる。
また、実施例1と同一の部材に付いては、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。