特許第6534842号(P6534842)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6534842ダイアフラムバルブ、流体制御装置およびこれらを用いた半導体製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6534842
(24)【登録日】2019年6月7日
(45)【発行日】2019年6月26日
(54)【発明の名称】ダイアフラムバルブ、流体制御装置およびこれらを用いた半導体製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16K 7/16 20060101AFI20190617BHJP
   F16K 27/02 20060101ALI20190617BHJP
   F16K 27/00 20060101ALI20190617BHJP
   F16K 31/524 20060101ALI20190617BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20190617BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20190617BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20190617BHJP
【FI】
   F16K7/16 B
   F16K27/02
   F16K27/00 B
   F16K31/524 B
   F16K7/16 D
   H01L21/31 F
   H01L21/205
   H01L21/302 101G
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-70884(P2015-70884)
(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2016-191405(P2016-191405A)
(43)【公開日】2016年11月10日
【審査請求日】2018年1月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100186750
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 健司
(72)【発明者】
【氏名】豊田 悠太
(72)【発明者】
【氏名】松田 隆博
【審査官】 谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−129564(JP,A)
【文献】 特開平11−141643(JP,A)
【文献】 特開2004−169810(JP,A)
【文献】 実開平06−035744(JP,U)
【文献】 米国特許第05413311(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 7/16
F16K 27/00
F16K 27/02
F16K 31/524
H01L 21/205
H01L 21/3065
H01L 21/31
F16H 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体流路を画定するとともに、ブロック状のベース部を有するバルブボディと、前記流体流路の一部を画定するように前記バルブボディに設けられて弁体として機能するダイアフラムと、前記ダイアフラムが画定する流体流路の断面積を変更するように第1の方向に移動可能に保持された前記ダイアフラムを操作する操作部材と、前記第1の方向とは異なる第2の方向に移動可能に保持され、前記操作部材と係合することにより前記操作部材を駆動する駆動部材と、を有するダイアフラムバルブであって、
前記操作部材と前記駆動部材は、同じ角度で傾斜した平面からなるカム面を有し、該カム面同士が互いに摺動可能に面接触しており、
前記駆動部材のカム面は、該駆動部材の側面に前記第2の方向に延在して設けられた、断面が略矩形の溝の底面に設けられ、前記操作部材の前記駆動部側の端部は、前記溝に嵌まるように略角柱状に形成され、該操作部材のカム面は、該端部の傾斜した端面であり、
前記駆動部材の前記第2の方向の運動は、カム作用により前記操作部材の第1の方向の運動に変換される、
ことを特徴とするダイアフラムバルブ。
【請求項2】
前記駆動部材のカム面は、前記操作部材のカム面と同じ角度で傾斜した平面と、該平面から屈曲して前記第2の方向に伸びる平面の2つの平面で構成され、前記操作部材が上死点にあるときは、該操作部のカム面は、その先端部が前記駆動部材の前記第2の方向に伸びるカム面に当接している、ことを特徴とする請求項1に記載のダイアフラムバルブ。
【請求項3】
前記駆動部材は、該駆動部材の先端部を挟み込んで互いに締結されることにより該先端部に固定された一対の部材を有し、前記カム面は前記一対の部材の一方に形成されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のダイアフラムバルブ。
【請求項4】
前記バルブボディは、前記ベース部の底面に前記流体流路の開口を有し、前記底面にブロック状継手部材を適用可能に形成されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のダイアフラムバルブ。
【請求項5】
前記駆動部材を含む駆動機構を有し、前記第1の方向から見て、前記駆動機構の少なくとも一部が前記バルブボディのベース部の側面から横方向に突出している、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のダイアフラムバルブ。
【請求項6】
前記駆動機構は、エアシリンダであり、該エアシリンダへ駆動用エアを供給する配管が、前記第2の方向から、該エアシリンダの該第2の方向の端部に接続可能である、ことを特徴とする請求項5に記載のダイアフラムバルブ。
【請求項7】
複数の流体制御機器が集積化された流体制御装置であって、前記複数の流体制御機器の少なくとも一つが請求項1〜6のいずれかに記載のダイアフラムバルブである、ことを特徴とする流体制御装置。
【請求項8】
半導体製造プロセスにおいて使用される流体を制御する流体制御機器として、請求項1〜6のいずれかに記載のダイアフラムバルブを用いることを特徴とする半導体製造方法。
【請求項9】
半導体製造プロセスにおいて使用される流体を制御する流体制御装置として、請求項7
の流体制御装置を用いることを特徴とする半導体製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置等に使用されるダイアフラムバルブ、流体制御装置およびこれらを用いた半導体製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置に用いられるクリーンルームは、ランニングコストの低減等の観点から、小型化が求められている。このため、クリーンルームとともに用いられる、開閉バルブ、マスフローコントローラ等の各種の流体制御機器を集積化して筐体に収容した流体制御装置の小型化も同様に求められている。例えば、特許文献1、2等は、流体制御装置の占有スペースを抑制するための技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−227368号公報
【特許文献2】特開2012−197941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1等の技術では、各流体制御機器のベース部の仕様が標準化され、各流体制御機器の間の接続および各流体制御機器と他の部品との接続が、チューブを介さずに、ブロック状の継手部材により行われている。これにより、流体制御装置の占有スペースの抑制を実現しているが、さらなる占有スペースの抑制に対する要求が存在する。特に、平面的な集積度のみならず、3次元的な集積度を高めることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のダイアフラムバルブは、流体流路を画定するとともに、ブロック状のベース部を有するバルブボディと、 前記流体流路の一部を画定するように前記バルブボディに設けられて弁体として機能するダイアフラムと、 前記ダイアフラムが画定する流体流路の断面積を変更するように第1の方向に移動可能に保持された前記ダイアフラムを操作する操作部材と、 前記第1の方向とは異なる第2の方向に移動可能に保持され、前記操作部材と係合することにより前記操作部材を駆動する駆動部材と、を有するダイアフラムバルブであって、前記操作部材と前記駆動部材は、同じ角度で傾斜した平面からなるカム面を有し、前記駆動部材のカム面は、該駆動部材の側面に前記第2の方向に延在して設けられた、断面が略矩形の溝の底面に設けられ、前記操作部材の前記駆動部側の端部は、前記溝に嵌まるように略角柱状に形成され、該操作部材のカム面は、該端部の傾斜した端面であり、該カム面同士が互いに摺動可能に面接触しており、前記駆動部材の前記第2の方向の運動は、カム作用により前記操作部材の第1の方向の運動に変換される、ことを特徴とする。
【0006】
特定的には、前記駆動部材の前記第2の方向の運動は、カム作用により前記操作部材の第1の方向の運動に変換される。
【0007】
好適には、前記バルブボディは、前記ベース部の底面に前記流体流路の開口を有し、前記底面にブロック状継手部材を適用可能に形成されている。
さらに好適には、前記駆動部材を含む駆動機構を有し、
前記第1の方向から見て、前記駆動機構の少なくとも一部が前記バルブボディのベース部の側面から横方向に突出している。
【0008】
本発明の流体制御装置は、複数の流体制御機器が集積化された流体制御装置であって、
前記複数の流体制御機器の少なくとも一つが上記したいずれかのダイアフラムバルブである、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の半導体製造方法は、半導体製造プロセスにおいて使用される流体を制御する流体制御機器として、上記のいずれかに記載のダイアフラムバルブを用いることを特徴とする。
【0010】
本発明の半導体製造方法は、半導体製造プロセスにおいて使用される流体を制御する流体制御装置として、上記の流体制御装置を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、流体制御装置の3次元的集積度をさらに向上させることができるダイアフラムバルブおよび3次元的集積度が向上した流体制御装置が提供される。この結果、本発明の半導体装置の製造方法によれば、半導体装置の製造プロセスのランニングコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】本発明の一実施形態に係る流体制御装置の正面図。
図1B図1AのIB−IB線に沿った断面図。
図2A】本発明の一実施形態に係るダイアフラムバルブの断面図であって、開放状態を示す。
図2B図2AのIIB−IIB線に沿った断面図。
図2C図2Aのダイアフラムバルブの底面図。
図3A】閉鎖状態にあるダイアフラムバルブの断面図。
図3B図3AのIIIB−IIIB線方向に沿った断面図。
図4A】ストレートヘッドタイプのバルブを集積化した流体制御装置の正面図。
図4B図4AのIVB-IVB線に沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1Aおよび図1Bは、本発明の一実施形態に係る流体制御装置1の正面図および断面図である。また、図2A〜2Cは本発明の一実施形態に係るダイアフラムバルブ10の構造を示す図であって、図2A,2Bはバルブの開放状態を示している。図3A,3Bは図2A,2Bのダイアフラムバルブ10の遮断状態を示している。なお、図2B,3Bにおいて、後述するダイアフラム押さえ30およびコネクタ40については、説明の便宜上、断面にしていない。
この流体制御装置1は、半導体製造プロセスに使用され、例えば、マスフローコントローラの入口側又は出口側の各種ガスの通路を開閉するのに用いられる。なお、本実施形態では、ガスを対象にしているが、これに限定されるわけではなく、液体にも適用可能である。
流体制御装置1において、収容ボックス110内には、水平方向に沿って延在する支持部材120が収容ボックス110の背面側の壁面に固定されている。この支持部材120上に、支持部材120の長手方向に沿って複数のダイアフラムバルブ10が配列されている。すなわち、収容ボックス110内には、ダイアフラムバルブ10が集積されている。
【0014】
図2A〜2Cに示すように、ダイアフラムバルブ10の金属製のバルブボディ11のベース部11Bは、矩形状の底面11aとこの底面11aに直交する4つの側面11dとを有し、ブロック状に形成されている。バルブボディ11のベース部11Bの仕様は、例えば、SEMI規格のF83−0304において標準化されている。
バルブボディ11は、ガス流路12Aおよび12Bを画定しており、各ガス流路12Aおよび12Bの一端部は、底面11aで開口しており、それぞれ出入口11b,11bが形成されている。バルブボディ11のベース部11Bの四隅には、ねじ孔11cがそれぞれ形成されている。ねじ孔11cは、図1A,1Bに示すブロック状の継手部材131および132とバルブボディ11とを締結するのに用いられる。なお、ブロック状の継手部材131は、ガス流路12Aと配管140とを連結している。ブロック状の継手部材132は、支持部材120に固定されているとともに、ガス流路12Bと配管150が側面に接続されたブロック状の継手部材133とを連結している。これにより、配管140と配管150とが連通している。
【0015】
バルブボディ11の上側のガス流路12Aの他方端部には、金属やPFA、PTFE等の樹脂で形成されたバルブシート13が設けられ、このバルブシート13に対向するようにダイアフラム20が設けられている。バルブシート13は環状に形成されている。
ダイアフラム20は、バルブシート13よりも大きな直径を有する円板状に形成され、例えば、ステンレス、NiCo系合金などの金属やフッ素系樹脂で形成されている。図2A,2Bに示すように、バルブが開放されている状態では、ダイアフラム20はバルブシート13に対して凹状に湾曲しており、ガス流路12Aとガス流路12Bとを連通するガス流路12Cを画定している。後述するように、ダイアフラム20が変形することにより、バルブシート13とダイアフラム20との間のガス流路の断面積が変化し、図3A,3Bに示すように、ダイアフラム20がバルブシート13に押し付けられることにより、ガス流路12Cが遮断される。
【0016】
ダイアフラム20上には、操作部材としてのダイアフラム押さえ30が設けられている。ダイアフラム押さえ30は、ダイアフラム20を押圧するための押圧部30a、垂直方向に伸びる断面が円形の軸部30b、傾斜面からなるカム面30fが形成されたカム部30cを有し、軸部30bはバルブボディ11上に固定されたボンネット17のガイド孔17aにより、垂直方向に移動可能に案内されている。すなわち、ダイアフラム押さえ30は、バルブシート13とダイアフラム20との間のガス流路の断面積が変化する方向である操作方向A1,A2に移動可能に案内されている。なお、ガイド孔17aの中途には、ダイアフラム押さえ30のダイアフラム20に対する偏心を抑えるために、OリングR1が設けられている。
ボンネット17の下端面とバルブボディ11の上側に形成された環状の支持部11sとの間には、ダイアフラム20の外周縁部と押さえアダプタ15が介在しており、バルブボディ11と螺合するボンネットナット19を締め付けることにより、ボンネット17,ダイアフラム20および押さえアダプタ15がバルブボディ11に固定されるようになっている。
【0017】
コネクタ40は、上側部材41および下側部材42を有し、駆動部材としてのステムピストン70の先端部71を上下方向から挟むことにより、ステムピストン70に固定されている。上側部材41および下側部材42はボルトにより互いに締結されている。コネクタ40の下側部材42の底面側には、上記したダイアフラム押さえ30のカム部30cの上端部分を受容する溝部42aが形成され、この溝部42aに傾斜面からなるカム面42fが形成されている。カム面42fは、上記したカム部30cのカム面30fと同じ角度で傾斜し、カム面30fおよびカム面42fは、互いに摺動可能に形成されている。
【0018】
カバー50は、中心軸線が途中で90度に曲がった円筒状部材であり、一端がボルトBTによりボンネット17に固定され、他端部にアクチュエータボディ60の先端部が挿入され、アクチュエータボディ60を支持している。アクチュエータボディ60は、ボルトBTによりカバー50に固定されている。
アクチュエータボディ60は、操作方向A1,A2に直交する方向に伸びる、案内孔60aおよびシリンダを形成する内周壁面60bを有し、案内孔60aおよび内周壁面60bによりステムピストン70が操作方向A1,A2に直交する駆動方向B1,B2に移動可能に案内保持されている。
ステムピストン70の先端側の軸部72には、OリングR2を保持する小径の保持部73が形成され、後端側の軸部79には、OリングR4を保持する小径の保持部77が形成されている。ステムピストン70の中途には、拡径されたピストン部74が形成され、ピストン部74の外周にコイルバネ90の一端を受け止めるバネ受け部75およびOリングR3を保持する保持部76が一体的に形成されている。保持部76の先端側の端面76aは、アクチュエータボディ60の内周壁面60bに隣接する端面60cと当接可能となっており、端面60cはステムピストン70のB1方向への移動を規制するストッパとして機能する。
ステムピストン70の内部には、エア流路78が形成され、このエア流路78は一端がステムピストン70の後端面で開口するとともに、先端側の軸部72とピストン部74との境界部で開口している。
OリングR2は、ステムピストン70の軸部72とアクチュエータボディ60との間をシールしており、OリングR3は、ピストン部74の外周の保持部76とアクチュエータボディ60の内周壁面60bとの間をシールしている。これにより、アクチュエータボディ60とステムピストン70との間には、気密な閉空間SP1が形成されている。気密な閉空間SP1は、エア流路78と連通している。
【0019】
アクチュエータボディ60の後端側の外周には、有底円筒状に形成されたアクチュエータキャップ80の先端部がねじ込まれている。アクチュエータキャップ80の底部81には、底面で開口するとともに中心軸線方向に伸びるエア供給路82が形成されている。エア供給路82の一部は、ステムピストン70の後端側の軸部79を案内保持する案内孔83となっている。案内孔83とステムピストン70との間は、OリングR4によりシールされ、エア供給路82に外部から供給される圧縮エアがステムピストン70のピストン部74側へ漏れないようになっている。エア供給路82および案内孔83が形成された円筒部84の先端面84aは、ステムピストン70のピストン部74と当接可能に形成され、ステムピストン70のB2方向への移動を規制するストッパとして機能する。
ステムピストン70のバネ受け部75とアクチュエータキャップ80の底部81との間には、コイルバネ90が設けられており、このコイルバネ90は、ステムピストン70をB1方向へ常時付勢している。
【0020】
次に、上記構成のダイアフラムバルブの作動の一例について説明する。
図3Aに示すように、アクチュエータキャップ80のエア供給路82への圧縮エアの供給を停止したバルブ閉状態では、閉空間SP1内の圧力は大気圧と同じであり、ステムピストン70はコイルバネ90の付勢力によって、保持部76の端面76aがアクチュエータボディ60の端面60cに当接する位置にある。この状態では、コネクタ40がB1方向の最も前進した位置にあり、コネクタ40のカム面42fとダイアフラム押さえ30のカム面30fとの間のカム作用により、ダイアフラム押さえ30はA2方向へ最も押し下げられた位置となる。この結果、ダイアフラム20はA2方向へ押圧されて変形し、バルブシート13に対して凸状に湾曲するとともにバルブシート13に押し付けられる。この結果、ガス流路12Cは遮断される。
【0021】
バルブ閉状態から、図2Aに示すように、アクチュエータキャップ80のエア供給路82へ圧縮エアを供給すると、閉空間SP1内の圧力が高まり、ステムピストン70は、コイルバネ90の付勢力に抗してB2方向に移動する。ステムピストン70がB2方向に移動し、ステムピストン70のピストン部74がアクチュエータキャップ80の円筒部84の先端面84aに当接する位置で停止する。ステムピストン70がB2方向に移動すると、コネクタ40のカム面42fもB2方向に後退し、ダイアフラム押さえ30のカム面30fを押し下げる力が作用しなくなる。ダイアフラム20は自身の復元力又はガス流路12C内の圧力により、バルブシート13に対して凹状に湾曲する状態に復元する。バルブシート13とダイアフラム20との間には一定の隙間が形成される。この結果、ガス流路12Cが開放される。
【0022】
なお、本実施形態のダイアフラムバルブ10では、コネクタ40、カバー50、アクチュエータボディ60、ステムピストン70、アクチュエータキャップ80およびコイルバネ90が、ダイアフラム押さえ30を駆動する駆動機構を構成している。
【0023】
ここで、図4A,4Bは、ダイアフラム押さえの駆動機構をバルブボディ11の横方向に突出させるのではなく、バルブボディ11の上方に延在させたダイアフラムバルブ510を集積化した流体制御装置500を示している。なお、図4A,4Bにおいて、上記実施形態と同様の構成部分については同一の符号を使用している。
図4A図1Aとを比較すると分かるように、いずれの場合も、バルブボディ11のベース部11Bの仕様は標準化されているので、集積度はすでに高められており、本実施形態の収容ボックス110と比較例の収容ボックス610の幅寸法WAは同じである。
一方、図4Bからわかるように、ダイアフラムバルブ510の駆動機構部分であるヘッド511は、バルブボディ11の上方に伸びている。このため、図4B図1Bとを比較すると、収容ボックス110の高さLAと比較例の収容ボックス610の高さLBは、LA<LBとなる。したがって、本実施形態の収容ボックス110のほうが比較例よりも容積が小さく、集積度が高いことがわかる。
図4Bを参照すると、ダイアフラムバルブ510の右側には無駄なスペースSPが形成されていることがわかる。本実施形態によれば、ダイアフラム押さえ30と、これを駆動する駆動機構とを分離し、駆動機構をバルブボディ11の外形から横方向に突出させることで、無駄なスペースSPの有効活用をして集積度を高めることが可能となる。加えて、バルブボディ11は標準化されたものを使用できるため、製造コストの上昇も最低限に抑制できる。
【0024】
上記実施形態では、ステムピストン70の移動方向を、ダイアフラム押さえ30の移動方向に直交する方向としたが、本発明はこれに限定されるわけではなく、斜め方向にすることも可能である。
上記実施形態では、カム機構を用いて運動方向を変換する場合を例に挙げたが、これに限定されるわけではなく、運動方向を変更できる機構であればいずれの機構も採用可能である。
上記実施形態では、ダイアフラム20とダイアフラム押さえ30とが分離しているが、これに限定されるわけではなく、ダイアフラムとこれを操作する操作部材とが連結していても良い。
【0025】
上記実施形態では、いわゆるノーマルクローズのバルブについて説明したが、これに限定されるわけではなく、いわゆるノーマルオープンのバルブにも適用可能である。
上記実施形態では、開閉バルブ(ダイアフラムバルブ)を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるわけではなく、開閉だけでなく流量調整可能なバルブにも適用可能である。
上記実施形態では、ダイアフラムバルブを集積化した流体制御装置を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるわけではなく、ダイアフラムバルブに加えて、マスフローコントローラ等のその他の流体制御機器を集積した流体制御装置にも適用可能である。
上記実施形態では、ベース部の仕様が標準化された矩形状の底面をもつブロック状のバルブボディ11を例示したが、本発明はこれに限定されるわけではなく、将来的に仕様が標準化される可能性のある形状、例えば、円柱形状等の種々のブロック状のバルブボディにも適用可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 流体制御装置
10 ダイアフラムバルブ
11 バルブボディ
13 バルブシート
15 押さえアダプタ
17 ボンネット
19 ボンネットナット
20 ダイアフラム
30 ダイアフラム押さえ(操作部材)
40 コネクタ
41 上側部材
42 下側部材
50 カバー
60 アクチュエータボディ
70 ステムピストン(駆動部材)
80 アクチュエータキャップ
90 コイルバネ
R1,R2,R3,R4 Oリング
BT ボルト
110 収容ボックス
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B