(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記係合雄部は、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合した状態において、前記紐状体を係止する係止突起をさらに有する、ことを特徴とする請求項1に記載の留め具。
前記係合雌部は、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合した状態において、前記紐状体を係止する係止突起をさらに有する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の留め具。
前記係合雄部の前記係止突起は、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合した状態において、前記係合雌部が前記紐状体と当接する位置に対向する部分に配置されている、ことを特徴とする請求項2に記載の留め具。
前記係合雌部の前記係止突起は、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合した状態において、前記係合雄部が前記紐状体と当接する位置に対向する部分に配置されている、ことを特徴とする請求項3に記載の留め具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の技術では、荷物を保管する装置の設置および運用に伴うコストがかかり、一度設置された装置の移動は容易でないため、装置の設置場所によっては受取人にとっての利便性が低い場合がある。
【0005】
さらに、いわゆる置き配とよばれる配達形態の配達サービスを展開する配達業者も存在する。置き配とは、荷物の配達業者が、荷物の受取人が届け先の場所に不在である場合に、荷物の受取人によってあらかじめ指定された場所に荷物を置いておく配達形態である。また、配達業者が、荷物を保管するための容器に荷物を入れ、ロックを使用して容器を施錠する場合もある。
【0006】
ただし、容器を施錠するロックは、南京錠など、複数回の配達を通じて繰り返し使用できるように構成されており、暗証番号の設定など配達前の準備の手間やロックの製造コストが、置き配の配達サービスを展開する上での支障となる可能性がある。
【0007】
本件開示の技術は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡易な構成で、荷物が収容された状態を維持可能な留め具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本件開示の留め具は、係合雄部と、係合雄部と係合する係合雌部と、係合雄部と係合雌部との係合を解除する係合解除部とを有する留め具であって、係合雄部は、荷物の収容に用いられる紐状体が挿し通される孔部と、係合雌部と係合する第1係合部とを有し、係合雌部は、孔部および第1係合部を収容する収容部と、第1係合部と係合する第2係合部と、第1係合部と第2係合部との係合部分に連通する開口部と、係合解除部と係合する第3係合部とを有し、係合解除部は、開口部に挿し通される挿入部と、第3係合部と係合解除不能に係合する第4係合部とを有し、孔部および第1係合部が収容部に収容され、かつ第1係合部と第2係合部とが係合した状態において、孔部に挿し通された紐状体が係合雄部と係合雌部との間で挟持され、係合解除部の挿入部が開口部から第1係合部と第2係合部との係合部分へ挿し通されると、第1係合部と第2係合部との係合が解除されるとともに、第3係合部と第4係合部とが係合する、ことを特徴とする。
【0009】
これにより、紐状体によって荷物を収容した状態で、係合雄部と係合雌部とを紐状体に取り付けることで、係合解除部によって係合雄部と係合雌部との係合を解除しない限り荷
物を収容した状態を維持することが可能となる。また、係合解除部を係合雌部に係合すると、係合解除部を係合雌部から取り外すことができないため、別の係合雄部と係合雌部との係合を解除するために係合解除部を再利用することが防止される。
【0010】
また、上記の留め具において、係合雄部は、第1係合部と第2係合部とが係合した状態において、紐状体を係止する係止突起をさらに有してもよい。また、係合雌部は、第1係合部と第2係合部とが係合した状態において、紐状体を係止する係止突起をさらに有してもよい。これにより、係合雄部と係合雌部とを係合したときの紐状体の移動をより効果的に規制することが期待できる。
【0011】
また、上記の留め具において、紐状体を孔部に案内するスリットをさらに有してもよい。これにより、留め具の使用者は、係合雄部の孔部に紐状体をより容易に挿し通せることが期待できる。
【0012】
また、上記の留め具において、係合雄部の孔部および第1係合部は、第1の方向から収容部に収容され、係合解除部の挿入部は、第1の方向とは反対の第2の方向から第2孔部に挿し通されるように構成されてよい。これにより、留め具の使用者は、より単純な作業で係合雄部と係合雌部との係合や係合解除部を用いて当該係合の解除を行えることが期待できる。
【0013】
また、上記の留め具において、係合雄部の係止突起は、第1係合部と第2係合部とが係合した状態において、係合雌部の紐状体との当接位置に対向する部分に配置されていてもよい。また、係合雄部の係止突起は、孔部の紐状体と当接する部分に配置されていてもよい。また、係合雌部の係止突起は、第1係合部と第2係合部とが係合した状態において、係合雄部の紐状体との当接位置に対向する部分に配置されていてもよい。また、係合雌部の係止突起は、孔部の紐状体との当接位置に対向する部分に配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本件開示の技術によれば、簡易な構成で、荷物を保管する容器の施錠が可能な留め具を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態の留め具1の一例を示す。留め具1は、係合雄部100と、係合雄部100と係合する係合雌部200と、係合雄部100と係合雌部200との係合を解除する係合解除部300とを有する。留め具1は、荷物の収容に用いられる紐状体に使用される。紐状体としては、ポリエステルやナイロンなどの紐が例示される。また、紐状体を用いた荷物の収容の形態としては、開口部を紐状体で縛る巾着袋やボールネット、荷物を紐で縛るブックバンド、当該開口部をファスナで開閉する収納ケースなどが例示される。
【0017】
留め具1は、係合雄部100と係合雌部200とで紐状体を挟み込んだ状態で、係合雄部100と係合雌部200とを互いに係合させることで紐状体に取り付けられる。そして、係合雄部100と係合雌部200とが一度係合されると、係合雄部100と係合雌部200とは、その取り付け位置から紐状体上を移動しないように構成されている。このため、留め具1が、荷物の収容に用いられる紐状体に取り付けられることで、紐状体による荷物の収容状態を維持することができる。
【0018】
以下の説明では、荷物の配達員が巾着袋に荷物を収容し、巾着袋の紐を引いて開口部を閉じ、係合雄部100と係合雌部200とを互いに係合させることで紐に取り付け、荷物の受取人が係合解除部300を用いて係合雄部100と係合雌部200の係合を解除して巾着袋から荷物を取り出す場合を想定する。なお、巾着袋の紐が、紐状体の一例である。
【0019】
次に、留め具1の係合雄部100、係合雌部200、係合解除部300について説明する。係合雄部100、係合雌部200、係合解除部300は、ポリエチレン(PE)などの熱可塑性樹脂を射出成形することで製造される。まず、
図2は、本実施形態における留め具1の係合雄部100の一例を示す図である。
図2Aは斜視図であり、
図2Bは側面図であり、
図2Cは上面図であり、
図2Dは背面図であり、
図2Eは正面図である。また、
図3は、
図2CにおけるA1−A1線による係合雄部100の断面を示す図である。
【0020】
以下の説明では、
図2Bおよび
図2Cに示すように、係合雄部100の後端部100bから先端部100aへ向かう方向(側)を「前方向(側)」、その反対方向(側)を「後方向(側)」、
図2Bにおいて垂直上方向(側)を「上方向(側)」、垂直下方向(側)を「下方向(側)」とし、
図2Cにおいて垂直上方向(側)を「右方向(側)」、垂直下方向(側)を「左方向(側)」とする。
【0021】
係合雄部100は、その全体が平板形状の部材である。係合雄部100は、荷物を収容する巾着袋の開口部を閉じるために用いられる紐状体が挿し通される孔部101を有する。孔部101が、係合雄部の孔部の一例である。また、係合雄部100は、紐状体を係合雄部100の前側から孔部101に案内するための、前後方向に延びるスリット102を有する。
【0022】
スリット102の左右両側には、係合雌部200と係合する一対の係合爪部103が形成されている。係合爪部103が第1係合部の一例である。係合爪部103は、前後方向に延伸する軸部103aと、軸部103aの前側から後側に向かって折り返される折り返し部103bとを有する。折り返し部103bは、軸部103aの先端から右方向または左方向に延伸する。軸部103aと折り返し部103bの間にはスリット103cが形成されている。
【0023】
また、それぞれの係合爪部103の後側には、係合雄部100を係合雌部200に対して位置決めするための段差部104が形成されている。また、係合雄部100には、係合雌部200の一部を受け入れる一対の凹部105が形成されている。また、係合雄部100の上面には、係合雌部200に対する係合雄部100の位置決めを行うための一対の位置決め突起106が形成されている。また、係合雄部100の上面の、孔部101に対して後側の領域には、孔部101に挿し通された紐状体を係止するための、錐体形状の複数の係止突起107が形成されている。一対の位置決め突起106および複数の係止突起107は、係合雄部100の下面にも形成されている。係合雄部100の下面における位置決め突起106および係止突起107の位置は、上下方向において係合雄部100の上面における位置決め突起106および係止突起107の位置に対応している。また、孔部101の内壁101aにも、紐状体を係止するための、係止突起107と同様の錐体形状の複数の係止突起108が形成されている。
【0024】
係合雄部100の後端部100b側には、留め具1の使用者が係合雄部100を把持するための把持部109が形成されている。把持部109には、使用者が指で把持部109を把持したときの指の滑り止めとして機能する複数の滑り止め突起110が形成されている。滑り止め突起110は、係合雄部100の下面にも形成されている。
【0025】
次に、
図4は、留め具1の係合雌部200の一例を示す図である。
図4Aは斜視図であり、
図4Bは側面図であり、
図4Cは上面図であり、
図4Dは背面図であり、
図4Eは正面図である。また、
図5Aは、
図4BにおけるB1−B1線による係合雌部200の断面を示す図であり、
図5Bは、
図4CにおけるB2−B2線による係合雌部200の断面を示す図である。
【0026】
以下の説明では、
図4Bおよび
図4Cに示すように、係合雌部200の後端部200bから先端部200aへ向かう方向(側)を「前方向(側)」、その反対方向(側)を「後方向(側)」、
図4Bにおいて垂直上方向(側)を「上方向(側)」、垂直下方向(側)を「下方向(側)」とし、
図4Cにおいて垂直上方向(側)を「右方向(側)」、垂直下方向(側)を「左方向(側)」とする。
【0027】
係合雌部200は、係合雄部100の孔部101および係合爪部103を収容する収容部201を有する。孔部101および係合爪部103は、係合雌部200の背面(後面)に形成された開口部202から収容部201内に挿入される。収容部201には、係合雄部100の孔部101および係合爪部103が収容部201に収容された状態において、孔部101に挿し通された紐状体を受け入れる凹部203が形成されている。凹部203は、係合雌部200の上下方向において、収容部201の内壁の互いに対向する部分に、開口部202と連続するように設けられている。
【0028】
また、収容部201の内壁には、係合雄部100の係合爪部103と係合する係合突起204が形成されている。本実施形態では、係合雄部100の係合爪部103が、係合雄部100の左右方向において一対となるように形成されているため、係合突起204も、係合爪部103の位置に対応するように、収容部201の左右方向において一対となるように収容部201の内壁に形成されている。
【0029】
また、収容部201には、係合雄部100の孔部101および係合爪部103が収容部201に収容された状態において、孔部101と対向する位置に、孔部101に挿し通された紐状体を係止するための複数の係止突起205が形成されている。また、係合雌部200の正面(前面)には、開口部206が形成されている。開口部206は、収容部201において、係合爪部103と係合突起204との係合部分に連通する。また、係合雌部200の剛性は、留め具1の使用者などが係合雌部200の側面から力を加えても変形せず、係合爪部103と係合突起204との係合が維持されるように設定されている。
【0030】
また、係合雌部200には、係合解除部300と係合する係合凹部207が形成されている。本実施形態では、係合凹部207は、係合雌部200の各側面にそれぞれ形成されている。なお、係合凹部207が、係合雌部の第3係合部の一例である。また、係合雌部200の上面および下面には、係合解除部300が係合雌部200と係合する際に係合解除部300を案内する案内溝208がそれぞれ形成されている。
【0031】
次に、
図6は、留め具1の係合解除部300の一例を示す図である。
図6Aは斜視図であり、
図6Bは側面図であり、
図6Cは上面図であり、
図6Dは背面図であり、
図6Eは正面図である。また、
図7Aは、
図6BにおけるC1−C1線による係合解除部300の断面を示す図であり、
図7Bは、
図6CにおけるC2−C2線による係合解除部300の断面を示す図である。
【0032】
以下の説明において、
図6Bおよび
図6Cに示すように、係合解除部300の後端部300bから先端部300aへ向かう方向(側)を「前方向(側)」、その反対方向(側)を「後方向(側)」、
図6Bにおいて垂直上方向(側)を「上方向(側)」、垂直下方向(側)を「下方向(側)」とし、
図6Cにおいて垂直上方向(側)を「右方向(側)」、垂直下方向(側)を「左方向(側)」とする。
【0033】
係合解除部300は、係合雌部200を収容する収容部301を有する。係合雌部200は、係合解除部300の背面(後面)に形成された開口部302から収容部301内に挿入される。収容部301には、係合雌部200が収容部301に収容される際に、係合雌部200の開口部206に挿し通される挿入部303が形成されている。挿入部303は、係合解除部300の後端部300b側から先端部300a側に向かうにつれて、その左右方向の幅が大きくなるような、くさび形となるように形成されている。また、本実施形態では、開口部206が、係合雌部200の左右方向において一対となるように形成されているため、挿入部303も、開口部206の位置に対応するように、収容部301の左右方向において一対となるように形成されている。
【0034】
また、係合解除部300の収容部301には、係合雌部200の係合凹部207と係合する係合爪部304が形成されている。係合爪部304は、収容部301の内壁から係合解除部300の先端部300a側に向かって延伸するように形成される。また、係合爪部304と収容部301の内壁との間にはスリット305が形成されている。
【0035】
また、係合解除部300の収容部301には、係合雌部200が収容部301に収容される際に、係合雌部200の案内溝208に沿って摺動する摺動突起306が形成されている。本実施形態では、係合雌部200の案内溝208が、係合雌部200の上下方向において一対となるように形成されているため、摺動突起306も、案内溝208の位置に対応するように、収容部301の上下方向において一対となるように形成されている。また、係合解除部300の先端部300a側には、留め具1の使用者が係合解除部300を把持するための把持部307が形成されている。
【0036】
次に、上記の係合雄部100、係合雌部200、係合解除部300を有する留め具1の使用例について図を参照しながら説明する。ここでは、荷物の受取人が荷物の届け先に不在であり、荷物の配達員が受取人によって指定された場所に備え付けられている巾着袋に荷物を収容する。巾着袋には、巾着袋の荷物の出し入れするための開口を開閉させる紐400が設けられている。また、荷物の配達員は、係合雄部100と係合雌部200を所持しており、荷物の受取人は、係合解除部300を所持していると想定する。
【0037】
荷物の配達員は、荷物を巾着袋に収容して紐400によって開口部を閉じた後、係合雄部100の把持部109を指で把持して、巾着袋の紐400を、係合雄部100のスリット102から孔部101に移動させる。そして、配達員は、孔部101に紐400が挿し通されている状態で、係合雄部100を後側から前側に向かう方向(第1の方向)に移動して、係合雄部100の係合爪部103を係合雌部200の開口部202から収容部201に挿入する。
【0038】
図8に、係合爪部103が収容部201に挿入される状態の一例を示す。
図8Aは、斜視図であり、
図8Bは側面図である。また、
図8Cは、
図8BのD1−D1線による係合雄部100および係合雌部200の断面図である。また、
図9Aおよび
図9Bに示すように、係合雄部100の係合爪部103の左右方向の幅をW1とし、係合雌部200の収容部201における一対の係合突起204の間の幅をW2とする。本実施形態では、W1がW2よりも大きくなるように設定されている。このため、係合爪部103が収容部201に挿入されたときに、折り返し部103bが係合突起に当接することとなる。
【0039】
係合爪部103が収容部201に挿入され、係合爪部103が収容部201内の係合突起204に当接した後、配達員は、係合雄部100をさらに係合雌部200側に押し込む。係合爪部103にはスリット103cが形成されているため、係合爪部103の折り返し部103bは、係合突起204に押されて軸部103a側に撓む。そして、折り返し部103bは、係合突起204に当接して軸部103a側に撓んだ状態を維持しながら、係合雄部100の押し込みに合わせて収容部201内を移動する。そして、折り返し部103bが係合突起204から離れると、折り返し部103bは撓んだ状態から復元する。
【0040】
図10A〜
図10Cには、係合雄部100の係合爪部103が収容部201内で復元した状態を示す。
図10Aは斜視図であり、
図10Bは側面図であり、
図10Cは上面図である。なお、
図9Bおよび
図9Cでは、紐400を省略している。また、
図11Aは、
図10BにおけるE1−E1線による係合雄部100、係合雌部200、紐400の断面を示す図であり、
図11Bは、
図10CにおけるE2−E2線による係合雄部100、係合雌部200、紐400の断面を示す図である。
【0041】
係合雌部200の収容部201内で折り返し部103bが復元すると、係合雄部100の後端部100b側にある折り返し部103bの端面103dが係合突起204と対向する状態となる。このため、係合雄部100を係合雌部200から引き抜く力、すなわち係合雄部100を後方向に引く力が働いても、折り返し部103bの端面103dが係合突起204に当接することで、係合雄部100の後方向への移動が規制される。このようにして係合爪部103と係合突起204とが係合する。ここで、係合突起204が、係合雌部の第2係合部の一例である。
【0042】
また、係合爪部103と係合突起204とが係合したときに、係合雌部200の係合突起204が係合雄部100の段差部104の窪みに移動した状態となる。この結果、段差部104によって係合雄部100と係合雌部200との相対的な位置決め効果が期待できる。さらに、係合爪部103と係合突起204とが係合したときに、係合雌部200の一部が係合雄部100の凹部105に嵌合した状態となる。この結果、凹部105によって
も、係合雄部100と係合雌部200との相対的な位置決め効果が期待できる。
【0043】
また、係合爪部103と係合突起204とが係合した状態において、係止突起107は、収容部201の内壁が孔部101から延びる紐400と当接する位置に対向する。これによって、紐400が、係合雄部100の係止突起107と係合雌部200の収容部201の内壁に挟持される。さらに、係合雄部100の孔部101に挿し通されている紐400が、係合雄部100の係止突起108と係合雌部200の係止突起205との間に挟持される。この結果、外部から紐400が引っ張られても、互いに係合した係合雄部100および係合雌部200に対する紐400の相対移動が規制される。したがって、配達員が荷物を収容した巾着袋の開口を閉じた状態で、開口の紐400の通し口部分で、上記のように係合雄部100と係合雌部200とを互いに係合させて紐400に取り付けることで、紐400が引っ張られても開口は閉じた状態で維持されるため、後述する係合解除部300によって係合雄部100と係合雌部200の係合が解除されない限り、容易に巾着袋の開口を開くことができなくなる。
【0044】
次に、紐400に取り付けられた係合雄部100と係合雌部200の係合が係合解除部300によって解除される場合の各部の動作について図を参照しながら説明する。荷物の受取人は、係合解除部300の把持部307を把持し、係合解除部300を後側から前側に向かう方向(第2の方向)に移動して、係合解除部300の一対の挿入部303を、係合雌部200の背面に設けられている一対の開口部206から収容部201内に挿入する。このとき、係合解除部300の摺動突起306が、係合雌部200の案内溝208と嵌合する。摺動突起306と案内溝208とによって、係合解除部300の係合雌部200に対する移動が、案内溝208に沿った移動となるように規制されるため、受取人は、係合解除部300のがたつきを抑えつつ、係合解除部300を係合雌部200に対してスムーズに移動させることができる。なお、本実施形態の留め具1によれば、配達員は、係合雄部100を前側に向かって移動して係合雌部200と係合させ、受取人は、係合解除部300を後側に向かって移動して係合雌部200と係合させつつ係合雄部100と係合雌部200との係合を解除できるため、留め具1の使用者は、複雑な作業を行うことなく、係合雄部100と係合雌部200との係合および係合解除を行うことができる。
【0045】
図12に、係合解除部300の挿入部303が開口部206から挿入された状態の一例を示す。
図12Aは斜視図であり、
図12Bは、
図11Aの断面図に対応する係合雄部100、係合雌部200、係合解除部300、紐400の断面図である。
【0046】
係合解除部300の挿入部303が開口部206から挿入されると、受取人による係合解除部300の移動に合わせて、挿入部303は、さらに収容部201内を移動し、収容部201内の係合雄部100の係合爪部103の折り返し部103bに当接する。挿入部303の左右方向の幅は、係合解除部300の先端部300aから後端部300bに向かうにつれて大きくなっている。このため、挿入部303は、折り返し部103bに当接した後、収容部201内をさらに移動するときに折り返し部103bをスリット103c側に撓ませる。そして、
図12Bに示すように、係合解除部300の収容部301に係合雌部200が収容されると、折り返し部103bの端面103dと係合突起204とが互いに対向しない状態となる。これによって、係合爪部103と係合突起204との係合が解除される。
【0047】
また、係合解除部300の挿入部303が開口部206から挿入されて、挿入部303が収容部201内を移動するとき、係合解除部300の係合爪部304が、係合雌部200に当接した後、係合解除部300の移動に伴ってスリット305側に撓む。そして、
図12Bに示すように、係合解除部300の収容部301に係合雌部200が収容された状態において、係合爪部304が撓んだ状態から復元して係合雌部200の係合凹部207
と係合する。また、
図12Bに示すように、係合爪部304が係合凹部207と一旦係合すると、係合雌部200と係合解除部300との相対移動が規制されるため、係合解除部300を係合雌部200から取り外すことはできなくなる。したがって、係合解除部300が、係合雄部100と係合雌部200の係合の解除に使用されると、他の係合雄部100と係合雌部200の係合の解除には使用することはできない。なお、係合爪部304が、係合雌部の第3係合部と係合解除不能に係合する第4係合部の一例である。
【0048】
受取人は、係合爪部103と係合突起204との係合が解除された状態で、係合雄部100の把持部109を把持し、係合雄部100を係合雌部200から引き抜く。
図13Aおよび
図13Bに、係合雄部100が係合雌部200から引き抜かれるときの、係合雄部100、係合雌部200、係合解除部300、紐400の一例を示す。
図13Bに示すように、孔部101に挿し通されている紐400の、係止突起108および係止突起205による係止が解除され、留め具1と紐400の相対移動が可能になる。さらに、受取人は、係合雄部100を係合雌部200から取り外し、紐400をスリット102を介して孔部101から取り外す。これにより、受取人は、巾着袋の開口を開いて荷物を取り出すことができる。
【0049】
以上が本実施形態に関する説明であるが、本実施形態の留め具の各部等の構成は、上記説明の内容に限定されるものではなく、本発明の技術的思想と同一性を失わない範囲内において種々の変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、孔部101に通される紐状体として1本の紐400を想定しているが、孔部101には複数本の紐状体が挿し通されてもよいし、互いに異なる種類の紐状体が挿し通されてもよい。例えば、穴を有する2つのファスナを隣り合わせの位置に移動して開口を閉じる容器の場合、開口を閉じた状態で1本の紐を各ファスナの穴に通し、ファスナが移動して開口が開かないように紐をまとめた状態で、紐に係合雄部100と係合雌部200を取り付けることで、ファスナを移動しても開口が開かないようにすることができる。また、上記の実施形態において、収容部201の内壁に紐400の係止突起を配置してもよい。当該係止突起が配置される部分として、係合雄部100と係合雌部200とが係合した状態において、収容部201の内壁の係止突起107に対向する部分が挙げられる。また、上記の実施形態において、荷物の受取人が係合解除部300を所持する代わりに、荷物の配達員が、係合雄部100と係合雌部200を紐400に取り付けた後に、荷物の受取人の自宅の郵便受けに係合解除部300を投入し、荷物の受取人が郵便受けから係合解除部300を取り出して使用してもよい。
【解決手段】留め具は、係合雄部と、係合雌部と、係合解除部を有する。係合雄部は、紐状体が挿し通される孔部と第1係合部とを有し、係合雌部は、孔部および第1係合部を収容する収容部と、第1係合部と係合する第2係合部と、第1係合部と第2係合部との係合部分に連通する第2孔部と、第1係合部と第2係合部との係合部分に連通する開口部と、係合解除部と係合する第3係合部とを有し、係合解除部は、第2孔部に挿し通される挿入部と、第3係合部と係合解除不能に係合する第4係合部とを有する。孔部に挿し通された紐状体が係合雄部と係合雌部との間で挟持される。係合解除部の挿入部が第2孔部に挿し通されると、第1係合部と第2係合部との係合が解除されるとともに、第3係合部と第4係合部とが係合する。