【実施例】
【0033】
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて本実施形態をさらに具体的に説明するが、本実施形態はその要旨を超えない限り、これらの実施例と比較例によって何ら限定されるものではない。後述する実施例及び比較例における評価及び物性は、以下の方法により評価及び測定された。
【0034】
(評価)色度
重合例、実施例及び比較例で得られたポリカーボネートジオールを試料として、ポリカーボネートジオールの色度を、下記装置を用いて測定した波長430nmの光の透過率の値と波長550nmの光の透過率の値とから、以下の式により求めた。なお、測定時には気泡がないことを確認した。さらに、60℃で2ヶ月間保管した後の試料を、再度色度を求めた(貯蔵後の色度)。
装置:JASCO日本分光株式会社製の商品名「V−650」
セル:ガラス製2cm角セル
色度(%)=10
[log(A)-log(B)]×100
A:波長430nmの光の透過率の値(%)
B:波長550nmの光の透過率の値(%)
色度が95%未満を×(着色が激しい)、95%以上96%未満を△(わずかに着色)、96%以上を○(色度良好)として評価した。
【0035】
(物性1)水分量
各実施例及び比較例で得られたポリカーボネートジオールを試料として、ポリカーボネートジオールの水分量を、下記装置を用いて測定した。
装置:KEM京都電子工業株式会社製の商品名「MKC−510N」
陰極液:KEM京都電子工業株式会社製の商品名「ケムアクア陰極液CGE」
陽極液:三菱化学株式会社製の商品名「アクアミクロンAKX」
【0036】
(物性2)水酸基価
重合例で得られたポリカーボネートジオールを試料として、ポリカーボネートジオールの水酸基価を、次の方法で測定した。メスフラスコを用い、無水酢酸12.5gにピリジンを加えて50mLとし、アセチル化試薬を調整した。100mLのナスフラスコに、サンプルを2.5〜5.0g精秤した。アセチル化試薬5mLとトルエン10mLをホールピペットで添加後、冷却管を取り付けて、100℃で1hr撹拌加熱した。蒸留水2.5mLをホールピペットで添加、さらに10min加熱撹拌する。2〜3min冷却後、エタノールを12.5mL添加し、指示薬としてフェノールフタレインを2〜3滴入れた後に、0.5mol/Lエタノール性水酸化カリウムで滴定した。アセチル化試薬5mL、トルエン10mL、蒸留水2.5mLを100mLナスフラスコに入れ、10分間加熱撹拌した後、同様に滴定を行った(空試験)。
【0037】
上記結果をもとに、下記式(1)で水酸基価を算出した。
水酸基価(mg−KOH/g)={(D−C)×28.05×f}/E (1)
C:サンプルの滴定量(mL)
D:空試験の滴定量(mL)
E:サンプル重量(g)
f:滴定液のファクター
【0038】
(物性3)数平均分子量
ポリカーボネートジオールの数平均分子量は、下記式(2)を用いて計算する。
数平均分子量=2/(G×10−3/56.11) (2)
G:水酸基価(mg−KOH/g)
【0039】
[重合例1]
攪拌機の付いた2Lの反応器に、1,6−ヘキサンジオール520g、エチレンカーボネート410gを仕込んだ後、触媒として酢酸鉛三水和物(分子量:379)を0.009g入れ、規則充填物を充填した精留塔に接続した。反応機を210℃のオイルバスに浸漬し、留出液の一部を抜き出しながら、反応温度170℃で20hr反応した。その後、反応機を直接コンデンサーに接続し、オイルバスの温度を190℃に下げた後、圧力を徐々に下げてさらに8.0hr反応を行った結果、常温で白色固体であるポリカーボネートジオールが517g得られた。水酸基価を測定したところ、57.4であった。得られたポリカーボネートジオールを80℃で溶解し、色度を求めたところ、94.2%であった。
【0040】
[実施例1]
重合例1で得られたポリカーボネートジオールを80℃で溶解し、攪拌機の付いた500mL容器に250g(重合例1で得られた全量の48質量%)仕込んだ。リン酸モノ−2−エチルヘキシル(分子量:210)を0.0024g、水(分子量:18)を0.5000g加え、反応機内を窒素で置換した。185℃のオイルバスに浸漬し、温度175℃で1.0hr加熱処理した。得られたポリカーボネートジオールを80℃で溶解し、色度及び水分量を求めた。求めた色度及び水分量を表1に記載する。
【0041】
[実施例2]
重合例1で得られたポリカーボネートジオールを80℃で溶解し、攪拌機の付いた500mL容器に250g(重合例1で得られた全量の48質量%)仕込んだ。リン酸モノ−2−エチルヘキシルを0.0097g、水を0.0125g加え、反応機内を窒素で置換した。170℃のオイルバスに浸漬し、温度155℃で3.0hr加熱処理した。得られたポリカーボネートジオールを80℃で溶解し、色度及び水分量を求めた。求めた色度及び水分量を表1に記載する。
【0042】
[重合例2]
重合例1で用いた装置と同様の装置を用い、1,5−ペンタンジオール458gと、1,6−ヘキサンジオール500g、エチレンカーボネート760gを仕込んだ後、触媒としてチタンテトラ−n−ブトキシド(分子量:340)を0.0860g入れた。反応機を190℃のオイルバスに浸漬し、留出液の一部を抜き出しながら、反応温度170℃で12hr反応した。その後、反応機を直接コンデンサーに接続し、オイルバスの温度を200℃に上げた後、圧力を徐々に下げでさらに3.0hr反応を行った結果、常温で液体である共重合ポリカーボネートジオールが910g得られた。水酸基価を測定したところ、56.3であった。得られたポリカーボネートジオールの色度を求めたところ、94.2%であった。
【0043】
[実施例3]
重合例2で得られたポリカーボネートジオールを攪拌機の付いた500mL容器に200g(重合例2で得られた全量の22質量%)仕込んだ。リン酸ジ−n−ブチル(分子量:210)を0.0093g、水を0.0200g加え、反応機内を窒素で置換した。130℃のオイルバスに浸漬し、温度120℃で6.0hr加熱処理した。得られたポリカーボネートジオールの色度及び水分量を求めた。求めた色度及び水分量を表1に記載する。
【0044】
[実施例4]
重合例2で得られたポリカーボネートジオールを攪拌機の付いた500mL容器に208g(重合例2で得られた全量の質量23%)仕込んだ。リン酸(分子量:98)を0.0115g、水を0.208g加え、反応機内を窒素で置換した。100℃のオイルバスに浸漬し、温度95℃で5.0hr加熱処理した。得られたポリカーボネートジオールの色度及び水分量を求めた。求めた色度及び水分量を表1に記載する。
【0045】
[実施例5]
重合例2で得られたポリカーボネートジオールを攪拌機の付いた500mL容器に205g(重合例2で得られた全量の質量23%)仕込んだ。亜リン酸(分子量:82)を0.0143g、水を0.1435g加え、反応機内を窒素で置換した。120℃のオイルバスに浸漬し、温度115℃で3.0hr加熱処理した。得られたポリカーボネートジオールの色度及び水分量を求めた。求めた色度及び水分量を表1に記載する。
【0046】
[実施例6]
重合例2で得られたポリカーボネートジオールを攪拌機の付いた500mL容器に130g(重合例2で得られた全量の質量14%)仕込んだ。リン酸ジ−n−ブチルを0.0456g、水を0.1950g加え、反応機内を窒素で置換した。120℃のオイルバスに浸漬し、温度115℃で1.0hr加熱処理した。得られたポリカーボネートジオールの色度及び水分量を求めた。求めた色度及び水分量を表1に記載する。
【0047】
[実施例7]
重合例2で得られたポリカーボネートジオールを攪拌機の付いた500mL容器に130g(重合例2で得られた全量の質量14%)仕込んだ。リン酸ジ−n−ブチルを0.0608g、水を0.0390g加え、反応機内を窒素で置換した。150℃のオイルバスに浸漬し、温度130℃で0.5hr加熱処理した。得られたポリカーボネートジオールの色度及び水分量を求めた。求めた色度及び水分量を表1に記載する。
【0048】
[重合例3]
重合例1で用いた装置と同様の装置を用い、1,5−ペンタンジオール458gと、1,6−ヘキサンジオール500g、エチレンカーボネート760gを仕込んだ後、触媒としてチタンテトラ−n−ブトキシドを0.0859g入れた。反応機を190℃のオイルバスに浸漬し、留出液の一部を抜き出しながら、反応温度170℃で12hr反応した。その後、反応機を直接コンデンサーに接続し、オイルバスの温度を200℃に上げた後、圧力を徐々に下げでさらに3hr反応を行った結果、常温で液体である共重合ポリカーボネートジオールが916g得られた。水酸基価を測定したところ、56.1であった。得られたポリカーボネートジオールの色度を求めたところ、94.8%であった。
【0049】
[比較例1]
重合例3で得られたポリカーボネートジオールを攪拌機の付いた500mL容器に100g(重合例3で得られた全量の質量11%)仕込んだ。リン酸ジ−n−ブチルを0.0145g加え、反応機内を窒素で置換した。120℃のオイルバスに浸漬し、温度115℃で3.0hr加熱処理した。得られたポリカーボネートジオールの色度及び水分量を求めた。求めた色度及び水分量を表1に記載する。
【0050】
[比較例2]
重合例3で得られたポリカーボネートジオールを攪拌機の付いた500mL容器に100g(重合例3で得られた全量の質量11%)仕込んだ。水を0.1000g加え、反応機内を窒素で置換した。110℃のオイルバスに浸漬し、温度100℃で3.0hr加熱処理した。得られたポリカーボネートジオールの色度及び水分量を求めた。求めた色度及び水分量を表1に記載する。
【0051】
[重合例4]
重合例3で得られたポリカーボネートジオールを攪拌機の付いた1L容器に545g仕込んだ。1,5−ペンタンジオール54.7gと、1,6−ヘキサンジオール61.9gを仕込んだ後、反応機を180℃のオイルバスに浸漬し、反応温度を165℃で20min解重合を行った結果、657gのポリカーボネートジオールが得られた。
得られたポリカーボネートジオールの色度を求めたところ、94.5%であった。
【0052】
[比較例3]
重合例4で得られたポリカーボネートジオールを攪拌機の付いた500mL容器に142g(重合例3で得られた全量の質量13%)仕込んだ。リン酸ジ−n−ブチルを0.0207g、水を0.0284g加え、反応機内を窒素で置換した。加熱処理せずに(温度25℃で)8.0hr処理した。得られたポリカーボネートジオールの色度及び水分量を求めた。求めた色度及び水分量を表1に記載する。
【0053】
[重合例5]
重合例1で用いた装置と同様の装置を用い、1,5−ペンタンジオール458gと、1,6−ヘキサンジオール500g、エチレンカーボネート760gを仕込んだ後、触媒としてチタンテトラ−n−ブトキシドを0.0859g入れた。反応機を190℃のオイルバスに浸漬し、留出液の一部を抜き出しながら、反応温度165℃で12hr反応した。その後、反応機を直接コンデンサーに接続し、オイルバスの温度を185℃に上げた後、圧力を徐々に下げでさらに3.0hr反応を行った結果、常温で液体である共重合ポリカーボネートジオールが915g得られた。水酸基価を測定したところ、56.0であった。得られたポリカーボネートジオールの色度を求めたところ、96.6%であった。
【0054】
[実施例8]
重合例5で得られたポリカーボネートジオールを攪拌機の付いた500mL容器に200g(重合例5で得られた全量の質量22%)仕込んだ。リン酸ジ−n−ブチルを0.0290g、水を0.0140g加え、反応機内を窒素で置換した。温度115℃で3.0hr処理した。得られたポリカーボネートジオールの色度及び水分量を求めた。求めた色度及び水分量を表1に記載する。
【0055】
[比較例4]
重合例5で得られたポリカーボネートジオールを攪拌機の付いた500mL容器に200g(重合例5で得られた全量の質量22%)仕込んだ。リン酸ジ−n−ブトキシドを0.0290g加え、反応機内を窒素で置換した。温度115℃で3.0hr処理した。得られたポリカーボネートジオールの色度及び水分量を求めた。求めた色度及び水分量を表1に記載する。
【0056】
[比較例5]
重合例5で得られたポリカーボネートジオールを攪拌機の付いた500mL容器に200g(重合例5で得られた全量の質量22%)仕込んだ。水を0.0140g加え、反応機内を窒素で置換した。温度115℃で3.0hr処理した。得られたポリカーボネートジオールの色度及び水分量を求めた。求めた色度及び水分量を表1に記載する。
【0057】
【表1】
【0058】
表1中、Pは水酸基含有リン化合物を、Mはエステル交換触媒を表す。