(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記抗体または抗体断片が、ヒトIL−17C、カニクイザルIL−17C、およびマウスIL−17Cに特異的であることを特徴とする請求項2に記載の単離された抗体または抗体断片。
IL−17Cに特異的な抗体または抗体断片において、配列番号7のアミノ酸配列を含むHCDR1領域、配列番号8のアミノ酸配列を含むHCDR2領域、配列番号9のアミノ酸配列を含むHCDR3領域、配列番号13のアミノ酸配列を含むLCDR1領域、配列番号14のアミノ酸配列を含むLCDR2領域、および配列番号15のアミノ酸配列を含むLCDR3領域を含むことを特徴とする抗体または抗体断片。
IL−17Cに特異的な抗体または抗体断片において、配列番号20のアミノ酸配列を含むHCDR1領域、配列番号21のアミノ酸配列を含むHCDR2領域、配列番号22のアミノ酸配列を含むHCDR3領域、配列番号26のアミノ酸配列を含むLCDR1領域、配列番号27のアミノ酸配列を含むLCDR2領域、および配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR3領域を含むことを特徴とする抗体または抗体断片。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示は、ヒトIL−17Cを認識する、いくつかの抗体または抗体断片に関する。
【0020】
定義:
用語「IL−17C」は、インターロイキン17Cとして公知のタンパク質を指す。
【0021】
ヒトIL−17Cは、(UniProt Q9P0M4):
のアミノ酸配列を有する。
【0022】
マウスIL−17Cは、(UniProt Q8K4C5):
のアミノ酸配列を有する。
【0023】
カニクイザルL−17Cは、(XP_005592825.1):
のアミノ酸配列を有する。
【0024】
用語「IL17RA」は、インターロイキン17受容体Aとして公知のタンパク質を指す。ヒトIL17RAは、(UniProt Q96F46):
のアミノ酸配列を有する。
【0025】
用語「IL17RE」は、インターロイキン17受容体Eとして公知のタンパク質を指す。ヒトIL17REは、(UniProt Q8NFR9):
のアミノ酸配列を有する。
【0026】
マウスIL17REは、(UniProt Q8BH06):
のアミノ酸配列を有する。
【0027】
用語「IL−17Cのアンタゴニスト」および「IL−17Cアンタゴニスト」は、本明細書で交換可能に使用され、IL−17Cの活性または機能を阻害する、あらゆる分子を指す。用語「IL−17Cアンタゴニスト」としては、限定はされないが、IL−17Cに特異的に結合する抗体または抗体断片が挙げられる。好ましくは、本開示におけるIL−17Cアンタゴニストは、ヒトIL−17Cに特異的な抗体である。こうした抗体は、マウス、ラット、キメラ、ヒト化、またはヒト抗体などの、あらゆる種のものであり得る。
【0028】
本明細書で使用する場合の用語「抗体」は、抗原と相互作用する、ジスルフィド結合によって相互連結された少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含むタンパク質を指す。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVHと省略される)および重鎖定常領域から構成される。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2、およびCH3から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと省略される)および軽鎖定常領域から構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLから構成される。VHおよびVL領域は、より保存される領域(フレームワーク領域(FR)と呼ばれる)が散在する、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる高頻度可変性(hypervariability)の領域に、さらに細かく分けることができる。各VHおよびVLは、アミノ末端からカルボキシ末端まで次の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4で配列される、3つのCDRおよび4つのFRからなる。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫グロブリンと、宿主組織または因子(免疫系の種々の細胞(例えばエフェクター細胞)が含まれる)および古典的補体系の第1成分(Clq)との結合を媒介することができる。用語「抗体」には、例えば、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ化(camelised)抗体、およびキメラ抗体が含まれる。抗体は、あらゆるアイソタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、およびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2)、またはサブクラスのものであり得る。軽鎖も重鎖も、構造および機能的に相同な領域に分けられる。
【0029】
語句「抗体断片」は、本明細書で使用する場合、抗原と(例えば、結合、立体障害、空間分布の安定化によって)特異的に相互作用する能力を保持する、抗体の1つ以上の部分を指す。結合断片の例としては、限定はされないが、Fab断片、すなわち、VL、VH、CL、およびCH1ドメインからなる一価の断片;F(ab)2断片、すなわち、ヒンジ領域でのジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価の断片;VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;抗体の単一のアームのVLおよびVHドメインからなるFv断片;VHドメインからなるdAb断片(Ward et al.,(1989)Nature 341:544−546);ならびに単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。さらに、Fv断片の2つのドメイン、VLおよびVHは、別の遺伝子によってコードされるが、これらが単一のタンパク質鎖(ここでは、VL領域およびVH領域が対合して、一本鎖Fv(scFv)として公知の一価の分子を形成する)としてふるまうことを可能にする合成のリンカーによって、組換え方法を使用して、これらを連結することができる;例えば、Bird et al.,(1988)Science 242:423−426;およびHuston et al.,(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.85:5879−5883)を参照のこと。こうした一本鎖抗体も、用語「抗体断片」内に包含されることが意図される。これらの抗体断片は、当業者に公知の従来の技術を使用して得られ、これらの断片は、インタクトな抗体と同じ方式で、有用性についてスクリーニングされる。抗体断片はまた、単一ドメイン抗体、マキシ抗体(maxibody)、ミニ抗体(minibody)、細胞内抗体、二重特異性抗体、三重特異性抗体、四重特異性抗体、v−NAR、およびbis−scFvに組み込むこともできる(例えば、Hollinger and Hudson,(2005)Nature Biotechnology 23:1126−1136を参照のこと)。抗体断片は、フィブロネクチンIII型(Fn3)などの、ポリペプチドをベースにする骨格に繋ぎ合わせることができる(フィブロネクチンポリペプチドモノボディ(monobody)を記載している米国特許第6,703,199号明細書を参照のこと)。抗体断片は、相補的な軽鎖ポリペプチドと共に一対の抗原結合部位を形成する、一対のタンデムFvセグメント(VH−CH1−VH−CH1)を含む一本鎖分子に組み込むことができる(Zapata et al.,(1995)Protein Eng.8:1057−1062;および米国特許第5,641,870号明細書)。
【0030】
「ヒト抗体」または「ヒト抗体断片」には、本明細書で使用する場合、フレームワークもCDR領域もヒト起源の配列に由来する可変領域を有する抗体および抗体断片が含まれる。さらに、抗体が定常領域を含有する場合、定常領域も、こうした配列に由来する。ヒト起源には、例えば、ヒト生殖細胞系列配列もしくは変異型のヒト生殖細胞系列配列、または、ヒトフレームワーク配列分析から得られるコンセンサスフレームワーク配列を含有する抗体(例えば、Knappik et al.,(2000)J Mol Biol 296:57−86に記載されている通り)が含まれる。
【0031】
免疫グロブリン可変ドメイン、例えばCDRの構造および位置は、周知のナンバリングスキーム、例えばKabatナンバリングスキーム、Chothiaナンバリングスキーム、またはKabatとChothiaの組み合わせを使用して定義することができる(例えば、Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Department of Health and Human Services(1991),eds.Kabat et al.;Lazikani et al.,(1997)J.Mol.Bio.273:927−948);Kabat et al.,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th edit.,NIH Publication no.91−3242 U.S.Department of Health and Human Services;Chothia et al.,(1987)J.Mol.Biol.196:901−917;Chothia et al.,(1989)Nature 342:877−883;およびAl−Lazikani et al.,(1997)J.Mol.Biol.273:927−948を参照のこと)。
【0032】
「ヒト化抗体」または「ヒト化抗体断片」は、本明細書では、ヒト起源の配列に由来する定常の抗体領域と、可変の抗体領域またはその一部とを有する、またはCDRのみが別の種に由来する抗体分子と定義される。例えば、ヒト化抗体は、CDRグラフトすることができ、ここでは、可変ドメインのCDRは、非ヒト起源由来であるのに対して、可変ドメインの1つ以上のフレームワークは、ヒト起源のものであり、定常ドメイン(もしあれば)は、ヒト起源のものである。
【0033】
用語「キメラ抗体」または「キメラ抗体断片」は、本明細書では、ある種に見られる配列に由来する、または相当する定常の抗体領域と、別の種に由来する可変抗体領域とを有する抗体分子と定義される。好ましくは、定常の抗体領域は、ヒトに見られる配列に由来し、または相当し、可変の抗体領域(例えばVH、VL、CDR、またはFR領域)は、非ヒト動物、例えばマウス、ラット、ウサギ、またはハムスターに見られる配列に由来する。
【0034】
用語「単離された」は、例えば、異なる抗原特異性を有する他の抗体または抗体断片を実質的に含まない抗体または抗体断片であり得る化合物を指す。さらに、単離された抗体または抗体断片は、他の細胞材料および/または化学物質を実質的に含まない可能性がある。したがって、いくつかの態様では、提供される抗体は、異なる特異性をもつ抗体から分離されている、単離された抗体である。単離された抗体は、モノクローナル抗体であり得る。単離された抗体は、組換えモノクローナル抗体であり得る。しかし、例えば他の種(例えば、種の相同体)由来の、エピトープ、アイソフォーム、または標的のバリアントに特異的に結合する、単離された抗体は、他の関連抗原との交差反応性を有することができる。
【0035】
用語「組換え抗体」には、本明細書で使用する場合、自然界には存在しない手段によって調製、発現、作製、または分離される、すべての抗体が含まれる。例えば、その抗体を発現するように形質転換された宿主細胞から単離された抗体、組換え型のコンビナトリアルヒト抗体ライブラリから選択および単離された抗体、いずれかの他の手段(ヒト免疫グロブリン遺伝子、他のDNA配列に対する配列のすべてまたは一部のスプライシングを含む)によって調製、発現、作製、または分離された抗体、または動物(例えばマウス)から単離された抗体(ヒト免疫グロブリン遺伝子に対してトランスジェニックまたは染色体導入的(transchromosomal)である)、またはそこから調製されたハイブリドーマ。好ましくは、こうした組換え抗体は、フレームワークおよびCDR領域がヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する。しかし、ある種の実施形態では、こうした組換えヒト抗体を、インビトロ変異誘発(または、ヒトIg配列に対してトランスジェニックな動物が使用される場合には、インビボ体細胞変異誘発)にかけることができ、したがって、組換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系列VHおよびVL配列に由来するおよび関連するが、インビボのヒト抗体生殖細胞系列レパートリー内に天然には存在しない可能性がある配列である。組換え抗体は、モノクローナル抗体であり得る。一実施形態では、本明細書に開示した抗体および抗体断片は、どちらも参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願第13/321,564号明細書または米国特許出願第13/299,367号明細書に開示されている通りのYlanthia(登録商標)抗体ライブラリから単離される。
【0036】
本明細書で使用する場合の用語「モノクローナル抗体」は、単一分子組成の抗体分子の調製を指す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに特有の結合特異性および親和性を有する特有の結合部位を示す。
【0037】
本明細書で使用する場合、用語「〜に特異的に結合する」、「特異的に〜に結合する」、「〜に対して/〜に特異的である」、または「特異的に〜を認識する」などは、生体分子を含めた分子の不均一集団の存在下で標的の存在を決定するものである、標的と抗体または抗体断片との間の結合などの、測定可能かつ再現可能な相互作用を指す。例えば、特異的に標的(これは抗原または抗原のエピトープであり得る)に結合する抗体または抗体断片は、これが他の標的に結合するよりも大きな親和性で、アビディティで、より即座に、および/またはより長期間、この標的と結合する抗体または抗体断片である。ある種の実施形態では、抗体または抗体断片は、特異的に、異なる種由来のタンパク質間で保存されるタンパク質上のエピトープに結合する。別の実施形態では、特異的結合は、排他的結合を含むことができるが、必要ではない。本明細書に開示した抗体または抗体断片は、特異的に、ヒトIL−17Cに結合する。好ましくは、ヒトIL−17Cに特異的な開示した抗体または抗体断片は、特異的に、マウス、ラット、アカゲザル、および/またはカニクイザル由来のIL−17Cなどの、別の種のIL−17Cに結合する。本明細書に開示したさらにいっそう好ましい抗体または抗体断片は、ヒトIL−17C、カニクイザルIL−17C、およびマウスIL−17Cに特異的である。2つの分子が特異的に結合するかどうかを決定するための方法は、当技術分野で周知であり、例えば、標準のELISAアッセイが挙げられる。スコア付けは、標準の顕色(例えば、西洋ワサビペルオキシド(horseradish peroxide)を伴う二次抗体および過酸化水素を伴うテトラメチルベンジジン)によって実施することができる。ある種のウェルにおける反応を、例えば450nmで、光学密度によってスコア付けする。典型的なバックグラウンド(=陰性反応)は、0.1ODであり得;典型的な陽性反応は、1ODであり得る。これは、陽性/陰性差が、5倍超であり得ることを意味する。一般的に、結合特異性の決定は、単一の基準抗原ではなく、一連の約3〜5種の無関係の抗原(粉乳、BSA、トランスフェリンなど)を使用することによって実施される。
【0038】
用語「アビディティ」は、タンパク質間の複数の結合相互作用の複合強度を説明するために使用される。アビディティは、単一の結合の強度を説明する親和性とは異なる。したがって、アビディティは、結合の合計ではなく、結合親和性(機能的親和性)の複合的な相乗的強度である。本開示の抗体を用いると、VH/VL対由来の抗原結合部位は両方とも、IL−17Cと同時に相互作用する。それぞれの単一の結合相互作用は、(相対的親和性に応じて)容易に破壊することができるが、多くの結合相互作用が同時に存在するので、単一の部位の一過性の結合解除は、分子を拡散させず、その部位の結合は復活する可能性が高い。この全体的効果が、抗体への抗原の相乗的な強い結合である。
【0039】
本明細書で使用する場合、用語「親和性」は、単一部位でのポリペプチドとその標的との間の相互作用の強さを指す。各部位内では、ポリペプチドの結合領域は、弱い非共有結合性の力を通じて、多数の部位で、その標的と相互作用する;相互作用が多いほど、親和性が強くなる。
【0040】
用語「K
D」は、本明細書で使用する場合、K
aに対するK
dの比(すなわちK
d/K
a)から得られ、モル濃度(M)として表される、解離定数を指す。例えばモノクローナル抗体のような抗原結合部分についてのK
D値は、当技術分野で十分に確立された方法を使用して決定することができる。例えばモノクローナル抗体のような抗原結合部分のK
Dを決定するための方法は、SET(溶液平衡抗体価測定(solution equilibrium titration))、または、Biacore(登録商標)システムなどのバイオセンサーシステムを使用する表面プラズモン共鳴である。本開示では、IL−17Cに対して特異的な抗体は、一般的に、5×10
−2M未満、10
−2M未満、5×10
−3M未満、10
−3M未満、5×10
−4M未満、10
−4M未満、5×10
−5M未満、10
−5M未満、5×10
−6M未満、10
−6M未満、5×10
−7M未満、10
−7M未満、5×10
−8M未満、10
−8M未満、5×10
−9M未満、10
−9M未満、5×10
−10M未満、10
−10M未満、5×10
−11M未満、10
−11M未満、5×10
−12M未満、10
−12M未満、5×10
−13M未満、10
−13M未満、5×10
−14M未満、10
−14M未満、5×10
−15M未満、または10
−15M未満、またはそれよりも低い解離速度定数(K
D)(k
off/k
on)を有する。
【0041】
「交差競合する」は、抗体、抗体断片、または他の抗原結合部分が、標準の競合的結合アッセイにおいて、特異的な抗原への、他の抗体、抗体断片、または抗原結合部分の結合を妨げる能力を意味する。抗体、抗体断片、または他の抗原結合部分が、特異的な抗原への、別の抗体、抗体断片、または抗原結合部分の結合を妨げる能力または程度、したがって、これを本発明に従って交差競合すると言うことができるかどうかは、標準の競合結合アッセイを使用して決定することができる。ある適切なアッセイは、(例えば、BIAcore 3000装置(Biacore,Uppsala,Sweden)を使用することによる)Biacore技術(これは、表面プラズモン共鳴技術を使用して、相互作用の程度を測定することができる)の使用を含む。交差競合を測定するための別のアッセイは、ELISAに基づく手法を使用する。その交差競合に基づく、「エピトープ結合」抗体のためのハイスループットなプロセスは、国際公開第2003/48731号パンフレットに記載されている。交差競合は、調査中の抗体または抗体断片が、表1に記載する抗体のうちの1つの、IL−17Cへの結合を、60%以上、具体的には70%以上、より具体的には80%以上低下させる場合に、また表1に記載する抗体のうちの1つが、前記抗体または抗体断片のIL−17Cへの結合を、60%以上、具体的には70%以上、より具体的には80%以上低下させる場合に存在する。
【0042】
用語「エピトープ」には、抗体またはその断片、またはT細胞受容体、またはある分子と相互作用するその他のものによって特異的に認識される、いずれかのタンパク質性領域が含まれる。一般に、エピトープは、アミノ酸または炭水化物または糖側鎖などの分子の、化学的に活性な表面集団(grouping)のものであり、一般に、特異的な三次元構造特性、ならびに特異的な電荷特性を有することができる。当業者には理解されるであろう通り、実質的には、抗体が特異的に結合できるものは何でも、エピトープであり得る。
【0043】
「〜と同じエピトープに結合する」は、抗体、抗体断片、または他の抗原結合部分が、特異的な抗原に結合する、かつ抗体を比較するための同じエピトープマッピング技術を使用する場合に、例示した抗体と同じエピトープに結合する能力を意味する。例示した抗体および他の抗体のエピトープは、エピトープマッピング技術を使用して決定することができる。エピトープマッピング技術は、当技術分野で周知である。例えば、立体構造的エピトープは、例えば水素/重水素交換、X線結晶学、および二次元核磁気共鳴によって、アミノ酸の空間構造を決定することによって容易に特定される。
【0044】
本開示の組成物は、治療または予防用途のために使用することができる。したがって、本開示は、本明細書に開示した抗体(または機能性抗体断片)と、そのための薬学的に許容し得る担体または賦形剤とを含有する医薬組成物を含む。関連態様では、本開示は、炎症性疾患を治療するための方法を提供する。こうした方法は、本明細書で記載または企図される抗体(または機能性抗体断片)を含有する有効量の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含有する。
【0045】
本開示は、開示した通りの治療有効量のIL−17C抗体の、こうした治療を必要とする対象への投与を含む、治療方法を提供する。「治療有効量」または「有効量」は、本明細書で使用する場合、所望の生物学的応答を誘発するのに必要なIL−17C抗体の量を指す。対象発明によれば、治療的有効量は、疾患を治療および/または予防するのに必要なIL−17C抗体の量である。
【0046】
「対象」または「種」は、この文脈で使用される場合、マウスまたはラットなどのげっ歯類、およびカニクイザル(マカク・ファシキュラリス(Macaca fascicularis))、アカゲザル(マカク・ムラータ(Macaca mulatta))、またはヒト(ホモ・サピエンス(Homo sapiens))などの霊長類を含めた、あらゆる哺乳類を指す。好ましくは、対象は、霊長類であり、最も好ましくはヒトである。
【0047】
実施形態:
一実施形態では、本開示は、IL−17Cに特異的な抗体または抗体断片において、
(a)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCDR1領域、配列番号8のアミノ酸配列を含むHCDR2領域、配列番号9のアミノ酸配列を含むHCDR3領域、配列番号13のアミノ酸配列を含むLCDR1領域、配列番号14のアミノ酸配列を含むLCDR2領域、および配列番号15のアミノ酸配列を含むLCDR3領域、または
(b)配列番号20のアミノ酸配列を含むHCDR1領域、配列番号21のアミノ酸配列を含むHCDR2領域、配列番号22のアミノ酸配列を含むHCDR3領域、配列番号26のアミノ酸配列を含むLCDR1領域、配列番号27のアミノ酸配列を含むLCDR2領域、および配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR3領域
を含む、抗体または抗体断片を指す。
【0048】
一実施形態では、本開示は、IL−17Cに特異的な抗体または抗体断片において、
配列番号7のHCDR1領域、配列番号8のHCDR2領域、配列番号9のHCDR3領域、配列番号13のLCDR1領域、配列番号14のLCDR2領域、および配列番号15のLCDR3領域、または
配列番号20のHCDR1領域、配列番号21のHCDR2領域、配列番号22のHCDR3領域、配列番号26のLCDR1領域、配列番号27のLCDR2領域、および配列番号28のLCDR3領域
を含む、抗体または抗体断片を指す。
【0049】
別の実施形態では、本開示は、IL−17Cに特異的な抗体または抗体断片において、
(a)配列番号10のアミノ酸配列を含むHCDR1領域、配列番号11のアミノ酸配列を含むHCDR2領域、配列番号12のアミノ酸配列を含むHCDR3領域、配列番号13のアミノ酸配列を含むLCDR1領域、配列番号14のアミノ酸配列を含むLCDR2領域、および配列番号15のアミノ酸配列を含むLCDR3領域、または
(b)配列番号23のアミノ酸配列を含むHCDR1領域、配列番号24のアミノ酸配列を含むHCDR2領域、配列番号25のアミノ酸配列を含むHCDR3領域、配列番号26のアミノ酸配列を含むLCDR1領域、配列番号27のアミノ酸配列を含むLCDR2領域、および配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR3領域
を含む、抗体または抗体断片を指す。
【0050】
さらなる実施形態では、本開示は、IL−17Cに特異的な抗体または抗体断片において、
配列番号10のHCDR1領域、配列番号11のHCDR2領域、配列番号12のHCDR3領域、配列番号13のLCDR1領域、配列番号14のLCDR2領域、および配列番号15のLCDR3領域、または
配列番号23のHCDR1領域、配列番号24のHCDR2領域、配列番号25のHCDR3領域、配列番号26のLCDR1領域、配列番号27のLCDR2領域、および配列番号28のLCDR3領域
を含む、抗体または抗体断片を指す。
【0051】
一実施形態では、本開示は、IL−17Cに特異的な抗体または抗体断片において、
(a)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCDR1領域、配列番号8のアミノ酸配列を含むHCDR2領域、配列番号9のアミノ酸配列を含むHCDR3領域、配列番号13のアミノ酸配列を含むLCDR1領域、配列番号14のアミノ酸配列を含むLCDR2領域、および配列番号15のアミノ酸配列を含むLCDR3領域、または
(b)配列番号10のアミノ酸配列を含むHCDR1領域、配列番号11のアミノ酸配列を含むHCDR2領域、配列番号12のアミノ酸配列を含むHCDR3領域、配列番号13のアミノ酸配列を含むLCDR1領域、配列番号14のアミノ酸配列を含むLCDR2領域、および配列番号15のアミノ酸配列を含むLCDR3領域、または
(c)配列番号20のアミノ酸配列を含むHCDR1領域、配列番号21のアミノ酸配列を含むHCDR2領域、配列番号22のアミノ酸配列を含むHCDR3領域、配列番号26のアミノ酸配列を含むLCDR1領域、配列番号27のアミノ酸配列を含むLCDR2領域、および配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR3領域。
(d)配列番号23のアミノ酸配列を含むHCDR1領域、配列番号24のアミノ酸配列を含むHCDR2領域、配列番号25のアミノ酸配列を含むHCDR3領域、配列番号26のアミノ酸配列を含むLCDR1領域、配列番号27のアミノ酸配列を含むLCDR2領域、および配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR3領域
を含む、抗体または抗体断片を指す。
【0052】
一実施形態では、本開示は、IL−17Cに特異的な抗体または抗体断片において、
配列番号7のHCDR1領域、配列番号8のHCDR2領域、配列番号9のHCDR3領域、配列番号13のLCDR1領域、配列番号14のLCDR2領域、および配列番号15のLCDR3領域、または
配列番号10のHCDR1領域、配列番号11のHCDR2領域、配列番号12のHCDR3領域、配列番号13のLCDR1領域、配列番号14のLCDR2領域、および配列番号15のLCDR3領域、または
配列番号20のHCDR1領域、配列番号21のHCDR2領域、配列番号22のHCDR3領域、配列番号26のLCDR1領域、配列番号27のLCDR2領域、および配列番号28のLCDR3領域、または
配列番号23のHCDR1領域、配列番号24のHCDR2領域、配列番号25のHCDR3領域、配列番号26のLCDR1領域、配列番号27のLCDR2領域、および配列番号28のLCDR3領域
を含む、抗体または抗体断片を指す。
【0053】
本開示の別の実施形態では、抗体または抗体断片は、ヒトIL−17Cに特異的に結合する。
【0054】
本開示の別の実施形態では、抗体または抗体断片は、モノクローナル抗体または抗体断片である。
【0055】
本開示の別の実施形態では、抗体または抗体断片は、ヒト、ヒト化またはキメラ抗体または抗体断片である。本開示の別の実施形態では、抗体または抗体断片は、IgGアイソタイプのものである。別の実施形態では、抗体または抗体断片は、IgG1である。
【0056】
一実施形態では、本開示は、IL−17Cに特異的な抗体または抗体断片において、
配列番号7のHCDR1領域、配列番号8のHCDR2領域、配列番号9のHCDR3領域、配列番号13のLCDR1領域、配列番号14のLCDR2領域、および配列番号15のLCDR3領域を含み、かつ配列番号17の重鎖または配列番号16の軽鎖をさらに含む、または
配列番号10のHCDR1領域、配列番号11のHCDR2領域、配列番号12のHCDR3領域、配列番号13のLCDR1領域、配列番号14のLCDR2領域、および配列番号15のLCDR3領域を含み、かつ配列番号17の重鎖または配列番号16の軽鎖をさらに含む、または
配列番号20のHCDR1領域、配列番号21のHCDR2領域、配列番号22のHCDR3領域、配列番号26のLCDR1領域、配列番号27のLCDR2領域、および配列番号28のLCDR3領域を含み、かつ配列番号30の重鎖または配列番号29の軽鎖をさらに含む、または
配列番号23のHCDR1領域、配列番号24のHCDR2領域、配列番号25のHCDR3領域、配列番号26のLCDR1領域、配列番号27のLCDR2領域、および配列番号28のLCDR3領域を含み、かつ配列番号30の重鎖または配列番号29の軽鎖をさらに含む、
抗体または抗体断片を指す。
【0057】
一実施形態では、本開示は、IL−17Cに特異的な抗体または抗体断片において、配列番号17の重鎖および配列番号16の軽鎖を含む、抗体または抗体断片を指す。
【0058】
一実施形態では、本開示は、IL−17Cに特異的な抗体または抗体断片において、配列番号30の重鎖および配列番号29の軽鎖を含む、抗体または抗体断片を指す。
【0059】
さらなる実施形態では、本開示は、IL−17Cに特異的な抗体または抗体断片において、配列番号43の重鎖および配列番号42の軽鎖を含む、抗体または抗体断片を指す。
【0060】
一実施形態では、本開示は、IL−17Cに特異的な抗体または抗体断片において、配列番号56の重鎖および配列番号55の軽鎖を含む、抗体または抗体断片を指す。
【0061】
本開示の別の実施形態では、抗体または抗体断片は、単離された抗体または抗体断片である。
【0062】
本開示の別の実施形態では、抗体または抗体断片は、組換え抗体または抗体断片である。
【0063】
一実施形態では、本開示は、IL−17Cの望ましくない存在と関連する障害または状態の治療における使用のための、IL−17Cに特異的な抗体または抗体断片を指す。
【0064】
一実施形態では、本開示は、IL−17Cに特異的な抗体または抗体断片において、
配列番号7のHCDR1領域、配列番号8のHCDR2領域、配列番号9のHCDR3領域、配列番号13のLCDR1領域、配列番号14のLCDR2領域、および配列番号15のLCDR3領域、または
配列番号10のHCDR1領域、配列番号11のHCDR2領域、配列番号12のHCDR3領域、配列番号13のLCDR1領域、配列番号14のLCDR2領域、および配列番号15のLCDR3領域、または
配列番号20のHCDR1領域、配列番号21のHCDR2領域、配列番号22のHCDR3領域、配列番号26のLCDR1領域、配列番号27のLCDR2領域、および配列番号28のLCDR3領域、または
配列番号23のHCDR1領域、配列番号24のHCDR2領域、配列番号25のHCDR3領域、配列番号26のLCDR1領域、配列番号27のLCDR2領域、および配列番号28のLCDR3領域
を含む抗体または抗体断片をコードする核酸配列または複数の核酸配列を含む核酸組成物を指す。
【0065】
別の実施形態では、本開示は、表1に開示した通りの抗体または抗体断片をコードする核酸配列または複数の核酸配列を含むベクターまたは複数のベクターを含む、ベクター組成物を指す。
【0066】
一実施形態では、本開示は、表1に開示した通りの抗体または抗体断片をコードする核酸配列または複数の核酸配列を含むベクターまたは複数のベクターを含む、ベクター組成物を含む細胞を指す。
【0067】
別の実施形態では、本開示は、表1に開示した通りの抗体または抗体断片と、薬学的に許容し得る担体または賦形剤とを含む医薬組成物を指す。
【0068】
一実施形態では、IL−17Cに特異的な前記抗体または抗体断片は、IL−17Cの、IL−17Cの受容体への結合をブロックする。さらなる実施形態では、IL−17Cに特異的な前記抗体または抗体断片は、IL−17Cの、IL−17Cの受容体への結合をブロックし、ここで前記受容体はIL17REである。別の実施形態では、本開示は、IL−17Cに特異的な抗体または抗体断片において、IL−17Cの、IL17REへの結合をブロックする、抗体または抗体断片を指す。別の実施形態では、前記抗体または抗体断片は、配列番号7のHCDR1領域、配列番号8のHCDR2領域、配列番号9のHCDR3領域、配列番号13のLCDR1領域、配列番号14のLCDR2領域、および配列番号15のLCDR3領域、または
配列番号10のHCDR1領域、配列番号11のHCDR2領域、配列番号12のHCDR3領域、配列番号13のLCDR1領域、配列番号14のLCDR2領域、および配列番号15のLCDR3領域、または
配列番号20のHCDR1領域、配列番号21のHCDR2領域、配列番号22のHCDR3領域、配列番号26のLCDR1領域、配列番号27のLCDR2領域、および配列番号28のLCDR3領域、または
配列番号23のHCDR1領域、配列番号24のHCDR2領域、配列番号25のHCDR3領域、配列番号26のLCDR1領域、配列番号27のLCDR2領域、および配列番号28のLCDR3領域を含む。
【0069】
別の実施形態では、前記抗体または抗体断片は、配列番号17の重鎖および配列番号16の軽鎖、または配列番号30の重鎖および配列番号29の軽鎖、または配列番号17または30の重鎖とのまたは配列番号16または29の軽鎖との少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する重鎖および軽鎖を含む。
【0070】
別の実施形態では、本開示は、IL−17Cに特異的な抗体または抗体断片において、IL−17Cホモ二量体に二価結合して、前記抗体または抗体断片と1つのIL−17Cホモ二量体とからなる複合体を形成する、かつ、IL−17Cの、IL17REへの結合をブロックする、抗体または抗体断片を指す。
【0071】
ある種の実施形態では、IL−17Cに特異的な前記抗体または抗体断片は、IL−17Cの、IL−17Cの1つ以上の受容体への結合をブロックする。別の実施形態では、前記抗体または抗体断片は、配列番号7のHCDR1領域、配列番号8のHCDR2領域、配列番号9のHCDR3領域、配列番号13のLCDR1領域、配列番号14のLCDR2領域、および配列番号15のLCDR3領域、または
配列番号10のHCDR1領域、配列番号11のHCDR2領域、配列番号12のHCDR3領域、配列番号13のLCDR1領域、配列番号14のLCDR2領域、および配列番号15のLCDR3領域、または
配列番号20のHCDR1領域、配列番号21のHCDR2領域、配列番号22のHCDR3領域、配列番号26のLCDR1領域、配列番号27のLCDR2領域、および配列番号28のLCDR3領域、または
配列番号23のHCDR1領域、配列番号24のHCDR2領域、配列番号25のHCDR3領域、配列番号26のLCDR1領域、配列番号27のLCDR2領域、および配列番号28のLCDR3領域を含む。
【0072】
別の実施形態では、前記抗体または抗体断片は、配列番号17の重鎖および配列番号16の軽鎖、または配列番号30の重鎖および配列番号29の軽鎖、または配列番号17または30の重鎖とのまたは配列番号16または29の軽鎖との少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する重鎖および軽鎖を含む。
【0073】
代替実施形態では、IL−17Cの受容体に特異的な前記抗体または抗体断片は、IL−17Cの、IL−17Cの受容体(ここでは、IL−17Cの受容体には、IL17REおよびIL17RAが含まれる)への結合をブロックする。代替実施形態では、IL−17Cの受容体に特異的な前記抗体または抗体断片は、IL−17Cの、IL17REおよびIL17RAへの結合をブロックする。ある種の実施形態では、IL−17Cに特異的な前記抗体または抗体断片は、100nM、90nM、80nM、70nM、60nM、50nM、40nM、30nM、20nM、10nM、9nM、8nM、7nM、6nM、5nM、4nM、3nM、2nM、1nM、100pM、90pM、80pM、70pM、60pM、50pM、40pM、30pM、20pM、10pM、9pM、8pM、7pM、6pM、5pM、4pM、3pM、2pM、または1pM未満のIC
50濃度で、IL−17Cの、IL17REへの結合をブロックする。ある種の態様では、IC
50濃度は、ELISA;SET、FACS、またはMSD(Meso Scale Discovery)によって決定することができる。別の態様では、IC
50濃度は、本明細書で実施例3に記載する通りの方法によって決定することができる。別の実施形態では、前記抗体または抗体断片は、配列番号17の重鎖および配列番号16の軽鎖、または配列番号30の重鎖および配列番号29の軽鎖、または配列番号17または30の重鎖とのまたは配列番号16または29の軽鎖との少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する重鎖および軽鎖を含む。
【0074】
一実施形態では、開示した抗体または抗体断片は、ヒトIL−17Cに特異的である。さらなる実施形態では、IL−17Cに特異的な、開示した抗体または抗体断片は、マウス、ラット、アカゲザル、および/またはカニクイザル由来のIL−17Cなどの、別の種のIL−17Cと交差反応性である。別の実施形態では、抗体または抗体断片は、ヒトIL−17C、カニクイザルIL−17C、およびマウスIL−17Cに特異的である。さらなる実施形態では、抗体または抗体断片は、ヒトIL−17C、カニクイザルIL−17C、およびマウスIL−17Cに特異的である。別の実施形態では、抗体または抗体断片は、ヒトIL−17C、カニクイザルIL−17C、およびマウスIL−17Cに特異的であり、ここでは、前記抗体または抗体断片は、
配列番号7のHCDR1領域、配列番号8のHCDR2領域、配列番号9のHCDR3領域、配列番号13のLCDR1領域、配列番号14のLCDR2領域、および配列番号15のLCDR3領域、または
配列番号10のHCDR1領域、配列番号11のHCDR2領域、配列番号12のHCDR3領域、配列番号13のLCDR1領域、配列番号14のLCDR2領域、および配列番号15のLCDR3領域、または
配列番号20のHCDR1領域、配列番号21のHCDR2領域、配列番号22のHCDR3領域、配列番号26のLCDR1領域、配列番号27のLCDR2領域、および配列番号28のLCDR3領域、または
配列番号23のHCDR1領域、配列番号24のHCDR2領域、配列番号25のHCDR3領域、配列番号26のLCDR1領域、配列番号27のLCDR2領域、および配列番号28のLCDR3領域
を含む。別の実施形態では、前記抗体または抗体断片は、配列番号17の重鎖および配列番号16の軽鎖、または配列番号30の重鎖および配列番号29の軽鎖、または配列番号17または30の重鎖とのまたは配列番号16または29の軽鎖との少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する重鎖および軽鎖を含む。
【0075】
さらに別の実施形態では、開示した抗体または抗体断片は、ヒトIL−17C、カニクイザルIL−17C、およびマウスIL−17Cに特異的に結合し、かつヒトIL−17C、カニクイザルIL−17C、およびマウスIL−17Cの、その特異的な受容体IL17REへの結合を、100nM、90nM、80nM、70nM、60nM、50nM、40nM、30nM、20nM、10nM、9nM、8nM、7nM、6nM、5nM、4nM、3nM、2nM、1nM、100pM、90pM、80pM、70pM、60pM、50pM、40pM、30pM、20pM、10pM、9pM、8pM、7pM、6pM、5pM、4pM、3pM、2pM、または1pM未満のIC
50濃度でブロックする。別の態様では、前記抗体は、IgG1型である。別の実施形態では、前記IC
50濃度は、本明細書で実施例3に記載する通りの受容体阻害アッセイ(Receptor Inhibition Assay)において決定される。
【0076】
さらに別の実施形態では、開示した抗体または抗体断片は、ヒトIL−17Cに特異的に結合し、かつヒトIL−17Cの、ヒトIL17REへの結合を、100nM、90nM、80nM、70nM、60nM、50nM、40nM、30nM、20nM、10nM、9nM、8nM、7nM、6nM、5nM、4nM、3nM、2nM、1nM、100pM、90pM、80pM、70pM、60pM、50pM、40pM、30pM、20pM、10pM、9pM、8pM、7pM、6pM、5pM、4pM、3pM、2pM、または1pM未満のIC
50濃度でブロックする。別の態様では、前記抗体は、IgG1型である。別の実施形態では、前記IC
50濃度は、本明細書で実施例3に記載する通りの受容体阻害アッセイにおいて決定される。
【0077】
さらに別の実施形態では、開示した抗体または抗体断片は、カニクイザルIL−17Cに特異的に結合し、かつカニクイザルIL−17Cの、カニクイザルIL17REへの結合を、100nM、90nM、80nM、70nM、60nM、50nM、40nM、30nM、20nM、10nM、9nM、8nM、7nM、6nM、5nM、4nM、3nM、2nM、1nM、100pM、90pM、80pM、70pM、60pM、50pM、40pM、30pM、20pM、10pM、9pM、8pM、7pM、6pM、5pM、4pM、3pM、2pM、または1pM未満のIC
50濃度でブロックする。別の態様では、前記抗体は、IgG1型である。別の実施形態では、前記IC
50濃度は、本明細書で実施例3に記載する通りの受容体阻害アッセイにおいて決定される。
【0078】
さらに別の実施形態では、開示した抗体または抗体断片は、ヒトIL−17C、カニクイザルIL−17C、およびマウスIL−17Cに特異的に結合し、かつヒトIL−17C、カニクイザルIL−17C、およびマウスIL−17Cの、それぞれヒトIL17RE、カニクイザルIL17RE、およびマウスIL17REへの結合を、それぞれ100nM、90nM、80nM、70nM、60nM、50nM、40nM、30nM、20nM、10nM、9nM、8nM、7nM、6nM、5nM、4nM、3nM、2nM、1nM、100pM、90pM、80pM、70pM、60pM、50pM、40pM、30pM、20pM、10pM、9pM、8pM、7pM、6pM、5pM、4pM、3pM、2pM、または1pM未満のIC
50濃度でブロックする。好ましい実施形態では、前記抗体または抗体断片は、
配列番号7のHCDR1領域、配列番号8のHCDR2領域、配列番号9のHCDR3領域、配列番号13のLCDR1領域、配列番号14のLCDR2領域、および配列番号15のLCDR3領域、または
配列番号10のHCDR1領域、配列番号11のHCDR2領域、配列番号12のHCDR3領域、配列番号13のLCDR1領域、配列番号14のLCDR2領域、および配列番号15のLCDR3領域、または
配列番号20のHCDR1領域、配列番号21のHCDR2領域、配列番号22のHCDR3領域、配列番号26のLCDR1領域、配列番号27のLCDR2領域、および配列番号28のLCDR3領域、または
配列番号23のHCDR1領域、配列番号24のHCDR2領域、配列番号25のHCDR3領域、配列番号26のLCDR1領域、配列番号27のLCDR2領域、および配列番号28のLCDR3領域
を含む。別の実施形態では、前記抗体または抗体断片は、配列番号17の重鎖および配列番号16の軽鎖、または配列番号30の重鎖および配列番号29の軽鎖、または配列番号17または30の重鎖とのまたは配列番号16または29の軽鎖との少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する重鎖および軽鎖を含む。別の態様では、前記抗体は、IgG1型である。別の実施形態では、前記IC
50濃度は、本明細書で実施例3に記載する通りの受容体阻害アッセイにおいて決定される。
【0079】
さらに別の実施形態では、開示した抗体または抗体断片は、100pM、90pM、80pM、70pM、60pM、50pM、40pM、30pM、20pM、10pM、9pM、8pM、7pM、6pM、5pM、4pM、3pM、2pM、または1pM未満のIC
50濃度で、ヒトIL−17C、カニクイザルIL−17C、およびマウスIL−17Cによって駆動されるNIH3T3細胞におけるNF−κBレポーター遺伝子の活性化を阻害する。好ましい実施形態では、前記抗体または抗体断片は、
配列番号7のHCDR1領域、配列番号8のHCDR2領域、配列番号9のHCDR3領域、配列番号13のLCDR1領域、配列番号14のLCDR2領域、および配列番号15のLCDR3領域、または
配列番号10のHCDR1領域、配列番号11のHCDR2領域、配列番号12のHCDR3領域、配列番号13のLCDR1領域、配列番号14のLCDR2領域、および配列番号15のLCDR3領域、または
配列番号20のHCDR1領域、配列番号21のHCDR2領域、配列番号22のHCDR3領域、配列番号26のLCDR1領域、配列番号27のLCDR2領域、および配列番号28のLCDR3領域、または
配列番号23のHCDR1領域、配列番号24のHCDR2領域、配列番号25のHCDR3領域、配列番号26のLCDR1領域、配列番号27のLCDR2領域、および配列番号28のLCDR3領域
を含む。別の実施形態では、前記抗体または抗体断片は、配列番号17の重鎖および配列番号16の軽鎖、または配列番号30の重鎖および配列番号29の軽鎖、または配列番号17または30の重鎖とのまたは配列番号16または29の軽鎖との少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する重鎖および軽鎖を含む。別の態様では、前記抗体は、IgG1型である。別の実施形態では、前記IC
50濃度は、本明細書で実施例4に記載する通りのIL−17C駆動性のNF−κBレポーターアッセイにおいて決定される。
【0080】
一実施形態では、開示した抗体または抗体断片は、配列番号1のアミノ酸配列によってコードされるヒトIL−17Cに特異的である。一実施形態では、開示した抗体または抗体断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドに特異的である。さらなる実施形態では、前記モノクローナル抗体または抗体断片は、配列番号1のアミノ酸配列からなるポリペプチドに特異的なモノクローナル抗体である。別の実施形態では、開示した抗体または抗体断片は、配列番号1のアミノ酸配列によってコードされるヒトIL−17Cに特異的であり、かつ、モノクローナル抗体または抗体断片である。
【0081】
一実施形態では、IL−17Cに特異的な、開示した抗体または抗体断片は、モノクローナル抗体または抗体断片である。
【0082】
一実施形態では、IL−17Cに特異的な、開示した抗体または抗体断片は、ヒト、ヒト化、またはキメラ抗体である。ある種の実施形態では、IL−17Cに特異的な、前記抗体または抗体断片は、単離された抗体または抗体断片である。別の実施形態では、前記抗体または抗体断片は、組換え抗体または抗体断片である。さらなる実施形態では、前記抗体または抗体断片は、組換えヒト抗体または抗体断片である。さらなる実施形態では、前記組換えヒト抗体または抗体断片は、単離された組換えヒト抗体または抗体断片である。さらなる実施形態では、前記組換えヒト抗体または抗体断片または単離された組換えヒト抗体または抗体断片は、モノクローナルである。
【0083】
別の実施形態では、開示された抗体または抗体断片は、配列番号17の重鎖および配列番号16の軽鎖、または配列番号30の重鎖および配列番号29の軽鎖、または配列番号17または30の重鎖とのまたは配列番号16または29の軽鎖との少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する重鎖および軽鎖を含む。
【0084】
一実施形態では、開示した抗体または抗体断片は、ヒト重鎖定常領域およびヒト軽鎖定常領域を含む。さらなる実施形態では、前記ヒト重鎖定常領域が配列番号17のアミノ酸配列を含み、かつヒト軽鎖定常領域が配列番号16のアミノ酸配列を含む、または前記ヒト重鎖定常領域が配列番号30のアミノ酸配列を含み、かつヒト軽鎖定常領域が配列番号29のアミノ酸配列を含む。
【0085】
一実施形態では、開示した抗体または抗体断片は、IgGアイソタイプのものである。別の実施形態では、前記抗体は、IgG1である。
【0086】
一実施形態では、前記抗体断片は、二価の抗体断片である。
【0087】
別の実施形態では、本開示は、表1に記載する抗体と交差競合する抗体または抗体断片を指す。一実施形態では、本開示は、抗体または抗体断片において、表1における抗体のうちの1つの、Kabatによって定義される6つのCDRを含む抗体または抗体断片と交差競合する、抗体または抗体断片を指す。別の実施形態では、本開示は、ヒトIL−17Cに特異的な抗体または抗体断片において、IL−17Cホモ二量体に二価結合して、前記抗体または抗体断片と1つのIL−17Cホモ二量体とからなる複合体を形成する、かつ、表1における抗体のうちの1つの、Kabatによって定義される6つのCDRを含む抗体または抗体断片と交差競合する、抗体または抗体断片を指す。
【0088】
別の実施形態では、本開示は、抗体または抗体断片において、6つのCDR(ここでは、HCDR1は配列番号7のアミノ酸配列であり、HCDR2は配列番号8のアミノ酸配列であり、HCDR3は配列番号9のアミノ酸配列であり、LCDR1は配列番号13のアミノ酸配列であり、LCDR2は配列番号14のアミノ酸配列であり、LCDR3は配列番号15のアミノ酸配列である)を含む抗体または抗体断片と交差競合する、抗体または抗体断片を指す。別の実施形態では、本開示は、抗体または抗体断片において、配列番号17と一致するVHおよび配列番号16と一致するVLを含む抗体または抗体断片と交差競合する、抗体または抗体断片を指す。
【0089】
別の実施形態では、本開示は、抗体または抗体断片において、6つのCDR(ここでは、HCDR1は配列番号20のアミノ酸配列であり、HCDR2は配列番号21のアミノ酸配列であり、HCDR3は配列番号22のアミノ酸配列であり、LCDR1は配列番号26のアミノ酸配列であり、LCDR2は配列番号27のアミノ酸配列であり、LCDR3は配列番号28のアミノ酸配列である)を含む抗体または抗体断片と交差競合する、抗体または抗体断片を指す。別の実施形態では、本開示は、抗体または抗体断片において、配列番号30と一致するVHおよび配列番号29と一致するVLを含む抗体または抗体断片と交差競合する、抗体または抗体断片を指す。
【0090】
別の実施形態では、本開示は、表1に記載する抗体と交差競合する抗体または抗体断片を指す。一実施形態では、本開示は、抗体または抗体断片において、表1における抗体のうちの1つの、Chothiaによって定義される6つのCDRを含む抗体または抗体断片と交差競合する、抗体または抗体断片を指す。別の実施形態では、本開示は、ヒトIL−17Cに特異的な抗体または抗体断片において、IL−17Cホモ二量体に二価結合して、前記抗体または抗体断片と1つのIL−17Cホモ二量体とからなる複合体を形成する、かつ、表1における抗体のうちの1つの、Chothiaによって定義される6つのCDRを含む抗体または抗体断片と交差競合する、抗体または抗体断片を指す。
【0091】
別の実施形態では、本開示は、抗体または抗体断片において、6つのCDR(ここでは、HCDR1は配列番号10のアミノ酸配列であり、HCDR2は配列番号11のアミノ酸配列であり、HCDR3は配列番号12のアミノ酸配列であり、LCDR1は配列番号13のアミノ酸配列であり、LCDR2は配列番号14のアミノ酸配列であり、LCDR3は配列番号15のアミノ酸配列である)を含む抗体または抗体断片と交差競合する、抗体または抗体断片を指す。別の実施形態では、本開示は、抗体または抗体断片において、配列番号17と一致するVHおよび配列番号18と一致するVLを含む抗体または抗体断片と交差競合する、抗体または抗体断片を指す。
【0092】
別の実施形態では、本開示は、抗体または抗体断片において、6つのCDR(ここでは、HCDR1は配列番号23のアミノ酸配列であり、HCDR2は配列番号24のアミノ酸配列であり、HCDR3は配列番号25のアミノ酸配列であり、LCDR1は配列番号26のアミノ酸配列であり、LCDR2は配列番号27のアミノ酸配列であり、LCDR3は配列番号28のアミノ酸配列である)を含む抗体または抗体断片と交差競合する、抗体または抗体断片を指す。別の実施形態では、本開示は、抗体または抗体断片において、配列番号30と一致するVHおよび配列番号29と一致するVLを含む抗体または抗体断片と交差競合する、抗体または抗体断片を指す。
【0093】
ある種の実施形態では、本開示は、表1に記載する抗体と交差競合し、かつ表1に記載する抗体のうちの1つの特異的結合を、ELISAに基づく交差競合アッセイにおいて少なくとも70%、80%、または90%低下させる、抗体または抗体断片を指す。ある種の実施形態では、本開示は、表1に記載する抗体と交差競合し、かつ表1に記載する抗体のうちの1つの、IL−17Cへの特異的結合を、ELISAに基づく交差競合アッセイにおいて少なくとも70%、80%、または90%低下させる、モノクローナル抗体または抗体断片を指す。代表的なアッセイ手順を、本開示における実施例6に例示する。
【0094】
別の実施形態では、本開示は、表1における抗体のうちの1つと同じエピトープに(例えば、結合、安定化、空間分布によって)結合する抗体または抗体断片を指す。さらなる実施形態では、前記抗体または抗体断片は、表1における抗体のうちの1つの、Kabatによって定義される6つのCDRを含む抗体または抗体断片と同じエピトープに(例えば、結合、安定化、空間分布によって)結合する。さらに別の実施形態では、前記抗体または抗体断片は、表1における抗体のうちの1つの、Kabatによって定義される6つのCDRを含む抗体または抗体断片と同じ、IL−17Cのエピトープに(例えば、結合、安定化、空間分布によって)結合する。さらに別の実施形態では、前記抗体または抗体断片は、表1における抗体のうちの1つのKabatによって定義される6つのCDRを含む抗体または抗体断片と同じ、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドのエピトープに(例えば、結合、安定化、空間分布によって)結合する。
【0095】
別の実施形態では、本開示は、抗体または抗体断片において、6つのCDR(ここでは、HCDR1は配列番号10のアミノ酸配列であり、HCDR2は配列番号11のアミノ酸配列であり、HCDR3は配列番号12のアミノ酸配列であり、LCDR1は配列番号13のアミノ酸配列であり、LCDR2は配列番号14のアミノ酸配列であり、LCDR3は配列番号15のアミノ酸配列である)を含む抗体または抗体断片と同じエピトープに結合する抗体または抗体断片を指す。別の実施形態では、本開示は、抗体または抗体断片において、配列番号17と一致するVHおよび配列番号18と一致するVLを含む抗体または抗体断片と同じエピトープに結合する抗体または抗体断片を指す。
【0096】
別の実施形態では、本開示は、抗体または抗体断片において、6つのCDR(ここでは、HCDR1は配列番号23のアミノ酸配列であり、HCDR2は配列番号24のアミノ酸配列であり、HCDR3は配列番号25のアミノ酸配列であり、LCDR1は配列番号26のアミノ酸配列であり、LCDR2は配列番号27のアミノ酸配列であり、LCDR3は配列番号28のアミノ酸配列である)を含む抗体または抗体断片と同じエピトープに結合する抗体または抗体断片を指す。別の実施形態では、本開示は、抗体または抗体断片において、配列番号30と一致するVHおよび配列番号29と一致するVLを含む抗体または抗体断片と同じエピトープに結合する抗体または抗体断片を指す。
【0097】
エピトープを含む所与のポリペプチドの領域は、当技術分野で周知のいくつものエピトープマッピング技術を使用して特定することができる。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology,Vol.66(Glenn E.Morris,Ed.,1996)Humana Press,Totowa,New Jerseyを参照のこと。例えば、エピトープは、例えば、固形状支持体上に多数のペプチド(これらのペプチドは、タンパク質分子の一部に相当する)を同時に合成し、これらのペプチドを、支持体に引き続き付着させたまま抗体と反応させることによって決定することができる。こうした技術は、当技術分野で公知であり、例えば、米国特許第4,708,871号明細書;Geysen et al.,(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8:3998−4002;Geysen et al.,(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:78−182;Geysen et al.,(1986)Mol.Immunol.23:709−715に記載されている。同様に、エピトープは、例えば水素/重水素交換、X線結晶学、および二次元核磁気共鳴によって、アミノ酸の空間構造を決定することによって容易に特定される。例えば、Epitope Mapping Protocols(上記)を参照のこと。タンパク質の抗原性領域はまた、例えば、Oxford Molecular Groupから入手できるOmiga version1.0ソフトウェアプログラムを使用して算出されるものなどの、標準の抗原性および疎水性(hydropathy)プロットを使用して特定することができる。このコンピュータプログラムは、抗原性プロフィールを決定することについてはHopp/Woods方法、Hopp et al.,(1981)Proc.Natl.Acad.Sci USA 78:3824−3828、疎水性プロットについてはKyte−Doolittle技術、Kyte et al.,(1982)J.Mol.Biol.157:105−132を用いる。
【0098】
一実施形態では、本開示は、表1における抗体のいずれかの、Kabatによって定義される6つのCDRを含む抗体または抗体断片を指す。別の態様では、本開示は、表1における抗体のそれぞれの、Kabatによって定義される6つのCDRを含む単離されたモノクローナル抗体またはその断片に関する。
【0099】
別の実施形態では、本開示は、表1における抗体のいずれかの、Chotiaによって定義される6つのCDRを含む抗体または抗体断片を指す。別の態様では、本開示は、表1における抗体のそれぞれの、Chotiaによって定義される6つのCDRを含む単離されたモノクローナル抗体またはその断片に関する。
【0100】
ある種の実施形態では、本開示は、表1に開示した抗体または抗体断片において、約100nM未満、より好ましくは約60nM未満、いっそうさらに好ましくは約30nM未満の親和性でIL−17Cに結合することができる、抗体または抗体断片を指す。さらに好ましいのは、約10nM未満、より好ましくは約3nM未満の親和性でIL−17Cに結合する抗体または抗体断片である。
【0101】
ある種の実施形態では、本開示は、表1に開示した抗体または抗体断片において、約100nM未満、より好ましくは約60nM未満、いっそうさらに好ましくは約30nM未満の一価の親和性でIL−17Cに結合することができる、抗体または抗体断片を指す。さらに好ましいのは、約10nM未満、より好ましくは約3nM未満の一価の親和性でIL−17Cに結合する抗体または抗体断片である。
【0102】
別の実施形態では、本開示は、IL−17Cに特異的な抗体または抗体断片において、5×10
−2M未満、10
−2M未満、5×10
−3M未満、10
−3M未満、5×10
−4M未満、10
−4M未満、5×10
−5M未満、10
−5M未満、5×10
−6M未満、10−
6M未満、5×10
−7M未満、10
−7M未満、5×10
−8M未満、10
−8M未満、5×10
−9M未満、10
−9M未満、5×10
−10M未満、10
−10M未満、5×10
−11M未満、10
−11M未満、5×10
−12M未満、10
−12M未満、5×10
−13M未満、10
−13M未満、5×10
−14M未満、10
−14M未満、5×10
−15M未満、または10
−15M未満の解離速度定数(K
D)を伴う、IL−17Cに対する一価の親和性を有する前記抗体または抗体断片、および一価の型における解離速度定数(K
D)よりも少なくとも2倍、5倍、10倍、100倍、1000倍、10000倍、100000倍低い解離速度定数(K
D)を伴う、IL−17Cに対する親和性を有する二価の型の抗体または抗体断片を指す。さらなる実施形態では、前記抗体または抗体断片の二価の親和性は、IgG型において決定され、ここでは、前記抗体または抗体断片の一価の親和性は、Fab型において決定される。
【0103】
本開示の組成物は、好ましくは、本明細書に開示した通りのIL−17Cに特異的な抗体または抗体断片と、薬学的に許容し得る担体、希釈剤、または賦形剤とを含む、炎症性疾患または癌の治療のための医薬組成物である。こうした担体、希釈剤、および賦形剤は、当技術分野で周知であり、当業者は、本開示のIL−17C抗体または抗体断片を用いて対象を治療するのに最適な製剤および投与経路を見いだすであろう。
【0104】
別の実施形態では、本開示は、IL−17Cの望ましくない存在と関連する障害または状態の治療における使用のための、本明細書に開示した通りのIL−17Cに特異的な抗体または抗体断片を含む医薬組成物を指す。別の実施形態では、IL−17Cの望ましくない存在と関連する前記状態は、炎症性疾患または癌である。別の実施形態では、前記炎症性疾患は、関節リウマチ、乾癬、肺炎症、COPD、および/またはアトピー性皮膚炎(AD)(中等度から重度のADが含まれる)である。好ましい実施形態では、前記炎症性疾患は、アトピー性皮膚炎(AD)および/または中等度から重度のADである。
【0105】
別の実施形態では、本開示は、IL−17Cの望ましくない存在と関連する障害または状態の治療のための医薬品の調製における、本明細書に開示した通りのIL−17Cに特異的な抗体または抗体断片を含む前記医薬組成物の使用を指す。別の実施形態では、IL−17Cの望ましくない存在と関連する前記状態は、炎症性疾患または癌である。別の実施形態では、前記炎症性疾患は、関節リウマチ、乾癬、肺炎症、COPD、および/またはアトピー性皮膚炎(AD)(中等度から重度のADが含まれる)である。好ましい実施形態では、前記炎症性疾患は、アトピー性皮膚炎(AD)および/または中等度から重度のADである。
【0106】
別の実施形態では、本開示は、IL−17Cの望ましくない存在と関連する障害または状態の治療のための前記医薬組成物の使用を指す。別の実施形態では、IL−17Cの望ましくない存在と関連する前記状態は、炎症性疾患または癌である。別の実施形態では、前記炎症性疾患は、関節リウマチ、乾癬、肺炎症、COPD、および/またはアトピー性皮膚炎(AD)(中等度から重度のADが含まれる)である。好ましい実施形態では、前記炎症性疾患は、アトピー性皮膚炎(AD)および/または中等度から重度のADである。
【0107】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、対象におけるアトピー性皮膚炎(AD)および/または中等度から重度のアトピー性皮膚炎(AD)を治療する方法において、治療有効量の本開示のIL−17C抗体または抗体断片を含む医薬組成物を投与することを含む方法である。一実施形態では、前記対象は、副腎皮質ステロイド外用薬(TCS)またはカルシニューリン阻害剤による治療に対して抵抗性、非応答性、または不適切に応答性である。別の実施形態では、対象は、それを必要とする対象である。好ましい実施形態では、前記対象は、ヒトである。代替態様では、前記対象は、ラットまたはマウスなどのげっ歯類である。
【0108】
別の実施形態では、本開示は、対象における炎症性疾患の予防のための方法において、前記対象にIL−17Cアンタゴニストを投与することを含む前記方法を指す。この文脈において使用される「予防」は、疾患の発症を予防することを目的とする、または疾患の発症を遅延させる方法を指す。いくつかの実施形態では、前記対象は、ヒトである。代替態様では、前記対象は、ラットまたはマウスなどのげっ歯類である。
【0109】
いくつかの実施形態では、本開示のIL−17Cに特異的な抗体または抗体断片は、皮下に投与される。他の態様では、本開示のIL−17Cに特異的な抗体または抗体断片は、静脈内、関節内、または脊髄内投与される。
【0110】
一実施形態では、本開示は、表1における抗体のいずれかのVHおよびVLを含む、単離されたモノクローナル抗体またはその断片に関する。
【0111】
別の実施形態では、本開示は、表1における抗体のいずれかの重鎖(IgG1)および軽鎖を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその断片に関する。
【0112】
別の実施形態では、本開示は、IL−17Cに結合する抗体の重鎖配列および/または軽鎖配列をコードする単離された核酸において、
配列番号58のHCDR1領域、配列番号59のHCDR2領域、配列番号60のHCDR3領域、配列番号64のLCDR1領域、配列番号65のLCDR2領域、および配列番号66のLCDR3領域、または
配列番号61のHCDR1領域、配列番号62のHCDR2領域、配列番号63のHCDR3領域、配列番号64のLCDR1領域、配列番号65のLCDR2領域、および配列番号66のLCDR3領域、または
配列番号33のHCDR1領域、配列番号34のHCDR2領域、配列番号35のHCDR3領域、配列番号39のLCDR1領域、配列番号40のLCDR2領域、および配列番号41のLCDR3領域、または
配列番号36のHCDR1領域、配列番号37のHCDR2領域、配列番号38のHCDR3領域、配列番号39のLCDR1領域、配列番号40のLCDR2領域、および配列番号41のLCDR3領域、または
配列番号46のHCDR1領域、配列番号47のHCDR2領域、配列番号48のHCDR3領域、配列番号52のLCDR1領域、配列番号53のLCDR2領域、および配列番号54のLCDR3領域、または
配列番号49のHCDR1領域、配列番号50のHCDR2領域、配列番号51のHCDR3領域、配列番号52のLCDR1領域、配列番号53のLCDR2領域、および配列番号54のLCDR3領域
を含む核酸を指す。
【0113】
別の実施形態では、本開示は、単離されたモノクローナル抗体またはその断片をコードする核酸において、配列番号19のVH領域および配列番号18のVL領域、または配列番号19のVH領域および/または配列番号18のVL領域に対する少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有するVH領域およびVL領域を含む核酸を指す。
【0114】
別の実施形態では、本開示は、単離されたモノクローナル抗体またはその断片をコードする核酸において、配列番号68のVH領域および配列番号67のVL領域、または配列番号68のVH領域および/または配列番号67のVL領域に対する少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有するVH領域およびVL領域を含む核酸を指す。
【0115】
別の実施形態では、本開示は、単離されたモノクローナル抗体またはその断片をコードする核酸において、配列番号32のVH領域および配列番号31のVL領域、または配列番号32のVH領域および/または配列番号31のVL領域に対する少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有するVH領域およびVL領域を含む核酸を指す。
【0116】
別の実施形態では、本開示は、単離されたモノクローナル抗体またはその断片をコードする核酸において、配列番号45の重鎖(IgG1)および配列番号44の軽鎖を含む核酸を指す。
【0117】
別の実施形態では、本開示は、単離されたモノクローナル抗体またはその断片をコードする核酸において、配列番号70の重鎖(IgG1)および配列番号69の軽鎖を含む核酸を指す。
【0118】
別の実施形態では、本開示は、単離されたモノクローナル抗体またはその断片をコードする核酸において、配列番号71の重鎖(IgG1)および配列番号57の軽鎖を含む核酸を指す。
【0119】
別の実施形態では、本開示は、単離されたモノクローナル抗体またはその断片をコードする核酸において、表1における抗体のいずれかのVHおよびVLを含む核酸を指す。
【0120】
別の実施形態では、本開示は、単離されたモノクローナル抗体またはその断片をコードする核酸において、表1における抗体のいずれかの重鎖(IgG1)および軽鎖を含む核酸を指す。
【0121】
別の実施形態では、本開示は、表1における抗体のいずれかの、単離されたモノクローナル抗体またはその断片を産生する方法を指す。
【実施例】
【0122】
略語のリスト
ANOVA 分散分析
BSA ウシ血清アルブミン
BW 体重
CDR 相補性決定領域
DLS 動的光散乱法
DMEM ダルベッコ変法イーグル培地
EC
50 50%有効濃度
ECD 細胞外ドメイン
ECL 電気化学発光法
ELISA 酵素結合免疫吸着測定法
EtOH エタノール
Fab 抗原結合性フラグメント
FBS ウシ胎児血清
Fc 定常の断片
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
i.p. 腹腔内
i.v. 静脈内
IC
50 50%阻害濃度
IFN−γ インターフェロン−ガンマ
Ig 免疫グロブリン
IHC 免疫組織化学
IL−17R インターロイキン17受容体
IL−xx インターロイキンxx
K
D 解離定数
MC903 カルシポトリオール
MPEK マウス初代角化細胞
mRNA 伝令リボ核酸
NF−κB 核内因子カッパB
p.o. per os、経口的に
PBS リン酸緩衝生理食塩水
qPCR 定量的ポリメラーゼ連鎖反応法
qRT−PCR 定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応法
SEM 平均値の標準誤差
Th2 2型ヘルパーT細胞
【0123】
実施例1:抗原、Fab断片、および抗体の生成
1.1 抗原生成および品質管理
ヒト、カニクイザル、およびマウス由来のIL−17Cのアミノ酸配列を整列させた。
【0124】
リーダー配列を除けば、3つすべての種の間に79%の相同性が存在する。
【0125】
異なる種由来のIL−17Cを、異なる提供者から購入し、または社内で産生し、必要であれば可溶化した。100μgタンパク質あたり、ECL(商標)ビオチン化モジュールの4μlビオチン化試薬を添加し、穏やかに撹拌しながら、暗所で、室温で60分間インキュベートした。続いて、Zeba(商標)脱塩スピンカラムを使用して、ビオチン化されたタンパク質を精製し、OD280nmを決定した。
【0126】
抗原を、ECL(商標)ビオチン化モジュール(GE Healthcare;#1061918)を使用して、ビオチン化した。ビオチン化後、生成物を、Zeba(商標)脱塩スピンカラム(Pierce;#89889)を使用して精製した。
【0127】
ビオチン化されたおよびビオチン化されていないマウス、カニクイザル、およびヒトIL−17Cを、SDS−PAGEにおける変性、還元および変性、非還元条件下での、および、高圧−サイズ排除クロマトグラフィー(HP−SEC)および動的光散乱法(DLS)による天然状態での分析を含む、品質管理にかけた。
【0128】
HP−SECは、Wyatt miniDAWN TreosおよびWyatt Optilab rEX(Wyatt Technology Europe,Dernbach,Germany)と組み合わせた、Dionex UltiMate 3000チタンHPLCシステム(Dionex Corporation,Germering,Germany)上で実施した。分離のために、Tosoh TSK−Gel G3000SWxlカラム(Tosoh Bioscience,Stuttgart,Germany)を使用した。各試料に対して、15μgのタンパク質をカラムに負荷し、0.5ml/分の流速で分離を実施し、280nmでのUV吸収の分析を記録した。泳動用緩衝液は、49mM NaH
2PO
4、51mM Na
2HPO
4、100mM K
2SO
4、0.0005% Tween−80(pH6.8)から構成されていた。
【0129】
すべてのDLS実験は、0.2〜1.0mg/mlのタンパク質濃度を用いるDynaPro Titanキュベットシステム(Wyatt Technology Europe,Dernbach,Germany)を使用して実施した。沈殿または粒子形成が生じた場合、試料を、実験前に5分間、10.000gで遠心分離した。
【0130】
マウスIL−17受容体E(UniProt Q8BH06、アイソフォーム1)およびヒトIL−17受容体E(UniProt Q8NFR9)の細胞外ドメイン(ECD)を、KpnIおよびEcoRVを使用して、発現ベクターpMAX_vk_Fc2_Hisにクローン化し、C末端Fc2_H融合コンストラクトをもたらした。天然のリーダー(AG00158)に加えて、Vκ−リーダーを伴う第2のコンストラクトを生成した(AG00159)。
【0131】
両方のコンストラクトを、HKB11細胞で一過性発現させた。細胞懸濁液を、トランスフェクションの3日後にスケールアップし、細胞培養上清を、トランスフェクションの6日後に回収した。滅菌濾過後、溶液を、プロテインAアフィニティクロマトグラフィーにかけた。PBSへの緩衝液交換を実施し、試料を滅菌濾過(孔径0.2μm)した。タンパク質濃度は、UV−分光光度法によって決定した。生成物の純度は、SDS−PAGEにおける変性、還元および変性、非還元条件下で、および、HP−SECおよびDLSによる天然状態で分析した。
【0132】
1.2.パニングおよびFab/抗体生成
抗体生成のために、MorphoSys Ylanthia(登録商標)ライブラリを使用して、ヒトIL−17Cに対するFab断片を選択した。MorphoSys Ylanthia(登録商標)ライブラリ(Tiller et al.mAbs 5:3,1−26;May/June(2013)および米国特許第8,728,981号明細書)は、市販品として入手可能なファージミドライブラリであり、ファージ表面上にFabを提示するために、CysDisplay(登録商標)技術を用いている(Lohning et al.,国際公開第2001/05950号パンフレット)。
【0133】
IL−17C特異的な抗体を特定するために、様々なパニング戦略を使用した。各パニング戦略は、ヒトIL−17C(配列番号1)およびマウスIL−17Cを含めた各抗原に対する、少なくとも3つのそれぞれのラウンドのパニングを含んでいた。
【0134】
特定された単離されたクローンを、親和性および/または機能性を増大させるために、成熟させ、操作し、および/または生殖細胞系挿入(germline)した。その後、数百のクローンをスクリーニングし、インビトロアッセイ(例えば、ヒト、カニクイザル、およびマウスIL−17Cへの結合の、SETによる評価、ヒト、カニクイザル、およびマウスIL−17CのそのそれぞれのIL−17REへの結合の阻害、およびIL−17Cの機能的阻害(マウスNIH3T3細胞におけるIL−17RE駆動性のNF−κBレポーターアッセイ、およびマウス初代角化細胞(MPEK)におけるIL−17C介在性のCSF3発現)を含む)において機能性を厳密に試験した。
【0135】
最後に、2つの好ましいリード分子(MAB#1およびMAB#2)を選択し、下に概説する実施例にさらに記載する。
【0136】
実施例2:一価のFabおよび二価のIgG型での親和性決定
一価のFabおよび二価のIgG親和性は、SETによって決定した。したがって、精製されたFabを、KDの決定のために、ヒト、カニクイザル、またはマウスIL−17Cに対して抗体価測定した。それぞれ精製されたIgGを、EC
50決定のために、ヒト、カニクイザル、またはマウスIL−17Cに対して抗体価測定した。
【0137】
溶液平衡抗体価測定(SET)を、基本的に文献(Friquet et al.,(1985)J.Immunol.Meth.77:305−19)に記載された通りに実施した。SET方法の感度および精度を向上させるために、これを、古典的ELISAからECLに基づく技術に変更した(Haenel et al.(2005)Anal Biochem.339.1:182−84)。
【0138】
MAB#1およびMAB#2についての各結果を、それぞれ表2および表3に示す。
【0139】
実施例3:受容体阻害活性に関するIL−17C特異的FabまたはIgGの特徴付け
精製されたIL−17C特異的FabまたはIgGを、それぞれ、IL−17Cの、その特異的受容体IL−17REへの結合を阻害するその能力について試験した。したがって、MA6000 384ウェルプレート(Meso Scale Discovery,MSD)を、30μlのマウスIL17RE/Fcキメラタンパク質(PBS 1mlあたり75ng)で、4℃で一晩コーティングした。翌日、抗体段階希釈物(0.001〜100nMの濃度)を、等体積のビオチン化されたヒト/カニクイザルまたはマウスIL−17Cと共に、室温で30分間プレインキュベートして、受容体結合阻害についてのIC
50濃度を決定した。2.5% BSA(PBST中)での1時間のプレートのブロッキング後、あらかじめ形成させた抗体−リガンド複合体を1時間添加して、IL17RE/Fcをコーティングし、MSD Sector撮像装置を使用するストレプトアビジン−ECLによって受容体結合を検出した。
【0140】
両抗体(MAB#1およびMAB#2)は、Fab型およびIgG型で、ヒト/カニクイザルまたはマウスIL−17CとIL−17REとの相互作用を等しく阻害した。IgG型の両抗体について、3つすべての臨床的に関連する種全体を通して、2桁のpM範囲のIC
50濃度が観察された。結果を、表2および表3内の第3および4行目に、それぞれ示す。
【0141】
実施例4:IL−17C駆動性のNF−κBレポーターアッセイにおける機能試験
精製されたIL−17C特異的IgGを、マウスIL−17REを過剰発現しているNIH3T3細胞におけるNF−κBレポーター遺伝子の、IL−17Cによって駆動される活性化を観察する、機能性細胞に基づくアッセイにおいて、ヒト、マウス、およびカニクイザルIL−17Cの生物活性を阻害するその能力についてさらに試験した。
【0142】
NIH3T3細胞は、37℃、5% CO
2で、10% FBSおよび1% Pen/Strepを添加したDMEMで培養した。このアッセイのために、NIH3T3細胞を、Polyplus jet−PEI トランスフェクション剤を使用して、100ngの総量のDNA(20ngマウスIL−17RE発現コンストラクト、50ng NF−κBルシフェラーゼレポーターコンストラクト、および30ng pBluescript)を含む懸濁液中でトランスフェクションさせた。簡単に言うと、DNAを、5μl 150mM NaCl(ウェルあたり)で希釈し、0.2μl jet−PEIを8μl 150mM NaClに入れたもの(ウェルあたり)を調製した。室温での5分のインキュベーション後、このDNA溶液に、JetPEI(登録商標)溶液を添加し、室温で20〜30分間、さらにインキュベートした。NIH3T3細胞を、87μl培地中に約40,000細胞を有するように希釈した。このDNA−JetPEI I(登録商標)ミックスに、細胞を添加し(87μl細胞および13μl DNA−JetPEI I(登録商標)ミックス/ウェル)、最終体積を96ウェルプレートに移した。
【0143】
加湿された5% CO
2インキュベーター中での37℃での一晩のインキュベーション後、培地を除去し、jetPEI(登録商標)を、5% FBSおよび1% Pen/Strepを含有する90μl培地と置き換えた。DPBSで作製された10μlの抗体段階希釈物を、等体積の精製された組換えIL−17C(ヒトIL−17C(Novus #NBP1−42910)、マウスmIL−17C(R&D Systems #2306−ml−025)、またはカニクイザルIL−17C(社内で産生)のいずれか)と共に室温で30分間プレインキュベートし、細胞に添加した。IL−17Cの最終濃度は、0.5ng/mlであった。
【0144】
CO
2インキュベーター内で37℃でプレートをインキュベートした後、100μl SteadyLite Plus(Perkin Elmer)を添加し、それに続いてEnvision(Perkin Elmer)上で発光の読み取りを行う。
【0145】
どちらの抗体も、ヒト、マウス、およびカニクイザルIL−17Cの存在下で、IL−17REによって媒介されるNF−κBレポーター遺伝子活性化を効果的に低下させた。それぞれの結果は、それぞれ表2および表3の第5行目で参照することができる。
【0146】
実施例5:初代ヒト角化細胞におけるIL−17Cによって駆動される遺伝子発現
角化細胞は、IL−17REおよびIL−17RA受容体(これらは両方とも、IL−17Cの機能性シグナル伝達のために必要とされる)を内因的に発現する。したがって、健康な個人から得られるヒト初代角化細胞およびC57BL/6マウスから得られるマウス初代角化細胞を使用して、より生理学的な意味で、MAB#1 IgG1およびMAB#2 IgG1がそれぞれヒトおよびマウスIL−17Cの生物活性を阻害する能力を決定した。
【0147】
NHEK(正常ヒト表皮角化細胞)は、Lonzaから入手し、製造業者のプロトコルに従って、サプリメント(KGM−Gold(商標)Bulletキット、Lonza)と共に角化細胞増殖培地で培養した。第3代まで継代し凍結保存したNHEKを、解凍し、96ウェル細胞培養プレートのKGM細胞培地に30,000細胞/ウェルで、直ちに播種した。2日後、培地を除去し、KGM−Gold w/oヒドロコルチゾンに変え、その後、hIL−17C(Novus #NBP1−42910)およびhTNFα(Peprotech #300−01A)を添加して、それぞれ10ng/mlの最終濃度とした。
【0148】
抗体の試験については、ヒトIL−17Cを、DPBSで作製された等体積の抗体の段階希釈物と共に、室温で30分間、最初にプレインキュベートした。細胞を、TNFαの存在下で、組換えIL−17C(抗体の希釈物と共にまたは伴わずにプレインキュベートされたもの)で刺激した。IL−17CおよびTNFαでの同時刺激は、様々な遺伝子の相乗的な誘発をもたらすことが公知であり、また、IL−17C単独では調査される遺伝子の発現に対する効果が制限されることから、必須であることが示された。
【0149】
細胞を、48時間培養し、次いで、RNeasy 96 Kit(Qiagen)を使用して全RNAを抽出し、Taqman(登録商標)Reverse Transcription試薬(Applied Biosystems)を使用して逆転写させ、ベータディフェンシン2 DEFB4A(ヒト)またはCSF3(マウス)遺伝子の発現を、定量的ポリメラーゼ連鎖反応法(qPCR)によって決定した。簡単に言うと、10μl PCR反応物を、Taqman(登録商標)universal PCRマスターミックス/No AmpErase(登録商標)UNG、およびあらかじめ設計されたアッセイ−オンデマンド式の遺伝子発現プライマー/プローブセット(DEF4BまたはCSF3用)(#Hs00823638_m1、すべてApplied Biosystems)を使用して調製した。qPCRは、ViiA7(商標)Real−Time PCR装置(Applied Biosystems)で実施した。遺伝子発現を、ハウスキーピング遺伝子β−アクチン(Taqmanプライマーセット#4310881E)またはGAPDH(Taqmanプライマーセット#4310893E)に対して正規化した。
【0150】
どちらの抗体(MAB#1およびMAB#2)も、それぞれ、2 DEFB4A(ヒト)またはCSF3(マウス)遺伝子発現を効果的に低下させることが示され、また、ヒトIL−17C、またマウスIL−17C(表2および表3)の生物活性を無効化させるその能力が裏付けられた。
【0151】
機能性インビトロ特徴付けの総括:
インビトロ試験における各結果を、MAB#1については表2に、MAB#2については表3に、まとめて示す。これらの2種の抗体の可変領域およびCDRのアミノ酸および核酸配列は、表1に示す。どちらの抗体も、それぞれの基準を満たし、臨床開発のための潜在的分子とみなされた。
【0152】
実施例6:ELISAに基づく交差競合アッセイ
抗IL−17C抗体または別のIL−17C結合剤の交差競合は、以下の標準の手順によるELISAアッセイを使用することによって検出することができる。
【0153】
ELISAアッセイの一般的原理は、ELISAプレートのウェル上への抗IL−17C抗体(MAB#1またはMAB#2など)のコーティングを含む。次いで、過剰量の、潜在的に交差競合性の第2の抗IL−17C抗体を、溶液に添加する(すなわち、ELISAプレートには結合されない)。続いて、次に、一定限度の量のIL−17C−Fcを、ウェルに添加する。
【0154】
ウェル上にコーティングされた抗体と、溶液中の抗体とは、限られた数のIL−17C分子の結合をめぐって競合することとなる。次いで、プレートを洗浄して、コーティングされた抗体に結合されていないIL−17C分子を除去し、また、第2の溶液相抗体、ならびに第2の溶液相抗体とIL−17Cとの間に形成されたあらゆる複合体を除去する。次いで、結合されたIL−17Cの量を、適切なIL−17C検出試薬を使用して測定する。したがって、IL−17Cを、適切なタグ特異的薬剤を介して検出することができるタグ、例えばFc、Flagなどと融合させることができる。
【0155】
コーティングされた抗体に対して交差競合性である、溶液中の抗体は、コーティングされた抗体が結合することができるIL−17C分子の数を、コーティングされた抗体が第2の溶液相抗体の非存在下で結合することができるIL−17C分子の数と比較して減少させる可能性があるであろう。
【0156】
このアッセイを、Ab−XおよびAb−Yと称される2種の抗体に関して、さらに下で、より詳細に記載する。Ab−Xが、固定される抗体に選ばれる場合、これを、ELISAプレートのウェル上にコーティングし、その後、続いて添加される試薬の非特異的結合を最小限にするために、このプレートを適切なブロッキング溶液でブロックする。次いで、このELISAプレートに、ウェルあたりのAb−Y IL−17C結合部位のモルが、ELISAプレートのコーティング中にウェルあたりに使用されるAb−X IL−17C結合部位のモルの少なくとも10倍となるように、過剰量のAb−Yを添加する。IL−17Cは、ウェルあたりに添加されるIL−17Cのモルが、各ウェルをコーティングするために使用されるAb−X IL−17C結合部位のモルの少なくとも25倍低くなるように添加する。適切なインキュベーション期間の後、ELISAプレートを洗浄し、IL−17C抗原に特異的な検出試薬を添加して、コーティングされた抗IL−17C抗体(この場合にはAb−X)によって特異的に結合されたIL−17C分子の量を測定する。このアッセイについてのバックグラウンドシグナルは、コーティングされた抗体(この場合にはAb−X)、第2の溶液相抗体(この場合にはAb−Y)、緩衝液のみ(すなわちIL−17Cなし)、および検出試薬を含むウェルにおいて得られるシグナルと定義される。このアッセイについての陽性対照シグナルは、コーティングされた抗体(この場合にはAb−X)、第2の溶液相抗体の緩衝液のみ(すなわち第2の溶液相抗体なし)、IL−17C検出試薬を含むウェルにおいて得られるシグナルと定義される。このELISAアッセイは、陽性対照シグナルが、バックグラウンドシグナルの少なくとも6倍であるような方式で実行される必要がある。
【0157】
コーティング抗体として使用する抗体と、第2の(競合者)抗体として使用する抗体の選択に起因する、いずれかの人為結果(例えば、IL−17Cに対するAb−XとAb−Yとの間の有意に差のある親和性)を回避するために、クロスブロッキングアッセイを、2つの形式で実行する必要がある:1)形式1は、Ab−Xが、ELISAプレート上にコーティングされる抗体であり、Ab−Yが、溶液中である競合者抗体である場合である、2)形式2は、Ab−Yが、ELISAプレート上にコーティングされる抗体であり、Ab−Xが、溶液中である競合者抗体である場合である。
【0158】
実施例7:マウスにおけるIL−23誘発性乾癬モデル
インビボでの有効性および治療可能性を検討するために、両方の候補抗体を、マウスにおけるIL−23誘発性乾癬モデルにおいて、さらに評価した。
【0159】
マウスにおけるIL−23誘発性乾癬モデルは、基本的にRizzo H et al.J Immunol(2011)Vol.186(3)pp.1495−1502によって記載されている通りに実施した。
【0160】
簡単に言うと、4日間連続で(1日目〜4日目)、耳へのIL−23の皮内注射(1μg)によって、Balb/Cマウスにおいて皮膚病変を誘発させた。耳全体の厚さの測定を、5日目まで毎日行い、5日目にマウスを屠殺した。屠殺時に、耳介を採取し、縦方向に2つに切断した。半分は、耳の皮膚の表皮/真皮厚さの徹底的な組織学的分析のために、ホルマリン中で固定した。もう半分は、疾患関連のIL−17A、IL−22、およびIL−1β炎症性サイトカイン、およびLCN2、S100A8、およびS100A9抗微生物タンパク質のmRNA発現レベルの定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(qRT−PCR)分析のために、RNAlaterに浸した。IL−23注射マウスの群(n=10)は、MAB#1またはMAB#2抗体(これらは、10mg/kgの用量で、i.p.で2回(最初のIL−23皮内注射の3日前に1回、および最初のIL−23皮内注射の直前に1回)投与した)で治療した。
【0161】
各抗体は、3つの異なる研究に分けられる、2回の独立した実験において試験した。各研究には、次の対照群(それぞれn=10)が含められた。
【0162】
対照群のマウスは、IL−23の毎日の注射を受けなかったが、代わりに同体積のBSA/PBS溶液の毎日の皮内注射を受けた。この群は、陰性対照のアイソタイプ抗体MOR03207(2×10mg/kg、i.p.)で治療した。
【0163】
これらの研究のそれぞれについて、耳全体の厚さおよび表皮の厚さを、時間と共に追跡し、動物ごとの個々のデータ点を使用して、IL−23介在性の肥厚の予防率(%)を決定した。qPCR発現データは、ハウスキーピング遺伝子として使用されるシクロフィリンA発現レベルに対する正規化後に、Rq(相対量)算出式(Rq=2−ΔCt(ここでは、ΔCt=Ct(対象となる遺伝子)−Ct(ハウスキーピング遺伝子)))を使用して表した。すべての測定について、群の平均±SEMデータを、一元配置分散分析(ANOVA)およびダネット多重比較・事後検定(PRISMソフトウェアを使用)を用いて比較した。<0.05の「p」値は、統計的に有意であるとみなされた(*:p<0.05;**:p<0.01;***:p<0.001;ns:有意ではない)。
【0164】
要約すると、候補IgG、MAB#1とMAB#2(2×10mg/kg)の投与はどちらも、IL−23誘発性皮膚炎症を改善し、両抗体の、インビボでの有効性および治療可能性が実証された。両抗体は、IL−23誘発性表皮肥厚のレベルでの類似の効果、およびIL−23誘発性遺伝子発現のレベルでの類似の影響を有していた。(表4参照)。
【0165】
実施例8:アトピー性皮膚炎のMC903マウスモデル
アトピー性皮膚炎におけるMAB#1抗体の有効性を、アトピー性皮膚炎の非感染性皮膚炎症マウスモデルにおいて検討した。ここでは、低い血漿カルシウム上昇性の(low−calcemic)ビタミンD3類似体MC903(カルシポトリオール)の局所適用が、表皮過形成、および様々な細胞型の真皮浸潤、ならびに皮膚におけるTh2サイトカインの増加、および血清IgE上昇を伴う、赤い鱗状の皮膚を特徴とするアトピー性皮膚炎様皮膚病変を誘発する(Li M et al.Proc Natl Acad Sci USA(2006)Vol.103(31)pp.11736−11741;Li M et al.J Invest Dermatol.(2009)Vol.129(2).pp.498−502)。
【0166】
8.1 動物
BALB/cマウス(雌、8週齢)を、Janvier Labs(フランス)から入手した。マウスは、12時間の明/暗周期(0700〜1900)に置いた。温度は、22℃に維持し、食料および水は、自由摂食で提供された。
【0167】
8.2.実験手順
AD様反応を誘発するために、2nmol MC903(Tocris、エタノールに溶解)を、5日間連続で、マウスの両耳に20μLの体積で局所適用した。非疾患対照群は、同量のエタノール(EtOH)を与えられた。
【0168】
皮膚炎症(紅斑および肥厚)の重症度を、毎日観察した。耳の厚さは、電子ノギス(Mitutoyo)を用いて測定した。炎症を、インビボイメージング技術を使用して、さらに評価した。この目的で、Prosense 680プローブ(1.6nmol、Perkin Elmer)を、イメージングの24時間前に、腹腔内経路によって投与した。イメージングは、Bruker In−vivo Xtreme Imaging Systemを用いて実施した。画像は、十分に冷却した4MP CCDカメラ(f−ストップ1.1、ビニング2×2、収集時間5秒、Ex 630nm、Em 700nm)によって取り込んだ。解剖学的な同時記録のために、リフレクタンス画像を撮影した(f−ストップ2.8、収集時間0.175秒)。すべての画像は、190×190視野で撮影し、画像は、Molecular Imaging Softwareバージョン7.1(Bruker Biospin,Billerica,MA,USA)を使用して解析した。各群について、各マウスについての左耳と右耳の平均値を使用して、平均値および平均値の標準誤差(sem)を算出した。
【0169】
屠殺時に、耳の皮膚からの試料を収集し、4%ホルムアルデヒド中で固定し、その後パラフィンに包埋した。4μm厚の切片を、Sisn’Comソフトウェア(フランス)を用いる画像分析による表皮厚さの組織形態計測的評価のために、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色した(H&E染色)。1つの耳あたり、上から下まで耳全体をカバーする5つの視野(×20の高倍率視野)を測定し、5つの値を耳ごとにおよびマウスごとに(左/右耳)平均した。抗IL−17Cビオチン化MAB抗体(およびビオチン化されたMOR03207アイソタイプ陰性対照抗体)を使用するIL−17CのIHC染色のために、組織切片の追加のセットを調製した。処理および染色は、基本的に、上に記載した通りに行った。
【0170】
耳の皮膚試料をまた、qPCRまたはELISAを使用するサイトカイン発現の分析のために採取した。qPCR遺伝子分析のための耳組織片を、RNALater(登録商標)安定化溶液(Ambion)に浸して、−20℃で保管した。タンパク質レベルでの定量化のための耳の皮膚試料を、液体N2中で直ちに瞬間凍結させ、−80℃で保管した。遺伝子発現分析のために、Precellysホモジナイザー(1.4mmセラミドビーズを充填したマイクロチューブ、6000rpmで15秒の3サイクルを3回)を使用して、組織を破壊し、RNA溶解溶液中で溶解させた。製造業者のガイドライン(Macherey−Nagel)に従ってNucleoSpin(登録商標)RNA Kitを使用して、全RNAをさらに抽出し、Applied Biosystems(商標)High−Capacity cDNA Reverse Transcription Kitを使用して、300ngを逆転写させた。5μLの10倍希釈したcDNAを、Qiagenからの遺伝子特異的プライマーを用いるSYBR Green技術を使用するリアルタイム定量的PCR反応に使用した。qPCRは、ViiA(商標)7 Real−Time PCR System(Applied Biosystems)上で実施した。遺伝子発現を、3つの異なるハウスキーピング遺伝子(シクロフィリン、b−アクチン、およびGAPDH)の発現に対して正規化し、2
−ΔCt方法(ΔCt=Ct遺伝子−Geomean Ct値(ハウスキーピング遺伝子)を用いる)を使用して得られる特定の遺伝子発現の相対的mRNAレベルとして表した。タンパク質レベルでの発現の定量化のために、Precellysホモジナイザー(2.8mm金属ビーズを充填したマイクロチューブ、4℃で14000rpm10分)を使用して、組織を最初に破壊し、250μL溶解緩衝液(Protease Inhibitor Cocktail(Roche)およびHalt(商標)Phosphatase Inhibitor Cocktail(Pierce)を添加したT−PER(商標)Tissue Protein Extraction Reagent(Pierce))中で溶解させた。R&D SystemからのTSLPマウスDuoSet ELISAキットを使用して、耳におけるTSLPの量を決定した。この量を、溶解物中の全タンパク質含有量(これは、BSAタンパク質標準を参照して、Coomassie Protein Assay Reagent(Thermo Fisher)を使用して決定された)に対して正規化した。データは、次の式を使用して算出された、耳におけるサイトカインの量として表した:試料中のサイトカイン濃度/試料中のタンパク質の濃度×耳の全タンパク質含有量。
【0171】
読み取りのそれぞれに対する、治療の効果の有意性を、MC903+MOR03207対照群に対して、一元配置ANOVA、それに続くダネットの多重比較・事後検定を使用して、Prism(登録商標)Softwareを用いて評価した(*:p<0.05;**:p<0.01;***:p<0.001)。
【0172】
8.3.アトピー性皮膚炎のマウスモデルにおけるMAB#1の有効性(予防的)
MC903アトピー性皮膚炎モデルにおける様々な用量のMAB#1の有効性を、予防的設定で評価した。簡単に言うと、皮膚病変は、5日間連続の両耳への2nmol MC903(エタノールに溶解)の局所投与によって、BALB/cマウスにおいて誘発させ;8日目にマウスを屠殺した。MAB#1は、3回、すなわち、最初のMC903適用の3日前、適用の開始時、および4日後に、i.p.投与した。耳介腫脹、耳の炎症、表皮過形成、真皮厚さ、および遺伝子発現に対する効果を評価した。アイソタイプ陰性対照抗体(MOR03207)を与えられたマウスの群は、対照群(comparator)としての役割を果たした。デキサメタゾン(5mg/kg(0.5%メチルセルロース中)、MC903適用の初日から、経口経路(p.o.)によって毎日投与)を、実対照薬(active comparator)として使用した。マウスは、ランダムに等しい群(n=10)に分けた。
【0173】
皮膚炎症(紅斑および肥厚)の重症度を、実験の経過中、追跡した。耳全体の厚さは、実験の経過中、Mitutoyo厚さゲージを使用して測定した。炎症を、8.2に記載した通りに、インビボイメージング技術を使用して、5日目にさらに評価した。
【0174】
(ビヒクル対照としての)エタノールは、耳に対して影響を与えなかった。対照的に、MC903処置した耳は、赤くなり腫大した。2mg/kg以上の用量でのMAB#1での治療は、耳の肥厚を有意に予防した。MAB#1の効果は、10mg/kgの用量で最大であり、デキサメタゾンの効果に匹敵していた(
図1)。これらの観察に従うと、耳の炎症(5日目でのインビボイメージングにより評価)は、MC903処置動物では明らかに増大し、MAB#1によって、有意な、かつ10mg/kgの用量で観察されるほぼ最大の効果を伴って軽減された(
図2)。
【0175】
MAB#1による耳の厚さの減少を確認するために、8日目に採取した耳の組織学的切片を、表皮および真皮厚さの組織形態計測的評価のために、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。1つの耳あたり、上から下まで耳全体をカバーする5つの視野の値を獲得し、マウスごとに平均した。10mg/kgおよびそれ以上の用量のMAB#1は、表皮層と真皮層両方の厚さの増大を有意に予防した(
図3)。
【0176】
8.3.1 遺伝子発現に対するMAB#1の効果
MC903アトピー性皮膚炎様皮膚炎症モデルにおけるMAB#1の効果をさらに特徴付けるために、種々のアトピー性皮膚炎関連遺伝子の発現を、qPCRによってmRNAレベルで、または酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によってタンパク質レベルで分析した。耳におけるTSLPおよびIL−33タンパク質発現、ならびに血漿中のTARCレベルは、MC903適用によって増大し、10mg/kg以上の用量のMAB#1での治療時に有意に阻害された(
図4)。MAB#1を用いて、IL−31(アトピー性皮膚炎における痒みに関連するサイトカイン)、Th2−サイトカインIL−4のような、MC903処置された耳において上方調節されたいくつかの他の遺伝子、ならびにS100A8/9およびIFN−γのような、ヒトアトピー性皮膚炎において上方調節されることが示されている他の遺伝子に対する同様の阻害効果が観察された。逆に、MAB#1は、MC903処置された耳におけるFLG2の下方調節を予防することが示され、これは、バリア機能を回復させることにおけるMAB#1の潜在的役割を示唆する可能性がある。
【0177】
8.4 アトピー性皮膚炎のマウスモデルにおけるMAB#1の有効性(治療的)
MC903アトピー性皮膚炎モデルにおける様々な用量のMAB#1の有効性を、より疾患に関連する治療的設定で評価した。簡単に言うと、皮膚病変は、5日間連続の両耳への2nmol MC903(エタノールに溶解)の局所投与によって、あらゆる治療の開始前に、BALB/cマウスにおいて誘発させた。MAB#1は、4回(MC903皮膚適用の最終日(5日目)の最初の投与、および続いて8日目、12日目、および15日目に)、i.p.投与した。マウスは、16日目に屠殺した。耳介腫脹、耳の炎症、表皮過形成、真皮厚さ、および遺伝子発現に対する効果を評価した。さらに、免疫細胞(好酸球、T細胞、およびマスト細胞)の流入に対する効果も評価した。アイソタイプ陰性対照抗体(MOR03207)を与えられたマウスの群は、対照群としての役割を果たした。デキサメタゾン(1mg/kg(0.5%メチルセルロース中)、5日目のMC903適用の最終日から開始し、その後、8日目から12日目まで、および15日目から16日目まで、経口で投与)を、実対照薬として使用した。
【0178】
8.4.1 耳全体の厚さおよび炎症に対するMAB#1の効果
耳全体の厚さは、実験の経過中、Mitutoyo厚さゲージを使用して測定した。MC903の耳への局所適用は、(MC903に対するビヒクル対照としての)エタノールで処置した耳と比較すると、3日目からの耳の厚さの顕著な増大を誘発した。疾患活性は、5日目(すなわち最初の治療の日)で十分に誘発され、陰性対照抗体MOR03207で治療された群では、耳介腫脹の継続する増大から明らかであるように、その後(MC903適用が停止されても)発達し続けた(
図5)。0.4mg/kg以上の用量でのMAB#1での治療は、12日目から耳の肥厚を有意に低下させ、より高い用量のMAB#1は、より強い効果を有し、より早い時点でさえ(50mg/kgのMAB#1については8日目から、10および2mg/kgの用量については10日目から))、耳の厚さを有意に低下させた。これらの観察に従うと、(8.2に記載される通りに)インビボイメージングによって評価される12日目の耳の炎症は、陰性対照抗体で治療された動物では、依然として増大し、すべての用量レベルで、MAB#1によって、2mg/kgの用量で観察される最大の効果を伴って有意に軽減された(
図6)。
【0179】
8.4.2 耳の表皮/真皮厚さに対するMAB#1の効果
MAB#1による耳の厚さの減少を確認するために、16日目に採取した耳の組織学的切片を、表皮および真皮厚さの組織形態計測的評価のために、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。2mg/kgおよびそれ以上の用量のMAB#1は、耳全体の厚さの測定と一致して、表皮層と真皮層両方の厚さの増大を強力に低下させた(
図7)。
【0180】
8.4.3 真皮細胞浸潤に対するMAB#1の効果
MC903アトピー性皮膚炎モデルにおける、MAB#1の疾患進行に対する効果をさらに特徴付けるために、本発明者らは、細胞浸潤に対する効果を評価した。より具体的には、本発明者らは、免疫組織化学(IHC)、およびそれに続く、好酸球・ペルオキシダーゼ、T細胞マーカー・CD3、およびマスト細胞・トリプターゼを検出する抗体でそれぞれ染色された面積の定量化によって、好酸球、T−リンパ球、およびマスト細胞に対する効果を評価した(詳細については、(Marsais,2016)を参照のこと)。炎症および耳の厚さの増大と一致して、好酸球、T細胞、および比較的程度は低いがマスト細胞の浸潤が、疾患活性がMC903によって誘発されたマウスの耳において、16日目に依然として顕著であった。MAB#1の治療は、検討された3つすべての細胞型の真皮浸潤を低下させた(
図8)。試験されたすべてのMAB#1用量で、浸潤した好酸球およびT細胞の数の有意な減少が認められ、50mg/kgという、より高い用量は、より強い効果を有し、これらの細胞型の流入を、デキサメタゾンの効果に匹敵するレベルまで低下させた。マスト細胞浸潤に対する効果は、一般に、より弱いが、それでも有意であった:流入は、50および10mg/kgという、より高い用量のMAB#1によって、有意に低下した。
【0181】
8.4.4 遺伝子発現に対するMAB#1の効果
発現は、16日目に採取した耳の皮膚試料または血漿に対して、8.2に記載した通り、8つの疾患関連遺伝子についてはqPCRによって、またはTSLP、および耳において産生されたIL−33、および血漿中のTARCについてはELISAによって分析した。
【0182】
EtOH処置された非疾患対照マウスと、最初の5日間のMC903の適用によって疾患が誘発されたマウスとの間には、分析された遺伝子のほとんどについて、有意な発現差は認められなかった可能性がある。IL−33タンパク質のレベル、ならびにIL−4、S100A9、およびIFN−γ mRNA発現レベルのみ、依然として増大した。これらの遺伝子(IFN−γ以外)についての発現レベルの増大は、すべての用量レベルで、
図9に示す通り、MAB#1治療によって低下した。
【0183】
8.5.結果
MAB#1は、3×10mg/kgで腹腔内に(i.p.)予防的に投与された場合に、表皮および真皮肥厚、炎症、ならびに2型ヘルパーT細胞(Th2)様遺伝子発現に対する有意な効果を伴い、MC903モデルにおけるアトピー性皮膚炎様皮膚炎症の発生を予防した。耳全体の厚さに対する有意な効果は、3×2mg/kg(i.p.)の用量で、このモデルにおいて既に観察された。また、治療的MC903モデルでは、MAB#1は、皮膚炎症を改善した。4×0.4mg/kg(i.p.)の用量、最大4×2〜10mg/kg(i.p.)の用量で、耳全体の厚さ、表皮肥厚、炎症、ならびに好酸球およびT細胞の流入に対する有意な治療効果が認められた。
【0184】
実施例9:アトピー性皮膚炎のフレーキーテイルマウスモデル
MAB#1抗体の有効性を、フレーキーテイルモデルにおいて評価した。フレーキーテイルマウスは、皮膚バリア機能不全をもたらす、FlgおよびMatt(Matt
ma/maFlg
ft/ft)遺伝子の変異を有する。これらのマウスは、混合型のTh2/Th17炎症性表現型を特徴とするアトピーおよび進行性の皮膚炎を自然に発症し、ヒトにおけるADの基本的特徴を再現する。
【0185】
9.1.動物&実験手順
コンジェニックC57BL/6Jバックグラウンドに対するフレーキーテイル(Matt
ma/maFlg
ft/ft)マウスを、Fallon et al(2009)Nat Genet.41(5):602−608およびSaunders et al(2013)J Allergy Clin Immunol 132(5):1121−1129に記載されている通りに使用した。雌のフレーキーテイルマウス(9〜10週齢)を、無作為に4つの群(8匹のマウス/群)に分け、次の通りに6週間治療した。
−第I群:アイソタイプ陰性対照抗体(MOR03207)(30mg/kg、ip、週2回×6週)
−第II群:MAB#1(3mg/kg、ip、週2回×6週)
−第III群:MAB#1(30mg/kg、ip、週2回×6週)
−第IV群:デキサメタゾン2mg/kg(ip、1週間に2回×6週)、実対照薬として
【0186】
AD様皮膚炎症の重症度を、Saunders et al(2013)J Allergy Clin Immunol 132(5):1121−1129に記載されている通りに、NC/Ngaマウスモデルにおける皮膚炎症の評価から適合させた肉眼的診断基準を使用してスコア付けした。簡単に言うと、紅斑、表皮剥離、および鱗屑化の徴候に対して、スコア付けシステム(0:なし;1:軽度;2:中等度;3:顕著)を適用した。各マウスについての合計スコア(最大値は9である)を、3つのパラメータのそれぞれに対する個々のスコアの合計から算出した。
【0187】
眼瞼皮膚における湿疹病変の出現を、研究の最後に観察し、眼瞼炎を、その重症度について、個別にスコア付けした(0:正常、1:眼瞼紅斑および/または浮腫、2:眼瞼紅斑、浮腫、および鱗屑化、3:眼瞼紅斑、浮腫、鱗屑化、びらん)。各マウスについての最大の眼瞼炎スコア(両眼の平均)は、3である。
【0188】
9.2.ADの自然発生&慢性フレーキーテイルマウスモデルにおけるMAB#1の有効性
皮膚炎症の臨床的スコア付けは、フレーキーテイルマウスが、治療の開始時に自然発生の湿疹様皮膚炎の徴候を既に有しており、これは、治療されていない動物では、6週の追跡調査期間中に、顕性の皮膚炎にさらに進行したことを示す。MAB#1での治療は、進行を低下させ、最も高い30mg/kgの試験用量では、デキサメタゾンの効果に匹敵する有意な効果が認められる(
図10)。治療の最後には、眼瞼炎のレベルで、MAB#1抗体の同様の効果が認められる(
図11)。
また、本発明は以下を提供する。
[1]
IL−17Cに特異的な抗体または抗体断片において、
(a)配列番号7のHCDR1領域、配列番号8のHCDR2領域、配列番号9のHCDR3領域、配列番号13のLCDR1領域、配列番号14のLCDR2領域、および配列番号15のLCDR3領域、または
(b)配列番号20のHCDR1領域、配列番号21のHCDR2領域、配列番号22のHCDR3領域、配列番号26のLCDR1領域、配列番号27のLCDR2領域、および配列番号28のLCDR3領域
を含む抗体と交差競合することを特徴とする抗体または抗体断片。
[2]
IL−17Cに特異的な抗体または抗体断片において、
(a)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCDR1領域、配列番号8のアミノ酸配列を含むHCDR2領域、配列番号9のアミノ酸配列を含むHCDR3領域、配列番号13のアミノ酸配列を含むLCDR1領域、配列番号14のアミノ酸配列を含むLCDR2領域、および配列番号15のアミノ酸配列を含むLCDR3領域、または
(b)配列番号20のアミノ酸配列を含むHCDR1領域、配列番号21のアミノ酸配列を含むHCDR2領域、配列番号22のアミノ酸配列を含むHCDR3領域、配列番号26のアミノ酸配列を含むLCDR1領域、配列番号27のアミノ酸配列を含むLCDR2領域、および配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR3領域
を含むことを特徴とする抗体または抗体断片。
[3]
前記抗体または抗体断片が、
(a)配列番号7のHCDR1領域、配列番号8のHCDR2領域、配列番号9のHCDR3領域、配列番号13のLCDR1領域、配列番号14のLCDR2領域、および配列番号15のLCDR3領域、または
(b)配列番号20のHCDR1領域、配列番号21のHCDR2領域、配列番号22のHCDR3領域、配列番号26のLCDR1領域、配列番号27のLCDR2領域、および配列番号28のLCDR3領域
を含むことを特徴とする[2]に記載の抗体または抗体断片。
[4]
前記抗体または抗体断片が、ヒトIL−17Cに特異的であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載の抗体または抗体断片。
[5]
前記抗体または抗体断片が、ヒトIL−17C、カニクイザルIL−17C、およびマウスIL−17Cに特異的であることを特徴とする[4]に記載の単離された抗体または抗体断片。
[6]
前記抗体または抗体断片が、ヒト、ヒト化、またはキメラ抗体または抗体断片であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか一項に記載の抗体または抗体断片。
[7]
前記抗体または抗体断片が、配列番号17の重鎖および配列番号16の軽鎖を含むことを特徴とする[1]〜[6]のいずれか一項に記載の抗体または抗体断片。
[8]
前記抗体または抗体断片が、配列番号30の重鎖および配列番号29の軽鎖を含むことを特徴とする[1]〜[7]のいずれか一項に記載の抗体または抗体断片。
[9]
前記抗体または抗体断片が、単離された抗体または抗体断片であることを特徴とする[1]〜[8]のいずれか一項に記載の抗体または抗体断片。
[10]
前記抗体または抗体断片が、組換え抗体または抗体断片であることを特徴とする[1]〜[9]のいずれか一項に記載の抗体または抗体断片。
[11]
それを必要とする対象の治療における使用のためのものであることを特徴とする[1]〜[10]のいずれか一項に記載の抗体または抗体断片。
[12]
[1]〜[11]のいずれか一項に記載の抗体または抗体断片をコードする核酸配列または複数の核酸配列を含むことを特徴とする核酸組成物。
[13]
[12]の核酸配列または複数の核酸配列を含むベクターまたは複数のベクターを含むことを特徴とするベクター組成物。
[14]
[13]のベクター組成物を含むことを特徴とする細胞。
[15]
[1]〜[11]のいずれか一項に記載の抗体または抗体断片と、薬学的に許容し得る担体または賦形剤とを含むことを特徴とする医薬組成物。