特許第6534898号(P6534898)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6534898
(24)【登録日】2019年6月7日
(45)【発行日】2019年6月26日
(54)【発明の名称】グリル
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/06 20060101AFI20190617BHJP
   F24C 15/34 20060101ALI20190617BHJP
   F24C 3/04 20060101ALI20190617BHJP
   F24C 15/16 20060101ALI20190617BHJP
【FI】
   A47J37/06 366
   F24C15/34 J
   F24C3/04 F
   F24C15/16 B
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-187809(P2015-187809)
(22)【出願日】2015年9月25日
(65)【公開番号】特開2017-60595(P2017-60595A)
(43)【公開日】2017年3月30日
【審査請求日】2018年6月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】竹本 安伸
【審査官】 大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−200302(JP,A)
【文献】 特開2014−119243(JP,A)
【文献】 特開2001−231687(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−0711501(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/06
F24C 3/04
F24C 15/16
F24C 15/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリル庫内の上部に、グリル庫の横方向両側に位置する炎口部と後部の炎口部とを有する平面視U字状の上火バーナと、当該上火バーナにより加熱され下方に向けて熱を輻射する輻射体とが配置されたグリルであって、グリル庫内の下部に設置される、被調理物を直置きする金属製の焼皿を備えるものにおいて、
焼皿の後端部に、上方にのびる後板部が設けられ、後板部の上部に、上火バーナの後部炎口部に形成される火炎により加熱される受熱板部が設けられることを特徴とするグリル。
【請求項2】
前記焼皿は、焼皿の被調理物載置部の横方向両外側に、被調理物載置部よりも下方に窪んだ窪み部を有することを特徴とする請求項1記載のグリル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被調理物を上下から加熱できる所謂両面焼き機能を有するグリルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のグリルでは、一般的に、上火バーナと、被調理物を載せる焼網より下方位置に配置した下火バーナとを備え、上火バーナで被調理物を上方から加熱し、下火バーナで被調理物を下方から加熱するようにしている。
【0003】
また、下火バーナを備えるグリルであって、グリル庫内の上部に、グリル庫の横方向両側に位置する炎口部を有する上火バーナを配置すると共に、この上火バーナにより加熱され下方に向けて熱を輻射する輻射体を配置したグリルも知られている(例えば、特許文献1参照)。更に、上火バーナを、横方向両側の炎口部と後部の炎口部とを有する平面視U字状のバーナで構成し、横方向一側の炎口部から横方向他側の炎口部に後部の炎口部を介して火移りさせるようにしたものも知られている。
【0004】
ところで、下火バーナは、これに被調理物からの焼き汁が落下しないよう、グリル庫の側部に配置される。そのため、下火バーナで被調理物を効率よく加熱することは困難であり、省エネルギー化を図る上で障害になっている。
【0005】
そこで、従来、特許文献2により、下火バーナを設けずに、グリル庫内の下部に被調理物を直置きする金属製の焼皿を設置したものも知られている。このものでは、上火バーナからの輻射熱のうち被加熱物に入射されなかった輻射熱が焼皿に入射され、この輻射熱により焼皿を介して間接的に被調理物が下方から加熱されることになる。従って、下火バーナを設けずに両面焼き機能を得られ、省エネルギー化を図ることができる。
【0006】
然し、特許文献2に記載のものでは、焼皿上の被調理物の占有面積が広くなると、焼皿に入射される輻射熱が減少して、両面焼き機能を十分には得られなくなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−298990号公報
【特許文献2】特開2007−248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上の点に鑑み、焼皿上の被調理物の占有面積が広くなっても、下火バーナを設けずに両面焼き機能を十分に得られるようにしたグリルを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、グリル庫内の上部に、グリル庫の横方向両側に位置する炎口部と後部の炎口部とを有する平面視U字状の上火バーナと、当該上火バーナにより加熱され下方に向けて熱を輻射する輻射体とが配置されたグリルであって、グリル庫内の下部に設置される、被調理物を直置きする金属製の焼皿を備えるものにおいて、焼皿の後端部に、上方にのびる後板部が設けられ、後板部の上部に、上火バーナの後部炎口部に形成される火炎により加熱される受熱板部が設けられることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、上火バーナで加熱される輻射体からの輻射熱で被調理物が上方から加熱される。更に、輻射体からの輻射熱の一部が後板部に入熱されると共に、上火バーナの後部炎口部に形成される火炎により受熱板部が加熱されて、受熱板部からの後板部を介しての熱伝導により焼皿の被調理物を載せた部分が高温になり、被調理物が下方から加熱される。従って、焼皿上の被調理物の占有面積が広くなっても、下火バーナを設けずに両面焼き機能を十分に得ることができる。また、上火バーナの後部炎口部が横方向両側の炎口部間の火移りだけでなく、被調理物の加熱にも寄与し、熱効率が向上する。
【0011】
また、本発明において、焼皿は、焼皿の被調理物載置部の横方向両外側に、被調理物載置部よりも下方に窪んだ窪み部を有していることが望ましい。これによれば、被調理物から滲み出る焼き汁が窪み部に流れて、被調理物載置部に溜まることがなく、更に、窪み部に輻射体からの輻射熱が入射されて、被調理物の下方からの加熱効率が一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態のグリルの斜視図。
図2】実施形態のグリルの切断側面図。
図3図2のIII−III線で切断した断面図。
図4】実施形態のグリルの上火バーナと輻射体の斜視図。
図5】実施形態のグリルのグリル扉と焼皿の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1乃至図3を参照して、Aは、図示省略したガスコンロに組み込む本発明の実施形態のグリルを示している。このグリルAは、コンロ本体(図示せず)内に設置されるグリル庫1と、グリル庫1の前面開口を開閉するグリル扉2と、グリル庫1内の上部に配置した上火バーナ3とを備えている。
【0014】
グリル庫1の天井部は、遮熱板11で上方から覆われている。また、グリル庫1の天井部の後端部には、上火バーナ3の燃焼排ガスを庫外に排出する排気口12が設けられている。
【0015】
図4を参照して、上火バーナ3は、グリル庫1の横方向両側に位置する複数の炎口31aを形成した炎口部31,31と、複数の炎口32aを形成した後部の炎口部32とを有する平面視U字状である。そして、横方向一側の炎口部31にその前端部に臨ませて設けた点火プラグ33により点火し、横方向一側の炎口部31から横方向他側の炎口部31に後部炎口部32を介して火移りさせるようにしている。
【0016】
グリル庫1内の上部には、更に、上火バーナ3の横方向両側の炎口部31,31に形成される火炎によって加熱され下方に向けて熱(赤外線)を輻射する輻射体4が配置されている。輻射体4は、図4に明示する如く、多数のスリット41を有する金属板で構成され、更に、熱を横方向広範囲に輻射できるように、輻射体4の横方向一側と他側の各半部を屋根形に屈曲させている。
【0017】
また、グリル庫1内の下部には、被調理物aを直置きする金属製の焼皿5が設置されている。図5を参照して、焼皿5の前端には、上方にのびる左右一対の爪片51,51が突設されている。そして、各爪片51をグリル扉2の裏板21に左右一対に形成した各係止孔22に挿入すると共に、裏板21の横方向中央部の下部に取り付けた皿受片23に、図2に示す如く焼皿4の前端部の横方向中央部に形成した下方に屈曲する爪片52を係合させている。これにより、焼皿5がグリル扉2に連結され、グリル扉2を前方に開くことで、焼皿5がグリル庫1の前方に引き出される。尚、焼皿5の被調理物載置部53には、前後方向を波長方向とする波形の凹凸を付けて、被調理物aの焦げ付きを防止できるようにしている。
【0018】
また、焼皿5の後端部には、上方にのびる後板部54が設けられている。そして、後板部54の上部に、上火バーナ3の後部炎口部32に形成される火炎により加熱される受熱板部55を設けている。より具体的に説明すれば、後板部54は、後部炎口部32の前側で後部炎口部32よりも上方位置まで上方にのびる部分とこの部分の上端から屈曲して後方にのびる部分とを有しており、上方にのびる部分の上端近傍部分及び後方にのびる部分で受熱板部55が構成されている。
【0019】
以上の構造によれば、輻射体4からの輻射熱により被調理物aが上方から加熱されると共に、輻射体4からの輻射熱の一部が後板部54に入射され、更に、上火バーナ3の後部炎口部32に形成される火炎により受熱板部55が加熱される。そのため、受熱板部55からの後板部54を介しての熱伝導により焼皿5の被調理物載置部53が高温になり、被調理物aが下方からも加熱される。従って、焼皿5上の被調理物aの占有面積が広くなっても、下火バーナを設けずに両面焼き機能を十分に得ることができる。また、上火バーナ3の後部炎口部32が横方向両側の炎口部31,31間の火移りだけでなく、被調理物aの加熱にも寄与し、熱効率が向上する。
【0020】
また、本実施形態の焼皿5は、被調理物載置部53の横方向両外側に、被調理物載置部53よりも下方に窪んだ窪み部56を有している。これによれば、被調理物aから滲み出る焼き汁が窪み部56に流れて、被調理物載置部53に溜まることがなく、良好に焼成調理を行うことができる。更に、窪み部56に輻射体4からの輻射熱の一部が入射されて、窪み部56からの熱伝導により被調理物載置部53が加熱され、被調理物aの下方からの加熱効率が一層向上する。
【0021】
尚、焼皿5は、受熱板部5bからの熱伝導を促進する上で、アルミ等の熱伝導率の高い金属製で3mm程度の厚さのものとすることが望ましい。
【0022】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、後板部54の上部に、上火バーナ3の後部炎口部32の前側から後部炎口部32の後上方位置まで斜めにのびる部分を設けて、この部分で受熱板部を構成することも可能である。また、上記実施形態は、ガスコンロに組み込むグリルAに本発明を適用したものであるが、ガスコンロとは分離独立して設けるグリルにも同様に本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0023】
A…グリル、1…グリル庫、3…上火バーナ、31…横方向両側に位置する炎口部、32…後部炎口部、4…輻射体、5…焼皿、53…被調理物載置部、54…後板部、55…受熱板部、56…窪み部。
図1
図2
図3
図4
図5