(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記粉砕工程後に、前記粉砕物からの異物分離除去工程、粉砕物の洗浄工程、洗浄後の脱水工程を有し、粉砕工程後、または粉砕工程より後の何れかの工程の後に粉砕物の加熱を行う、加熱工程を有し、加熱工程より後の工程に、少なくとも1つの選別工程を有する請求項1又は2記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
前記ポリエチレンテレフタレートとは熱膨張係数の異なる樹脂が、ポリアミド樹脂である請求項1〜5の何れかに記載のポリエチレンテレフタレートフレークの製造方法。
【背景技術】
【0002】
エチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル(以下、単に「ポリエチレンテレフタレート」又は「PET」ということがある)から成るボトルの消費は近年増大しており、使用済みPETボトルの再利用を図るべく、種々のリサイクル方法が確立されている。
PETボトルのリサイクル方法としては、一般に回収されたPETボトルを粉砕、アルカリ洗浄して繊維等に再利用するマテリアルリサイクルや、回収されたPETボトルを化学分解して、原料レベルに差し戻してポリエチレンテレフタレートを再合成するケミカルリサイクル(化学分解法)、及びマテリアルリサイクルにおけるアルカリ洗浄をより厳密に行うこと、或いは高温で真空乾燥すること等によって、マテリアルリサイクルよりもPETの汚れを確実に取り除くことを可能にし、更に固相重合等によって重合度を高めたメカニカルリサイクルが知られている(特許文献1及び2等)。
【0003】
ケミカルリサイクル及びメカニカルリサイクルのいずれの方法においても、回収されたPETボトルを粉砕し、PET以外の異物を除去し、洗浄されたフレークにすることは共通しており、PET以外の異物が確実に除去されたPETフレークを製造することが望まれている。
PETボトルの粉砕及び異物除去の方法として、例えば、下記特許文献3には、PETボトルの粉砕に湿式粉砕機を用い、粉砕機内に水又は洗剤を含有する水を注入して粉砕を行うことが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に市場に出回っているPETボトルには、PETのみから成る単層PETボトルと、PETを内外層とし、バリア性樹脂等の機能性樹脂を含む中間層を有する多層PETボトル等があり、これらは区別なくPETボトルとして回収されて、リサイクル工程に賦されることになる。PETの単層から成るPETボトルにおいては、上述した粉砕及び洗浄で、PETボトルに付着した、油分や土砂或いは金属等の異物をほぼ完全に除去することは可能であるが、多層PETボトルの場合には、積層されたPET以外の樹脂をPETと分離し、除去することが困難である。
このように、リサイクルPETに、多層PETボトルから製造されたPET以外の樹脂が含有されてしまうと、このリサイクルPET材を使用した製品が黄色味を帯びる等、品質が低下するという問題がある。
【0006】
従って本発明の目的は、PET以外の樹脂を含む層を有する多層PETボトルからリサイクル工程に供するためのPETフレークを製造するに際して、PET以外の樹脂を効率よく除去可能なPETフレークの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、ポリエチレンテレフタレートから成る層及び該ポリエチレンテレフタレートとは熱膨張係数の異なる樹脂を含む層を有する多層ポリエステル
容器を、リサイクル工程に供するためのポリエチレンテレフタレートフレークの製造方法であって、少なくとも前記多層ポリエステル
容器の粉砕工程、該
粉砕工程を経て得られた粉砕物
を加熱することにより前記ポリエチレンテレフタレートから成る層と前記ポリエチレンテレフタレートとは熱膨張係数の異なる樹脂を含む層の界面に歪を生じさせて両者を層間剥離させる加熱工程及びポリエチレンテレフタレートフレークの選別工程から成ることを特徴とするポリエチレンテレフタレートフレークの製造方法が提供される。
【0008】
本発明のポリエチレンテレフタレートフレークの製造方法においては、
1.前記加熱工程において、粉砕物を80〜250℃の温度で加熱すること、
2.前記粉砕工程後に、前記粉砕物からの異物分離除去工程、粉砕物の洗浄工程、洗浄後の脱水工程を有し、粉砕工程後、または粉砕工程より後の何れかの工程後に粉砕物の加熱を行う、加熱工程を有し、加熱工程よりも後の工程に少なくとも1つの選別工程を有すること、
3.前記粉砕工程直後の粉砕物の温度が50℃以下であること、
4.前記粉砕工程を水分の存在下で行うこと、
5.前記ポリエチレンテレフタレートとは熱膨張係数の異なる樹脂が、ポリアミド樹脂であること、
が好適である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のPETフレークの製造方法によれば、PET以外の樹脂を含む層を有する多層PETボトルにおいて、PETから成る層及びPET以外の樹脂を含む層を効率よく剥離することができることから、PET以外の樹脂を効率よく除去することができる。このため、本発明方法により得られたリサイクルPET材は、単層PETボトルからのリサイクル材と同様の透明性を発現することができ、リサイクルPET材を使用した製品の黄変を有効に抑制することができる。
また本発明により製造されたPETフレークは、ケミカルリサイクルは勿論、メカニカルリサイクルにも使用することができる。
更に本発明においては、従来のPETフレークの製造工程の所定の段階に加熱工程を加えることで効率よく多層PETボトルの層間剥離を促進することが可能になり、既存のPETフレーク製造システムを利用することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のPETフレークの製造方法においては、PETから成る層及びPETとは熱膨張係数の異なる樹脂を含む層を有する多層PETボトルを原料ボトルとして使用することが第一の重要な特徴であり、多層PETボトルの粉砕物を加熱して、PETから成る層とPET以外の樹脂を含む層を剥離させることが第二の重要な特徴である。
本発明においては、前述したとおり、市場に出回り、リサイクルのために回収されるPETボトルが多層PETボトルを含有し、この多層PETボトルのPET樹脂以外の樹脂がPETの熱膨張係数と相違する点に着目し、粉砕工程により粉砕された多層PETボトルの粉砕物を加熱することにより、多層PETボトルの粉砕物においてPETから成る層とPET以外の樹脂を含む層の界面に熱膨張係数の相違による歪を生じさせることにより、層間が剥離し、PETとPET以外の樹脂を分離することが可能になる。
【0012】
(対象となる多層PETボトル)
本発明のPETフレークの製造方法に適用可能な多層PETボトルは、PETから成る層と、PETとは熱膨張係数(ASTM D 696に準拠)の異なる樹脂を含む層を有するものであり、使用されているPETと熱膨張係数が異なる限り、PET以外の樹脂を含む層が一層であってもよいし、複数の層であってもよい。またPET以外の樹脂は複数種であってもよい。
尚、多層PETボトルにおいて、PETから成る層とPET以外の樹脂を含む層の胴部における各層の厚み比は、1:4〜1:12の範囲にあることが、後述するように、PET以外の樹脂を含む層を容易に除去する上で望ましい。
また本発明の製造方法においては、このような多層PETボトルと共に、単層PETボトルが一緒に製造工程に供給されてもいいことは言うまでもない。
【0013】
本発明において、PETは、芳香族カルボン酸成分の50モル%以上がテレフタル酸成分から成り、且つ脂肪族ジオールを主体とするアルコール成分の50%以上がエチレングリコール成分から成るエチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂から成るものを意味し、ホモPETのみならず共重合ポリエステルであってもよく、或いはこれらの2種以上のブレンド物であってもよい。
テレフタル酸成分以外のカルボン酸成分としては、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、p−β−オキシエトキシ安息香酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等を挙げることができる。
一方、エチレングリコール以外のアルコール成分としては、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−へキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビタン等のアルコール成分を挙げることができる。
尚、一般にPETボトルに使用されているPETは、共重合PETを含めて成形方法によるが、熱膨張係数は、ガラス転移点(約80℃)未満において約17(10
−5/K)、ガラス転移点(約80℃)を超えると大きくなり、約39(10
−5/K)である。
【0014】
PET以外の樹脂としては、一般に多層PETボトルには、炭酸ガスバリア性、水蒸気バリア性、酸素バリア性等を有するバリア性樹脂が用いられており、これに限定されないが、具体的には、バリア性樹脂のポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリレンセバカミド等のキシリレン基含有ポリアミド樹脂(熱膨張係数:5.9〜10(10
−5/K))、熱膨張係数が小さいエチレンビニルアルコール共重合体等や、水蒸気バリア性樹脂の環状オレフィン系樹脂等を挙げることができる。また、従来より容器の材料として用いられているポリエチレン(熱膨張係数:11〜20(10
−5/K)))、ポリプロピレン(熱膨張係数:5.8〜10.2(10
−5/K))等を挙げることもできる。
本発明においては、PET以外の樹脂は、使用されているPETとの熱膨張係数の差があれば良いが、加熱温度において20(10
−5/K)以上であることが特に好適である。これによりPET層とPET以外の樹脂を含む層を容易に剥離することができ、加熱温度を過度に上昇させる必要がなく、熱効率よくPETとPET以外の樹脂を分離することが可能になる。
尚、一般にPETボトルは、上記PETから成るプリフォームを二軸延伸ブロー成形して成るボトルを意味するが、本発明においては、PETを主成分とする限り、ボトル形状に限定されず、圧空成形等によるカップやトレイ等
のポリエステル容器であっても有効にPETのみから成るフレークを製造することができる。
【0015】
(製造工程)
本発明のPETフレークの製造方法は、PETボトルの粉砕工程、加熱工程及び選別工程を少なくとも有していることが必要であり、選別工程としては、磁選別工程、アルミニウム選別工程、風力選別工程、比重分離工程等の工程を挙げることができ、この選別工程で異物の選別と除去を行う。また、これに限定されないが、
図1及び
図2に示した工程順序で行うことが望ましい。
【0016】
図1は、本発明のPETフレークの製造工程の一例を示すフローチャートであり、この製造方法においては、振動篩による異物分離・除去工程、磁選別工程、アルミ選別工程、乾式粉砕工程、スラッジ分離工程、加熱工程、風力選別工程、比重分離工程、洗浄工程、脱水工程から成っている。
また
図2は、本発明のPETフレークの製造工程の他の一例を示すフローチャートであり、この製造方法においては、振動篩による異物分離・除去工程、磁選別工程、アルミ選別工程、湿式粉砕工程、スラッジ分離工程、加熱工程、比重分離工程、洗浄工程、脱水工程、風力選別・除去工程から成っている。
【0017】
自治体等によって回収されたPETボトルは、単層PETボトルの他、多層PETボトルも含まれている。これらのPETボトルは、最初に振動篩にかけられ、PETボトルに紛れて一緒に回収されたキャップ、土砂、或いはガラス等の比較的大きな異物が除去される。次いで、磁選別工程及びアルミ選別工程で鉄やアルミニウム等の金属を金属種に応じて選別し、これを除去することにより、粉砕機に導入可能な状態のPETボトルとする。
【0018】
次いで粉砕機でPETボトルを粉砕し、最も大きい部分の長さが、5〜20mm程度の大きさのフレークになるまで粉砕する。粉砕工程においては、
図1に示すように、粉砕機の中に水分を供給することなく粉砕する乾式粉砕によりPETボトルを粉砕することもできるし、
図2に示すように、水分の存在下でPETボトルの粉砕を行う湿式粉砕によりPETボトルを粉砕することもできる。
粉砕機内に水分が存在する湿式粉砕においては、粉砕時の温度上昇を抑制して樹脂の融着を防止できると共に、粉砕機への噛み込み等を防止することができるが、乾式粉砕による場合でも、粉砕機の回転速度やPETボトルの導入量を制御して、粉砕機内の温度をPETのTg以下の温度に維持しながら粉砕することにより、樹脂の融着などを防止することができる。
【0019】
その後、粉砕工程で発生したスラッジ(土砂やPET粉塵)を異物分離工程であるスラッジ分離工程で分離除去して、フレーク化されたPET及びPET以外の樹脂(以下、単に「PET等フレーク」という)のみを加熱工程に導入する。加熱工程において、乾式粉砕あるいは湿式粉砕により粉砕されたPET等フレークは、80〜250℃の温度に設定した乾燥器等の加熱機内で加熱する。また、乾式粉砕により粉砕されたPET等フレークは、120〜250℃の温度に設定した乾燥機内で加熱することがより望ましい。加熱工程の加熱時間は、加熱温度によって最適時間があるが、加熱温度140〜250℃で、1〜8分間加熱することが好ましい。
加熱された多層フレークは熱膨張係数の相違から、PETから成る層とPET以外の樹脂を含む層の界面で歪が生じることから、これらの層間が剥離し、PETから成る層とPET以外の樹脂を含む層が部分的或いはほぼ完全に剥離したPETフレークとなる。
湿式粉砕により粉砕されたPET等フレークでは、特にPETから成る層とPET以外の樹脂を含む層の層間に水分が入り込み、加熱することにより水分が膨張し、PETから成る層とPET以外の樹脂を含む層の剥離を促進する。一方、乾式粉砕により粉砕されたPET等フレークでは、より高い加熱温度の方が、熱膨張の影響がでて剥離が促進される。しかし、加熱温度が250℃よりも高いと、PETから成る層とPET以外の樹脂を含む層との融着が起きてしまい剥離されず、80℃より低いと、熱膨張係数の相違が小さく剥離が促進されない。
尚、乾式粉砕及び湿式粉砕の方法においても加熱工程を経たPETフレーク等の温度は50℃以下であることが好ましい。上記温度よりもPETフレーク等の温度が高いと粉砕時のフレークの融着、装置へのPETボトルの噛み込み、及び装置への過負荷のおそれがあり、リサイクルPET材の品質の低下、生産効率の低下のおそれがある。
【0020】
加熱工程後に、
図1に示す乾式粉砕による場合は、フレークが濡れていないことから、風力選別工程にPETフレークを導入する。多層フレークから剥離したPET以外の樹脂から成るフレークは、前述したとおり、多層PETボトルにおいては一般に、PET以外の樹脂を含む層はPET層よりも薄肉であることから、PET以外の樹脂から成るフレークはPETフレークよりも薄く軽量であり、このため風圧でPETフレークから選別可能であり、ラベルや粉塵と共に風圧で選別・除去される。
【0021】
次いで、
図1及び
図2の乾式粉砕及び湿式粉砕による場合のいずれの製造工程においても、PETフレークとPETから成る層と剥離されたPET以外のフレーク、或いはキャップやラベル等を構成するプラスチックや紙などの比重差を利用して、比重分離を行う。一般にPETの比重は1.38〜1.39程度であり、PET以外の樹脂、例えばラベル、キャップ等を構成するポリエチレン、ポリプロピレン等の比重は1未満であることから、比重差により浮遊する異物或いは沈殿する異物を除去する。比重分離に使用する液体としては、水(比重1)等を使用することができる。
【0022】
次いで行う、洗浄工程においては、PET等フレークを洗浄し、スラッジとして分離できなかったPET等フレークに付着したラベルや粉塵を更に除去すると共に、加熱工程により、部分的に層間剥離が生じている場合には、更に剥離を進行させてPETから成るフレークとPET以外の樹脂から成るフレークを分離させることが可能になる。この洗浄工程においては、部分的に層間剥離を生じたフレーク状のPETの剥離を進行させると共に、PETフレークに付着したラベル等を除去するという観点からPETフレークに水圧を付加可能な高圧シャワー等によって行うことが望ましい。
洗浄水を脱水した後、
図1に示す乾式粉砕による場合では、目的物であるPETフレークが製造される。また湿式粉砕による場合には、脱水後、風力選別工程で、今までの工程で除去できなかったPET以外の樹脂から成るフレークや、ラベルや粉塵等を除去することによって、目的物であるPETフレークが製造される。
これらのPETフレークはPET以外の異物、特に多層PETボトルに含有されていたPET以外の樹脂が除去されており、フレークの最長部分の長さが5〜20mmの範囲にあるPETフレークが効率よく製造されている。
【0023】
図1及び
図2に示した製造工程においては、加熱工程は、粉砕工程の後に設けられており、このように製造工程の初期に加熱工程を設けることにより、部分的に剥離を生じた多層フレークが多い場合等には、その後の洗浄工程や風力選別工程等に賦されることによって、PETフレークとPET樹脂以外のフレークに完全に分離させる機会が増えることから望ましいと考えられるが、加熱工程の温度条件等によっては、これに限定されない。
例えば、
図1に示した乾式粉砕による場合には、粉砕工程で、粉砕と同時に加熱することもできるが、加熱温度によってはPETが軟化し、樹脂の噛み込みを生じるおそれがあるので、加熱条件を制御する必要がある。また粉砕工程後から洗浄工程の前までの間、または同時に加熱工程を設けることもできる。
図2に示した湿式粉砕による場合には、粉砕工程後、最終選別工程である風力選別工程までの各工程間、または同時に加熱工程が設けられていればよい。
また
図1及び
図2に示した工程の順序は一例であり、その順序及び洗浄工程や風力選別工程の回数は限定されない。例えば、乾式粉砕後また洗浄工程における洗浄水を利用してラベル等の比重分離工程を行うこと等、種々の変更が可能である。
【実施例】
【0024】
本発明を次の実験例にて説明する。
各実施例、比較例にて使用した多層のPETボトル、測定方法は次のとおりである。
【0025】
<PETボトル>
PETボトルA:PET層/バリア材入り層/PET層
PETボトルB:PET層/バリア材入り層/PET層/バリア材入り層/PET層
上記PETボトルA,Bをそれぞれ、1.5mm角(正方形)のPET片に切り出して
測定に用いた。
<測定方法>
(1)乾式粉砕様測定
切り出したPET片をアルミシャーレに採取し、PET層とバリア材入り層が剥離していないPET片10枚を、各設定温度にて各設定時間加熱後、剥離を確認し、下記基準で評価した。
(2)湿式粉砕様測定
切り出したPET片を水道水に10時間浸漬させた後、PET層とバリア材入り層が剥離していないPET片10枚を、各設定温度にて各設定時間加熱後、剥離を確認し、下記基準で評価した。
10枚全て全剥離:◎
10枚が全剥離と部分剥離の混合:○
部分剥離5〜10枚と剥離無し5〜0枚:△
部分剥離4〜0枚と剥離無し又は融着6〜10枚:×
【0026】
[実施例1〜16、比較例1〜5]
PETボトルA,Bから切り出したPET片を、表1の各温度、各時間加熱して、剥離を確認し、評価結果を表1に示す。
[実施例17〜32、比較例6〜10]
PETボトルA,Bから切り出したPET片を、10時間水に浸漬させた後、表2の各温度、各時間加熱して、剥離を確認し、評価結果を表2に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
表1に示すように、PETボトルに水分を与えない場合では、80〜250℃にて加熱することで、PET層とバリア材入り層の剥離が促進されることが確認できた。特に120〜250℃で加熱することで、より剥離が促進させることが確認できた。80℃と低い温度では、15分以上の加熱時間が好ましく、融点に近い250℃では8分以内の加熱時間が好ましいため、温度によって好ましい加熱時間があることも確認できた。特に1〜8分間の加熱では、140〜250℃で剥離の促進を確認できた。よって、水分を与えずPETボトルを粉砕する乾式粉砕では、加熱温度80〜250℃、特に生産効率と剥離の促進の観点から、140〜250℃で、1〜8分間加熱することが好ましい。
また、表2に示すように、PET片に水分を与えた場合も、80〜250℃で加熱することで、PET層とバリア材入り層の剥離が促進されることが確認できた。加熱時間は、水分を与えない場合と同様に、加熱温度によって好ましい加熱時間があり、加熱時間1〜8分間では、140〜250℃で剥離が促進されることも確認できた。
よって、水分を与えてPETボトルを粉砕する湿式粉砕では、加熱温度80〜250℃で、特に生産効率と剥離の促進の観点から140〜250℃で、1〜8分間加熱することが好ましい。