(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献2に記載の露光装置では、ワークのひずみに対応して平面ミラーの曲率を補正すると、露光光の照度分布が悪化してしまうため、照度分布の悪化を改善することが求められる。
【0006】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、反射鏡の曲率を補正した場合であっても、露光光の露光エリアの照度分布を向上させて露光精度を高めることができる露光装置及び露光方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) ワークを支持するワーク支持部と、
マスクを支持するマスク支持部と、
光源及び該光源からの露光光を反射する反射鏡を有する照明光学系と、
前記反射鏡の曲率を補正可能なミラー曲げ機構と、
を備え、前記光源からの露光光を前記マスクを介して前記ワークに照射して前記マスクのパターンを前記ワークに転写する露光装置であって、
前記ワークに照射される露光光の照度を測定する照度計を備え、
前記ワークを露光する前に、前記反射鏡を介して前記ワークに照射される前記露光光の露光エリアの照度分布を、前記照度計を用いて測定し、
前記照明光学系は、複数の前記反射鏡を備えると共に、
前記ミラー曲げ機構は、前記複数の反射鏡の曲率をそれぞれ補正可能な複数のミラー曲げ機構を含み、
前記複数の反射鏡のいずれか一つに対して、前記ミラー曲げ機構を駆動させることで、その曲率を補正し、
前記複数の反射鏡のいずれか他方は、前記いずれか一つの反射鏡の曲率を補正した状態で、前記照度計によって測定された前記露光エリアの照度分布に応じて、前記ミラー曲げ機構を駆動させることで、その曲率を補正することを特徴とする露光装置。
(2) (1)に記載の露光装置を用いて、前記光源からの露光光を前記マスクを介して前記ワークに照射して前記マスクのパターンを前記ワークに転写する露光方法であって、
前記複数の反射鏡のいずれか一つに対して、前記ミラー曲げ機構を駆動させることで、その曲率を補正する工程と、
前記ミラー曲げ機構によって前記曲率が補正された前記いずれか一つの反射鏡を介して前記ワークに照射される前記露光光の露光エリアの照度分布を、前記照度計を用いて測定する工程と、
前記複数の反射鏡のいずれか他方は、前記いずれか一つの反射鏡の曲率を補正した状態で、前記照度計によって測定された前記露光エリアの照度分布に応じて、前記ミラー曲げ機構を駆動させることで、その曲率を補正する工程と、
を備えることを特徴とする露光方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の露光装置及び露光方法によれば、ワークに照射される露光光の照度を測定する照度計を備え、ワークを露光する前に、ミラー曲げ機構によって曲率が補正された反射鏡を介してワークに照射される露光光の露光エリアの照度分布を、照度計を用いて測定する。これにより、露光エリアの照度分布を取得することができ、目標照度分布に達しなかった場合には、再度、曲率補正した反射鏡、又は、他の反射鏡のミラー曲げ機構を駆動して、目標照度分布に達するように微調整を行うことで、露光光の露光エリアの照度分布を向上させて露光精度を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る露光装置の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の露光装置を示す図である。
図1に示すように、近接露光装置PEは、被露光材としてのワークWより小さいマスクMを用い、マスクMをマスクステージ1で保持すると共に、ワークWをワークステージ(ワーク支持部)2で保持し、マスクMとワークWとを近接させて所定の露光ギャップで対向配置した状態で、照明光学系3からパターン露光用の光をマスクMに向けて照射することにより、マスクMのパターンをワークW上に露光転写する。また、ワークステージ2をマスクMに対してX軸方向とY軸方向の二軸方向にステップ移動させて、ステップ毎に露光転写が行われる。
【0011】
ワークステージ2をX軸方向にステップ移動させるため、装置ベース4上には、X軸送り台5aをX軸方向にステップ移動させるX軸ステージ送り機構5が設置されている。X軸ステージ送り機構5のX軸送り台5a上には、ワークステージ2をY軸方向にステップ移動させるため、Y軸送り台6aをY軸方向にステップ移動させるY軸ステージ送り機構6が設置されている。Y軸ステージ送り機構6のY軸送り台6a上には、ワークステージ2が設置されている。ワークステージ2の上面には、ワークWがワークチャック等で真空吸引された状態で保持される。また、ワークステージ2の側部には、マスクMの下面高さを測定するための基板側変位センサ15が配設されている。従って、基板側変位センサ15は、ワークステージ2と共にX、Y軸方向に移動可能である。
【0012】
装置ベース4上には、複数(図に示す実施形態では4本)のX軸リニアガイドのガイドレール51がX軸方向に配置され、それぞれのガイドレール51には、X軸送り台5aの下面に固定されたスライダ52が跨架されている。これにより、X軸送り台5aは、X軸ステージ送り機構5の第1リニアモータ20で駆動され、ガイドレール51に沿ってX軸方向に往復移動可能である。また、X軸送り台5a上には、複数のY軸リニアガイドのガイドレール53がY軸方向に配置され、それぞれのガイドレール53には、Y軸送り台6aの下面に固定されたスライダ54が跨架されている。これにより、Y軸送り台6aは、Y軸ステージ送り機構6の第2リニアモータ21で駆動され、ガイドレール53に沿ってY軸方向に往復移動可能である。
【0013】
Y軸ステージ送り機構6とワークステージ2の間には、ワークステージ2を上下方向に移動させるため、比較的位置決め分解能は粗いが移動ストローク及び移動速度が大きな上下粗動装置7と、上下粗動装置7と比べて高分解能での位置決めが可能でワークステージ2を上下に微動させてマスクMとワークWとの対向面間のギャップを所定量に微調整する上下微動装置8が設置されている。
【0014】
上下粗動装置7は後述の微動ステージ6bに設けられた適宜の駆動機構によりワークステージ2を微動ステージ6bに対して上下動させる。ワークステージ2の底面の4箇所に固定されたステージ粗動軸14は、微動ステージ6bに固定された直動ベアリング14aに係合し、微動ステージ6bに対し上下方向に案内される。なお、上下粗動装置7は、分解能が低くても、繰り返し位置決め精度が高いことが望ましい。
【0015】
上下微動装置8は、Y軸送り台6aに固定された固定台9と、固定台9にその内端側を斜め下方に傾斜させた状態で取り付けられたリニアガイドの案内レール10とを備えており、該案内レール10に跨架されたスライダ11を介して案内レール10に沿って往復移動するスライド体12にボールねじのナット(図示せず)が連結されると共に、スライド体12の上端面は微動ステージ6bに固定されたフランジ12aに対して水平方向に摺動自在に接している。
【0016】
そして、固定台9に取り付けられたモータ17によってボールねじのねじ軸を回転駆動させると、ナット、スライダ11及びスライド体12が一体となって案内レール10に沿って斜め方向に移動し、これにより、フランジ12aが上下微動する。
なお、上下微動装置8は、モータ17とボールねじによってスライド体12を駆動する代わりに、リニアモータによってスライド体12を駆動するようにしてもよい。
【0017】
この上下微動装置8は、Z軸送り台6aのY軸方向の一端側(
図1の左端側)に1台、他端側に2台、合計3台設置されてそれぞれが独立に駆動制御されるようになっている。これにより、上下微動装置8は、ギャップセンサ27による複数箇所でのマスクMとワークWとのギャップ量の計測結果に基づき、3箇所のフランジ12aの高さを独立に微調整してワークステージ2の高さ及び傾きを微調整する。
なお、上下微動装置8によってワークステージ2の高さを十分に調整できる場合には、上下粗動装置7を省略してもよい。
【0018】
また、Y軸送り台6a上には、ワークステージ2のY方向の位置を検出するY軸レーザ干渉計18に対向するバーミラー19と、ワークステージ2のX軸方向の位置を検出するX軸レーザ干渉計に対向するバーミラー(共に図示せず)とが設置されている。Y軸レーザ干渉計18に対向するバーミラー19は、Y軸送り台6aの一側でX軸方向に沿って配置されており、X軸レーザ干渉計に対向するバーミラーは、Y軸送り台6aの一端側でY軸方向に沿って配置されている。
【0019】
Y軸レーザ干渉計18及びX軸レーザ干渉計は、それぞれ常に対応するバーミラーに対向するように配置されて装置ベース4に支持されている。なお、Y軸レーザ干渉計18は、X軸方向に離間して2台設置されている。2台のY軸レーザ干渉計18により、バーミラー19を介してY軸送り台6a、ひいてはワークステージ2のY軸方向の位置及びヨーイング誤差を検出する。また、X軸レーザ干渉計により、対向するバーミラーを介してX軸送り台5a、ひいてはワークステージ2のX軸方向の位置を検出する。
【0020】
マスクステージ1は、略長方形状の枠体からなるマスク基枠24と、該マスク基枠24の中央部開口にギャップを介して挿入されてX,Y,θ方向(X,Y平面内)に移動可能に支持されたマスクフレーム25とを備えており、マスク基枠24は装置ベース4から突設された支柱4aによってワークステージ2の上方の定位置に保持されている。
【0021】
マスクフレーム25の中央部開口の下面には、枠状のマスクホルダ(マスク支持部)26が設けられている。即ち、マスクフレーム25の下面には、図示しない真空式吸着装置に接続される複数のマスクホルダ吸着溝が設けられており、マスクホルダ26が複数のマスクホルダ吸着溝を介してマスクフレーム25に吸着保持される。
【0022】
マスクホルダ26の下面には、マスクMのマスクパターンが描かれていない周縁部を吸着するための複数のマスク吸着溝(図示せず)が開設されており、マスクMは、マスク吸着溝を介して図示しない真空式吸着装置によりマスクホルダ26の下面に着脱自在に保持される。
【0023】
図2に示すように、本実施形態の露光装置PEの照明光学系3は、紫外線照射用の光源である例えば高圧水銀ランプ61、及びこの高圧水銀ランプ61から照射された光を集光するリフレクタ62をそれぞれ備えたマルチランプユニット60と、光路ELの向きを変えるための平面ミラー63と、照射光路を開閉制御する露光制御用シャッターユニット64と、露光制御用シャッターユニット64の下流側に配置され、リフレクタ62で集光された光を照射領域においてできるだけ均一な照度分布となるようにして出射するオプティカルインテグレータ65と、オプティカルインテグレータ65から出射された光路ELの向きを変えるための平面ミラー66と、高圧水銀ランプ61からの光を平行光として照射するコリメーションミラー67と、該平行光をマスクMに向けて照射する平面ミラー68と、を備える。なお、オプティカルインテグレータ65と露光面との間には、DUVカットフィルタ、偏光フィルタ、バンドパスフィルタが配置されてもよい。また、光源は、高圧水銀ランプは、単一のランプであってもよく、或いは、LEDによって構成されてもよい。
【0024】
そして、露光時にその露光制御用シャッターユニット64が開制御されると、マルチランプユニット60から照射された光が、平面ミラー63、オプティカルインテグレータ65、平面ミラー66、コリメーションミラー67、平面ミラー68を介して、マスクホルダ26に保持されるマスクM、ひいてはワークWの表面にパターン露光用の光として照射され、マスクMの露光パターンがワークW上に露光転写される。
【0025】
ここで、
図3に示すように、平面ミラー68は、正面視矩形状に形成されたガラス素材からなる。平面ミラー68は、平面ミラー68の裏面側に設けられた複数のミラー変形ユニット(ミラー曲げ機構)70によりミラー変形ユニット保持枠71に支持されている。
【0026】
各ミラー変形ユニット70は、平面ミラー68の裏面に接着剤で固定されるパッド72と、一端がパッド72に固定された支持部材73と、支持部材73を駆動する駆動装置であるアクチュエータ74と、を備える。
【0027】
支持部材73には、保持枠71に対してパッド72寄りの位置に、±0・5deg以上の屈曲を許容する屈曲機構としてのボールジョイント76が設けられており、保持枠71に対して反対側となる他端には、アクチュエータ74が取り付けられている。
【0028】
さらに、マスク側のアライメントマーク(図示せず)の位置に露光光を反射する平面ミラー68の各位置の裏面には、複数の接触式センサ81が取り付けられている。
【0029】
これにより、平面ミラー68は、接触式センサ81によって平面ミラー68の変位量をセンシングしながら、各ミラー変形ユニット70のアクチュエータ74を駆動して、各支持部材73の長さを変えることによって、平面ミラー68の曲率を局部的に補正し、平面ミラー68のデクリネーション角を補正することができる。
【0030】
その際、各ミラー変形ユニット70には、ボールジョイント76が設けられているので、支持部側の部分を三次元的に回動可能とすることができ、各パッド72を平面ミラー68の表面に沿って傾斜させることができる。このため、各パッド72と平面ミラー68との接着剥がれを防止するすると共に、移動量の異なる各パッド72間における平面ミラー68の応力が抑制され、平均破壊応力値が小さいガラス素材からなる場合であっても、平面ミラー68の曲率を局部的に補正する際、平面ミラー68を破損することなく、10mmオーダーで平面ミラー68を曲げることができ、曲率を大きく変更することができる。
【0031】
図2に戻って、本実施形態では、平面ミラー68の曲率を補正した際に、ワークWのひずみ量や目標照度分布に応じた目標変位量に対して平面ミラー68の曲率補正が適切に行われたかどうかを判断するための曲率補正量検出系90が設けられている。曲率補正量検出系90は、露光光の光束の光路ELにおいて平面ミラー68より露光面側(本実施形態では、マスク近傍)から平面ミラー68に向けて指向性を有する光としてレーザー光Lを照射するレーザー光源としての複数(本実施形態では、4つ)のレーザーポインタ91と、オプティカルインテグレータ65の近傍に、露光光の光束の光路ELから退避可能に配置された反射板92と、平面ミラー68を介して、反射板92に映りこんだレーザー光Lを撮像する撮像手段としてのカメラ93と、カメラ93と平面ミラー68のミラー変形ユニット70のアクチュエータ74との間に設けられ、平面ミラー68の曲率を補正した際に撮像されるレーザー光Lの変位量を検出し、該変位量が、目標変位量と対応するようにミラー変形ユニット70のアクチュエータ74を制御する制御部94と、を有する。
【0032】
レーザーポインタ91は、アライメントを検出するための、例えば不図示のCCDカメラの上部に取り付けられ、CCDカメラがマスク側のアライメントマークが視認できる位置へ進退するのと同期して移動する。
【0033】
反射板92は、コリメーションミラー67によって反射されることで最も集光された光となるインテグレータ近傍に配置されているので、平面ミラー68、コリメーションミラー67、平面ミラー66で反射された4つのレーザーポインタ91からのレーザー光Lを比較的小さな面積の反射板92によって捉えることができる。また、反射板92は、通常の露光時、光源からの露光光の光束をマスクMに照射する際に、図示しない駆動機構によって、該光束の光路ELから退避可能に配置される。さらに、反射板92は、低反射率の反射面とすることで、カメラ93でのレーザー光Lの視認性を上げることができる。
【0034】
カメラ93は、露光光の光束に影響を与えないように、光源からの該光束の光路EL上から離れた位置に配置されている。
【0035】
また、制御部94は、カメラ93によって撮像されたレーザー光Lの位置を、曲率補正前と曲率補正後の変位量として検出し、該変位量が目標変位量に対応しているかどうかを確認して、平面ミラー68のミラー変形ユニット70のアクチュエータ74に制御信号を与える。
【0036】
図1に示すように、さらに、ワークステージ2の側方には、ワークWに照射される露光光の照度を測定する照度計40が取り付けられており、X軸ステージ送り機構5やY軸ステージ送り機構6によって、ワークステージ2の移動と共に水平方向に移動する。
【0037】
具体的には、
図4(a)〜(d)に示すように、ワークWに照射される露光光の露光エリアAを16分割した四角形の各頂点に照度計40が移動するように、照度計40をワークステージ2と共に移動させ、照度計40によって各頂点における照度を測定することで、露光エリア全体の照度分布を取得する。
【0038】
なお、
図5に示すように、照度計40の側方には、照度計40の上方に進退可能なブラインド(シャッター)41を駆動する駆動機構42が設けられている。これにより、照度測定時以外では、ブラインド41によって、照度計40を露光光から遮ることで、露光光による照度計40の劣化を抑制することができる。
また、照度計40は、照度測定開始前にて、ブラインド41によって照度計40への光を遮断することで、ゼロ点調整を行っている。
【0039】
次に、本実施形態の露光方法について、
図6に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、露光位置にワークWを搬送し、露光用光を照射する(ステップS1)。次に、照度計40によって、露光エリアA全体の照度分布を測定する(ステップS3)。ここで、初期状態の各ミラー66、67、68は、反射率や曲率において若干のばらつきが生じやすく、その場合、各ミラー66、67、68で反射された露光光の照度分布にもばらつきが生じる。
【0040】
このため、測定した照度分布と、目標照度分布とを比較する(ステップS4)。ステップS4にて、測定した照度分布が目標照度分布に達している場合には、実際の露光を開始する(ステップS5)。一方、測定した照度分布が、目標照度分布に達しない場合には、差分演算を行う(ステップS6)。
【0041】
次いで、ステップS7にて、差分演算に基づいて各ミラー変形ユニット70のアクチュエータ74を駆動制御し、接触式センサ81や曲率補正量検出系90によって平面ミラー68の変位量を確認しながら、平面ミラー68の曲率を補正する。
【0042】
以後、ステップS3〜S7を繰り返し、測定した照度分布が目標照度分布に達するまで繰り返し行う。この結果、露光光の露光エリアの照度分布を向上させて露光精度を高めることができる。
【0043】
なお、上記照度分布の補正は、ミラー曲げのオフセット量が変化するごとに行われる。さらに、ワーク1枚当たり4〜8ショット分でミラー曲げのオフセット量が異なるので、オフセット量を変化するごとに、照度分布の補正が行われる。
【0044】
また、ステップS3にて、照度分布を測定する前に、初回に平面ミラー68の曲率補正が行われてもよい(ステップS2´)。この場合、アクチュエータ74の駆動量は、ワークWのアライメントマークとマスクMのアライメントマークを、複数のCCDカメラ30で検出し、各CCDカメラ30が検出した両アライメントマークWa、Maのずれ量に基づいて、マスクMの中心とワークWの中心の位置ずれ量と、ワークWのひずみ量とを別々に計算し、該ワークWのひずみ量に応じて決定されるものとしてもよい。この場合、マスクMの中心とワークWの中心の位置ずれ量は、マスクM側のアライメント機構を駆動制御することにより行われる。また、この場合には、ステップS7での、差分演算に基づいた平面ミラー68の曲率補正は、補正後のワークWのひずみ量が許容範囲内となるようにして行われる。
【0045】
或いは、ステップS2´での、初回の平面ミラー68の曲率補正は、照明光学系3や露光装置における装置固有の誤差を予め調整するように、アクチュエータ74の駆動量を設定することで、行われてもよい。
【0046】
以上説明したように、本実施形態の露光装置PEによれば、ワークWに照射される露光光の照度を測定する照度計40を備え、ワークWを露光する前に、平面ミラー68を介してワークWに照射される露光光の露光エリアAの照度分布を、照度計40を用いて測定する。これにより、露光エリアAの照度分布を取得することができ、目標照度分布に達しなかった場合には、再度、曲率補正した平面ミラー68のミラー変形ユニット70を駆動して、目標照度分布に達するまで微調整を行うことで、露光光の露光エリアAの照度分布を向上させて露光精度を高めることができる。
【0047】
また、露光装置は、ワークWとマスクMとを水平方向に相対移動させるように、ワークステージ2を移動するX軸ステージ送り機構5とY軸ステージ送り機構6とを備え、照度計40は、これら送り機構5、6を駆動して、露光エリアAの全域を移動可能としている。これにより、照度計40の数を削減して、露光エリアAの全域の照度を測定することができる。
なお、本発明において、照度計40の数は、複数であってもよく、複数の照度計40によって同時に露光エリアAにおける各位置での照度を測定し、測定時間を短縮するようにしてもよい。
【0048】
また、本実施形態の露光方法によれば、ミラー変形ユニット70によって、平面ミラー68を介してワークWに照射される露光光の露光エリアAの照度分布を、照度計40を用いて測定する工程と、照度計40によって測定された露光エリアAの照度分布に応じて、ミラー変形ユニット70を駆動させることで、平面ミラー68の曲率を補正する工程と、を備える。これにより、露光エリアAの照度分布を取得することができ、目標照度分布に達しなかった場合には、再度、曲率補正した平面ミラー68のミラー変形ユニット70を駆動して、目標照度分布に達するまで微調整を行うことで、露光光の露光エリアAの照度分布を向上させて露光精度を高めることができる。
【0049】
(第2実施形態)
次に、
図7を参照して、本発明の第2実施形態に係る露光装置について説明する。なお、本実施形態の照明光学系3は、第1実施形態の照明光学系と同様の構成を有するので、第1実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。
【0050】
本実施形態の照明光学系3は、
図7に示すように、ミラー変形ユニット70は、平面ミラー68の裏側、及び他の平面ミラー66の裏側にも取り付けられており、平面ミラー68及び他の平面ミラー66の曲率が局部的に補正可能となっている。
【0051】
即ち、第1実施形態では、複数の各ミラー66、67、68の反射率や曲率のばらつきに起因する照度分布の悪化を、1箇所の平面ミラー68の曲率補正によって抑制するようにしている。しかしながら、本実施形態のように、複数のミラー66、68の曲率補正によって照度分布の悪化を抑制するようにすれば、各ミラー66、68ごとに所望の曲率にすることができ、より容易に照度分布を向上させることができる。
【0052】
なお、第1実施形態の
図6のフローチャートにおいて、ステップS7におけるミラー66、68の曲率補正は、両方のミラー66、68で行うようにしてもよいし、或いは、ミラー66、68のいずれか一方の曲率補正を適宜行うようにしてもよい。
【0053】
例えば、ステップS7にて、平面ミラー68に対して、ミラー変形ユニット70を駆動させることで、その曲率を補正し、次工程のステップS3にて、平面ミラー68を介してワークWに照射される露光光の露光エリアAの照度分布を、照度計40を用いて測定し、ステップS4にて目標照度分布に達しない場合には、ステップS6にて差分演算を行い、次のステップS7にて、他の平面ミラー66は、平面ミラー68の曲率を補正した状態で、照度計40によって測定された露光エリアAの照度分布に応じて、ミラー変形ユニット70を駆動させることで、その曲率を補正する。これにより、露光エリアAの照度分布を取得することができ、目標照度分布に達しなかった場合には、他の平面ミラー66のミラー変形ユニット70を駆動して、目標照度分布に達するまで微調整を行うことで、露光光の露光エリアAの照度分布を向上させて露光精度を高めることができる。
【0054】
従って、上記のような構成を有する本実施形態の照明光学系3においても、平面ミラー68及び他の平面ミラー66の曲率が局部的に曲率補正されることにより、露光光のデクリネーション角を変更し、照度分布を向上させることができる。
なお、ミラー変形ユニット70は、コリメーションミラー67の裏側にも取り付けられてもよい。
その他の構成及び作用効果については、上記第1実施形態と同様である。
【0055】
また、本実施形態の変形例として、例えば、ワークWがひずんでいる場合に、ワークWの被露光領域の形状に応じて、平面ミラー68のミラー変形ユニット70で曲率を補正することによりマスクMのパターンを精度良く露光転写し、平面ミラー68のミラー変形ユニット70で曲率を補正することにより生じる露光光の照度分布の悪化を、他の平面ミラー66の曲率を変更することでデクリネーション角を変えることで抑制し、照度分布を向上させて高解像度での露光を行うようにしてもよい。
【0056】
尚、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。