(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。本明細書では、便宜上、多層基板に垂直な方向を前後方向として説明するが、本発明による導波管・マイクロストリップ線路変換器の使用時における姿勢を限定するものではない。
【0018】
<導波管・マイクロストリップ線路変換器1>
図1〜
図6は、本発明の実施の形態による導波管・マイクロストリップ線路変換器1の一構成例を示した図である。
図1は、導波管・マイクロストリップ線路変換器1を展開して示した斜視図であり、図中には、誘電体基板31〜33を挟んで4つの導電層101〜104が積層される多層基板10と、前後方向に延びる導波管7とが示されている。
【0019】
図2は、
図1の多層基板10の前面を示した平面図であり、図中には、誘電体基板31上に形成された線路パターン21及び短絡板22が示されている。
図3は、
図1の誘電体基板32上に形成された線状パターン41、環状パターン42及び整合素子43を示した平面図である。
図4は、
図1の誘電体基板33上に形成された環状パターン51及び整合素子52を示した平面図である。
図5及び
図6は、
図2の多層基板10を示した断面図である。
図5には、多層基板10をA−A切断線により切断した場合の切断面が模式的に示されている。
図6には、多層基板10をB−B切断線により切断した場合の切断面が模式的に示されている。
【0020】
導波管・マイクロストリップ線路変換器1は、導波管7を伝送する電力とマイクロストリップ線路を伝送する電力とを相互に変換するための電力変換装置である。導波管7は、矩形の管口70を有する中空導波管であり、前後方向を電力の伝送方向とする中空部75が形成された金属製のブロック体により構成される。
【0021】
中空部75は、広壁71,72、狭壁73及び74により取り囲まれた空間であり、前端が管口70である。広壁71及び72は、互いに対向する内壁である。狭壁73及び74は、互いに対向する内壁であり、壁面の幅が広壁71及び72よりも狭い。管口70の長辺は、広壁71,72の幅に相当する。一方、管口70の短辺は、狭壁73,74の幅に相当する。
【0022】
この導波管・マイクロストリップ線路変換器1は、誘電体基板31〜33をそれぞれ挟んで4つの導電層101〜104が積層された多層基板10により構成される。誘電体基板31〜33は、いずれもフッ素樹脂等の誘電体材料からなり、それぞれ平板状の誘電体層を形成する。
【0023】
<背面導電層104>
多層基板10の背面において露出する背面導電層104は、接地板61及び整合素子63を形成する。接地板61は、導波管7が接続されるグランドであり、導波管7の管口70に対向する矩形状の開口62を有する。開口62は、背面導電層104を貫通する貫通孔であり、周縁部の位置が厚さ方向から見て管口70と略一致する形状である。厚さ方向は、導電層101〜104の積層方向であり、前後方向と一致している。
【0024】
整合素子63は、マイクロストリップ線路及び導波管7間でインピーダンス整合させるための矩形パターンからなる共振パッチであり、開口62内に配置される。整合素子63と接地板61との間には、間隙が形成されている。この整合素子63は、開口62の中央に配置されている。
【0025】
<前面導電層101>
多層基板10の前面において露出する前面導電層101は、線路パターン21及び短絡板22を形成する。線路パターン21及び短絡板22は、誘電体基板31上に形成されている。
【0026】
線路パターン21は、開口62の長辺を横切って延びる概ね等幅の線状パターンである。この線路パターン21は、先端部が厚さ方向から見て整合素子63と重複する位置まで延びている。
【0027】
短絡板22は、導波管7を短絡させるためのシールドであり、接地板61の開口62に対向する矩形状のパターンからなる。短絡板22は、線路パターン21の先端部が配置される切り込み23を有する。この短絡板22は、接地板61の開口62全体を覆うサイズであり、外縁が厚さ方向から見て開口62の周縁部よりも外側に形成されている。
【0028】
図2では、線路パターン21の先端部が延びる方向を紙面の上下方向として多層基板10が描画されている。線路パターン21は、紙面の左右方向における中央に配置されている。切り込み23は、短絡板22の下端から上に向けて凹んだスリット状の凹部であり、左右方向の中央に形成されている。
【0029】
図2における距離L
1〜L
4は、多層基板10の前面に平行な方向に関し、開口62の周縁部から短絡板22の外縁までの距離である。すなわち、距離L
1は、開口62の上側長辺よりも上側に形成された短絡板22の外縁までの距離である。距離L
2は、開口62の下側長辺よりも下側に形成された短絡板22の外縁までの距離である。
【0030】
距離L
3は、開口62の左側短辺よりも左側に形成された短絡板22の外縁までの距離である。距離L
4は、開口62の右側短辺よりも右側に形成された短絡板22の外縁までの距離である。
【0031】
距離L
1〜L
4は、短絡板22の外縁よりも外側の誘電体基板31〜33(特に、短絡板22が設けられる誘電体基板31)への電磁波の漏出を防止するという観点から、電磁波の管内波長λgの1/4波長の奇数倍に略一致することが望ましい。ここでの管内波長λgとは、多層基板10を伝搬する電磁波の短絡板22における波長(短絡板22を伝搬する電磁波の波長)である。距離L
1〜L
4は、管内波長λg及び整数n=0,1,2,・・・を用いて、L
1〜L
4=λg/4×(2n+1)と表すことができる。例えば、距離L
1〜L
4は、λg/4である。
【0032】
また、
図2における距離Lpは、整合素子63の上下方向の長さである。導波管7を伝搬する電磁波の電界成分は、上下方向であり、管口70における電界分布は、左右方向の中央において強度が最大になる。このため、整合素子63は、開口62の左右方向における中央に配置し、距離Lpを電磁波の管内波長λgの1/2波長の整数倍に略一致させることが望ましい。ここでの管内波長λgとは、多層基板10を伝搬する電磁波の整合素子63における波長(整合素子63を伝搬する電磁波の波長)である。距離Lpは、管内波長λg及び整数m=1,2,・・・を用いて、Lp=λg/2×mと表すことができる。例えば、距離Lpは、λg/2である。
【0033】
整合素子63の形状に関し、本実施の形態では、上下方向の長さが長く、左右方向の長さが短い長方形となっているが、良好な結合度を求めた結果として、上下方向の長さが短く、左右方向の長さが長い長方形や、上下方向の長さと左右方向の長さとが同一の正方形となることもある。
【0034】
なお、短絡板22の外縁よりも外側の誘電体基板31〜33への電磁波の漏出に関し、左右方向への漏出は、上下方向への漏出に比べて少ない。このため、距離L
3及びL
4については、電磁波の管内波長λgの1/4波長の奇数倍に略一致していなくても良い。
【0035】
<内部導電層102>
前面導電層101及び背面導電層104間に配置される内部導電層102は、線状パターン41、環状パターン42及び整合素子43を形成する第1の内部導電層である。線状パターン41、環状パターン42及び整合素子43は、誘電体基板32上に形成されている。
【0036】
線状パターン41は、誘電体基板31を挟んで線路パターン21に対向し、環状パターン42の外縁から外方に向かって延びる線状のグランドである。この線状パターン41は、線路パターン21と同じ方向に延び、幅W
Lが線路パターン21よりも広い。
【0037】
環状パターン42は、接地板61の開口62を取り囲む形状を有する第1環状パターンである。また、環状パターン42は、内縁が開口62と略一致する形状を有するとともに、線状パターン41が連結される接続片42aと、接続片42aに平行な非接続片42bとを有する。この環状パターン42は、内縁及び外縁が矩形状であり、接続片42a及び非接続片42bを連結する短片42c及び42dを有する。接続片42a及び非接続片42bは、短片42c及び42dよりも長い長辺である。
【0038】
整合素子43は、マイクロストリップ線路及び導波管7間でインピーダンス整合させるための矩形パターンからなる共振パッチであり、環状パターン42内に配置される。整合素子43と環状パターン42との間には、間隙が形成されている。この整合素子43は、環状パターン42の中央であって、整合素子63と対向するように配置されている。
【0039】
図3における幅W
1〜W
4は、環状パターン42の外縁よりも外側の誘電体基板31〜33(特に、環状パターン42が設けられる誘電体基板32)への電磁波の漏出を防止するという観点から、電磁波の管内波長の1/4波長の奇数倍に略一致することが望ましい。幅W
1は、線路パターン21の先端部が延伸する方向を紙面の上下方向として、非接続片42bの上下方向の長さ(長片の幅)である。幅W
2は、接続片42aの上下方向の長さ(長片の幅)である。幅W
3は、短片42cの左右方向の長さである。幅W
4は、短片42dの左右方向の長さである。
【0040】
ここでの管内波長λgとは、多層基板10を伝搬する電磁波の環状パターン42における波長(環状パターン42を伝搬する電磁波の波長)である。管内波長をλgとし、整数n=0,1,2,・・・を用いて、W
1〜W
4=λg/4×(2n+1)と表すことができる。例えば、幅W
1〜W
4は、それぞれλg/4である。従って、短絡板22は、外縁が厚さ方向から見て環状パターン42の外縁と略一致する形状である。
【0041】
なお、環状パターン42の外縁よりも外側の誘電体基板31〜33への電磁波の漏出に関し、左右方向への漏出は、上下方向への漏出に比べて少ない。このため、幅W
3及びW
4(短片の幅)については、電磁波の管内波長λgの1/4波長の奇数倍に略一致していなくても良い。
【0042】
また、
図3における距離Lpは、整合素子43の上下方向の長さである。この整合素子43は、開口62に対向する環状パターン42の内縁に対し、左右方向における中央に配置し、距離Lpを電磁波の管内波長λgの1/2波長の整数倍に略一致させることが望ましい。ここでの管内波長λgとは、多層基板10を伝搬する電磁波の整合素子43における波長(整合素子43を伝搬する電磁波の波長)である。距離Lpは、管内波長λg及び整数m=1,2,・・・を用いて、Lp=λg/2×mと表すことができる。例えば、距離Lpは、λg/2である。
【0043】
整合素子43の形状に関し、本実施の形態では、上下方向の長さが長く、左右方向の長さが短い長方形となっているが、良好な結合度を求めた結果として、上下方向の長さが短く、左右方向の長さが長い長方形や、上下方向の長さと左右方向の長さとが同一の正方形となることもある。
【0044】
<内部導電層103>
内部導電層102及び背面導電層104間に配置される内部導電層103は、環状パターン51及び整合素子52を形成する第2の内部導電層である。環状パターン51及び整合素子52は、誘電体基板33上に形成されている。
【0045】
環状パターン51は、誘電体基板32を挟んで環状パターン42に対向し、環状パターン42と同一形状の第2環状パターンである。すなわち、環状パターン51は、内縁及び外縁が矩形状であり、内縁が接地板61の開口62と略一致する形状を有するとともに、長片51a及び51bと、長片51a及び51bを連結する短片51c及び51dとを有する。
【0046】
整合素子52は、マイクロストリップ線路及び導波管7間でインピーダンス整合させるための矩形パターンからなる共振パッチであり、環状パターン51内に配置される。整合素子52と環状パターン51との間には、間隙が形成されている。この整合素子52は、環状パターン51の中央であって、整合素子63及び整合素子43と対向するように配置されている。
【0047】
図4における幅W
1〜W
4は、環状パターン51の外縁よりも外側の誘電体基板31〜33(特に、環状パターン51が設けられる誘電体基板33)への電磁波の漏出を防止するという観点から、電磁波の管内波長の1/4波長の奇数倍に略一致することが望ましい。幅W
1は、線路パターン21の先端部が延伸する方向を紙面の上下方向として、長片51bの上下方向の長さ(長片の幅)である。幅W
2は、長片51aの上下方向の長さ(長片の幅)である。幅W
3は、短片51cの左右方向の長さである。幅W
4は、短片51dの左右方向の長さである。
【0048】
ここでの管内波長λgとは、多層基板10を伝搬する電磁波の環状パターン51における波長(環状パターン51を伝搬する電磁波の波長)である。管内波長をλgとし、整数n=0,1,2,・・・を用いて、W
1〜W
4=λg/4×(2n+1)と表すことができる。例えば、幅W
1〜W
4は、それぞれλg/4である。
【0049】
なお、環状パターン51の外縁よりも外側の誘電体基板31〜33への電磁波の漏出に関し、左右方向への漏出は、上下方向への漏出に比べて少ない。このため、幅W
3及びW
4(短片の幅)については、電磁波の管内波長λgの1/4波長の奇数倍に略一致していなくても良い。
【0050】
また、
図4における距離Lpは、整合素子52の上下方向の長さである。この整合素子52は、開口62に対向する環状パターン51の内縁に対し、左右方向における中央に配置し、距離Lpを電磁波の管内波長λgの1/2波長の整数倍に略一致させることが望ましい。ここでの管内波長λgとは、多層基板10を伝搬する電磁波の整合素子52における波長(整合素子52を伝搬する電磁波の波長)である。距離Lpは、管内波長λg及び整数m=1,2,・・・を用いて、Lp=λg/2×mと表すことができる。例えば、距離Lpは、λg/2である。
【0051】
整合素子52の形状に関し、本実施の形態では、上下方向の長さが長く、左右方向の長さが短い長方形となっているが、良好な結合度を求めた結果として、上下方向の長さが短く、左右方向の長さが長い長方形や、上下方向の長さと左右方向の長さとが同一の正方形となることもある。
【0052】
上述した導波管・マイクロストリップ線路変換器1を作製する場合の処理手順は、以下に例示する通りである。まず、平行平面板からなる誘電体基板31の前面に銅等の金属箔を貼り付け、この金属箔からなる導電層101をエッチング処理によってパターニングすることにより、線路パターン21及び短絡板22が形成される。
【0053】
同様に、誘電体基板32の前面に金属箔を貼り付け、この金属箔からなる導電層102をパターニングすることにより、線状パターン41、環状パターン42及び整合素子43が形成される。また、誘電体基板33の前面に金属箔を貼り付け、この金属箔からなる導電層103をパターニングすることにより、環状パターン51及び整合素子52が形成される。また、誘電体基板33の背面に金属箔を貼り付け、この金属箔からなる導電層104をパターニングすることにより、接地板61及び整合素子63が形成される。
【0054】
次に、導電層101〜104をパターニングした後の誘電体基板31〜33を重ね合せて積層体を形成し、この積層体を加熱及び加圧して硬化させることにより、多層基板10が形成される。多層基板10の端面には、積層された各層が露出している。
【0055】
或いは、前面に線路パターン21及び短絡板22が形成された誘電体基板31と、前面に線状パターン41、環状パターン42及び整合素子43が形成されると共に背面に環状パターン51及び整合素子52が形成された誘電体基板32と、背面に接地板61及び整合素子63が形成された誘電体基板33とを重ね合せて積層体を形成し、この積層体を加熱及び加圧して硬化させることにより、多層基板10を作製するなど、その他の方法でも作製することができる。
【0056】
なお、
図5及び
図6では、導電層101〜104について、エッチング処理によって金属箔が除去された領域は空隙であるかのように描画されているが、実際は誘電体によって充填されている。
【0057】
<比較例>
図7は、
図1の導波管・マイクロストリップ線路変換器1と比較すべき比較例を示した斜視図であり、図中には、導波管・マイクロストリップ線路変換器1aが比較例として示されている。この導波管・マイクロストリップ線路変換器1aは、
図1の導波管・マイクロストリップ線路変換器1と比較すれば、内部導電層102及び103の構成が変更されている点で異なる。
【0058】
内部導電層102は、線状パターン41、環状パターン42及び整合素子43に代えて、開口44を有する。開口44は、内部導電層102を貫通する矩形状の貫通孔であり、周縁部の位置が厚さ方向から見て導波管7の管口70と略一致する。
【0059】
内部導電層103は、環状パターン51及び整合素子52に代えて、開口53を有する。開口53は、内部導電層103を貫通する矩形状の貫通孔であり、周縁部の位置が厚さ方向から見て導波管7の管口70と略一致する。
【0060】
本願の発明者らは、導波管7からマイクロストリップ線路に電力を伝送する際の電磁波の漏出状況をコンピュータシミュレーションにより解析した。その結果、上述した導波管・マイクロストリップ線路変換器1aでは、導波管・マイクロストリップ線路変換器1に比べ、導波管7とマイクロストリップ線路との間で電力を伝送する際の効率が悪いことが判った。すなわち、電磁波が内部導電層102と背面導電層104との間の誘電体層内に漏れ、短絡板22の外縁よりも外側への漏出が多いことが判った。
【0061】
例えば、導波管・マイクロストリップ線路変換器1aの場合、透過電力は、入力電力に対して−3.0dBである。これに対し、導波管・マイクロストリップ線路変換器1の場合、透過電力は、入力電力に対して−1.1dBである。従って、本実施の形態による導波管・マイクロストリップ線路変換器1の方が比較例の導波管・マイクロストリップ線路変換器1aに比べ、伝送損失が小さいことが判る。
【0062】
本実施の形態によれば、内部導電層102の線状パターン41は、誘電体基板31を挟んで前面導電層101の線路パターン21に対向することから、マイクロストリップ線路のグランドとして機能する。また、線路パターン21の先端部は、短絡板22の切り込み23内において、誘電体層を挟んで整合素子43,52及び63と対向することから、整合素子43,52及び63を介してマイクロストリップ線路と導波管7とを電磁的に結合させることができる。
【0063】
さらに、環状パターン42の接続片42aと非接続片42bとは、線路パターン21の先端部が延びる方向の幅(長片の幅)が電磁波の管内波長の1/4波長の奇数倍に略一致する。このため、線路パターン21の先端部が延びる方向に関し、環状パターン42の外縁よりも外側へ伝搬する電磁波は、環状パターン42の外縁及び内縁で反射して伝搬する電磁波との干渉によって打ち消される。従って、導波管7及びマイクロストリップ線路間で電力を伝送する際に、電磁波が環状パターン42の外縁よりも外側の誘電体基板31〜33内に漏出するのを抑制することができる。
【0064】
また、環状パターン51を設けることにより、環状パターン51の外縁よりも外側の誘電体基板内に電磁波が漏出するのを抑制することができる。また、短絡板22の外縁を環状パターン42の外縁と一致させることにより、短絡板22の外縁よりも外側の誘電体基板内に電磁波が漏出するのを抑制することができる。
【0065】
本実施の形態による導波管・マイクロストリップ線路変換器1は、3つの導電層102〜104が誘電体基板32及び33を介して積層されていることから、これらの導電層102〜104を利用してストリップ線路が形成される多層基板10に好適である。
【0066】
なお、本実施の形態では、内部導電層102,103及び背面導電層104が整合素子43,52及び63をそれぞれ有する場合の例について説明したが、本発明は、内部導電層102,103及び背面導電層104の構成をこれに限定するものではない。例えば、整合素子は、内部導電層102,103及び背面導電層104のいずれか一つに設けられれば良い。また、内部導電層103は、環状パターン51が存在しないような構成であっても良い。
【0067】
図8は、導波管・マイクロストリップ線路変換器1の他の構成例を示した斜視図である。図中には、整合素子52を備えない導波管・マイクロストリップ線路変換器1が示されている。
【0068】
この導波管・マイクロストリップ線路変換器1では、内部導電層103が環状パターン51を形成する一方、整合素子52は形成されない。つまり、この導波管・マイクロストリップ線路変換器1では、整合素子が内部導電層102及び背面導電層104の2つの導電層にだけ形成されている。
【0069】
図8に示した導波管・マイクロストリップ線路変換器1の透過電力は、入力電力に対して−0.9dBであり、
図1の導波管・マイクロストリップ線路変換器1よりも伝送損失が小さい。つまり、内部導電層102及び背面導電層104に整合素子が形成されるケースでは、整合素子52が環状パターン51内に存在する場合に比べ、整合素子52が環状パターン51内に存在しない場合の方が伝送損失は小さい。この要因は、整合素子52による導体損が解消したためであると考えられる。
【0070】
図9は、導波管・マイクロストリップ線路変換器1のその他の構成例を示した斜視図である。図中には、環状パターン51、整合素子43及び63を備えない導波管・マイクロストリップ線路変換器1が示されている。
【0071】
この導波管・マイクロストリップ線路変換器1では、内部導電層102に整合素子43が形成されず、内部導電層103に環状パターン51が形成されない。また、背面導電層104は、開口62を有する一方、整合素子63は形成されない。つまり、この導波管・マイクロストリップ線路変換器1では、環状パターン51が形成されず、整合素子が内部導電層103にだけ形成されている。
【0072】
図9に示した導波管・マイクロストリップ線路変換器1の透過電力は、入力電力に対して−1.0dBであり、
図1の導波管・マイクロストリップ線路変換器1よりも伝送損失が小さい。
【0073】
図10は、導波管・マイクロストリップ線路変換器1のその他の構成例を示した斜視図である。図中には、整合素子43及び63を備えない導波管・マイクロストリップ線路変換器1が示されている。
【0074】
この導波管・マイクロストリップ線路変換器1では、内部導電層102に整合素子43が形成されず、背面導電層104に整合素子63が形成されない。つまり、この導波管・マイクロストリップ線路変換器1では、整合素子が内部導電層103にだけ形成されている。
【0075】
図10に示した導波管・マイクロストリップ線路変換器1は、多層基板10が誘電体基板31〜33をそれぞれ挟んで4つの導電層101〜104を積層した積層体により構成される場合のベストモードであり、透過電力は、入力電力に対して−0.8dBである。
【0076】
なお、整合素子による導体損は、整合素子が配置される領域を取り囲む周囲の誘電体層の厚みが大きいほど少なくなると考えられ、整合素子が内部導電層103にだけ形成されている態様(
図9及び
図10に示す態様)において、良好な結果が得られたと考えられる。
【0077】
図11は、導波管・マイクロストリップ線路変換器1のその他の構成例を示した斜視図である。図中には、内部導電層103を備えない導波管・マイクロストリップ線路変換器1が示されている。
【0078】
この導波管・マイクロストリップ線路変換器1は、誘電体基板31及び32をそれぞれ挟んで3つの導電層101,102及び104が積層された多層基板10により構成される。
【0079】
背面導電層104は、開口62を有する接地板61と矩形パターンからなる整合素子63とを形成する。前面導電層101は、線路パターン21と切り込み23を有する短絡板22とを形成する。前面導電層101及び背面導電層104間に配置される内部導電層102は、線状パターン41、環状パターン42及び整合素子43を形成する。
【0080】
図11に示した導波管・マイクロストリップ線路変換器1は、多層基板10が誘電体基板31及び32をそれぞれ挟んで3つの導電層101,102及び104を積層した積層体により構成される場合のベストモードであり、透過電力は、入力電力に対して−1.0dBである。
【0081】
図12は、導波管・マイクロストリップ線路変換器1の動作特性の一例を示した図であり、内部導電層103の構成が異なる4つの形態について、透過電力が示されている。図中の(a)は、
図1の導波管・マイクロストリップ線路変換器1の場合であり、内部導電層103が環状パターン51及び整合素子52を有する場合が示されている。
【0082】
図中の(b)には、内部導電層103に環状パターン51が形成されない場合が示されている。この導波管・マイクロストリップ線路変換器1の透過電力は、入力電力に対して−1.1dBであり、伝送損失は、
図1の導波管・マイクロストリップ線路変換器1と同程度である。
【0083】
図中の(c)は、
図8の導波管・マイクロストリップ線路変換器1の場合であり、内部導電層103に整合素子52が形成されない場合が示されている。図中の(d)は、
図11の導波管・マイクロストリップ線路変換器1の場合であり、内部導電層103を備えない場合が示されている。
【0084】
図13は、導波管・マイクロストリップ線路変換器1の動作特性の他の一例を示した図であり、整合素子の構成が異なる5つの形態について、透過電力が示されている。図中の(a)は、
図9の導波管・マイクロストリップ線路変換器1の場合であり、内部導電層103に環状パターン51が形成されず、内部導電層102及び背面導電層104に整合素子が形成されない場合が示されている。
【0085】
図中の(b)には、内部導電層103を備えず、背面導電層104に整合素子63が形成されない場合が示されている。この導波管・マイクロストリップ線路変換器1の透過電力は、入力電力に対して−1.1dBであり、伝送損失は、
図1の導波管・マイクロストリップ線路変換器1と同程度である。
【0086】
図中の(c)には、内部導電層103を備えず、内部導電層102に整合素子43が形成されない場合が示されている。この導波管・マイクロストリップ線路変換器1の透過電力は、入力電力に対して−1.3dBであり、
図1の導波管・マイクロストリップ線路変換器1よりも伝送損失が大きい。
【0087】
図中の(d)は、
図1の導波管・マイクロストリップ線路変換器1と比較すべき比較例であり、整合素子が導電層102〜104のいずれにも形成されない場合が示されている。この比較例の透過電力は、入力電力に対して−12.1dBであり、
図1の導波管・マイクロストリップ線路変換器1に比べ、変換特性が良くないことが判る。図中の(e)は、
図10の導波管・マイクロストリップ線路変換器1の場合であり、内部導電層102及び背面導電層104に整合素子が形成されない場合が示されている。
【0088】
図12の(a)〜(d)及び
図13の(a)〜(e)を見れば、3つの導電層102〜104のいずれかに整合素子を設ける必要があることが判る。また、伝送損失は、3つの導電層102〜104の全てに整合素子を設ける場合に比べ、これらの導電層のうちの2つ又は1つに整合素子を設ける場合の方が小さい。
【0089】
特に、
図13の(a)〜(c)を見れば、3つの導電層102〜104のうちの1つに整合素子を設ける場合、真ん中の内部導電層103に整合素子を設ける場合の変換特性が最も良いことが判る。
【0090】
また、
図12の(c)及び(d)を比較し、
図13の(a)及び(e)を比較すれば、内部導電層103に環状パターン51を設ける方が設けない場合よりも変換特性が良いことが判る。
【0091】
また、本実施の形態では、多層基板10が誘電体基板31〜33をそれぞれ挟んで4つの導電層101〜104を積層した積層体により構成され、或いは、誘電体基板31及び32をそれぞれ挟んで3つの導電層101,102及び104を積層した積層体により構成される場合の例について説明した。しかしながら、本発明は、多層基板10が誘電体基板をそれぞれ挟んで5以上の導電層を積層した積層体により構成される導波管・マイクロストリップ線路変換器にも適用することができる。多層基板10が5以上の導電層の積層体からなる場合、環状パターン51を形成する導電層103が2層以上になる。