(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述の流体状態検出装置においては、当該装置の起動時におけるホイートストンブリッジ回路の各部の電位状態が不適切な状態となると、ブリッジ制御部の制御動作が不適切となってホイートストンブリッジ回路への通電制御が実行されない虞がある。
【0009】
具体的には、ホイートストンブリッジ回路へ通電すべき状況であるにも関わらず、流体状態検出装置の起動時におけるホイートストンブリッジ回路の各部の電位状態が不適切な状態であるために、ブリッジ制御部での判断結果が不適切になり、ホイートストンブリッジ回路への通電制御が実行されない状態に陥る虞がある。
【0010】
なお、これに対して、例えば、ブリッジ制御部において、演算増幅器の入力端子と出力端子とを接続する帰還抵抗部を備えることで、ホイートストンブリッジ回路の各部の電位状態を適切な状態に移行させることも可能である。
【0011】
しかし、この方法では、流体状態検出装置の起動後、ホイートストンブリッジ回路の各部の電位状態を適切な状態に移行するまでに時間を要する場合があり、流体状態検出装置の起動後、ブリッジ制御部による通電制御を迅速には開始できない可能性がある。
【0012】
そこで、本発明は、当該装置の起動後、迅速にホイートストンブリッジ回路の通電制御を実行できる流体状態検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の1つの局面における流体状態検出装置は、発熱抵抗体と、ホイートストンブリッジ回路と、ブリッジ制御部と、演算部と、強制通電部と、を備える。
発熱抵抗体は、被検出雰囲気内に配置されて、検出対象の流体状態に応じて抵抗値が変化する。ホイートストンブリッジ回路は、発熱抵抗体と第1抵抗部とが直列に接続された第1辺と、第2抵抗部と第3抵抗部とが直列に接続された第2辺と、が並列に接続されて構成されている。ブリッジ制御部は、電源装置からホイートストンブリッジ回路への通電状態を制御する。演算部は、発熱抵抗体の抵抗値を用いて被検出雰囲気内における流体状態を演算する。
【0014】
ホイートストンブリッジ回路は、第1辺と第2辺との接続点のうちの一方が、ブリッジ制御部による印加電圧の低電位側に接続される基準点となり、第1辺と第2辺との接続点のうちの他方が、ブリッジ制御部による印加電圧の高電位側に接続される高電位点となり、第1抵抗部と発熱抵抗体との接続点が第1電位点となり、第2抵抗部と第3抵抗部との接続点が第2電位点となるよう構成されている。
【0015】
ブリッジ制御部は、第1電位点および第2電位点が入力され、第1電位点と第2電位点との電位差がゼロとなるようにホイートストンブリッジ回路への通電状態をフィードバック制御するよう構成されている。
【0016】
強制通電部は、少なくとも当該流体状態検出装置の起動時において、ブリッジ制御部による制御状態に関わらず、ホイートストンブリッジ回路への通電を行う。
この流体状態検出装置は、当該装置の起動時におけるホイートストンブリッジ回路の各部の電位状態が不適切な状態であっても、強制通電部によってホイートストンブリッジ回路への通電を行うことができる。このように、強制的にホイートストンブリッジ回路への通電を行うことで、ホイートストンブリッジ回路の各部の電位(第1電位点、第2電位点など)が適正値に変化する。
【0017】
この結果、ブリッジ制御部は適正な制御動作が可能となり、ブリッジ制御部によるホイートストンブリッジ回路への通電制御を適正に実行できる。
また、強制通電部は、少なくとも流体状態検出装置の起動時に、ホイートストンブリッジ回路への通電を行うことから、流体状態検出装置の起動後、ホイートストンブリッジ回路の各部の電位を迅速に適正値に変化させることができる。
【0018】
よって、本局面の流体状態検出装置によれば、当該装置の起動後、迅速にホイートストンブリッジ回路の通電制御を実行できる。
なお、この流体状態検出装置においては、強制通電部を備えると共に、ブリッジ制御部として帰還抵抗部を備えるブリッジ制御部を備える構成としても良い。このような構成であれば、帰還抵抗部を備えることによる作用効果(例えば、ブリッジ制御部での制御状態が安定化するなどの作用効果)を得ることができる。
【0019】
あるいは、この流体状態検出装置においては、強制通電部を備えると共に、ブリッジ制御部として帰還抵抗部を備えていないブリッジ制御部を備える構成としても良い。このような構成であれば、温度変化、経年劣化や環境変化などの影響による帰還抵抗部の抵抗値変化によって、流体状態の検出精度が低下することを抑制できる。
【0020】
つまり、ブリッジ制御部が帰還抵抗部を用いて構成される場合には、温度変化、経年劣化や環境変化などの影響によって帰還抵抗部の抵抗値が変化すると、制御目標値が変動してしまい、流体状態の検出精度が低下する可能性がある。
【0021】
これに対して、流体状態検出装置として、帰還抵抗部を備えていないブリッジ制御部を備える構成を採ることで、温度変化、経年劣化や環境変化などの影響による流体状態の検出精度の低下を抑制できる。
【0022】
また、強制通電部を備えることで、流体状態検出装置の起動後、迅速にホイートストンブリッジ回路の通電制御を実行できることから、ホイートストンブリッジ回路の各部の電位状態を適切な状態に移行させる目的で帰還抵抗部を備えるブリッジ制御部を用いる必要が無くなる。
【0023】
次に、上述の流体状態検出装置においては、ブリッジ制御部は、信号生成部と、通電制御部と、を備えて、強制通電部は、通電制御部を強制的に通電状態に制御することで、ホイートストンブリッジ回路への通電を行う構成であっても良い。
【0024】
なお、信号生成部は、第1電位点と第2電位点との電位差に応じて、第1電位点と第2電位点との電位差をゼロするためのフィードバック信号を生成する。通電制御部は、フィードバック信号に基づいて、電源装置からホイートストンブリッジ回路への通電状態を制御する。
【0025】
このような構成を採ることで、流体状態検出装置の起動時におけるホイートストンブリッジ回路の各部の電位状態が不適切な状態であるために、信号生成部により生成されるフィードバック信号が不適切であっても、強制通電部が通電制御部を強制的に通電状態に制御することで、ホイートストンブリッジ回路への通電を行うことができる。
【0026】
よって、この流体状態検出装置によれば、当該装置の起動後、迅速にホイートストンブリッジ回路の通電制御を実行できる。
次に、上述の流体状態検出装置においては、強制通電部は、ブリッジ制御部とは異なる通電経路を介して、電源装置からホイートストンブリッジ回路への通電を行う構成であっても良い。
【0027】
このような構成を採ることで、強制通電部は、ブリッジ制御部による通電経路の状態に影響されることなく、ホイートストンブリッジ回路への通電を行うことができる。
よって、この流体状態検出装置によれば、当該装置の起動後、迅速にホイートストンブリッジ回路の通電制御を実行できる。
【0028】
次に、上述の流体状態検出装置においては、ブリッジ制御部によるフィードバック制御が異常状態であるか否かを判定する制御状態判定部を備え、強制通電部は、制御状態判定部にてフィードバック制御が異常状態であると判定されると、ホイートストンブリッジ回路への通電を行うように構成されていても良い。
【0029】
なお、フィードバック制御の異常状態としては、例えば、フィードバック制御が停止している状態(電源装置からホイートストンブリッジ回路への通電が停止している状態)が挙げられる。
【0030】
このような流体状態検出装置は、起動時以外の任意の時期においても、ホイートストンブリッジ回路の各部の電位状態が不適切な状態となりブリッジ制御部によるフィードバック制御が異常状態となった場合に、強制通電部によって、ホイートストンブリッジ回路への通電を行うことができる。
【0031】
このように、強制的にホイートストンブリッジ回路への通電を行うことで、ホイートストンブリッジ回路の各部の電位(第1電位点、第2電位点など)が適正値に変化する。この結果、ブリッジ制御部は適正な制御動作が可能となり、ブリッジ制御部によるホイートストンブリッジ回路への通電制御を適正に実行できる。
【0032】
よって、この流体状態検出装置によれば、起動時以外の任意の時期に、ホイートストンブリッジ回路の各部の電位状態が不適切な状態となりブリッジ制御部によるフィードバック制御が異常状態となった場合でも、強制通電部がホイートストンブリッジ回路への通電を行うことで、ブリッジ制御部による通電制御を適正に実行できる。
【0033】
なお、制御状態判定部にてフィードバック制御が異常状態ではないと判定された場合には、ブリッジ制御部によるフィードバック制御が実行されているため、強制通電部によるホイートストンブリッジ回路への通電を行う必要はない。
【0034】
次に、上述の流体状態検出装置においては、演算部は、流体状態として水素ガス濃度を演算してもよい。
水素ガス濃度を検出する用途に用いられる流体状態検出装置は、温度や湿度などが大きく変化する環境に設置される場合があり、そのような環境変化の影響によって、少なくとも当該装置の起動時におけるホイートストンブリッジ回路の各部の電位状態が不適切な状態となる場合がある。
【0035】
これに対して、流体状態検出装置は、上述の強制通電部を備えることで、流体状態検出装置の起動時におけるホイートストンブリッジ回路の各部の電位状態が不適切な状態であっても、当該装置の起動後、迅速にホイートストンブリッジ回路の通電制御を実行できる。
【発明の効果】
【0036】
本発明の流体状態検出装置によれば、当該装置の起動時におけるホイートストンブリッジ回路の各部の電位状態が不適切な状態であっても、迅速にホイートストンブリッジ回路の通電制御を実行できる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
尚、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
【0039】
[1.第1実施形態]
[1−1.全体構成]
第1実施形態として、被検出雰囲気に含まれる可燃性ガスである水素ガスの濃度を検出する可燃性ガス検出装置1について説明する。
【0040】
可燃性ガス検出装置1は、熱伝導式のガス検出器であり、例えば、燃料電池自動車の客室内に設置されて、水素ガスの濃度を検出する(水素の漏れを検出する)目的等に用いられる。可燃性ガス検出装置1は、検出したガス濃度を外部機器(例えば、エンジン制御装置など)に対して送信する。
【0041】
図1は、可燃性ガス検出装置1の全体構成を説明する図である。
可燃性ガス検出装置1は、水素ガス濃度を検出するガス検出素子10と、ガス検出素子10を制御する制御部20と、ガス検出素子10の出力信号に基づいて水素ガス濃度を演算する処理を少なくとも実行する演算部30と、制御部20および演算部30に電力を供給する直流電源40と、を主に備えている。
【0042】
なお、直流電源40は、可燃性ガス検出装置1の各部に対して、駆動電圧Vcc(5[V])を供給する。
ガス検出素子10は、
図2(a)の平面視図、および、
図2(b)のA−A線矢視断面図に示すように、平板状に形成された基部11と、基部11の一方の面(以下、「表面」と表記する。)に配置された複数の電極12と、他方の面(以下、「裏面」と表記する。)に形成された凹部13と、を主に備えている。ガス検出素子10は、凹部13が形成された裏面が被検出雰囲気に晒された状態で配置されるものである。
【0043】
基部11は、ガス検出素子10の本体を構成するものであり、シリコンを主体とする矩形状の板部材である。基部11は、縦横ともに数mm程度の大きさ(本実施形態では、3mm×3mm程度の大きさ)に形成された矩形状の板部材である。基部11に対して複数の電極や凹部13などを形成する技術としては、シリコン基板に対して行われるマイクロマシニング技術(マイクロマシニング加工)などを例示することができる。
【0044】
基部11は、シリコンを主体に形成されたシリコン基板111と、シリコン基板111の表面に形成された絶縁層112と、を備えて構成されている。シリコン基板111の中央には、平面視においてシリコン基板111をほぼ正方形に除去した凹部13が形成されている。シリコン基板111の裏面においては、凹部13を介して絶縁層112が露出している。言い換えると、基部11は、シリコン基板111を枠体とし、絶縁層112を薄膜とするダイヤフラム構造で形成されている。
【0045】
絶縁層112のうち凹部13に対応する領域には、線状の発熱抵抗体15が渦巻き状に埋設されている。また、絶縁層112のうち周縁部のうち
図2(a)の上側領域には、被検出雰囲気の温度を測定する測温抵抗体16が埋設されている。
【0046】
基部11は、上述のような凹部13を備えて、発熱抵抗体15が設けられる絶縁層112の下方を空間部とすることにより、発熱抵抗体15が周囲(シリコン基板111など)と熱的に絶縁され、昇温、降温を短時間で行うことができ、発熱抵抗体15の消費電力を低減することができる。
【0047】
なお、絶縁層112は、単一の材料で形成されてもよいし、異なる材料を用いて複数層を成すように形成されていてもよい。また、絶縁層112を構成する絶縁性材料としては、例えば、酸化ケイ素(SiO
2 )や窒化珪素(Si
3N
4)を挙げることができる。
【0048】
発熱抵抗体15は、自身の温度変化により抵抗値が変化する材料であって、温度抵抗係数が大きな導電性材料で形成されている。測温抵抗体16は、電気抵抗が温度に比例して変化する導電性材料で形成されており、本実施形態では、温度の上昇に伴って抵抗値が増大する導電性材料で形成されている。
【0049】
発熱抵抗体15および測温抵抗体16は、同じ材料で形成されていてもよく、本実施形態では発熱抵抗体15および測温抵抗体16が白金(Pt)で形成されている。
測温抵抗体16は、一定電流の通電時において温度に応じた抵抗値が変化した場合には、自身の両端電圧(両端電位差)が変化する。そして、測温抵抗体16の両端電圧を増幅した電圧は、後述する温度検出信号VTとして出力される。この温度検出信号VTは、ガス検出素子10が晒される被検出雰囲気の温度が予め設定された基準温度の時に、所定の電位差である基準値となる。
【0050】
電極12は、基部11の表面のうち矩形の4つの頂点のそれぞれの近傍に形成された4個の電極であり、例えばアルミニウム(Al)または金(Au)を用いて形成されている。電極12のうち、
図2(a)における下側の2つの頂点に配置された2つが第1電極121、第1接地電極122であり、
図2(a)における上側の2つの頂点に配置された2つが第2電極123、第2接地電極124である。
【0051】
なお、第1電極121は、後述する通電制御回路21の接続点P+に接続され、第2電極123は、後述する温度調整回路25の接続点P−に接続されている。第1接地電極122および第2接地電極124は、いずれも制御部20と共通のグランドラインに接続されている。
【0052】
基部11の内部(詳細には絶縁層112の内部)には、配線17および配線膜18が設けられている。配線17および配線膜18は、発熱抵抗体15と、第1電極121および第1接地電極122と、を電気的に接続するものである。基部11の表面に形成される第1電極121および第1接地電極122と、絶縁層112の内部に形成される配線膜18とは、導電性を有するコンタクトホールによって電気的に接続されている。言い換えると、発熱抵抗体15は、一端において第1電極121と導通可能に接続され、他端において第1接地電極122と導通可能に接続されている。
【0053】
なお、配線17および配線膜18を構成する材料としては、発熱抵抗体15を構成する材料と同じ材料を用いることができる。
また、絶縁層112の内部には、測温抵抗体16と、第2電極123および第2接地電極124と、を電気的に接続する配線膜(図示せず)も設けられている。言い換えると、測温抵抗体16は、一端において第2電極123と導通可能に接続され、他端において第2接地電極124と導通可能に接続されている。
【0054】
なお、測温抵抗体16と第2電極123とを電気的に接続する配線膜や、測温抵抗体16と第2接地電極124とを電気的に接続する配線膜を構成する材料としては、測温抵抗体16を構成する材料と同じ材料を用いることができる。
【0055】
[1−2.制御部]
図1に戻り、制御部20には、通電制御回路21と、温度調整回路25と、が設けられている。
【0056】
通電制御回路21は、発熱抵抗体15への通電制御を行う。また、通電制御回路21は、演算部30に対して、各種信号(検出信号V1、TOP電圧信号V2、中間電位信号V3)を出力する。検出信号V1は、発熱抵抗体15の両端電圧(端子間電圧)に対応する信号であり、TOP電圧信号V2は、第1ブリッジ固定抵抗211と第2ブリッジ固定抵抗212との接続端部PVの電位に対応する信号であり、中間電位信号V3は、第2ブリッジ固定抵抗212と可変抵抗部213との接続点P−の電位に対応する信号である。なお、検出信号V1は、第1ブリッジ固定抵抗211と発熱抵抗体15との接続点P+の電位に対応する信号にも相当する。
【0057】
温度調整回路25は、測温抵抗体16への通電を行う。また、温度調整回路25は、演算部30に対して、被検出雰囲気の温度に係る温度検出信号VTを出力する。
また、後述するように、第1ブリッジ固定抵抗211と発熱抵抗体15との接続点P+と、第2ブリッジ固定抵抗212と可変抵抗部213との接続点P−とは、増幅回路220および電流調整回路230によるフィードバック制御によって、それぞれの電位が同電位となるように制御されている。
【0058】
通電制御回路21は、発熱抵抗体15の温度を一定温度に保つ回路である。通電制御回路21には、発熱抵抗体15を含むホイートストンブリッジ回路であるブリッジ回路210と、ブリッジ回路210で検出される電位差を増幅する増幅回路220と、増幅回路220の出力に従ってブリッジ回路210に流れる電流を増減調整する電流調整回路230と、が設けられている。
【0059】
ブリッジ回路210は、発熱抵抗体15と、第1ブリッジ固定抵抗211と、第2ブリッジ固定抵抗212と、抵抗値を切替可能な可変抵抗部213と、を備えるホイートストンブリッジ回路である。ブリッジ回路210は、発熱抵抗体15と第1ブリッジ固定抵抗211とが直列に接続された第1辺と、第2ブリッジ固定抵抗212と可変抵抗部213とが直列に接続された第2辺と、が並列に接続されて構成されている。
【0060】
第1ブリッジ固定抵抗211は、発熱抵抗体15と直列接続されている。発熱抵抗体15の端部のうち、第1ブリッジ固定抵抗211との接続端部とは反対側の端部PGは、グランドに接地されている。第1ブリッジ固定抵抗211の端部のうち、第2ブリッジ固定抵抗212との接続端部PVは、電流調整回路230(詳細には、定温度制御回路231)に接続されている。なお、発熱抵抗体15の一端が基準点(グランド)に接続される場合には、発熱抵抗体15の一端の電位は基準点の電位となることから、発熱抵抗体15の他端(本実施形態では、接続点P+)の電位は、発熱抵抗体15の両端電圧に相当する。
【0061】
なお、第1ブリッジ固定抵抗211は、第2ブリッジ固定抵抗212および可変抵抗部213と比べて、相対的に劣化しがたい抵抗素子(換言すれば、経時的劣化または環境負荷による劣化(温度や湿度、通電などの影響による劣化)に由来した抵抗値の変化割合が小さい特性を有している抵抗素子)で構成されている。
【0062】
本実施形態では、高温高湿負荷試験(85℃/85%RHの環境下で、定格電力の10分の1の電力を、90分ON/30分OFFの切替を1000Hにわたり繰り返す負荷試験)における抵抗変動率が0.5%以内の抵抗素子を用いた。
【0063】
また、第2ブリッジ固定抵抗212は、可変抵抗部213と直列接続されている。可変抵抗部213の端部のうち、第2ブリッジ固定抵抗212との接続端部とは反対側の端部PGは、グランドに接地されている。第2ブリッジ固定抵抗212の端部のうち、第1ブリッジ固定抵抗211との接続端部PVは、電流調整回路230(詳細には、定温度制御回路231)に接続されている。
【0064】
第1ブリッジ固定抵抗211と発熱抵抗体15との接続点P+は、第1固定抵抗222を介して演算増幅器221の非反転入力端子に接続されている。接続点P+の電位は、検出信号V1として演算部30に供給されている。また、第2ブリッジ固定抵抗212と可変抵抗部213との接続点P−は、第2固定抵抗223を介して演算増幅器221の反転入力端子に接続されている。接続点P−の電位は、中間電位信号V3として演算部30に供給されている。
【0065】
可変抵抗部213は、自身の抵抗値を切り替え可能に構成されており、ブリッジ回路210のバランスを変化させるために備えられている。
図1に示すように、可変抵抗部213は、第1固定抵抗214、第2固定抵抗215、切替スイッチ216を備えている。
【0066】
第1固定抵抗214および第2固定抵抗215は、互いに抵抗値の異なる抵抗素子で構成されている。切替スイッチ216は、第1固定抵抗214および第2固定抵抗215のうちいずれか一方を、第2ブリッジ固定抵抗212と発熱抵抗体15との間に接続するための切替スイッチである。切替スイッチ216は、演算部30から出力された切替信号CG1に従って切り替え動作を行う。
【0067】
なお、第1固定抵抗214は、発熱抵抗体15が第1設定温度CH(高温側設定温度。例えば、400℃。)となる抵抗値を有するものである。また、第2固定抵抗215は、発熱抵抗体15が第1設定温度CHより低く設定された第2設定温度CL(低温側設定温度。例えば、300℃。)となる抵抗値を有するものである。
【0068】
つまり、ブリッジ回路210は、可変抵抗部213の抵抗値を切り替えることで、発熱抵抗体15の設定温度を、第1設定温度CHまたは第2設定温度CLのいずれかに切り替え可能に構成されている。
【0069】
なお、第1設定温度CHに設定する場合には、切替スイッチ216によって、第1固定抵抗214が第2ブリッジ固定抵抗212と発熱抵抗体15との間に接続される。このときの発熱抵抗体15の両端電圧が、高温時電圧VHである。
【0070】
また、第2設定温度CLに設定する場合には、切替スイッチ216によって、第2固定抵抗215が第2ブリッジ固定抵抗212と発熱抵抗体15との間に接続される。このときの発熱抵抗体15の両端電圧が、低温時電圧VLである。
【0071】
なお、本実施形態では、第1設定温度CH(高温側設定温度)と第2設定温度CL(低温側設定温度)との温度差が100℃以上であるため、高温時電圧VHと低温時電圧VLとの比率における分解能を高めることができる。つまり、第1設定温度CHと第2設定温度CLとの温度差を50℃以上として、被検出雰囲気の湿度Hを精度良く算出することで、高温時電圧VHと低温時電圧VLとの比率における分解能を高めることができる。
【0072】
図1に示すように、増幅回路220は、差動増幅回路であって、演算増幅器221と、第1固定抵抗222と、第2固定抵抗223と、を備える。第1固定抵抗222は、演算増幅器221の非反転入力端子と接続点P+との間に接続されている。第2固定抵抗223は、演算増幅器221の反転入力端子と接続点P−との間に接続されている。
【0073】
増幅回路220は、演算増幅器221における非反転入力端子の入力電圧が反転入力端子の入力電圧より大きい場合には、出力である調整信号Cの値を大きくするように動作し、演算増幅器221における非反転入力端子の入力電圧が反転入力端子の入力電圧より小さい場合には、調整信号Cの値を小さくするように動作する。
【0074】
なお、演算増幅器221の出力端子は、第1接続抵抗224および第2接続抵抗225を介して、定温度制御回路231に接続されている。
電流調整回路230(詳細には、定温度制御回路231)は、調整信号Cに応じてブリッジ回路210に流れる電流を増減調整するものであり、調整信号Cが大きくなるほどブリッジ回路210に流れる電流を減少させ、調整信号Cが小さくなるほどブリッジ回路210に流れる電流を増加させる。
【0075】
つまり、演算増幅器221における非反転入力端子の入力電圧が反転入力端子の入力電圧より大きい場合には、ブリッジ回路210に流れる電流が減少し、逆に、演算増幅器221における非反転入力端子の入力電圧が反転入力端子の入力電圧より小さい場合には、ブリッジ回路210に流れる電流が増大する。
【0076】
電流調整回路230は、定温度制御回路231を備える。
定温度制御回路231は、駆動電圧Vccを供給する電源ラインとブリッジ回路210(詳細には、接続端部PV)との間に接続されている。定温度制御回路231は、制御ラインCL1を流れる信号に従って通電状態(オン抵抗)が変化するトランジスタを備えて構成されている。具体的には、定温度制御回路231は、増幅回路220から出力される調整信号Cに従って、ブリッジ回路210へ電流供給を開始する。そして、定温度制御回路231は、ブリッジ回路210への電流供給が開始されると、増幅回路220の出力である調整信号Cに従って、調整信号Cが大きいほどオン抵抗が大きくなってブリッジ回路210に流れる電流を減少させ、逆に、調整信号Cが小さいほどオン抵抗が小さくなってブリッジ回路210に流れる電流を増大させるように構成されている。
【0077】
上述の構成を有する通電制御回路21においては、直流電源40からブリッジ回路210への通電が開始されると、増幅回路220および電流調整回路230は、接続点P+と接続点P−との間に生じる電位差がゼロになるようにブリッジ回路210に流れる電流を調整するフィードバック制御を行う。これにより、発熱抵抗体15の抵抗値(言い換えると発熱抵抗体15の温度)が、可変抵抗部213によって決まる一定値(言い換えると、第1設定温度CHまたは第2設定温度CL)に制御される。
【0078】
具体的には、被検出雰囲気中の可燃性ガスの濃度が変化することにより、発熱抵抗体15から可燃性ガスに奪われる熱量が、発熱抵抗体15において発生する熱量より大きくなった場合には、発熱抵抗体15の温度が低下して、発熱抵抗体15の抵抗値が減少する。逆に、発熱抵抗体15から可燃性ガスに奪われる熱量が、発熱抵抗体15において発生する熱量より小さくなった場合には、発熱抵抗体15の温度が上昇して、発熱抵抗体15の抵抗値が増大する。
【0079】
上述のように発熱抵抗体15の抵抗値が減少すると、増幅回路220および電流調整回路230は、ブリッジ回路210に流れる電流、言い換えると、発熱抵抗体15において発生する熱量を増大させる。逆に、発熱抵抗体15の抵抗値が増大すると、ブリッジ回路210に流れる電流、言い換えると、発熱抵抗体15において発生する熱量を減少させる。このようにして、増幅回路220および電流調整回路230は、発熱抵抗体15の抵抗値(言い換えると発熱抵抗体15の温度)を一定の値に近づけるフィードバック制御を行う。
【0080】
接続点P+の電位を表す検出信号V1を測定することにより、発熱抵抗体15に流れる電流の大きさが判るとともに、発熱抵抗体15の温度(言い換えると抵抗値)を一定に保つために必要な熱量が判る。これにより、発熱抵抗体15から可燃性ガス(水素ガス)へ奪われる熱量がわかり、奪われる熱量は水素ガスの濃度に依存するため、検出信号V1を測定することにより、水素ガス濃度が判る。
【0081】
[1−3.強制通電回路]
通電制御回路21は、直流電源40からブリッジ回路210への電流供給を開始するように定温度制御回路231を制御するための強制通電回路233を備えている。
【0082】
強制通電回路233は、演算部30からの強制作動信号S1に従ってオン,オフ動作するFETを備えて構成されている。このFETは、nチャネル型FETであり、ゲートが演算部30に接続され、ドレインが制御ラインCL1を介して定温度制御回路231に接続され、ソースがグランドに設置されている。なお、このFETのドレインは、制御ラインCL1のうち第1接続抵抗224および第2接続抵抗225の間に接続されている。
【0083】
強制通電回路233は、強制作動信号S1に従ってFETがオン状態になると、制御ラインCL1を介して定温度制御回路231に対して強制通電信号Sfを出力する。定温度制御回路231は、強制通電信号Sfが入力されると、ブリッジ回路210へ電流供給を実行する。
【0084】
これにより、定温度制御回路231は、上述した調整信号Cのみならず、強制通電回路233から出力される強制通電信号Sfによっても、ブリッジ回路210へ電流供給を開始するように構成されている。
【0085】
[1−4.温度調整回路]
次に、温度調整回路25について説明する。
温度調整回路25には、測温抵抗体16を含むホイーストーンブリッジであるブリッジ回路250と、ブリッジ回路250から得られる電位差を増幅する増幅回路260と、が設けられている。
【0086】
ブリッジ回路250は、測温抵抗体16、第1ブリッジ固定抵抗251、第2ブリッジ固定抵抗252、第3ブリッジ固定抵抗253を備えるホイートストンブリッジ回路である。
【0087】
第1ブリッジ固定抵抗251は、測温抵抗体16と直列接続されている。測温抵抗体16の端部のうち第1ブリッジ固定抵抗251との接続端部とは反対側の端部は、接地されている。第1ブリッジ固定抵抗251の端部のうち第2ブリッジ固定抵抗252との接続端部は、駆動電圧Vccを供給する電源ラインに接続されている。
【0088】
また、第2ブリッジ固定抵抗252は、第3ブリッジ固定抵抗253に直列接続されている。第3ブリッジ固定抵抗253の端部のうち第2ブリッジ固定抵抗252との接続端部とは反対側の端部は、接地されている。第2ブリッジ固定抵抗252の端部のうち第1ブリッジ固定抵抗251との接続端部は、駆動電圧Vccを供給する電源ラインに接続されている。
【0089】
第1ブリッジ固定抵抗251と測温抵抗体16との接続点P−は、第2温調抵抗263を介して演算増幅器261の反転入力端子に接続されている。第2ブリッジ固定抵抗252と第3ブリッジ固定抵抗253との接続点P+は、第1温調固定抵抗262を介して演算増幅器261の非反転入力端子に接続されている。また、演算増幅器261の出力は、温度検出信号VTとして演算部30に供給されている。
【0090】
増幅回路260は、差動増幅回路であって、演算増幅器261と、第1温調固定抵抗262と、第2温調抵抗263と、第3固定抵抗264と、コンデンサ265と、を備える。第1温調固定抵抗262は、演算増幅器261の非反転入力端子と接続点P+との間に接続されている。第2温調抵抗263は、演算増幅器261の反転入力端子と接続点P−との間に接続されている。第3固定抵抗264およびコンデンサ265は、演算増幅器261の反転入力端子と出力端子との間に並列接続されている。
【0091】
[1−5.演算部]
演算部30は、温度調整回路25から出力される温度検出信号VTと、通電制御回路21から出力される検出信号V1に基づき水素ガス濃度を演算するものである。演算部30は、直流電源40から給電が開始されて起動するものであり、起動後、演算部30は各部を初期化してガス濃度演算処理を開始するものである。
【0092】
演算部30には、ガス濃度演算処理などの各種の演算処理を実行する中央演算装置(CPU)や、CPUで各種の演算処理を実行させる各種のプログラムやデータなどを格納するROMやRAMなどの記憶装置や、各種信号を入出力するためのIOポートや、計時用タイマー等が設けられている(図示省略)。
【0093】
上述の記憶装置には、温度換算データと、電圧換算データと、湿度換算データと、濃度換算データと、が少なくとも記憶されている。
温度換算データとしては、被検出雰囲気の環境温度Tと温度検出信号VTでもある温度電圧VTとの相関関係を表す温度換算データが含まれる。
【0094】
電圧換算データとしては、発熱抵抗体15の温度と発熱抵抗体15の両端電圧との相関関係を表す電圧換算データが含まれる。
湿度換算データとしては、被検出雰囲気内の湿度Hと高温時電圧VH、低温時電圧VLおよび温度電圧との相関関係を表す湿度換算データが含まれる。
【0095】
濃度換算データとしては、高温時電圧VHまたは低温時電圧VLと可燃性ガスのガス濃度Xとの相関関係を表す濃度換算データが含まれる。
なお、本実施形態は、高温時電圧VHと水素ガスのガス濃度Xとの相関関係を表す濃度換算データを用いる構成である。なお、各換算データは、換算用マップデータや換算用計算式等で構成されるものであり、実験等により得られたデータに基づいて予め作成されたものである。
【0096】
上述の湿度換算データには、環境温度T(ひいては温度電圧VT)と後述する電圧比VC(0)との相関関係を表す電圧比換算用マップデータ、および、後述する電圧比差ΔVCと湿度Hとの相関関係を表す湿度換算用マップデータが含まれている。
【0097】
上述の濃度換算データには、温度電圧VTと後述する高温時電圧VH(0)との相関関係を表す高温時電圧換算用マップデータ、高温時電圧VHおよび湿度Hと後述する高温時電圧変化ΔVH(H)との相関関係を表す湿度電圧変化換算用マップデータ、および、温度電圧VTおよび高温時電圧VHと後述するガス感度G(VT)との相関関係を表すガス感度換算用マップデータが含まれている。
【0098】
[1−6.水素ガス濃度の検出方法]
次に、本実施形態の可燃性ガス検出装置1による水素ガス濃度の検出方法について説明する。水素ガス濃度を検出する際には、可燃性ガス検出装置1は、
図3(a)および
図3(b)に示すように、一定の周期時間tの間(以下「低温期間t」と表記する。)に発熱抵抗体15の設定温度を低温側の第2設定温度CLに保持する制御処理と、一定の周期時間tの間(以下「高温期間t」と表記する。)に高温側の第1設定温度CHに保持する制御処理と、を交互に繰り返し行う。
【0099】
具体的には、可燃性ガス検出装置1の演算部30が切替信号CG1を出力することにより、低温期間tの間、ブリッジ回路210の抵抗値、即ち、発熱抵抗体15の端子間電圧を低温時電圧VLに保持する制御処理と、高温期間tの間、発熱抵抗体15の端子間電圧を高温時電圧VHに保持する制御処理と、を交互に繰り返し行う。
【0100】
本実施形態では、低温期間tおよび高温期間tは、それぞれ同一長さであり、具体的には、200msである。なお、低温期間tおよび高温期間tを合計した1サイクルである2tの長さは、長くても5秒以下であることが望ましい。1サイクルの長さが長くなると、環境変化に対する出力の追従性、言い換えると出力の精度が悪くなるためである。
【0101】
そして、演算部30は、ガス検出時に実行するガス濃度演算処理などの各種制御処理を実行する。
ここで、ガス濃度演算処理について説明する。
【0102】
ガス濃度演算処理は、可燃性ガス検出装置1によるガス検出時に実行される制御処理であって、可燃性ガス濃度を演算するための制御処理である。なお、可燃性ガス検出装置1が起動されると、演算部30にてガス濃度演算処理が開始される。
図4は、ガス濃度演算処理の処理内容を示すフローチャートである。
【0103】
ガス濃度演算処理が起動されると、まず、S110(Sはステップを表す。以下同様。)では、装置内の各部への通電を開始する。具体的には、通電制御回路21による発熱抵抗体15への通電や、温度調整回路25による測温抵抗体16への通電を開始する。また、S110では、フィードバック制御異常カウンタCNTをリセット(CNT=0)する処理も併せて実行する。
【0104】
次のS120では、強制通電回路233を用いたブリッジ回路210への電流供給(換言すれば、強制通電)を実行する。
具体的には、強制通電回路233(FET)をオン状態にするための強制作動信号S1を、強制通電回路233に対して出力する。本実施形態では、予め定められた強制通電時間(例えば、1.0[mSec])にわたり、強制通電回路233がオン状態となるように、強制作動信号S1を出力する。
【0105】
上述したように、強制通電回路233がオン状態になると、制御ラインCL1を介して定温度制御回路231に対して強制通電信号Sfが出力されて、定温度制御回路231は、直流電源40からブリッジ回路210への電流供給を実行する。
【0106】
なお、強制通電時間が経過した後は、強制作動信号S1の出力を停止して、強制通電回路233をオフ状態に制御する。これにより、定温度制御回路231は、強制通電信号Sfに基づくブリッジ回路210への電流供給を終了するが、このあとは、調整信号Cに基づくブリッジ回路210への電流供給を実行する。
【0107】
次のS130では、通電制御回路21から低温時電圧VL,高温時電圧VH,トップ電位V21、検出電位V11を取得し、温度調整回路25から温度電圧VTを取得する。
なお、トップ電位V21は、このときに検出されるTOP電圧信号V2の電位であり、検出電位V11は、このとき検出される検出信号V1の電位であり、温度電圧VTは、このとき検出される温度検出信号VTの電圧である。
【0108】
次のS140では、高温時電圧VHおよび低温時電圧VLに基づいて、電圧比VCを演算する。具体的には、[数1]を用いて電圧比VCを演算する。
【0110】
次のS150では、S130で取得した温度電圧VTおよび電圧比換算用マップデータに基づいて、環境温度Tひいては温度電圧VTにおけるガス濃度Xがゼロ、および、湿度Hがゼロのときの電圧比VC(0)を演算する。
【0111】
次のS160では、S140で得られた電圧比VC、および、S150で得られた電圧比VC(0)を、[数2]の入力値として、環境温度Tひいては温度電圧VTにおける電圧比差ΔVCを演算する。
【0113】
次のS170では、S160で得られた電圧比差ΔVC、および、湿度換算用マップデータに基づいて、電圧比差ΔVCのときの湿度Hを演算する。
次のS180では、S130で得られた高温時電圧VHと、S130で取得した温度電圧VTと、高温時電圧換算用マップデータと、に基づいて、環境温度Tひいては温度電圧VTにおけるガス濃度Xがゼロ、および、湿度Hがゼロのときの高温時電圧VH(0)を演算する。
【0114】
次のS190では、S130で得られた高温時電圧VHと、S170で得られた湿度Hと、湿度電圧変化換算用マップデータと、に基づいて、高温時電圧VHのうちの湿度Hに起因する電圧変化分を表す高温時電圧変化ΔVH(H)を演算する。
【0115】
次のS200では、S130で得られた高温時電圧VH、S180で得られた高温時電圧VH(0)、S190で得られた高温時電圧変化ΔVH(H)を、[数3]の入力値として、高温時電圧VHのうちの可燃性ガスに起因する電圧変化分を表す高温時電圧変化ΔVH(G)を演算する。
【0117】
次のS210では、S130で得られた高温時電圧VH、S130で得られた温度電圧VT、ガス感度換算用マップデータに基づいて、可燃性ガスに対する感度(単位はガス濃度Xの逆数)を表すガス感度G(VT)を演算する。
【0118】
次のS220では、S200において算出した高温時電圧変化ΔVH(G)、S210において算出したガス感度G(VT)を、[数4]の入力値として、可燃性ガス(水素)のガス濃度Xを演算する。
【0120】
次のS230では、増幅回路220および電流調整回路230によるフィードバック制御が異常状態であるか否かを判定し、肯定判定する場合にはS240に移行し、否定判定する場合にはS270に移行する。
【0121】
S230では、ブリッジ回路210へ電流供給されるべき状況であるにも関わらず、ブリッジ回路210への電流供給が行われていない場合に、増幅回路220および電流調整回路230によるフィードバック制御が異常状態であると判定する。具体的には、トップ電位V21と予め定められた第1異常判定値Vth1との比較結果に基づいて、フィードバック制御が異常状態であるか否かを判定する。
【0122】
詳細には、トップ電位V21が第1異常判定値Vth1以下である場合(V21≦Vth1)に、フィードバック制御が異常状態であると判定する。
なお、本実施形態では、第1異常判定値Vth1は2.5[V]に設定されている。
【0123】
S230で肯定判定されてS240に移行すると、S240では、フィードバック制御異常カウンタCNTをインクリメント(1加算。CNT=CNT+1。)する。
次のS250では、フィードバック制御異常カウンタCNTが予め定められた許容回数Nthよりも大きいか否かを判定しており、肯定判定する場合にはS260に移行し、否定判定する場合にはS120に移行する。なお、本実施形態では、許容回数Nthに「3」が設定されている。
【0124】
S250で肯定判定されてS260に移行すると、S260では、ハードウェア異常確定と判定する。
つまり、強制通電(S120)を実行しているにも関わらず、フィードバック制御異常と判定(S230で肯定判定)される回数が許容回数を超える場合には、フィードバック制御の異常ではなく、ガス検出素子10および制御部20を含めた可燃性ガス検出装置1のいずれかの箇所におけるハードウェア異常(配線異常など)が発生していると考えられる。そのため、S250で肯定判定された場合、S260で、ハードウェア異常確定と判定する。
【0125】
S260の処理が完了すると、ガス濃度演算処理を終了する。
S250で否定判定されてS120に移行すると、S120では、上述のように、強制通電回路233を用いたブリッジ回路210への電流供給(換言すれば、強制通電)を実行する。
【0126】
これにより、定温度制御回路231は、強制通電信号Sfに基づくブリッジ回路210への電流供給を実行する。定温度制御回路231は、強制通電信号Sfに基づくブリッジ回路210への電流供給を終了した後は、調整信号Cに基づくブリッジ回路210への電流供給を実行する。
【0127】
S230で否定判定されてS270に移行すると、S270では、フィードバック制御異常カウンタCNTをリセット(CNT=0)する。S270の処理が完了すると、S130に移行する。
【0128】
S120またはS270の処理が完了してS130に移行すると、S130では、上述のように、通電制御回路21から低温時電圧VL,高温時電圧VH,トップ電位V21、検出電位V11を取得し、温度調整回路25から温度電圧VTを取得する。
【0129】
つまり、ガス濃度演算処理では、S130からS220までの処理を終了した後、フィードバック制御が異常状態であるか否かをS230で判定している。
また、ガス濃度演算処理では、S120からS250およびS270の上述の処理を繰り返し実行することで、ガス濃度を演算する。
【0130】
さらに、ガス濃度演算処理では、S250にて肯定判定されると、S260にてハードウェア異常確定と判定し、本処理を終了する。
上述のように、ガス濃度演算処理においては、起動後のS120で、強制通電回路233を用いたブリッジ回路210への電流供給(換言すれば、強制通電)を実行する。
【0131】
その後、S130〜S220での処理によりガス濃度X(水素濃度)を演算する。
さらに、ガス濃度Xを演算した後、S230にて、フィードバック制御が異常状態であると判定すると、S240を実行した後、S250にて、フィードバック制御異常カウンタCNTと許容回数Nthとの比較結果に基づいてハードウェア異常であるか否かを判定する。S250で否定判定されると、S120に移行して、強制通電回路233を用いたブリッジ回路210への電流供給(換言すれば、強制通電)を実行する。S250にて肯定判定されると、ハードウェア異常確定と判定して、ガス濃度演算処理を終了する。
【0132】
[1−7.効果]
以上説明したように、本実施形態の可燃性ガス検出装置1は、当該装置の起動時(起動直後)に、ガス濃度演算処理のS120を実行することで、増幅回路220および電流調整回路230によるフィードバック制御の制御状態に関わらず、ブリッジ回路210への通電を行う。
【0133】
このため、可燃性ガス検出装置1は、当該装置の起動時におけるブリッジ回路210の各部(接続点P+、接続点P−など)の電位状態が不適切な状態であっても、強制通電回路233を用いたブリッジ回路210への電流供給(換言すれば、強制通電)を実行することができる。
【0134】
このように、強制的にブリッジ回路210への通電を行うことで、ブリッジ回路210の各部の電位(接続点P+、接続点P−など)が適正値に変化する。
この結果、増幅回路220および電流調整回路230は、適正な制御動作(フィードバック制御動作)が可能となり、増幅回路220および電流調整回路230によるブリッジ回路210への通電制御を適正に実行できる。
【0135】
また、強制通電回路233は、少なくとも可燃性ガス検出装置1の起動時に、ブリッジ回路210への通電を行うことから、可燃性ガス検出装置1の起動後、ブリッジ回路210の各部の電位を迅速に適正値に変化させることができる。
【0136】
よって、本実施形態の可燃性ガス検出装置1によれば、当該装置の起動後、迅速にブリッジ回路210の通電制御を実行できる。
次に、可燃性ガス検出装置1は、直流電源40からブリッジ回路210への通電状態を制御するために増幅回路220および電流調整回路230を備えている。強制通電回路233は、電流調整回路230(定温度制御回路231)を強制的に通電状態に制御することで、ブリッジ回路210への通電を行う。
【0137】
これにより、可燃性ガス検出装置1の起動時におけるブリッジ回路210の各部の電位状態が不適切な状態であるために、増幅回路220により生成される調整信号Cが不適切であっても、強制通電回路233が電流調整回路230(定温度制御回路231)を強制的に通電状態に制御することで、ブリッジ回路210への通電を行うことができる。
【0138】
次に、可燃性ガス検出装置1においては、ガス濃度演算処理のS230で、増幅回路220および電流調整回路230によるフィードバック制御が異常状態であるか否かを判定し、異常状態と判定(肯定判定)すると、S240を実行した後、S250にて、ハードウェア異常であるか否かを判定する。S250で否定判定されると、S120に移行して、強制通電回路233を用いたブリッジ回路210への電流供給(換言すれば、強制通電)を実行する。
【0139】
このような可燃性ガス検出装置1は、起動時以外の任意の時期においても、ブリッジ回路210の各部の電位状態が不適切な状態となり増幅回路220および電流調整回路230によるフィードバック制御が異常状態(停止状態)となった場合には、強制通電回路233を用いたブリッジ回路210への電流供給を実行することができる。
【0140】
このように、強制的にブリッジ回路210への通電を行うことで、ブリッジ回路210の各部の電位(接続点P+、接続点P−など)が適正値に変化する。この結果、増幅回路220および電流調整回路230は、適正な制御動作(フィードバック制御動作)が可能となり、増幅回路220および電流調整回路230によるブリッジ回路210への通電制御を適正に実行できる。
【0141】
よって、可燃性ガス検出装置1によれば、当該装置の起動時以外の任意の時期に、ブリッジ回路210の各部の電位状態が不適切な状態となり増幅回路220および電流調整回路230によるフィードバック制御が異常状態(停止状態)となった場合でも、強制通電回路233によるブリッジ回路210への電流供給を実行することで、増幅回路220および電流調整回路230によるブリッジ回路210への通電制御を適正に実行できる。
【0142】
なお、ガス濃度演算処理のS230で、増幅回路220および電流調整回路230によるフィードバック制御が異常状態ではないと判定された場合には、増幅回路220および電流調整回路230によるフィードバック制御が実行されているため、強制通電回路233によるブリッジ回路210への電流供給を実行する必要はない。
【0143】
また、可燃性ガス検出装置1は、S250で肯定判定されてハードウェア異常確定と判定されると(S260)、ガス濃度演算処理を終了することから、ハードウェア異常の発生時に、無駄にガス濃度演算処理が実行されるのを抑制できる。
【0144】
次に、可燃性ガス検出装置1は、水素ガス濃度を検出する用途に用いられるものであるため、温度や湿度などが大きく変化する環境に設置される場合があり、そのような環境変化の影響によって、当該装置の起動時におけるブリッジ回路210の各部の電位状態が不適切な状態となる場合がある。
【0145】
これに対して、可燃性ガス検出装置1は、強制通電回路233を備えることで、可燃性ガス検出装置1の起動時におけるブリッジ回路210の各部の電位状態が不適切な状態であっても、当該装置の起動後、迅速にブリッジ回路210の通電制御を実行できる。
【0146】
次に、可燃性ガス検出装置1においては、増幅回路220は、演算増幅器221の反転入力端子と出力端子との間に接続される帰還抵抗部を備えていない。
このような構成であれば、温度変化、経年劣化や環境変化などの影響による帰還抵抗部の抵抗値変化によって、増幅回路220の特性が変化することを抑制できる。これにより、温度変化、経年劣化や環境変化などの影響によってガス濃度X(水素濃度)の検出精度が低下することを抑制できる。
【0147】
つまり、増幅回路220が帰還抵抗部を用いて構成される場合には、温度変化、経年劣化や環境変化などの影響によって帰還抵抗部の抵抗値が変化すると、制御目標値が変動してしまい、ガス濃度X(水素濃度)の検出精度が低下する可能性がある。
【0148】
これに対して、可燃性ガス検出装置1は、帰還抵抗部を備えていない増幅回路220を備える構成であるため、温度変化、経年劣化や環境変化などの影響によるガス濃度X(水素濃度)の検出精度の低下を抑制できる。
【0149】
また、可燃性ガス検出装置1は、強制通電回路233を備えることで、当該装置の起動後、迅速にブリッジ回路210の通電制御を実行できることから、ブリッジ回路210の各部の電位状態を適切な状態に移行させる目的で帰還抵抗部を備えるブリッジ制御部を用いる必要が無くなる。
【0150】
[1−8.特許請求の範囲との対応関係]
ここで、特許請求の範囲と本実施形態とにおける文言の対応関係について説明する。
可燃性ガス検出装置1が流体状態検出装置の一例に相当し、発熱抵抗体15が発熱抵抗体の一例に相当し、ブリッジ回路210がホイートストンブリッジ回路の一例に相当し、増幅回路220および電流調整回路230がブリッジ制御部の一例に相当し、演算部30が演算部の一例に相当する。
【0151】
第1ブリッジ固定抵抗211が第1抵抗部の一例に相当し、第2ブリッジ固定抵抗212が第2抵抗部の一例に相当し、可変抵抗部213が第3抵抗部の一例に相当し、直流電源40が電源装置の一例に相当する。
【0152】
発熱抵抗体15と可変抵抗部213との接続端部である端部PGが基準点の一例に相当し、第1ブリッジ固定抵抗211と第2ブリッジ固定抵抗212との接続端部である接続端部PVが高電位点の一例に相当する。第1ブリッジ固定抵抗211と発熱抵抗体15との接続点P+が第1電位点の一例に相当し、第2ブリッジ固定抵抗212と可変抵抗部213との接続点P−が第2電位点の一例に相当する。
【0153】
ガス濃度演算処理におけるS120を実行する演算部30および強制通電回路233が強制通電部の一例に相当する。
演算増幅器221が信号生成部の一例に相当し、定温度制御回路231が通電制御部の一例に相当する。
【0154】
ガス濃度演算処理におけるS230を実行する演算部30が制御状態判定部の一例に相当する。
[2.第2実施形態]
上記実施形態では、強制通電部として、電流調整回路230(定温度制御回路231)を制御してブリッジ回路210への通電を行う強制通電回路233を備える構成について説明したが、本発明の流体状態検出装置は、このような構成に限られることはない。
【0155】
そこで、第2実施形態として、電流調整回路230(定温度制御回路231)とは異なる通電経路を介してブリッジ回路210への通電を行う第2強制通電回路234を備える第2可燃性ガス検出装置101について説明する。
【0156】
なお、第2可燃性ガス検出装置101は、可燃性ガス検出装置1と比べて共通する部分が多いため、以下の説明では、第2可燃性ガス検出装置101のうち、可燃性ガス検出装置1とは異なる部分を中心に説明する。
【0157】
図5は、第2可燃性ガス検出装置101の全体構成を説明する図である。
第2可燃性ガス検出装置101は、可燃性ガス検出装置1のうち強制通電回路233に代えて第2強制通電回路234を備えて構成されている。
【0158】
第2強制通電回路234は、定温度制御回路231に並列接続される形態で備えられており、駆動電圧Vccを供給する電源ラインとブリッジ回路210(詳細には、接続端部PV)との間に接続されている。第2強制通電回路234は、演算部30から出力される強制作動信号S1に従って通電状態(オン抵抗)が変化するトランジスタを備えて構成されている。
【0159】
第2強制通電回路234は、強制作動信号S1に従ってオン状態(通電状態)になると、直流電源40からブリッジ回路210への電流供給を実行する。つまり、第2強制通電回路234は、定温度制御回路231とは異なる通電経路を介して、ブリッジ回路210へ電流供給を開始するように構成されている。
【0160】
また、第2可燃性ガス検出装置101のガス濃度演算処理では、S120において、第2強制通電回路234を用いたブリッジ回路210への電流供給(換言すれば、強制通電)を実行する。
【0161】
具体的には、第2強制通電回路234をオン状態にするための強制作動信号S1を、第2強制通電回路234に対して出力する。本実施形態では、予め定められた強制通電時間(例えば、1.0[mSec])にわたり、第2強制通電回路234がオン状態となるように、強制作動信号S1を出力する。
【0162】
上述したように、第2強制通電回路234がオン状態になることで、定温度制御回路231とは異なる通電経路を介して、直流電源40からブリッジ回路210への電流供給を実行する。
【0163】
なお、強制通電時間が経過した後は、強制作動信号S1の出力を停止して、第2強制通電回路234をオフ状態に制御する。これにより、第2強制通電回路234によるブリッジ回路210への電流供給を終了するが、このあとは、定温度制御回路231(詳細には、増幅回路220および電流調整回路230)によるブリッジ回路210への電流供給が実行される。
【0164】
なお、第2可燃性ガス検出装置101のガス濃度演算処理におけるS110、S130〜S270の処理内容は、第1実施形態の可燃性ガス検出装置1のガス濃度演算処理における処理内容と同様である。
【0165】
以上説明したように、第2可燃性ガス検出装置101は、可燃性ガス検出装置1と同様に、当該装置の起動時(起動直後)に、ガス濃度演算処理のS120を実行することで、増幅回路220および電流調整回路230によるフィードバック制御の制御状態に関わらず、ブリッジ回路210への通電を行う。
【0166】
このため、第2可燃性ガス検出装置101は、当該装置の起動時におけるブリッジ回路210の各部(接続点P+、接続点P−など)の電位状態が不適切な状態であっても、第2強制通電回路234を用いたブリッジ回路210への電流供給(換言すれば、強制通電)を実行することができる。
【0167】
このように、強制的にブリッジ回路210への通電を行うことで、ブリッジ回路210の各部の電位(接続点P+、接続点P−など)が適正値に変化する。
この結果、増幅回路220および電流調整回路230は、適正な制御動作(フィードバック制御動作)が可能となり、増幅回路220および電流調整回路230によるブリッジ回路210への通電制御を適正に実行できる。
【0168】
また、第2強制通電回路234は、少なくとも第2可燃性ガス検出装置101の起動時に、ブリッジ回路210への通電を行うことから、第2可燃性ガス検出装置101の起動後、ブリッジ回路210の各部の電位を迅速に適正値に変化させることができる。
【0169】
よって、第2可燃性ガス検出装置101によれば、当該装置の起動後、迅速にブリッジ回路210の通電制御を実行できる。
ここで、特許請求の範囲と本実施形態とにおける文言の対応関係について説明する。
【0170】
第2可燃性ガス検出装置101が流体状態検出装置の一例に相当し、ガス濃度演算処理におけるS120を実行する演算部30および第2強制通電回路234が強制通電部の一例に相当する。
【0171】
[3.他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0172】
例えば、第1異常判定値Vth1は、上記数値に限られることはなく、増幅回路220および電流調整回路230によるフィードバック制御が異常状態であることを判定できる数値であれば、任意の値を設定してもよい。また、許容回数Nthは、上記数値に限られることはなく、ハードウェア異常を判定できる数値であれば、任意の値を設定してもよい。さらに、第1実施形態では、強制通電回路233をFETにて構成しているが、回路構成はこれに限られることはなく、トランジスタやリレーなどを用いて構成してもよい。
【0173】
次に、上記実施形態では、演算増幅器221の反転入力端子と出力端子との間に接続される帰還抵抗部を備えていない増幅回路220を備える可燃性ガス検出装置について説明したが、本発明の流体状態検出装置は、このような構成に限られることはない。
【0174】
つまり、増幅回路220は、演算増幅器221の反転入力端子と出力端子との間に接続される帰還抵抗部を備えても良い。この場合、帰還抵抗部に対して並列接続されるコンデンサを備えても良い。
【0175】
具体的には、
図6に示す第3可燃性ガス検出装置201のように、帰還抵抗226およびコンデンサ227が、演算増幅器221の反転入力端子と出力端子との間に並列接続される構成の第2増幅回路240を備えても良い。
【0176】
なお、第3可燃性ガス検出装置201は、第2可燃性ガス検出装置101のうち増幅回路220に代えて第2増幅回路240を備えて構成されている。
このような構成の第3可燃性ガス検出装置201においては、当該装置の起動後、迅速にブリッジ回路210の通電制御を実行できるとともに、帰還抵抗部を備えることによる作用効果(例えば、第2増幅回路240および電流調整回路230での制御状態が安定化するなどの作用効果)を得ることができる。