(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6534879
(24)【登録日】2019年6月7日
(45)【発行日】2019年6月26日
(54)【発明の名称】クリーニングローラ
(51)【国際特許分類】
G03G 15/02 20060101AFI20190617BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20190617BHJP
F16C 13/00 20060101ALI20190617BHJP
【FI】
G03G15/02 103
G03G21/00 310
F16C13/00 B
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-138318(P2015-138318)
(22)【出願日】2015年7月10日
(65)【公開番号】特開2017-21183(P2017-21183A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2018年6月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098752
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 吏規夫
(72)【発明者】
【氏名】水野 英治
(72)【発明者】
【氏名】飯坂 裕
【審査官】
三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−181299(JP,A)
【文献】
特開2012−189727(JP,A)
【文献】
特開2010−286713(JP,A)
【文献】
実開昭60−157744(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0037320(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/02
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の弾性発泡体がシャフトの外周に螺旋状に巻き付けられて前記シャフトの外面に粘着剤または接着剤で固定され、クリーニング時に一方向へ回転するクリーニングローラにおいて、
前記シャフトの外周に螺旋状に巻き付けられた帯状の弾性発泡体は、前記クリーニング時の回転方向前側の端部側のみに、前記帯状の弾性発泡体の一部が熱プレスにより圧縮されて前記接着剤または粘着剤が前記弾性発泡体に含浸した状態で前記シャフトの外周面に固着した含浸固着部を、前記帯状の弾性発泡体の端から離して内側位置に有することを特徴とするクリーニングローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニングローラに関し、特には複写機、プリンター装置、ファクシミリ装置等のOA機器における帯電ローラに付着した残留トナーや紙粉等の微粒子を除去するクリーニングローラに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば複写装置、画像記録装置、プリンター装置、ファクシミリ装置等のOA機器では、電子写真システムにおける帯電系等に、クリーニングローラが使用されている。
図6は、電子写真システムの構造を模式的に示す図である。符号81は感光ドラム、83は帯電ローラ、85はクリーニングローラ、87はレーザー発信機、89はトナー供給装置、91はブレード、93は転写ベルト、Pは用紙である。クリーニングローラ85は、帯電ローラ83の表面に付着した残留トナーや紙粉等の微粒子を除去するために設けられ、シャフト85aと、前記シャフト85aの外周に設けられた弾性発泡体層85bとよりなり、前記弾性発泡体層85bが帯電ローラ83の表面に押し付けられた状態で回転し、前記帯電ローラ83の表面の微粒子を弾性発泡体層85bで除去する。前記クリーニングローラ85には回転用駆動部がなく、帯電ローラの駆動回転に従い、上記クリーニングローラも従動する。
【0003】
前記クリーニングローラとして、四角柱状に加工した弾性発泡体の中心にシャフトを挿通して弾性発泡体の外周を研磨することにより、弾性発泡体を円筒形にしたものがある。
しかし、研磨加工により形成されたクリーニングローラは、研磨加工時に発生した研磨粉が弾性発泡体表面の微細な凹凸に入り込み、使用時に悪影響を及ぼすことがあった。
【0004】
また、前記研磨粉の問題を解消するため、紐状のウレタンスポンジからなるクリーニング部材をシャフトの外周に螺旋状に巻き付けたクリーニングローラが提案されている(特許文献1)。
しかし、紐状のクリーニング部材をシャフトの外周に螺旋状に巻き付けたクリーニングローラは、帯電ローラとクリーニング部材との接触が線接触となって接触面積が少ないために、クリーニング性能が劣る問題がある。
【0005】
また、弾性発泡体からなる帯部を軸部の周面に螺旋状に巻き付け、螺旋が進む方向の一端の厚みを先端ほど薄くして、該一端が帯電ローラに接触しないようにした清掃ローラが提案されている(特許文献2)。
螺旋が進む方向の弾性発泡体の一端を帯電ローラに接触しないようにした清掃ローラは、螺旋が進む方向の弾性発泡体の一端が帯電ローラの表面と接触して剥がされるおそれを無くすことができる。しかしながら、螺旋が進む方向の弾性発泡体の一端を接触しないようにするには、別部材が必要であったり、また弾性発泡体は、気泡構造からなるために非発泡のものと比べると強度が低いことから、螺旋が進む方向の一端が、帯電ロールと接触しないだけでは必ずしも剥がれるおそれを解消できないでいる。
【0006】
また、螺旋が進む方向の弾性発泡体の一端を帯電ローラに接触しないようにした清掃ローラでは、弾性発泡体は樹脂骨格部分においてシャフトまたは固着層と接地するため、実質上の接地面積が少なく接着力が低い。そのため、帯電ローラとの摩擦による先端部にかかる応力を低減するためには、弾性発泡体の先端部の広範囲にわたって厚みを薄く設定する必要がある。すなわちシャフト側には接着していて、帯電ローラには接触しない部分の面積を大きくする必要がある。その結果、弾性発泡体の端部におけるクリーニング性能が劣るようになるため、クリーニング性能の低下を防ぐにはシャフトを延長する必要が生じ、クリーニングローラが大型化してしまう問題がある。
【0007】
そこで、先に出願人は、帯状の弾性発泡体の片面に粘着剤や接着剤を設けて、シャフトの外周に螺旋状に巻き付けで粘着剤または接着剤で固定し、螺旋方向の端部については、熱プレスしたクリーニングローラを提案した(特許文献3)。
前記帯状の弾性発泡体の端部を熱プレスしたクリーニングローラによれば、端部の剥がれを低減することができるが、両端部を熱プレスする作業に手間取り、かつコストが嵩む問題がある。
【0008】
本発明者は、帯状の弾性発泡体をシャフトの外周に螺旋状に巻き付けたクリーニングローラについてさらに検討した結果、クリーニングローラの使用時、弾性発泡体には回転方向の前側に、後側よりも大きな応力が加わり、前側で剥がれ易くなることを見出した。しかも、クリーニングローラの帯状の弾性発泡体は、帯電ローラの全幅を効率よくクリーニング可能なように、シャフトの外周に螺旋状に巻き付けられる範囲(シャフトの軸方向に沿う長さ)が、帯電ローラの幅よりも大にされるため、帯電ローラの縁と接触して応力が加わる位置は、帯状の弾性発泡体においてシャフトの長さの先端ではなく、先端から離れた内側位置となる。
【0009】
本発明者は、さらに検討した結果、シャフトの外周に螺旋状に巻き付けた帯状の弾性発泡体において、クリーニング時に回転方向前側となる弾性発泡体の前端側のみについて、該前端から離れた内側位置でシャフトへの固着強度を大にすることにより、弾性発泡体の剥がれを効果的に防ぐことができることを見出し、本発明を相当するにいたった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−070532号公報
【特許文献2】特開2010−286713号公報
【特許文献3】特許第5701099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、シャフトの外周に螺旋状に巻き付けられた弾性発泡体が剥がれ難く、かつ製造が容易で製造コストが嵩むのを抑えることができるクリーニングローラの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、帯状の弾性発泡体がシャフトの外周に螺旋状に巻き付けられて前記シャフトの外面に粘着剤または接着剤で固定され、クリーニング時に一方向へ回転するクリーニングローラにおいて、前記シャフトの外周に螺旋状に巻き付けられた帯状の弾性発泡体は、前記クリーニング時の回転方向前側の端部側のみに、前記帯状の弾性発泡体の一部が熱プレスにより圧縮されて前記接着剤または粘着剤が前記弾性発泡体に含浸した状態で前記シャフトの外周面に固着した含浸固着部を、前記帯状の弾性発泡体の端から離して内側位置に有することを特徴とする。
さらに、上記含浸固着部は、円形に圧縮されたものであることを特徴とする。円形の含浸固着部とすることで、圧縮された弾性発泡体の周辺にかかる力を分散することができる。
また、上記含浸固着部は、クリーニングローラと接触する帯電ローラの端部より外側に位置することを特徴とする。最も負荷のかかるクリーニングローラと接触する帯電ローラの端部の近傍を含浸固着部とすることで、剥がれにくい弾性発泡体の端部を得ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、クリーニングローラの使用時に帯状の弾性発泡体に大きな応力が加わる回転方向の前側の端部側において、帯電ローラの幅方向の縁と接触して応力が加わることになる位置(端から離れた内側位置)に含浸固着部を設けて、シャフトとの固着強度を高めることができるため、弾性発泡体の端部側の剥がれを効率良く防ぐことができる。しかも、帯状の弾性発泡体において回転方向の前側のみに含浸固着部を設ければよいため、製造作業も簡略になり、コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係るクリーニングローラの斜視図である。
【
図2】
図1における帯状の弾性発泡体の回転方向前側端部付近の拡大斜視図である。
【
図3】シャフトとシャフトへの巻き付け前の帯状の弾性発泡体を示す概略平面図である。
【
図5】シャフトへの巻き付け前の帯状の弾性発泡体の他の例を示す概略平面図である。
【
図6】電子写真システムの構造を模式的に示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1及び
図2に示すクリーニングローラ10は、例えば
図6に示した帯電ローラ83の表面に接触しながら回転するように取り付けられ、帯電ローラ83の表面に付着しているトナーなどの微粒子を除去するのに好適なものである。前記クリーニングローラ10は、シャフト11と、前記シャフト11の外周に螺旋状に巻き付けられてシャフト11の外周面に接着または粘着により固定された帯状の弾性発泡体21とよりなり、クリーニング時に一方向のみに回転する。
【0016】
前記シャフト11は、金属等からなる棒状体で構成されており、前記クリーニングローラ10の芯材を構成する。前記シャフト11は、前記クリーニングローラ10が取り付けられる機器に応じた長さ及び径とされるが、例えば
図3に示すシャフト11の長さaとして226〜350mm、直径φとして3〜8mmを挙げる。Lは前記シャフト11の中心線である。
【0017】
前記帯状の弾性発泡体21は、
図2に示すように、前記シャフト11側となる片面に接着性または粘着性を有する固着層27が設けられ、前記固着層27によって前記シャフト11の外面に固定されている。前記固着層27は、基材の両面に粘着剤または接着剤が付着した両面接着テープが好適である。
図3にシャフト11への巻き付け前の帯状の弾性発泡体21の平面図を示す。
【0018】
前記帯状の弾性発泡体21は、前記シャフト11の外周に螺旋状に巻き付けられた場合に、シャフト11の長さ方向の両端面28a、28bが前記シャフト11と直交する方向となるように、前記帯状の弾性発泡体21の長さ方向Yに対して斜めにカットされ、前記帯状の弾性発泡体21の長さ方向Yの両先端22、22が略V字状になっている。
【0019】
前記帯状の弾性発泡体21は、適宜の幅及び高さとされるが、例えば、
図3に示すように、前記シャフト11に巻き付けられる前における帯状の弾性発泡体21の幅(長さ方向Yと直交する幅)dが3.0〜13.0mm、また、前記シャフト11に巻き付けられる前における帯状の弾性発泡体21の厚みが2.0〜4.0mmの場合を挙げる。
【0020】
前記帯状の弾性発泡体21を構成する弾性発泡体としては、連続気泡ポリウレタンフォーム、連続気泡ポリオレフィン等の発泡体が好ましく、特にはポリウレタンフォームが好適である。ポリウレタンフォームの場合、見掛け密度(JIS K7222)24〜80kg/m
3、硬さ(JIS K6400−2、25%圧縮硬さ)100〜410N、引張強度(JIS K6400−5)69〜300kPa、伸び(JIS K6400−5)100〜220%のものが好ましい。
【0021】
前記帯状の弾性発泡体21の見掛け密度が24kg/m
3未満の場合には帯電ローラ表面の付着物を掻き取りきれずにクリーニング性が低下する。一方、80kg/m
3を超える場合には、帯電ローラと密着して従動するのに負荷が大きくなる。
弾性発泡体の硬さが100N未満の場合には帯電ローラにかかる応力が低くなり、掻き取り性能、クリーニング性が低下する、一方、410Nを超える場合には、帯電ローラにかかる応力が高くなりすぎ、クリーニングローラを従動回転させるのに駆動装置の負荷が大きくなる。
【0022】
前記帯状の弾性発泡体21の引張強度(JIS K6400−5)が69kPa未満の場合には、弾性発泡体表面がちぎれたり、削れたりする。
前記帯状の弾性発泡体21の伸び(JIS K6400−5)は、帯電ローラとクリーニングローラが面接触するように、所定の範囲に設定される。また、弾性発泡体をシャフトに巻き付けた後の巻戻る力も伸びがあることで緩和される。
【0023】
また、前記帯状の弾性発泡体21は、前記シャフト11の長さ方向(軸方向)に沿う所定範囲bの外周に螺旋状に巻き付けられている。前記帯状の弾性発泡体21が螺旋状に巻き付けられる範囲bは、前記クリーニングローラ10の使用時に該クリーニングローラ10の弾性発泡体21が帯電ローラと当接する範囲(すなわちクリーニング範囲)より所定量大に設定されている。
図3において、Fはシャフト11が回転する方向の前側であり、Rは回転方向の後側である。前記シャフト11の所定範囲bの外周に前記帯状の弾性発泡体21が螺旋状に巻き付けられた場合に、前記帯状の弾性発泡体21の回転方向前(F)側の端部の端(すなわち、シャフトの長さ方向に沿う端)となる位置がF1であり、一方、回転方向後(R)側の端部の端(すなわち、シャフトの長さ方向に沿う弾性発泡体の端)がR1である。なお、螺旋状に巻き付けられた帯状の弾性発泡体21において回転方向前(F)側の端部とは、回転方向の前方を向く端部である。一方、回転方向後(R)側の端部とは、回転方向とは反対方向を向く端部である。
【0024】
図1及び
図2に示すように、前記シャフト11の外周に螺旋状に巻き付けられた帯状の弾性発泡体21は、クリーニング時(使用時)の回転方向の前(F)側の端部25側のみに、前記帯状の弾性発泡体21の端(シャフトの長さ方向になる端)28aから離して内側位置に含浸固着部26が形成されている。前記含浸固着部26の位置は、前記クリーニングローラ10の使用時に帯電ローラの縁と当接する位置付近に設定される。
図3には、前記含浸固着部26が設けられる位置F2を、前記回転方向前(F)側の端部の端となる位置(すなわち、シャフトの長さ方向に沿って弾性発泡体の端となる位置)F1から距離cだけ離れた内側位置に設定した例を示す。前記cは、前記シャフト11の外周に前記帯状の弾性発泡体21を螺旋状に巻き付ける範囲bと、前記帯電ローラに当接する範囲とによって異なるが、例として前記シャフト11の半周より大の距離を挙げる。なお、R2はR1から前記cの距離だけ内側位置である。また、eの部分は前記位置F2と位置R2間の部分である。前記帯電ローラと前記クリーニングローラは、軸受で支持されており、前記帯電ローラの回転に伴って、常時清掃できるようにクリーニングローラが従動するのが好ましい。軸受は、前記帯電ローラと前記クリーニングローラを一体に支える一体となった構造であっても、別体に異なっていても良いが、前記帯電ローラの外径より前記クリーニングローラの外径が小さいことで、従動によるトナー等の擦れがなく、良好な掻き取りが可能となる。また、従動する場合のほうが、回転方向前(F)側にかかる負荷が、独自に駆動回転する場合にかかる負荷に比べて大きい。
【0025】
前記含浸固着部26は、前記シャフト11の外周に螺旋状に巻き付けられた帯状の弾性発泡体21が、
図3に示す前記回転方向前側の先端位置F1から所定距離c離れた内側の位置F2で熱プレスにより圧縮され、それにより前記固着層27の粘着剤または接着剤が前記弾性発泡体21に含浸した状態で前記シャフト11の外周面に固着している。前記含浸固着部26は、圧縮形状に固定されることによって他の部分よりも見掛け密度が高くなり、強度が増大する。また、前記含浸固着部26では、前記固着層27の粘着剤または接着剤が前記帯状の弾性発泡体内に入り込んだ含浸状態で前記シャフト11に固着しているため、それにより前記帯状の弾性発泡体21とシャフト11との固着強度が増大し、帯状の弾性発泡体21の端部側がシャフトから一層剥がれ難くなる。なお、前記含浸固着部26の形状は、図示の例では、前記弾性発泡体21の表面から窪んだ円形凹部となっているが、円形に限られず、四角形等や溝状等の他の形状をした凹部であってもよい。
【0026】
前記クリーニングローラ10の製造方法の実施形態について簡単に説明する。まず、帯状の弾性発泡体21において前記シャフト11の外面と対向する側となる片面に、接着性または粘着性を有する両面接着テープ等からなる前記固着層27を設け、
図3に示すシャフト11の長さ方向(軸方向)に沿う所定範囲bの外周に所定角度θで螺旋状に巻き付け、前記固着層27で固定する。弾性発泡体の前記シャフトとの接触面は、発泡体の多孔質を形成する樹脂骨格によって接触しているだけなので、実質的な接触面積は弾性発泡体が占める面積に比べて小さくなり、単位面積の接着力も小さくなる。
【0027】
次に
図4の(4−1)及び(4−2)に示すように、前記シャフト11の外周に螺旋状に巻き付けられた帯状の弾性発泡体21において、回転方向前側の端部の先端位置F1から所定距離c離れた内側の位置F2を、加熱した金属片31でシャフト11の外面に押し付けて熱プレスする。熱プレス温度は、前記帯状の弾性発泡体21が塑性変形すると共に前記固着層27の接着剤あるいは粘着剤が溶融可能な温度が好ましく、例えば165〜330℃を挙げる。前記金属片31において帯状の弾性発泡体21を押圧する面は、円形に限られず、四角形や、直線状の突起形状であってもよい。
【0028】
前記帯状の弾性発泡体21において熱プレスにより圧縮された部分は、前記弾性発泡体21が塑性変形し、かつ前記固着層27の接着剤あるいは粘着剤が溶融して弾性発泡体21に含浸し、前記シャフト11の外面に固着した含浸固着部26となる。前記含浸固着部26は、含浸した接着剤あるいは粘着剤の硬化により、圧縮形状に固定され、前記弾性発泡体21の見掛け密度が増大して強度が高まり、かつシャフト11に密着し、剥がれ難くなる。さらに、溶融した粘着剤や接着剤が弾性発泡体21内及び前記弾性発泡体21とシャフト11間の空隙にも入り込むことで、前記帯状の弾性発泡体21の端部25側は前記シャフト11との実質上の接地面積が増大し、前記シャフト11との接着力が一層向上する。
【0029】
前記帯状の弾性発泡体21は、長さ方向Yの両端がV字形に加工されたものに限られず、例えば、
図5の(5−1)に示すように、長さ方向Yの両端が長さ方向Yに対して直角に加工された弾性発泡体21Aや、
図5の(5−2)に示すように、長さ方向Yの両端がL字形の屈曲形状に加工された弾性発泡体21B等であってもよい。
【0030】
前記クリーニングローラ10は、帯電ローラと共にOA機器に取り付けられて使用される際、前記シャフト11に螺旋状に巻き付けられた帯状の弾性発泡体21が、前記回転方向前側の端部側に前記含浸固着部26を有するため、弾性発泡体21の端部側が剥がれ難くなる。また、前記帯状の弾性発泡体21は、前記含浸固着部26で弾性発泡体21の見掛け密度が高くなって強度が増大しているため、帯電ローラの縁と当接しても、破損したり剥がれたりするのを抑えることができる。
【符号の説明】
【0031】
10 クリーニングローラ
11 シャフト
21 帯状の弾性発泡体
26 含浸固着部
27 接着層または粘着層からなる固着層
28a 帯状の弾性発泡体における回転方向前側のシャフトの長さ方向の端面