特許第6534569号(P6534569)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6534569
(24)【登録日】2019年6月7日
(45)【発行日】2019年6月26日
(54)【発明の名称】風力発電システム
(51)【国際特許分類】
   H02P 9/00 20060101AFI20190617BHJP
   H02P 101/15 20150101ALN20190617BHJP
【FI】
   H02P9/00 F
   H02P101:15
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-135191(P2015-135191)
(22)【出願日】2015年7月6日
(65)【公開番号】特開2017-17944(P2017-17944A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 康之
【審査官】 ▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−128003(JP,A)
【文献】 特開2006−129629(JP,A)
【文献】 特開2013−183491(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0135470(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 9/00
H02P 101/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力によって回転駆動される風車と、
前記風車によって回転駆動され、電力を発生する発電機と、
各々が前記風車の回転速度に関連するパラメータを検出する複数のセンサと、
それぞれ前記複数のセンサに対応して設けられ、各々が、対応するセンサによって検出されたパラメータが当該パラメータについて予め定められた停止条件を満たした場合に停止指令信号を出力する複数の制御装置と、
前記複数の制御装置のうちの少なくとも1つの制御装置から前記停止指令信号が出力されたことに応じて前記風車の回転を停止させる制動装置と
それぞれ前記複数の制御装置に対応して設けられ、各々が、対応する制御装置に電源電圧を供給する複数の電源回路とを備え、
前記複数の電源回路から前記複数の制御装置に供給される複数の電源電圧は、互いに異なる電圧レベルを有し、
各制御装置は、他の制御装置に供給される電源電圧の電圧レベルが正常範囲内であるか否かを判別し、正常範囲内でないと判別した場合は前記停止指令信号を出力する、風力発電システム。
【請求項2】
風力によって回転駆動される風車と、
前記風車によって回転駆動され、電力を発生する発電機と、
各々が前記風車の回転速度に関連するパラメータを検出する複数のセンサと、
それぞれ前記複数のセンサに対応して設けられ、各々が、対応するセンサによって検出されたパラメータが当該パラメータについて予め定められた停止条件を満たした場合に停止指令信号を出力する複数の制御装置と、
前記複数の制御装置のうちの少なくとも1つの制御装置から前記停止指令信号が出力されたことに応じて前記風車の回転を停止させる制動装置とを備え、
各制御装置は、他の制御装置が正常に動作しているか否かを監視し、他の制御装置が正常に動作していないと判別した場合は前記停止指令信号を出力する、風力発電システム。
【請求項3】
風力によって回転駆動される風車と、
前記風車によって回転駆動され、電力を発生する発電機と、
各々が前記風車の回転速度に関連するパラメータを検出する複数のセンサと、
それぞれ前記複数のセンサに対応して設けられ、各々が、対応するセンサによって検出されたパラメータが当該パラメータについて予め定められた停止条件を満たした場合に停止指令信号を出力する複数の制御装置と、
前記複数の制御装置のうちの少なくとも1つの制御装置から前記停止指令信号が出力されたことに応じて前記風車の回転を停止させる制動装置とを備え、
前記複数の制御装置は、予め定められた時間毎に制動テストを順次実行し、
各制御装置は、前記制動テスト時には、前記停止指令信号を出力して前記風車の回転速度が低下するか否かを判別し、前記風車の回転速度が低下しない場合は故障検出信号を出力する、風力発電システム。
【請求項4】
前記制動装置は、前記風車の回転速度を機械的に低下させる機械式ブレーキと、前記発電機の負荷を増大させて前記風車の回転速度を低下させる電気式ブレーキとのうちの少なくともいずれか一方のブレーキを含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の風力発電システム。
【請求項5】
前記複数のセンサのうちの少なくとも1つのセンサは、前記パラメータとして風速を検出する風速計であり、
前記パラメータが前記予め定められた停止条件を満たした場合とは、前記風速が予め定められた風速値を超えた場合である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の風力発電システム。
【請求項6】
前記複数のセンサのうちの少なくとも1つのセンサは、前記パラメータとして前記風車の回転速度を検出する回転速度検出器であり、
前記パラメータが前記予め定められた停止条件を満たした場合とは、前記風車の回転速度が予め定められた回転速度値を超えた場合である、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の風力発電システム。
【請求項7】
各制御装置は、他の制御装置から前記故障検出信号が出力された場合は、前記停止指令信号を出力して前記風車の回転を停止させる、請求項に記載の風力発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は風力発電システムに関し、特に、風車と発電機を備えた風力発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電システムは、風力によって回転駆動される風車と、風車によって回転駆動され、交流電力を発生する発電機とを備える。風力発電システムでは、風車の回転速度が過大になると風車が破損する恐れがあるので、風車の回転速度を制御する必要がある。
【0003】
特許文献1には、発電機の出力電圧の周波数(すなわち風車の回転速度)が所定値よりも低い場合は発電機の負荷を減少させ、発電機の出力電圧の周波数が所定値よりも高い場合は発電機の負荷を増大させることにより、発電機の出力電圧の周波数を所定値に維持する風力発電の負荷調整装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、風力発電機の制御用CPU(central processing unit)が故障した場合に風力発電機の出力端子間を短絡して風車の回転を抑制するフェールセーフ起動部が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭60−43100号公報
【特許文献2】特開2008−118807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1では、負荷調整装置が故障した場合には、風車の回転速度を制御することができなくなり、風車の回転速度が過大になる恐れがあった。また、特許文献2では、フェールセーフ起動部が故障した場合には、風車の回転速度を制御することができなくなり、風車の回転速度が過大になる恐れがあった。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、風車の回転速度が過大になる可能性が低い風力発電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る風力発電システムは、風力によって回転駆動される風車と、風車によって回転駆動され、電力を発生する発電機と、各々が風車の回転速度に関連するパラメータを検出する複数のセンサと、それぞれ複数のセンサに対応して設けられ、各々が、対応するセンサによって検出されたパラメータが当該パラメータについて予め定められた停止条件を満たした場合に停止指令信号を出力する複数の制御装置と、複数の制御装置のうちの少なくとも1つの制御装置から停止指令信号が出力されたことに応じて風車の回転を停止させる制動装置とを備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る風力発電システムでは、複数組のセンサおよび制御装置を設けたので、1つ組のセンサまたは制御装置が故障した場合でも、他の組のセンサおよび制御装置によって制動装置を動作させることができる。したがって、風車の回転速度が過大になる可能性が低い風力発電システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の実施の形態1による風力発電システムの構成を示すブロック図である。
図2】この発明の実施の形態2による風力発電システムの構成を示すブロック図である。
図3図2に示した回転速度検出器の構成を示す図である。
図4】この発明の実施の形態3による風力発電システムの構成を示すブロック図である。
図5図4に示した回転速度検出器の構成を示す図である。
図6】この発明の実施の形態4による風力発電システムの構成を示すブロック図である。
図7】この発明の実施の形態5による風力発電システムの構成を示すブロック図である。
図8】この発明の実施の形態6による風力発電システムの構成を示すブロック図である。
図9】この発明の実施の形態7による風力発電システムの構成を示すブロック図である。
図10】この発明の実施の形態8による風力発電システムの構成を示すブロック図である。
図11】この発明の実施の形態9による風力発電システムの構成を示すブロック図である。
図12図11に示した相互監視部の動作を示すフローチャートである。
図13】この発明の実施の形態10による風力発電システムの構成を示すブロック図である。
図14】この発明の実施の形態11による風力発電システムの構成を示すブロック図である。
図15図14に示したCPUの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による風力発電システムの構成を示すブロック図である。図1において、この風力発電システムは、風車1と、発電機2と、制動装置3と、複数(たとえば2つ)のセンサ4,5、複数(たとえば2つ)のCPU6,7、および複数(たとえば2つ)の駆動部8,9とを備える。
【0012】
風車1は、複数のブレード、ナセル、支柱などを含み、風力によって回転駆動される。発電機2は、風車1によって回転駆動され、交流電力を発生する。制動装置3は、たとえば強風時に、風車1の回転を停止させる。制動装置3は、風車1の回転速度を機械的に低下させるディスクブレーキのような機械式ブレーキと、発電機2の負荷を増大させて風車1の回転速度を低下させる電気式ブレーキとのうちのいずれか一方のみを含んでいてもよいし、それらの両方を含んでいても構わない。制動装置3は、さらに、ブレードの角度、ナセルの方向などを制御して風車1の回転速度を低下させる手段を含んでいても構わない。
【0013】
複数のセンサ4,5の各々は、風車1の回転速度に関連するパラメータを検出する。風車1の回転速度に関連するパラメータとしては、風車1の回転速度、風速、発電機2の出力電圧の周波数などがある。複数のセンサ4,5は、互いに異なるパラメータを検出してもよいし、同じパラメータを検出しても構わない。
【0014】
複数のCPU6,7は、それぞれ複数のセンサ4,5に対応して設けられる。複数のCPU6,7の各々は、対応するセンサ4または5によって検出されたパラメータが当該パラメータについて予め定められた停止条件を満たした場合に停止指令信号STPを出力する。
【0015】
たとえば、CPU6は、対応するセンサ4によって検出された風速がカットアウト風速を超えた場合に停止指令信号STPを出力する。複数のCPU6,7の各々は、制御装置を構成する。CPU7は、対応するセンサ5によって検出された風車1の回転速度が上限値を超えた場合に停止指令信号STPを出力する。複数のCPU6,7の各々は、制御装置を構成する。
【0016】
複数の駆動部8,9は、それぞれ複数のCPU6,7に対応して設けられる。複数の駆動部8,9の各々は、対応するCPU6または7から停止指令信号STPが出力されたことに応じて制動装置3を制御し、風車1にブレーキを掛けさせて風車1の回転を停止させる。したがって、複数のCPU6,7のうちの少なくとも1つのCPUから停止指令信号STPが出力された場合は、制動装置3によって風車1の回転が停止される。
【0017】
この実施の形態1では、複数組のセンサ、CPU、および駆動部を設けたので、1組のセンサ、CPU、および駆動部のうちのいずれかが故障した場合でも、他の組のセンサ、CPU、および駆動部によって風車1の回転を停止させることができる。したがって、風車1の回転速度が過大になる可能性が低い風力発電システムを実現することができる。
【0018】
[実施の形態2]
図2は、この発明の実施の形態2による風力発電システムの構成を示すブロック図であって、図1と対比される図である。図2において、この風力発電システムは、風車1、発電機2、機械式ブレーキ3A、風速計4A、回転速度検出器5A、CPU6,7、ドライバ8a,9a、およびリレー8b,9bを備える。風車1および発電機2は、実施の形態1で説明した通りである。
【0019】
機械式ブレーキ3Aは、電磁ブレーキであり、電源ノードN1,N2を含む。電源ノードN1,N2間に電源電圧VDCを印加すると、機械式ブレーキ3Aが解除され、風車1が回転し、発電機2によって交流電力が生成される。電源ノードN1,N2間への電源電圧VDCの印加を停止すると、機械式ブレーキ3Aによって風車1の回転が停止され、発電機2による交流電力の生成が停止される。
【0020】
風速計4Aは、風車1が設置された場所における風速を検出し、その検出値を示す信号をCPU6に出力する。CPU6は、風速計4Aの出力信号に基づいて動作し、風速計4Aによって検出された風速が所定のカットアウト風速(たとえば25m/s)を超えた場合に停止指令信号STPを出力する。
【0021】
回転速度検出器5Aは、風車1の回転速度を検出し、その検出値を示す信号φ11をCPU7に出力する。CPU7は、回転速度検出器5Aの出力信号φ11に基づいて動作し、回転速度検出器5Aによって検出された風車1の回転速度が所定の上限値を超えた場合に停止指令信号STPを出力する。回転速度の上限値は、風車1に障害が発生する回転速度よりも低い値に設定されている。
【0022】
図3は、回転速度検出器5Aの構成を示す図である。図3において、回転速度検出器5Aは、風車1の回転に伴って回転する歯車10と、近接センサ11とを含む。近接センサ11は、歯車10の外周部に対向して設けられ、歯車10の凸部10aに対向している場合は出力信号φ11を「H」レベルにし、歯車10の凹部10bに対向している場合は出力信号φ11を「L」レベルにする。風車1の回転速度が増大すると歯車10の回転速度も増大し、出力信号φ11のパルスの間隔が狭くなる。したがって、出力信号φ11のパルスの間隔を検出することにより、風車1の回転速度を検出することができる。信号φ11は、風車1の回転速度を示す信号となる。
【0023】
図2に戻って、リレー8bは、電源電圧VDCのラインと機械式ブレーキ3Aの電源ノードN1との間に接続されたスイッチと、そのスイッチを開/閉させるためのコイルとを含む。リレー8bは、ノーマリーオープン型リレーであり、コイルの端子間に電圧が印加されていない場合はスイッチが開き、コイルの端子間に電圧が印加されるとスイッチが閉じる。
【0024】
リレー9bは、機械式ブレーキ3Aの電源ノードN2と接地電圧GNDのラインとの間に接続されたスイッチと、そのスイッチを開/閉させるためのコイルとを含む。リレー9bは、ノーマリーオープン型リレーであり、コイルの端子間に電圧が印加されていない場合はスイッチが開き、コイルの端子間に電圧が印加されるとスイッチが閉じる。
【0025】
ドライバ8aは、対応するCPU6から停止指令信号STPが出力されていない通常時は、リレー8bのコイルの端子間に電圧を印加し、対応するCPU6から停止指令信号STPが出力された場合は、リレー8bのコイルの端子間に電圧を印加せずスイッチを開く。スイッチが開くと、機械式ブレーキ3Aの電源ノードN1への電源電圧VDCの印加が停止されて機械式ブレーキ3Aが動作し、風車1の回転が停止される。
【0026】
ドライバ9aは、対応するCPU7から停止指令信号STPが出力されていない通常時は、リレー9bのコイルの端子間に電圧を印加し、対応するCPU7から停止指令信号STPが出力された場合は、リレー9bのコイルの端子間に電圧を印加せずスイッチを開く。スイッチが開くと、機械式ブレーキ3Aの電源ノードN2への接地電圧GNDの印加が停止されて機械式ブレーキ3Aが動作し、風車1の回転が停止される。
【0027】
次に、この風力発電システムの動作について説明する。風速がカットアウト風速よりも小さく、風車1の回転速度が上限値よりも小さい場合は、CPU6,7から停止指令信号STPは出力されず、ドライバ8a,9aによってリレー8b,9bのコイルに通電され、リレー8b,9bのスイッチはともに閉じる。これにより、機械式ブレーキ3Aの電源ノードN1,N2に電源電圧VDCおよび接地電圧GNDが印加され、機械式ブレーキ3Aが解除され、風力によって風車1が回転駆動され、風車1によって発電機2が回転駆動されて交流電力が生成される。
【0028】
風速がカットアウト風速を超えた場合は、CPU6から停止指令信号STPが出力され、ドライバ8aによってリレー8bのコイルに通電されずリレー8bのスイッチが開く。これにより、機械式ブレーキ3Aの電源ノードN1への電源電圧VDCの印加が停止され、機械式ブレーキ3Aが動作して風車1の回転が停止され、発電機2による交流電力の生成が停止される。
【0029】
風車1の回転速度が上限値を超えた場合は、CPU7から停止指令信号STPが出力され、ドライバ9aによってリレー9bのコイルに通電されずリレー9bのスイッチが開く。これにより、機械式ブレーキ3Aの電源ノードN2への接地電圧GNDの印加が停止され、機械式ブレーキ3Aが動作して風車1の回転が停止され、発電機2による交流電力の生成が停止される。
【0030】
風速がカットアウト風速を超え、かつ風車1の回転速度が上限値を超えた場合は、CPU6,7の各々から停止指令信号STPが出力され、ドライバ8a,9aによってリレー8b,9bのコイルに通電されずリレー8b,9bのスイッチが開く。これにより、機械式ブレーキ3Aの電源ノードN1,N2への電源電圧VDCおよび接地電圧GNDの印加が停止され、機械式ブレーキ3Aが動作して風車1の回転が停止され、発電機2による交流電力の生成が停止される。
【0031】
この実施の形態2では、風速計4A、CPU6、ドライバ8a、およびリレー8bのうちのいずれかが故障した場合でも、回転速度検出器5A、CPU7、ドライバ9a、およびリレー9bによって風車1の回転を停止することができる。逆に、回転速度検出器5A、CPU7、ドライバ9a、およびリレー9bのうちのいずれかが故障した場合でも、風速計4A、CPU6、ドライバ8a、およびリレー8bによって風車1の回転を停止することができる。したがって、風車1の回転速度が過大になる可能性が低い風力発電システムを実現することができる。
【0032】
[実施の形態3]
図4は、この発明の実施の形態3による風力発電システムの構成を示すブロック図であって、図2と対比される図である。図4を参照して、この風力発電システムが図2の風力発電システムと異なる点は、風速計4Aおよび回転速度検出器5Aが回転速度検出器5Bで置換されている点である。
【0033】
図5は、回転速度検出器5Bの構成を示す図である。図5において、回転速度検出器5Bは、風車1の回転に伴って回転する歯車10と、2つの近接センサ11,12とを含む。近接センサ11は、歯車10の外周部に対向して設けられ、歯車10の凸部10aに対向している場合は出力信号φ11を「H」レベルにし、歯車10の凹部10bに対向している場合は出力信号φ11を「L」レベルにする。近接センサ12は、歯車10の外周部に対向して設けられ、歯車10の凸部10aに対向している場合は出力信号φ12を「H」レベルにし、歯車10の凹部10bに対向している場合は出力信号φ12を「L」レベルにする。近接センサ11と12は、所定の角度間隔で配置されている。
【0034】
風車1の回転速度が増大すると歯車10の回転速度も増大し、出力信号φ11,φ12の各々のパルスの間隔が狭くなる。したがって、出力信号φ11,φ12の各々のパルスの間隔を検出することにより、風車1の回転速度を検出することができる。信号φ11,φ12は、風車1の回転速度を示す信号となる。
【0035】
図4に戻って、CPU6は、回転速度検出器5Bの出力信号φ11に基づいて動作し、回転速度検出器5Bによって検出された風車1の回転速度が所定の上限値を超えた場合に停止指令信号STPを出力する。回転速度の上限値は、風車1に障害が発生する回転速度よりも低い値に設定されている。CPU7は、回転速度検出器5Bの出力信号φ12に基づいて動作し、回転速度検出器5Bによって検出された風車1の回転速度が所定の上限値を超えた場合に停止指令信号STPを出力する。他の構成および動作は実施の形態2と同じであるので、その説明は繰り返さない。
【0036】
この実施の形態3では、近接センサ11、CPU6、ドライバ8a、およびリレー8bのうちのいずれかが故障した場合でも、近接センサ12、CPU7、ドライバ9a、およびリレー9bによって風車1の回転を停止することができる。逆に、近接センサ12、CPU7、ドライバ9a、およびリレー9bのうちのいずれかが故障した場合でも、近接センサ11、CPU6、ドライバ8a、およびリレー8bによって風車1の回転を停止することができる。したがって、風車1の回転速度が過大になる可能性が低い風力発電システムを実現することができる。
【0037】
[実施の形態4]
図6は、この発明の実施の形態4による風力発電システムの構成を示すブロック図であって、図2と対比される図である。図6を参照して、この風力発電システムが図2の風力発電システムと異なる点は、CPU6,7がそれぞれCPU6A,7Aで置換され、ドライバ8c,9c、リレー8d,9d、整流回路3B、および抵抗素子3Cが追加されている点である。整流回路3Bおよび抵抗素子3Cは、電気式ブレーキを構成する。
【0038】
CPU6Aは、風速計4Aの出力信号に基づいて動作し、風速計4Aによって検出された風速が所定のカットアウト風速(たとえば25m/s)を超えた場合に、風車1に電気式ブレーキを掛けるための停止指令信号STPAを出力し、所定時間が経過して風車1の回転速度が低下した後に、風車1に機械式ブレーキ3Aを掛けるための停止指令信号STPを出力する。
【0039】
CPU7Aは、回転速度検出器5Aの出力信号に基づいて動作し、回転速度検出器5Aによって検出された風車1の回転速度が所定の上限値を超えた場合に、風車1に電気式ブレーキを掛けるための停止指令信号STPAを出力し、風車1の回転速度が所定値よりも低下した後に、風車1に機械式ブレーキ3Aを掛けるための停止指令信号STPを出力する。
【0040】
整流回路3Bは、発電機2によって生成された交流電圧を整流して直流電圧を生成し、その直流電圧を出力ノードN3,N4間に出力する。リレー8dは、ノードN3と抵抗素子3Cの一方端子との間に接続されたスイッチと、そのスイッチを開/閉させるためのコイルとを含む。リレー8dは、ノーマリークローズ型リレーであり、コイルの端子間に電圧が印加されていない場合はスイッチが閉じ、コイルの端子間に電圧が印加されるとスイッチが開く。
【0041】
リレー9dは、ノードN3と抵抗素子3Cの一方端子との間に接続されたスイッチと、そのスイッチを開/閉させるためのコイルとを含む。リレー9dは、ノーマリークローズ型リレーであり、コイルの端子間に電圧が印加されていない場合はスイッチが閉じ、コイルの端子間に電圧が印加されるとスイッチが開く。抵抗素子3Cの他方端子は、ノードN4に接続される。
【0042】
ドライバ8cは、対応するCPU6Aから停止指令信号STPAが出力されていない通常時は、リレー8dのコイルの端子間に電圧を印加し、対応するCPU6Aから停止指令信号STPAが出力された場合は、リレー8dのコイルの端子間に電圧を印加せずスイッチを閉じる。スイッチが閉じると、整流回路3Bの出力ノードN3,N4間に抵抗素子3Cが接続され、直流電力が抵抗素子3Cで消費されて電気ブレーキが掛けられ、風車1の回転速度が低減される。
【0043】
ドライバ9cは、対応するCPU7Aから停止指令信号STPAが出力されていない通常時は、リレー9dのコイルの端子間に電圧を印加し、対応するCPU7Aから停止指令信号STPAが出力された場合は、リレー9dのコイルの端子間に電圧を印加せずスイッチを閉じる。スイッチが閉じると、整流回路3Bの出力ノードN3,N4間に抵抗素子3Cが接続され、直流電力が抵抗素子3Cで消費されて電気ブレーキが掛けられ、風車1の回転速度が低減される。
【0044】
次に、この風力発電システムの動作について説明する。風速がカットアウト風速よりも小さく、風車1の回転速度が上限値よりも小さい場合は、CPU6A,7Aから停止指令信号STPA,STPは出力されず、ドライバ8a,8c,9a,9cによってリレー8b,8d,9b,9dのコイルに通電され、リレー8b,9bのスイッチはともに閉じ、リレー8d,9dのスイッチはともに開く。これにより、抵抗素子3Cで電力は消費されず、風車1の回転速度は低減されない。また、機械式ブレーキ3Aの電源ノードN1,N2に電源電圧VDCおよび接地電圧GNDが印加され、機械式ブレーキ3Aが解除され、風力によって風車1が回転駆動され、風車1によって発電機2が回転駆動されて交流電力が生成される。
【0045】
風速がカットアウト風速を超えた場合は、CPU6Aから停止指令信号STPAが出力され、ドライバ8cによってリレー8dのコイルに通電されず、リレー8dのスイッチが閉じ、抵抗素子3Cで電力が消費されて風車1の回転速度が低減される。所定時間が経過して風車1の回転速度が低下した後に、CPU6Aから停止指令信号STPが出力され、ドライバ8aによってリレー8bのコイルに通電されずリレー8bのスイッチが開く。これにより、機械式ブレーキ3Aの電源ノードN1への電源電圧VDCの印加が停止され、機械式ブレーキ3Aが動作して風車1の回転が停止され、発電機2による交流電力の生成が停止される。
【0046】
風車1の回転速度が上限値を超えた場合は、CPU7Aから停止指令信号STPAが出力され、ドライバ9cによってリレー9dのコイルに通電されず、リレー9dのスイッチが閉じ、抵抗素子3Cで電力が消費されて風車1の回転速度が低減される。風車1の回転速度が所定値よりも低下すると、CPU7Aから停止指令信号STPが出力され、ドライバ9aによってリレー9bのコイルに通電されずリレー9bのスイッチが開く。これにより、機械式ブレーキ3Aの電源ノードN2への接地電圧GNDの印加が停止され、機械式ブレーキ3Aが動作して風車1の回転が停止され、発電機2による交流電力の生成が停止される。
【0047】
風速がカットアウト風速を超え、かつ風車1の回転速度が上限値を超えた場合は、CPU6A,7Aの各々から停止指令信号STPAが出力され、ドライバ8c,9cによってリレー8d,9dのコイルに通電されず、リレー8d,9dのスイッチが閉じ、抵抗素子3Cで電力が消費されて風車1の回転速度が低減される。風車1の回転速度が所定値よりも低下すると、CPU6,7の各々から停止指令信号STPが出力され、ドライバ8a,9aによってリレー8b,9bのコイルに通電されずリレー8b,9bのスイッチが開く。これにより、機械式ブレーキ3Aの電源ノードN1,N2への電源電圧VDCおよび接地電圧GNDの印加が停止され、機械式ブレーキ3Aが動作して風車1の回転が停止され、発電機2による交流電力の生成が停止される。
【0048】
この実施の形態4では、風速計4A、CPU6A、ドライバ8a,8c、およびリレー8b,8dのうちのいずれかが故障した場合でも、回転速度検出器5A、CPU7A、ドライバ9a,9c、およびリレー9b,9dによって風車1の回転を停止することができる。逆に、回転速度検出器5A、CPU7A、ドライバ9a,9c、およびリレー9b,9dのうちのいずれかが故障した場合でも、風速計4A、CPU6A、ドライバ8a,8c、およびリレー8b,8dによって風車1の回転を停止することができる。したがって、風車1の回転速度が過大になる可能性が低い風力発電システムを実現することができる。
【0049】
さらに、電気式ブレーキ(整流回路3Bおよび抵抗素子3C)によって風車1を減速させた後に機械式ブレーキ3Aを動作させるので、機械式ブレーキ3Aの摩耗を軽減し、機械式ブレーキ3Aの長寿命化を図ることができる。
【0050】
[実施の形態5]
実施の形態1では、2つのCPU6,7を設けたので、2つのCPU6,7のうちのいずれか一方のCPUが故障した場合でも、他方のCPUによって風車1の回転速度が過大になることを防止することができる。しかし、1つの電源回路から2つのCPU6,7に同じ電源電圧を供給している場合は、電源回路が故障すると2つのCPU6,7も故障し、風車1の回転速度が過大になる恐れがある。
【0051】
たとえば、電源回路が故障して電源電圧が過大になった場合、2つのCPU6,7が過電圧によって故障してしまう。CPU6または7が故障した場合、停止指令信号STPが活性化レベルおよび非活性化レベルのうちのいずれのレベルにされるか分からない。2つのCPU6,7がともに故障して、停止指令信号STPが非活性化レベルにされた場合(すなわち、停止指令信号STPが出力されない場合)、風速が過大になっても風車1を停止させることができなくなる。この実施の形態5では、この問題の解決が図られる。
【0052】
図7は、この発明の実施の形態5による風力発電システムの構成を示すブロック図であって、図1と対比される図である。図7を参照して、この風力発電システムが図1の風力発電システムと異なる点は、電源回路21,22が追加されている点である。電源回路21は、CPU6に電源電圧V1(3.3V)を供給する。電源回路22は、CPU7に電源電圧V2(5V)を供給する。CPU6,7は、それぞれ電源電圧V1,V2によって駆動される。他の構成および動作は、実施の形態1と同じであるので、その説明は繰り返さない。
【0053】
したがって、この実施の形態5では、実施の形態1と同じ効果が得られる他、2つの電源回路21,22のうちのいずれか一方の電源回路(たとえば21)が故障した場合でも他方の電源回路(この場合は22)によってCPU(この場合は7)の動作を継続させることができる。したがって、風車1の回転速度が過大になる可能性が低い風力発電システムを実現することができる。
【0054】
なお、近年の電気回路では、互いに異なる複数の電源電圧V1,V2が使用されることが多く、複数の電源電圧V1,V2を出力する複数の電源回路21,22が設けられていることが多い。したがって、元々設けられている複数の電源回路21,22の出力電圧V1,V2をCPU6,7の電源電圧として使用すれば、別途電源回路を設ける必要がなく、低コスト化を図ることができる。
【0055】
[実施の形態6]
図8は、この発明の実施の形態6による風力発電システムの構成を示すブロック図であって、図2と対比される図である。図8を参照して、この風力発電システムが図2の風力発電システムと異なる点は、電源回路21,22が追加されている点である。電源回路21は、CPU6に電源電圧V1(3.3V)を供給する。電源回路22は、CPU7に電源電圧V2(5V)を供給する。CPU6,7は、それぞれ電源電圧V1,V2によって駆動される。他の構成および動作は、実施の形態2と同じであるので、その説明は繰り返さない。
【0056】
したがって、この実施の形態6では、実施の形態2と同じ効果が得られる他、2つの電源回路21,22のうちのいずれか一方の電源回路(たとえば21)が故障した場合でも他方の電源回路(この場合は22)によってCPU(この場合は7)の動作を継続させることができ、風車1の回転速度が過大になることを防止することができる。
【0057】
[実施の形態7]
実施の形態6では、電源回路21,22によって生成される電源電圧V1,V2をそれぞれCPU6,7に供給するので、電源回路21,22のうちのいずれか一方の電源回路が故障した場合でも、風車1の回転速度が過大になるを防止することができる。しかし、電源電圧V1,V2はCPU6,7以外の回路にも供給されるので、電源回路21,22の異常を早期に検出することが望ましい。この実施の形態7では、この問題の解決が図られる。
【0058】
図9は、この発明の実施の形態7による風力発電システムの構成を示すブロック図であって、図8と対比される図である。図9を参照して、この風力発電システムが図8の風力発電システムと異なる点は、分圧器23,24が追加され、CPU6,7がそれぞれCPU6B,7Bで置換されている点である。
【0059】
分圧器23は、電源回路22で生成された電源電圧V2を分圧してモニタ電圧VM2を生成し、そのモニタ電圧VM2をCPU6Bに与える。分圧器24は、電源回路21で生成された電源電圧V1を分圧してモニタ電圧VM1を生成し、そのモニタ電圧VM1をCPU7Bに与える。
【0060】
CPU6Bは、CPU6と同じ動作を行なう他、内蔵のAD変換器によってモニタ電圧VM2をデジタル信号に変換し、そのデジタル信号に基づいて、電源電圧V2の電圧レベルが正常範囲内であるか否かを判別し、電源電圧V2の電圧レベルが正常範囲内でないと判別した場合は停止指令信号STPをドライバ8aに出力し、風車1の回転を停止させる。
【0061】
CPU7Bは、CPU7と同じ動作を行なう他、内蔵のAD変換器によってモニタ電圧VM1をデジタル信号に変換し、そのデジタル信号に基づいて、電源電圧V1の電圧レベルが正常範囲内であるか否かを判別し、電源電圧V1の電圧レベルが正常範囲内でないと判別した場合は停止指令信号STPをドライバ9aに出力し、風車1の回転を停止させる。他の構成および動作は、実施の形態6と同じであるので、その説明は繰り返さない。
【0062】
この実施の形態7では、実施の形態6と同じ効果が得られる他、電源回路21,22の異常を早期に検出して風車1の回転を停止させることができる。
【0063】
[実施の形態8]
図10は、この発明の実施の形態8による風力発電システムの構成を示すブロック図であって、図1と対比される図である。図10を参照して、この風力発電システムが図1の風力発電システムと異なる点は、CPU6,7がそれぞれCPU6C,7Cで置換されている点である。
【0064】
CPU6Cは、CPU6と同じ動作を行なう他、CPU7Cが正常であるかどうかを監視し、CPU7Cが正常でないと判別した場合は、停止指令信号STPを駆動部8に出力する。CPU7Cは、CPU7と同じ動作を行なう他、CPU6Cが正常であるかどうかを監視し、CPU6Cが正常でないと判別した場合は、停止指令信号STPを駆動部9に出力する。他の構成および動作は、実施の形態1と同じであるので、その説明は繰り返さない。
【0065】
この実施の形態8では、実施の形態1と同じ効果が得られる他、CPU6Cまたは7Cが故障した場合は風車1を停止させるので、強風などに起因して風車1の回転速度が過大になるよりも早い段階で風車1の回転を停止させることができる。
【0066】
[実施の形態9]
図11は、この発明の実施の形態9による風力発電システムの構成を示すブロック図であって、図2と対比される図である。図11を参照して、この風力発電システムが図2の風力発電システムと異なる点は、CPU6,7がそれぞれCPU6C,7Cで置換されている点である。
【0067】
CPU6C,7Cは、それぞれ相互監視部31,32を含む。相互監視部31は、相互監視部32と情報を授受することにより、CPU7Cが正常であるか否かを判別する。CPU6Cは、CPU6と同じ動作を行なう他、相互監視部31によってCPU7Cが正常でないと判別された場合は、停止指令信号STPをドライバ8aに出力する。
【0068】
同様に、相互監視部32は、相互監視部31と情報を授受することにより、CPU6Cが正常であるか否かを判別する。CPU7Cは、CPU7と同じ動作を行なう他、相互監視部32によってCPU6Cが正常でないと判別された場合は、停止指令信号STPをドライバ9aに出力する。
【0069】
図12は、相互監視部31の動作を示すフローチャートである。図12のステップS1において相互監視部31は、相互監視部32からの信号RQを受信したか否かを判別し、受信したと判別した場合はステップS2に進み、受信していないと判別した場合はステップS3に進む。信号RQは、複数の文字を含む文字列である。
【0070】
相互監視部31は、ステップS2において信号ANSを相互監視部32に送信した後、ステップS3において信号ANSの受信待ち状態(以下、ANS受信待ち状態と称する)であるか否かを判別し、ANS受信待ち状態でない場合はステップS4に進み、信号RQを相互監視部32に送信し、自身をANS受信待ち状態にしてステップS1に戻る。信号ANSは、複数の文字を含む文字列である。
【0071】
ステップS3においてANS受信待ち状態であると判別した場合、相互監視部31は、ステップS5において相互監視部32からの信号ANSを受信したか否かを判別し、受信したと判別した場合はステップS6に進み、ANS受信待ち状態を解除してリトライカウンタ(図示せず)のカウント値Crを0にリセットする。
【0072】
ステップS5において相互監視部32からの信号ANSを受信していないと判別した場合、相互監視部31は、ステップS7においてANS受信待ち状態になってから1秒経過したか否かを判別し、1秒経過していないと判別した場合はステップS1に戻る。
【0073】
ステップS7においてANS受信待ち状態になってから1秒経過したと判別した場合、相互監視部31は、ステップS8においてカウント値Crをインクリメント(+1)し、ステップS9においてカウント値Crが上限値CHに到達したか否かを判別し、Cr=CHでないと判別した場合はステップS1に戻る。すなわち、信号RQを送信したのに信号ANSの返信がない場合、あるいは文字化けが発生した場合は、タイムアウトが発生し、カウント値Crがインクリメントされる。
【0074】
ステップS9においてCr=CHであると判別した場合、相互監視部31は、相手方のCPU7Cは異常であると判定し、ステップS1に戻る。相互監視部32の動作は、相互監視部31と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0075】
この実施の形態9では、実施の形態2と同じ効果が得られる他、CPU6Cまたは7Cが故障した場合は風車1を停止させるので、強風などに起因して風車1の回転速度が過大になるよりも早い段階で風車1の回転を停止させることができる。
【0076】
[実施の形態10]
実施の形態1では、たとえば一方の組のセンサ4、CPU6、および駆動部8のうちのいずれかが故障した場合でも、風車1の回転速度が上限値を超えたときは、他方の組のセンサ5、CPU7、および駆動部9によって風車1の回転を停止させることができる。しかし、一方の組のセンサ4、CPU6、および駆動部8のうちのいずれかが故障した後に、さらに他方の組のセンサ5、CPU7、および駆動部9のうちのいずれかが故障した場合には、風車1の回転を停止させることができず、強風時に風車1の回転速度が過大になる恐れがある。この実施の形態10では、この問題の解決が図られる。
【0077】
図13は、この発明の実施の形態10による風力発電システムの構成を示すブロック図であって、図1と対比される図である。図13を参照して、この風力発電システムが図1の風力発電システムと異なる点は、CPU6,7がそれぞれCPU6D,7Dで置換されている点である。
【0078】
CPU6D,7Dは、それぞれCPU6,7と同じ動作を行なう他、所定時間毎(たとえば24時間毎)に制動テストを順次実行する。まずCPU6Dが制動テストを実行し、停止指令信号STPを所定時間(たとえば1秒間)だけ出力し、センサ4の出力信号に基づいて、風車1の回転速度が十分に低下したか否かを判別する。CPU6Dは、停止指令信号STPに応答して風車1の回転速度が十分に低下した場合は、制動装置3によって正常にブレーキが掛けられたので正常動作検出信号を出力する。CPU6Dは、停止指令信号STPに応答して風車1の回転速度が十分に低下しない場合は、制動装置3によって正常にブレーキが掛けられていないので故障検出信号を出力する。
【0079】
次に、CPU7Dが制動テストを実行し、停止指令信号STPを所定時間だけ出力し、センサ5の出力信号に基づいて、風車1の回転速度が十分に低下したか否かを判別しする。CPU7Dは、停止指令信号STPに応答して風車1の回転速度が十分に低下した場合は、制動装置3によって正常にブレーキが掛けられたので正常動作検出信号を出力する。CPU7Dは、停止指令信号STPに応答して風車1の回転速度が十分に低下しない場合は、制動装置3によって正常にブレーキが掛けられていないので故障検出信号を出力する。
【0080】
CPU6D,CPU7Dによる制動テストの結果は、CPU6D,CPU7Dによって共有される。CPU6D,CPU7Dの両方から正常動作検出信号が出力された場合は、風力発電システムの運転が継続される。
【0081】
CPU6Dから故障検出信号が出力され、CPU7Dから正常動作検出信号が出力された場合は、CPU7Dから停止指令信号STPが出力されて風車1の回転が停止され、風力発電システムの運転が停止される。
【0082】
CPU7Dから故障検出信号が出力され、CPU6Dから正常動作検出信号が出力された場合は、CPU6Dから停止指令信号STPが出力されて風車1の回転が停止され、風力発電システムの運転が停止される。
【0083】
CPU6D,CPU7Dの両方から故障検出信号が出力された場合は、たとえば発電機2の負荷が増大されて風車1の回転が停止され、風力発電システムの運転が停止される。他の構成および動作は、実施の形態1と同じであるので、その説明は繰り返さない。
【0084】
この実施の形態10では、実施の形態1と同じ効果が得られる他、CPU6D,7Dが所定時間毎に制動テストを順次実行し、風車1の制動に関連する部分が故障していると判別した場合は風車1を停止させるので、強風などに起因して風車1の回転速度が過大になるよりも早い段階で風車1の回転を停止させることができる。
【0085】
[実施の形態11]
実施の形態1では、たとえば一方の組の風速計4A、CPU6、ドライバ8a、およびリレー8bのうちのいずれかが故障した場合でも、風車1の回転速度が上限値を超えたときは、他方の組の回転速度検出器5A、CPU7、ドライバ9a、およびリレー9bによって風車1の回転を停止させることができる。
【0086】
たとえば、リレー8bのスイッチが短絡故障した場合、CPU6によって機械式ブレーキ3Aを動作させることができなくなる。しかし、リレー9bは正常に動作するので、CPU7によって風車1の回転を停止させることは可能である。したがって、リレー8bの短絡故障に気付かずに風車1を運用する可能性があり、リレー8bの短絡故障は潜在故障となってしまう。
【0087】
このような潜在故障を放置して風車1の運用を継続すると、さらに回転速度検出器5A、CPU7、ドライバ9a、およびリレー9bのうちのいずれかが故障した場合は、風車1の回転を停止させることができず、風車1の回転速度が過大になる恐れがある。この実施の形態11では、この問題の解決が図られる。
【0088】
図14は、この発明の実施の形態11による風力発電システムの構成を示すブロック図であって、図2と対比される図である。図14を参照して、この風力発電システムが図1の風力発電システムと異なる点は、CPU6,7がそれぞれCPU6E,7Eで置換されている点である。
【0089】
CPU6Eと7Eは、互いに情報の授受を行なう。CPU6Eは、風速計4Aの出力信号をCPU7Eに送信し、回転速度検出器5Aの出力信号φ11をCPU7Eから受信する。CPU7Eは、回転速度検出器5Aの出力信号φ11をCPU6Eに送信し、風速計4Aの出力信号をCPU6Eから受信する。
【0090】
CPU6E,7Eは、それぞれCPU6,7と同じ動作を行なう他、所定時間毎(たとえば24時間毎)に制動テストを順次実行する。まずCPU6Eが制動テストを実行し、停止指令信号STPを所定時間(たとえば1秒間)だけ出力し、CPU7Eから送信された回転速度検出器5Aの出力信号φ11に基づいて、風車1の回転速度が十分に低下したか否かを判別する。CPU6Eは、停止指令信号STPに応答して風車1の回転速度が十分に低下した場合は、機械式ブレーキ3Aが正常に動作したので正常動作検出信号を出力する。CPU6Eは、停止指令信号STPに応答して風車1の回転速度が十分に低下しない場合は、機械式ブレーキ3Aが正常に動作しないので故障検出信号を出力する。
【0091】
次に、CPU7Eが制動テストを実行し、停止指令信号STPを所定時間(たとえば1秒間)だけ出力し、回転速度検出器5Aの出力信号φ11に基づいて、風車1の回転速度が十分に低下したか否かを判別する。CPU7Eは、停止指令信号STPに応答して風車1の回転速度が十分に低下した場合は、機械式ブレーキ3Aが正常に動作したので正常動作検出信号を出力する。CPU7Eは、停止指令信号STPに応答して風車1の回転速度が十分に低下しない場合は、機械式ブレーキ3Aが正常に動作しないので故障検出信号を出力する。
【0092】
CPU6E,CPU7Eによる制動テストの結果は、CPU6E,CPU7Eによって共有される。CPU6E,CPU7Eの両方から正常動作検出信号が出力された場合は、風力発電システムの運転が継続される。
【0093】
CPU6Eから故障検出信号が出力され、CPU7Eから正常動作検出信号が出力された場合は、CPU7Eから停止指令信号STPが出力されて風車1の回転が停止され、風力発電システムの運転が停止される。
【0094】
CPU7Eから故障検出信号が出力され、CPU6Eから正常動作検出信号が出力された場合は、CPU6Eから停止指令信号STPが出力されて風車1の回転が停止され、風力発電システムの運転が停止される。
【0095】
CPU6E,CPU7Eの両方から故障検出信号が出力された場合は、たとえば、他のCPU(図示せず)によって発電機2の負荷が増大されて風車1の回転が停止され、風力発電システムの運転が停止される。
【0096】
図15は、CPU6Eの制動テスト時の動作を示すフローチャートである。CPU6Eは、風速計4Aの出力信号に基づいて風速を検出するとともに、CPU7Eから送信される回転速度検出器5Aの出力信号φ11に基づいて風車1の回転速度を検出する。
【0097】
図15において、CPU6Eは、ステップS11において前回の制動テストから所定時間(たとえば24時間)経過するまで待機し、所定時間経過した場合はステップS12に進む。CPU6Eは、ステップS12において風速が制動テストの実行可能範囲内であるか否かを判別し、実行可能範囲内でない場合はステップS11に戻り、実行可能範囲内である場合はステップS13に進む。CPU6Eは、ステップS13において風車1の回転速度が制動テストの実行可能範囲内であるか否かを判別し、実行可能範囲内でない場合はステップS11に戻り、実行可能範囲内である場合はステップS14に進む。
【0098】
なお、風速が実行可能範囲よりも速い場合は、風車1の回転を停止させる必要があるので制動テストは延期され、風速が実行可能範囲よりも遅い場合は、風車1が十分に回転しないので制動テストは延期される。同様に、風車1の回転速度が実行可能範囲よりも速い場合は、風車1の回転を停止させる必要があるので制動テストは延期され、風車1の回転速度が実行可能範囲よりも遅い場合は、風車1が十分に回転していないので制動テストは延期される。
【0099】
ステップS14においてCPU6Eは、停止指令信号STPを所定時間(たとえば1秒間)だけ出力する。次にCPU6Eは、ステップS15において風車1の回転速度が十分に低下したか否かを判別し、回転速度が十分に低下したと判別した場合はステップS16において正常動作検出信号を出力し、リトライカウンタ(図示せず)のカウント値Crを0にリセットしてステップS11に戻る。
【0100】
ステップS15において風車1の回転速度が十分に低下していないと判別した場合、CPU6Eは、ステップS17においてカウント値Crをインクリメント(+1)し、ステップS18においてカウント値Crが上限値CHに到達したか否かを判別し、Cr=CHでないと判別した場合はステップS11に戻る。ステップS18においてCr=CHであると判別した場合、CPU6Eは、故障検出信号を出力し、ステップS11に戻る。
【0101】
CPU7Eの動作はCPU6Eの動作と同様である。ただし、CPU7Eは、CPU6Eから送信される風速計4Aの出力信号に基づいて風速を検出するとともに、回転速度検出器5Aの出力信号φ11に基づいて風車1の回転速度を検出する。
【0102】
この実施の形態11では、実施の形態2と同じ効果が得られる他、CPU6E,CPU7Eが所定時間毎に制動テストを順次実行し、風車1の制動に関連する部分が故障していると判別した場合は風車1を停止させるので、強風などに起因して風車1の回転速度が過大になるよりも早い段階で風車1の回転を停止させることができる。
【0103】
なお、上記実施の形態1〜11を適宜組み合わせてもよいことは言うまでもない。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0104】
1 風車、2 発電機、3 制動装置、3A 機械式ブレーキ、3B 整流回路、3C 抵抗素子、4,5 センサ、4A 風速計、5A 回転速度検出器、6,6A〜6E,7,7A〜7E CPU、8,9 駆動部、8a,8c,9a,9c ドライバ、8b,8d,9b,9d リレー、10 歯車、10a 凸部、10b 凹部、11,12 近接センサ、21,22 電源回路、23,24 分圧器、31,32 相互監視部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15