(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記呼吸状態判定部は、複数の前記判定結果が、予め定められた時間の間に予め定められた回数以上の前記不安定いびきが発生していることに応じて、警告信号を出力する請求項6に記載の呼吸状態判定装置。
前記スコア生成部は、前記非定常性特徴量と予め生成した複数のモデルのそれぞれとの照合結果に基づいて、前記音声の種類を推定するための前記スコアを生成する請求項12に記載の呼吸状態判定装置。
前記非定常性特徴量算出部は、前記非定常性特徴量として前記第1特徴量の分散を示す第4特徴量、前記第2特徴量の分散を示す第5特徴量、および前記第3特徴量のエントロピーを示す第6特徴量のうち少なくとも1つを算出する請求項15に記載の呼吸状態判定装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、本実施形態に係る呼吸状態判定装置10の構成例を示す。呼吸状態判定装置10は、睡眠中の生体が発する音声に起因する対象信号に基づき、口および鼻の気流、血中酸素飽和濃度、心拍、胸および腹部の動き等の生体信号を用いずに、音声の種類を判定する。また、呼吸状態判定装置10は、音声の種類の判定結果に基づき、生体の呼吸状態を判定する。なお、本実施形態において、睡眠中の人間が発する音声を、いびき、寝息等の睡眠音とする。また、呼吸状態判定装置10は、当該音声に起因する対象信号に基づき、いびきの種類を推定する例を説明する。
【0010】
呼吸状態判定装置10は、推定装置100と、種類判定部150と、バッファ部160と、呼吸状態判定部170とを備える。推定装置100は、対象信号に基づき、生体の音声の種類を推定する。ここで、対象信号は、睡眠中の生体が発する音声に応じた信号であればよく、例えば、音声信号、生体を伝わる振動信号、予め定められた体の部位の動きの検出信号、鼻孔または口からの気流の検出信号等である。推定装置100は、信号取得部110と、特徴量算出部120と、非定常性特徴量算出部130と、推定部140とを有する。
【0011】
信号取得部110は、睡眠中の生体が発する音声に起因する対象信号を取得する。信号取得部110は、データベース等の外部の記憶装置に接続され、予め定められた形式で記憶された対象信号を読み出して取得してよい。また、信号取得部110は、ネットワーク等に接続され、当該ネットワークを介して対象信号を取得してもよい。これに代えて、信号取得部110は、マイク、ICレコーダ、携帯電話、タブレット型PC、パソコン、動き検出装置等の外部の装置に接続され、対象信号を取得してもよい。
【0012】
また、信号取得部110は、外部の装置等に内蔵され、対象信号を取得してもよい。この場合、推定装置100または呼吸状態判定装置10全体が外部の装置等に内蔵されてもよい。これに代えて、信号取得部110は、マイク、動き検出装置等の検出装置を含み、当該検出装置の出力をデジタル変換して対象信号を取得してもよい。この場合、検出装置は、生体に対して非接触で音声、生体の動き、振動等を検出するセンサであることが望ましい。本実施形態において、信号取得部110が、睡眠中の生体の音声信号を取得する例を説明する。
【0013】
特徴量算出部120は、信号取得部110に接続され、取得した対象信号の特徴量を算出する。特徴量算出部120は、例えば、対象信号の周波数領域におけるピーク周波数を特徴量とする。また、特徴量算出部120は、対象信号が周波数領域で複数のピークを有し、当該複数のピークが基本周波数成分と基本周波数の高調波成分を含む場合(即ち、調波構造を有する場合)、当該基本周波数の周波数を特徴量としてよい。特徴量算出部120は、一例として、対象信号が音声信号の場合、特徴量としてこのようなピーク周波数および/または基本周波数の周波数を音声の音高とし、当該音高を第1特徴量として算出する。
【0014】
また、特徴量算出部120は、ピーク周波数および/または基本周波数の振幅値を特徴量としてよい。特徴量算出部120は、一例として、対象信号が音声信号の場合、このような振幅値を音の強さとし、当該音の強さを第2特徴量として算出する。また、特徴量算出部120は、対象信号を周波数に変換した周波数スペクトルを特徴量としてもよく、一例として、このようなスペクトル波形を第3特徴量として算出する。
【0015】
非定常性特徴量算出部130は、特徴量算出部120に接続され、特徴量の非定常性を示す非定常性特徴量を算出する。非定常性特徴量算出部130は、例えば、特徴量の分散、標準偏差、エントロピー、最大値および最小値の範囲、四分位数等の、データのバラツキの度合いを非定常性特徴量として算出する。非定常性特徴量算出部130は、一例として、非定常性特徴量として第1特徴量の分散を示す第4特徴量、第2特徴量の分散を示す第5特徴量、および第3特徴量のエントロピーを示す第6特徴量のうち少なくとも1つを算出する。
【0016】
推定部140は、対象信号に基づいて、いびきの有無を含む音声の種類を推定する。即ち、推定部140は、非定常性特徴量算出部130に接続され、非定常性特徴量に基づき、音声の種類を推定する。本実施形態において、推定部140は、音声の種類としていびきの種類を推定する。推定部140は、一例として、いびきの種類を「いびき無し(いびきをしていない状態)」、「安定いびき」、および「不安定いびき」として推定する。
【0017】
ここで、安定いびきは、健康上、問題の無いいびきであり、不安定いびきは、生体が無呼吸または低呼吸の状態において発するいびきである。より具体的に説明すると、安定いびきは、気道が比較的軽く締まり、音の強さが安定し、呼吸停止が無く、寝息が混じり、基本周波数および高調波成分との分離が容易な周波数特性となる等の特徴を有する。なお、「基本周波数および高調波成分との分離が容易な周波数特性」とは、周波数スペクトルに特定の周波数帯域の振幅強度が強くなって有色となるといった(例えば、「調波構造を有する」)特性である。
【0018】
これに対し、不安定いびきは、気道が強く締まり、不規則な音の強さで、呼吸停止を伴い、基本周波数および高調波成分との分離が比較的困難となる周波数特性となる等の特徴を有する。なお、「基本周波数および高調波成分との分離が比較的困難となる周波数特性」とは、周波数スペクトルの振幅強度が略一様に広がって白色性が強くなった特性である。
【0019】
推定部140は、推定結果をスコア値として出力してよい。推定部140は、スコア生成部142および記憶部144を含む。
【0020】
スコア生成部142は、非定常性特徴量に基づき、音声が複数の種類のいずれかに該当するかを示すスコアを生成する。スコア生成部142は、例えば、「いびき無し」と推定する場合、より低いスコア値を出力し、「安定いびき」と推定する場合、「いびき無し」と推定するスコア値よりも高いスコア値を出力し、「不安定いびき」と推定する場合、「安定いびき」と推定するスコア値よりも高いスコア値を出力する。スコア生成部142のスコア生成については後述する。
【0021】
記憶部144は、スコア生成部142に接続され、スコア生成部142がスコア生成に用いるデータ、閾値、モデル等を記憶する。記憶部144は、スコア生成部142の要求に応じて、当該データ等を供給する。
【0022】
また、記憶部144は、推定装置100または呼吸状態判定装置10の一時記憶領域として機能してもよい。記憶部144は、例えば、信号取得部110に接続され、当該信号取得部110が取得した対象信号を記憶する。また、記憶部144は、特徴量算出部120が算出する特徴量および非定常性特徴量算出部130が算出する非定常性特徴量を記憶してもよい。また、記憶部144は、推定装置100または呼吸状態判定装置10の動作の過程で生成する(または利用する)中間データ、算出結果、およびパラメータ等をそれぞれ記憶してもよい。また、記憶部144は、呼吸状態判定装置10内の各部の要求に応じて、記憶したデータを要求元に供給してよい。
【0023】
種類判定部150は、推定部140に接続され、推定部140の推定結果に基づき音声の種類を判定する。種類判定部150は、一例として、推定部140から受けとるスコア値に基づき、いびきの種類を判定する。なお、推定装置100および種類判定部150は、対象信号に基づき、睡眠中の生体の音声の種類を判定する種類判定装置を構成してよい。
【0024】
バッファ部160は、種類判定部150に接続され、種類判定部150の判定結果を蓄積する。一例として、種類判定部150は、時系列に判定した判定結果をバッファ部160に供給し、バッファ部160は受けとった複数の判定結果を順次記憶する。また、バッファ部160は受けとった複数の判定結果のうち、先に受けとった判定結果をさきに出力するFIFO(First In First OUT)の機能を有してよい。
【0025】
呼吸状態判定部170は、バッファ部160に接続され、種類判定部150の判定結果に基づいて、睡眠中の生体の呼吸状態を判定する。呼吸状態判定部170は、バッファ部160で蓄積した複数の区間の判定結果に基づいて、複数の区間の生体の呼吸状態を判定してよい。呼吸状態判定部170は、例えば、閉塞性無呼吸状態か否かを判定する。また、呼吸状態判定部170は、生体が無呼吸または低呼吸の状態であるか否かを判定してもよい。呼吸状態判定部170は、判定結果を、呼吸状態判定装置10の出力とする。
【0026】
以上の本実施形態に係る呼吸状態判定装置10は、対象信号に基づき、睡眠中の生体のいびきの種類を判定し、当該判定結果に基づいて睡眠中の生体の呼吸状態を判定する。呼吸状態判定装置10によるいびきの種類の判定および呼吸状態の判定について、
図2を用いて説明する。
図2は、本実施形態に係る呼吸状態判定装置10の動作フローを示す。
【0027】
まず、信号取得部110は、対象信号を取得する(S200)。信号取得部110は、対象信号として、音声信号の時系列データを取得してよい。
図3は、本実施形態に係る信号取得部110が取得する対象信号の一例を示す。
図3の横軸は時間、縦軸は振幅を示す。
図3は、0から略200秒程度までの範囲で不安定いびきが発生し、略250秒から略600秒までの範囲で安定いびきが発生した例を示す。
【0028】
次に、特徴量算出部120は、特徴量を算出する(S210)。特徴量算出部120は、例えば、第1特徴量として基本周波数を算出する。特徴量算出部120は、対象信号にフーリエ変換等の周波数変換を施し、変換した周波数領域から複数のピーク値を取得して基本周波数を選択してよい。
図4は、本実施形態に係る特徴量算出部120が算出した第1特徴量の一例を示す。
図4の横軸は時間、縦軸は音高(基本周波数の周波数)を示す。安定いびきの領域の音高は、略一定の周波数値を示すが、不安定いびきの領域の音高は、安定いびきの音高に比べてバラツキが大きいことがわかる。
【0029】
また、特徴量算出部120は、例えば、第2特徴量として基本周波数の振幅を算出する。特徴量算出部120は、対象信号を周波数変換したデータから、当該振幅値を取得してよい。
図5は、本実施形態に係る特徴量算出部120が算出した第2特徴量の一例を示す。
図5の横軸は時間、縦軸は音の強さ(基本周波数の振幅値)を示す。不安定いびきの領域の音の強さは、安定いびきの領域の音の強さと比較して、バラツキが大きいことがわかる。
【0030】
また、特徴量算出部120は、例えば、第3特徴量として対象信号を周波数に変換した周波数スペクトルを算出する。特徴量算出部120は、第1特徴量および第2特徴量を算出する場合に算出した周波数変換の結果を、第3特徴量としてよい。
【0031】
次に、非定常性特徴量算出部130は、非定常性特徴量を算出する(S220)。非定常性特徴量算出部130は、予め定められた時間間隔における非定常性特徴量を算出してよい。非定常性特徴量算出部130は、例えば、第1特徴量の分散を第4特徴量として算出する。
図6は、本実施形態に係る特徴量算出部120が算出した第4特徴量の一例を示す。
図6の横軸は時間、縦軸は音高の分散を示す。安定いびきの領域の分散は、略一定の周波数値を反映して分散値が小さくなるが、不安定いびきの領域の音高は、安定いびきの音高に比べてバラツキが大きいことがわかる。
【0032】
また、非定常性特徴量算出部130は、例えば、第2特徴量の分散を第5特徴量として算出する。
図7は、本実施形態に係る非定常性特徴量算出部130が算出した第5特徴量の一例を示す。
図7の横軸は時間、縦軸は音の強さの分散を示す。不安定いびきの領域の音の強さの分散は、安定いびきの領域の分散と比較して、バラツキが大きいことがわかる。
【0033】
また、非定常性特徴量算出部130は、例えば、第3特徴量のスペクトラルエントロピーを第6特徴量として算出する。ここで、エントロピーは、調波構造を有する(即ち、なんらかの秩序がある)スペクトルのエントロピーの値は小さくなり、背景雑音、突発的な音等はエントロピーの値が大きくなるので、バラツキ(乱雑さ)の度合いを示す特徴量として用いることが望ましい。非定常性特徴量算出部130は、一例として、次式で示されるスペクトラルエントロピーを算出して、第6特徴量としてよい。
【数1】
【0034】
ここで、fは周波数を示し、S
fは周波数fにおける振幅強度を示す。また、(数1)式は、エントロピーを算出する式に(−1)を掛けて符合を反転させている。即ち、本実施形態のスペクトラルエントロピーは、調波構造を有する音の場合に値が大きくなり、雑音等の場合に値が小さくなる特徴量である。
【0035】
図8は、本実施形態に係る非定常性特徴量算出部130が算出した、安定いびきの領域の第6特徴量の一例を示す。また、
図9は、本実施形態に係る非定常性特徴量算出部130が算出した、不安定いびきの領域の第6特徴量の一例を示す。
図8および
図9の横軸は時間、縦軸は(数1)式のスペクトラルエントロピーを示す。安定いびきの領域のスペクトラルエントロピーは、略一定の大きさのピークが略等間隔に出現しているのに対して、不安定いびきの領域のスペクトラルエントロピーは、突発的なピークが生じていることがわかる。また、安定いびきの領域のスペクトラルエントロピーは、不安定いびきの領域のスペクトラルエントロピーと比較して、全体的に値が大きくなっていることがわかる。
【0036】
次に、推定部140は、非定常特徴量に基づき、いびきの種類を推定する。本実施例において、推定部140のスコア生成部142は、いびきの種類を推定するスコアを生成する。まず、推定部140は、スコア生成部142がスコアを生成すべく、第6特徴量に基づき、生体がいびきを発生しているか否かを判別する(S230)。推定部140は、例えば、
図8および
図9に示したようなスペクトラルエントロピーに対して、予め定められた閾値を用いて、いびきの有無を判別する。推定部140は、一例として、当該閾値とスペクトラルエントロピーとを比較し、当該閾値を超えるデータが出現する領域を、生体がいびきを発生している期間と判断する。
【0037】
生体が安定いびきを発生している場合、対象信号の音高および音の強さは安定しているものの、振幅値の値そのものは小さいので、背景雑音、寝息、寝返り等のノイズ成分との分離が困難である。しかしながら、本実施形態の推定部140は、対象信号をスペクトラルエントロピーに変換してからいびきの有無を判断するので、当該ノイズ成分と容易に分離することができ、いびきの有無の判断を正確に実行することができる。
【0038】
また、推定部140は、
図3に示すような対象信号の時間波形に対して、予め定められた閾値を用いて、いびきの有無を判別してもよい。生体が不安定いびきを発生している場合、対象信号の音高および音の強さは不安定ではあるが、振幅値の値そのものは大きく変動するので、不安定いびきの領域は時間波形の段階においても閾値を用いることで容易に判断することができる。推定部140は、スペクトラルエントロピーによるいびきの有無の判断に加えて、時間波形に対するいびきの有無の判断を実行してもよい。この場合、推定部140は、時間波形の振幅強度の大きさに応じていずれかを選択的に用いてよく、これに代えて、両者の判断を用いてもよい(重みを付けて判断してもよい)。
【0039】
図10は、本実施形態に係る推定部140がいびきの有無を判断した結果の一例を示す。
図10は、
図3に示した対象信号の時間波形に対して、いびきの有無を判断した結果であり、X軸と実線とで囲む領域がいびきと判断したいびき領域である。例えば、
図10における区間A、Cで示す領域はいびき領域である。また、区間B、Dで示す領域はいびき無しの領域である。また、区間Eで示す領域は、いびき領域といびき無しの領域が混在していることを示す。
【0040】
図10に示すように、推定部140は、区間A、Cで示されるような振幅値の小さい安定いびきの領域においても、精度よくいびき領域を判断することができる。また、推定部140は、区間Eで示されるような複数の領域が混在する複雑な領域も精度よく判断できていることがわかる。
【0041】
次に、スコア生成部142は、推定部140がいびきの有無を判断した結果と、非定常性特徴量に基づき、対象信号に含まれるデータのそれぞれにスコアを与える(S240からS280)。スコア生成部142は、「いびき無し」と判断したデータに対して、(S240:No)、対応する第1スコアを与える(S242)。スコア生成部142は、例えば、区間B、D、およびEの一部で示す領域のデータに対して、第1スコアを与える。スコア生成部142は、一例として、第1スコアの値として0を与える。
【0042】
また、スコア生成部142は、「いびきあり」と判断した領域(例えば、区間A、C、およびEの残りの一部)のデータに対しては(S240:Yes)、音高の分散の値が大きいか否かを更に判断する(S250)。スコア生成部142は、例えば、第4特徴量が予め定められた閾値を超えたか否かに応じて、音高の分散が大きいか否かを判断する。そして、スコア生成部142は、第4特徴量が閾値以下のデータに対して(S250:No)、対応する第2スコアを与える(S252)。スコア生成部142は、一例として、第1スコア値よりも大きいスコア値を第2スコア値として与える。
【0043】
また、スコア生成部142は、第4特徴量が閾値を超えたデータに対して(S250:Yes)、音の強さの分散の値が大きいか否かを更に判断する(S260)。スコア生成部142は、例えば、第5特徴量が予め定められた閾値を超えたか否かに応じて、音の強さの分散が大きいか否かを判断する。そして、スコア生成部142は、第5特徴量が閾値以下のデータに対して(S260:No)、対応する第3スコアを与える(S262)。スコア生成部142は、一例として、第2スコア値よりも大きいスコア値を第3スコア値として与える。
【0044】
また、スコア生成部142は、第5特徴量が閾値を超えたデータに対して(S260:Yes)、対応する第4スコアを与える(S270)。スコア生成部142は、一例として、第3スコア値よりも大きいスコア値を第4スコア値として与える。
【0045】
このように、スコア生成部142は、「いびきあり」と判断した領域のデータに対して、非定常性特徴量が予め定められた閾値を超えたか否かに応じて異なるスコア値を与える。スコア生成部142は、対象信号の時間波形データに対して、対応するスコアをそれぞれ与えるまで、S240からS280のステップを繰り返してよい(S280:No)。この場合、スコア生成部142は、「いびきあり」と判断した領域のデータに対して、時系列に並ぶ順にそれぞれスコアを与えてよい。以上のように、スコア生成部142は、音高の分散および音の強さの分散が大きいと判断したデータに対してより大きいスコア値を与えるので、スコアの高いデータほど不安定いびきと推定することができる。
【0046】
なお、各スコア値は、記憶部144に予め記憶され、スコア生成部142がそれぞれ読みだして用いてよい。また、記憶部144は、スコア生成部142が与えて生成した対象信号のスコアを記憶してもよい。ここで、第1スコア値から第4スコア値は、0、1、2、3と等間隔に並ぶ値としてよく、これに代えて、スコアの間隔に重みをつけて不当間隔に並ぶ値としてもよい。
【0047】
図11は、本実施形態に係るスコア生成部142が生成した対象信号のスコアの一例を示す。
図11は、スコア生成部142が
図3および10に示す対象信号に対して生成したスコアの一例であり、横軸が時間、縦軸がスコア値である。
図11は、スコア生成部142が等間隔に並ぶ第1スコア値から第4スコア値のうちいずれか一つの値を各データにそれぞれ与えた結果を示す。
【0048】
スコア生成部142は、S240からS280の動作を繰り返して、時系列に並ぶいびきの有無が判断されたデータに対して、データ毎に順次スコアを与えてよい。スコア生成部142のスコア生成が終了すると(S280:Yes)、種類判定部150は、対象信号のスコアに応じて、いびきの種類を判定する(S290)。種類判定部150は、例えば、対象信号のスコアを平均化して、いびきの種類を判定する。種類判定部150は、時間軸において0ではない(非ゼロの)スコア値が連続する区間の平均を算出してよい。例えば、種類判定部150は、
図10に示す区間AおよびCに示す領域に対応するスコアの区間について、それぞれ平均を算出する。
【0049】
また、種類判定部150は、2つの非ゼロのスコア値の領域に挟まれるスコア値ゼロの領域の時間間隔が、予め定められた時間間隔以下の場合、2つの非ゼロのスコア値の領域およびゼロのスコア値の領域を同一区間とし、当該同一区間の平均を計算してよい。即ち、種類判定部150は、短期間で非ゼロのスコア値とゼロのスコア値が交互に繰り返される領域を、一つの区間とみなして平均化する。これにより、種類判定部150は、
図10に示す区間E示す領域に対応するスコアの区間について、一つの区間とみなして平均を算出する。これに代えて、種類判定部150は、移動平均を算出してもよい。
図12は、本実施形態に係る種類判定部150が
図11に示す対象信号のスコアを平均化した結果の一例を示す。なお、
図12において、予め定められた閾値の一例を点線で示す。
【0050】
そして、種類判定部150は、対象信号のスコアを平均化した後に、スコアの平均値が予め定められた閾値を超えている区間を、生体が不安定いびきをしている不安定いびき区間と判定する。また、種類判定部150は、スコアの平均値が予め定められた閾値以下の区間を、生体が安定いびきをしている安定いびき区間と判定する。このように、種類判定部150は、生体が不安定いびきを発生しているか否かを判定し、これにより、対象信号は、いびき無し、安定いびき、および不安定いびきのいずれかに判定されることになる。
【0051】
図13は、本実施形態に係る種類判定部150が
図3に示す対象信号に対していびきの種類を判定した結果の一例を示す。
図12に示す閾値を用いることで、種類判定部150は、区間AおよびCを安定いびき、区間BおよびDをいびき無し、区間Eを不安定いびきと判定することができる。
【0052】
以上のように、本実施形態に係る推定装置100は、非定常性特徴量を用いることにより、対象信号に対していびきの種類を推定することができる。また、本実施形態に係る呼吸状態判定装置10(または種類判定装置)は、対象信号に対していびきの種類を判定することができる。
図13に示すような呼吸状態判定装置10が判定したいびきの種類の判定結果は、専門家による判定結果と比較することで、90%に至る一致率が得られた例もあり、専門家の判断程度の正確な結果を十数倍から数十倍の高速化させて得られることわかった。
【0053】
次に、呼吸状態判定部170は、いびきの種類の判定結果に基づき、生体の呼吸状態を判定する(S300)。呼吸状態判定部170は、時間軸上において、生体がいびき無しと判定された区間を挟む前後の2つの区間のいびきの種類に応じて、いびき無しの区間の呼吸状態を判定する。呼吸状態判定部170は、生体がいびきを発生していないと推定された第1区間の前後の第2区間および第3区間の音声の種類の判定結果に基づき、第1区間の生体の呼吸状態を判定する。呼吸状態判定部170は、複数の区間を、順次判定してよい。
【0054】
呼吸状態判定部170は、第1区間の生体の呼吸状態が閉塞性無呼吸状態か否かを判定してよい。また、呼吸状態判定部170は、第1区間の生体の呼吸状態が無呼吸または低呼吸の状態であるか否かを判定してもよい。呼吸状態判定部170は、種類判定部150の第2区間および第3区間の判定結果のうち、1以上の不安定いびきの発生に応じて、第1区間の呼吸状態を判定する。例えば、呼吸状態判定部170は、種類判定部150が第2区間および第3区間のいずれか一方を不安定いびきと判定したことに応じて、第1区間の呼吸状態が閉塞性無呼吸状態と判定する。また、呼吸状態判定部170は、第2区間および第3区間が不安定いびきと判定されたことに応じて、第1区間の呼吸状態が閉塞性無呼吸状態と判定する。
【0055】
また、種類判定部150は、第1区間の期間が予め定められた期間を超えることを更に条件として、第1区間の呼吸状態が閉塞性無呼吸状態と判定してもよい。種類判定部150は、一例として、第1区間が略10秒を超える期間の場合に、当該第1区間の呼吸状態を閉塞性無呼吸状態と判定する。このように、呼吸状態判定部170は、不安定いびきの有無と、無音または寝息の状態の継続時間に応じて閉塞性無呼吸状態を判断するので、より正確に呼吸状態を判断することができる。
【0056】
例えば、
図13において、種類判定部150は、区間AおよびCを安定いびき区間に、区間Eを不安定いびき区間に判定したので、呼吸状態判定部170は、区間A、C、およびEによって挟まれる区間BおよびDの呼吸状態を判定する。この場合、種類判定部150は、区間AおよびCが安定いびき区間と判定されたことに応じて、区間Bの呼吸状態を有呼吸状態(寝息区間)と判定する。また、種類判定部150は、区間Cが安定いびき区間、および区間Eが不安定いびき区間と判定されたことに応じて、区間Dの呼吸状態を閉塞性無呼吸状態と判定する。
【0057】
以上のように、本実施形態に係る呼吸状態判定装置10は、いびきが検出されない区間の生体の呼吸状態を、いびきが検出される区間のいびきの種類に応じて判定するので、音がほとんど検出されない区間の呼吸状態を判定することができる。また、呼吸状態判定装置10は、いびきが検出される区間のいびきの種類を、自動で精度よく判定することができるので、いびきが検出されない区間の呼吸状態も自動で精度よく判定することができる。
【0058】
なお、専門家は、8時間等の予め定められた期間に、不安定いびきと判断したいびきの回数をカウントし、予め定められた回数以上カウントしたことに応じて、生体がSASであると診断する場合がある。そこで、呼吸状態判定部170は、複数の判定結果が、予め定められた時間の間に予め定められた回数以上の不安定いびき区間が発生していることに応じて、警告信号を出力してもよい。これによって、呼吸状態判定装置10は、SASセンサとして機能することができる。
【0059】
また、この場合、呼吸状態判定装置10は、SASをリアルタイムでセンシングすることができる。これにより、呼吸状態判定装置10は、例えば、自動圧調整式持続陽圧呼吸療法装置(Auto−CPAP)、可動式枕、可動式ベッド等の外部の装置に直接警告信号を供給することで、生体の危険状態を直ちに回避させることもできる。
【0060】
以上の本実施形態に係るスコア生成部142は、いびきの有無、音高の分散の大小、および音の強さの分散の大小を、予め定められた対応する閾値と比較してスコアを生成することを説明した。これに代えて、スコア生成部142は、非定常性特徴量と予め生成した複数のモデルのそれぞれとの照合結果に基づいて、音声の種類を推定するためのスコアを生成してもよい。
【0061】
スコア生成部142は、例えば、隠れマルコフモデルとして知られる統計モデルを用いて、対象信号に対応するスコアを与える。また、スコア生成部142は、パターンマッチング、サポートベクターマシン等のパターン認識技術を用いて対象信号に対応するスコアを与えてもよい。スコア生成部142は、非定常性特徴量を用いるので、これらの技術を用いても、いびきの種類を推定するためのスコアを生成することができ、当該スコアを用いることで、呼吸状態判定装置10は、精度の高いいびき種類の判定を実行することができる。
【0062】
図14は、本実施形態に係る呼吸状態判定装置10の変形例を示す。本変形例の呼吸状態判定装置10は、無呼吸低呼吸指数(AHI:Apnea Hypopnea Index)、睡眠障害指数(RDI:Respiratory Disturbance Index)等のSASの診断パラメータを出力する。本変形例の呼吸状態判定装置10は、診断パラメータ算出部200を更に備える。
【0063】
本変形例の呼吸状態判定部170は、生体がいびきを発生していないと推定された第1区間の前後の第2区間および第3区間のうち、少なくとも一方の区間を種類判定部150が不安定いびきと判定したことに応じて、当該生体は第1区間において無呼吸または低呼吸の状態であると判定する。診断パラメータ算出部200は、呼吸状態判定部170に接続され、呼吸状態判定部170の判定結果に基づいて、睡眠時無呼吸症候群の診断パラメータを算出する。診断パラメータ算出部200は、無呼吸低呼吸指数および睡眠障害指数の少なくとも1つを診断パラメータとして算出してよい。
【0064】
診断パラメータ算出部200は、例えば、時間的に連続する無呼吸または低呼吸と判断された区間を一つの領域として計数し、1時間当たりの計数値の平均値をAHIとして算出する。診断パラメータ算出部200は、バッファ部160に蓄積された判定結果に基づき、予め定められた時間以上の呼吸状態判定部170の判定結果を用いて診断パラメータを算出する。診断パラメータ算出部200は、生体の全睡眠時間の呼吸状態判定部170による判定結果を用いることが好ましい。
【0065】
また、診断パラメータ算出部200は、種類判定部150の第2区間および第3区間の判定結果に基づく予備パラメータを算出してもよい。診断パラメータ算出部200は、無呼吸低呼吸指数および睡眠障害指数の他に、症状の診断の参考となる情報等を予備パラメータとして算出してよい。診断パラメータ算出部200は、例えば、不安定いびきと判定された期間の音高(最高値および/または平均値)、寝入り時間および寝入り時間からの経過時間等の情報を、予備パラメータとして算出して出力する。このように、本変形例の呼吸状態判定装置10は、対象信号に基づいて、睡眠時無呼吸症候群の診断パラメータおよび予備パラメータを出力することができる。
【0066】
以上で説明した呼吸状態判定装置10は、生体の音声信号または音声に起因する信号であれば、当該音声がいびきであるか否か、そして不安定いびきであるか否かを判断することができる。したがって、呼吸状態判定装置10を生体に対して非接触の装置とすることもできる。また、呼吸状態判定装置10は、生体の音声信号または音声に起因する信号を取得する、例えば、マイク、ICレコーダ等に搭載することもできる。また、呼吸状態判定装置10は、マイク、ICレコーダ等に予め記憶された音声信号等に対して判定することもできる。
【0067】
呼吸状態判定装置10は、このような生体の音声に起因する信号に基づき、睡眠中の雑音等といびきを分別してから呼吸状態を判定するので、正確かつ簡便に診断することができる。また、呼吸状態判定装置10は、呼吸状態を判定する区間の前後のいびき種類に応じて、呼吸状態を判定するので、より正確な判定を実行することができる。
【0068】
図15は、本実施形態に係る呼吸状態判定装置10として機能するコンピュータ1900のハードウェア構成の一例を示す。本実施形態に係るコンピュータ1900は、ホスト・コントローラ2082により相互に接続されるCPU2000、RAM2020、グラフィック・コントローラ2075、および表示装置2080を有するCPU周辺部と、入出力コントローラ2084によりホスト・コントローラ2082に接続される通信インターフェイス2030、ハードディスクドライブ2040、およびDVDドライブ2060を有する入出力部と、入出力コントローラ2084に接続されるROM2010、フレキシブルディスク・ドライブ2050、および入出力チップ2070を有するレガシー入出力部と、を備える。
【0069】
ホスト・コントローラ2082は、RAM2020と、高い転送レートでRAM2020をアクセスするCPU2000およびグラフィック・コントローラ2075とを接続する。CPU2000は、ROM2010およびRAM2020に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。グラフィック・コントローラ2075は、CPU2000等がRAM2020内に設けたフレーム・バッファ上に生成する画像データを取得し、表示装置2080上に表示させる。これに代えて、グラフィック・コントローラ2075は、CPU2000等が生成する画像データを格納するフレーム・バッファを、内部に含んでもよい。
【0070】
入出力コントローラ2084は、ホスト・コントローラ2082と、比較的高速な入出力装置である通信インターフェイス2030、ハードディスクドライブ2040、DVDドライブ2060を接続する。通信インターフェイス2030は、ネットワークを介して他の装置と通信する。ハードディスクドライブ2040は、コンピュータ1900内のCPU2000が使用するプログラムおよびデータを格納する。DVDドライブ2060は、DVD−ROM2095からプログラムまたはデータを読み取り、RAM2020を介してハードディスクドライブ2040に提供する。
【0071】
また、入出力コントローラ2084には、ROM2010と、フレキシブルディスク・ドライブ2050、および入出力チップ2070の比較的低速な入出力装置とが接続される。ROM2010は、コンピュータ1900が起動時に実行するブート・プログラム、および/または、コンピュータ1900のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。フレキシブルディスク・ドライブ2050は、フレキシブルディスク2090からプログラムまたはデータを読み取り、RAM2020を介してハードディスクドライブ2040に提供する。入出力チップ2070は、フレキシブルディスク・ドライブ2050を入出力コントローラ2084へと接続すると共に、例えばパラレル・ポート、シリアル・ポート、キーボード・ポート、マウス・ポート等を介して各種の入出力装置を入出力コントローラ2084へと接続する。
【0072】
RAM2020を介してハードディスクドライブ2040に提供されるプログラムは、フレキシブルディスク2090、DVD−ROM2095、またはICカード等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。プログラムは、記録媒体から読み出され、RAM2020を介してコンピュータ1900内のハードディスクドライブ2040にインストールされ、CPU2000において実行される。
【0073】
プログラムは、コンピュータ1900にインストールされ、コンピュータ1900を信号取得部110、特徴量算出部120、非定常性特徴量算出部130、推定部140、スコア生成部142、記憶部144、種類判定部150、バッファ部160、呼吸状態判定部170、および診断パラメータ算出部200として機能させる。
【0074】
プログラムに記述された情報処理は、コンピュータ1900に読込まれることにより、ソフトウェアと上述した各種のハードウェア資源とが協働した具体的手段である信号取得部110、特徴量算出部120、非定常性特徴量算出部130、推定部140、スコア生成部142、記憶部144、種類判定部150、バッファ部160、呼吸状態判定部170、および診断パラメータ算出部200として機能する。そして、この具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータ1900の使用目的に応じた情報の演算または加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の呼吸状態判定装置10が構築される。
【0075】
一例として、コンピュータ1900と外部の装置等との間で通信を行う場合には、CPU2000は、RAM2020上にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理内容に基づいて、通信インターフェイス2030に対して通信処理を指示する。通信インターフェイス2030は、CPU2000の制御を受けて、RAM2020、ハードディスクドライブ2040、フレキシブルディスク2090、またはDVD−ROM2095等の記憶装置上に設けた送信バッファ領域等に記憶された送信データを読み出してネットワークへと送信し、もしくは、ネットワークから受信した受信データを記憶装置上に設けた受信バッファ領域等へと書き込む。このように、通信インターフェイス2030は、DMA(ダイレクト・メモリ・アクセス)方式により記憶装置との間で送受信データを転送してもよく、これに代えて、CPU2000が転送元の記憶装置または通信インターフェイス2030からデータを読み出し、転送先の通信インターフェイス2030または記憶装置へとデータを書き込むことにより送受信データを転送してもよい。
【0076】
また、CPU2000は、ハードディスクドライブ2040、DVDドライブ2060(DVD−ROM2095)、フレキシブルディスク・ドライブ2050(フレキシブルディスク2090)等の外部記憶装置に格納されたファイルまたはデータベース等の中から、全部または必要な部分をDMA転送等によりRAM2020へと読み込ませ、RAM2020上のデータに対して各種の処理を行う。そして、CPU2000は、処理を終えたデータを、DMA転送等により外部記憶装置へと書き戻す。このような処理において、RAM2020は、外部記憶装置の内容を一時的に保持するものとみなせるから、本実施形態においてはRAM2020および外部記憶装置等をメモリ、記憶部、または記憶装置等と総称する。本実施形態における各種のプログラム、データ、テーブル、データベース等の各種の情報は、このような記憶装置上に格納されて、情報処理の対象となる。なお、CPU2000は、RAM2020の一部をキャッシュメモリに保持し、キャッシュメモリ上で読み書きを行うこともできる。このような形態においても、キャッシュメモリはRAM2020の機能の一部を担うから、本実施形態においては、区別して示す場合を除き、キャッシュメモリもRAM2020、メモリ、および/または記憶装置に含まれるものとする。
【0077】
また、CPU2000は、RAM2020から読み出したデータに対して、プログラムの命令列により指定された、本実施形態中に記載した各種の演算、情報の加工、条件判断、情報の検索・置換等を含む各種の処理を行い、RAM2020へと書き戻す。例えば、CPU2000は、条件判断を行う場合においては、本実施形態において示した各種の変数が、他の変数または定数と比較して、大きい、小さい、以上、以下、等しい等の条件を満たすかどうかを判断し、条件が成立した場合(または不成立であった場合)に、異なる命令列へと分岐し、またはサブルーチンを呼び出す。
【0078】
また、CPU2000は、記憶装置内のファイルまたはデータベース等に格納された情報を検索することができる。例えば、第1属性の属性値に対し第2属性の属性値がそれぞれ対応付けられた複数のエントリが記憶装置に格納されている場合において、CPU2000は、記憶装置に格納されている複数のエントリの中から第1属性の属性値が指定された条件と一致するエントリを検索し、そのエントリに格納されている第2属性の属性値を読み出すことにより、所定の条件を満たす第1属性に対応付けられた第2属性の属性値を得ることができる。
【0079】
以上に示したプログラムまたはモジュールは、外部の記録媒体に格納されてもよい。記録媒体としては、フレキシブルディスク2090、DVD−ROM2095の他に、DVD、Blu−ray(登録商標)、またはCD等の光学記録媒体、MO等の光磁気記録媒体、テープ媒体、ICカード等の半導体メモリ等を用いることができる。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスクまたはRAM等の記憶装置を記録媒体として使用し、ネットワークを介してプログラムをコンピュータ1900に提供してもよい。
【0080】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0081】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。