特許第6534605号(P6534605)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6534605
(24)【登録日】2019年6月7日
(45)【発行日】2019年6月26日
(54)【発明の名称】土台水切り
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/64 20060101AFI20190617BHJP
   E04B 1/70 20060101ALI20190617BHJP
【FI】
   E04B1/64 C
   E04B1/70 C
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-229898(P2015-229898)
(22)【出願日】2015年11月25日
(65)【公開番号】特開2017-95999(P2017-95999A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2018年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006910
【氏名又は名称】株式会社淀川製鋼所
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 康寛
(72)【発明者】
【氏名】宮本 顕
(72)【発明者】
【氏名】中島 厚二
【審査官】 星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−364088(JP,A)
【文献】 特開平08−165721(JP,A)
【文献】 特開2011−220048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/64
E04B 1/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の土台と前記土台を支持する基礎との間の空間と前記基礎の屋外側とを繋げる通路の少なくとも一部を構成する壁部と、
前記壁部と固定され、前記通路の一部である開口部が設けられ、前記通路を遮る隔壁と、
前記隔壁の下方に位置し、水に浮くよう構成され、前記開口部の周縁部に全周に渡って下方から接触した状態で前記開口部を被覆可能なシール部を有し、前記隔壁から離間して前記開口部が開放される離間位置と前記シール部が前記開口部を被覆してシールする接触位置との間を移動可能に設けられた可動部材と、
を備えた土台水切り。
【請求項2】
前記隔壁は、前記開口部の周縁部の全周に渡って下方に突出した環状の突起を有し、
前記シール部は、前記突起の全周に渡って下方から接触した状態で前記開口部を被覆可能である請求項1に記載の土台水切り。
【請求項3】
前記隔壁は、前記開口部に近づくにつれて下方へ向かう傾斜部を含む上面を有した請求項1または請求項2に記載の土台水切り。
【請求項4】
前記壁部に、前記可動部材を前記離間位置から前記接触位置である第一の接触位置へ上方へ案内する第一のガイド部が設けられた請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の土台水切り。
【請求項5】
前記可動部材が前記離間位置から前記第一の接触位置へ移動するよう、前記可動部材を上方向に動かす第一の手動操作部を備えた請求項4に記載の土台水切り。
【請求項6】
前記隔壁には、複数の開口部が設けられ、
前記壁部には、前記可動部材を前記離間位置から前記接触位置である第二の接触位置へ斜め上方へ案内する第二のガイド部が設けられ、
前記シール部は、前記可動部材が前記第一の接触位置にある状態と前記第二の接触位置にある状態とで異なる開口部を被覆する請求項4または請求項5に記載の土台水切り。
【請求項7】
前記可動部材が前記第二のガイド部に案内されて前記離間位置から前記第二の接触位置へ移動するよう、前記可動部材を横方向に動かす第二の手動操作部を備えた請求項6に記載の土台水切り。
【請求項8】
前記隔壁には、複数の前記開口部が設けられ、
前記可動部材は、複数の前記シール部を備え、
前記複数のシール部は、それぞれ、別の前記開口部を被覆する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の土台水切り。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土台水切りに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、構造物としての木造住宅等では、内部構造における結露を軽減するために外壁換気構造や床下換気構造が用いられている。これらの換気構造を採用した構造物では、外壁表面等を流れ落ちる雨水等が外壁内及び床下内に浸入することを抑制するための土台水切りが取り付けられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4755775号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した特許文献1に示された技術は、標準的な降水の場合には水の侵入を抑制することができる。しかしながら、豪雨、津波、河川の氾濫などの水害のように構造物周辺の水位が高くなるような場合、床下換気や外壁換気を行うための空気を出入させるために設けられた開口部から水が浸入してしまう場合がある。その結果、床下換気構造や外壁換気構造を通して構造物の内部に水が浸入して床下浸水や床上浸水を招いてしまう場合がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、構造物の周辺の水位が高くなった場合でも構造物内への浸水を抑制することができる土台水切りを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本実施形態に係る土台水切りは、構造物の土台と上記土台を支持する基礎との間の空間と上記基礎の屋外側とを繋げる通路の少なくとも一部を構成する壁部と、上記壁部と固定され、上記通路の一部である開口部が設けられ、上記通路を遮る隔壁と、上記隔壁の下方に位置し、水に浮くよう構成され、上記開口部の周縁部に全周に渡って下方から接触した状態で上記開口部を被覆可能なシール部を有し、上記隔壁から離間して上記開口部が開放される離間位置と上記シール部が上記開口部を被覆してシールする接触位置との間を移動可能に設けられた可動部材と、を備える。この構成によれば、例えば、構造物の周囲の水位が上昇した場合、水に浮くように構成された可動部材が移動して開口部を被覆することにより土台と基礎との間の空間と屋外側とを繋げる通路が閉塞される。その結果、水が通路を通って屋内側に浸入することが抑制できる。
【0007】
また、実施形態にかかる土台水切りにおいて、例えば、上記隔壁は、上記開口部の周縁部の全周に渡って下方に突出した環状の突起を有し、上記シール部は、上記突起の全周に渡って下方から接触した状態で上記開口部を被覆可能であってもよい。この構成によれば、例えば、シール部が開口部の周縁部の突起に接触することにより、その部分の面圧が増加する。その結果、シール部による開口部のシール性をより向上させることができる。
【0008】
また、実施形態にかかる土台水切りにおいて、例えば、上記隔壁は、上記開口部に近づくにつれて下方へ向かう傾斜部を含む上面を有してもよい。この構成によれば、例えば、隔壁の上面側に移動した液体が自重により開口部から通路外(屋外)に排出される。その結果、土台水切りで水分が滞留することを抑制できる。
【0009】
また、実施形態にかかる土台水切りにおいて、上記壁部に、上記可動部材を上記離間位置から上記接触位置である第一の接触位置へ上方へ案内する第一のガイド部が設けられてもよい。この構成によれば、例えば、可動部材を鉛直に移動させる場合に比べて容易に接触位置(第一の接触位置)に移動させることができる。
【0010】
また、実施形態にかかる土台水切りにおいて、例えば、上記可動部材が上記離間位置から上記第一の接触位置へ移動するよう、上記可動部材を上方向に動かす第一の手動操作部を備えてもよい。この構成によれば、例えば、構造物の周辺の水位が上昇する前、例えば水害が発生する前に、事前に浸水対策を行うことができる。
【0011】
また、実施形態にかかる土台水切りにおいて、例えば、上記隔壁には、複数の開口部が設けられ、上記壁部には、上記可動部材を上記離間位置から上記接触位置である第二の接触位置へ斜め上方へ案内する第二のガイド部が設けられ、上記シール部は、上記可動部材が上記第一の接触位置にある状態と上記第二の接触位置にある状態とで異なる開口部を被覆するようにしてもよい。この構成によれば、例えば、状況に応じて可動部材の移動態様を変えることができる。
【0012】
また、実施形態にかかる土台水切りにおいて、上記可動部材が上記第二のガイド部に案内されて上記離間位置から上記第二の接触位置へ移動するよう、上記可動部材を横方向に動かす第二の手動操作部を備えてもよい。この構成によれば、例えば、構造物の周辺の水位が上昇する前、例えば水害が発生する前に、事前に浸水対策を行うことができる。
【0013】
また、実施形態にかかる土台水切りにおいて、例えば、上記隔壁には、複数の上記開口部が設けられ、上記可動部材は、複数の上記シール部を備え、上記複数のシール部は、それぞれ、別の上記開口部を被覆するようにしてもよい。この構成によれば、例えば、それぞれのシール部が被覆する開口部の面積(周縁部長さ)を小さくすることができるので、それぞれのシール部による被覆性能(密着度)を向上することができる。
【発明の効果】
【0014】
上述の構成によれば、構造物の周辺の水位が高くなった場合でも構造物内への浸水を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態に係る土台水切りの設置状態を説明する斜視図である。
図2図2は、実施形態1に係る土台水切りの水切り本体部の構成を説明する斜視図である。
図3図3は、実施形態1に係る土台水切りの可動部材の構成を説明する斜視図である。
図4図4は、実施形態1に係る土台水切りの隔壁の開口部とシール部とが接触している状態を説明する上面図である。
図5図5は、実施形態1に係る土台水切りの隔壁に対して、可動部材が離間位置に存在する場合を説明する断面図である。
図6図6は、実施形態1に係る土台水切りの隔壁に対して、可動部材が接触位置に移動した状態を説明する断面図である。
図7図7は、実施形態1に係る土台水切りの隔壁の上面が傾斜部を含むことを説明する断面図である。
図8図8は、実施形態2に係る土台水切りの水切り本体部の構成を説明する斜視図である。
図9図9は、実施形態2に係る土台水切りの可動部材の構成を説明する斜視図である。
図10図10は、実施形態2に係る土台水切りの可動部材を離間位置から接触位置に移動させるための第一の手動操作部の構成を説明する斜視図である。
図11図11は、実施形態3に係る土台水切りの水切り本体部の構成を説明する斜視図である。
図12図12は、実施形態3に係る土台水切りの可動部材の構成を説明する斜視図である。
図13図13は、実施形態3に係る土台水切りの可動部材の動作を説明する断面図である。
図14図14は、実施形態4に係る土台水切りの設置状態を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0017】
図1は、本実施形態の土台水切り10を構造物の一例として示される木造住宅100に設置した状態を示す斜視図である。木造住宅100は、耐久性を向上するために、内部結露を抑制することが求められている。木造住宅100は、コンクリート等で構成される基礎102の上に図示を省略した基礎パッキン(例えば、ゴム材で形成されたスペーサ部材)を介して土台104が固定されている。複数の基礎パッキンが間隔を開けて配置され、土台104を支持している。したがって、基礎パッキンが存在しない部分で基礎102と土台104との間に隙間ができて、この隙間が床下の換気を行うための空気通路A(床下換気通路)となる。
【0018】
土台104には、複数の柱105が固定されるとともに、土台104には、柱105と平行になるように扁平な角柱形状の縦胴縁106が間隔をあけて複数固定されている。また、柱105と縦胴縁106との間、すなわち屋内(In)側には、水蒸気は透過させるが液体等の水は通さない透湿防水シート108が配置されている。なお、透湿防水シート108の屋内側には図示しない断熱材が設けられている。また、縦胴縁106は、外壁110を支持している。透湿防水シート108の下端は、土台104と縦胴縁106との間に挟まれて、土台104に取り付けられている。そして、外壁110、縦胴縁106及び透湿防水シート108の下端は、土台104の下端よりも僅かに上方に位置するように、土台104に固定されている。なお、透湿防水シート108の下端部には当該透湿防水シート108の表面側を伝って流れ落ちてきた水を土台水切り10側に導くためのガイド板112が接続されている。図1に示すように、縦胴縁106の屋内側には透湿防水シート108が配置され、縦胴縁106の屋外側(Out)には、外壁110が固定されている。したがって、互いに隣り合う縦胴縁106と、外壁110と、透湿防水シート108とで囲まれ、縦胴縁106の厚みに相当する距離の隙間が形成される。この隙間が外壁と屋内側(透湿防水シート108側)との換気を行うための空気通路B(外壁換気通路)となる。
【0019】
このように、床下換気通路(空気通路A)及び外壁換気通路(空気通路B)を介して空気の移動が行われることにより床下や屋内における湿気を屋外に排出することができる。その結果、床下や屋内の結露が軽減可能となり、壁内の木材などが腐って耐久性が低下してしまったり、室内にカビが発生し室内環境が不衛生な状態になったりすることを抑制することができる。
【0020】
土台水切り10は、水切り本体部12と可動部材22とで構成されている。水切り本体部12は、外壁110の下端部に取り付けられ、床下換気通路の端部開口部及び外壁換気通路の端部開口部を覆うとともに、屋外側との間で空気の流入と流出を許容する。なお、床下換気通路および外壁換気通路は、所定の空気流量を確保できればよいので(例えば、日本国内の場合は、床下換気通路の空気流量は建築基準法で定められている)、例えば、外壁換気通路は、基礎パッキンが存在しない部分のみに形成するようにしてもよい。したがって土台水切り10は、床下換気通路および外壁換気通路が存在する部分に形成すればよい。つまり、土台水切り10は外壁110の下端部に間隔をあけて配置することができる。この場合、土台水切り10の長手方向の長さは、数十cmから1m程度とすることができる。その結果、例えば、後述するシール部24が摩耗した場合等でもメンテナンス対象の土台水切り10のみで対応すればよく、メンテナンス性を向上できるとともに、作業を迅速に行うことができる。なお、土台水切り10が配置されていない外壁110の下端部は、シール剤やパッキン等で閉塞される。以下、土台水切り10の詳細および他の実施形態の詳細を示す。
【0021】
実施形態1.
図2は、実施形態1の土台水切り10を構成する水切り本体部12の斜視図である。水切り本体部12は、少なくとも木造住宅100の土台104と基礎102との間の空間と基礎102の屋外側とを繋げる通路(床下換気通路)の少なくとも一部を構成する壁部14を備える。なお、本実施形態1及び他の実施形態において、壁部14が構成する通路は、前述したように外壁換気通路の一部を構成している。つまり、壁部14が構成する通路は、その下流側(屋内側)で床下換気通路と外壁換気通路との両方と繋がっている(通路が分岐している)。後述するが、土台水切り10は、壁部14が構成する通路を遮蔽状態にすることで床下換気通路及び外壁換気通路を閉塞状態(密閉状態)にして、木造住宅100の周囲で水害等により水位が高くなった場合でも水が床下換気通路や外壁換気通路を通って床下や屋内側に浸入する(浸水する)ことを抑制することができる。
【0022】
水切り本体部12は、木造住宅100の屋外側に配置されて、降水した水が外壁110に沿って流れ落ちた場合に、床下換気通路や外壁換気通路を通って、屋内側に浸入することを抑制する。図2に示されるように、本実施形態の場合、水切り本体部12は、壁部14を含めて、例えば板金を曲げ加工することで形成できる。壁部14は、床下換気通路及び外壁換気通路と繋がる本体通路Cの側壁を形成する第一の壁部14aと、外壁110の屋内側面に水切り本体部12を固定するための第二の壁部14bと、第一の壁部14aと第二の壁部14bとを接続する第三の壁部14cとを含む。第三の壁部14cの一方の長手方向の辺部は、第二の壁部14bの下端辺部と接続されている。第三の壁部14cは、第二の壁部14bの下端から遠ざかるのにしたがい徐々に下方へ傾き、第三の壁部14cの他方の長手方向の辺部が第一の壁部14aの上端辺部に接続されている。したがって、壁部14の断面形状がクランク道路形状をしている。その結果、図1に示されるように、外壁110の外面を流れ落ちた液体(雨等)は、第三の壁部14cの斜面上に落ちることになる。そして、その液体(雨等)は第三の壁部14cから第一の壁部14aへスムーズに流れて基礎102の屋外側に排出されることになる。
【0023】
図2に示す水切り本体部12は、第一の壁部14aと間隔をあけて第四の壁部16を有し、この第四の壁部16が、第一の壁部14aと固定された隔壁18と接続されている。したがって、第一の壁部14aと第四の壁部16と隔壁18とで、基礎102の下端側(地面側)に開放された溝状の本体通路Cを構成している。そして、本体通路Cは、床下換気通路や外壁換気通路に繋がる。また、隔壁18が本体通路Cを遮る。隔壁18には、複数の開口部20が設けられている。本体通路Cの開放された下端側(屋外側)は、開口部20を介して床下換気通路及び外壁換気通路と連通して、空気の流入及び流出が自由となり、床下側や屋内側の湿気の低減に寄与できる。前述したように、床下や屋内との換気を行うために屋外側に繋がる開口部の面積は、例えば建築基準法等で定められているので、複数の開口部20の総開口面積は、建築基準法等で定められた空気流量を確保できる大きさに設定されている。また、図2に示す例の場合、開口部20は、矩形状(例えば長方形)としているが、空気の流出入ができればその形状は、適宜変更可能であり、例えば、は、正方形状や円形状、長丸形状等でもよい。
【0024】
前述したように、一般的な降雨(例えば、木造住宅100の周囲の水位が上昇しないような降雨)等による水(雨)は、外壁110の表面を流れ落ちて水切り本体部12の外表面に移動し屋外側に排出されるので、床下換気通路及び外壁換気通路に水が浸入することを抑制できる。一方、豪雨、津波、河川の氾濫などの水害が発生した場合は、木造住宅100の周囲の水位が上昇してしまう場合がある。水位が上昇した場合、水切り本体部12の本体通路Cが下方に開放されているので、本体通路Cの開放端から開口部20を介して床下換気通路や外壁換気通路に水が流れ込む場合がある。つまり、床下浸水、床上浸水の原因になる場合がある。
【0025】
そこで、本実施形態1の土台水切り10は、図3に示すように、水切り本体部12の開口部20を被覆する(閉塞する)ための可動部材22を備えている。可動部材22は、上面に隔壁18の開口部20の周縁部の全周に渡って下方から接触した状態で開口部20を被覆可能なシール部24を複数備える。また、この複数のシール部24の間には、可動部材22の上面側と下面側を連通(貫通)する複数の通気孔26が形成されている。可動部材22は、水に浮くように構成されている。例えば、シール部24を支持するフレーム部材22aは発泡スチロール等のように浮力が発生できる浮き部材28が一体的に固定されている。図3の場合、浮き部材28は、フレーム部材22aにより包囲される態様で固定されている。浮き部材28は、可動部材22を水に浮かせることができればよく、例えば、木材や樹脂で形成されていてもよい。また空気を密閉した浮き袋のようなものでもよい。可動部材22は、木造住宅100の周囲の水位が上昇した場合、その水位に応じて浮き部材28の浮力により浮き上がる。この場合、シール部24は、可動部材22が浮き上がったときに、開口部20の周縁部の全周に渡って下方から接触できるような位置に可動部材22の上面に固定されている。可動部材22は、水位の上昇により容易に浮き上がれるように、水切り本体部12の本体通路Cで第一の壁部14aと第四の壁部16とに対して適度な隙間を有した状態で収納されている。この場合、可動部材22は、浮き上がったときにシール部24が開口部20の周縁部の全周に渡って接触して当該開口部20を閉塞できるように遊びが制限された状態で本体通路Cの空間に収納されている。可動部材22の上下方向の移動は、例えばガイド部材によって制限されることができる。シール部24は、例えば可撓性を有し、可動部材22が浮き上がって開口部20の周縁部に接触した場合に、変形して周縁部に密着できる水分を通過させないような材質で形成されることが望ましい。例えば、独立発泡型の気泡を多く含むゴム材料で構成することができる。また、温度変化に対する劣化が少なく、耐摩耗性のある材料で構成することが望ましい。例えば、エプトシーラー(登録商標)等を利用することができる。なお、図示を省略しているが、可動部材22は、水切り本体部12の本体通路Cに収納された際に下方の開放部分から脱落しないように支持部材で支持されている。例えば、第一の壁部14aや第四の壁部16の下端部分に突起が形成され、可動部材22が脱落しないようにしてもよいし、第一の壁部14aと第四の壁部16の下端の離間距離を可動部材22の短手方向の幅より狭くして可動部材22が脱落しないようにしてもよい。また、可動部材22を支持する支持姿勢と、可動部材22を本体通路Cから抜き出し可能とする開放姿勢とを切り替え可能なレバーを設けてもよい。
【0026】
図4は、土台水切り10の隔壁18の開口部20とシール部24とが接触している状態を説明する上面図である。また、図5は、開口部20とシール部24とが接触する前の状態、すなわち、可動部材22が離間位置に存在し、床下換気通路や外壁換気通路と屋外側との間で空気の流通が可能な状態である場合を示している。また、図6は、開口部20とシール部24とが接触した状態、すなわち、可動部材22が接触位置に存在し、床下換気通路や外壁換気通路と屋外側との間で空気の流通が遮断され、同時に水の浸入を抑制した状態になっている場合を示している。
【0027】
図4図5に示されるように、シール部24の大きさ(上面積)は開口部20の開口面積より大きい。すなわち、開口部20の周縁部の全周に渡って下方に突出した環状の突起20aを覆うような大きさに設定されている。図4図5に示すように、隔壁18には、複数の開口部20が設けられ、可動部材22は、複数のシール部24を備えている。そして、複数のシール部24は、それぞれ、別の開口部20を被覆するようになっている。このように構成することにより、それぞれのシール部24が被覆する開口部20の面積(周縁部長さ)を小さくすることができる。その結果、それぞれのシール部24による開口部20の被覆性能(密着度)を向上することができる。なお、可動部材22に形成されている通気孔26は、隔壁18に形成されている開口部20とは上下方向で重ならない位置に形成されている。
【0028】
図5は、可動部材22が、隔壁18から離間して開口部20が開放される離間位置に移動している状態を示している。例えば、可動部材22が水に浮いていない状態、すなわち、水位が土台水切り10の位置まで上がってきていない状態を示している。この場合、開口部20はシール部24によって被覆(閉塞)されていないので、床下換気通路や外壁換気通路は屋外側と開口部20及び通気孔26を介して連通していて、空気の流入または流出が自由である。この状態を「換気モード」と称することができる。
【0029】
図6は、可動部材22が、開口部20の周縁部に全周に渡って下方から接触した状態で開口部20を被覆している接触位置(第一の接触位置)に移動した状態を示している。第一の接触位置は、可動部材22が離間位置に存在する状態からほぼ鉛直方向(上方向)に移動して隔壁18に接触したときの位置である。つまり、可動部材22が水に浮いて隔壁18に押し付けられている状態である。この場合、開口部20がシール部24によって被覆(閉塞)される。その結果、水位の上昇に伴い浸入しようとする水は、通気孔26に浸入するものの、シール部24に遮られて開口部20には浸入しない。その結果、床下換気通路や外壁換気通路は屋外側と遮断され、水が床下側や屋内側に浸入することを抑制できる。この状態を「閉塞モード」、「防水モード」、「水害対策モード」等と称することができる。
【0030】
前述したように、隔壁18の開口部20の周縁部には、全周に渡って環状に突起20aが形成されている。突起20aは、開口部20を形成する際に例えば、バーリング加工を施すことにより形成することができる。そして、可動部材22が浮き上がり隔壁18に接触する場合、環状の突起20aがシール部24にめり込む状態になる。この場合、突起20aとシール部24との接触部分が小さいので、その部分の面圧が高まる。その結果、開口部20のシール性を向上することができる。なお、シール部24は、可撓性を持つので、仮に隔壁18に対して可動部材22が傾いた姿勢で接触した場合でも、シール部24の変形が姿勢の傾きに追従して突起20aとシール部24との間に隙間が生じることを抑制する。さらに、水位が上昇すれば、隔壁18に対する可動部材22の押圧力(密着力)は増加され、床下換気通路や外壁換気通路への水の浸入抑制効果がより向上する。
【0031】
図7は、隔壁18を長手方向と直交する面で切った場合の断面図である。隔壁18は、図7で詳細に示すように、開口部20に近づくにつれて下方へ向かう傾斜部18aを含む上面を有している。隔壁18が傾斜部18aを備えることにより、例えば、可動部材22が離間位置に存在するときに、透湿防水シート108の屋外側の面に沿って流れ落ちた水がガイド板112に導かれて隔壁18の上面に移動した場合、その水を隔壁18の上面側に滞留させることなく、容易に開口部20から排出することができきる。つまり、透湿防水シート108を流れ落ちた水が床下換気通路(床下)や外壁換気通路(屋内)の湿度を上昇させてしまうことが抑制できる。なお、隔壁18に傾斜部18aが形成されている場合でも、シール部24は自身の可撓性により開口部20の下面側の形状にしたがって変形可能なので開口部20(突起20a)に対する被覆度(密着度、閉塞度)が低下することを抑制できる。図7の場合、隔壁18の全体が傾斜部18aを形成している例を示しているが、隔壁18の上面側のみが傾斜部18aを有し、下面側は平坦面でもよい。また、別の実施形態では、隔壁18の上面は傾斜部18aでなくてもよい。なお、図4図7では、開口部20の周縁部に全周に渡って突起20aが形成されている例を示したが、突起20aを省略して、開口部20の周縁部を平坦にしてもよい。この場合、部品形状のシンプル化や加工工数の軽減を行うことができる。また、前述したように、突起20aを形成することで面圧を容易に向上することができるが、突起20aを形成しない場合でも例えば、シール部24の厚み(接触位置に移動する際の方向に沿う高さ)を適宜調整したり、シール部24の剛性(可撓性能)を適宜調整することにより面圧の調整が可能である。したがって、平坦な周縁部の開口部20を用いる場合でも、開口部20にシール部24を密着させて気密性(水密性)を得ることが可能で、突起20aを形成した場合と同様な被覆(閉塞)効果を得ることができる。
【0032】
このように実施形態1の土台水切り10によれば、木造住宅100の周囲の水位が上昇した場合、水が床下換気通路や外壁換気通路に浸入する高さに到達する以前に、可動部材22が浮き上がり、シール部24が隔壁18の開口部20を被覆する。その結果、床下換気通路(床下)や外壁換気通路(屋内)に水が浸入することを抑制できる。また、土台水切り10の場合、水位の上昇によって自動的に、シール部24が開口部20を被覆するので、ユーザが何ら操作を行うことなく水害対策を行うことができる。また、留守中に水害が発生するような場合でも自動的にシール部24が開口部20を被覆するので、信頼性の高い確実な水害対策ができる。
【0033】
実施形態2.
図8図10を用いて実施形態2の土台水切り10の構成を示す。実施形態1の土台水切り10の場合、木造住宅100の周囲の水位が上昇した場合に、可動部材22が浮き上がり開口部20をシール部24が被覆(閉塞)する。一方、ユーザによっては、木造住宅100の周囲の水位が上昇し始める前に水害対策を完了させておきたい場合がある。また、水害が発生しない場合(水位が高くならない場合)でも、床下換気通路や外壁換気通路と屋外側との空気の流れを一時的に遮断したい場合がある。例えば、低温時(例えば冬)に床下換気通路や外壁換気通路に冷たい空気が流れ込むと、屋内温度が低下したり、暖房効率が低下したりする場合がある。また、木造住宅100が海に近い位置に建っている場合、潮風が床下換気通路や外壁換気通路から侵入して土台104や柱105等に塩害をもたらす場合がある。このような場合、一時的に開口部20をシール部24で被覆(閉塞)して冷気や潮風が床下換気通路や外壁換気通路に侵入することを抑制したい場合がある。実施形態2の土台水切り10は、手動で可動部材22を移動させて、シール部24により開口部20を被覆可能にする構造になっている。図8は、実施形態2の水切り本体部12の一例を示す図であり、図9は、実施形態2の可動部材22を手動で上下動させる場合に利用されるガイドブロック30が固定された可動部材22の一例を示す図である。また、図10は、図9の可動部材22を手動で上下動させるための第一の手動操作部32の一例を示す図である。
【0034】
図8に示す水切り本体部12の基本的な形状は図2に示す実施形態1の形状と同じであり、同じ構成部分には同じ符号を付し、その説明は省略する。なお、図8に示す水切り本体部12の隔壁18は、図7に示す傾斜部18aを省略しているが形成されていてもよい。水切り本体部12を構成する第一の壁部14a及び第四の壁部16には、可動部材22を離間位置から接触位置である第一の接触位置に上方へ案内する第一のガイド部29が設けられている。第一のガイド部29は、上下方向に形成された例えば長孔とすることができる。そして、この第一のガイド部29には、図9に示すような可動部材22の長手方向の側面に形成されたガイドピン31が挿通可能になっている。また、第一の壁部14aと第四の壁部16の下端部には図示を省略しているが、図10に示す第一の手動操作部32が水切り本体部12の本体通路Cの下向きの開放部分から脱落するのを抑制するための支持突起が形成されている。この支持突起は、第一の壁部14aや第四の壁部16の一部を折り返し加工して形成してもよい。また、実施形態1の変形例で説明したように、下端部の幅を狭くすることで第一の手動操作部32が脱落しないようにしたり、支持姿勢と開放姿勢の切り替えができるレバーを設けて第一の手動操作部32が脱落しないようにしてもよい。
【0035】
図9に示す可動部材22の基本的な形状は図3に示す実施形態1の形状と同じであり、同じ構成部分には同じ符号を付し、その説明は省略する。実施形態2の可動部材22は、手動で可動部材22を上昇させてシール部24を開口部20に接触させることができるように、可動部材22の裏面側(シール部24の固定面とは逆側の面)に傾斜部30aが形成されたガイドブロック30が固定されている。図9の場合、可動部材22を水平に上方に上昇させやすくするために複数のガイドブロック30が固定されている。別の実施形態では、ガイドブロック30を可動部材22の例えば両端部のみに形成してもよい。ガイドブロック30の傾斜部30aは、可動部材22の長手方向に一方側から他方側に向かい当該ガイドブロック30の高さが高くなるように同一の方向を向いて傾斜している。水切り本体部12の本体通路Cに可動部材22を収納する場合、まず、可動部材22のガイドピン31を取り外した状態で、可動部材22を本体通路Cに挿入して、第一のガイド部29の外側からガイドピン31を取り付ける。例えば、ガイドピン31にネジ部を形成しておけば、第一のガイド部29を通してガイドピン31をねじ込むだけで、可動部材22を離間位置から第一の接触位置に移動させることができるガイド機構を構成することができる。
【0036】
図10に示す第一の手動操作部32は、ガイドブロック30の傾斜部30aの傾斜方向と直交する方向の幅より広い間隔で離間する一対の側板34の間に円筒状の誘導部材36がガイドブロック30の配置間隔と同様な間隔で配置された梯子状の部品である。また、第一の手動操作部32の一部には、第一の手動操作部32を可動部材22の長手方向に沿って移動させる場合に把持することができる操作レバー38が固定されている。
【0037】
このように構成される実施形態2の土台水切り10は、水切り本体部12の本体通路Cに可動部材22が挿入された後、第一の手動操作部32がその下方より本体通路Cに挿入される。その場合、誘導部材36がガイドブロック30の最下位置L(図9参照)、つまり、可動部材22の下面に最も近い位置に存在するように、可動部材22と第一の手動操作部32との位置決めを行う。このとき、隔壁18と可動部材22とが離間した状態、つまり、可動部材22が離間位置に存在することになる。そして、操作レバー38を操作して、第一の手動操作部32を図10の矢印S1方向に移動させることにより、誘導部材36は、ガイドブロック30の最下位置Lから最上位置H(図9参照)に移動する。このとき、可動部材22は、ガイドピン31が第一のガイド部29に挿通されているので上下方向のみの移動が許容される。その結果、第一の手動操作部32の矢印S1方向への移動量に応じて可動部材22が隔壁18に向かって移動する。そして、最終的には、シール部24が開口部20を被覆する第一の接触位置に移動する。つまり、土台水切り10を手動で「閉塞モード」(「防水モード」、「水害対策モード」)に移行させることができる。このように、第一の手動操作部32、ガイドブロック30、第一のガイド部29及びガイドピン31は、ユーザの操作方向を可動部材22の移動方向に変換する移動方向変更機構を構成する。このとき、ユーザは操作レバー38を力の入れやすい横方向に移動させるだけなので、可動部材22の上昇動作を容易に行うことができる。
【0038】
また、手動による「閉塞モード」から操作レバー38を図10中の矢印S2方向に移動させれば、誘導部材36は、ガイドブロック30の最上位置Hから最下位置L(図9参照)に移動する。この場合、可動部材22は自重により降下するので、シール部24は開口部20から離間し離間位置に戻る。つまり、土台水切り10を手動で「換気モード」に移行させることができる。
【0039】
なお、可動部材22は、第一の手動操作部32の誘導部材36の上に支持されているだけなので、木造住宅100の周囲の水位が上昇した場合には、第一の手動操作部32の操作がない場合でも、水位の上昇に応じて可動部材22が浮き上がり、実施形態1で説明した場合と同様に、自動的に「閉塞モード」(「防水モード」、「水害対策モード」)に移行する。なお、可動部材22は、手動の場合でも水位変化による場合でも、ほぼ垂直に移動して、シール部24が開口部20の突起20aに接触し、開口部20を被覆する。その結果、シール部24は、隔壁18に対して接触、非接触動作が繰り返されても横方向の擦れ等に起因する劣化が生じ難く、シール部24の寿命の短縮化が抑制できる。その結果、シール部24の交換間隔を拡大させたり、交換不要(メンテナンスフリー)にすることが可能になる。
【0040】
なお、実施形態1において、水切り本体部12に実施形態2の第一のガイド部29を設け、可動部材22に実施形態2のガイドピン31を設けてもよい。この場合、可動部材22の浮上方向をより安定させることができる。つまり、可動部材22による開口部20の被覆(閉塞)動作をより安定的に行うことができる。
【0041】
実施形態3.
図11図12を用いて実施形態3の土台水切り10の構成を説明する。実施形態3の土台水切り10も可動部材22の離間位置と接触位置の移動を手動で行うことができる。図11に示す実施形態3の水切り本体部12の基本的な形状は図2に示す実施形態1の形状と同じであり、同じ構成部分には同じ符号を付し、その説明は省略する。水切り本体部12を構成する第一の壁部14a及び第四の壁部16には、可動部材22を離間位置から接触位置である第一の接触位置に上方へ案内する第一のガイド部40aと、可動部材22を離間位置から接触位置である第二の接触位置に斜め上方へ案内する第二のガイド部40bを含むガイド部40が形成されている。ガイド部40は、例えば長孔を組み合わせた形状であり、例えば、アルファベットの「J」と類似する形状とすることができる。そして、このガイド部40の第一のガイド部40a及び第二のガイド部40bには、図12に示すような可動部材22の長手方向の側面に形成されたガイドピン42または第二の手動操作部44が挿通可能になっている。第一のガイド部40aは、実施形態2と同様に、可動部材22を離間位置から接触位置である第一の接触位置に上方へ案内する。つまり、シール部24はほぼ真上に移動して、その位置に形成されている開口部20を被覆する。また、第二のガイド部40bは、可動部材22を離間位置から斜め上方へ案内して第二の接触位置へ移動させる。なお、第二のガイド部40bの最上部(傾斜の頂上部)には、下方に窪んだ保持部40cが形成され、斜面を登るように斜めに移動してきたガイドピン42または第二の手動操作部44を保持部40cに落とし込むことにより第二のガイド部40bの頂上部分で固定できるようにしている。また、その状態から可動部材22を離間位置に移動させる場合には、保持部40cからガイドピン42または第二の手動操作部44が離脱するように第二の手動操作部44を持ち上げて第二のガイド部40bを下方に向けて降りるようにすればよい。
【0042】
図12に示す可動部材22の基本的な形状は図3に示す実施形態1の形状と同じであり、同じ構成部分には同じ符号を付し、その説明は省略する。実施形態3の可動部材22は、手動で可動部材22を上昇させてシール部24を開口部20に接触できるように、可動部材22の側面に例えば棒状の第二の手動操作部44が固定されている。第二の手動操作部44は、水切り本体部12のガイド部40に挿入されるガイドピン42と一体とすることが可能で、第二の手動操作部44をガイドピン42の外側先端に接続する構成としてもよいし、ガイドピン42に代えて第二の手動操作部44を可動部材22の側面に固定してガイド部40に挿入されるようにしてもよい。この第二の手動操作部44は、主として手動で可動部材22を隔壁18に接触させる場合(シール部24で開口部20を被覆する場合)に、可動部材22を第二のガイド部40bにガイドさせながら横方向(斜め上方)に移動させる。この場合、可動部材22は、隔壁18の長手方向にスライド(横方向に移動)しながら上方に移動することになり、シール部24は、可動部材22が離反位置に存在する場合に直上に存在する開口部20ではなく、例えばその隣に存在する開口部20を被覆(閉塞)することになる。つまり、シール部24は、図13に示すように、可動部材22(シール部24)が離反位置Mにある状態から第一の接触位置N1に移動する場合と、第二の接触位置N2に移動する場合で、異なる開口部20を被覆(閉塞)する。第一の接触位置N1は、可動部材22を浮力により浮き上がらせたときにシール部24が接触する位置である。また、第二の接触位置N2は、可動部材22を手動で移動させたときにシール部24が接触する位置である。なお、図12に示すように、シール部24は、鉛直方向(垂直方向、上方向)に移動して開口部20に接触する場合と斜め上方に移動して開口部20に接触する場合との両方の場合に、全ての開口部20にシール部24が接触することができるように、可動部材22の長手方向に、開口部20の数より一つ多く設けられている。
【0043】
このように、可動部材22を横方向(斜め上方)に移動させることで、可動部材22を手動で垂直方向(第一のガイド部40aに沿う方向)に引き上げる場合に比べて力がかけやすくなり容易に可動部材22を接触位置(第二の接触位置N2)に移動させることができる。なお、第二のガイド部40bに沿ってガイドピン42または第二の手動操作部44を頂上位置に移動させたのち、その位置で姿勢を保持するためにガイドピン42または第二の手動操作部44が保持部40cに落ち込むためシール部24が開口部20の周縁部の突起20aから遠ざかる結果となる。この場合、保持部40cの窪み量をシール部24の圧縮変形が維持できる範囲内にしておけば、開口部20の被覆(閉塞)性能(押圧力、密着力)への影響はないと見なすことができる。一方、木造住宅100の周囲の水位が上昇した場合には、実施形態1、実施形態2と同様に、土台水切り10は、水位の上昇に応じて可動部材22が浮き上がり、自動的に「閉塞モード」(「防水モード」、「水害対策モード」)に移行する。また、実施形態3の土台水切り10の場合、第二の手動操作部44が可動部材22に一体化されるので、実施形態2の構成のように、別部品の第一の手動操作部32が不要になり、部品点数の削減、コストの削減、土台水切り10の小型化等に寄与できる。
【0044】
実施形態4.
図14は、実施形態4の土台水切り50を木造住宅100に取り付けた状態を説明する斜視図である。上述した実施形態1〜実施形態3の土台水切り10の場合、大きさが比較的コンパクトな反面、木造住宅100の周囲の水位が基礎102の上方位置(床下換気通路及び外壁換気通路に接近した位置)まで上昇しないと可動部材22が移動を開始しない。そこで、実施形態4の土台水切り50は、木造住宅100の周囲の水位が比較的低い段階で可動部材22のシール部24が開口部20を被覆する「閉塞モード」(「防水モード」、「水害対策モード」)に移行するように構成されている。具体的には、土台水切り50の水切り本体部12を構成する第一の壁部52を基礎102の下端付近(基部付近)まで延設して本体通路Cを形成する。そして、本体通路Cの内部に可動部材22を配置するとともに、接続部材54を介して基礎102の下端付近まで達する浮き部材56を固定している。第一の壁部52の表面には、少なくとも下端位置(基礎102の下端に近い位置)に水が本体通路Cに流入可能な注水孔52aが複数形成されている。つまり、木造住宅100の周辺の水位が低い場合でも水が注水孔52aを介して本体通路Cに浸入して、浮き部材56を浮き上がらせることができる。その結果、水位が低い状態でも可動部材22に固定されたシール部24を隔壁18に接触させて開口部20を被覆(閉塞)する。つまり、水位が低い状態でも「閉塞モード」(「防水モード」、「水害対策モード」)に土台水切り50を移行させることができる。つまり、水害が心配される場合に、水害対策を早期の段階で自動的に実行することが可能となり、利用者に安心感を与えやすくすることができる。
【0045】
なお、実施形態4の構成においても実施形態2や実施形態3で説明した手動操作を行う構造の適用が可能である。つまり、第一の手動操作部32や第二の手動操作部44の適用が可能である。その結果、可動部材22に浮力が作用しない場合でも、「閉塞モード」(「防水モード」、「水害対策モード」)への移行が可能であり、同様に効果を得ることができる。
【0046】
土台水切り50の場合、第一の壁部52は、他の実施形態と同様に板金で構成することが望ましいため、従来のコンクリート等で構成される基礎102を覆ってしまい、木造住宅100全体としての見栄えを変えてしまう場合がある。そのような場合は、第一の壁部52の表面にコンクリートを模した塗装を施したり、第一の壁部52の表面にコンクリートを模したフィルムを貼ることにより、従来と同様の見栄えを得ることができる。また、基礎102に間隔をあけて、土台水切り50が形成される場合、所々に土台水切り50が出っ張り、基礎102の見栄え(外壁110の下側部分の見栄え)を損なうことがある。このような場合、複数の土台水切り50を扁平の板材で覆い、その板材の表面にコンクリートを模した塗装を施したり、コンクリートを模したフィルムを貼ることにより、外壁110の下側部分を従来と同様な見栄えにすることができる。
【0047】
なお、上述した本発明の実施形態、変形例に係る土台水切り10(土台水切り50)は、上述した実施形態、変形例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。本実施形態に係る土台水切り10は、以上で説明した各実施形態の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
【符号の説明】
【0048】
10,50 土台水切り
12 水切り本体部
14 壁部
14a,52 第一の壁部
14b 第二の壁部
16 第四の壁部
18 隔壁
18a 傾斜部
20 開口部
20a 突起
22 可動部材
24 シール部
28,56 浮き部材
29,40a 第一のガイド部
32 第一の手動操作部
40b 第二のガイド部
40 ガイド部
44 第二の手動操作部
100 木造住宅
102 基礎
104 土台
105 柱
108 透湿防水シート
110 外壁
C 本体通路
N1 第一の接触位置
N2 第二の接触位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14