特許第6534265号(P6534265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6534265
(24)【登録日】2019年6月7日
(45)【発行日】2019年6月26日
(54)【発明の名称】ガス警報器及びガス警報方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/16 20060101AFI20190617BHJP
   G01N 27/16 20060101ALI20190617BHJP
【FI】
   G08B21/16
   G01N27/16 Z
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-26476(P2015-26476)
(22)【出願日】2015年2月13日
(65)【公開番号】特開2016-149074(P2016-149074A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2018年1月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】草次 将典
(72)【発明者】
【氏名】高林 亘
(72)【発明者】
【氏名】犬塚 和宏
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 正幸
【審査官】 山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−084787(JP,A)
【文献】 特開2003−217052(JP,A)
【文献】 特開2003−217050(JP,A)
【文献】 特開2015−011520(JP,A)
【文献】 特開2005−084786(JP,A)
【文献】 実開昭59−068251(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 5/00− 9/36
27/00−27/24
G08B 1/00− 9/20
17/00−21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象ガスのガス濃度を測定可能なセンサと、
警報を発生可能な警報手段と、
前記警報手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記センサが第1確定期間以上に亘って警報値以上のガス濃度を測定した際のみ前記警報手段に警報を発生させ、前記センサが前記第1確定期間よりも短い第2確定期間以上に亘って高濃度警報値以上のガス濃度を測定した際に高濃度状態であると判定し、前記警報の発生後、前記高濃度状態であると判定されない場合には、前記ガス濃度が前記警報値よりも低い警報解除値以下まで下がった際に前記警報を停止させ、前記高濃度状態であると判定された場合には、前記ガス濃度が前記警報解除値よりも高く且つ前記高濃度警報値よりも低い高濃度警報解除値以下まで下がった際に前記警報を停止させることを特徴とするガス警報器。
【請求項2】
前記高濃度警報解除値が前記警報値以下であることを特徴とする請求項1に記載のガス警報器。
【請求項3】
前記制御手段が、前記センサが前記警報値以上のガス濃度を測定してから前記第1確定期間が経過する前であっても、前記ガス濃度が前記高濃度警報値以上であると判定可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載のガス警報器。
【請求項4】
対象ガスのガス濃度を測定し、
第1確定期間以上に亘って警報値以上のガス濃度を測定した際のみ警報を発生し、前記第1確定期間よりも短い第2確定期間以上に亘って高濃度警報値以上のガス濃度を測定した際に高濃度状態であると判定し、前記警報の発生後、前記高濃度状態であると判定されない場合には、前記ガス濃度が前記警報値よりも低い警報解除値以下まで下がった際に前記警報を停止し、前記高濃度状態であると判定された場合には、前記ガス濃度が前記警報解除値よりも高く且つ前記高濃度警報値よりも低い高濃度警報解除値以下まで下がった際に前記警報を停止することを特徴とするガス警報方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ、警報手段及び制御手段を備えたガス警報器及びガス警報方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガス警報器では、対象ガスのガス濃度が警報値以上となった際に警報を発生してガスの使用を停止させたり換気を促したりし、ガス濃度が警報解除値以下まで下がった際に警報を停止する。このようなガス警報器において警報値と警報解除値とを同じ値に設定すると、ガス濃度が警報値の前後で変動した場合に、警報の発生と停止が繰り返されてしまい、使用者に不快感を与えてしまったり、故障を疑われてしまったりする可能性がある。
【0003】
そこで、警報を発生するための警報値よりも、警報を停止するための警報解除値を低く設定したガス警報器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このようなガス警報器では、ガス濃度が警報値よりも低下して警報解除値以下となった際に警報を停止することにより、ガス濃度が警報値前後で変動しても警報の発生と停止が繰り返されにくくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−210938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、プロパンガスを対象ガスとするガス警報器では、ガス漏れによるプロパンガスだけでなく、ガス警報器が警報を発生するかどうかを点検するための点検用ガスや、スプレーの封入ガス等も検出し、警報を発生する。これらの点検用ガスや封入ガスによるガス濃度の上昇は一過性の上昇であるとともに、警報を長く継続する必要がない。しかしながら、従来のように警報解除値を警報値よりも低くすると、ガス濃度が警報解除値以下に低下するまでの時間が長くなってしまい、使用者に不快感を与えてしまう可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、警報による不快感を低減することができるガス警報器及びガス警報方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、対象ガスのガス濃度を測定可能なセンサと、警報を発生可能な警報手段と、前記警報手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記センサが第1確定期間以上に亘って警報値以上のガス濃度を測定した際のみ前記警報手段に警報を発生させ、前記センサが前記第1確定期間よりも短い第2確定期間以上に亘って高濃度警報値以上のガス濃度を測定した際に高濃度状態であると判定し、前記警報の発生後、前記高濃度状態であると判定されない場合には、前記ガス濃度が前記警報値よりも低い警報解除値以下まで下がった際に前記警報を停止させ、前記高濃度状態であると判定された場合には、前記ガス濃度が前記警報解除値よりも高く且つ前記高濃度警報値よりも低い高濃度警報解除値以下まで下がった際に前記警報を停止させることを特徴とするガス警報器である。
【0008】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、前記高濃度警報解除値が前記警報値以下であることを特徴とするものである。
【0011】
請求項に記載された発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記制御手段が、前記センサが前記警報値以上のガス濃度を測定してから前記第1確定期間が経過する前であっても、前記ガス濃度が前記高濃度警報値以上であると判定可能であることを特徴とするものである。
【0012】
請求項に記載された発明は、対象ガスのガス濃度を測定し、第1確定期間以上に亘って警報値以上のガス濃度を測定した際のみ警報を発生し、前記第1確定期間よりも短い第2確定期間以上に亘って高濃度警報値以上のガス濃度を測定した際に高濃度状態であると判定し、前記警報の発生後、前記高濃度状態であると判定されない場合には、前記ガス濃度が前記警報値よりも低い警報解除値以下まで下がった際に前記警報を停止し、前記高濃度状態であると判定された場合には、前記ガス濃度が前記警報解除値よりも高く且つ前記高濃度警報値よりも低い高濃度警報解除値以下まで下がった際に前記警報を停止することを特徴とするガス警報方法である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、に記載された発明によれば、ガス濃度が警報値よりも高い高濃度警報値以上であると判定された場合、ガス濃度が高濃度状態であると判定し、ガス濃度が警報解除値よりも高い高濃度警報解除値以下まで下がった際に警報を停止させることにより、一過性の上昇によってガス濃度が高い値になった場合に警報を早く停止させることができ、警報が長く続くことによる不快感を低減することができる。また、センサが各確定期間以上に亘って警報値又は高濃度警報値以上のガス濃度を測定した際にガス濃度が警報値又は高濃度警報値以上であると判定することにより、ノイズ等によって瞬間的に警報値又は高濃度警報値以上の測定値が得られてしまった場合に、ガス濃度が警報値又は高濃度警報値以上であると誤判定してしまうことを抑制することができる。また、ガス濃度が警報値以上であることを判定するための第1確定期間よりも、ガス濃度が高濃度警報値以上であることを判定するための第2確定期間が短いことで、ガス濃度が高濃度警報値以上となっている期間が短くても、ガス濃度が高濃度状態であると判定しやすくすることができる。
【0014】
請求項2に記載された発明によれば、高濃度警報解除値が警報値以下であることから、ガス濃度が充分に低下してから警報を停止することができる。
【0017】
請求項に記載された発明によれば、第1確定期間の経過前であってもガス濃度が高濃度警報値以上であると判定可能であることから、第1確定期間内にガス濃度が高濃度警報値以上まで上昇した後に高濃度警報値未満まで低下した場合でもガス濃度が高濃度警報値以上であると判定することができる。即ち、一過性のガスによってガス濃度が急激に上昇及び低下する場合でも高濃度警報解除値で警報を停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係るガス警報器を示す構成図である。
図2図1のガス警報器における各設定値を示すグラフである。
図3図1のガス警報器が実行する警報確定処理の手順を示すフローチャートである。
図4図1のガス警報器が実行する警報解除処理の手順を示すフローチャートである。
図5図1のガス警報器が検出するガス濃度の時間変化の一例を示すグラフである。
図6図1のガス警報器が検出するガス濃度の時間変化の一例を示すグラフである。
図7図1のガス警報器が検出するガス濃度の時間変化の他の例を示すグラフである。
図8図1のガス警報器が検出するガス濃度の時間変化の他の例を示すグラフである。
図9図1のガス警報器が検出するガス濃度の時間変化の他の例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態のガス警報器1は、図1に示すように、対象ガスのガス濃度を測定可能なセンサ2と、警報を発生可能な警報手段3と、警報手段3を制御する制御手段4と、を備え、例えばプロパンガス用のガスメータに取り付けられる。
【0020】
センサ2は、例えば、検出素子と比較素子とを有するブリッジ回路において、中性点電位差を測定することによって対象ガスとしてのプロパンガスのガス濃度を検出する接触燃焼式のガスセンサである。対象ガスが存在しないときの中性点電位差をエアベースABとし、対象ガスのガス濃度が高くなるほど中性点電位差が大きくなる。即ち、中性点電位差がガス濃度の指標となり、後述する警報値や警報解除値等の各種設定値は、中性点電位差に対して設定される。センサ2は、所定の時間間隔(例えば100msec)をあけて測定を繰り返すように制御される。尚、センサ2は接触燃焼式に限定されず、対象ガスの種類に応じた適宜な方式であればよい。
【0021】
警報手段3は、例えばスピーカであって、ブザー音や換気を促す音声を再生することで警報を発生する。尚、警報手段3はスピーカに限定されず、表示器であるとともに警報を画面上に表示するものであってもよいし、スピーカと表示器との両方を有するものであってもよい。
【0022】
制御手段4は、例えばガス警報器1に設けられたマイクロコンピュータのCPUである。また、このマイクロコンピュータは、警報値や警報解除値等の各種設定値を記憶する記憶手段を有している。
【0023】
次に、ガス警報器1における各種設定値の一例について説明する。図2に示すように、警報手段3に警報を発生させるための警報値W1は、エアベースABよりも291mVだけ高く設定されている。また、警報を停止するための警報解除値WC1は、警報値W1よりも58mVだけ低く設定されている。さらに、高濃度警報値W2が警報値よりも125mVだけ高く設定され、高濃度警報解除値WC2が警報値W1と等しい値に設定されている。
【0024】
以下、制御手段4が実行する警報確定処理及び警報解除処理の一例について、図3、4のフローチャートを参照して説明する。以下の処理において、警報判定及び解除用のカウンタ値をn1、高濃度警報判定用のカウンタ値をn2とする。
【0025】
ガス警報器1の主電源がオンとなり、センサ2の測定値が安定するために必要な安定時間が経過した後、制御手段4は図3に示す警報確定処理を開始し、センサ2の測定間隔である100msecが経過したか否かを繰り返し判定する(S110)。100msec経過したら(S110でY)、制御手段4はセンサ2に中性点電位差Vを測定させ(S120)、この中性点電位差Vが警報値W1以上であるか否かを判定する(S130)。中性点電位差Vが警報値W1未満である場合(S130でN)、制御手段4は、高濃度警報を解除するとともにカウンタ値n1、n2を0にリセットし(S140)、再びS110に戻る。中性点電位差Vが警報値W1以上である場合(S130でY)、カウンタ値n1を1増加させ(S150)、測定した中性点電位差Vが高濃度警報値W2以上であるか否かを判定する(S160)。
【0026】
中性点電位差Vが高濃度警報値W2未満である場合(S160でN)、制御手段4は、カウンタ値n2を0にリセットし(S170)、後述するS210に進む。中性点電位差Vが高濃度警報値W2以上である場合(S160でY)、制御手段4は、カウンタ値n2を1増加させ(S180)、カウンタ値n2が4以上であるか否かを判定する(S190)。カウンタ値n2が4未満の場合(S190でN)、制御手段4はS210に進む。カウンタ値n2が4以上の場合(S190でY)、制御手段4は高濃度警報を確定し(S200)、カウンタ値n1が10以上であるか否かを判定する(S210)。カウンタ値n1が10未満である場合(S210でN)、制御手段4は再びS110に戻り、カウンタ値n1が10以上である場合(S210でY)、制御手段4は、警報を確定する(警報手段3に警報を発生させる)とともにカウンタ値n1を0にリセットし(S220)、警報確定処理を終了する。
【0027】
以上のような警報確定処理において、制御手段4は、センサ2が第1確定期間(10回の測定、900msec)以上に亘って警報値W1以上の中性点電位差Vを測定した際に、ガス濃度が警報値以上であると判定し、警報を発生するように構成され、第2確定期間(4回の測定、300msec)以上に亘って高濃度警報値WC2以上の中性点電位差Vを測定した際に、ガス濃度が高濃度警報値以上であると判定し、高濃度警報を確定する。
【0028】
制御手段4は、警報確定処理の終了後、引き続いて図4に示す警報解除処理を開始する。制御手段4は、センサ2の測定間隔である100msecが経過したか否かを繰り返し判定する(S310)。100msec経過したら(S310でY)、制御手段4は、センサ2に中性点電位差Vを測定させ(S320)、高濃度警報が確定済みであるか否かを判定する(S330)。高濃度警報が確定済みである場合(S330でY)、制御手段4は、中性点電位差Vが高濃度警報解除値WC2以下か否かを判定する(S340)。中性点電位差Vが高濃度警報解除値WC2以下の場合(S340でY)、制御手段4は、カウンタ値n1を1増加させ(S350)、カウンタ値n1が10以上であるか否かを判定する(S360)。一方、中性点電位差Vが高濃度警報解除値WC2よりも大きい場合(S340でN)、制御手段4は、カウンタ値n1を0にリセットし(S370)、S360に進む。カウンタ値n1が10未満の場合(S360でN)、制御手段4は、再びS310に戻る。カウンタ値n1が10以上の場合、(S360でY)、制御手段4は、警報を解除し(警報手段3に警報を停止させ)、高濃度警報を解除する(高濃度警報が確定済みでない状態にする)とともにカウンタ値n1、n2を0にリセットする(S380)。
【0029】
一方、高濃度警報が確定済みでない場合(S330でN)、制御手段4は、中性点電位差Vが警報解除値WC1以下か否かを判定する(S400)。中性点電位差Vが警報解除値WC1以下の場合(S400でY)、制御手段4は、カウンタ値n1を1増加させるとともにカウンタ値n2を0にリセットし(S410)、カウンタ値n1が10以上であるか否かを判定する(S420)。カウンタ値n1が10未満である場合(S420でN)、制御手段4は再びS310に戻り、カウンタ値n1が10以上である場合(S420でY)、制御手段4は、警報を解除する(警報手段3に警報を停止させる)とともにカウンタ値n1を0にリセットする(S430)。
【0030】
中性点電位差Vが警報解除値WC1よりも大きい場合(S400でN)、制御手段4は、カウンタ値n1を0にリセットし(S440)、中性点電位差Vが高濃度警報値W2以上であるか否かを判定する(S450)。中性点電位差Vが高濃度警報値W2未満である場合(S450でN)、制御手段4は、カウンタ値n2を0にリセットし(S460)、再びS310に戻る。中性点電位差Vが高濃度警報値W2以上である場合(S450でY)、制御手段4は、カウンタ値n2を1増加させ(S470)、カウンタ値n2が4以上であるか否かを判定する(S480)。カウンタ値n2が4未満の場合(S480でN)、制御手段4は再びS310に戻る。カウンタ値n2が4以上の場合(S480でY)、制御手段4は、高濃度警報を確定し(S490)、再びS310に戻る。
【0031】
S380又はS430において警報が解除された後、制御手段4は、警報解除処理を終了するとともに再び警報確定処理を開始する。即ち、警報確定処理と警報解除処理とが交互に実行される。
【0032】
ここで、図5〜9に示すように、ガス濃度の時間変化を複数例示するとともに、それぞれにおける警報の発生や停止について説明する。
【0033】
まず図5のようなガス濃度の時間変化では、まず、中性点電位差Vが10回連続で警報値W1以上となった時点(A1)で警報を発生する。即ち、中性点電位差Vが警報値W1以上となってから900msec経過した時点で警報を発生する。さらにガス濃度が上昇し、中性点電位差Vが4回連続で高濃度警報値W2以上となった時点(A2)で前述のフローチャートのS490において高濃度警報が確定する。即ち、中性点電位差Vが高濃度警報値W2以上となってから300msec経過した時点で高濃度警報が確定する。ガス濃度が低下していき、中性点電位差Vが高濃度警報解除値WC2以下となった時点(A3)で警報を停止する。即ち、中性点電位差Vが高濃度警報解除値WC2以下となってから900msec経過した時点で警報を停止する。
【0034】
また、図6に示すように、中性点電位差Vが10回連続で警報値W1以上となる(A4)までに、中性点電位差Vが4回連続で高濃度警報値W2以上となる(A5)場合、前述のフローチャートのS200において高濃度警報が確定する。
【0035】
また、図7に示すように、中性点電位差Vが10回連続で警報値W1以上となる(A6)までに、中性点電位差Vが4回連続で高濃度警報値W2以上となる(A7)とともに、A6の時点で中性点電位差Vが高濃度警報値W2よりも低くなる場合、前述のフローチャートのS200において高濃度警報が確定する。
【0036】
一方、図8に示すように、中性点電位差Vが10回連続で警報値W1以上とならない(図7では9回)とともに中性点電位差Vが4回連続で高濃度警報値W2以上となる場合、前述のフローチャートS200において一旦は高濃度警報が確定するものの、S210でカウンタ値n1が10以上とならず、S140で高濃度警報が解除されるとともに警報が発生しない。
【0037】
また、図9に示すように、中性点電位差Vが10回連続で警報値W1以上となる(A8)とともに、中性点電位差Vが高濃度警報値W2に到達せずに下降する場合、高濃度警報が確定せず、中性点電位差Vが10回連続で警報解除値WC1以下となった時点(A9)で警報を停止する。また、図示しないが、中性点電位差Vが高濃度警報値W2以上となっても、その回数が3回以下である場合には高濃度警報が確定しない。
【0038】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。即ち、ガス濃度が警報値よりも高い高濃度警報値以上であると判定された場合、ガス濃度が警報解除値よりも高い高濃度警報解除値以下まで下がった際に警報を停止させることにより、一過性の上昇によってガス濃度が高い値になった場合に警報を早く停止させることができ、警報が長く続くことによる不快感を低減することができる。
【0039】
また、高濃度警報解除値WC2が警報値W1と等しいことから、ガス濃度が充分に低下してから警報を停止することができる。
【0040】
また、センサ2が各確定期間以上に亘って警報値W1又は高濃度警報値W2以上の中性点電位差Vを測定した際にガス濃度が警報値又は高濃度警報値以上であると判定することにより、ノイズ等によって瞬間的に警報値W1又は高濃度警報値W2以上の中性点電位差V(測定値)が得られてしまった場合に、ガス濃度が警報値又は高濃度警報値以上であると誤判定してしまうことを抑制することができる。さらに、ガス濃度が警報値以上であることを判定するための第1確定期間よりも、ガス濃度が高濃度警報値以上であることを判定するための第2確定期間が短いことで、中性点電位差Vが高濃度警報値W2以上となっている期間が短くても、ガス濃度が高濃度状態であると判定しやすくし、高濃度警報を確定しやすくすることができる。
【0041】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0042】
例えば、前記実施形態では、高濃度警報解除値WC2が警報値W1と等しく設定されるものとしたが、高濃度警報解除値は、警報解除値WC1よりも高ければよく、警報値よりも高くてもよいし低くてもよい。高濃度警報解除値を高く設定すれば警報を早く停止することができ、高濃度警報解除値を低く設定すればガス濃度が充分に低下したことを判定することができる。
【0043】
また、前記実施形態では、中性点電位差Vが10回連続(900msec)で警報値W1以上となった場合に警報を発生し、中性点電位差Vが4回連続(300msec)で高濃度警報値W2以上となった場合に高濃度警報を確定するものとしたが、これらの判定に用いられるセンサ2の測定回数や測定間隔、合計期間は任意に設定されていればよく、警報を発生するための第1期間が高濃度警報を確定するための第2期間よりも短くてもよい。
【0044】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0045】
1 ガス警報器
2 センサ
3 警報手段
4 制御手段
W1 警報値
W2 高濃度警報値
WC1 警報解除値
WC2 高濃度警報解除値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9