(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(実施例1)
本発明の一実施形態ついて、
図1、
図4、
図5を用いて説明する。
図1は実施例1に係る撮像装置のブロック図である。
図1において、撮像装置100は、撮像部101、信号処理部104、映像信号出力部107、制御部108、メモリ部109で構成されている。
撮像部101は撮像素子102と温度検出部103で構成されている。
撮像素子102は、単板でも三板等の複数板でもよい。
信号処理部104の映像信号処理部105は、FPGA(Field Programmable Gate Array)等で構成されていてもよい。
温度検出部103は、撮像素子102の周辺の温度を検出(測定)するもので、PN接合ダイオード、測温抵抗体、サーミスタ、熱電対等を利用して温度を検出する。温度検出部103は、撮像素子102が単板であれば、撮像素子102内部に設けられ、三板であればプリズム(ダイクロイックミラー)の温度に近い温度となる場所に設けられることが望ましい。
【0011】
撮像素子102は、図示していない入射光を光電変換して得られた映像信号を信号処理部104の映像信号処理部105へ出力する。
映像信号処理部105は、撮像素子102から出力された映像信号に対してレベル調整、白バランス調整、色調補正、輪郭補正、ガンマ補正、ニー補正、シェーディング補正等を行い、映像信号出力部107へ出力する。
映像信号出力部107は、映像信号処理部105から出力された映像信号を例えば、SDI(Serial Digital Interface)信号やUSB3 Vision(商標)信号、GigE Vision(商標)信号にして出力する。なお、映像信号出力部107は、映像信号を圧縮や暗号化して出力してもよい。
制御部108は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等であり、撮像装置100全体を制御する。
【0012】
メモリ部109は、撮像素子102の温度特性に対する補償値等を記憶している。
メモリ部109に記憶している各温度に対する補償値等は、予め個別に取得したもの、または複数台の撮像装置100から取得した変動特性を評価して生成したものである。評価は一例として、撮像装置の実際の使用環境を想定して、自然光(AM1.5)或いは高演色性(Ra>95)の工業用LED照明下で、カラーチャート(マンセル色見本)を撮影して行う。
制御部108は、温度検出部103の温度値を常時読み取り、その温度に対する補償値をメモリ部109に記憶している補償値テーブルから読み出して色相等の補正を行う。
【0013】
図4は本実施例1の撮像装置のメモリ部に記憶している補償値テーブルを説明するための図である。
図4の補償値テーブルは、温度が25℃を基準に−10℃以下〜100℃以上に対応した色相の補償値である。
図4の色相補償値は、Red,Green,Blue,Cyan,Magenta,Yellowの6色であるが、12色またはリニア補正にも適用可能である。
【0014】
補償値テーブルに無い温度の場合は、例えば、制御部108が該当の温度に最も近い2つの補償値をメモリ部109から読み出し、該読み出した2つの補償値を直線補間して、補償値を生成する。
【0015】
図5は本実施例1の撮像装置の補償値を生成するための手段を説明するための図である。
図5は、撮像装置100の映像信号出力をベクトルスコープ上に表示した図である。ベクトルスコープは、横軸と縦軸にクロミナンス(Cb=B-YとCr=R-Y)を伝統的に用いるが、ここでは、原点から放射方向が飽和度であり、円周方向が色相であるとする。6色の色相補償値は、ベクトルスコープを用いて所定間隔(例えば、10℃)の温度毎に生成する。
【0016】
撮像装置100は、ベクトルスコープ上でRedの場合、温度検出部103で検出した温度が25℃の時、飽和度を127(可変範囲0〜255)に調整し、色相を127(可変範囲0〜255)に調整する。
制御部108は、例えば、温度検出部103が検出した温度値0℃を読み取った場合、
図4のRedの補償値が0.03であるため、色相の127に対して127x0.03≒4を加算して色相を131に補償する。
なお、12色やリニア等の多点の色相補償値は、HSV(色相(Hue)、彩度(Saturation・Chroma)、明度(Value・Lightness・Brightness))色空間等を表示できる表示装置を用いて所定間隔(例えば、5℃)の温度毎に生成してもよい。
【0017】
図2は本実施例1の撮像装置の映像信号処理部105に含まれる色補正回路のブロック図である。
図2の色補正回路は、特許文献4に開示されたいわゆる6色独立マスキングと呼ばれるもので、HSV色空間を、色相を基準に原色及び補色のRed、Yellow、Green、Cyan、Blue、Magentaで6領域に分割し、各領域毎に独立に色相と彩度を調整できるものである。多くの場合、領域は、6色中の最大値で判断、或いはR-Bなどの3つの差信号の符号の組合せにより判断し、補正値はそれら差信号から生成される。
【0018】
具体的には、本例が用いる特許文献4の色補正回路では、下記のように補正が行われる。
【表1】
【0019】
ここで、K4〜K6、K10〜K12は色相に関する係数であり、
図4の補償値テーブルの補償値に、ユーザー設定値(もしあれば)を加算した値が設定される。K1〜K3、K7〜K9は、主に彩度に関する係数であり、本例では必須ではなく、例えばユーザー設定値(もしあれば)がそのまま設定される。
補正は、境界上では0で領域内部へ行くほど線形に大きくなり、
図2の色補正回路のみでは、境界付近の色は補正しにくい。その場合は、特許文献5や6のように境界の位置を異ならせた同様の6色補正回路をもう1系統備えるとよい。
【0020】
(実施例2)
本発明のさらに他の一実施形態ついて、
図3を用いて説明する。
図3は本発明の実施例2の撮像装置を説明するためのブロック図である。
図1との相違点は、温度検出部が撮像部に2つ設けられていることである。
図3において、撮像装置300は、撮像部101、信号処理部204、映像信号出力部107、制御部308、メモリ部309で構成されている。
撮像部101は撮像素子102と温度検出部103で構成されている。
温度検出部103は、
撮像素子102の周辺(プリズムやその他の光学素子)の温度を検出するものである。
信号処理部204は、映像信号処理部105と温度検出部206で構成されている。
温度検出部206は、
映像信号処理部105の周辺の温度を検出するものである。
【0021】
撮像素子102は、図示していない入射光を光電変換して得られた映像信号を信号処理部204の映像信号処理部105へ出力する。
映像信号処理部105は、撮像素子102から出力された映像信号に対してレベル調整、白バランス調整、色調補正、輪郭補正、ガンマ補正、ニー補正、シェーディング補正等を行い、映像信号出力部107へ出力する。
映像信号出力部107は、映像信号処理部105から出力された映像信号を例えば、SDI信号またはネットワークに配信できる信号等に変換して出力する。
制御部308は、例えば、CPU等であり、撮像装置300全体を制御する。
【0022】
メモリ部309は、撮像素子102を構成するシリコンフォトダイオードの量子効率の波長依存性(分光感度特性)の温度特性や、撮像素子102のオンチップカラーフィルタの温度特性(もしあれば)に対する補正値等と、撮像部101の光学的な温度特性に対する補正値等を、
撮像素子の温度特性に対する補正値テーブルとして記憶している。
さらに、メモリ部309は、映像信号処理部105の出力信号の温度特性に対する補正値テーブルを記憶している。
メモリ部309に記憶している各温度に対する補正値は、予め個別に取得したもの、または複数台の撮像装置300から取得した変動特性を評価して生成したものである。
制御部308は、温度検出部103と温度検出部206の温度値を常時読み取り、その温度に対する補正値をメモリ部309に記憶している補正値テーブルから読み出し、両補正値を加算したものを、
図2のような色補正回路に与えることで、色相等の補正を行う。
制御部308は、温度検出部103と温度検出部206が検出した温度値を常時読み取ることにより、撮像素子102の温度特性による変動と、
映像信号処理部105の温度特性による変動の両方を補正するができる。
【0023】
本発明の実施形態である撮像装置は、外部温度および内部温度に対応させた補正を行うことで良好な映像信号を出力することができる。
【0024】
以上本発明について詳細に説明したが、本発明は、ここに記載された撮像装置に限定されるものではなく、上記以外の撮像装置に広く適用することができることは言うまでもない。
なお、上述した実施形態では、検出した温度に対応した色相補正する場合を例にあげて説明した。しかし本発明はこれに限定されるものではなく、温度変動のある項目についても適用できる。