(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえに本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされ、長期保管しても接着強度の経時変化が小さく、良好な開封性を維持できる蓋用ラベルとそれを備えた包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究を重ね、裏面の粘着剤層の種類を溶剤型ではなく紫外線硬化型のホットメルト粘着剤とすると共にそのゲル分率を所定の範囲に調整することによって接着強度の経時変化を小さくできるということを見いだした。即ち、本発明に係る蓋用ラベルは、被包装物を取り出すための取り出し口を覆うように包装材に剥離可能且つ再貼着可能に貼着される蓋用ラベルであって、裏面の粘着剤が、紫外線硬化型のホットメルト粘着剤であり、且つ、そのゲル分率が65〜80重量%であることを特徴とする。
【0007】
該構成の蓋用ラベルにあっては、裏面の粘着剤が、溶剤型ではなく紫外線硬化型のホットメルト粘着剤であって、しかも、そのゲル分率が65〜80重量%であるので、倉庫等で長期保管しても粘着剤の接着強度の経時変化が小さく、従って長期保管後においてもスムーズに包装材から剥離することができる。
【0008】
特に、50℃で一ヶ月保管後の包装材への接着強度が1.0〜4.0N/25mmであることが好ましく、封緘性と開封性を両立させることができる。
【0009】
また、室温で24時間保管後の包装材への接着強度が0.5〜3.5N/25mmであることが好ましく、より一層良好な封緘性と開封性が得られる。
【0010】
また、本発明に係る包装体は、上述したような蓋用ラベルを備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、裏面の粘着剤として紫外線硬化型のホットメルト粘着剤を使用すると共にそのゲル分率を65〜80重量%とすることにより、倉庫等で長期保管しても接着強度が過度に大きくなることはなく、良好な開封性を維持でき、また、封緘性も確保される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る包装体とそれに使用される蓋用ラベルについて
図1〜
図3を参酌しつつ説明する。
図1及び
図2に示す包装体1は、各種の被包装物が軟質包装材によってピロー包装等により包装された軟包体であって、被包装物を包装する包装材としての包装袋1と、それに貼着された蓋用ラベル2とを備えている。包装形態や種類、形状等は特には限定されないが、一例としては、被包装物としてのウエットティッシュが柔軟な包装袋1によって密封包装された包装体を例示できる。この包装体の場合、内容物であるウエットティッシュ(ウエットシート)が略矩形に形成されて多数枚積層された状態で収容されており、従って、ウエットティッシュの積層体は略直方体形状であり、それがピロー包装されて形成された包装体もまた略直方体形状となる。
【0014】
包装袋1の上面には被包装物を包装袋1から取り出すための取り出し口10が形成され、該取り出し口10を蓋用ラベル2が覆っている。
図1等において取り出し口10の外縁を破線で示しており、その破線の内側の部分が取り出し口10である。該取り出し口10は包装袋1に予め開口して設けられた構成であってもよいし、包装袋1に各種の切り込み線が形成され、該切り込み線で囲まれた包装袋1の内側部分が蓋用ラベル2に貼着しつつ外側部分から切離することによって開口する構成であってもよい。切り込み線は、ハーフカットを含む各種の破断線であってよく、例えば円形状や楕円形状、矩形状、コの字状等であってよい。取り出し口10の位置は好ましくは上面の中央部である。また、取り出し口10の形状は任意であるが、包装袋1の上面が長方形であるためその長辺に沿って長い形状とすることが好ましい。尚、図示しないが、包装袋1の底面には背貼り部(ヒートシール部)が形成されている。
【0015】
包装袋1を構成する包装フィルムは、特には限定されず、単層又は多層の合成樹脂フィルム、該合成樹脂フィルムにアルミニウム箔等の金属箔を積層した積層フィルム、合成樹脂と紙の積層フィルム等、各種の柔軟なフィルムを用いることができる。包装フィルムはガスバリア性や遮光性等を有するものであってもよい。特に、合成樹脂フィルムとしてPETフィルムを用いることが、ラミネート時の貼り合わせ安定性、印刷適性等に優れるため好ましい。尚、包装フィルムが積層フィルムである場合には、PETフィルムを外層として使用することが好ましい。また、包装フィルムは、袋状に形成する際にヒートシールできるようにするため、シーラント層を有するものが好ましい。包装フィルムの厚みは、例えば30〜300μm程度である。
【0016】
蓋用ラベル2は、包装袋1の上面に剥離可能且つ再貼着可能に貼着されていて、取り出し口10を開閉自在に覆っている。蓋用ラベル2の形状は取り出し口10を覆うことができるものであればよく、従って、取り出し口10よりも大型である。取り出し口10が平面視略長方形の包装袋1の上面の長辺に沿って長い形状であるため、蓋用ラベル2もまた包装袋1の上面の長辺に沿って長い形状とされ、具体的には長方形とされ、その長手方向が剥離方向(開封方向)とされる。
図2において矢印Aの方向が剥離方向である。この剥離方向は蓋用ラベル2の長手方向と略一致しており、図中向かって左側である蓋用ラベル2の一端側が剥離方向の始端側となり、同じく向かって右側である蓋用ラベル2の他端側が剥離方向の終端側となる。
【0017】
蓋用ラベル2は、一端側を始端側とし他端側を終端側として包装袋1から剥離されて取り出し口10を開口させる開閉部20と、該開閉部20を支持する支持部21とを備えている。
図2等において開閉部20と支持部21との間には二点鎖線で仮想的に境界線を引いている。本実施形態では、蓋用ラベル2の一端側に開閉部20が位置し他端側に支持部21が位置している。そして、その開閉部20と支持部21との境界付近に、蓋用ラベル2の剥離を止めるためのストッパー用切り込み線22が形成されている。即ち、ストッパー用切り込み線22は、蓋用ラベル2の剥離終端側(他端側)に形成されている。該ストッパー用切り込み線22の形状も種々であってよいが、一例としては
図1等のようなU字状とすることができ、蓋用ラベル2の幅方向に間隔をあけて一対設けることができる。また、蓋用ラベル2の剥離開始側の端部である一端部には、包装袋1に対して非接着とされた摘み部23が形成されている。該摘み部23の形状は任意であるが、例えば
図1等のように半円状とすることができる。但し、摘み部23を半円状等の突出形状とするのではなく、蓋用ラベル2の全幅に亘って非接着の領域を帯状に形成することによってその帯状の領域を摘み部23としてもよい。尚、非接着とは非常に小さい力で剥離する程度の弱接着のものも含む。
【0018】
蓋用ラベル2の裏面は、包装袋1に対して剥離可能且つ再貼着可能な接着部と、包装袋1に非接着な非接着部とに区画され、摘み部23の裏面が非接着部とされ、他の部分が接着部とされる。上述したように非接着部は非常に小さい力で剥離する弱接着の状態を含むものとする。
【0019】
ここで、蓋用ラベル2の層構造について説明する。蓋用ラベル2は、
図3のように、ベースフィルム30と、該ベースフィルム30の裏面に積層された粘着剤層31と、ベースフィルム30の表面に形成された印刷層32,33と、ベースフィルム30の表側にラミネート層34を介して積層された保護フィルム35とを備えている。
【0020】
ベースフィルム30は、各種の柔軟なフィルムから構成され、特には種々の透明なプラスチックフィルムが使用される。プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレートやポリ乳酸などのエステル系樹脂、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体等のスチレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂を含む延伸フィルム等を用いることができ、その中でも機械的強度に優れることから、これらの二軸延伸フィルムを用いることが好ましい。特に、二軸延伸ポリエステル系フィルムを使用することが好ましい。ベースフィルム30の厚さも特には限定されないが、例えば25μm〜120μmであり、好ましくは30μm〜100μmである。ポリエチレンテレフタレートフィルムの場合、厚さは35〜75μmとすることが好ましい。尚、ベースフィルム30は、合成樹脂フィルムの他、紙や不織布、合成紙等であってよい。
【0021】
印刷層として、種々の文字や図柄のデザイン印刷層32が形成される。該デザイン印刷層32は、各種の印刷手法によって、印刷手法に適合した各種のインキをベースフィルム30に塗工し、硬化させることによって形成される。尚、
図3(a)のように、ベースフィルム30の表面にデザイン印刷層32を直接形成してもよいし、ベースフィルム30に例えば透明なフィルムを使用する場合において
図3(b)のようにベースフィルム30の表面に白色ベタ印刷層や銀色ベタ印刷層等のベタ印刷層33を形成し、該ベタ印刷層33の上に更にデザイン印刷層32を形成するようにしてもよい。包装袋1のデザインを蓋用ラベル2を介して見せるデザイン構成の場合には、ベースフィルム30に透明フィルムを使用して、
図3(a)のようにベースフィルム30の所定箇所のみにデザイン印刷層32を形成する。一方、蓋用ラベル2に包装袋1とは異なるデザインを施したデザイン構成の場合には、
図3(b)のように、ベースフィルム30の表面に下地層としてベタ印刷層33を形成し、その上にデザイン印刷層32を形成する。印刷層としては、紫外線硬化型インキ等が使用できる。
【0022】
ラミネート層34は、印刷層を表側から覆うようにベースフィルム30の全体に亘って積層されていて、ベースフィルム30と保護フィルム35とを積層一体化させる接着剤層である。該ラミネート層34は、ドライラミネート、UVラミネート等の各種ラミネート法により形成される。該ラミネート層34も透明である。
【0023】
保護フィルム35は印刷層を表側から保護するためのものであって、透明なフィルムが使用される。該フィルムには、上述したベースフィルム30と同様の透明フィルムが使用可能である。尚、保護フィルム35及びラミネート層34を省略してもよい。
【0024】
粘着剤層31は、粘着剤をベースフィルム30の裏面に塗布することにより形成される。この粘着剤としては、従来のような溶剤系ではなく、紫外線硬化型のホットメルト粘着剤が使用され、詳細には、紫外線硬化型のアクリル系ホットメルト粘着剤が使用される。粘着剤層31の厚さは、例えば10〜30μmである。粘着剤は、ゲル分率が65〜80重量%のものである。ゲル分率が65〜80重量%であると、封緘性(取り出し口10の密封性)に優れ、且つ、長期保管後においても良好な剥離性(開封性)が確保される。ゲル分率が65重量%未満であると、長期保管後の接着強度が大きくなり過ぎてスムーズに剥離しにくくなって開封性が劣ることになる。逆にゲル分率が80重量%を超えると、包装袋1に対する接着強度が小さくなって封緘性が劣り、特に包装袋1に蓋用ラベル2を接着した直後である初期の接着強度が不足しやすい。
【0025】
<ゲル分率の定義>
ここで、ゲル分率は、以下のように定義される。粘着剤層31を200メッシュの金網で包んだものの重量を測定し、該重量を浸漬前重量とする。この粘着剤層31を200メッシュの金網で包んだものを、テトラヒドロフランに24時間浸漬させた後、1時間超音波照射を行い、テトラヒドロフランから取り出して、テトラヒドロフランを乾燥、除去させた後の重量を測定し、該重量を浸漬後重量とする。そして、下記式により、ゲル分率を求める。
ゲル分率(重量%)=(浸漬後重量−金網の重量)/(浸漬前重量−金網の重量)×100
【0026】
ゲル分率は、紫外線硬化型のアクリル系ホットメルト粘着剤のベースポリマーであるアクリル系プレポリマーの組成、重量平均分子量、及び含有量により、また、紫外線硬化型アクリル系ホットメルト粘着剤に含まれる光重合開始剤の種類及び含有量により、また、紫外線の光量(積算光量)等により、適宜調整することができる。
【0027】
紫外線硬化型のアクリル系ホットメルト粘着剤は、アクリル系プレポリマーを主成分として含有し、紫外線によって硬化(架橋)可能なホットメルト粘着剤であればよく、アクリル系プレポリマー、光重合開始剤、粘着付与剤を含むことが好ましい。粘着付与剤を含むと初期の接着強度に優れる。
【0028】
尚、粘着剤層31はベースフィルム30の裏面の全体に形成される。該粘着剤層31の裏面全体のうちの一部にいわゆる「糊殺し」や「糊抑え」とも称されるマスキング層が形成されることによって、蓋用ラベル2の裏面が接着部と非接着部とに区画される。即ち、マスキング層が形成された部分は、マスキング層が形成されずに残った部分に比して接着力が小さくなる。従って、粘着剤層31の裏面のうちマスキング層が形成された部分が非接着部となり、粘着剤層31の裏面のうちマスキング層が形成されずに残った部分が接着部となる。マスキング層は、マスキング剤を用いて公知の印刷手法によって形成できる。マスキング剤としては、非粘着性で紫外線により硬化する層であって粘着剤層31の上に形成できるものが好ましく、紫外線硬化型インキ等が使用できる。但し、ベースフィルム30の裏面全体に粘着剤層31を形成するのではなく、接着部に対応するベースフィルム30の裏面のみに粘着剤層31を形成し、非接着部に対応するベースフィルム30の裏面には粘着剤層31を形成しないようにして、接着部と非接着部とを区画形成してもよい。
【0030】
粘着剤を種々変えてサンプルを作成し、評価を行った。評価結果を表1に示す。尚、表中、「UVホットメルト」は紫外線硬化型のアクリル系ホットメルト系粘着剤であり、接着強度は、包装材としてのPETフィルムに対するものである。また、「保管後変化率」は、保管後の接着強度と、室温24時間後の接着強度(初期の接着強度)とを比較したものであり、((保管後の接着強度)−(室温24時間後の接着強度))÷(室温24時間後の接着強度)により計算している。この「保管後変化率」の値が大きい程、接着強度の経時変化が大きく、逆に、「保管後変化率」の値が小さい程、接着強度の経時変化が小さい。
【0031】
接着強度の測定は、JIS Z 0237準拠の方法で、以下のようにして行った。ラベル片を25mm幅で長さ150mmにカットし、手動式圧着装置(JIS Z 0237 10.2.4記載)にてPETフィルム(東洋紡社製 二軸延伸PETフィルム:E5100)の非コロナ処理面に貼り付けた。貼り付け後、常温(室温、23±2℃、RH60±5%)で24時間保管した後に、島津製作所製オートグラフAG−I 500Nにて300mm/minの速度で接着強度を測定し、凹凸平均試験力を測定値とした。この室温24時間後の接着強度を初期の接着強度とする。尚、50℃で一ヶ月の保管とは、上述したようにPETフィルムに貼り付けた後、ドライオーブン(アドバンテック東洋社製 FC410)にて50℃で一ヶ月保管したものであり、測定は、その保管後、更に常温で1時間保管した後に、上記と同じ方法で行って接着強度を測定した。
【0032】
表1に示す実施例1〜3の場合には、封緘性も良好であり、長期保管後の剥離性も良好であった。また、実施例1〜3の場合には、保管後変化率が4〜20%と長期保管後の粘着剤の接着強度の経時変化が小さい。一方、溶剤系の粘着剤を使用した比較例1では、長期保管後の接着強度が大きくなりすぎて、剥離性が悪化し、スムーズに剥離することが困難であった。また、比較例2では、実施例1〜3と同じ紫外線硬化型のアクリル系ホットメルト粘着剤であってもゲル分率が62.3重量%と低いため、長期保管後の接着強度が大きくなりすぎて、良好な剥離性が得られず、スムーズに剥離することが困難であった。尚、実施例1〜3のうちゲル分率が最も大きいものは実施例3の76.3重量%であるが、ゲル分率が大きくなると、初期の接着強度が小さくなる。従って、ゲル分率が大きくなり過ぎると、初期の接着強度が小さくなりすぎ、封緘性に問題が生じる。このように、ゲル分率を65〜80重量%に調整することにより、封緘性と剥離性を両立させることができる。また、50℃で一ヶ月保管した後の接着強度は、封緘性と剥離性を両立させる観点から、1.0〜4.0N/25mmであることが好ましい。尚、初期の接着強度が0.5N/25mm未満になると、初期の接着強度が不足して封緘性に問題が生じる。そのため、初期の接着強度は最低でも0.5N/25mmは必要になる。逆に、初期の接着強度が大きく過ぎると保管後の剥離性が問題となるため、初期の接着強度は3.5N/25mm以下であることが好ましい。従って、初期の接着強度は、0.5〜3.5N/25mmであることが好ましく、特には1.0〜3.2N/25mmであり、より好ましくは、1.5〜3.0N/25mmである。また、保管後変化率は、25%以下であることが好ましい。
【0033】
尚、上記実施形態では、包装材が柔軟なフィルムを袋状に形成した包装袋1である場合について説明したが、それには限られず、例えば、紙や合成樹脂シートの組立て箱や合成樹脂製の成形容器、ガラス製の容器、金属製の容器等であってもよく、包装材の種類や材質も任意である。