(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
2枚の片面段ボールシートを、一方の片面段ボールシートの波板の山が他方の片面段ボールシートの波板の谷に入り込むように、両者の波板の位相を揃えて重ね合わせ、その後、適宜の箇所に、2枚の片面段ボールシートの波板が変形する程度の分離防止用罫線を入れた両面段ボールシート。
2枚の片面段ボールシートを、一方の片面段ボールシートの波板の山が他方の片面段ボールシートの波板の谷に入り込むように、両者の波板の位相を揃えて重ね合わせ、その後、適宜の箇所に、2枚の片面段ボールシートの波板が変形する程度の分離防止用罫線を入れる両面段ボールシートを製造する方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記段ボールブランク製造装置では、段ボールシートの幅をそのまま利用した、ラップタイプ包装ブランク及びA式カートン用包装ブランクの2種類が製造される。
近年、段ボールブランクの製造から段ボール箱の組み立て、商品の梱包までを連続した工程で自動的に行う方法が提案されている。ラップタイプ包装ブランクは、その上に商品を載せ、該商品を梱包すると同時に段ボール箱が組み立てられるため、段ボールブランクの製造から商品の梱包までの工程の自動化が比較的容易であるが、立方体や直方体といった規則的な形状の商品しか梱包することができない。
【0008】
これに対して、A式カートン用包装ブランクでは、該段ボールブランクを折り曲げて段ボール箱の側面及び底面を組み立て、開口部から商品を収容した後、該開口部に蓋をして段ボール箱を完成する。従って、A式カートン用包装ブランクから成る段ボール箱には種々の形状の商品を梱包することができる。ところが、A式カートン用包装ブランクは、段ボールシートの幅方向両側に底面或いは蓋となる部分(フラップ)が形成されるため、段ボール箱の側面及び底面を組み立てた段階では側方に底面が位置する。従って、商品を収容する前に底面が下に、開口が上になるように段ボール箱の向きを変える必要があり、ブランクの製造から商品の梱包までの工程を自動化することが難しい。
【0009】
また、様々な商品を対象とする場合、段ボール箱に、保温性や防水性、さらなる緩衝性等の付加的な機能を付与したいという要望がある。
【0010】
さらに、様々なサイズの商品に対応し、様々な付加機能を付与された段ボール箱用の段ボールブランクを製造した場合、そのまま段ボール箱の製造に進み、更には、商品の梱包、出荷準備までを自動的に行うのが効率的である。
【0011】
ところで、段ボールシートには、片面段ボールシートと両面段ボールシートがある。片面段ボールシートに比べると両面段ボールシートは剛性が大きいため、両面段ボールシートを用いて段ボールブランクを製造すれば、頑丈な段ボール箱を形成することができる。また、両面段ボールは、その緩衝性を利用して、段ボール箱や、容器と内容物の間を詰める緩衝材として広く用いられている。
【0012】
両面段ボールは、1枚のライナに波形状に加工した中芯を貼り合わせた片面段ボールの段頂に(すなわち、中芯の段頂に)ライナを貼り合わせたものである(非特許文献1)。その製造は、
図16に示すように、3つのライナロール411、412、413からそれぞれライナを引き出し、中央のライナを1対の波形状ロール414で波板に加工して、貼合部415において、波板と2枚のライナ(平板)を重ね、波板の両面の段頂部において2枚のライナ及び波板を接着剤で貼り付けるという方法で行われる(非特許文献2)。
【0013】
このように、従来の両面段ボールは、上記の通り2枚のライナ(平板)と1枚の波板(中芯)がその波板の段頂において接着剤で固定されるという方法で製造されていたため、板に垂直な方向に力が加わった場合の緩衝性には優れているものの、板を(波目に垂直な方向に)曲げる力に対しては剛性が強すぎて、柔軟に曲げることができなかった。そのため、比較的小さな棒状のものや筒状のものを巻く、という用途には使用することができなかった。
【0014】
本発明が解決しようとする第1の課題は、種々の形状及び付加機能を要求する商品を梱包可能であり、且つ、段ボール箱の組み立て及び商品の梱包の作業の自動化が容易な段ボールブランク製造装置を提供することである。
【0015】
本発明が解決しようとする第2の課題は、様々な機能を付加した段ボール箱とするための段ボールブランクを製造することが可能な段ボールブランク製造装置を提供することである。
【0016】
本発明が解決しようとする第3の課題は、上記の段ボールブランク製造装置を備えた、段ボール箱の製造から、商品の梱包、出荷準備までを自動で行うことができるシステムを提供することである。
【0017】
本発明が解決しようとする第4の課題は、波目に垂直な方向にも柔軟に曲げることのできる両面段ボールシートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために成された本発明は、段ボール箱を組み立てるための段ボールブランクを製造する装置であって、
a)波板と平板からなる段ボールシートを前記波板の波目と直交する方向に搬送する搬送手段と、
b)前記段ボールシートに対して、波目と直交する方向に切り込みを入れる縦切装置と、
c)前記段ボールシートに対して、該段ボールシートの波目に沿う方向に切り込みを入れる横切装置と、
d)前記段ボール箱のサイズの情報を受け入れるサイズ設定手段と、
e)前記サイズの情報から前記段ボールブランクのサイズと前記縦切装置及び前記横切装置による切り込み位置を決定する切り込み位置決定手段と、
f)前記切り込み位置決定手段により決定された切り込み位置に基づき前記縦切装置及び前記横切装置を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る段ボールブランク製造装置は、更に、
g)前記縦切装置及び前記横切装置の上流で、前記段ボールシートに、その波板側にシート材を重ね、接合する複合化手段
を備えるものであってもよい。
【0020】
本発明に係る段ボールブランク製造装置は、更に、
前記シート材を機能性シートとし、
加えて、
h)前記段ボールシートに前記シート材を接合する前に、前記段ボールシート又は前記シート材に接着剤を塗布する接着剤塗布手段
を備えるようにしてもよい。
【0021】
ここで、「機能性シート」とは、例えば緩衝性、防水性、撥水性、保温性、保冷性といった特殊な機能を有するシートをいう。この機能性シートには、段ボールシートを構成する単なる平板も含まれる。これにより緩衝性及び保温性等の機能が付加されるからである。
【0022】
本発明に係る段ボールブランク製造装置は、更に、
前記シート材を波板と平板からなる付加段ボールシートとし、
加えて
前記複合化手段が、前記段ボールシートと前記付加段ボールシートを、一方の波板の山が他方の波板の谷に入り込むように、両者の波板の位相を揃えて接合する
ようなものであってもよい。
【0023】
この段ボールブランク製造装置で製造される段ボールブランクの素材は、波板と平板から成る段ボールシート(片段シート)を2枚、波板側で合わせたものとなっている。2枚の波板は、その波と谷が互いに入り込むようにされて(位相がそろえられて)いるため、両者の接触面積が大きく、それらの摩擦により、容易にはがれることがない。従って、ちょうど1枚の両段シートのように扱うことができ、強度の高い段ボール箱を組み立てるための段ボールブランクとすることができる。
【0024】
この段ボールブランクを構成する2枚の片段シートの接合を更に強固にするために、2枚の片段シートを接合した後、両者を押さえる罫線を入れるようにしてもよい。罫線は、波板の波目に平行であってもよいし、垂直であってもよい。もちろん、斜交していてもよい。切断線のすぐ内側に罫線を入れるのが効果的である。
【0025】
前記の段ボール箱のサイズとは、該段ボール箱の縦、横、高さの寸法をいう。前記サイズ設定手段が該段ボール箱のサイズの情報を受け入れるのは、使用者が手入力した情報を受け入れるというものであってもよいし、オンラインにより送られてくる情報を受け入れるというものであってもよい。
【0026】
更に、オンラインで送られてくる情報は、段ボール箱の需要者からの注文情報であってもよいし、本段ボールブランク製造装置が製造する段ボールブランクにより組み立てられる段ボール箱が梱包する商品の寸法を自動的に採寸する商品採寸装置からの情報であってもよい。このような商品採寸装置は、たとえば、商品を撮影する撮影手段と、該撮影手段により撮影された画像から該商品の最大寸法を算出し、段ボール箱のサイズを自動的に決定する算出手段とで構成することができる。
【0027】
このような構成により、需要者の要望に応じて(すなわち、オンデマンドで)、様々な大きさ、形状の段ボール箱を組み立てるための段ボールブランクを自動的に作製することが可能となる。
【0028】
本発明に係る段ボールブランク製造装置は、次のように、段ボール箱を組み立てたときに上で蓋を閉じるような形状の段ボールブランク製造に特化したものであってもよい。
a)波板と平板からなる段ボールシートを前記波板の波目と直交する方向に搬送する搬送手段と、
b)前記搬送手段により搬送される段ボールシートに対して、波目と直交する方向に沿
って切り込みを入れる縦切装置と、
c)前記段ボールシートに対して、該段ボールシートの波目に沿う方向に切り込みを入れる横切装置と、
d)段ボール箱のサイズの情報を受け入れるサイズ設定手段と、
e)前記段ボール箱のサイズの情報から、段ボール箱を組み立てたときに上で蓋を閉じるような形状の段ボールブランクのサイズと前記縦切装置及び前記横切装置による切り込み位置を決定する切り込み位置決定手段と、
f)前記切り込み位置決定手段により決定された切り込み位置に基づき前記縦切装置及び前記横切装置を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする。
【0029】
上記課題を解決するために成された本発明に係る両面段ボールシートは、2枚の片面段ボールシートを、それらの波板が全面で接するように重ね合わせ、適宜の箇所に、2枚の片面段ボールシートの波板が変形する程度の罫線を入れたものであることを特徴とする。
【0030】
本発明に係る両面段ボールシートはこのような構造であるため、従来の(すなわち、非特許文献1で定義されるような)両面段ボールの範疇には含まれないが、形態上の類似性より「両面段ボールシート」と呼称する。なお、以下では、本発明のような構造の両面段ボールシートを、特に「二重段ボール」ということもある。
【0031】
このような本発明に係る両面段ボールシートを製造する方法としては、2枚の片面段ボールシートを、一方の片面段ボールシートの波板の山が他方の片面段ボールシートの波板の谷に入り込むように、両者の波板の位相を揃えて重ね合わせ、その後、適宜の箇所に、2枚の片面段ボールシートの波板が変形する程度の罫線を入れる、という方法を採ることができる。
【0032】
罫線を入れる箇所としては、第1に、両面段ボールシートの縁とすることが望ましい。両面段ボールシートが長方形である場合には、その四辺の縁、所定の形状を有するブランクである場合には、その形状の縁が適切である。また、縁ではなく、或いは縁に加えて、全面に、短い罫線を、一定の周期で入れるようにしてもよい。これらの場合、罫線は波板の波目に垂直な場合もあるし、平行な場合もあるが、いずれの場合においても2枚の片面段ボールシートの波板が変形する程度の深さとする。なお、罫線は波目に斜交するように(例えば、45°となるように)入れても良い。
【0033】
両面段ボールシートが長尺のロール材として製造される場合は、その両側縁に連続的に罫線を、及び/又は、全面に短い罫線を入れておいてもよい。或いは、そのロール材から所定の大きさの形状に製品を切り出した時点で、その形状の縁や内部に罫線を入れるようにしても良い。
【0034】
本発明に係る両面段ボールシートにおいて、各片面段ボールシートの波板は、それらの平板よりも坪量の小さいものを用いることが望ましい。特に、平板の半分の坪量のものを使用することが望ましい。これにより、原料紙のコストを抑えることができるとともに、板に垂直な方向の緩衝性(柔軟性)も向上する。
【発明の効果】
【0035】
本発明の段ボールブランク製造装置においては、目的とする段ボール箱のサイズを外部から受け入れることにより、オンデマンドで該サイズに対応する段ボールブランクを製造することができる。
【0036】
また、本発明の段ボールブランク製造装置においては、緩衝性、防水性、撥水性、保温性、保冷性などの様々な機能を付加した段ボール箱を組み立てるための段ボールブランクを製造することが可能である。
【0037】
さらに、これらの段ボールブランク製造装置を備えたシステムにおいては、様々なサイズの商品に対応した段ボール箱の製造から、商品の梱包、出荷準備までを自動で効率的に行うことが可能である。
【0038】
また、本発明に係る両面段ボールシートは、2枚の片面段ボールシートを、両者の波板が全面で接するように重ね合わせて成るため、2枚の片面段ボールシートを引き離すような力を加えない限り、2枚の片面段ボールシートの面内に平行な力(剪断力)を加えても、両波板の間の摩擦力により、2枚の片面段ボールシートが剥がれることがない。また、本発明に係る両面段ボールシートには、適宜の箇所に2枚の片面段ボールシートの波板が変形する程度の罫線が入っているため、更にそのような剪断力に対して強く、2枚の片面段ボールシートが剥がれることがない。一方、本発明に係る両面段ボールシートを、その波目に垂直な方向に曲げようとすると、両波板が単に重ね合わされているだけであるので、柔軟に曲がる。このため、比較的小さな棒状のものや筒状のものを巻いて保護する緩衝材として使用することができる。
【0039】
そして、本発明に係る両面段ボールシートは、接着剤を使用しないため、その分のコストが低減できる。
【0040】
更に、本発明に係る両面段ボールシートは、両面段ボールシートとして使用しなくなった場合、2枚の片面段ボールシートを引き離すような力を加えれば、2枚の片面段ボールシートは容易に離れ、それぞれ片面段ボールシートとして使用することができる。そのような状態から再度本発明に係る両面段ボールシートの状態に戻す場合も、波目を揃えて重ね合わせ、適宜の箇所に罫線を入れるだけで良いから、非常に簡単である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の具体的な実施例について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る段ボールブランク製造装置の第1実施例を示す。この実施例では、段ボールシートとして片面段ボールのシート(以下、片段シートという)を用いている。具体的には、段ボールブランク製造装置1は、片段シートPを搬送する搬送装置2、片段シートPに縦及び横方向の切り込みを入れる縦切装置3及び横切装置4、これら搬送装置2、縦切装置3、横切装置4を制御する制御装置5、使用者が片段ボール箱の寸法や片段シートの寸法等を設定入力するためのコントロールパネル6を備えている。
【0043】
片段シートPはロール状に巻回されたロール状片段シートP1から供給されるようになっており、ロール状片段シートP1から供給された片段シートPは、その波板が上面となるように搬送装置2によって搬送される。搬送装置2は、該ロール状片段シートP1を回転可能に支持する支持部21と、ローラコンベア22と、ローラコンベア22を駆動するモータ(図示せず)等で構成されている。片段シートPの寸法(厚み、波目ピッチ、幅など)の情報は、使用者によって、コントロールパネル6により段ボールブランク製造装置1に予め設定されている。
【0044】
縦切装置3は、片段シートPの搬送路の両側に配置された支持台31と、これら両支持台31にまたがるように、片段シートPの搬送方向に直角に掛け渡されたされたフレーム32と、該フレーム32に取り付けられた複数の縦切ユニット33からなる。各縦切ユニット33は、各片段シートPの幅方向の任意の位置にフレーム32上を移動させる左右移動機構34を備えている。さらに、各縦切ユニット33は、片段シートPの長手方向(すなわち、搬送方向)に切り込みを入れるための切刃(円盤状回転刃、又はカッター、スリッター、スロッターなど)と、該切刃を上下動させる上下動機構35を備えている。
【0045】
横切装置4は、片段シートPの搬送路の両側に配置された支持台41と、これら支持台41に支持された、片段シートPの搬送方向に直角に敷設されたガイドレール42と、該ガイドレール42に沿って移動可能な2個の横切ユニット43と、横切ユニット43をガイドレール42に沿って移動させる左右移動機構44を備えている。更に、各横切ユニット43は、片段シートPの幅方向に切り込みを入れるための切刃(円盤状回転刃、又はカッター、スリッター、スロッターなど)と、該切刃を上下動させる上下動機構45を備えている。
なお、図示しないが、前記縦切装置3及び横切装置4には、段ボール箱に組み立てる際に折り曲げる部分に罫線を入れる罫線付けローラ(図示せず)が含まれている。また、切断位置を正しく測定するための測長センサ等を備えている。さらに、縦切装置3によって片段シートPから切断された部分を巻き取る巻取ロールが備えられていてもよい。巻取ロールで巻き取られた片段シートPの切断部分は、段ボールブランク製造装置に供給することにより再び原材料として利用することができる。
【0046】
上記段ボールブランク製造装置1を用いて製造されるブランクの例を
図2及び
図3に示す。
図2は、タトウ(多畳)式段ボール箱と呼ばれる段ボール箱のブランク(a)及びそのブランクから組み立てられる段ボール箱(b)を示す。
図2(a)中、実線は切断線を、破線は罫線を示す。このブランクは、段ボール箱の底面に対応する矩形状の底面部分b1が中央に位置し、その四辺に連なる4個の側面部分b2と、側面部分の端部に連なる段ボール箱の蓋部分b3等を有する十字状のブランクである。このブランクから組み立てられる段ボール箱は、底面が下に、開口が上に位置し、段ボール箱の上で蓋を閉じる構造を有する。
【0047】
図3は、変則A式段ボール箱と呼ばれる段ボール箱のブランク(a)及びそのブランクから組み立てられる段ボール箱(b)を示す。この段ボール箱は、定型のA式段ボール箱を改変したものである。このブランクは長方形状のブランクであり、段ボール箱の底面に対応する矩形状の底面部分C1を中心とし、その周囲に多数の側面部分及び段ボール箱の蓋に相当する蓋部分を有する。このブランクから組み立てられる段ボール箱は、底面が下に、開口が上に位置し、段ボール箱の上で蓋を閉じる構造を有する。
【0048】
この段ボールブランク製造装置1では、使用者がコントロールパネル6を操作して、段ボール箱のサイズ、ブランクの上記の種類に関する情報を設定する。片段シートPの寸法には、厚みや波目のピッチ等が含まれる。また、段ボール箱のサイズは縦、横、高さ寸法を指す。これらの設定が行われると、制御装置5は、設定された情報に基づいて段ボールブランクの各部の寸法L1〜L3(
図2(a)参照)を決定し、搬送装置2、縦切装置3、横切装置4を駆動して、片段シートPを搬送又は停止しながら、幅方向及び長手方向に切り込みが入れられる。具体的には、片段シートPの長手方向に切り込みを入れる場合は、まず、搬送装置2が停止した状態で、縦切装置3が、設定されたシート幅になるように左右移動機構34によってフレーム32上を移動される。その後、上下動機構35によって切刃が片段シートP上に下ろされ、その状態で搬送装置2が駆動され、切り込みが入れられる。片段シートPの幅方向に切り込みを入れる場合は、その切り込み場所に来た時搬送装置2が停止された後、左右移動機構44により横切ユニット43が切り込み開始位置の上部のガイドレール42上を移動される。その後、上下動機構45によって切刃が片段シートP上に下ろされ、左右移動機構44により、切り込み終了位置まで片段シートP上を移動される。1個の段ボールブランクの長手方向両端では幅方向いっぱいに切り込みが入れられ、この結果、多数の段ボールブランクはそれぞれ切り離された状態で連続的に製造される。なお、使用者による手入力ではなく、オンラインにより送られて来る段ボール箱の寸法等のデータを受け、切断位置や罫線位置を決定するようにしてもよい。
【0049】
また、このとき、制御装置5は、片段シートPの波板の位置を検出し、横切装置4の切刃4aが切り込みを入れる位置が波板の谷部になるように調整する(
図1(c)参照)。この調整は、例えば、蓋に相当する部分の寸法L4により行われる。また、上記した寸法L1〜L3のうち長手方向の寸法L1、L3を微調整することにより行われる。このため、本実施例では、片段シートPに対して波板の谷部に沿った真っ直ぐな切り込みを入れることができる。
【0050】
図4は本発明の第2実施例の段ボールブランク製造装置1の概略構成を示す。この実施例は、片段シートPに横切装置4で切り込みが入れられる部分を押圧する押圧装置46を備えることを特徴とする。押圧装置46は横切装置4のすぐ上流側に配置されており、例えば押圧ロールからなる。
このような構成によれば、横切装置4の切刃4aで切り込みを入れる部分が波板の山部付近であっても、該山部が押し潰された状態であるため、切刃4aが接触したときに波板が逃げるようなことがなく、直線状のきれいな切り込みを入れることができる(
図4(b)参照)。
【0051】
図5は本発明の第3実施例の段ボールブランク製造装置1の概略構成を示す。この実施例では、段ボールブランクに緩衝性や保温性、防水性、撥水性といった特殊な機能を有するシート(以下機能性シートM)を貼り付けるシート貼付装置51を備えている。この貼付装置51は縦切装置3及び横切装置4よりも後段に配置されており、機能性シートMは、縦切装置3及び横切装置4により切り込みが入れられた片段シートPの上面に貼り付けられる。貼付装置51は、接着剤(ホットメルトなど)を片段シートPの波板の山の部分に塗布する接着剤塗布装置7を備えており、接着剤が塗布された片段シートPの上面に機能性シートMを載せた後、図示しない圧着機で機能性シートMを片段シートPに押し当てることにより機能性シートMが片段シートPに貼り付けられる。なお、接着剤塗布装置7は、片段シートPの波板の山の部分全てに接着剤を塗布するようにしても良く、波板の山の一部に接着剤を塗布するようにしても良い。
【0052】
このような構成により、本実施例に係る段ボールブランク製造装置1で製造される段ボールブランクからは、内面に機能性シートが貼り付けられた状態の段ボール箱を得ることができる。従来このような段ボール箱は、いったん段ボール箱を組み立ててから機能性シートを貼り付けていたため自動化が難しかったが、段ボールブランクの状態で機能性シートを貼り付けることにより、上記した一連の工程を容易に自動化することができる。
【0053】
なお、上記実施例では、片段シートを用いてブランクを製造する場合を例に挙げて説明したが、本発明は、両面段ボールシートを用いてブランクを製造する装置にも適用可能である。この場合は、両面段ボールシートはロール状ではなく、板状シートの状態で供給される。
また、シート貼付装置51は、段ボールの平板に相当するシートを片段シートPの上面に貼り付けるようにしてもよい。このようにすれば、ロール状片段シートから、両面段ボールブランクを製造することが可能となる。
【0054】
また、
図1〜
図4の例において、波板を下に、平板を上にして搬送するようにしても良い。この場合、製造されたブランクをそのままの状態で段ボール箱に組み立てた場合、波板が外側にくることになる。このような段ボール箱は緩衝機能の点ではやや劣るが、意匠性に富んだ段ボール箱となる。
【0055】
図6は本発明の第4実施例の段ボールブランク製造装置1の概略構成を示す。この実施例の段ボールブランク製造装置1は、縦切装置3及び横切装置4の上流に、ロール状片段シートP1を回転可能に支持する支持部21と、ロール状平板シートQ1を回転可能に支持する支持部63と、片段シートPの上に接着剤を塗布する接着剤塗布装置7と、接着剤が塗布された片段シートPと平板シートQとを間に挟んで接合させる2つの接合用ローラ8とを備えている。搬送装置は、片段シートPを搬送するローラコンベア22及び平板シートQを搬送するローラコンベア62を有しており、両コンベア22、62によって搬送された片段シートP及び平板シートQは、縦切装置3及び横切装置4の手前で重ね合わされ、接着された後で両面段ボールシートR1とされ、その後、縦切装置3及び横切装置4により切り込みが入れられる。なお、厚い両面段ボールシートR1をスムーズに安定して切断するために、縦切装置3、横切装置4の切刃は、カッターやスリッター、スロッターなどの押し切り刃であることが望ましい。
【0056】
このような構成により、ロール状片段シートP1及びロール状平板シートQ1から片段シートP及び平板シートQを必要な分だけ引き出して両面段ボールシートR1を形成し、両面段ボールブランクを製造することが可能となる。言い換えると、両面段ボールブランクを製造するまでは、片段シート及び平板シートをロールの状態で保管しておくことができるため、板状の両面段ボールシートの状態で保管する場合よりも保管スペースが小さくて済む。また、段ボール箱が両段となるため、緩衝性及び保温性がさらに付加される。
【0057】
この実施例において、支持部63には上記第3実施例の機能性シートMが支持され、機能性シートMが片段シートPと貼り合わされてもよい。また、接着剤は、平板シートQ又は機能性シートMに塗布されてもよい。
【0058】
図7は本発明の第5実施例の段ボールブランク製造装置1の概略構成を示す。この実施例の段ボールブランク製造装置1は、ロール状片段シートP1と支持部21を2つずつ、縦切装置3及び横切装置4の上流に備えている。2枚の片段シートPは、ぞれぞれの搬送装置により、一方の波板の山が他方の波板の谷に入り込むように、波板の位相を揃えて2本の接合用ローラ8の間に搬送される。その結果、2枚の片段シートPは、ぴったり重なり合って、1枚の段ボールシートS(以下、この両面段ボールシートを「二重段ボールシート」ともいう)となる。その後、二重段ボールシートSは、縦切装置3及び横切装置4により切り込みが入れられる。なお、厚い二重段ボールシートSをスムーズに安定して切断するために、本実施例の縦切装置3、横切装置4の切刃は、カッターやスリッター、スロッターなどの押し切り刃である。
【0059】
このように構成された二重段ボールシートSは、通常の両面段ボールシートと異なり、2枚の平板の間に波板が2枚重なった状態で挟持された構成となる。従って、通常の両段ボールシートから成る段ボール箱よりも緩衝性に優れた段ボール箱を製造することができる。また、2枚の片段シートPを、それらの波板の山と谷が互いに入り込むように(相補的となるように)接合させたため、両者の接触面積が非常に大きく、両者間の摩擦により2枚の片段シートPは離れ難い状態となる。もっとも、2枚の片段シートPが重ね合わせられる手前に接着剤塗布装置を設け、該接着剤塗布装置から片段シートPの一方の波板の少なくとも一部に接着剤を塗布する構成としてもよい。これにより2枚の片段シートPの接合をより強固とすることができる。
【0060】
通常、片段シートは、その波板と平板は同じ坪量(g/m
2)の紙が用いられる。そのため、通常の片段シートを2枚重ね合わせて二重段ボールシートSとすると、波板が2枚重なっている分、通常の両面段ボールシートよりも重くなる。そこで、平板の秤量が120g/m
2の場合は、秤量が約50〜60g/m
2の波板を使用して、二重段ボールシートSを製造するとよい。もっとも、入手可能性の高い、通常の片段シート(波板と平板が同一坪量のもの)を用いても構わない。
【0061】
図8は本発明の第6実施例の段ボールブランク製造装置1の概略構成を示す。この実施例では、第5実施例の段ボールブランク製造装置が、さらに、罫線形成装置61を備えることを特徴とする(
図8(a))。本実施例では、罫線形成装置61は、縦切装置3及び横切装置4の下流に配置されており、罫線付けローラ61aから成る。
【0062】
このような構成により、二重段ボールシートSに罫線付けローラ61aを押圧して罫線を形成することができる(
図8(b))。縦切装置3及び横切装置4が備える罫線付けローラは折り曲げる箇所に罫線を入れるために用いられるが、罫線形成装置61の罫線付けローラ61aは、縦切装置3及び横切装置4によって切り込みが入れられたため2枚の片段シートPが分離し易くなっている箇所や、2枚の片段シートPの接合を補強しておきたい箇所など、折り曲げる箇所とは別の箇所に罫線を入れるために用いられる。従って、罫線は、二重段ボールシートSの波目に平行な方向及び垂直な方向のいずれの方向にも形成することになる。なお、波目の方向に斜交するような方向に入れてもよい。これにより、二重段ボールシートSを構成する2枚の片段シートPの接合はより強固となり、2枚の片段シートPが接着剤によって接着されていなくても分離しにくくなる。
なお、罫線形成装置61は、縦切装置3及び横切装置4の上流に設けられていてもよい。また、罫線形成装置61は、罫線が設けられる構成であれば限定されず、例えば、罫押し刃と、この罫押し刃に対向配置された刃受け皿とから成り、両者の間に二重段ボールシートSが通過するように配設されてもよい。
【0063】
図9は、本発明に係る段ボールブランク製造装置を備えた商品自動梱包システム100の一実施例の概略的な構成を示す図であり、
図10は、同実施例のシステムにおいて、各部での段ボールの状態を、各部での動作とともに示した概略図である。本実施例の商品自動梱包システム(以下、単にシステムという)100は、商品の大きさに応じた段ボール箱の作製から、商品の梱包、出荷準備までを自動で行うものである。
【0064】
本システム100は、商品の包装・採寸ラインL11と、段ボール箱の形成・梱包ラインL12と、各ラインL11、L12の各部を制御する制御部101と、各部の動作条件を設定入力するための設定入力部102などから構成される。制御部101はコンピュータから成り、設定入力部102において設定された動作条件や各部から入力される情報に基づき各部の動作を制御する。設定入力部102は、制御部101に接続されたディスプレイとキーボードから成る。
【0065】
まず、包装・採寸ラインL11について説明する。包装・採寸ラインL11は、シュリンク包装部110と、撮影部120と、搬送部130と、それらの間を連結し、商品を運搬するローラコンベアB1、B2、B3とから構成される。
シュリンク包装部110は、フィルム供給装置111と、ヒートシール装置112と、加熱装置113とから成る。
フィルム供給装置111は、コンベアB1とコンベアB2との間の上下に配置されたフィルムロールFR1、FR2と、これらフィルムロールに巻回された熱収縮性プラスチックフィルム(以下、単にフィルムという)Fと、フィルムFを案内するガイドローラ115a、115bから構成されている。フィルムロールFR1、FR2は、フィルムFがコンベアB1、B2の搬送面に垂直、且つコンベアB1、B2の進行方向に垂直になるように、コンベアB2の上下に配設された支持棒114a、114bに支持されている。
ヒートシール装置112は、フィルム供給装置111の直ぐ下流の、コンベアB1とコンベアB2の間に配設されている。
加熱装置113は、コンベアB2の途中部に配設されており、コンベアB2を覆うコの字状のトンネルと、トンネル内部に備えられたヒータとから成る。
【0066】
撮影部120は、商品を載置する載置台121と、載置台121の側部と上部にそれぞれ設けられたカメラ122、123とから成る。カメラ122、123が撮影した商品の画像データは、制御部101に送信される。制御部101は画像データから商品のサイズ(縦×横×高さ)を算出し、該サイズデータを後述する箱形成・梱包ラインL12の各部に出力する。
【0067】
搬送部130は、後述する箱形成・梱包ラインL12の商品投入位置173に向かって伸びるコンベアB3と、商品を掴んで段ボール箱内に入れる商品投入アーム部材131とを含む。商品投入アーム部材131は、コンベアB3の下流の端部近傍に配設されている。
【0068】
次に、箱形成・梱包ラインL12について説明する。箱形成・梱包ラインL12は、段ボール供給部140と、切断・罫線形成部150と、箱形成部160と、緩衝材・商品投入部170と、梱包部180と、段ボール供給部140から梱包部180まで段ボールを下流に向かって運搬するコンベアB5とから構成される。
【0069】
段ボール供給部140は、2個のロール状片段シート(供給ロール)P1a、P1bを支持する2つの支持部143と、2個のロール状片段シートP1a、P1bからそれぞれ引き出された片段シートPa、Pbを接合して1枚の段ボールシートにする接合用ローラ141a、141bとを有する。2個のロール状片段シートP1a、P1bからは波板同士が対向するように2枚の片段シートPa、Pbが引き出されるようになっている。このため、本実施例では、波板同士が重なるようにして2枚の片段シートPa、Pbが接合用ローラ141a、141bによって接合され、二重段ボールシートSa(第6実施例参照)が形成される。この二重段ボールシートSaはコンベアB5によって、切断・罫線形成部150に搬送される。
なお、2つの支持部143には、各々、供給ロール用支持軸と予備ロール用支持軸がある。供給ロール用支持軸と予備ロール用支持軸は1本の連結棒で連結されており、供給ロールP1a、P1bが無くなったときには連結棒を180°回転することにより予備ロールP1a’、P1b’を供給ロールとする。
【0070】
切断・罫線形成部150は、段ボールシートに切り込みを入れる縦切りカッター151及び横切りカッター152、スリッター153、スロッター154と、縦用罫線付けローラ155、横用罫線付けローラ156と、これらを保持するフレーム又はガイドレール及びこれらを左右又は上下に移動させる駆動機構(図示せず)と、縦切りカッター151によって段ボールシートから切り離された段ボールシートを巻き取る巻取ロール157とから構成される。切断・罫線形成部150には、制御部101から商品のサイズデータが供給されるようになっており、このサイズデータに基づき駆動機構が働き、切断・罫線形成部150は縦切りカッター151、横切りカッター152、スリッター153、スロッター154、縦用罫線付けローラ155、横用罫線付けローラ156を動作させる。
図11は、切断・罫線形成部150を通過した後の段ボールシート(段ボールブランクS1)の一例を示している。
図11に示すように、段ボールブランクS1は、段ボール箱に組み立てられたときに側部となる側部片s1〜s4、のりしろ片s21、接着部分s22、底部となる底片s11、s12、s13、s14、天井部となる天井片s15、s16、s17、s18を有する。各片の幅や長さは、制御部101から入力されるサイズデータによって決まる。
本実施例では、縦切りカッター151が第6実施例の縦切装置3に該当し、横切りカッター152、スリッター153及びスロッター154が第6実施例の横切装置に該当し、縦用罫線付けローラ155及び横用罫線付けローラ156が第6実施例の罫線形成装置61に該当する。
【0071】
箱形成部160は、接着機構と、箱展開機構と、テーピング機構と、アーム部材(図示せず)とから構成される。
【0072】
接着機構は、段ボールブランクS1ののりしろ片s21を折り曲げるアーム部材(図示せず)と、のりしろ片s21に接着剤を供給する接着剤供給部161と、接着部分を押圧する押圧部材162とを含む。
箱展開機構は、2つの矩形枠部材163から成る。矩形枠部材163は、縦横に伸縮自在に構成されており、段ボールブランクのサイズに応じた適宜の大きさに変更されるようになっている。矩形枠部材163は、接着機構によってのりしろ片s21が接着されることにより環状となった段ボールブランクの中に挿入された後、立ち上げられることにより段ボールブランクが展開されて筒状となる。
テーピング機構は、段ボールブランクS1の底片s11、s12、s13、s14を内側に折り曲げて底部を形成するアーム部材(図示せず)と、テープ供給口からテープを供給するテープ部166とを含む。テープ部166は、折り曲げられた2枚の底片s11、s13の境界部分に沿ってテープを供給できるように、コンベアB5の上方に配設されている。
【0073】
緩衝材・商品投入部170は、コンベアB5の上方に備えられた底緩衝材投入タンク171及び側面・天井緩衝材投入タンク172と、それらの間に配置された商品投入位置173とから構成される。底緩衝材投入タンク171、側面・天井緩衝材投入タンク172内には粒状の緩衝材(例えば、径1〜数mmの発泡スチロール粒)174が収容されている。
【0074】
梱包部180は、天井片s15、s16、s17、s18を内側に折り曲げるアーム部材(図示せず)と、テープ材を保持し、テープ供給口からテープを供給するテープ部181とを含む。テープ部181は、箱の天井を形成する2枚の天井片s15、s17の境界部分に沿ってテープを供給できるように、コンベアB5の上方に配設されている。
【0075】
以下に、本実施例のシステム100の動作を、
図10〜
図12を参照しながら説明する。
図12は、本実施例のシステム100の動作を示すフローチャートである。
【0076】
まず、作業者は、設定入力部102より、使用する段ボールシートや梱包したい商品に適した各コンベアの速度や撮影部120での撮影範囲などの各部の動作条件を設定・入力する(ステップS11)。ここで設定入力された情報は、制御部101に送られる。
【0077】
続いて、梱包すべき商品をコンベアB1の上流に置き、システム100の動作を開始させる。なお、複数の商品をまとめて梱包した場合は、複数の商品を適切な形に纏める。また、商品が小さい場合、あるいは複数の商品をうまく纏めることができない場合は、1枚の段ボールシートの上に商品を並べる(アッセンブリ作業)。
動作が開始されると、商品は、コンベアB1に乗ってフィルム供給装置111に向かい、フィルムFに当接する。この結果、商品は、フィルムロールFR1、FR2からフィルムFを引き出しながらコンベアB2に乗り、さらに下流へ流れる。そして、商品全体がフィルム供給装置111を通過すると、ヒートシール装置112が動作してフィルムFを熱融着するとともに、該熱融着部分を切断する。これにより、商品を覆うフィルムFが、フィルムロールFR1、FR2から供給されるフィルムFから切り離される。その後、フィルムFで覆われた商品は、コンベアB2によって加熱装置113に向かい、トンネルを通過する間に、トンネル内のヒータによってフィルムFが加熱され収縮することで、商品がシュリンク包装される(ステップS12)。
【0078】
商品がコンベアB2の端部に達すると、アーム部材(図示せず)によって、商品は載置台121上の撮影位置に設置される(
図9の矢印(1))。その後、商品の側面と上面が、それぞれ、カメラ122、123によって撮影され(ステップS13)、画像データが制御部101に送信される。撮影が終わると、商品は、アーム部材(図示せず)によってコンベアB3上に移される(
図9の矢印(2))。
【0079】
コンベアB3に移された商品は、コンベアB3に乗って下流に運搬され、箱形成・梱包ラインL12の緩衝材・商品投入部170の商品投入位置173の手前まで搬送される。そこで、制御部101は、コンベアB3を一旦停止する。
【0080】
一方、制御部101は、受信した画像データから商品のサイズを算出し(ステップS14)、該商品を入れる箱の各部の寸法や緩衝材の量等を決定し、これらの情報を箱形成・梱包ラインL12の各部に送る(ステップS15)。
箱形成・梱包ラインL12では、制御部101から送られてきた箱の寸法や緩衝材の量等に関する情報に基づいて、切断・罫線形成部150、箱形成部160、緩衝材・商品投入部170、梱包部180が動作される。
【0081】
具体的には、段ボール供給部140の上段及び下段のロール状片段シートP1a、P1bから2枚の片段シートPa、Pbが接合用ローラ141a、141bを介してコンベアB5上に供給され、両片段シートPa、Pbの波板同士がぴったり重なり合うように接合され、1枚の二重段ボールシートSaが形成される(ステップS16)。
【0082】
切断・罫線形成部150では、箱の各部のサイズに基づき、カッター151、152やスリッター153、スロッター154、罫線付けローラ155、156が動作し、段ボールブランクS1が形成される(ステップS17)。なお、カッター151、152や罫線付けローラ155、156によって、段ボールブランクS1の縦方向(コンベアB5の進行方向と平行な方向)に、切り込みや罫線が入れられる時は、コンベアB5は動作しているが、段ボールブランクS1の横方向(コンベアB5の進行方向と垂直な方向)に切り込みや罫線が入れられる時はコンベアB5は停止される。
【0083】
段ボールブランクS1は、コンベアB5に乗って、箱形成部160に送られる。上述したように、箱形成部160では、接着機構によって段ボールブランクS1ののりしろ片s21が接着部分s22に接着され(ステップS18)、続いて、箱展開機構によって筒状に展開される(ステップS19)。その後、底片s12、s14、s11、s13が、アーム部材(図示せず)によって順に内側に折り曲げられ、箱形成部160のテーピング機構によってテープが貼付され、段ボールブランクS1の底部分が形成され、箱S2となる(ステップS20)。
【0084】
箱S2は、アーム部材(図示せず)によって、底が下に来るように起こされ(
図9の矢印(3))、緩衝材・商品投入部170に送られる。ここで、まず、底緩衝材投入タンク171により、箱S2内部に緩衝材174が投入され、商品投入位置173で包装・採寸ラインL11の商品投入アーム部材131により、コンベアB3の端部で待機しているシュリンク包装された商品が入れられ(
図9の矢印(4))、さらに、側面・天井緩衝材投入タンク172より、箱S2内部に緩衝材174が投入される(ステップS21)。ここで箱S2の底または側面・天井に投入する緩衝材174の量は、前述のように制御部101により適切に決定されている。なお、緩衝材や商品が箱S2内に投入される際は、コンベアB5は制御部101によって適宜停止される。
【0085】
その後、箱S2の天井片s16、s18、s15、s17が、アーム部材(図示せず)によって順に内側に折り曲げられ、梱包部180のテーピング機構によってテープが貼付され、箱S2が閉じられる(ステップS22)。こうして商品が完全に梱包される。
【0086】
梱包された商品は、さらに別の装置によって側面や上面に印刷がなされたり、送り状が貼付されたりすることにより、そのまま出荷できる状態となる。
【0087】
このように、本実施例のシステム100では、これまで、作業者が手作業で行っていた部分を自動化することが可能となる。また、本実施例のシステム100では、シュリンク包装された商品をカメラ122、123で撮影した画像を解析し、梱包したい商品のサイズを測定して、その商品のサイズに合った大きさの段ボール箱をオンデマンドで作製することができるため、段ボール資材の無駄を無くすことができる。また、商品のサイズから投入する緩衝材174の量を調節し、効率よく商品を梱包することが可能となる。
【0088】
図13〜15は、それぞれ本発明に係る段ボールブランク製造装置を備えた商品自動梱包システムの変形例の概略的な構成を示す図である。
図13の変形例のシステムでは、段ボール供給部140は、ロール状片段シートP1bと予備ロール状片段シートP1b’とこれらを支持する支持部143とから成り、段ボール供給部140から供給される段ボールは、片段シートPbである。
図14の変形例のシステムでは、段ボール供給部140は、既に一定の大きさに切断された段ボールシートを複数積層してストックしたシート供給部142から成り、シート供給部142から供給される段ボールは、シート状段ボールP2である。
図15の変形例のシステムでは、段ボール供給部140には、上段のロール状片段シートP1aと下段のロール状片段シートP1bとシート供給部142とを備えている。作業者は、設定入力部102より、上段のロール状片段シートP1aと下段のロール状片段シートP1bを重ねて1枚の二重段ボールシートSaを形成するか、上段のロール状片段シートP1a若しくは下段のロール状片段シートP1bの一方のみを使用して片段シートPa若しくはPbを用いるか、又はシート供給部142を使用してシート状段ボールP2を用いるかを設定・入力することができ、梱包したい商品に合わせて段ボールシートを切り換えることができる。
図13〜15では一部省略して図示していないものもあるが、その他の箇所は、
図9のシステムと同様である。
【0089】
図13〜15の変形例においても、上記システム100と同じ様に、自動的、且つ効率的な商品の梱包が可能となる。
【0090】
次に、二重段ボールシート、すなわち、本発明に係る両面段ボールシートの構成について詳細に説明する。
【0091】
本発明に係る両面段ボールシートの第1実施例を
図17に示す。この実施例の両面段ボールシート220は、2枚の片面段ボールシートを、一方の片面段ボールシートの波板の位相と他方の片面段ボールシートの波板の位相が一致するように重ね、該波板の波目に平行な縁に罫線221を入れたものである。これにより、2枚の片面段ボールシートが容易に剥がれることはなく、通常の両面段ボールシートとして使用することができる。特に、筒状の被梱包物を巻いて保護するのに適している。
【0092】
本発明に係る両面段ボールシートの第2実施例を
図18に示す。この実施例の両面段ボールシート230は、2枚の片面段ボールシートを、両方の片面段ボールシートの波板の位相が一致するように重ね、該波板の波目に垂直な縁に罫線231を入れたものである。これにより、2枚の片面段ボールシートが容易に剥がれることはなく、通常の両面段ボールシートとして使用することができる。本実施例の両面段ボールシートも、筒状の被梱包物を巻いて保護するために用いることができるほか、段ボール箱の素材として用いることもできる。
【0093】
本発明に係る両面段ボールシートの第3実施例を
図19に示す。この実施例の両面段ボールシート240は、2枚の片面段ボールシートを、両方の片面段ボールシートの波板の位相が一致するように重ね、両面段ボールシート240の全面の適宜箇所に、波目に垂直な罫線241及び波目に平行な罫線242を入れたものである。これにより、2枚の片面段ボールシートが容易に剥がれることはなく、通常の両面段ボールシートとして使用することができる。本実施例の両面段ボールシートも、筒状の被梱包物を巻いて保護するために用いることができるほか、段ボール箱の素材として用いることができる。
【0094】
図20に、本発明の両面段ボールシートを長尺のシートとして製造する装置の概略構成を示す。この両面段ボールシート製造装置350(以下、単に「製造装置」ともいう)は、原料となる片面段ボールシートのロールを保持するための2個の保持部351、352と、それぞれのロールから引き出された片面段ボールシートTP1、TP2を搬送する搬送部353と、搬送部353の初段側に設けられた接合部354と、その後段に設けられた罫線形成部355と、製造された両面段ボールシートTPを巻き取る巻取部356と、それら各部を制御するための制御部357とを備えている。制御部357には入力部358が接続されている。
【0095】
接合部354は、保持部351、352の各ロールから引き出された2枚の片面段ボールシートTP1、TP2を、その波板側が近づくように導く2本の導入ロール541、542と、近づいた2枚の片面段ボールシートTP1、TP2を、その波板の位相が合うように(すなわち、一方の波板の谷に他方の波板の山がちょうど入るように)接合させる2本の接合ロール543、544から成る。
本製造装置350で製造する両面段ボールシートTPの平面図を
図21に示す。この両面段ボールシートTPは、両側端のすぐ内側に連続した罫線TL1が設けられ、内部には、波目に垂直な(縦方向の)短い罫線TL2と波目に平行な(横方向の)短い罫線TL3が周期的に設けられている。
【0096】
このような罫線を形成するための罫線形成部355は、
図22(a)に示すように、横罫線形成部551と第1縦罫線形成部552及び第2縦罫線形成部553から成る。なお、
図22(a)では横罫線形成部551、第1縦罫線形成部552、第2縦罫線形成部553の順で配置されているが、これらの配置順序は任意である。横罫線形成部551は、
図22(b)に示すように、搬送路TR(両面段ボールシートTP)の両側に配置された支持部554、555の間に、搬送路TRと直交するように架け渡されたガイドレール556と、そのガイドレール556内で走行するように駆動される円盤状の罫線ローラ557から成る。ガイドレール556は、両側の支持部554、555の間で上下動が可能となっている。
【0097】
第1及び第2縦罫線形成部552、553は、
図22(c)に示すように、同じく両側の支持部554、555の間に搬送路TRと直交するように架け渡されたガイドレール558と、該ガイドレール558においてフリーに従動可能となっている円盤状の罫線ローラ559から成る。罫線ローラ559はガイドレール558に沿って移動可能となっているが、1つの両面段ボールシートを製造する間は、ガイドレール558上の位置は固定されている。
【0098】
以下に、この両面段ボールシート製造装置350により両面段ボールシートTPを製造する時の各部の動作を、
図23のフローチャートを参照しながら説明する。
まず、ユーザが、入力部358より、両面段ボールシートTPに設ける罫線の種類(縦か横か)とその長さ、各罫線を入れる周期などの罫線パラメータ、及び段ボールシートの搬送速度などを入力する(ステップS31)。本製造装置350では、
図21に示すように、両面段ボールシートTPの両側端のすぐ内側に縦罫線TL1を連続的に形成し、内部に、短い縦罫線TL2と短い横罫線TL3を周期的に形成する。
【0099】
これらの入力データを受けると、制御部357は、まず第1縦罫線形成部552の罫線ローラ559を両面段ボールシートTPの両側端のすぐ内側の位置に移動させるとともに、第2縦罫線形成部553の罫線ローラ559を、入力された縦罫線TL2の位置に移動させる(ステップS32)。そして第1縦罫線形成部552のガイドレール558を降ろし(ステップS33)、搬送部353の各ローラの回転駆動を開始する(ステップS34)。これにより、2つの保持部351、352から引き出された2枚の片面段ボールシートTP1、TP2の波板が、接合部354において上下の接合ロール543、544により位相が揃うように押さえられ、1枚の両面段ボールシートTPとされる。
【0100】
こうして作製された両面段ボールシートTPには、第1縦罫線形成部552により、両側端のすぐ内側に罫線TL1が形成される。
制御部357は、両面段ボールシートTPの搬送距離を常時モニターしており、現時点が内側の縦罫線TL2を入れるべき位置かどうかを判定している(ステップS35)。所定の距離だけ搬送され、縦罫線TL2を入れるべき位置が来た時点で、制御部357は第2縦罫線形成部553のガイドレール558を所定時間だけ降ろし、入力された長さの縦罫線TL2を形成する(ステップS36)。
【0101】
次に制御部357は、現在の両面段ボールシートTPの位置が、横罫線TL3を入れるべき位置かどうかを判定し(ステップS37)、両面段ボールシートTPが横罫線TL3を入れるべき位置に来た時は、搬送部353の駆動を停止し、両面段ボールシートTPを止める(ステップS38)。そして、横罫線形成部551のガイドレール556を降ろし、ガイドレール556内で罫線ローラ557を駆動することにより、入力された長さの横罫線TL3を入れる(ステップS39)。その後、搬送部353の駆動を再開し、両面段ボールシートTPを再び搬送する(ステップS40)。こうして製造され、罫線TL1、TL2、TL3が形成された両面段ボールシートTPは巻取部356において巻き取られ、ロール状の両面段ボールシートとされる。
【0102】
なお、両面段ボールシート製造装置350は、さらに、導入ロール541、542の手前又は接合ロール543、544の手前に糊付け装置を備え、罫線を入れる予定の箇所又はそれとは別の箇所において片面段ボールシートTP1と片面段ボールシートTP2を糊付けしてもよい。いずれの箇所であっても、糊付けの箇所は最小限に抑え、両面段ボールシートTPを使用した後、2枚の片面段ボールシートに解体する際にきれいに分離できるようにしておくことが望ましい。
【0103】
図24に、本発明の両面段ボールシートをシート材又はブランクとして製造する装置の概略構成図を示す。この両面段ボールシート製造装置360は、上記の製造装置350において、罫線形成部355の上流に縦切部361及び横切部362を備え、巻取部356の代わりにシート受け部363を備える。
【0104】
本製造装置360では、前記製造装置350のような長尺の両面段ボールシートTPではなく、所定の長さの両面段ボールシート、又は、それにスリットや折り罫線を入れた段ボール箱用ブランクTP3を製造するため、横切部362において所定長さに切断する他、縦切部361及び横切部362においてスリットを入れ、罫線形成部355において前記のような波板を押しつぶして2枚の片面段ボールを接合するための罫線の他、折り罫線も入れる。
【0105】
上記の実施例・変形例はいずれも本発明の一例であり、本発明の趣旨の範囲で適宜に変形や修正、追加が許容される。例えば、本発明に係る商品自動梱包システムを構成する段ボールブランク製造装置は、上記実施例1〜6の段ボールブランク製造装置であってもよい。また、本発明に係る商品自動梱包システムは、段ボールブランク製造装置の前段に上述した両面段ボールシート製造装置を備えていても良い。