特許第6534810号(P6534810)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6534810視界制御装置、視界制御システム、視界制御方法、及び、視界制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6534810
(24)【登録日】2019年6月7日
(45)【発行日】2019年6月26日
(54)【発明の名称】視界制御装置、視界制御システム、視界制御方法、及び、視界制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20190617BHJP
   G09G 5/02 20060101ALI20190617BHJP
【FI】
   G09G5/00 550C
   G09G5/02 B
   G09G5/00 550B
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-255160(P2014-255160)
(22)【出願日】2014年12月17日
(65)【公開番号】特開2016-114892(P2016-114892A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2017年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】笹鹿 祐司
【審査官】 斎藤 厚志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−023862(JP,A)
【文献】 実開平05−034013(JP,U)
【文献】 特開2009−241807(JP,A)
【文献】 特開2012−252091(JP,A)
【文献】 特開2005−165778(JP,A)
【文献】 特開2005−195566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/00 − 5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置の周辺環境の状態が計測された結果を表す環境情報が示す値が、前記周辺環境の危険性を表す所定の判定条件を満たす場合に、ユーザの視界を覆う透明性を有する物体に関する状態、あるいは、表示装置によって表示され当該視界を構成する視界画像に関する状態が、前記視界の悪化を生じるよう、前記物体に関する状態あるいは前記視界画像に関する状態を変更可能な視界変更装置を制御する際に、
前記物体に水蒸気を噴霧することによって前記物体を透過する可視光の透過率が低下するよう、前記視界変更装置を制御する、あるいは、前記視界画像に関する透明度あるいは色調を変更する画像処理を行うよう、前記視界変更装置を制御する制御手段
を備える視界制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記周辺環境の状態が時系列に計測された結果である前記環境情報が示す値が、前記判定条件を満たしたのち、特定の時間を経て、前記判定条件を満たさなくなったときに、前記物体に関する状態、あるいは、前記視界画像に関する状態を、変更前の状態に戻すよう、前記視界変更装置を制御する、
請求項1に記載の視界制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記物体に関する状態あるいは前記視界画像に関する状態が前記視界変更装置によって変更されたのち、所定の入力操作を受け付けたときに、前記物体に関する状態あるいは前記視界画像に関する状態を、変更前の状態に戻すよう、前記視界変更装置を制御する、
請求項1または2に記載の視界制御装置。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれかに記載の視界制御装置と、
前記周辺環境の状態を計測した結果に基づいて、前記環境情報を生成する計測装置と、
前記視界変更装置と、
前記物体あるいは前記表示装置と、
を備える視界制御システム。
【請求項5】
情報処理装置によって、
自装置の周辺環境の状態が計測された結果を表す環境情報が示す値が、前記周辺環境の危険性を表す所定の判定条件を満たす場合に、ユーザの視界を覆う透明性を有する物体に関する状態、あるいは、表示装置によって表示され当該視界を構成する視界画像に関する状態が、前記視界の悪化を生じるよう、前記物体に関する状態あるいは前記視界画像に関する状態を変更可能な視界変更装置を制御する際に
前記物体に水蒸気を噴霧することによって前記物体を透過する可視光の透過率が低下するよう、前記視界変更装置を制御する、あるいは、前記視界画像に関する透明度あるいは色調を変更する画像処理を行うよう、前記視界変更装置を制御する、
視界制御方法。
【請求項6】
自装置の周辺環境の状態が計測された結果を表す環境情報が示す値が、前記周辺環境の危険性を表す所定の判定条件を満たす場合に、ユーザの視界を覆う透明性を有する物体に関する状態、あるいは、表示装置によって表示され当該視界を構成する視界画像に関する状態が、前記視界の悪化を生じるよう、前記物体に関する状態あるいは前記視界画像に関する状態を変更可能な視界変更装置を制御する際に、
前記物体に水蒸気を噴霧することによって前記物体を透過する可視光の透過率が低下するよう、前記視界変更装置を制御する、あるいは、前記視界画像に関する透明度あるいは色調を変更する画像処理を行うよう、前記視界変更装置を制御する制御処理
をコンピュータに実行させる、視界制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、視覚を通して危険を通知する視界制御装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
日常生活における様々な局面において、危険を迅速に察知することは非常に重要である。例えば、触ることによって熱傷になる物体の存在、あるいは、有毒な気体の発生等の危険を察知することが遅れた場合、人命に関わる虞がある。このような危険を、視覚あるいは聴覚等を通して通知する様々な技術が知られている。一般的に人間は、五感のうち、視覚から最も多くの情報を得ているので、特に視覚を通して危険を通知することによって危険を回避する技術への期待が高まっている。
【0003】
このような技術の一例として、特許文献1には、使用者の視界方向の画像を取得し、取得した画像に基づいて使用者に注意を促す注意情報を生成し、その注意情報を虚像として表示する、拡張現実を体感可能なヘッドマウントディスプレイ装置が開示されている。この装置は、個別に予め用意された危険場所に関する情報を必要とせずに、使用者の視界方向における危険等の注意点を推定することによって、使用者に注意を促す。
【0004】
また、特許文献2には、車間距離センサが出力した情報から後続車の煽り走行を検出した場合、ドライバの目に後続車が入らないように、ルームミラーによる後方視界を通常状態から変更する運転支援装置が開示されている。この装置は、ドライバの不安感を軽減させることによって、運転ミスによる事故の発生を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-120786号公報
【特許文献2】特開2010-271906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1が示すヘッドマウントディスプレイ装置は、視界を表示する画面において、視界を過度に遮らずにわかりやすく使用者に注意を促すため、アイコンや図形等を、注意を要する場所の近傍に表示する。この場合、使用者は、視界を表示する画面に表示されるアイコンや図形が示す意味を事前に理解していないと、危険を察知することが遅れる虞がある。また、使用者が、注意を要する場所の近傍に表示されたこれらのアイコンや図形を見逃す可能性もある。すなわち、特許文献1に記載された技術は、使用者が危険を着実に察知できるように、その危険を使用者に着実に通知するという課題を解決するには不十分である。また、特許文献2にも、この課題を解決する技術は示されていない。
【0007】
本願発明の主たる目的は、上述した課題を解決した、視界制御装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明の一態様に係る視界制御装置は、自装置の周辺環境の状態が計測された結果を表す環境情報が示す値が、所定の判定条件を満たす場合に、ユーザの視界を覆う透明性を有する物体に関する状態、あるいは、表示装置によって表示され当該視界を構成する視界画像に関する状態が変化するよう、前記物体に関する状態あるいは前記視界画像に関する状態を変更可能な視界変更装置を制御する制御手段を備える。
【0009】
上記目的を達成する他の見地において、本願発明の一態様に係る視界制御方法は、自装置の周辺環境の状態が計測された結果を表す環境情報が示す値が、所定の判定条件を満たす場合に、ユーザの視界を覆う透明性を有する物体に関する状態、あるいは、表示装置によって表示され当該視界を構成する視界画像に関する状態が変化するよう、前記物体に関する状態あるいは前記視界画像に関する状態を変更可能な視界変更装置を制御する。
【0010】
また、上記目的を達成する更なる見地において、本願発明の一態様に係る視界制御プログラムは、自装置の周辺環境の状態が計測された結果を表す環境情報が示す値が、所定の判定条件を満たす場合に、ユーザの視界を覆う透明性を有する物体に関する状態、あるいは、表示装置によって表示され当該視界を構成する視界画像に関する状態が変化するよう、前記物体に関する状態あるいは前記視界画像に関する状態を変更可能な視界変更装置を制御する制御処理をコンピュータに実行させる。
【0011】
更に、本発明は、係る視界制御プログラム(コンピュータプログラム)が格納された、コンピュータ読み取り可能な、不揮発性の記憶媒体によっても実現可能である。
【発明の効果】
【0012】
本願発明は、使用者が危険を着実に察知できるように、その危険を使用者に通知することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本願発明の第1の実施形態に係る視界制御システムの構成を示すブロック図である。
図2】本願発明の第1の実施形態に係る視界制御システムを実装したメガネの斜視図である。
図3】本願発明の第1の実施形態に係る視界制御システムの動作を示すフローチャートである。
図4】本願発明の第2の実施形態に係る視界制御装置の構成を示すブロック図である。
図5】本願発明の各実施形態に係る視界制御装置の制御部及び判定部を実行可能な情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本願発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る視界制御システム1の構成を概念的に示すブロック図である。本実施形態に係る視界制御システム1は、視界制御装置10、計測装置20、視界変更装置30、及び、メガネレンズ40を備えている。
【0016】
メガネレンズ40は、一般的なメガネレンズである場合もあれば、可視光が透過する透過率を電気的な制御によって変更可能な素材を含むレンズ等である場合もある。本実施形態では、メガネレンズ40を、例えば自動車のフロントガラスに置き換えてもよい。あるいはまた、本実施形態では、メガネレンズ40を、周辺の視界を表示するヘッドマウントディスプレイ装置等の表示装置に置き換えてもよい。
【0017】
計測装置20は、計測機器21を備えている。計測機器21は、周辺環境の状態を計測する機器である。計測機器21は、例えば、温度や湿度等を計測するセンサである場合もあれば、有毒ガスや放射線等を計測するセンサである場合もある。また、計測機器21は、例えば、周辺の映像を撮影するカメラである場合もあれば、音を集音するマイクロフォンである場合もある。計測機器21は、周辺環境の状態を、例えば継続的に計測することができる。この際、計測機器21は、一定時間毎に計測してもよいし、所定の条件を満たした場合に計測してもよい。計測装置20は、計測機器21が計測して得た計測データを、アナログデジタル変換、及び、スケール変換等を行うことによって、環境情報200を時系列に生成する。計測装置20は、生成した環境情報200を、視界制御装置10へ入力する。
【0018】
視界変更装置30は、視界制御装置10によって制御され、メガネレンズ40に関する状態を変更する。メガネレンズ40に関する状態とは、具体的には、例えば、メガネレンズ40を透過する可視光の透過率である。視界制御システム1が、一般的なメガネレンズ40、あるいは、自動車のフロントガラスを備えている場合、視界変更装置30は、例えば水蒸気を噴霧する噴霧器を備える。視界変更装置30がメガネレンズ40あるいは自動車のフロントガラスに水蒸気を噴霧することによって、メガネレンズ40あるいは自動車のフロントガラスを透過する可視光の透過率が低下する。尚、噴霧器が自動車のフロントガラスに水蒸気を噴霧する場合、自動車の運転に支障が出ない程度に、フロントガラスを曇らすようにしなければならない。
【0019】
また、メガネレンズ40が、可視光が透過する透過率を電気的な制御によって変更可能な素材を含むレンズである場合、視界変更装置30は、電気的な制御によって当該透過率を変更する。メガネレンズ40が含む素材が、電気的な制御によって、透過する可視光の色を変更可能である場合は、視界変更装置30は、例えば、メガネレンズ40を通した使用者の視界が、全体或いは略全体に亘って赤くなるように、メガネレンズ40に関する状態を変更してもよい。
【0020】
視界制御システム1が、メガネレンズ40の代わりに周辺の視界を表示するヘッドマウントディスプレイ装置等の表示装置を備えている場合、視界変更装置30は、この表示装置が表示する画像に関する透明度あるいは色調等を変更する画像処理を行う。
【0021】
視界変更装置30は、視界制御装置10からの指示を受けて、状態を変更したメガネレンズ40に関する状態を元の状態に戻す。視界変更装置30は、例えば、メガネレンズ40を温める機能を備え、曇ったメガネレンズ40を周辺温度と同じ温度にすることによって、メガネレンズ40の曇りを解消する。視界変更装置30は、自動車のフロントガラスの車両外部側を水蒸気によって曇らせた場合、例えば、ワイパーを作動させることによって、フロントガラスの曇りを解消する。視界変更装置30は、自動車のフロントガラスの車両内部側を水蒸気によって曇らせた場合、例えば、デフロスターを作動させることによって、フロントガラスの曇りを解消する。
【0022】
視界変更装置30は、メガネレンズ40について、可視光が透過する透過率を電気的な制御によって変更した場合、当該透過率を元の値に戻す。視界変更装置30は、ヘッドマウントディスプレイ装置等の表示装置が表示する画像に関する透明度あるいは色調等を変更する画像処理を行った場合、表示画像を、当該画像処理を行う前の状態に戻す。
【0023】
上述した通り、視界変更装置30は、メガネレンズ40、あるいは、自動車のフロントガラス、あるいは、ヘッドマウントディスプレイ装置等の表示装置が表示する画像に関する状態を変更することによって、使用者の視界の状態を変更する。
【0024】
視界制御装置10は、判定部11、制御部12、及び、スイッチ13を備えている。判定部11、及び、制御部12は、電子回路の場合もあれば、コンピュータプログラムとそのコンピュータプログラムに従って動作するプロセッサによって実現される場合もある。
【0025】
判定部11は、周辺環境の状態が危険であるか否かを判定する際の基準となる判定条件110を内部メモリ(図1には不図示)に記憶している。判定条件(判定条件を表す情報)110は、例えば、計測機器21が温度や湿度等を計測するセンサである場合は、温度や湿度等に関する閾値である。判定条件110は、例えば、計測機器21が有毒ガスや放射線等を計測するセンサである場合は、有毒ガスの濃度や放射線量に関する閾値である。判定条件110は、例えば、計測機器21が周辺の映像を撮影するカメラである場合は、刃物等の危険物に関する画像情報である。
【0026】
判定部11は、計測装置20から入力された環境情報200が示す値が、判定条件110を満たすか否かを判定する。判定部11は、例えば、環境情報200が示す温度や湿度、あるいは、有毒ガスの濃度や放射線量が、判定条件110が示す閾値以上である場合、周辺環境の状態が危険であると判定する。判定部11は、例えば、環境情報200が示す周辺の映像に、判定条件110が示す刃物等の危険物に関する画像が含まれている場合、周辺環境の状態が危険であると判定する。判定部12は、判定結果を制御部12へ入力する。判定部11は、この判定を一定時間毎に行ってもよいし、所定の条件を満たした場合に行ってもよい。
【0027】
制御部12は、判定部11から入力された判定結果が、周辺環境の状態が危険であることを示す場合、使用者がメガネレンズ40を通して見る視界の状態が変化するよう、視界変更装置30を制御する。
【0028】
制御部12は、メガネレンズ40等に関する状態を変更するよう、視界変更装置30に指示したのち、判定部11から危険が解消されたことを示す判定結果を入力された場合、視界変更装置30に、変更した視界の状態を元に戻すように指示する。
【0029】
スイッチ13は、使用者が押圧可能なスイッチである。制御部12は、視界変更装置30が使用者の視界を変更している最中に、使用者がスイッチ13を押圧したことを検知する。この場合、制御部12は、変更した視界の状態を元の状態に戻すように、視界変更装置30に指示する。この際、制御部12は、視界の状態を変更している最中であるか否かを示す情報を記憶するメモリを内蔵することによって、視界の状態を変更している最中であるか否かを判断してもよい。あるいは、制御部12は、メガネレンズ40等に関する状態を示す情報を視界変更装置30から入手することによって、視界の状態を変更している最中であるか否かを判断してもよい。
【0030】
尚、制御部12は、使用者がスイッチ13を押圧したことによって、視界の状態が元の状態に戻ったのちは、判定部11から、新たな危険が発生したことを通知されるまで、視界の状態を変更しないよう、視界変更装置30を制御する。
【0031】
本実施形態に係る視界制御システム1をメガネ2に実装した例の斜視図を図2に示す。メガネ2は、フレーム前部に計測装置20を備え、周辺環境の状態を計測する。メガネ2は、フレーム側部に、視界制御装置10及び視界変更装置30を備え、周辺環境に関する危険の状態に応じて、メガネレンズ40に関する状態を変更することによって、使用者の視界の状態を変更する。メガネ2は、また、変更した視界の状態を元に戻す場合に使用者が押圧するスイッチ13を、フレーム側部に備えている。
【0032】
次に図3のフローチャートを参照して、本実施形態に係る視界制御システム1の動作(処理)について詳細に説明する。
【0033】
計測装置20は、計測機器21を使用して周辺環境の状態を計測し、計測機器21が計測した結果を基に環境情報200を生成する。計測装置20は、生成した環境情報200を視界制御装置10へ入力する(ステップS101)。視界制御装置10における判定部11は、環境情報200が示す値が判定条件110を満たすか否か確認する。(ステップS102)。
【0034】
環境情報200が示す値が判定条件110を満たす場合(ステップS103でYes)、判定部11は、周辺環境の状態が危険であると判定し、処理はステップS104へ進む。環境情報200が示す値が判定条件110を満たさない場合(ステップS103でNo)、判定部11は、周辺環境の状態が危険でないと判定し、処理はステップS107へ進む。
【0035】
視界変更装置30がまだメガネレンズ40に関する状態を変更していない場合(ステップS104でNo)、制御部12は、メガネレンズ40に関する状態を変更するよう視界変更装置30を制御する(ステップS105)。視界変更装置30は、メガネレンズ40に関する状態を変更し(ステップS106)、全体の処理は終了する。視界変更装置30が既にメガネレンズ40に関する状態を変更している場合(ステップS104でYes)、処理はステップS108へ進む。
【0036】
視界変更装置30がまだメガネレンズ40に関する状態を変更していない場合(ステップS107でNo)、全体の処理は終了する。視界変更装置30が既にメガネレンズ20に関する状態を変更している場合(ステップS107でYes)、制御部12は、メガネレンズ40に関する状態を元の状態に戻すよう視界変更装置30を制御する(ステップS109)。視界変更装置30は、メガネレンズ40に関する状態を元の状態に戻し(ステップS110)、全体の処理は終了する。
【0037】
制御部12が、スイッチ13が押圧されたことを検知した場合(ステップS108でYes)、処理はステップS109へ進む。制御部12が、スイッチ13が押圧されたことを検知していない場合(ステップS108でNo)、全体の処理は終了する。
【0038】
本実施形態に係る視界制御システム1は、使用者が危険を着実に察知できるように、その危険を使用者に通知することができる。その理由は、計測装置20によって計測された周辺環境の状態から、判定部11が周辺環境に危険があると判定したときに、制御部12がメガネレンズ40に関する状態を変更するよう視界変更装置30を制御することによって、使用者の視界の状態を変更するからである。
【0039】
日常生活における様々な局面にいて遭遇する危険を、視覚を通して通知することによって、使用者が危険を迅速に察知することを支援する様々な技術が知られている。しかしながら、危険を使用者に通知したとしても、使用者が通知された内容を理解できない、あるいは、使用者が通知された内容を見逃す可能性がある場合、使用者がその危険を回避できずに人命に関わる虞がある。
【0040】
これに対して、本実施形態に係る視界制御システム1では、判定部11が危険を検知したときに、制御部12は、メガネレンズ40を曇らす等、使用者の視界の状態を変更する制御を行う。すなわち、本実施形態に係る視界制御装置10は、視界の状態を変更するという人間の原始的な感覚に直接的に訴えかけることによって、使用者が直感的かつ迅速に危険を察知することを支援する。これにより、本実施形態に係る視界制御装置10は、使用者が危険を着実に察知できるように、その危険を使用者に通知することができる。尚、視界制御装置10は、使用者による危険の認識をより確実にすべく、使用者の視界の全体あるいは略全体の状態を変更可能な視界変更装置30を、使用者の視界の全体あるいは略全体の状態を変更するように制御してもよい。
【0041】
また、本実施形態に係る視界制御装置10では、判定部11が継続的に危険を検知するので、危険を検知したのち、その危険が解消したことも検知する。制御部12は、判定部11から危険が発生したことを通知されたタイミングにメガネレンズ40を通した視界の状態を変更する制御を行ったのち、判定部11からその危険が解消したことを通知されたタイミングに視界の状態を元に戻す制御を行う。すなわち、本実施形態に係る視界制御装置10は、必要以上に長い間、視界の状態を変更した状態を維持することによって、使用者に必要以上に不便を強いることを防止できる。
【0042】
さらに、本実施形態に係る視界制御装置10では、制御部12が、スイッチ13が押圧されたことを検知する。制御部12は、視界変更装置30が視界の状態を変更している最中に使用者がスイッチ13を押圧したときに、視界の状態を元に戻す制御を行う。使用者がスイッチ13を押圧したときには、使用者は既に危険を察知しているので、たとえその危険が解消していない状態であっても、視界の状態を変更する必要はない。したがって、本実施形態に係る視界制御装置10は、使用者に必要以上に不便を強いることを防止できる。
【0043】
<第2の実施形態>
図4は、第2の実施形態に係る視界制御装置50の構成を概念的に示すブロック図である。
【0044】
本実施形態に係る視界制御装置50は、制御部52を備えている。
【0045】
制御部52は、自装置の周辺環境の状態が計測された結果を表す環境情報600を入手する。制御部52は、環境情報600が示す値が、所定の判定条件520を満たす場合に、ユーザの視界を覆う透明性を有する物体80に関する状態が変化するよう、視界変更装置70を制御する。視界変更装置70は、透明性を有する物体80に関する状態を変更可能な装置である。尚、視界変更装置70が状態を変更する対象は、透明性を有する物体80の代わりに、表示装置によって表示された視界を構成する視界画像であってもよい。
【0046】
本実施形態に係る視界制御装置50は、使用者が危険を着実に察知できるように、その危険を使用者に通知することができる。その理由は、制御部52が、環境情報600及び判定条件520に基づき、周辺環境が危険であると判定したときに、透明性を有する物体80に関する状態を変更するよう視界変更装置70を制御することによって、使用者の視界の状態を変更するからである。
【0047】
<ハードウェア構成例>
上述した各実施形態において図1、及び、図4に示した各部は、電子回路を含む専用のHW(HawdWare)によって実現することができる。また、少なくとも、判定部11、及び、制御部12及び52は、ソフトウェアプログラムの機能(処理)単位(ソフトウェアモジュール)と捉えることができる。但し、これらの図面に示した各部の区分けは、説明の便宜上の構成であり、実装に際しては、様々な構成が想定され得る。この場合のハードウェア環境の一例を、図5を参照して説明する。
【0048】
図5は、本発明の模範的な実施形態に係る視界制御装置を実行可能な情報処理装置900(コンピュータ)の構成を例示的に説明する図である。即ち、図5は、図1及び図4に示した視界制御装置を実現可能なコンピュータ(情報処理装置)の構成であって、上述した実施形態における各機能を実現可能なハードウェア環境を表す。
【0049】
図5に示した情報処理装置900は、構成要素として下記を備えている。
・CPU(Central_Processing_Unit)901、
・ROM(Read_Only_Memory)902、
・RAM(Random_Access_Memory)903、
・外部装置との通信インタフェース904、
・入出力インタフェース906、
情報処理装置900は、これらの構成がバス905(通信線)を介して接続された一般的なコンピュータである。
【0050】
そして、上述した実施形態を例に説明した本発明は、図5に示した情報処理装置900に対して、次の機能を実現可能なコンピュータプログラムを供給する。その機能とは、その実施形態の説明において参照したブロック構成図(図1、及び、図4)における、判定部11、及び、制御部12及び52、或いはフローチャート(図3)の機能である。本発明は、その後、そのコンピュータプログラムを、当該ハードウェアのCPU901に読み出して解釈し実行することによって達成される。また、当該装置内に供給されたコンピュータプログラムは、読み書き可能な揮発性の記憶メモリ(RAM903)またはROM902等の不揮発性の記憶デバイスに格納すれば良い。
【0051】
また、前記の場合において、当該ハードウェア内へのコンピュータプログラムの供給方法は、現在では一般的な手順を採用することができる。その手順としては、例えば、インターネット等の通信回線を介して外部よりダウンロードする方法等がある。そして、このような場合において、本発明は、係るコンピュータプログラムを構成するコード或いは、そのコードが格納された記憶媒体によって構成されると捉えることができる。
【0052】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 視界制御システム
10 視界制御装置
11 判定部
110 判定条件
12 制御部
13 スイッチ
20 計測装置
21 計測機器
200 環境情報
30 視界変更装置
40 メガネレンズ
2 メガネ
50 視界制御装置
52 制御部
520 判定条件
600 環境情報
70 視界変更装置
80 透明性を有する物体
900 情報処理装置
901 CPU
902 ROM
903 RAM
904 通信インタフェース
905 バス
906 入出力インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5