(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
筐体の内部に塗料収容袋が配置された塗料カートリッジに塗料を充填するとともに、前記筐体の内部における前記塗料収容袋の外側の周囲領域に押出液を供給して前記塗料収容袋内に残留した塗料を排出させるための塗料充填排出装置であって、
前記塗料収容袋に塗料を供給する塗料供給部と、
前記周囲領域に押出液を供給するとともに、前記筐体から排出された押出液を収容する押出液供給部と、
前記押出液供給部と前記周囲領域とを接続する押出液経路と、
前記押出液経路に設けられた流量計と、を備え、
前記塗料供給部から前記塗料収容袋に塗料を供給している間に前記流量計によって検出された押出液の流速の低下に基づいて前記塗料カートリッジへの塗料の充填が完了したか否かを判断する、塗料充填排出装置。
前記押出液供給部から前記周囲領域に押出液を供給している間に前記流量計によって検出された押出液の流速の低下に基づいて前記塗料収容袋内に残留した塗料の排出が完了したか否かを判断する、請求項1に記載の塗料充填排出装置。
前記流量計によって検出された押出液の流速が、前記塗料カートリッジへの塗料の充填中の検出値に対して所定の割合まで低下したときに、前記塗料カートリッジへの塗料の充填が完了したことを判断する、請求項1または2に記載の塗料充填排出装置。
前記流量計によって検出された押出液の流速が、所定の閾値まで低下したときに、前記塗料カートリッジへの塗料の充填が完了したことを判断する、請求項1または2に記載の塗料充填排出装置。
前記流量計によって検出された押出液の流速が、前記塗料収容袋内に残留した塗料の排出中の検出値に対して所定の割合まで低下したときに、前記塗料収容袋内に残留した塗料の排出が完了したことを判断する、請求項2に記載の塗料充填排出装置。
前記流量計によって検出された押出液の流速が、所定の閾値まで低下したときに、前記塗料収容袋内に残留した塗料の排出が完了したことを判断する、請求項2に記載の塗料充填排出装置。
筐体の内部に塗料収容袋が配置された塗料カートリッジに塗料を充填するとともに、前記筐体の内部における前記塗料収容袋の外側の周囲領域に押出液を供給して前記塗料収容袋内に残留した塗料を排出させるための塗料充填排出装置であって、
前記塗料収容袋に塗料を供給する塗料供給部と、
前記周囲領域に押出液を供給するとともに、前記筐体から排出された押出液を収容する押出液供給部と、
前記押出液供給部と前記周囲領域とを接続する押出液経路と、
前記押出液経路に設けられた圧力計と、を備え、
前記塗料供給部から前記塗料収容袋に塗料を供給している間に前記圧力計によって検出された押出液の圧力の低下に基づいて前記塗料カートリッジへの塗料の充填が完了したか否かを判断する、塗料充填排出装置。
前記周囲領域に押出液を供給している間に前記圧力計によって検出された押出液の圧力の上昇に基づいて前記塗料収容袋内に残留した塗料の排出が完了したか否かを判断する、請求項7に記載の塗料充填排出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、塗料充填排出装置では、塗料が過充填されることにより塗料カートリッジの耐久性が損なわれることを避けるために、塗料カートリッジへの塗料の充填が完了したタイミングを精度良く検出する必要がある。特許文献1に記載の塗料充填排出装置では、上述したように塗料カートリッジに充填された塗料の量を正確に計測することができるので、塗料カートリッジへの塗料の充填が完了したタイミングを精度良く検知することができる。しかしながら、特許文献1に記載の塗料充填排出装置では、塗料の充填完了を精度良く検出するために、計量室やピストンを設ける必要があるので、塗料充填排出装置の構成が複雑になるという問題があった。
【0006】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、塗料カートリッジへの塗料の充填において、簡素な構成で塗料の充填が完了したタイミングを精度良く検出することができる塗料充填排出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、筐体の内部に塗料収容袋が配置された塗料カートリッジに塗料を充填するとともに、前記筐体の内部における前記塗料収容袋の外側の周囲領域に押出液を供給して前記塗料収容袋内に残留した塗料を排出させるための塗料充填排出装置であって、前記塗料収容袋に塗料を供給する塗料供給部と、前記周囲領域に押出液を供給するとともに、前記筐体から排出された押出液を収容する押出液供給部と、前記押出液供給部と前記周囲領域とを接続する押出液経路と、前記押出液経路に設けられた流量計と、を備え、前記塗料供給部から前記塗料収容袋に塗料を供給している間に前記流量計によって検出された押出液の流速の低下に基づいて前記塗料カートリッジへの塗料の充填が完了したか否かを判断するものである。
塗料収容袋に塗料を供給すると、塗料収容袋が膨らんで、塗料収容袋に供給された塗料と同量の押出液が筐体から排出される。塗料カートリッジへの塗料の充填が完了すると、筐体の内部における塗料収容袋の外側の周囲領域にあった押出液がなくなるので押出液経路を流れる押出液の流速は急速に低下する。このため、押出液経路に設けられた流量計が検出した押出液の流速の低下に基づいて、塗料の充填が完了したか否かを精度良く判断することができる。また、塗料の充填が完了したか否かを判断するために追加する必要のある構成要素は、基本的には押出液経路に設けた流量計だけなので、塗料充填排出装置を簡素な構成とすることができる。
【0008】
さらに、前記押出液供給部から前記周囲領域に押出液を供給している間に前記流量計によって検出された押出液の流速の低下に基づいて前記塗料収容袋内に残留した塗料の排出が完了したか否かを判断するものである。
周囲領域に押出液を供給すると、塗料収容袋が押出液によって押し潰され、塗料収容袋内に残留した塗料が塗料収容袋から排出される。塗料収容袋内に残留した塗料の排出が完了すると、周囲領域には押出液がこれ以上入らなくなるので押出液経路を流れる押出液の流速は急速に低下する。このため、押出液経路に設けられた流量計が検出した押出液の流速の低下に基づいて、塗料収容袋内に残留した塗料の排出が完了したか否かを精度良く判断することができる。
【0009】
さらに、前記流量計によって検出された押出液の流速が、前記塗料カートリッジへの塗料の充填中の検出値に対して所定の割合まで低下したときに、前記塗料カートリッジへの塗料の充填が完了したことを判断するものである。
塗料カートリッジへの塗料の充填が完了したときの押出し液の流速の低下を、流量計によって検出された押出液の流速が塗料カートリッジへの塗料の充填中の検出値に対して所定の割合まで低下したか否かにより検知することで、塗料の充填が完了したか否かを精度良く判断することができる。
【0010】
さらに、前記流量計によって検出された押出液の流速が、所定の閾値まで低下したときに、前記塗料カートリッジへの塗料の充填が完了したことを判断するものである。
塗料カートリッジへの塗料の充填が完了したときの押出し液の流速の低下を、流量計によって検出された押出液の流速が所定の閾値まで低下したか否かにより検知することで、塗料の充填が完了したか否かを精度良く判断することができる。
【0011】
さらに、前記流量計によって検出された押出液の流速が、前記塗料収容袋内に残留した塗料の排出中の検出値に対して所定の割合まで低下したときに、前記塗料収容袋内に残留した塗料の排出が完了したことを判断するものである。
塗料収容袋内に残留した塗料の排出が完了したときの押出し液の流速の低下を、流量計によって検出された押出液の流速が塗料収容袋内に残留した塗料の排出中の検出値に対して所定の割合まで低下したか否かにより検知することで、塗料の排出が完了したか否かを精度良く判断することができる。
【0012】
さらに、前記流量計によって検出された押出液の流速が、所定の閾値まで低下したときに、前記塗料収容袋内に残留した塗料の排出が完了したことを判断するものである。
塗料収容袋内に残留した塗料の排出が完了したときの押出し液の流速の低下を、流量計によって検出された押出液の流速が所定の閾値まで低下したか否かにより検知することで、塗料の排出が完了したか否かを精度良く判断することができる。
【0013】
本発明は、筐体の内部に塗料収容袋が配置された塗料カートリッジに塗料を充填するとともに、前記筐体の内部における前記塗料収容袋の外側の周囲領域に押出液を供給して前記塗料収容袋内に残留した塗料を排出させるための塗料充填排出装置であって、前記塗料収容袋に塗料を供給する塗料供給部と、前記周囲領域に押出液を供給するとともに、前記筐体から排出された押出液を収容する押出液供給部と、前記押出液供給部と前記周囲領域とを接続する押出液経路と、前記押出液経路に設けられた圧力計と、を備え、前記塗料供給部から前記塗料収容袋に塗料を供給している間に前記圧力計によって検出された押出液の圧力の低下に基づいて前記塗料カートリッジへの塗料の充填が完了したか否かを判断するものである。
塗料収容袋に塗料を供給すると、塗料収容袋が膨らんで、塗料収容袋に供給された塗料と同量の押出液が筐体から排出される。塗料カートリッジへの塗料の充填が完了すると、筐体の内部における塗料収容袋の外側の周囲領域にあった押出液がなくなるので押出液経路を流れる押出液の圧力は急速に低下する。このため、押出液経路に設けられた圧力計が検出した押出液の圧力の低下に基づいて、塗料カートリッジへの塗料の充填が完了したか否かを精度良く判断することができる。また、塗料の充填が完了したか否かを判断するために追加する必要のある構成要素は、基本的には押出液経路に設けた圧力計だけなので、塗料充填排出装置を簡素な構成とすることができる。
【0014】
さらに、前記周囲領域に押出液を供給している間に前記圧力計によって検出された押出液の圧力の上昇に基づいて前記塗料収容袋内に残留した塗料の排出が完了したか否かを判断するものである。
周囲領域に押出液を供給すると、塗料収容袋が押出液によって押し潰され、塗料収容袋内に残留した塗料が塗料収容袋から排出される。塗料収容袋内に残留した塗料の排出が完了すると、周囲領域には押出液がこれ以上入らなくなるので押出液経路を流れる押出液の圧力は急速に上昇する。このため、押出液経路に設けられた圧力計が検出した押出液の圧力の上昇に基づいて、塗料収容袋内に残留した塗料の排出が完了したか否かを精度良く判断することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、塗料カートリッジへの塗料の充填において、簡素な構成で塗料の充填が完了したタイミングを精度良く検出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態1について説明する。
【0018】
まず、
図1を参照して本実施の形態にかかる塗料充填排出装置1の概略構成について説明する。
図1は、本実施の形態にかかる塗料充填排出装置1の概略構成を示す図である。
図1に示すように、塗料充填排出装置1は、筐体31の内部に塗料収容袋32が配置された塗料カートリッジ30に塗料を充填するとともに、筐体31の内部における塗料収容袋32の外側の周囲領域33に押出液を供給して塗料収容袋32内の塗料を排出させるためのものである。ここで、塗料収容袋32は、例えば、可撓性を有し変形可能な樹脂製のバッグである。塗料充填排出装置1は、塗料供給部2と、押出液供給部3と、押出液経路5と、流量計4と、を備えている。
【0019】
塗料供給部2は、塗料収容袋32に塗料を供給する。押出液供給部3は、周囲領域33に押出液を供給するとともに、筐体31から排出された押出液を収容する。ここで、押出液は、例えば、有機溶剤などの油性透明液体である。押出液経路5は、押出液供給部3と周囲領域33とを接続する。流量計4は、押出液経路5に設けられている。
【0020】
塗料供給部2から塗料収容袋32に塗料を供給している間に流量計4によって検出された押出液の流速の低下に基づいて塗料カートリッジ30への塗料の充填が完了したか否かを判断する。
【0021】
塗料収容袋32に塗料を供給すると、塗料収容袋32が膨らんで、塗料収容袋32に供給された塗料と同量の押出液が筐体31から排出される。塗料収容袋32への塗料の充填が完了すると、周囲領域33にあった押出液がなくなるので押出液経路5を流れる押出液の流速は急速に低下する。このため、押出液経路5に設けられた流量計4が検出した押出液の流速の低下に基づいて、塗料カートリッジ30への塗料の充填が完了したか否かを精度良く判断することができる。また、塗料カートリッジ30への塗料の充填が完了したか否かを判断するために追加する必要のある構成要素は、基本的には押出液経路5に設けた流量計4だけなので、塗料充填排出装置1を簡素な構成とすることができる。
【0022】
次に、
図2を参照して塗料充填排出装置1のより詳細な構成について説明する。
図2は、塗料充填排出装置1の詳細な構成を示す図である。
図2に示すように、塗料充填排出装置1は、塗料供給部2と、押出液供給部3と、押出液経路5と、流量計4と、を備えている。塗料供給部2は、塗料カートリッジ30の内部に配置された塗料収容袋32に塗料を供給する。なお、塗料カートリッジ30において、塗料収容袋32の容積は、筐体31の内部の容積よりも大きくするのが好ましい。これにより、過充填による塗料収容袋32の破損を抑制することができる。押出液供給部3は、筐体31の内部における塗料収容袋32の外側の周囲領域33に押出液を供給するとともに、筐体31から排出された押出液を収容する。
【0023】
押出液経路5は、経路5A、経路5B、経路5C、経路5Dおよび経路5Eを有する。経路5Aは、一端が押出液移動管34に接続され、他端が経路5Cの一端に接続されている。ここで、押出液移動管34は、塗料カートリッジ30の周囲領域33に配置されている。経路5Aには、流路の開閉を行う押出液OUTバルブ7が設けられている。経路5Bは、一端が筐体31の内側に接続され、他端が経路5Cの一端に接続されている。経路5Bには、流路の開閉を行う押出液INバルブ8が設けられている。
【0024】
上述した流量計4は、押出液経路5の経路5Cに設けられている。経路5Cの他端には切替バルブ9に接続されている。切替バルブ9には、経路5Dの一端および経路5Eの一端が接続されている。切替バルブ9は、三方切替バルブであり、経路5Cと経路5Eとが連通され経路5Dが遮断された状態と、経路5Cと経路5Dとが連通され経路5Eが遮断された状態と、の切り替えを行う。切替バルブ9は、例えばソレノイドによって流路の切り替えを行う。経路5Dの他端および経路5Eの他端は、後述する押出液タンク15に接続されている。
【0025】
押出液供給部3は、押出液タンク15と押出液ポンプ17とを備えている。押出液タンク15は、押出液を貯留する。押出液ポンプ17は、押出液タンク15から経路5Eに向けて押出液を供給する。
【0026】
塗料経路6は、経路6A、経路6Bを有する。経路6Aは、一端が塗料収容袋32の内部に接続され、他端が経路6Bの一端に接続されている。経路6Aには、流路の開閉を行うトリガバルブ11が設けられている。経路6Bの他端は、塗料タンク14に接続されている。経路6Bには、流路の開閉を行うカラーバルブ10が設けられている。
【0027】
塗料供給部2は、塗料タンク14と塗料ポンプ16とを備えている。塗料タンク14は、塗料を貯留する。塗料ポンプ16は、塗料タンク14から経路6Bに向けて塗料を供給する。
【0028】
経路6Aと経路6Bとの間には、経路13の一端が接続されている。経路13の他端は廃液タンク18に接続されている。廃液タンク18は、塗料カートリッジ30における塗料収容袋32の内部から排出された残留塗料を受けるためのものである。経路13には、流路の開閉を行うダンプバルブ12が設けられている。
【0029】
図3は、塗料充填排出装置1の制御系統を示すブロック図である。
図3に示すように、塗料充填排出装置1は制御部80を備えている。制御部80には、流量計4と、押出液OUTバルブ7と、押出液INバルブ8と、切替バルブ9と、カラーバルブ10と、トリガバルブ11と、ダンプバルブ12と、塗料ポンプ16と、押出液ポンプ17と、が接続されている。制御部80は、内蔵するCPU、メモリ等によって、接続されている各装置の動作を制御する。メモリは、各装置の制御するための情報が記憶されている。
【0030】
ここで、塗料カートリッジ30に塗料を充填する処理について図面を参照して説明する。
【0031】
まず、塗料カートリッジ30に塗料を充填する処理の流れについて説明する。なお、以下の説明では、塗料充填排出装置1の構成を示す
図2、塗料充填排出装置1の制御系統を示す
図3についても適宜参照する。
図4は、塗料カートリッジ30に塗料を充填する処理の流れを示すフローチャートである。
図4に示すように、まず、塗料充填排出装置1に塗料カートリッジ30がセットされた状態で、制御部80が、ダンプバルブ12およびカラーバルブ10を開き、塗料経路6に塗料を充填する(ステップS101)。
【0032】
ステップS101に続いて、制御部80が、ダンプバルブ12を閉じ、トリガバルブ11および押出液OUTバルブ7を開き、切替バルブ9を経路5Cと経路5Dとが連通され経路5Eが遮断された状態とし、塗料ポンプ16を駆動して、塗料を塗料収容袋32に供給する(ステップS102)。そして、制御部80は、塗料供給部2から塗料収容袋32に塗料を供給している間に流量計4により検出された押出液の流速の低下に基づいて塗料の充填が完了したか否かを判断する(ステップS103)。ステップS103で塗料の充填が完了したと判断された場合、全てのバルブを閉じ、処理を終了する(ステップS104)。
【0033】
次に、流量計4によって検出された流速の低下に基づいて塗料カートリッジ30への塗料の充填が完了したか否かを判断する方法について説明する。
図5および
図6は、塗料カートリッジ30に塗料を充填する過程について模式的に示す図である。ここで、塗料収容袋32の容積は、筐体31の内部の容積よりも大きいものとする。
【0034】
図5に示すように、塗料の充填処理が開始されると、塗料経路6を介して塗料供給部2から塗料収容袋32に塗料が供給される。図中において、塗料経路6における塗料の流れ方向を矢印U1で示す。塗料供給部2から塗料収容袋32に塗料が供給されると、塗料収容袋32の内部には供給された塗料により力F1が及ぼされ、塗料収容袋32が膨らむ。塗料収容袋32が膨らんで塗料収容袋32の容積が増えた分、周囲領域33の容積は減少する。これにより、塗料収容袋32に供給された塗料と同量の押出液が筐体31から排出され、押出液経路5を介して押出液供給部3に戻される。図中において、押出液の流れ方向を矢印U2で示す。押出液経路5を流れる押出液の流速は、塗料収容袋32に供給される塗料の流速と実質的に同じである。
【0035】
図6に示すように、塗料の供給により塗料収容袋32の容積が増えていき、塗料カートリッジ30の筐体31の内部が塗料収容袋32によって占められると、塗料収容袋32はこれ以上膨らまなくなる。塗料収容袋32がこれ以上膨らまなくなると、塗料供給部2から塗料収容袋32にこれ以上塗料を供給できなくなる。塗料供給部2から塗料収容袋32にこれ以上塗料を供給できなくなったときを塗料カートリッジ30の充填の完了とする。塗料供給部2から塗料収容袋32にこれ以上塗料を供給できなくなると、筐体31から押出液が排出されなくなる。
【0036】
図7は、
図5および
図6を用いて説明した塗料カートリッジ30に塗料を充填する過程における、押出液経路5を流れる押出液の流速の変化について説明する図である。ここで、グラフの横軸は経過時間(sec)、グラフの縦軸は流量計4によって検出された押出液の流速(cc/min)を表す。
図7の破線A1で示す部分は立ち上がり部である。立ち上がり部は、塗料収容袋32への塗料の供給を開始した直後における過渡的な状態である。すなわち、立ち上がり部では押出液の流速が瞬間的に上昇する。
図7の破線A2で示す部分は安定部である。安定部は、塗料カートリッジ30への塗料の充填中における押出液の流速が安定した状態である。すなわち、安定部では、塗料カートリッジ30への塗料の充填中、押出液の流速は実質的に一定に維持されたまま推移する。
図7の破線A3に示す部分は完了部である。完了部は、塗料収容袋32への塗料の供給が完了したときの過渡的な状態である。すなわち、完了部では、塗料カートリッジ30への塗料の充填の完了により、塗料供給部2から塗料収容袋32にこれ以上塗料を供給できなくなり筐体31から押出液が排出されなくなるので、押出液の流速が急激に低下する。よって、流量計4によって検出された押出液の流速が、
図7の破線A3に示す完了部のように急激に低下したとき、塗料カートリッジ30への塗料の充填が完了したと判断することができる。これにより、塗料カートリッジ30への塗料の充填が完了したタイミングを精度良く検出することができる。
【0037】
なお、
図7の破線A1で示す立ち上がり部において、押出液の流速が瞬間的に上昇しない場合には、塗料カートリッジ30が塗料充填排出装置1にきちんと装着されていないことが考えられる。この場合、塗料カートリッジ30の装着不良の警告を通知するようにしてもよい。
【0038】
流量計4によって検出された押出液の流速vが、塗料カートリッジ30への塗料の充填中の検出値に対して所定の割合まで低下したときに、塗料カートリッジ30への塗料の充填が完了したと判断してもよい。上述したように、
図7の破線A2で示す安定部では、押出液の流速が実質的に一定に維持されたまま推移する。そこで、安定部において流量計4が検出した押出液の流速(安定部における検出値v1)を塗料カートリッジ30への塗料の充填中の検出値とし、例えば制御部80(
図3参照)に内蔵するメモリなどに記憶させておく。そして、制御部80において、流量計4によって検出された押出液の流速vが安定部における検出値v1に対して所定の割合まで低下したか否かを判断する。
【0039】
例えば、所定の割合が60%であるとする。
図7に示すように、安定部における検出値v1が1700cc/minとすると、安定部における検出値v1の60%である押出液の流速v2は1020cc/min(1700cc/min×0.6=1020cc/min)である。制御部80は、押出液の流速vがv2(1020cc/min)まで低下したときに塗料カートリッジ30への塗料の充填が完了したと判断する。
【0040】
流量計4によって検出された押出液の流速vが、所定の閾値まで低下したときに塗料カートリッジ30への塗料の充填が完了したと判断してもよい。しかしながら、このように塗料カートリッジ30への塗料の充填の完了を判断する場合、塗料カートリッジ30に充填する塗料の種類ごとに閾値を定める必要がある。これに対し、上述したように、流量計4によって検出された押出液の流速vが塗料カートリッジ30への塗料の充填中の検出値v1に対して所定の割合まで低下したときに塗料カートリッジ30への塗料の充填が完了したと判断する方法の場合、塗料カートリッジ30に充填する塗料の種類に拠らず、塗料カートリッジ30への塗料の充填が完了したタイミングを精度良く検出することができる。
【0041】
塗料カートリッジ30への塗料の充填が完了したか否かの判断において、上述した2つの方法、すなわち、塗料カートリッジ30への塗料の充填中の検出値に対する所定の割合所定の割合を用いて判断する方法と所定の閾値を用いて判断する方法を組み合わせた方法を用いてもよい。
【0042】
図7の破線A3で示す完了部において、押出液の流速vが境界値v3(300cc/min)より小さいときには、押出液の流速vが境界値v3以上のときと比べて、押出液の流速の低下が緩やかである(単位時間当たりの押出液の流速の低下が小さい)。このため、安定部における検出値v1が境界値v3に近い場合(例えばv1=400cc/min)には、安定部における検出値v1が境界値v3よりも十分に大きい場合(例えばv1=1700cc/min)と比べて、塗料カートリッジ30の充填が完了した時点から実際に塗料カートリッジ30の充填が完了したと判断されるまでの時間が長くなる。塗料カートリッジ30の充填が完了した時点から実際に塗料カートリッジ30の充填が完了したと判断されるまでの時間が長くなると、長くなった時間分だけ塗料収容袋32が過充填されるので、塗料カートリッジ30の耐久性が損なわれるおそれがある。
【0043】
そこで、押出液の流速vが、安定部における検出値v1に対して所定の割合まで低下したか、または、所定の閾値まで低下したときに、塗料カートリッジ30への塗料の充填が完了したと判断する。所定の閾値は、例えば上述の境界値v3(300cc/min)とする。
図7に示すように、安定部における検出値v1がv3よりも十分に大きい1700cc/minである場合、押出液の流速vが、安定部における検出値v1の60%である押出液の流速v2(1020cc/min)まで低下したときには、所定の閾値(すなわち境界値v3=300cc/min)まで低下していなくても塗料カートリッジ30への塗料の充填が完了したと判断する。一方、安定部における検出値v1が安定部における検出値v1がv3に近い400cc/minである場合、押出液の流速vが、安定部における検出値v1の60%である押出液の流速(400cc×0.6=240cc)まで低下していなくても所定の閾値(すなわち境界値v3=300cc/min)まで低下したときには塗料カートリッジ30への塗料の充填が完了したと判断する。このように、塗料カートリッジ30への塗料の充填が完了したか否かの判断において、上述した2つの方法を組み合わせた方法を用いることで、過充填により塗料カートリッジ30の耐久性が損なわれるのを抑制することができる。
【0044】
次に、塗料収容袋32内に残留した塗料を排出させる処理について説明する。なお、以下の説明では、塗料充填排出装置1の構成を示す
図2、塗料充填排出装置1の制御系統を示す
図3についても適宜参照する。
図8は、塗料収容袋32内に残留した塗料を排出させる処理の流れを示すフローチャートである。
図8に示すように、まず、まず、塗料充填排出装置1に塗料カートリッジ30がセットされた状態で、制御部80が、ダンプバルブ12およびトリガバルブ11を開く(ステップS201)。
【0045】
ステップS201に続いて、制御部80が、押出液INバルブ8を開き、切替バルブ9を経路5Cと経路5Eとが連通され経路5Dが遮断された状態とし、押出液ポンプ17を駆動して、押出液を塗料カートリッジ30の筐体31の内部における塗料収容袋32の外側に供給する(ステップS202)。そして、制御部80が、押出液供給部3から塗料カートリッジ30の筐体31の内部における塗料収容袋32の外側に押出液を供給している間に流量計4により検出された押出液の流速の低下に基づいて塗料収容袋32内に残留した塗料の排出が完了したか否かを判断する(ステップS203)。ステップS203で塗料収容袋32内に残留した塗料の排出が完了したと判断された場合、全てのバルブを閉じ、処理を終了する(ステップS204)。なお、流量計4によって検出された流速の低下に基づいて塗料収容袋32内に残留した塗料の排出が完了したか否かを判断する方法については後述する。
【0046】
次に、流量計4によって検出された流速の低下に基づいて塗料収容袋32内に残留した塗料の排出が完了したか否かを判断する方法について説明する。
図9および
図10は、塗料収容袋32内に残留した塗料を排出させる過程について模式的に示す図である。
【0047】
図9に示すように、塗料収容袋32内に残留した塗料の排出処理が開始されると、押出液経路5を介して押出液供給部3から周囲領域33に押出液が供給される。図中において、押出液経路5における押出液の流れ方向を矢印U3で示す。塗料供給部2から塗料収容袋32に塗料が供給されると、塗料収容袋32の外側には供給された押出液により力F2が及ぼされる。これにより、塗料収容袋32が押し潰されて塗料収容袋32内に残留した塗料が排出される。周囲領域33の容積が増加した分、塗料収容袋32が押し潰されて塗料収容袋32の容積が減るので、周囲領域33に供給された押出液と同量の塗料が塗料収容袋32から排出される。塗料収容袋32から排出された塗料は、塗料経路6および経路13を介して廃液タンク18に送られる。図中において、塗料経路6および経路13における塗料の流れ方向を矢印U4で示す。押出液経路5を流れる押出液の流速は、塗料収容袋32から排出される塗料の流速と実質的に同じである。
【0048】
図10に示すように、押出液の供給により塗料収容袋32の容積は減っていき、やがて塗料収容袋32がこれ以上押し潰されなくなる。塗料収容袋32がこれ以上押し潰されなくなると、押出液供給部3から周囲領域33にこれ以押出液を供給できなくなる。押出液供給部3から周囲領域33にこれ以押出液を供給できなくなったときを塗料収容袋32内に残留した塗料の排出の完了とする。
【0049】
図9および
図10を用いて説明した塗料収容袋32内に残留した塗料を排出させる過程における、押出液経路5を流れる押出液の流速の変化は、
図7に示した、塗料カートリッジ30に塗料を充填する過程における押出液経路5を流れる押出液の流速の変化と同じである。すなわち、
図7の破線A1に示すように、周囲領域33への押出液の供給を開始すると、押出液の流速は瞬間的に上昇する。
図7の破線A2に示すように、塗料収容袋32内に残留した塗料の排出中、押出液の流速は実質的に一定に維持されたまま推移する。
図7の破線A3に示すように、塗料収容袋32内に残留した塗料の排出の完了により、押出液供給部3から周囲領域33にこれ以上押出液を供給できなくなると、押出液の流速は急激に低下する。よって、上述した塗料カートリッジ30への塗料の充填の完了の判断と同様に、流量計4によって検出された押出液の流速が、
図7の破線A3に示すように急激に低下したとき、塗料収容袋32内に残留した塗料の排出が完了したと判断することができる。これにより、塗料収容袋32内に残留した塗料の排出が完了したタイミングを精度良く検出することができる。
【0050】
塗料カートリッジ30への塗料の充填が完了したか否かの判断と同様に、塗料収容袋32内に残留した塗料の排出が完了したか否かの判断は、流量計4によって検出された押出液の流速vが、塗料収容袋32内に残留した塗料の排出中の検出値に対して所定の割合まで低下したときに、塗料収容袋32内に残留した塗料の排出が完了したと判断してもよい。また、流量計4によって検出された押出液の流速vが、所定の閾値まで低下したときに塗料収容袋32内に残留した塗料の排出が完了したと判断してもよい。さらに、塗料収容袋32内に残留した塗料の排出が完了したか否かの判断において、上述した2つの方法、すなわち、塗料収容袋32内に残留した塗料の排出中の検出値に対する所定の割合を用いて判断する方法と所定の閾値を用いて判断する方法を組み合わせた方法を用いてもよい。
【0051】
実施の形態2
以下、図面を参照して本発明の実施の形態2について説明する。なお、実施の形態1と共通の部分については共通の符号を付してその説明を省略する。
本実施の形態に係る塗料充填排出装置の構成は、実施の形態1において
図1および
図2を用いて説明したものと基本的には同じである。また、本実施の形態に係る塗料充填排出装置の制御系統を示すブロック図は、実施の形態1において
図3を用いて説明したものと基本的には同じである。
【0052】
図11は、本実施の形態に係る塗料充填排出装置101の概略構成を示す図である。
図12は、本実施の形態に係る塗料充填排出装置101の制御系統を示すブロック図である。
図11に示すように、本実施の形態にかかる塗料充填排出装置101では、押出液経路5において、流量計4(
図1参照)の代わりに圧力計104を設けた点が実施の形態1にかかる塗料充填排出装置1と異なる。また、
図12に示すように、本実施の形態に係る塗料充填排出装置101の制御部180には、流量計4(
図1参照)の代わりに圧力計104が接続されている。
【0053】
本実施の形態に係る塗料充填排出装置101における塗料カートリッジ30に塗料を充填する処理の流れは、
図4を用いて説明した、実施の形態1に係る塗料充填排出装置1における処理の流れと基本的には同じである。本実施の形態に係る塗料充填排出装置101では、
図4に示すフローチャートのステップS104において、圧力計104により検出された押出液の圧力の低下に基づいて塗料カートリッジ30への塗料の充填が完了したか否かの判断を行う。
【0054】
本実施の形態に係る塗料充填排出装置101における塗料収容袋32内に残留した塗料を排出させる処理の流れは、
図8を用いて説明した、実施の形態1に係る塗料充填排出装置1における処理の流れと基本的には同じである。本実施の形態に係る塗料充填排出装置101では、
図8に示すフローチャートのステップS204において、圧力計104により検出された押出液の圧力の上昇に基づいて塗料収容袋32内に残留した塗料の排出が完了したか否かの判断を行う。
【0055】
図13は、塗料カートリッジ30に塗料を充填する過程における、押出液経路5を流れる押出液の圧力の変化について模式的に説明する図である。ここで、グラフの横軸は経過時間、グラフの縦軸は圧力計104によって検出された押出液の圧力を表す。
図13の破線B1に示すように、塗料収容袋32への塗料の供給を開始すると、押出液の圧力は瞬間的に上昇する。
図13の破線B2に示すように、塗料収容袋32への塗料の供給を開始した後、押出液の圧力は実質的に一定に維持されたまま推移する。
図13の破線B3に示すように、塗料カートリッジ30の充填の完了により、塗料供給部2から塗料収容袋32にこれ以上塗料を供給できなくなり筐体31から押出液が排出されなくなると、押出液の圧力は急激に低下する。よって、圧力計104によって検出された押出液の圧力が、
図13の破線B3に示すように急激に低下したとき、塗料カートリッジ30への塗料の充填が完了したと判断することができる。これにより、塗料カートリッジ30への塗料の充填が完了したタイミングを精度良く検出することができる。
【0056】
図14は、塗料収容袋32内に残留した塗料を排出させる過程における、押出液経路を流れる押出液の圧力の変化について模式的に説明する図である。
図14の破線C1に示すように、周囲領域33への押出液の供給を開始すると、押出液の圧力は瞬間的に上昇する。
図14の破線C2に示すように、周囲領域33への押出液の供給を開始した後、押出液の圧力は実質的に一定に維持されたまま推移する。
図14の破線C3に示すように、塗料収容袋32内に残留した塗料の排出の完了により、押出液供給部3から周囲領域33にこれ以上押出液を供給できなくなると、押出液の圧力は上昇する。よって、流量計4によって検出された押出液の圧力が、
図14の破線C3に示すように上昇したとき、塗料収容袋32内に残留した塗料の排出が完了したと判断することができる。これにより、塗料収容袋32内に残留した塗料の排出が完了したタイミングを精度良く検出することができる。
【0057】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。