特許第6534845号(P6534845)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6534845
(24)【登録日】2019年6月7日
(45)【発行日】2019年6月26日
(54)【発明の名称】伝送機器の出力調整装置及び伝送機器
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/16 20060101AFI20190617BHJP
   H04N 21/438 20110101ALI20190617BHJP
   H04N 5/00 20110101ALI20190617BHJP
   H04B 1/18 20060101ALI20190617BHJP
   H04N 21/442 20110101ALI20190617BHJP
   H04H 20/12 20080101ALN20190617BHJP
【FI】
   H04B1/16 R
   H04N21/438
   H04N5/00 B
   H04B1/18 C
   H04N21/442
   !H04H20/12
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-73663(P2015-73663)
(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2016-195308(P2016-195308A)
(43)【公開日】2016年11月17日
【審査請求日】2018年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113665
【氏名又は名称】マスプロ電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】坂本 徹
【審査官】 鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/114066(WO,A1)
【文献】 特開2009−218857(JP,A)
【文献】 特開2008−294614(JP,A)
【文献】 特開2010−239540(JP,A)
【文献】 特開2007−104164(JP,A)
【文献】 特開2002−016898(JP,A)
【文献】 特開平06−120850(JP,A)
【文献】 特開2007−201584(JP,A)
【文献】 特開2007−104013(JP,A)
【文献】 特開2006−203267(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/16
H04B 1/18
H04N 5/00
H04N 21/438
H04N 21/442
H04H 20/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレビ放送信号伝送用の伝送機器から出力される伝送信号の出力レベルを調整するための出力調整装置であって、
前記伝送機器から出力される前記伝送信号の中からテレビ放送信号を選局するための選局部と、
前記選局部にて選局された前記テレビ放送信号の信号レベルを測定するレベル測定部と、
前記選局部に対し、前記伝送信号に含まれるテレビ放送信号を複数放送チャンネル選局させ、前記レベル測定部にて測定された信号レベルが最も高い、若しくは所定値番目に高い、放送チャンネルのテレビ放送信号を特定する放送チャンネル特定手段と、
前記選局部に対し、前記放送チャンネル特定手段にて特定された放送チャンネルのテレビ放送信号を選局させ、前記レベル測定部にて検出される信号レベルが所定の目標レベルとなるよう、前記伝送機器からの前記伝送信号の出力レベルを調整するレベル調整手段と、
を備えたことを特徴とする伝送機器の出力調整装置。
【請求項2】
前記目標レベルを設定するための操作部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の伝送機器の出力調整装置。
【請求項3】
テレビ放送信号伝送用の伝送機器から出力される伝送信号の出力レベルを調整するための出力調整装置であって、
前記伝送機器から出力される前記伝送信号の中からテレビ放送信号を選局するための選局部と、
前記選局部にて選局された前記テレビ放送信号の信号品質を検出する信号品質検出部と、
前記選局部にて選局された前記テレビ放送信号の信号レベルを測定するレベル測定部と、
前記選局部に対し、前記伝送信号に含まれるテレビ放送信号を複数放送チャンネル選局させ、前記レベル測定部にて測定された信号レベルが最も高い、若しくは所定値番目に高い、放送チャンネルのテレビ放送信号を特定する放送チャンネル特定手段と、
前記選局部に対し、前記放送チャンネル特定手段にて特定された放送チャンネルのテレビ放送信号を選局させ、前記信号品質検出部にて検出される信号品質が最適となるよう、前記伝送機器からの前記伝送信号の出力レベルを調整するレベル調整手段と、
を備えたことを特徴とする伝送機器の出力調整装置。
【請求項4】
前記テレビ放送信号の伝送経路から伝送信号を取り込み、前記選局部に入力するための入力端子と、
前記入力端子を介して、前記入力端子が接続される前記伝送経路上の伝送機器との間で通信を行うための通信部と、
を備え、
前記レベル調整手段は、前記通信部を介して、前記伝送経路上の伝送機器に出力レベル調整用の制御信号を送信することで、該伝送機器からの前記伝送信号の出力レベルを調整することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の伝送機器の出力調整装置。
【請求項5】
テレビ放送信号の伝送経路に設けられ、該伝送経路を流れる伝送信号を、増幅、分配、分岐、若しくは、他の信号と混合して、端末側に出力する伝送機器であって、
請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の出力調整装置を備えたことを特徴とする伝送機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ放送信号伝送用の伝送機器から出力される伝送信号の出力レベルを調整するための出力調整装置、及び、この出力調整装置により伝送信号の出力レベルを調整可能な伝送機器に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ放送信号を伝送する伝送経路(同軸ケーブル等)には、通常、増幅装置、分岐器、分配器、混合器、といった各種伝送機器が設けられる。
そして、この種の伝送機器の内、多チャンネルのテレビ放送信号からなる伝送信号を増幅する増幅装置には、CATVシステムのセンタ装置、若しくは、増幅装置へ電源供給を行う電源部からの指令に従い、伝送信号の出力レベルを自動調整するように構成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4625192号公報
【特許文献2】特公平6−95620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した増幅装置に対し、出力レベルを上昇又は低下させる指令を送信するのは、システムの管理者であり、管理者は、端末側での受信レベルが適正レベルになるよう、センタ装置若しくは電源部から出力レベル設定用の指令信号を送信させる必要がある。つまり、従来の増幅装置では、伝送信号の出力レベルを自動調整することはできない。
【0005】
一方、増幅装置からの伝送信号の出力レベルを自動調整できるようにするには、増幅装置に自動利得調整回路を組み込むことも考えられる。
しかし、自動利得調整回路は、増幅装置から出力される伝送信号を検波(包絡線検波)して、その検波電圧が設定電圧となるように、増幅回路の駆動電圧や減衰回路の減衰量を調整するものである。
【0006】
このため、伝送信号を構成するテレビ放送信号の信号レベルが、放送チャンネル間でばらついている場合、信号レベルが高い放送チャンネルのテレビ放送信号が適正レベルを越えて増幅されてしまい、そのテレビ放送信号の信号品質を劣化させてしまうことがある。
【0007】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、テレビ放送信号の伝送機器から出力される伝送信号の出力レベルが放送チャンネル間でばらついていても、伝送信号の出力レベルを適正に調整することのできる出力調整装置及び伝送機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、テレビ放送信号伝送用の伝送機器から出力される伝送信号の出力レベルを調整するための出力調整装置であって、
前記伝送機器から出力される前記伝送信号の中からテレビ放送信号を選局するための選局部と、
前記選局部にて選局された前記テレビ放送信号の信号レベルを測定するレベル測定部と、
前記選局部に対し、所定の放送チャンネルのテレビ放送信号を選局させ、前記レベル測定部にて検出される信号レベルが所定の目標レベルとなるよう、前記伝送機器からの前記伝送信号の出力レベルを調整するレベル調整手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の伝送機器の出力調整装置において、
前記選局部に対し、前記伝送信号に含まれるテレビ放送信号を複数放送チャンネル選局させ、前記レベル測定部にて測定された信号レベルが最も高い、若しくは所定値番目に高い、放送チャンネルのテレビ放送信号を特定する放送チャンネル特定手段、
を備え、前記レベル調整手段は、前記選局部に対し、前記放送チャンネル特定手段にて特定された放送チャンネルのテレビ放送信号を選局させ、前記レベル測定部にて検出される信号レベルが所定の目標レベルとなるよう、前記伝送機器からの前記伝送信号の出力レベルを調整することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の伝送機器の出力調整装置において、前記目標レベルを設定するための操作部を備えたことを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、テレビ放送信号伝送用の伝送機器から出力される伝送信号の出力レベルを調整するための出力調整装置であって、
前記伝送機器から出力される前記伝送信号の中からテレビ放送信号を選局するための選局部と、
前記選局部にて選局された前記テレビ放送信号の信号品質を検出する信号品質検出部と、
前記選局部に対し、所定の放送チャンネルのテレビ放送信号を選局させ、前記信号品質検出部にて検出される信号品質が最適となるよう、前記伝送機器からの前記伝送信号の出力レベルを調整するレベル調整手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の伝送機器の出力調整装置において、
前記選局部にて選局された前記テレビ放送信号の信号レベルを測定するレベル測定部と、
前記選局部に対し、前記伝送信号に含まれるテレビ放送信号を複数放送チャンネル選局させ、前記レベル測定部にて測定された信号レベルが最も高い、若しくは所定値番目に高い、放送チャンネルのテレビ放送信号を特定する放送チャンネル特定手段と、
を備え、前記レベル調整手段は、前記選局部に対し、前記放送チャンネル特定手段にて特定された放送チャンネルのテレビ放送信号を選局させ、前記信号品質検出部にて検出される信号品質が最適となるよう、前記伝送機器からの前記伝送信号の出力レベルを調整することを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の伝送機器の出力調整装置において、
前記テレビ放送信号の伝送経路から伝送信号を取り込み、前記選局部に入力するための入力端子と、
前記入力端子を介して、前記入力端子が接続される前記伝送経路上の伝送機器との間で通信を行うための通信部と、
を備え、
前記レベル調整手段は、前記通信部を介して、前記伝送経路上の伝送機器に出力レベル調整用の制御信号を送信することで、該伝送機器からの前記伝送信号の出力レベルを調整することを特徴とする。
【0013】
また、請求項7に記載の発明は、テレビ放送信号の伝送経路に設けられ、該伝送経路を流れる伝送信号を、増幅、分配、分岐、若しくは、他の信号と混合して、端末側に出力する伝送機器であって、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の出力調整装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の伝送機器の出力調整装置には、伝送機器から出力される伝送信号の中からテレビ放送信号を選局するための選局部と、その選局部にて選局されたテレビ放送信号の信号レベルを測定するレベル測定部と、が備えられている。
【0015】
そして、レベル調整手段が、選局部に対し、所定の放送チャンネルのテレビ放送信号を選局させて、レベル測定部にて測定される信号レベルが所定の目標レベルとなるよう、伝送機器からの伝送信号の出力レベルを調整する。
【0016】
つまり、請求項1に記載の出力調整装置においては、伝送機器から出力される伝送信号全体の信号レベルを測定するのではなく、所定の放送チャンネルのテレビ放送信号の信号レベルを測定し、その信号レベルが目標レベルとなるように、伝送機器からの伝送信号の出力レベルを調整する。
【0017】
従って、請求項1に記載の出力調整装置によれば、伝送信号を構成するテレビ放送信号の信号レベルが放送チャンネル間でばらついていても、例えば、使用者等により設定された所定の放送チャンネルのテレビ放送信号を使って、伝送機器からの伝送信号の出力レベルを調整することができる。
【0018】
よって、請求項1に記載の出力調整装置によれば、伝送機器からの伝送信号の出力レベルを調整することにより、信号レベルが高い放送チャンネルのテレビ放送信号の信号品質を劣化させてしまうのを防止できる。
【0019】
また、請求項1に記載の出力調整装置によれば、伝送機器からの伝送信号の出力レベルを調整するに当たって、従来のように、管理者が、手動操作によって、CATVシステムのセンタ装置若しくは増幅装置の電源部から、出力レベル設定用の指令信号を送信させる必要がないので、伝送機器からの伝送信号の出力レベルの調整を簡単に行うことができる。
【0020】
ところで、レベル調整手段が選局部に選局させるテレビ放送信号の放送チャンネルは、使用者が設定するようにしてもよいが、使用者が、信号レベルが高い放送チャンネルを把握しておらず、適当に放送チャンネルを設定すると、レベル調整を良好に実施できないことも考えられる。
【0021】
このため、請求項2に記載のように、放送チャンネル特定手段が、選局部に対し、伝送信号に含まれるテレビ放送信号を複数放送チャンネル選局させ、レベル測定部にて測定された信号レベルが最も高い、若しくは所定値番目に高い、放送チャンネルのテレビ放送信号を特定するようにしてもよい。
【0022】
そして、このようにすれば、レベル調整手段は、選局部に対し、放送チャンネル特定手段にて特定された信号レベルが高い放送チャンネルのテレビ放送信号を選局させて、伝送機器からの伝送信号の出力レベルを調整できるようになるので、レベル調整をより適正に行うことができる。
【0023】
次に、請求項3に記載の伝送機器の出力調整装置には、目標レベルを設定するための操作部が備えられている。このため、管理者は、この操作部を利用して、目標レベルを設定することで、伝送機器からの伝送信号の出力レベルを任意に設定することが可能となり、その設定作業を簡単に行うことができる。
【0024】
なお、この操作部としては、出力調整装置本体に設けられていてもよく、出力調整装置本体とは別体で構成されていて、無線信号を利用した遠隔操作で目標レベルを設定できるようにしてもよい。
【0025】
また、このように遠隔操作で目標レベルを設定するための操作部としては、必ずしも専用の無線機器(所謂リモコン装置)で構成する必要はなく、例えば、携帯電話やスマートフォン、或いは、タブレット端末のような無線情報端末の一機能として実現するようにしてもよい。
【0026】
次に、請求項4に記載の伝送機器の出力調整装置は、上記と同様の選局部及びレベル調整手段に加えて、選局部にて選局されたテレビ放送信号の信号品質を検出する信号品質検出部を備える。
【0027】
そして、レベル調整手段は、選局部に対し所定の放送チャンネルのテレビ放送信号を選局させ、信号品質検出部にて検出される信号品質が最適となるよう、伝送機器からの伝送信号の出力レベルを調整する。
【0028】
このため、請求項4に記載の出力調整装置によれば、伝送機器から出力される伝送信号の中から、例えば、使用者等により設定された所定の放送チャンネルのテレビ放送信号の信号品質が最適となるように、伝送機器からの伝送信号の出力レベルを設定できる。
【0029】
よって、請求項4に記載の出力調整装置によれば、伝送機器からの伝送信号の出力レベルを調整することにより、テレビ放送信号の信号品質が劣化するのを防止することができる。
【0030】
また、請求項4に記載の出力調整装置によれば、請求項1に記載のものと同様、伝送機器からの伝送信号の出力レベルを調整するに当たって、従来のように、管理者が、手動操作によって、CATVシステムのセンタ装置若しくは増幅装置の電源部から、出力レベル設定用の指令信号を送信させる必要がないので、伝送機器からの伝送信号の出力レベルの調整を簡単に行うことができる。
【0031】
なお、請求項5に記載のように、この出力調整装置においても、請求項2と同様、放送チャンネル特定手段が、選局部に対し、伝送信号に含まれるテレビ放送信号を複数放送チャンネル選局させ、レベル測定部にて測定された信号レベルが最も高い、若しくは所定値番目に高い、放送チャンネルのテレビ放送信号を特定し、レベル調整手段が、その特定された放送チャンネルのテレビ放送信号を選局部に選局させるようにしてもよい。
【0032】
次に、請求項6に記載の出力調整装置には、テレビ放送信号の伝送経路から伝送信号を取り込み選局部に入力するための入力端子と、入力端子を介して伝送経路上の伝送機器との間で通信を行うための通信部と、が備えられている。
【0033】
そして、レベル調整手段は、その通信部を介して、伝送経路上の伝送機器に出力レベル調整用の制御信号を送信することで、その伝送機器からの伝送信号の出力レベルを調整する。
【0034】
つまり、請求項6に記載の出力調整装置は、出力レベルの調整対象となる伝送機器とは別体で構成されていて、その伝送機器からの伝送信号の出力レベルを、伝送経路を介して調整することができる。
【0035】
このため、伝送機器としては、上述した従来の増幅装置のように、伝送経路を介して伝送されてくる制御信号に従い、出力レベルを調整可能な伝送機器を利用することができる。
【0036】
なお、本発明(請求項1〜請求項6)の出力調整装置は、必ずしも、出力レベルの調整対象となる伝送機器と別体で構成する必要はなく、請求項7に記載のように、その伝送機器に設けられていてもよい。
【0037】
また、出力レベルの調整対象となる伝送機器は、増幅装置に限定されるものではなく、請求項7に記載のように、伝送経路を流れる伝送信号を、増幅、分配、分岐、若しくは、他の信号と混合するもの、つまり、増幅装置、分配器、分岐器、混合器等であってもよい。
【0038】
但し、出力レベルの調整対象となる伝送機器に伝送信号増幅用の増幅回路が備えられていない場合、出力レベルの調整は、伝送信号の通過経路に設けられた減衰回路の減衰量を調整することにより行われることになる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】実施形態のテレビ放送受信システムとレベルチェッカーを表す説明図である。
図2図1に示す増幅装置の構成を表すブロック図である。
図3図1に示すレベルチェッカーの構成を表すブロック図である。
図4図3に示す制御部にて実行されるレベル調整処理を表すフローチャートである。
図5】レベル調整処理の変形例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下に本発明の実施形態について説明する。
本実施形態は、本発明の出力調整装置としての機能を、テレビ放送信号の信号レベルを測定するレベル測定装置(所謂レベルチェッカー)に適用したものである。
【0041】
図1に示すように、本実施形態のレベルチェッカー40は、UHFアンテナ4及びパラボラアンテナ6にて受信されたテレビ放送信号を、同軸ケーブルからなる伝送経路を介して、建造物内の各部屋に設けられた複数の直列ユニット9まで伝送するテレビ放送受信システム2において、テレビ放送信号の信号レベルを測定するのに用いられる。
【0042】
テレビ放送受信システム2には、例えば、UHFアンテナ4にて受信された地上波放送信号と、パラボラアンテナ6にて受信されたBS、CSの各衛星放送信号(詳しくは、パラボラアンテナ6のコンバータにて周波数変換された中間周波信号、以下、BS/CS放送信号という)とをそれぞれ増幅し、混合して出力する増幅装置10や、増幅装置10からの出力を複数の伝送経路に分配する分配器8が備えられている。
【0043】
そして、分配器8にて分配された複数の伝送経路上には、複数の直列ユニット9が設けられている。この複数の直列ユニット9の内、伝送経路の途中に設けられたものは、伝送信号(つまり地上波放送信号とBS/CS放送信号との混合信号)の一部を分岐して出力するための出力端子(一般にF型端子)を備え、伝送経路の末端に設けられたものは、伝送信号をそのまま出力するための出力端子を備える。
【0044】
レベルチェッカー40は、増幅装置10、分配器8、或いは、直列ユニット9の出力端子に接続可能な入力端子42を備え、その入力端子42から伝送信号を取り込み、操作部64を介して指定された放送種別・放送チャンネルの信号レベル及び信号品質を測定して、表示部62に表示するためのものである。
【0045】
なお、信号品質としては、MER(Modulation Error Ratio)及びBER(Bit Error Rate)の両方を測定可能である。
次に、増幅装置10及びレベルチェッカー40の構成について説明する。
【0046】
図2に示すように、増幅装置10は、BS/CS放送信号を入力するための入力端子12と、地上波放送信号を入力するための入力端子22と、これら各放送信号を増幅して混合した信号を伝送信号として伝送経路上に出力するための出力端子32と、を備える。
【0047】
入力端子12に入力されたBS/CS放送信号は、BS/CS放送信号だけを選択的に通過させるバンドパスフィルタ(BPF)14を介して、増幅回路16に入力され、増幅回路16にて増幅された後、BS/CS放送信号を選択的に通過させるハイパスフィルタ(HPF)18に入力される。
【0048】
また、入力端子22に入力された地上波放送信号は、地上波放送信号だけを選択的に通過させるバンドパスフィルタ(BPF)24を介して、増幅回路26に入力され、増幅回路26にて増幅された後、地上波放送信号を選択的に通過させるローパスフィルタ(LPF)28に入力される。
【0049】
HPF18及びLPF28は、増幅回路16、26にて増幅されたBS/CS放送信号及び地上波放送信号を通過させることで、これら各放送信号を混合し、その混合信号を、出力端子32から端末側へと出力させるためのものである。
【0050】
また、HPF18及びLPF28から出力端子32への混合信号の出力経路には、端末側から出力端子32に入力された制御信号を分岐させるための方向性結合器30が設けられており、方向性結合器30にて分岐された制御信号は、受信部34に入力される。
【0051】
受信部34は、制御信号から指令内容を復元して、レベル調整部36に入力することで、レベル調整部36に、増幅回路16又は増幅回路26からのテレビ放送信号の出力レベルを調整させる。
【0052】
つまり、本実施形態では、増幅回路16、26は、それぞれ、各放送信号を増幅するための増幅部16a、26aと、増幅部16a、26の入力側及び出力側に設けられて、各放送信号を減衰させる可変減衰器16b及び16c、26b及び26cと、を備えている。
【0053】
そして、レベル調整部36は、受信部34にて復元されたBS/CS放送信号又は地上波放送信号に対するレベルアップ・ダウン指令に従い、対応する増幅回路16又は26の利得を調整することで、BS/CS放送信号又は地上波放送信号の信号レベルをアップ又はダウンさせる。
【0054】
なお、レベル調整部36は、増幅回路16、26の利得調整を行う際には、増幅回路16、26内の可変減衰器16b、16c又は26b、26cの減衰量を予め設定された調整量だけ低下若しくは増加させることで、増幅回路16の利得を所定量増加若しくは低下させる。
【0055】
次に、レベルチェッカー40は、図3に示すように、入力端子42から入力された伝送信号の中から、所定放送種別・放送チャンネルのテレビ放送信号を選局して所定の中間周波信号に周波数変換する選局部46と、その選局部46から出力されるテレビ放送信号をBER/MER測定部50及びレベル測定部52に分配する分配部48と、を備える。
【0056】
BER/MER測定部50は、選局部46にて選局されたテレビ放送信号の信号品質(BER、MER)を測定するためのものであり、その測定結果は、制御部60に入力される。
【0057】
また、レベル測定部52は、例えば、選局部46にて選局されたテレビ放送信号を包絡線検波することにより、その信号レベルを測定するためのものであり、その測定結果は、制御部60に入力される。
【0058】
制御部60は、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータにて構成されており、マイクロコンピュータが実行するプログラムにて、一般的なレベルチェッカーとしての機能と、本発明の出力調整装置としての機能を実現する。
【0059】
すなわち、制御部60は、操作部64を介して、動作モードを、レベルチェッカーとしての動作モードと、出力調整装置としての動作モードとに切り替えることができる。
そして、制御部60は、動作モードがレベルチェッカーとして設定されているときには、操作部64を介して入力される使用者からの指令に従い、所定放送種別・放送チャンネルのテレビ放送信号を選局部46に選局させて、各測定部50、52から測定結果を取り込み、表示部62に表示させる。
【0060】
また、制御部60は、動作モードが出力調整装置として設定されているときには、選局部46に対し、操作部64を介して指定された放送種別のテレビ放送信号を全放送チャンネル選局させる。
【0061】
そして、その選局させた放送チャンネルの中から、レベル測定部52にて測定された信号レベルが最も高い放送チャンネル(ピークチャンネル)を選択し、その放送チャンネルの信号レベルが適正レベルとなるよう、増幅装置10内の対応する放送種別の増幅回路16又は26からの放送信号の信号レベルを制御するための指令信号を出力する。
【0062】
このため、レベルチェッカー40には、制御部60から出力された指令信号(指令データ)を、入力端子42及びテレビ放送受信システム2の伝送経路を介して増幅装置の受信部34まで伝送させるための制御信号(高周波信号)に変換する送信部54、及び、入力端子42から選局部46に至る伝送経路に設けられて、送信部54からの制御信号を入力端子42側に出力するための方向性結合器44が設けられている。
【0063】
また、レベルチェッカー40には、使用者が、携帯電話やスマートフォン、或いは、タブレット端末のような無線情報端末を利用して遠隔操作できるようにするため、所定の通信方式でアンテナ56を介して無線通信を行う無線通信部58も設けられている。
【0064】
このため、使用者は、操作部64及び自身が所有する無線情報端末の何れかを利用して、レベルチェッカー40を操作することができる。また、使用者は、レベルチェッカー40による測定結果を、表示部62及び無線情報端末の何れか(若しくはその両方)に表示させて、確認することができる。
【0065】
次に、レベルチェッカー40の動作モードが、出力調整装置としての動作モードに設定されているときに、制御部60にて実行される出力調整処理について、図4のフローチャートに沿って説明する。
【0066】
図4に示すように、出力調整処理では、まずS110(Sはステップを表す)にて、操作部64又は外部の無線情報端末から、出力レベルの調整対象となる放送種別(BS/CS放送又は地上波放送)及びその放送種別のテレビ放送信号の信号レベルが設定されて、調整開始指令が入力されるのを待つ。
【0067】
そして、調整開始指令が入力されると、S120に移行して、選局部46に対し、調整対象となる放送種別(BS/CS放送又は地上波放送)のテレビ放送信号を全放送チャンネル順次選局(所謂チャンネルスキャン)させて、受信できた放送チャンネル毎に、レベル測定部52から信号レベルを取得する。
【0068】
次に、S130では、S120のチャンネルスキャンにて得られた放送チャンネル毎の信号レベルの中から、信号レベルが最も高い放送チャンネル(ピークチャンネル)を選定する。
【0069】
また続くS140では、その選定したピークチャンネルのテレビ放送信号を選局部46に選局させ、レベル測定部52から、そのピークチャンネルのテレビ放送信号の信号レベルを取得する。
【0070】
次に、S150では、S140にて得られたピークチャンネルのテレビ放送信号の信号レベル(測定レベル)は、S110にて設定された信号レベル(設定レベル)を中心とする許容範囲内にあるか否かを判断する。
【0071】
そして、測定レベルが許容範囲内にあれば、増幅装置10の出力調整は不要であると判断して、当該出力調整処理を終了し、測定レベルが許容範囲内になければ、S160に移行して、測定レベルは大きいか否か、つまり、測定レベルは許容範囲の上限レベルを超えているか否か、を判断する。
【0072】
なお、この許容範囲は、予め設定されていてもよく、使用者が操作部64を介して任意に設定できるようにしてもよい。
S160にて、測定レベルは大きいと判断されると、S170に移行して、増幅装置10の出力調整用の制御信号として、出力調整すべき放送種別を含むレベルダウン指令を送信部54から送信させる。
【0073】
この結果、増幅装置10では、受信部34が制御信号を受信して放送種別を含むレベルダウン指令を復元し、レベル調整部36が、その復元されたレベルダウン指令に従い、指定された放送種別に対応する増幅回路16又は26の利得を所定量だけ低下させる。
【0074】
一方、S160にて、測定レベルは大きくない(つまり、測定レベルは許容範囲の下限レベルを下まわっている)と判断されると、S180に移行して、増幅装置10の出力調整用の制御信号として、出力調整すべき放送種別を含むレベルアップ指令を送信部54から送信させる。
【0075】
この結果、増幅装置10では、受信部34が制御信号を受信して放送種別を含むレベルダウン指令を復元し、レベル調整部36が、その復元されたレベルアップ指令に従い、指定された放送種別に対応する増幅回路16又は26の利得を所定量だけ増加させる。
【0076】
このように、S170又は180にて、送信部54から制御信号を送信させると、増幅装置10の増幅回路16又は26の利得が所定量だけ低下又は増加するので、レベル測定部52にて測定されるピークチャンネルのテレビ放送信号の信号レベルも所定量だけ低下又は増加することになる。
【0077】
このため、S170又はS180の処理実行後は、再度S140に移行し、S140以降の処理を実行する。この結果、ピークチャンネルのテレビ放送信号の信号レベルは、最終的に、許容範囲内に制御されることになり、その信号レベルが許容範囲内に入れば、当該出力調整処理は終了する。
【0078】
以上説明したように、本実施形態のレベルチェッカー40によれば、動作モードを、テレビ放送信号の信号レベルや信号品質を測定して出力する通常の動作モードから、テレビ放送受信システム2の伝送経路上に設けられた増幅装置10からの伝送信号の出力レベルを調整する動作モードに切り替えることができる。
【0079】
そして、この動作モードでは、操作部64又は外部の無線情報端末からの指令に従い、信号レベルの調整の対象となる放送種別のテレビ放送信号をチャンネルスキャンすることで、信号レベルが最も高いピークチャンネルを選定し、ピークチャンネルのテレビ放送信号の信号レベルが、目標レベルである許容範囲内になるよう、増幅装置10に対し制御信号(レベルアップ・ダウン信号)を送信する。
【0080】
このため、本実施形態のレベルチェッカー40によれば、テレビ放送受信システム2の伝送信号を構成する同一放送種別のテレビ放送信号の信号レベルが、放送チャンネル間でばらついていても、信号レベルが最も高いピークチャンネルのテレビ放送信号を使って、増幅装置10からの伝送信号の出力レベルを適正レベルに調整することができる。
【0081】
よって、本実施形態のレベルチェッカー40によれば、増幅装置10からの伝送信号の出力レベルを調整することにより、ピークチャンネルのテレビ放送信号の信号品質を劣化させてしまうのを防止できる。
【0082】
また、本実施形態のレベルチェッカー40によれば、増幅装置10からの伝送信号の出力レベルを調整する際、従来のように、管理者が、レベルチェッカー40による測定結果を見ながら、レベル調整用の伝送機器(増幅装置10の電源部など)を手動操作して、増幅装置10にレベル調整用の制御信号を送信させる必要がない。
【0083】
このため、管理者は、アンテナ直下に設けられた増幅装置10の出力レベルを調整する場合であっても、その調整作業を極めて簡単に行うことができる。
また、本実施形態のレベルチェッカー40によれば、操作部64若しくは無線情報端末を利用して、放送種別毎に、テレビ放送信号の信号レベルを設定できるようになっており、増幅装置10からの伝送信号の出力レベルを調整する際には、レベル測定部52による測定レベルが、その設定された信号レベル(設定レベル)を中心とする許容範囲内になるよう、増幅装置10の出力レベルを制御する。
【0084】
このため、管理者は、操作部64若しくは無線情報端末を介して、増幅装置10からの伝送信号の出力レベル(目標レベル)を、放送種別毎に任意に設定できることになり、目標レベルの設定及び変更を簡単に行うことができる。
【0085】
また、本実施形態のレベルチェッカー40は、一般的なレベルチェッカーとしての機能を有することから、例えば、図1に示す各部屋の直列ユニット9でのテレビ放送信号の信号レベルを測定して、レベルチェッカー40に記憶させ、その記憶させた信号レベルから、システム全体で最適となるように、増幅装置10からの伝送信号の出力レベル(目標レベル)を設定する、といった使い方もできる。
【0086】
なお、本実施形態においては、レベルチェッカー40が、本発明の出力調整装置に相当し、レベルチェッカー40の送信部54が、本発明の通信部に相当し、制御部60が、本発明の放送チャンネル特定手段及びレベル調整手段に相当する。
【0087】
また、放送チャンネル特定手段としての機能は、制御部60が実行するS110〜S130の処理にて実現され、レベル調整手段としての機能は、制御部60が実行するS140〜S180の処理にて実現される。
【0088】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の態様をとることができる。
例えば、上記実施形態では、ピークチャンネルのテレビ放送信号の信号レベルが、目標レベルである許容範囲内になるよう、増幅装置10からの出力レベルを調整するが、こうしたレベル調整だけでは、テレビ放送信号の信号品質を最適にできないことも考えられる。
【0089】
つまり、例えば、増幅装置10が出力信号の回り込み等によって発振した場合、レベルチェッカー40にて測定したテレビ放送信号の信号レベルは許容範囲内にあっても、その信号品質が悪く、受信端末にてテレビ放送を正常に視聴できないことがある。
【0090】
このため、テレビ放送信号の信号レベルだけでなく、信号品質も考慮して、増幅装置10からの伝送信号の出力レベルを調整するようにしてもよい。
そして、そのためには、制御部60において、図5に示す手順で出力調整処理を実行するようにするとよい。
【0091】
以下、この出力調整処理について本実施形態の変形例として説明する。
図5に示すように、変形例の出力調整処理においては、まずS210にて、操作部64又は外部の無線情報端末から、出力レベルの調整対象となる放送種別(BS/CS放送又は地上波放送)が設定されて、調整開始指令が入力されるのを待つ。
【0092】
そして、調整開始指令が入力されると、S220に移行して、選局部46に対し、調整対象となる放送種別(BS/CS放送又は地上波放送)のテレビ放送信号を全放送チャンネル順次選局(所謂チャンネルスキャン)させて、受信できた放送チャンネル毎に、レベル測定部52から信号レベルを取得する。
【0093】
次に、S230では、S220のチャンネルスキャンにて得られた放送チャンネル毎の信号レベルの中から、信号レベルが最も高い放送チャンネル(ピークチャンネル)を選定する。
【0094】
また続くS240では、その選定したピークチャンネルのテレビ放送信号を選局部46に選局させ、BER/MER測定部50から、そのピークチャンネルのテレビ放送信号の信号品質(BER、MER)を取得する。
【0095】
次に、S250では、増幅装置10の出力調整用の制御信号として、S210で設定された放送種別を含むレベルアップ信号を送信部54から増幅装置10に送信させることで、増幅装置10からの伝送信号(調整対象となる放送種別のテレビ放送信号)の出力レベルを上昇させる。
【0096】
そして、続くS260では、S250での制御信号の送信によって変化したであろう、ピークチャンネルのテレビ放送信号の信号品質(BER、MER)を、BER/MER測定部50から取得し、S270にて、その取得した信号品質と前回S240又はS260で取得した信号品質とを比較することで、信号品質は劣化したか否かを判断する。
【0097】
S270にて、信号品質は劣化していないと判断された場合(つまり信号品質は略同じか改善されている場合)には、再度S250に移行することで、増幅装置10からの伝送信号の出力レベルを再度上昇させる。
【0098】
また、S270にて、信号品質は劣化したと判断された場合には、S280に移行して、増幅装置10の現在の制御状態A(例えば、増幅装置10の利得、増幅装置10に対するレベルアップ/ダウン信号の送信回数等)を制御部60内のメモリに記憶する。
【0099】
次に、続くS290では、増幅装置10の出力調整用の制御信号として、S210で設定された放送種別を含むレベルダウン信号を送信部54から増幅装置10に送信させることで、増幅装置10からの伝送信号の出力レベルを低下させる。
【0100】
そして、続くS300では、ピークチャンネルのテレビ放送信号の信号品質(BER、MER)を、BER/MER測定部50から取得し、S310にて、その取得した信号品質と前回S260又はS300にて取得した信号品質とを比較することで、信号品質は劣化したか否かを判断する。
【0101】
S310にて、信号品質は劣化していないと判断された場合(つまり信号品質は略同じか改善されている場合)には、再度S290に移行することで、増幅装置10からの伝送信号の出力レベルを再度低下させる。
【0102】
また、S310にて、信号品質は劣化したと判断された場合には、S320に移行して、増幅装置10の現在の制御状態Bを制御部60内のメモリに記憶する。
そして、続く330では、増幅装置10が、S280及びS320にて記憶した制御状態A、Bの中間となるように、増幅装置10を制御し、当該出力調整処理を終了する。
【0103】
以上説明したように、変形例の出力調整処理においては、ピークチャンネルのテレビ放送信号の信号レベルが目標レベルである許容範囲内になるように、増幅装置10からの伝送信号の出力レベルを制御するのではなく、ピークチャンネルのテレビ放送信号の信号品質が最適になるように、増幅装置10からの伝送信号の出力レベルを制御する。
【0104】
このため、ピークチャンネルのテレビ放送信号の信号レベルが、増幅装置10の発振等によって異常に高い場合に、BER、MER等にて測定された信号品質が最適となるように、増幅装置10からの伝送信号の出力レベル(換言すれば利得)を抑制することができるようになる。この結果、受信端末側では、テレビ放送を正常に視聴することが可能となる。
【0105】
次に、上記実施形態では、増幅装置10から出力されるテレビ放送信号の信号レベル(出力レベル)を、地上波放送、BS/CS、の放送種別毎に行うようにしているが、これは、増幅装置10内の増幅回路16、26が、これらの放送種別毎に設けられているためである。
【0106】
このため、例えば、増幅装置10内の増幅回路が、地上波放送、BS放送、CS放送、の3つの放送種別毎に設けられている場合には、この3つの放送種別毎にピークチャンネルを特定して、出力レベルを調整するようにすればよい。
【0107】
また、上記実施形態では、レベルチェッカー40に本発明の出力調整装置としての機能を組み込み、テレビ放送信号の伝送経路上の増幅装置10からの出力レベルを、伝送経路の末端側から所謂遠隔操作にて調整できるようにした。
【0108】
しかし、本発明の出力調整装置は、伝送経路上の増幅装置10や他の伝送機器(分配器8や分岐器等)、或いは、伝送経路の末端に設けられる受信機器(テレビや録画装置等)に、上記実施形態のレベルチェッカー40と同様の機能を組み込むことによって、実現するようにしてもよい。
【0109】
また、上記実施形態では、ピークチャンネルを特定して、そのピークチャンネルの信号レベルが許容範囲内になるか、或いは、ピークチャンネルのテレビ放送信号の信号品質が最適状態になるように、出力レベルを調整するようにした。
【0110】
しかし、レベル調整に用いる信号レベル若しくは信号品質のテレビ放送信号は、必ずしも、信号レベルが最も高いピークチャンネルのテレビ放送信号にする必要はなく、例えば、複数チャンネルのテレビ放送信号の内、信号レベルが2番目、或いは、3番目のテレビ放送信号を、レベル調整に用いるテレビ放送信号として選定するようにしてもよい。
【0111】
そして、この場合には、その選定したテレビ放送信号の信号レベル若しくは信号品質が最もよくなるように、伝送機器からの伝送信号の出力レベルを調整することができるようになる。
【0112】
また、上記実施形態では、制御部60が、レベル調整に用いるピークチャンネルを特定するものとして説明したが、このピークチャンネルの特定は必ずしも実施する必要はなく、使用者が操作部64を操作することにより、ピークチャンネルを指定するようにしてもよい。
【0113】
つまり、受信点でのピークチャンネルは、地域によって異なるものの、ピークチャンネルは概ね固定されている。このため、このピークチャンネルを予め設定しておくか、或いは、使用者がピークチャンネルを指定できるようにしても、本発明の所期の目的は達成できる。
【0114】
また、上記実施形態では、レベル調整に用いるピークチャンネルを、全放送チャンネルの信号レベルを測定することにより特定するものとして説明したが、予め設定された複数の放送チャンネルの信号レベルを測定して、その測定結果からピークチャンネルを特定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0115】
2…テレビ放送受信システム、4…UHFアンテナ、6…パラボラアンテナ、8…分配器、9…直列ユニット、10…増幅装置、16,26…増幅回路、16a,26a…増幅部、16b,16c,26b,26c…可変減衰器、30…方向性結合器、34…受信部、36…レベル調整部、40…レベルチェッカー、42…入力端子、44…方向性結合器、46…選局部、48…分配部、50…BER/MER測定部、52…レベル測定部、54…送信部、56…アンテナ、58…無線通信部、60…制御部、62…表示部、64…操作部。
図1
図2
図3
図4
図5