(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
図7(A)に示すように、免震装置10′は、複数の鋼板24と複数のゴム板部26とが交互に積層されて構成された積層ゴム支承16′と、この積層ゴム支承16′の上下にそれぞれ接合され上部の構造体12、下部の構造体14に取着される上部フランジ部材18、下部フランジ部材20を備えている。
図7(B)に示すように、地震の発生により積層ゴム支承16′に水平方向に荷重が加わり、積層ゴム支承16′に曲げ変形やせん断変形が生じこれにより曲げモーメントが生じると、
図5(A)に示すように、鋼板24の間に位置する各ゴム板部26の厚さが、積層ゴム支承16′の高さ方向においてもまた直径方向においても均等である場合、
図7(C)に示すように、ゴム板部26の内周部に比較してゴム板部26の外周部により大きい引っ張りひずみが生じる。そのため、積層ゴム支承16′に曲げ変形やせん断変形が過大に生じた際にはゴム板部26の外周部からゴム板部26の破断が生じ、積層ゴム支承16′の免震性能が低下することが懸念される。
一方、特許文献1には、積層ゴム支承の性能を改善する技術として、複数のゴム板部の厚さを、積層ゴム支承の高さ方向の中間部ほど大きく、中間部から離れるほど薄くすることで、積層ゴム支承に水平方向の荷重が加わった場合に、積層ゴム支承の高さ方向の両端に位置するゴム板部に過大なひずみが作用することを抑制することが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術は、積層ゴム支承の高さ方向の両端に位置するゴム板部に作用するひずみを抑制するものであって、積層ゴム支承に曲げ変形やせん断変形が過大に生じた際に、ゴム板部の外周部に生じる引っ張りひずみを抑制するものではない。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、曲げ変形やせん断変形が生じても免震性能を確保する上で有利な積層ゴム支承を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、
本発明は、複数の鋼板と複数のゴム板部とが交互に積層された積層ゴム支承であって、前記ゴム板部の厚さは、中央部よりも外周部が大きい寸法で形成さ
れ、前記鋼板の厚さは、前記中央部から前記外周部に至るにつれて次第に小さくなる寸法で形成され、前記ゴム板部の厚さは、前記中央部から前記外周部に至るにつれて次第に大きくなる寸法で形成されていることを特徴とする。
また、本発明は、複数の鋼板と複数のゴム板部とが交互に積層された積層ゴム支承であって、前記ゴム板部の厚さは、中央部よりも外周部が大きい寸法で形成さ
れ、前記鋼板は、前記中央部から、前記中央部と外周部との中間部まで位置する均一厚さの内側鋼板部と、前記中間部から前記外周部に至るにつれて厚さが次第に小さくなる外側鋼板部とで構成され、前記ゴム板部は、前記中央部から、前記中央部と外周部との前記中間部まで位置する均一厚さの内側ゴム部と、前記中間部から前記外周部に至るにつれて厚さが次第に大きくなる外側ゴム部とで構成されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記鋼板の外周端に、前記鋼板の上面の端部と、前記鋼板の下面の端部とを接続する曲面が形成されていることを特徴とする。
また、本発明は、複数の鋼板と複数のゴム板部とが交互に積層された積層ゴム支承であって、前記ゴム板部の厚さは、中央部よりも外周部が大きい寸法で形成さ
れ、前記鋼板は、前記中央部から、前記中央部と外周部との間の中間部まで位置する均一厚さの内側鋼板部と、前記中間部から前記外周部まで位置する前記内側鋼板部よりも厚さが小さい均一厚さの外側鋼板部とで構成され、前記内側鋼板部の外周端は、前記積層ゴムの中心から前記積層ゴムの半径の1/2よりも離れた箇所に位置し、前記ゴム板部は、前記中央部から、前記中央部と外周部との前記中間部まで位置する均一厚さの内側ゴム部と、前記中間部から前記外周部まで位置する前記内側ゴム部よりも厚さが大きい均一厚さの外側ゴム部とで構成されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記内側鋼板部と前記外側鋼板部との境の箇所は、曲面で接続されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記外側鋼板部の外周端に、前記外側鋼板部の上面の端部と、前記外側鋼板部の下面の端部とを接続する曲面が形成されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記複数の鋼板と
前記複数のゴム板部との中心に上下に貫通する孔が形成され、前記孔に鉛ダンパーが挿入されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、積層ゴム支承の外周部のゴム板部の厚さを中央部より大きくすることで、ゴム板部の厚さが均一の場合に比べ、外周部のゴム板部の引っ張りひずみを小さくすることができる。
したがって、外周部のゴム板部の引っ張りひずみが小さくなることで、外周部のゴム板部の負担が減り、ゴム板部の剥離や破断などによるゴム板部の破壊を回避することができ、曲げ変形やせん断変形が生じても免震性能を確保する上で有利な積層ゴム支承を得る上で有利となる。
また、本発明によれば、ゴム板部の厚さを無断階的に変化させることで外周部のゴム板部の引っ張りひずみを小さくすることができ、ゴム板部の破壊を回避し、曲げ変形やせん断変形が生じても免震性能を確保する上で有利な積層ゴム支承を得る上で有利となる。
また、本発明によれば、ゴム板部の厚さを中間部から外周部にわたり無断階的に変化させることで外周部のゴム板部の引っ張りひずみを小さくすることができ、ゴム板部の破壊を回避し、曲げ変形やせん断変形が生じても免震性能を確保する上で有利な積層ゴム支承を得る上で有利となる。
また、本発明によれば、積層ゴム支承の引っ張りひずみを緩和する上で有利となる。
また、本発明によれば、ゴム板部の厚さを中間部を境にして段階的に変化させることで外周部のゴム板部の引っ張りひずみを小さくすることができ、ゴム板部の破壊を回避し、曲げ変形やせん断変形が生じても免震性能を確保する上で有利な積層ゴム支承を得る上で有利となる。
また、本発明によれば、内側鋼板部と外側鋼板部との境の箇所から角部が取り除かれ、引っ張りひずみの変化を急激なものから穏やかにすることができ、引っ張りひずみに対する耐性を向上させ、引っ張りひずみが生じても十分な免震性能を確保する上で有利となり、十分な免震性能および耐久性を有する積層ゴム支承を得る上で有利となる。
また、本発明によれば、積層ゴム支承の引っ張りひずみを緩和する上で有利となる。
また、本発明によれば、鉛ダンパーを有する積層ゴム支承にも適用され、ゴム板部の破壊を回避し、曲げ変形やせん断変形が生じても免震性能を確保する上で有利な積層ゴム支承を得る上で有利となる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態に係る積層ゴム支承について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1(A)に示すように、免震装置10は、上部の構造体12と下部の構造体14との間に設けられている。
図1(A)において符号1202は上部の構造体12の基礎コンクリートを示し、符号1402は下部の構造体14の基礎コンクリートを示している。
免震装置10は、積層ゴム支承16Aと、この積層ゴム支承16Aの上部に接合された上部フランジ部材18と、積層ゴム支承16Aの下部に接合された下部フランジ部材20とを備えている。
本実施の形態では、複数の鋼板24と複数のゴム板部26との中心に上下に貫通する孔1602が形成され、孔1602に鉛ダンパー22が挿入されている。
免震装置10の上部の構造体12への取り付けは、上部フランジ部材18を挿通したボルト2Aが、上部の構造体12の基礎コンクリート1202に埋設された袋ナット4Aの雌ねじに締結されることでなされている。
また、免震装置10の下部の構造体14への取り付けは、下部フランジ部材20を挿通したボルト2Bが、下部の構造体14の基礎コンクリート1402に埋設された袋ナット4Bの雌ねじに締結されることでなされている。
【0009】
積層ゴム支承16Aは、複数の鋼板24と複数のゴム板部26とが交互に積層されることで構成されている。積層ゴム支承16Aは、複数の薄肉の鋼板24と複数の薄肉のゴム板を交互に積層し、モールド内で加硫することで形成され、複数のゴム板が加硫されることで複数のゴム板部26となっている。
積層ゴム支承16Aは円柱でもよく、角柱であってもよく、従来公知の様々な形状が採用可能であり、平面視した場合、鋼板24とゴム板部26の輪郭は同一である。
鋼板24の厚さは、積層ゴム支承16Aの直径方向の中央部から外周部に至るにつれて次第に小さくなる寸法で形成されている。
鋼板24の外周端に、鋼板24の上面の端部と、鋼板24の下面の端部とを接続する曲面2450が形成され、鋼板24の外周端から角部が取り除かれ、積層ゴム支承16Aの引っ張りひずみを緩和する上で有利となっている。
ゴム板部26の厚さは、積層ゴム支承16Aの直径方向の中央部よりも外周部が大きい寸法で形成されている。より詳細には、ゴム板部26の厚さは、中央部から外周部に至るにつれて次第に大きくなる寸法で形成されている。
なお、本実施の形態では、積層ゴム支承16Aの中央に鉛ダンパー22が配置されているので、鋼板24の直径方向の中央部、ゴム板部26の直径方向の中央部とは、鉛ダンパー22の周囲の内周部であり、以下の実施の形態でも同様である。
また、複数の鋼板24および複数のゴム板部26の外側に、必要に応じて耐候性を有する被覆ゴムが設けられる。
【0010】
このような実施の形態によれば次のような効果が奏される。
積層ゴム支承16Aにせん断変形が生じた際に、曲げモーメントも同時に作用し、外周部のゴム板部26にはより大きな引っ張り変形が生じる。
本実施の形態では、積層ゴム支承16Aの直径方向において、外周部のゴム板部26の厚さを中央部より大きくすることで、すなわち、ゴム板部26の厚さを、中央部から外周部に至るにつれて次第に大きくすることで、
図1(B)に示すように、ゴム板部26の厚さが均一の
図7(A)の従来例に比べ、外周部のゴム板部26の引っ張りひずみを、中央部から外周部に至るまで小さくすることができる。なお、
図1(B)の破線Aは、
図7(C)の実線Aに相当し、
図2(B)、
図3(B)、
図4(B)、
図5(B)、
図6(B)の破線Aも同様に
図7(C)の実線Aに相当している。
したがって、外周部のゴム板部26の引っ張りひずみが小さくなることで、外周部のゴム板部26の負担が減り、ゴム板部26の剥離や破断などによるゴム板部26の破壊を回避することができ、曲げ変形やせん断変形が生じても免震性能を確保する上で有利な積層ゴム支承16Aを得る上で有利となる。
【0011】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について
図2を参照して説明する。なお、以下の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の部分、部材については第1の実施の形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
第2の実施の形態では、鋼板24は、積層ゴム支承16Bの直径方向の中央部から、中央部と外周部との中間部まで位置する均一厚さの内側鋼板部2402と、中間部から外周部に至るにつれて厚さが次第に小さくなる外側鋼板部2404とで構成され、平面視した場合、鋼板24とゴム板部26の輪郭は同一である。
鋼板24の外周端に、外側鋼板部2404の上面の端部と、外側鋼板部2404の下面の端部とを接続する曲面2452が形成され、鋼板24の外周端から角部が取り除かれ、積層ゴム支承16Aの引っ張りひずみを緩和する上で有利となっている。
ゴム板部26は、積層ゴム支承16Bの直径方向の中央部から、中央部と外周部との中間部まで位置する均一厚さの内側ゴム部2602と、中間部から外周部に至るにつれて厚さが次第に大きくなる外側ゴム部2604とで構成されている、
そして、このような構成からゴム板部26の厚さは、積層ゴム支承16Bの直径方向の中央部よりも外周部が大きい寸法となっている。
【0012】
このような実施の形態によれば次のような効果が奏される。
積層ゴム支承16Bにせん断変形が生じた際に、曲げモーメントも同時に作用し、外周部のゴムにはより大きな引っ張り変形が生じる。
本実施の形態では、積層ゴム支承16Bの直径方向において、外周部のゴム板部26の厚さを中央部より大きくすることで、すなわち、ゴム板部26を、均一厚さの内側ゴム部2602と、外周部に至るにつれて厚さが次第に大きくなる外側ゴム部2604とで構成したので、
図2(B)に示すように、ゴム板部26の厚さが均一の
図7(A)の従来例に比べ、外側ゴム部2604の引っ張りひずみを小さくすることができる。なお、
図2(B)において点線a、bは、内側ゴム部2602と外側ゴム部2604との境の箇所を示している。
したがって、外周部のゴム板部26の引っ張りひずみが小さくなることで、外周部のゴム板部26の負担が減り、ゴム板部26の剥離や破断などによるゴム板部26の破壊を回避することができ、曲げ変形やせん断変形が生じても免震性能を確保する上で有利な積層ゴム支承16Bを得る上で有利となる。
【0013】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について
図3を参照して説明する。
第3の実施の形態では、鋼板24は、積層ゴム支承16Cの直径方向の中央部から、中央部と外周部との中間部まで位置する均一厚さの内側鋼板部2410と、中間部から外周部まで位置する内側鋼板部2410よりも厚さが小さい均一厚さの外側鋼板部2412とで構成され、鋼板24の厚さが段階的に異なっており、平面視した場合、鋼板24とゴム板部26の輪郭は同一である。
ゴム板部26は、積層ゴム支承16Cの直径方向の中央部から、中央部と外周部との中間部まで位置する均一厚さの内側ゴム部2610と、中間部から外周部まで位置する内側ゴム部2610よりも厚さが大きい均一厚さの外側ゴム部2612とで構成され、ゴム板部26の厚さが段階的に異なっている。
そして、このような構成からゴム板部26の厚さは、積層ゴム支承16Cの直径方向の中央部よりも外周部が大きい寸法となっている。
【0014】
このような実施の形態によれば次のような効果が奏される。
積層ゴム支承16Cにせん断変形が生じた際に、曲げモーメントも同時に作用し、外周部のゴムにはより大きな引っ張り変形が生じる。
本実施の形態では、積層ゴム支承16Cの直径方向において、外周部のゴム板部26の厚さを中央部より大きくすることで、すなわち、ゴム板部26を、均一厚さの内側ゴム部2610と、内側ゴム部2610よりも厚さが大きい均一厚さの外側ゴム部2612とで構成したので、
図3(B)に示すように、ゴム板部26の厚さが均一の
図7(A)の従来例に比べ、外側ゴム部2612の引っ張りひずみを小さくすることができる。なお、
図3(B)において点線c、dは、内側ゴム部2610と外側ゴム部2612との境の箇所を示しており、ゴム板部26の厚さが段階的に異なっていることから、内側ゴム部2610と外側ゴム部2612との境の箇所では、引っ張りひずみが段階的に変化している。
したがって、外周部のゴム板部26の引っ張りひずみが小さくなることで、外周部のゴム板部26の負担が減り、ゴム板部26の剥離や破断などによるゴム板部26の破壊を回避することができ、曲げ変形やせん断変形が生じても免震性能を確保する上で有利な積層ゴム支承16Cを得る上で有利となる。
【0015】
(第4の実施の形態)
次に第4の実施の形態について
図4を参照して説明する。
第4の実施の形態は、第3の実施の形態の変形例であり、第4の実施の形態では、
図4(A)に示すように、内側鋼板部2410と外側鋼板部2412との境の箇所が曲面2454で接続されている点、および、鋼板24の外周端である外側鋼板部2412の上面の端部と、外側鋼板部2412の下面の端部とが曲面2456で接続されている点が第3の実施の形態と異なっている。
第4の実施の形態によれば、第3の実施の形態の効果に加え、次の効果が奏される。
図4(B)に示すように、内側鋼板部2410と外側鋼板部2412との境の箇所に形成された曲面2454により、内側鋼板部2410と外側鋼板部2412との境の箇所から角部が取り除かれ、引っ張りひずみの変化を急激なものから穏やかにすることができ、引っ張りひずみに対する耐性を向上させ、引っ張りひずみが生じても十分な免震性能を確保する上で有利となり、十分な免震性能および耐久性を有する積層ゴム支承16Dを得る上で有利となる。
また、外側鋼板部2412の外周端に形成された曲面2456により、外側鋼板部2412の外周端から角部が取り除かれ、積層ゴム支承16Dの引っ張りひずみを緩和する上で有利となる。
なお、第3、第4の実施の形態において、内側鋼板部2410に第1の実施の形態の鋼板24の形状や第2の実施の形態の鋼板24の形状を適用するなど任意であり、同様に、外側鋼板部2412に第1の実施の形態の鋼板24の形状や第2の実施の形態の鋼板24の形状を適用するなど任意である。
【0016】
(第5の実施の形態)
次に第5の実施の形態について
図5を参照して説明する。
第5の実施の形態では、複数の鋼板24は、均一厚さの第1鋼板2420と、第1鋼板2420よりも平面視した場合に外側の輪郭が小さい均一厚さの第2鋼板2422とが、ゴム板部26の間に交互に積層されている。
本実施の形態では、第1鋼板2420と第2鋼板2422の厚さは同一である。
平面視した場合、第2鋼板2420の内側の輪郭と、ゴム板部26の内側の輪郭は同一であり、また、第1鋼板2420とゴム板部26の輪郭は同一である。
ゴム板部26は、第2鋼板2422に面する均一厚さの第1ゴム板部2620と、第2鋼板2422の輪郭の外側で第1鋼板2420に面し第1ゴム板部2620よりも厚さの大きい均一厚さの第2ゴム板部2622とを有し、ゴム板部26の厚さが段階的に異なっている。
そして、このような構成からゴム板部26の厚さは、積層ゴム支承16Eの直径方向の中央部よりも外周部が大きい寸法となっている。
【0017】
このような実施の形態によれば次のような効果が奏される。
積層ゴム支承16Eにせん断変形が生じた際に、曲げモーメントも同時に作用し、外周部のゴムにはより大きな引っ張り変形が生じる。
本実施の形態では、積層ゴム支承16Eの直径方向において、外周部のゴム板部26の厚さを中央部より大きくすることで、すなわち、ゴム板部26を、第2鋼板2422に面する均一厚さの第1ゴム板部2620と、第2鋼板2422の輪郭の外側で第1鋼板2420に面し第1ゴム板部2620よりも厚さの大きい均一厚さの第2ゴム板部2622とで構成したので、
図4(B)に示すように、ゴム板部26の厚さが均一の
図7(A)の従来例に比べ、外周部のゴム板26の引っ張りひずみを小さくすることができる。なお、
図4(B)において点線e、fは、第1ゴム板部2620と第2ゴム板部2622との境の箇所を示しており、ゴム板部26の厚さが段階的に異なっていることから、第1ゴム板部2620と第2ゴム板部2622との境の箇所では、引っ張りひずみが段階的に変化している。
したがって、外周部のゴム板部26の引っ張りひずみが小さくなることで、外周部のゴム板部26の負担が減り、ゴム板部26の剥離や破断などによるゴム板部26の破壊を回避することができ、曲げ変形やせん断変形が生じても免震性能を確保する上で有利な積層ゴム支承16Eを得る上で有利となる。
【0018】
(第6の実施の形態)
次に第6の実施の形態について
図6を参照して説明する。
第6の実施の形態は、第5の実施の形態の変形例であり、第6の実施の形態では、鋼板24の外周端に、鋼板24の上面の端部と、鋼板24の下面の端部とを接続する曲面2458が形成されている。
より詳細には、第1鋼板2420の外周端に、第1鋼板2420の上面の端部と、第1鋼板2420の下面の端部とを接続する曲面2458Aが形成されている。また、第2鋼板2422の外周端に、第2鋼板2422の上面の端部と、第2鋼板2422の下面の端部とを接続する曲面2458Bが形成されている。
第6の実施の形態によれば、第5の実施の形態の効果に加え、次の効果が奏される。
図6(B)に示すように、第2鋼板2422の外周端に形成された曲面2458Bにより、第2鋼板2422の外周端から角部が取り除かれ、第2鋼板2422の外周端において、引っ張りひずみの変化を急激なものから穏やかにすることができ、引っ張りひずみに対する耐性を向上させ、引っ張りひずみが生じても十分な免震性能を確保する上で有利となり、十分な免震性能および耐久性を有する積層ゴム支承16Fを得る上で有利となる。
また、第1鋼板2420の外周端に形成された曲面2458Aにより、第1鋼板2420の外周端から角部が取り除かれ、積層ゴム支承16Fの引っ張りひずみを緩和する上で有利となる。
なお、第5、第6の実施の形態において、第1鋼板2420や第2鋼板2422に、第1の実施の形態の鋼板24の形状や第2の実施の形態の鋼板24の形状を適用するなど任意である。
【0019】
また、第1〜第6の実施の形態において、ゴム板部26の厚さや、上下方向において隣り合う鋼板24の積層間隔は、それらゴム板部26の上下方向の位置や鋼板24の上下方向の位置に応じて適宜変化させることができる。例えば、上部フランジ部材18の直下に位置するゴム板部26の厚さと、下部フランジ部材20の直上に位置するゴム板部26の厚さを大きくすると共に、上部フランジ部材18寄りの箇所および下部フランジ部材20寄りの箇所では、鋼板24の積層間隔を広くしてゴム板部26の厚さを大きくし、積層ゴム支承16A〜16Fの中央部付近では、鋼板24の積層間隔を狭くしてゴム板部26の厚さを小さくする。好ましくは、鋼板24の積層間隔を、積層ゴム支承16A〜16Fの上部および下部から中央部に向かって次第に狭くし、ゴム板部26の厚さを積層ゴム支承16A〜16Fの上部および下部から中央部に向かって次第に小さくする。この場合、鋼板24の積層間隔を段階的に狭くし、ゴム板部26の厚さを段階的に小さくしてもよく、一定の箇所で鋼板24の積層間隔を急激に狭くし、ゴム板部26の厚さを急激に小さくしてもよい。
このような構成にすることで、曲げ変形やせん断変形由来の曲げモーメントに対する引っ張りひずみを緩和することができ、十分な免震性能および耐久性を有する積層ゴム支承16A〜16Fを得る上で有利となる。