(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、本実施形態の装置(打音検査システム、動作制御部等)のハードウエア構成の一例について説明する。
図1は、本実施形態の装置のハードウエア構成を例示するブロック図である。
図1に示すように、装置は、プロセッサ1A、メモリ2A、入出力インターフェイス3A、周辺回路4A、バス5Aを有する。周辺回路には、様々なモジュールが含まれる。
【0013】
バス5Aは、プロセッサ1A、メモリ2A、周辺回路4A及び入出力インターフェイス3Aが相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。プロセッサ1Aは、例えばCPU(Central Processing Unit) やGPU(Graphics Processing Unit)などの演算処理装置である。メモリ2Aは、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリである。入出力インターフェイス3Aは、センサ、遠隔操作端末、各部等と情報の送受信を行うためのインターフェイスなどを含む。プロセッサ1Aは、各モジュールに指令を出し、それらの演算結果をもとに演算を行う。
【0014】
以下、本実施の形態について説明する。なお、以下の実施形態の説明において利用する機能ブロック図は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。これらの図においては、各装置は1つの機器により実現されるよう記載されているが、その実現手段はこれに限定されない。すなわち、物理的に分かれた構成であっても、論理的に分かれた構成であっても構わない。なお、同一の構成要素には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0015】
<第1の実施形態>
まず、本実施形態の概要について説明する。本発明者らは、機械装置のブームに所定の処理を実行する処理装置を取り付け、橋梁、トンネル、ビルディング等の建築物の欠陥検査を行う技術を検討した。具体的には、機械装置のブームに処理装置を取り付け、ブームを動作させることで処理装置を移動させ、移動後の各位置で、打撃処理、集音処理、解析処理及びマーキング処理を行わせることを検討した。
【0016】
打撃処理は、検査対象物の検査対象箇所に打撃を加える処理である。集音処理は、当該打撃により発生した音を集音する処理である。解析処理は、集音処理で集音した音を解析し、欠陥の有無を判定する処理である。マーキング処理は、打撃を加えた検査対象箇所に、解析処理の判定結果を示すマーキングを行う処理である。
【0017】
複数の位置各々でこれら複数の処理を実行させる場合の処理の流れとしては、次のようなものが考えられる。すなわち、機械装置のブームを動作させることで処理装置を目的位置に移動させると(移動処理)、移動後の目的位置で、打撃処理、集音処理、解析処理及びマーキング処理を行わせる。具体的には、まず、打撃処理及び集音処理を実行させる。そして、打撃処理及び集音処理が終了後、解析処理を実行させ、解析処理が終了後、マーキング処理を実行させる。そして、マーキング処理が終了すると、機械装置のブームを再び動作させ、処理装置を次の目的位置に移動させる(移動処理)。そして、移動後の次の目的位置で、打撃処理、集音処理、解析処理及びマーキング処理を行わせる。
【0018】
しかしながら、上記処理の流れの場合、上記複数の処理の中の1つのみを実行している時間が比較的多く、作業効率が悪い。本実施形態では、移動処理、打撃処理、集音処理、解析処理及びマーキング処理を適切な流れで行うことで、作業効率を向上させる。
【0019】
具体的には、本実施形態では、機械装置のブームを動作させることで処理装置を目的位置に移動させると(移動処理)、移動後の目的位置で、打撃処理及び集音処理を行わせる。そして、打撃処理及び集音処理が終了後、機械装置のブームを再び動作させ、処理装置を次の目的位置に移動させる(移動処理)。そして、移動後の次の目的位置で、打撃処理及び集音処理を行わせる。このように、本実施形態では、移動−打撃−集音処理を繰り返す。
【0020】
また、本実施形態では、上記移動−打撃−集音処理と並行して、解析−記憶処理を行わせる。すなわち、上記移動−打撃−集音処理と並行して、上記移動−打撃−集音処理で集音された音データを順次解析させる。そして、解析結果を、複数の目的位置各々に対応付けて記憶させる。
【0021】
そして、本実施形態では、上記移動−打撃−集音処理を複数回繰り返した後に、マーキング処理を行わせる。すなわち、複数回の上記移動−打撃−集音処理が終了すると、上記移動−打撃−集音処理を一旦停止する。そして、上記解析−記憶処理で記憶された情報(目的位置と解析結果を対応付けた情報)に基づき、解析結果が所定の結果(例:欠陥有)であった目的位置に順次処理装置を移動させる。そして、各目的位置で、マーキングを行わせる。
【0022】
このような流れの場合、移動処理、打撃処理及び集音処理等と並行して、解析処理を実行できる。本実施形態は、このように複数の処理を並行して実行できるので、その分作業効率が向上する。以下、本実施形態の構成を詳細に説明する。
【0023】
図2に、本実施形態の打音検査システム10の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、打音検査システム10は、機械装置11と、打撃集音部12と、マーキング部13と、位置管理部14と、欠陥判定部15と、動作制御部16とを有する。以下、各構成要素について説明する。
【0024】
機械装置11は、少なくとも伸縮動作、起伏動作及び旋回動作が可能なブームを備える。機械装置11は、例えばクレーンや、クレーンからフック及びフック吊り上げ機能を取り除いたもの、高所作業機、橋梁点検機等が考えられる。ブームには、所定の処理装置が取り付けられる。処理装置は、例えば、ブームの先端に取り付けられる。ブームを動作させることで、ブームに取り付けられた処理装置の位置を移動させることができる。
【0025】
図3に、ブーム72の先端に打音検査ユニット100(処理装置の一例)を備えた機械装置11の一例を示す。図示するように、機械装置11は、左右自在に回転する旋回体の上にコラム715を取り付けている。そして、そのコラム715にブーム72をブームフートピンと起伏シリンダ705で固定している。起伏シリンダ705の伸縮でブーム72の起伏動作を可能としている。また、ブーム72に内蔵されている伸縮シリンダ710を伸縮させることでブーム72を伸縮させることができる。
図4に、機械装置11を搭載したトラックの一例を示す。
【0026】
このような機械装置11の動作を、機械装置11本体に設置されている手動レバー725や遠隔操作端末等を用いて制御することができる。
【0027】
図5に示すように、ブーム72の長さ及びブーム72の起伏角度を変更することで、ブーム72の先端に取り付けられた打音検査ユニット100を横方向にスライドさせることができる。また、
図6に示すように、ブーム72の長さ及びブーム72の起伏角度を変更することで、打音検査ユニット100の位置を鉛直方向にスライドさせることができる。図示する機構の場合、姿勢調節ユニット74により、ブーム72の状態にかかわらず打音検査ユニット100の姿勢が一定に維持される。姿勢調節ユニット74の詳細は特段制限されないので、ここでの説明は省略する。
【0028】
図2に戻り、打撃集音部12は、検査対象物に打撃を加える打撃手段、及び、打撃手段の打撃により発生した音を集音する集音手段を有する。打撃集音部12は、機械装置11のブームに取り付けられる。以下、打撃集音部12の一例を示すが、これに限定されない。
【0029】
例えば、
図3乃至
図6に示す打音検査ユニット100が、打撃集音部12を備える。
図7は、打音検査ユニット100の全体像を示す。
図7において、付勢部3、サスペンション機構4及び保持リンク5以外の部分については、部分的に断面図として内部構造を示しており、付勢部3については、その衝突部材6の一部分を除き、内部構造を示さない正面図となっている。
【0030】
図7に示すように、打音検査ユニット100は、検査対象物に衝突して打撃を加える打撃部材1と、打撃部材1を保持するとともに、一方向に案内する案内部7と、打撃部材1に衝突して打撃部材1を一方向に付勢する付勢部3と、マイク8と、マイク8を保持するマイク保持部9とを有する。打撃部材1、案内部7、及び、付勢部3が、打撃手段に対応する。マイク8が、集音手段に対応する。
【0031】
付勢部3の衝突部材6は、一方向にスライド移動可能に構成される。衝突部材6は、付勢部3内で発生した力に応じて一方向にスライド移動する。その結果、衝突部材6は打撃部材1に衝突する。打撃部材1は、付勢部3によって付勢された後、案内部7により案内されて一方向に移動して、検査対象物を打撃する。
【0032】
マイク8は、マイク保持部9を介して、打音検査ユニット100の所定位置に固定されている。マイク8は音声を集音し、記憶手段(例:Hard Disk Drive)に記録する。記憶手段は打音検査ユニット100内に存在してもよいし、打音検査ユニット100の外部に存在してもよい。
【0033】
図2に戻り、マーキング部13は、機械装置11のブームに取り付けられ、検査対象物にマーキングを行う。
図7において図示しないが、例えば打音検査ユニット100がマーキング部13を備えてもよい。または、打音検査ユニット100と物理的に分離した他のユニット(処理装置の一例)がマーキング部13を備えてもよい。そして、機械装置11のブームには、打音検査ユニット100、及び、マーキング部13を備えるユニットが選択的に取り付けられてもよい。
【0034】
マーキング部13によるマーキング処理は特段制限されず、あらゆる手法を採用できる。例えば、マーキング部13は、所定の色の塗料を検査対象物に向かって噴射することで、所定色のマークを検査対象物につけてもよい。
【0035】
図2に戻り、位置管理部14は、機械装置11のブームに取り付けられた処理装置の位置を管理する。具体的には、位置管理部14は、機械装置11のブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを用いて、機械装置11のブームに取り付けられた処理装置の位置を所定の座標系で管理する。
【0036】
まず、位置管理部14は、所定位置に設置されたセンサから、機械装置11のブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを継続的に取得する。位置管理部14は、これらの情報を用いて、ブームに取り付けられた処理装置の現在位置を所定の座標系(以下、「第1の座標系」)で管理する。
【0037】
例えば、
図8に示すように、処理装置の位置(図示するブームトップ座標)を、ブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを用いて所定の直交座標系(第1の座標系)で特定することができる。図示する例は、
図4に示すようにトラックに設置された機械装置11において、ブームフートの直下の地面を原点(0、0、0)とし、トラックの幅方向をx軸方向、トラックの長さ方向をy軸方向、トラックの高さ方向をz軸方向とした直交座標系で、ブームの先端に取り付けられた打音検査ユニット100の先端の座標(x、y、z)を示している。
【0038】
図8に示す可変要素は値が可変な要素であり、固定要素は値が固定な要素である。予め、固定要素の値が位置管理部14に登録されている。なお、第1の座標系の設定の仕方(原点位置、軸方向等)は設計的事項であり、ここで例示したものに限定されない。
【0039】
図2に戻り、欠陥判定部15は、打撃集音部12が集音した音を解析し、欠陥の有無を判定する。欠陥判定部15による解析の詳細は特段制限されず、従来のあらゆる技術を採用できる。例えば、特許文献1に開示されている技術を用いてもよい。
【0040】
動作制御部16は、機械装置11、打撃集音部12、マーキング部13、及び、欠陥判定部15の動作を制御する。
【0041】
具体的には、動作制御部16は、機械装置11及び打撃集音部12を制御し、移動−打撃−集音処理を繰り返し実行させる。また、動作制御部16は、欠陥判定部15を制御し、解析−記憶処理を実行させる。また、動作制御部16は、機械装置11及びマーキング部13を制御し、移動−マーキング処理を繰り返し実行させる。以下、各処理について説明する。
【0042】
まず、移動−打撃−集音処理について説明する。当該処理は、「ブームを動作させることで打撃集音部12を目的位置に位置させる移動」、「その位置での打撃手段(打撃集音部12)による打撃」、及び、「その位置での集音手段(打撃集音部12)による集音」を含む。
【0043】
動作制御部16は、ブームを動作させ、打撃集音部12を所定方向に所定量ずつ移動させる。
【0044】
図9に移動の一例を示す。
図9には、検査対象物の一例である橋梁の裏面Fが示されている。打音検査ユニット100を所定方向に所定量ずつ移動させることで、打音検査ユニット100を所望の軌道(例:矢印で示す軌道)で移動させ、複数の目的位置(検査位置)に順次位置させる。図示する例の場合、P1の目的位置に位置させた後、所定方向に所定量移動してP2の目的位置に位置させる。その後、所定方向に所定量移動してP3の目的位置に位置させる。以降、矢印で示すように移動させる。
【0045】
例えば、図示するような軌道が予め登録されていてもよい。そして、動作制御部16は、登録情報に従い打音検査ユニット100を移動させてもよい。その他、ある目的地点に位置するごとに、次の移動方向をオペレータが入力してもよい。そして、動作制御部16は、オペレータが入力した方向に、打音検査ユニット100を所定量移動させてもよい。移動させる「所定量」は、予め動作制御部16に登録されていてもよい。
【0046】
動作制御部16は、移動後の各位置(各目的位置)で、打撃集音部12を制御し、打撃処理及び集音処理を実行させる。
図9の例の場合、動作制御部16は、打音検査ユニット100を移動させ、P1、P2、P3・・・の各目的位置に位置させると、その都度、打撃集音部12を制御し、各目的位置で打撃処理及び集音処理を実行させる。
【0047】
なお、動作制御部16は、位置管理部14を制御し、打音検査ユニット100が位置した複数の目的位置各々を記憶させる。例えば、複数の目的位置各々を識別する情報(例:通番)に対応付けて、打音検査ユニット100が各々に位置する際のブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φが登録される。
図10に、登録情報の一例を示す。図では、複数の目的位置各々を識別する通番と、打音検査ユニット100が各々に位置する際のブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φとが対応付けられている。打撃集音部12が集音した音データは、複数の目的位置各々を識別する情報(例:通番)に対応付けて、所定の記憶手段に格納される。
【0048】
次に、解析−記憶処理について説明する。当該処理は、「集音手段(打撃集音部12)が集音した音の解析」、及び、「目的位置に対応付けた判定結果の記憶」を含む。動作制御部16は、上記移動−打撃−集音処理と並行して、解析−記憶処理を実行させる。
【0049】
欠陥判定部15は、複数の目的位置各々で集音された音データを解析し、欠陥の有無を判定する。そして、判定結果を、各目的位置に対応付けて登録する。例えば、欠陥判定部15は、
図10に示す登録情報の欠陥判定の欄に、判定結果を登録する。図の例の場合、「○」が欠陥無に対応し、「×」が欠陥有に対応する。
【0050】
次に、移動−マーキング処理について説明する。当該処理は、「ブームを動作させることでマーキング部13を判定結果が所定の結果である目的位置に位置させる移動」、及び、「その位置での検査対象物に対する第1のマーキング」を含む。動作制御部16は、移動−打撃−集音処理を複数回繰り返した後に、移動−打撃−集音処理を一旦停止させ、移動−マーキング処理を実行させる。
【0051】
移動−マーキング処理において、動作制御部16は、
図10に示すような登録情報に基づきブームを動作させる。具体的には、判定結果が「欠陥有(×)」である目的位置に順次移動させる。
図10の例の場合、ブームの状態(ブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φ)を、判定結果「×」に対応した状態にすることで、ブームの先端に取り付けられたマーキング部13を所定の目的位置に位置させる。
【0052】
そして、動作制御部16は、移動後の各位置でマーキング部13を制御し、第1のマーキングを行わせる。すなわち、欠陥判定部15の判定結果を示すマークを検査対象物の所定位置に付させる。
【0053】
なお、上記例では、判定結果が「欠陥有(×)」である目的位置に順次移動させ、マーキングを行わせたが、判定結果が「欠陥無(○)」である目的位置に順次移動させ、マーキングを行わせてもよい。
【0054】
次に、
図11のフローチャートを用いて、本実施形態の打音検査システム10の処理の流れの一例を説明する。
【0055】
まず、動作制御部16は、機械装置11及び打撃集音部12を制御し、1回目の移動−打撃−集音処理を実行させる(S10)。その後、ルートR1の処理とルートR2の処理が実行される。
【0056】
ルートR1において、動作制御部16は機械装置11及び打撃集音部12を制御し、2回目の移動−打撃−集音処理を実行させる(S11)。その後、動作制御部16は、移動−打撃−集音処理を繰り返すか否か判断する(S12)。
【0057】
ここで、S12における判断の処理例を説明する。例えば、
図9に示すような複数の目的位置を順次移動する軌道が予め登録されており、当該情報に従い打撃集音部12を移動させる場合、動作制御部16は、登録されている複数の目的位置すべてに打撃集音部12を位置させたか否かを判断する。そして、すべての目的位置に位置させたと判断した場合、動作制御部16は、移動−打撃−集音処理を繰り返さないと判断する。一方、すべての目的位置に位置させたと判断しなかった場合、動作制御部16は、移動−打撃−集音処理を繰り返すと判断する。
【0058】
その他の例として、ある目的地点に位置するごとに、次の移動方向をオペレータが入力し、オペレータが入力した方向に打撃集音部12を所定量移動させるよう構成する場合、動作制御部16は、S12で、オペレータの次の入力を待つ。そして、入力内容が次の移動方向を示すものである場合、動作制御部16は、移動−打撃−集音処理を繰り返すと判断する。一方、入力内容が移動−打撃−集音処理を終了するものであった場合、動作制御部16は、移動−打撃−集音処理を繰り返さないと判断する。
【0059】
移動−打撃−集音処理を繰り返す場合(S12のYes)、S11に戻り、動作制御部16は、機械装置11及び打撃集音部12を制御し、新たな移動−打撃−集音処理を実行させる(S11)。繰り返さない場合(S12のNo)、S13に進む。
【0060】
一方、ルートR2において、動作制御部16は、欠陥判定部15を制御し、解析−記憶処理を実行させる(S14)。
【0061】
解析−記憶処理(S14)は、移動−打撃−集音処理の開始(S10)に応じて開始される。解析−記憶処理(S14)は、2回目以降の移動−打撃−集音処理(S11)と並行して実施される。
【0062】
ルートR1に戻り、S13では、動作制御部16は、機械装置11及びマーキング部13を制御し、移動−マーキング処理を実行させる。
【0063】
移動−マーキング処理(S13)は、移動−打撃−集音処理(S10、S11)の終了に応じて開始する。なお、移動−マーキング処理(S13)は、解析−記憶処理(S14)よりも後に開始するが、解析−記憶処理(S14)が終了する前に開始することができる。すなわち、移動−マーキング処理(S13)及び解析−記憶処理(S14)は並行して実施されてもよい。
【0064】
移動−マーキング処理(S13)は、解析−記憶処理(S14)で所定の判定結果となった目的位置すべてに順次移動し、各目的位置で第1のマーキングを行う。
【0065】
打撃集音部12とマーキング部13とが同時にブームに取り付け可能である場合(例えば、1つのユニットが打撃集音部12及びマーキング部13の両方を備える場合)、S12でNoとなった後、連続的に、S13を行うことができる。
【0066】
なお、打撃集音部12とマーキング部13とが物理的に分離したユニットとして構成され、これらを同時にブームに取り付けることができない場合、S12でNoとなった後、かつ、S13の前に、機械装置11のブームの先端に取り付けるユニットを、打撃集音部12を備えるユニットから、マーキング部13を備えるユニットに変更する作業が行われる。
【0067】
以上説明した本実施形態によれば、音データの解析(解析−記憶処理)と並行して、打音検査装置の移動、打撃、集音(移動−打撃−集音処理)を行うことができる。このため、解析処理の間、他の処理を実行しない場合に比べて、作業効率を向上させることができる。
【0068】
また、本実施形態によれば、音データの解析(解析−記憶処理)と並行して、マーキング(移動−マーキング処理)を行うこともできる。このようにすれば、解析処理の間、他の処理を実行しない場合に比べて、さらに作業効率を向上させることができる。
【0069】
<第2の実施形態>
本実施形態の打音検査システム10は、欠陥判定部15による判定結果が所定の結果であった目的位置を撮影する撮影処理をさらに実行する。
【0070】
図12に、本実施形態の打音検査システム10の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、打音検査システム10は、機械装置11と、打撃集音部12と、マーキング部13と、位置管理部14と、欠陥判定部15と、動作制御部16と、撮影部17とを有する。機械装置11、打撃集音部12、マーキング部13、位置管理部14及び欠陥判定部15の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0071】
撮影部17は、カメラであり、静止画及び/又は動画を撮影する。撮影部17は、機械装置11のブームに取り付けられる。
【0072】
図7において図示しないが、例えば打音検査ユニット100が撮影部17を備えてもよい。または、打音検査ユニット100と物理的に分離した他のユニットが撮影部17を備えてもよい。そして、機械装置11のブームには、打音検査ユニット100及び撮影部17を備えるユニットが選択的に取り付けられてもよい。
【0073】
動作制御部16は、撮影部17の動作をさらに制御する。その他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0074】
動作制御部16は、機械装置11及び撮影部17を制御し、移動−撮影処理を繰り返し実行させる。当該処理は、「ブームを動作させることで撮影部17を判定結果が所定の結果(欠陥有)である目的位置に位置させる移動」、及び、「その位置での検査対象物の撮影」を含む。動作制御部16は、移動−打撃−集音処理を複数回繰り返した後に、移動−打撃−集音処理を一旦停止させ、移動−撮影処理を繰り返し実行させる。
【0075】
移動−撮影処理において、動作制御部16は、
図10に示すような登録情報に基づき、ブームを動作させる。具体的には、判定結果が「欠陥有(×)」である目的位置に順次移動させる。
図10の例の場合、ブームの状態(ブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φ)を、判定結果「×」に対応した状態にすることで、ブームの先端に取り付けられた撮影部17を所定位置に位置させる。
【0076】
そして、動作制御部16は、移動後の各位置で撮影部17を制御し、検査対象物の撮影を行わせる。
【0077】
なお、マーキング部13及び撮影部17を同時に機械装置11のブームに取り付けることができる場合、動作制御部16は、機械装置11、マーキング部13及び撮影部17を制御し、「ブームを動作させることでマーキング部13及び撮影部17を判定結果が所定の結果(欠陥有)である目的位置に位置させる移動」、及び、「その位置での検査対象物への第1のマーキング及び撮影」を含む移動−マーキング・撮影処理を繰り返し実行させてもよい。すなわち、移動−打撃−集音処理を複数回繰り返した後、
図10に示すような登録情報に基づき装置を所定の目的位置(例:欠陥有)に位置させると、その位置で、第1のマーキング及び撮影の両方を実行させてもよい。
【0078】
マーキング部13によるマーキングの後に、撮影部17が撮影するよう構成すると、判定結果が所定の結果(欠陥有)である箇所にマーキングがなされた状態を撮影することができる。なお、撮影部17は、判定結果が所定の結果(欠陥有)である各目的位置で、当該目的位置に対応する欠陥箇所(マーキング)、及び、その周辺を含む画像を撮影してもよい。この場合、周辺に複数の欠陥箇所(マーキング)が存在する場合、複数の欠陥箇所(マーキング)を含む画像が撮影できる。
【0079】
本実施形態の処理の流れは、
図11を用いて説明した第1の実施形態と同様である。すなわち、
図11のS13における移動−マーキング処理の前又は後に、移動−撮影処理を含めたものとできる。その他、
図11のS13における移動−マーキング処理を、移動−マーキング・撮影処理に置き換えたものとできる。
【0080】
以上説明した本実施形態によれば、第1の実施形態と同様な作用効果を実現できる。また、また、打音検査ユニット100が実行する処理の中に、欠陥有と判断した部分の撮影を行う撮影処理を含む場合であっても、作業を効率的に進めることができる。
【0081】
<第3の実施形態>
本実施形態の打音検査システム10は、欠陥判定部15による判定結果が所定の結果であった目的位置に打撃を加えて脆弱部分を叩き落とす後打撃処理をさらに実行する。
【0082】
図13に、本実施形態の打音検査システム10の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、打音検査システム10は、機械装置11と、打撃集音部12と、マーキング部13と、位置管理部14と、欠陥判定部15と、動作制御部16と、後打撃部18とを有する。打音検査システム10は、さらに撮影部17を有してもよい。機械装置11、打撃集音部12、マーキング部13、位置管理部14、欠陥判定部15及び撮影部17の構成は、第1及び第2の実施形態と同様である。
【0083】
後打撃部18は、検査対象物に、打撃集音部12の打撃手段よりも強い打撃を加えるよう構成される。後打撃部18の構成は特段制限されず、あらゆる構成を採用できる。後打撃部18は、機械装置11のブームに取り付けられる。
【0084】
図7において図示しないが、例えば打音検査ユニット100が後打撃部18を備えてもよい。例えば、打撃集音部12の打撃手段が後打撃部18を兼ねてもよい。この場合、打撃手段は、発生させる力(
図7の例の場合、付勢部3内で発生させる力)を調整することで、検査対象物に加える打撃の力を調整可能に構成される。
【0085】
他の例として、打音検査ユニット100と物理的に分離した他のユニットが後打撃部18を備えてもよい。そして、機械装置11のブームには、打音検査ユニット100及び後打撃部18を備えるユニットが選択的に取り付けられてもよい。
【0086】
動作制御部16は、後打撃部18の動作をさらに制御する。その他の構成は、第1及び第2の実施形態と同様である。
【0087】
動作制御部16は、機械装置11及び後打撃部18を制御し、移動−後打撃処理を繰り返し実行させる。当該処理は、「ブームを動作させることで後打撃部18を判定結果が所定の結果(欠陥有)である目的位置に位置させる移動」、及び、「その位置での検査対象物に対する後打撃」を含む。動作制御部16は、移動−打撃−集音処理を複数回繰り返した後に、移動−打撃−集音処理を一旦停止させ、移動−後打撃処理を繰り返し実行させる。
【0088】
移動−後打撃処理において、動作制御部16は、
図10に示すような登録情報に基づき、ブームを動作させる。具体的には、判定結果が「欠陥有(×)」である目的位置に順次移動させる。
図10の例の場合、ブームの状態(ブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φ)を、判定結果「×」に対応した状態にすることで、ブームの先端に取り付けられた後打撃部18を所定位置に位置させる。
【0089】
そして、動作制御部16は、移動後の各位置で後打撃部18を制御し、検査対象物に打撃(後打撃)を加えさせる。これにより、欠陥有と判断され、かつ、脆弱な部分のコンクリートなどが叩き落とされる。
【0090】
なお、マーキング部13及び後打撃部18を同時に機械装置11のブームの先端に取り付けることができる場合、動作制御部16は、機械装置11、マーキング部13及び後打撃部18を制御し、「ブームを動作させることでマーキング部13及び後打撃部18を判定結果が所定の結果(欠陥有)である目的位置に位置させる移動」、及び、「その位置での検査対象物への第1のマーキング及び後打撃」を含む移動−マーキング・後打撃処理を実行させてもよい。すなわち、移動−打撃−集音処理を複数回繰り返した後、
図10に示すような登録情報に基づき装置を所定の目的位置(例:欠陥有)に位置させると、その位置で、第1のマーキング及び後打撃の両方を実行させてもよい。
【0091】
また、打音検査システム10が撮影部17を有し、撮影部17及び後打撃部18を同時に機械装置11のブームの先端に取り付けることができる場合、動作制御部16は、機械装置11、撮影部17及び後打撃部18を制御し、「ブームを動作させることで撮影部17及び後打撃部18を判定結果が所定の結果(欠陥有)である目的位置に位置させる移動」、及び、「その位置での検査対象物の撮影及び後打撃」を含む移動−撮影・後打撃処理を実行させてもよい。すなわち、移動−打撃−集音処理を複数回繰り返した後、
図10に示すような登録情報に基づき装置を所定の目的位置(例:欠陥有)に位置させると、その位置で、撮影及び後打撃の両方を実行させてもよい。後打撃部18による後打撃の後に、撮影部17が撮影するよう構成すると、後打撃により欠陥箇所(脆弱部分)を叩き落とした後の状態を撮影することができる。
【0092】
また、打音検査システム10が撮影部17を有し、マーキング部13、撮影部17及び後打撃部18を同時に機械装置11のブームの先端に取り付けることができる場合、動作制御部16は、機械装置11、マーキング部13、撮影部17及び後打撃部18を制御し、「ブームを動作させることでマーキング部13、撮影部17及び後打撃部18を判定結果が所定の結果(欠陥有)である目的位置に位置させる移動」、及び、「その位置での検査対象物への第1のマーキング、撮影及び後打撃」を含む移動−マーキング・撮影・後打撃処理を実行させてもよい。すなわち、移動−打撃−集音処理を複数回繰り返した後、
図10に示すような登録情報に基づき装置を所定の目的位置(例:欠陥有)に位置させると、その位置で、第1のマーキング、撮影及び後打撃のすべてを実行させてもよい。後打撃部18による後打撃の後に、撮影部17が撮影するよう構成すると、後打撃により欠陥箇所(脆弱部分)を叩き落とした後の状態を撮影することができる。
【0093】
本実施形態の処理の流れは、
図11を用いて説明した第1の実施形態と同様である。すなわち、
図11のS13における移動−マーキング処理の前又は後に、移動−後打撃処理、又は、移動−撮影・後打撃処理を含めたものとできる。その他、
図11のS13における移動−マーキング処理を、移動−マーキング・後打撃処理、又は、移動−マーキング・撮影・後打撃処理に置き換えたものとできる。
【0094】
以上説明した本実施形態によれば、第1及び第2の実施形態と同様な作用効果を実現できる。また、打音検査ユニット100が実行する処理の中に、欠陥有と判断した部分に打撃を加え、脆弱部分を叩き落とす後打撃処理を含む場合であっても、作業を効率的に進めることができる。
【0095】
<第4の実施形態>
本実施形態は、打撃集音部12が検査対象物に加えた打撃が所定の基準を満たすか判断し、判断結果に対応したマーキングを行う打撃判定処理を実行する。本実施形態では、移動−打撃−集音処理を行うごとに打撃判定処理を実行する。
【0096】
図14に、本実施形態の打音検査システム10の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、打音検査システム10は、機械装置11と、打撃集音部12と、マーキング部13と、位置管理部14と、欠陥判定部15と、動作制御部16と、打撃判定部19とを有する。打音検査システム10は、さらに、撮影部17及び後打撃部18の少なくとも一方を有してもよい。機械装置11、打撃集音部12、マーキング部13、位置管理部14、欠陥判定部15、撮影部17及び後打撃部18の構成は、第1乃至第3の実施形態と同様である。
【0097】
打撃判定部19は、打撃集音部12の打撃手段が検査対象物に加えた力の大きさを示すデータに基づき、打撃手段による検査対象物への打撃が所定の基準を満たすか判定する。
【0098】
打音検査において打撃の態様が異なると、検査対象物に加わる力の詳細(力の大きさ、力が加わる状態が継続する時間)が異なり、欠陥有無の判定結果に影響し得る。例えば、力の大きさに起因して、検査対象物内で振動波が伝わる距離が異なり得る。このため、力の大きさがばらつくと、振動波が到達する打撃点からの深さ(距離)がばらつくことになる。結果、被験物における欠陥有無の判定がなされたエリアがばらつく。
【0099】
また、力が加わる状態が継続する時間に起因して、振動波の周波数が異なる。振動波の周波数が異なると、検査対象物内に存在する欠陥で当該波が反射するか、それともその欠陥を通り越すかの結果等が異なり得る。このため、力が加わる状態が継続する時間がばらつくと、振動波の周波数がばらつき、結果、検出できる欠陥の詳細(大きさ、形状等)がばらつく。
【0100】
検査ごとに、検査対象物内において欠陥有無の判定をなされた打撃点からの深さ(距離)や、検出できる欠陥の詳細(大きさ、形状等)等がばらつくと、検査の信頼性が低くなる。
【0101】
そこで、本実施形態では、打撃判定部19が、打撃手段による検査対象物への打撃が所定の基準を満たすか判定し、判定結果に応じた処理を実行する。これにより、打撃に対する信頼性が向上し、結果、検査の信頼性が向上する。
【0102】
打撃判定部19は、打撃集音部12の打撃手段が検査対象物に加えた力の大きさを示すデータ、具体的には当該力の大きさの時間変化を示す打撃データを取得する。
【0103】
図15に、打撃データの一例を示す。図示する例では、縦軸に力の大きさを取り、横軸に時間を取ったグラフで、1回の衝突で打撃手段が検査対象物に加えた力の大きさの時間変化を示している。このような打撃データは、打撃手段の所定位置に力を測定するセンサを設置することで測定できる。
【0104】
打撃判定部19は、このような打撃データを解析し、打撃が所定の条件を満たすか判定する。具体的には、打撃判定部19は、打撃データを解析し、1回の衝突で力が継続する時間である継続時間t
c、及び、1回の衝突における力の大きさFの少なくとも一方の値を算出する。そして、継続時間t
c及び力の大きさFの少なくとも一方(好ましくは両方)が所定の基準(予め定められた所定の数値範囲内)を満たす場合、打撃が所定の条件を満たすと判定する。
【0105】
打撃判定部19は、例えば、力の大きさFとして、1回の衝突で検査対象物に加わる力の大きさの最大値F
mを算出してもよい。なお、打撃判定部19は、最大値F
mに代えて、これに準ずる値を力の大きさFとして算出してもよい。
【0106】
継続時間t
cの算出方法は様々であるが、以下一例を説明する。例えば、打撃判定部19は、打撃データの力の大きさと所定の値とを時間軸に沿って順に大小比較し、最初に所定の値を超えた時点を、検査対象物に力が加わる状態の開始時点として特定してもよい。また、打撃判定部19は、その後に最初に所定の値を下回った時点を、検査対象物に力が加わる状態の終了時点として特定してもよい。そして、打撃判定部19は、特定した開始時点から終了時点までの時間を、継続時間t
cとして算出してもよい。上記所定の値は「0」であってもよいし、ノイズ成分を除去するために「0」より大きい任意の小さな値を所定の値としてもよい。
【0107】
動作制御部16は、打撃判定部19をさらに制御する。動作制御部16は、移動−打撃−集音処理が行われると、次の移動−打撃−集音処理が行われる前に、打撃判定部19に判定させる。
【0108】
そして、動作制御部16は、打撃判定部19による判定の結果が「所定の基準を満たす」である場合、次の移動−打撃−集音処理を許可する。これにより、次の移動−打撃−集音処理を実行可能になる。
【0109】
一方、動作制御部16は、打撃判定部19による判定の結果が「所定の基準を満たさない」である場合、マーキング部13を制御し、その位置で検査対象物に第2のマーキングを行わせる。そして、動作制御部16は、第2のマーキングの後に、次の移動−打撃−集音処理を許可する。すなわち、第2のマーキングの後に、次の移動−打撃−集音処理を実行可能になる。
【0110】
第1のマーキングと第2のマーキングは、少なくともマークの構成(例:色等)が異なる。色の違いにより、各マークが有する情報が異なる。第2のマーキングで検査対象物に付されるマークは、打撃判定部19による判定の結果に関する情報を有する。
【0111】
本実施形態の処理の流れは、
図11を用いて説明した第1の実施形態と同様である。すなわち、S10の後に、打撃判定部19による判定処理が行われる。そして、判定の結果が「所定の基準を満たす」である場合、S11に進む。
【0112】
一方、判定の結果が「所定の基準を満たさない」である場合、その位置で第2のマーキングを行った後、S11に進む。なお、この場合、S11に進む前に、その位置で再度打撃及び集音を行うか否かの指示入力を、オペレータから受付けてもよい。そして、「行わない」が入力された場合にはS11に進み、「行う」が入力された場合には、その位置で再度打撃及び集音を行ってもよい。再度打撃及び集音を行う場合、再び打撃判定部19が判定処理を行い、上記を繰り返すことになる。
【0113】
また、S11の後に、打撃判定部19による判定処理が行われる。そして、判定の結果が「所定の基準を満たす」である場合、S12に進む。
【0114】
一方、判定の結果が「所定の基準を満たさない」である場合、その位置で第2のマーキングを行った後、S12に進む。なお、この場合、S12に進む前に、その位置で再度打撃及び集音を行うか否かの指示入力を、オペレータから受付けてもよい。そして、「行わない」が入力された場合にはS11に進み、「行う」が入力された場合には、その位置で再度打撃及び集音を行ってもよい。再度打撃及び集音を行う場合、再び打撃判定部19が判定処理を行い、上記を繰り返すことになる。
【0115】
以上説明した本実施形態によれば、第1乃至第3の実施形態と同様な作用効果を実現できる。
【0116】
また、打撃判定部19による判定処理は、欠陥判定部15による判定処理よりも短い時間で完了できる。このため、マーキング部13によるマーキング処理などのように、複数の移動−打撃−集音処理が行われた後に行うのでなく、1回の移動−打撃−集音処理が行われる都度行っても、多くの待ち時間が発生しない。このため、本実施形態では、打撃判定部19による判定処理を、移動−打撃−集音処理が行われる都度行うよう制御する。
【0117】
このようにすれば、仮に、打撃が所定の基準を満たさない場合、その位置で、再度打撃及び集音を行うことができる。結果、複数の移動−打撃−集音処理を行った後に、再び、打撃が所定の基準を満たさない位置に移動し、打撃及び集音を行う場合に比べて、移動量を減らせる分、作業効率を向上させることができる。
【0118】
以下、参考形態の例を付記する。
1. 伸縮動作、起伏動作及び旋回動作が可能なブームを備える機械装置と、
検査対象物に打撃を加える打撃手段、及び、前記打撃により発生した音を集音する集音手段を有し、前記ブームに取り付けられる打撃集音部と、
前記ブームに取り付けられ、前記検査対象物にマーキングを行うマーキング部と、
前記ブームに取り付けられた装置の位置を管理する位置管理部と、
前記打撃集音部が集音した音を解析し、欠陥の有無を判定する欠陥判定部と、
前記機械装置、前記打撃集音部、前記マーキング部、及び、前記欠陥判定部の動作を制御する動作制御部と、を有し、
前記動作制御部は、
前記機械装置及び前記打撃集音部を制御し、前記ブームを動作させることで前記打撃集音部を目的位置に位置させる移動、その位置での前記打撃手段による打撃、及び、その位置での前記集音手段による集音、を行う移動−打撃−集音処理を繰り返し実行させ、
前記欠陥判定部を制御し、前記移動―打撃−集音処理と並行して、前記集音手段が集音した音の解析、及び、前記目的位置に対応付けた判定結果の記憶、を実行させ、
前記移動−打撃−集音処理を複数回繰り返した後に、前記機械装置及び前記マーキング部を制御し、前記ブームを動作させることで前記マーキング部を前記判定結果が所定の結果である前記目的位置に位置させる移動、及び、その位置での前記検査対象物に対する第1のマーキング、を行う移動−マーキング処理を繰り返し実行させる打音検査システム。
2. 1に記載の打音検査システムにおいて、
前記打撃手段が前記検査対象物に加えた力の大きさを示すデータに基づき、前記打撃手段による前記検査対象物への打撃が所定の基準を満たすか判定する打撃判定部と、
をさらに有し、
前記動作制御部は、
前記打撃判定部をさらに制御し、前記移動−打撃−集音処理が行われると、次の前記移動−打撃−集音処理が行われる前に、前記打撃判定部に判定させ、
前記打撃判定部による判定の結果が「所定の基準を満たす」である場合、次の移動−打撃−集音処理を許可し、
前記打撃判定部による判定の結果が「所定の基準を満たさない」である場合、前記マーキング部を制御し、その位置で前記検査対象物に第2のマーキングを行わせた後に、次の移動−打撃−集音処理を許可する打音検査システム。
3. 1又は2に記載の打音検査システムにおいて、
前記ブームの先端に取り付けられ、前記検査対象物を撮影する撮影部をさらに有し、
前記動作制御部は、
前記移動−打撃−集音処理を複数回繰り返した後に、前記機械装置及び前記撮影部を制御し、前記ブームを動作させることで前記撮影部を前記判定結果が所定の結果である前記目的位置に位置させる移動、及び、その位置での前記検査対象物の撮影、を行う移動−撮影処理を繰り返し実行させる打音検査システム。
4. 1から3のいずれかに記載の打音検査システムにおいて、
前記ブームの先端に取り付けられ、前記検査対象物に前記打撃手段よりも強い打撃を加える後打撃部をさらに有し、
前記動作制御部は、
前記移動−打撃−集音処理を複数回繰り返した後に、前記機械装置及び前記後打撃部を制御し、前記ブームを動作させることで前記後打撃部を前記判定結果が所定の結果である前記目的位置に位置させる移動、及び、その位置での前記後打撃部による後打撃、を行う移動−後打撃処理を繰り返し実行させる打音検査システム。
5. 伸縮動作、起伏動作及び旋回動作が可能なブームを備える機械装置と、
検査対象物に打撃を加える打撃手段、及び、前記打撃により発生した音を集音する集音手段を有し、前記ブームに取り付けられる打撃集音部と、
前記ブームに取り付けられ、前記検査対象物にマーキングを行うマーキング部と、
前記ブームに取り付けられた装置の位置を管理する位置管理部と、
前記打撃集音部が集音した音を解析し、欠陥の有無を判定する欠陥判定部と、
前記機械装置、前記打撃集音部、前記マーキング部、及び、前記欠陥判定部の動作を制御する動作制御部と、を有する打音検査システムの前記動作制御部が、
前記機械装置及び前記打撃集音部を制御し、前記ブームを動作させることで前記打撃集音部を目的位置に位置させる移動、その位置での前記打撃手段による打撃、及び、その位置での前記集音手段による集音、を行う移動−打撃−集音処理を繰り返し実行させ、
前記欠陥判定部を制御し、前記移動―打撃−集音処理と並行して、前記集音手段が集音した音の解析、及び、前記目的位置に対応付けた判定結果の記憶、を実行させ、
前記移動−打撃−集音処理を複数回繰り返した後に、前記機械装置及び前記マーキング部を制御し、前記ブームを動作させることで前記マーキング部を前記判定結果が所定の結果である前記目的位置に位置させる移動、及び、その位置での前記検査対象物に対する第1のマーキング、を行う移動−マーキング処理を繰り返し実行させる打音検査方法。
6. 伸縮動作、起伏動作及び旋回動作が可能なブームを備える機械装置と、
検査対象物に打撃を加える打撃手段、及び、前記打撃により発生した音を集音する集音手段を有し、前記ブームに取り付けられる打撃集音部と、
前記ブームに取り付けられ、前記検査対象物にマーキングを行うマーキング部と、
前記ブームに取り付けられた装置の位置を管理する位置管理部と、
前記打撃集音部が集音した音を解析し、欠陥の有無を判定する欠陥判定部と、
前記機械装置、前記打撃集音部、前記マーキング部、及び、前記欠陥判定部の動作を制御する動作制御部と、を有する打音検査システムの前記動作制御部が、
前記機械装置及び前記打撃集音部を制御し、前記ブームを動作させることで前記打撃集音部を目的位置に位置させる移動、その位置での前記打撃手段による打撃、及び、その位置での前記集音手段による集音、を行う移動−打撃−集音処理を繰り返し実行させ、
前記欠陥判定部を制御し、前記移動―打撃−集音処理と並行して、前記集音手段が集音した音の解析、及び、前記目的位置に対応付けた判定結果の記憶、を実行させ、
前記移動−打撃−集音処理を複数回繰り返した後に、前記機械装置及び前記マーキング部を制御し、前記ブームを動作させることで前記マーキング部を前記判定結果が所定の結果である前記目的位置に位置させる移動、及び、その位置での前記検査対象物に対する第1のマーキング、を行う移動−マーキング処理を繰り返し実行させるプログラム。