特許第6535230号(P6535230)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6535230鉄道軌道上で走行可能な保線用機械を駆動させるための軌道整正システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6535230
(24)【登録日】2019年6月7日
(45)【発行日】2019年6月26日
(54)【発明の名称】鉄道軌道上で走行可能な保線用機械を駆動させるための軌道整正システム
(51)【国際特許分類】
   E01B 27/20 20060101AFI20190617BHJP
   E01B 35/04 20060101ALI20190617BHJP
【FI】
   E01B27/20
   E01B35/04
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-122137(P2015-122137)
(22)【出願日】2015年6月17日
(65)【公開番号】特開2016-3561(P2016-3561A)
(43)【公開日】2016年1月12日
【審査請求日】2017年11月14日
(31)【優先権主張番号】14172959.0
(32)【優先日】2014年6月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517002409
【氏名又は名称】ハーペードライ・レアール・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト・リヒトベルガー
【審査官】 湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−127001(JP,A)
【文献】 特表2008−505260(JP,A)
【文献】 特表2008−520862(JP,A)
【文献】 特開昭58−111714(JP,A)
【文献】 特公昭52−001162(JP,B1)
【文献】 特公昭48−007125(JP,B1)
【文献】 特開昭60−109401(JP,A)
【文献】 実開平05−014834(JP,U)
【文献】 特開昭58−150602(JP,A)
【文献】 特開平09−164952(JP,A)
【文献】 特開2003−075144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 27/20
E01B 35/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道位置を整正するためのコンピュータ制御される昇降補修装置と、前記昇降補修装置(14)の領域内の前記軌道位置を測定するための制御測定装置と、当該整正された軌道位置を測定するための確認用測定装置と、鉄道軌道の道床のバラストを掻き寄せるためのタンピング装置(24)とを有する、前記鉄道軌道(1)上で走行可能な保線用機械(17)を駆動させるための軌道整正システムにおいて、
前記軌道に作用する補修力(F)に起因する前記軌道の弾性戻り(Δrの量が計算されること、及び、前記軌道が、前記昇降補修装置によって前記軌道の弾性戻り(Δr)の量に相当する弾性戻り(Δc)の量だけ目標位置(0)より余計に変位されるように、前記弾性戻り(Δc)が、目標補修値のプリセット時に考慮されることを特徴とする軌道整正システム。
【請求項2】
平均補修誤差(Δc)が、目標位置と前記確認用測定装置による確認測定との間の差から計算され、前記軌道が、前記目標位置に近づける目的で前記昇降補修装置によって前記平均補修誤差だけ余計に変位されることを特徴とする請求項1に記載の軌道整正システム。
【請求項3】
前記軌道が、前記昇降補修装置によって前記目標位置より計算した沈下(Δu)の量だけ余計に持ち上げられるように、レール区間のカント(Δu)で発生する沈下(Δu)が計算され、目標カント値(Δu)のプリセット時に考慮されることを特徴とする請求項1又は2に記載の軌道整正システム。
【請求項4】
平均カント誤差(Δu)が、目標位置と前記確認用測定装置による確認測定との間の差から計算され、前記軌道が、前記目標位置に近づける目的で前記昇降補修装置によって前記平均カント誤差だけ余計に変位されることを特徴とする請求項3に記載の軌道整正システム。
【請求項5】
前記補修力(F)は、前記昇降補修装置に付設された力センサ及び/又は圧力センサ(p,p)によって測定され、前記軌道(1)の前記弾性戻り(Δr)が、当該測定値から計算されることを特徴とする請求項1に記載の軌道整正システム。
【請求項6】
1つの軌道(1)のレール区間のカント(Δu)の沈下(Δu)が、前記カントを付されたレール区間(Δu)の高さ位置から計算されることを特徴とする請求項3に記載の軌道整正システム。
【請求項7】
共通の1つの出力装置、特にモニター又はデータロガーが、前記制御測定装置と前記確認用測定装置とに付設されていて、測定結果が、前記出力装置によって表示されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の軌道整正システム。
【請求項8】
前記制御測定装置と前記確認用測定装置とが、共通の1つの演算装置(48)に付設されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の軌道整正システム。
【請求項9】
補正値が、共通の1つの出力装置に表示されることを特徴とする請求項7又は8に記載の軌道整正システム。
【請求項10】
GPS装置(48,49)によって算出された位置データが、前記制御測定装置と前記確認用測定装置との測定値に割り当てられることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の軌道整正システム。
【請求項11】
前記制御測定装置の測定値及び前記確認用測定装置の測定値並びに/又は補正値が、無線伝送区間(53,54)を経由して1つの演算装置に伝送されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の軌道整正システム。
【請求項12】
前記鉄道軌道は、少なくとも1つの録画装置(52)によって監視されること、及び、少なくとも1つの録画装置(52)の画像データが、特に無線区間(50,51)、特にWLANを経由して1つの演算装置に伝送され、この演算装置では、測定値、補正値及び場合によっては位置データが、前記画像データに割り当てられることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の軌道整正システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道位置を整正するためのコンピュータ制御される昇降補修装置と、当該昇降補修装置の領域内の軌道位置を測定するための制御測定装置と、当該補正された軌道位置を測定するための確認用測定装置と、鉄道軌道の道床のバラストを掻き寄せるためのタンピング装置とを有する、鉄道軌道上で走行可能な保線用機械を駆動させるための軌道整正システムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道用の多くの軌道は、バラスト道床として構成されている。したがって、枕木が、バラストの中に存在する。当該バラストには、車輪の力を地面に放出し、レール及び枕木上に作用する剪断力を吸収し、表面の水を排出するという機能がある。バラストの中の不規則な沈下と軌道の位置配置の横方向の移動とが、当該軌道上を走行する列車の車輪の作用力によって引き起こされる。縦方向の高さ、(曲線軌道内の)カント、歪み、トラック及び補修位置における誤差が、当該バラスト道床の沈下によって発生する。当該構造に関する値が、所定の乗り心地の限界値を超えると、補修作業が計画されて実行される。しかしながら、規定された危険値を超えると、当該誤差の大きさに応じて、速度が減速されるか又は当該軌道が閉鎖され、いわゆる個別誤差が、迅速に除去される。
【0003】
今日では、当該構造に関する軌道の誤差の除去及び修復は、多くの場合に保線用機械によって実行される。軌道が、このような軌道の構造を改良する作業後に問題なく再び運用され得るように、鉄道の保線用機械は、多くの場合にいわゆる確認用測定装置と確認用記録装置とを備える。確認許容差が、保線用機械又はその他の方法による当該改良後の軌道位置の品質に関して規定されている。当該確認許容差は、当該得られた構造に関して改良された品質の最低条件である。当該確認許容差は、上記の確認用測定装置と確認用記録装置とによって確認される。
【0004】
このときに言及すべき重要で且つ矯正すべき且つ記録すべき変数は、軌道の歪み、軌道の縦方向の高さ、軌道の方向又は横方向の位置及びトラックの幅並びに軌道の横断勾配又はカントである。軌道突き固め機械のような鉄道の保線用機械が、列車の荷重によって劣化した軌道の構造を修復する。このため、当該軌道が、電気油圧式に制御される昇降補修装置によって目標位置に持ち上げられて補修される。このために必要である力は、レール及び枕木の寸法、枕木とバラスト道床との間の摩擦力当該摩擦力に晒される軌道部材の有効長さ並びにその他の要因によって決まる。当該必要である力は、油圧シリンダによって印加される。それ故に、当該作用力は、圧力センサを用いて圧力を測定することによって測定され得る。当然に、直接に測定する力計測器も、当該測定に対して使用可能である。
【0005】
当該軌道位置の矯正時の問題は、軌道システムが弾性部材を有することである。したがって、例えば、レール固定部材内のレールが、軌道位置を矯正するために作用する力によって歪む(傾く)。当該歪み(傾き)は、補修力によって決まり、2〜6mmの範囲内に存在し得る。さらに、レールのレール脚部が、その製造許容差に起因してレール固定部材内で横方向に滑り得る。通常の力では、当該移動は、1mmの範囲内にある。さらに、(レールの曲げモーメントに起因して)横方向に移動する軌框が、その補修後に1〜2mmの間で弾性的に戻ることが公知である。軌道位置を固定するため、軌道が持ち上げられ、枕木の下方のバラストが、タンピングツールによって掻き寄せられると、保線用機械自体の車輪の荷重によって引き起こされた沈下が既に発生している。当該沈下の大きさは、持ち上げ量、当該車輪の下方に存在するバラスト道床の厚み(カントを付された軌道内では、より高くに存在するレールの下方のバラスト道床は、より厚い)、バラストの状態(汚れているか否か)、バラスト自体(角の嵌合度、形、材料、汚れの程度)、天候(湿った道床は、より大きい沈下を引き起こす)及び車軸荷重によって決まる。より多くのバラストが、曲線軌道内のカントを付されたレールの下方に存在するので、この側が、いわゆる基準線より若干多く沈下する。その結果、観察可能なカント誤差及び歪み誤差が発生する。歪み誤差は、非常に重要である。何故なら、当該歪み誤差は、脱線に対する危険な変数であるからである。また、保線用機械による理論的に正しい絶対誤差の増大時に、軌道誤差が、レールと軌框と沈下との戻りによって残留する。軌道の補修作業後に残留する誤差が小さいほど、当該軌道上で回転する列車の車輪との力の相互作用は、より小さく、且つ、得られた軌道構造の保持性は、より大きい。当該軌道構造を目標位置に可能な限り近づけることが望ましい。何故なら、これによって、著しいコスト及び経費が節減され得るからである。
【0006】
補修、昇降及び横断勾配のための測定システムが、上記の工程を制御するために存在する。当該測定システムは、緊張鋼線を備えているので、当該測定システムのシステム誤差が発生する。当該システム誤差は、アルゴリズムを用いて制御コンピュータによって計算されて補正される。鉄道軌道の目標構造が、軌道計画として提供され、当該制御コンピュータへの入力後に、測定システムの挙動の認識の下で、システム誤差を計算するために利用され得る。
【0007】
多くの国で一般的であるように、このような軌道目標構造が既知でない場合には、軌道が、保線用機械に存在する測定システムによって測定され、当該測定データが記憶され得る。このとき、軌道構造の、より良好に平均化された変化が、当該測定データから最適化され得る。当該平均化された軌道構造曲線を、測定された実際値と比較することによって、昇降補正値及び補修補正値が、当該比較から算出され得る。このとき、当該補正値は、その計算後に当該保線用機械の制御及び走行のために使用され得る。このような補正値を別の測定システム及び評価システムから受け取ることも可能である。別の可能性は、軌道構造の目標データを電子式に受け取ることである。
【0008】
上記の補修作業で得られた品質を記録するため、被牽引車両を介して保線用機械の後方に従来の方法で連結された、独立した確認用測定装置が設けられている。当該記録された測定値は、当該保線用機械の制御システムで記録された測定値とほとんど同じ測定値であるが、別のレール長さに基づくものである。当該データは、印刷され、記憶され及び/又はモニター上に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許出願公開第10337976号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、補修及び持ち上げ後の軌道位置の残留誤差が減少され得るように、冒頭で述べた種類の軌道整正システムを改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のこの課題は、当該軌道に作用する補修力に起因する当該軌框の弾性戻り量が計算されること、及び、前記軌道が、前記昇降補修装置によって前記弾性戻り量だけ目標位置より余計に変位されるように、当該弾性戻りが、目標補修値のプリセット時に考慮されることによって解決される。当該レールの戻りは、測定によっても起こり得る。この場合、前記戻り量は、前記補修力の減算直後に補修値変換器によって検出される。
【0012】
本発明によれば、特にレールの戻りと軌框の戻りとに起因する軌道位置の残留誤差が、補修後に可能な限り小さく保持されるように、理想的には零になるように指示されている。このことは、摺動シリンダに印加される力を(例えば、圧力センサによって)測定することによって実行され得る。予測される弾性戻り量が、計算又は測定され得る。したがって、当該軌道が、その補修時に結果として戻る範囲を超えて補修され、その補修後に目標位置に戻る。
【0013】
上記の補修誤差をさらに小さくするため、平均補修誤差が、目標位置と確認用測定装置による確認測定との間の差から計算され得る。前記軌道が、前記目標位置に近づける目的で前記昇降補修装置によって前記平均補修誤差だけ余計に変位される。このため、再構築法(例えば、独国特許出願公開第10337976号明細書参照)を用いて換算することによって、緊張線システムの伝送機能を考慮することによって、例えば、確認用測定装置の緊張線センサの緊張線測定から、実際の残留誤差が計算され、その平均値が、当該実際の残留誤差から計算される。さらに、当該両値は、制御ルーティングコンピュータによってプリセットされる補修値に加算される。したがって、前記軌道は、その補修時に保線用機械によって若干余計に加圧される。したがって、前記軌道は、その補修の終了時に希望した目標位置に理想的に戻る。
【0014】
さらに、前記軌道が、前記昇降補修装置によって前記目標位置より計算した沈下量だけ余計に持ち上げられるように、レール区間のカントで発生する沈下が計算され、目標カント値のプリセット時に考慮されることが望ましい。したがって、前記軌道の持ち上げ後のカント誤差が、補修及び突き固め時に発生する前記軌道の沈下によって補正され得る。当該補正は、特に予測可能な沈下を計算することによって実行される。持ち上げ突き固め工程の直後に発生し、カント誤差として発生する均一でない沈下が、勾配計測器を用いて持ち上げ力の遮断後のこのカント誤差を直接に測定することによって測定され得る。
【0015】
さらに、平均カント誤差が、目標位置と確認用測定装置による確認測定との間の差から計算され得る。前記軌道が、前記目標位置に近づける目的で前記昇降補修装置によって前記平均カント誤差だけ余計に変位される。残留沈下誤差が、この平均値によって補正され得る。さらに、当該両値、つまり当該カント誤差及び当該平均カント誤差が、制御ルーティングコンピュータによってプリセットされるカント誤差値に加算される。それ故に、実際には、当該カントを付されたレール区間が、若干高く持ち上げられる。理想的には、当該軌道が、予測される沈下後に希望した目標カントを得る。
【0016】
上記の補修力は、好ましくは昇降補修装置に付設された力センサ及び/又は圧力センサによって測定される。その結果、当該軌道の弾性戻りが、この測定に関する測定値から計算される。1つの軌道のレール区間のカントの沈下が、例えば、当該カントを付された軌道区間の高さ位置から計算される。当該計算に関する数学的な関係が、図面の説明に記載されている。
【0017】
特に好ましくは、共通の1つの出力装置、特にモニター又はデータロガーが、制御測定装置と確認用測定装置とに付設されている。測定結果が、当該出力装置によって表示される。したがって、関連する全てのデータが、1つの出力装置上に表示され、1つのコントローラによって監視され得る。さらに、要求された許容差が守られているか否かが、同時に表示され得る。このため、補正値が、共通の出力装置に表示され得る。このため、共通の1つの演算装置が、当該制御測定装置と当該確認用測定装置とに付設されていることが有益である。全てのデータが、この演算装置内で結合されて処理される。制御ルーティングコンピュータ用と確認用コンピュータのプロッター用との2つの演算装置及び2つの出力装置、特に2つのモニターを、従来の技術にしたがって統合することによって、x/y座標の全てのデータが、同様に揃えられて表示され得る。したがって、軌道構造の目標値と補修された軌道構造との双方が、当該確認用コンピュータのプロッターの2つに分割された画面上に表示され得る。この構成によって、人間工学及び分かりやすさが改良されるだけではなくて、補正値、及び生成された軌道構造の品質に対する当該補正値の影響も、当該プロッターの画面上で観察され且つ監視され得る。
【0018】
GPS装置によって算出された位置データが、制御測定装置と確認用測定装置との測定値に割り当てられる場合、一義的な位置情報が、当該個々の測定データに直接に帰属され得る。これによって、整理された文書化が保証され、個々の位置が、後の作業又は後の検査のために正確に検索可能である。このため、当該制御測定装置の測定値及び当該確認用測定装置の測定値並びに/又は当該補正値が、無線伝送区間を経由して演算装置に伝送され得る。したがって、当該データが、データ処理センターに伝送され、作業の進捗が一元的に監視され得る。本発明に関連する当該補正値及びその他の結果データは、セキュリティーに関連するものであるので、可能な限り遅延なしに当該データを鉄道管理局に伝送することが重要である。それ故に、本発明の軌道整正システムは、GSM等のような無線式データ伝送システムを備える。したがって、当該データが、オンデマンド式に伝送され得る。当該無線リンクによれば、レール及びレール固定部材並びに枕木の種類に関するデータが、鉄道デーバンクから同様に伝送される。その結果、レールの弾性的な歪み量が、補修力によって正確に補正され得る。
【0019】
さらに、鉄道軌道が、少なくとも1つの録画装置によって監視されること、及び、少なくとも1つの録画装置のデータが、無線区間、特にWLANを経由して1つの演算装置に伝送されることが望ましい。この演算装置では、測定値、補正値及び場合によっては位置データが、当該画像データに割り当てられる。これによって、希望した軌道構造を達成できなかった軌道の構造が文書化され得る。指し示すICONが、上記の確認用コンピュータのプロッターの画面上の対応する地点で表示される。このICONが起動されると、記憶された画像が、当該画面に現れる。
【0020】
図面には、本発明の対象が、例えば概略的に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の軌道整正システムを備えた保線用機械の側面図である。
図2】制御測定装置及び確認用測定装置の上面図及びa〜cは軌道位置を簡略化して示した図である。
図3】バラスト道床によってカントを付された軌道の横断面図である。
図4】カントを簡略化して示した図である。
図5】補修力と戻り作用との間の関係に関するグラフである。
図6】持ち上げ値とカントとの間の関係に関するグラフである。
図7】軌道整正システムの演算装置の機能図である。
図8】従来の技術によるモニター表示である。
図9】従来の技術によるモニター表示である。
図10】本発明のモニター表示である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、振動駆動部材26とリンクシリンダ25とタンピングツール57とから構成されるタンピング装置24を有する保線用機械17を示す。このタンピング装置24は、ガイドポール23に沿って昇降移動され得る。当該突き固め時に、複数のタンピングツール57が、枕木の両側からバラストの中へ挿し込まれ、当該バラストを掻き寄せる。その結果、当該持ち上げられて補修された軌框は、その位置を当該突き固め後に維持し、且つ当該機械の通過後にその位置を維持する。当該軌框は、昇降シリンダ15と、軌条頭を把持する昇降ローラ16とによって目標位置に持ち上げられる。当該軌框は、軌道位置を整正するための当該昇降補修装置と、軌道補修ローラ14とによって補修位置に修正される。
【0023】
軌道位置を測定値するための制御測定装置が、緊張線測定システム及び区間aと区間bとから成る張設された緊張鋼線並びに補修測定台車7及び変換器を有する。当該緊張鋼線の歪み量が、この変換器によって測定される。確認用測定装置が、区間aと区間bとから成る追従する測定緊張線を有する。当該得られた軌道位置が、この確認用測定装置によって測定されて記録される。当該確認用測定装置は、被牽引車両18の下方に存在する。この被牽引車両18は、牽引バー21を介して上記のマスター機械に連結されていて、且つ、当該確認用測定装置は、他方の側の台車20によって軌道上を走行する。当該マスター機械自体が、2つのボギー台車19上に搭載されている。上記の作業緊張線が、前方の張設台車10と後方の張設台車5との間に張設されている。当該測定緊張線は、後方の張設台車5と後方の記録用張設台車2との間に張設されている。全ての台車が、鉄道軌道1上で走行可能である。図1は、GPSアンテナ48、WLANアンテナ51、及びデータを無線伝送するための無線アンテナ54も示す。
【0024】
図2は、鉄道軌道1の両レールの一部を上から概略的に示す。さらに、前方の張設台車10、補修測定部を有する補修測定台車7、後方の張設台車5、後方の確認用補修測定台車3及び後方の確認用張設台車2が示されている。上記の緊張線に懸吊されている付設センサによる検出後に、歪み量が、ポテンショメータによってその都度検出される。さらに、補修装置14が示されている。この補修装置14は、補修シリンダ9を用いて軌道を目標位置に移動させるように指示されている。この補修シリンダ9内の圧力、すなわち作用する補修力Fが、圧力センサ47(pは、シリンダリング面に作用する圧力であり、pは、シリンダピストン面に作用する圧力である)によって検出される。同様に、タンピング装置6の位置が表示されている。
【0025】
図2の下方の図2aにしたがって示されたグラフも簡略化して示されている。この場合、当該表記は、軌道の中心線だけを示す。破線が、誤差のある軌道の位置を示す。歪み量kが、補修前に補修センサ7で検出される。当該軌道が、補修シリンダによって零位置に向けて加圧され(補修センサでの撓み=0−一点鎖線)、この補修シリンダが、無負荷に再び切り換えられると、当該軌道は、値Δrだけ弾性的に戻る。このとき、現実には、当該誤差だけが、範囲rに相当する。次いで、当該保線用機械が、突き固め工程に進むと、当該誤差は、当該軌道内に残留する。次いで、当該残留誤差Δrは、後方の確認用測定装置で発生する。
【0026】
図2bによるグラフは、本発明で意図する作用を示す。同様に、破線が、突き固め前の補修誤差を示す。しかし、この場合、軌道が、範囲Δcだけ余計に加圧されるように、目標値がプリセットされる。当該補修工程後に、その軌道が、この範囲だけ戻り、意図されている零位置に修復され得る。このとき、場合によっては起こり得る、依然として残留しているより小さい補修誤差が、確認用測定装置によってΔcの平均値として検出される。図2aに由来する挙動が、図2cにしたがって拡大して詳しく示されている。直線0は、理想的な軌道の位置を表している。
【0027】
図3は、曲線軌道内のカントを付された軌道の横断面を示す。バラスト道床27、枕木26及び地面28が示されている。(高さが零に維持されている)基準のレールの下方のバラスト道床の高さhと、カントを付されたレールの下方のバラスト道床の高さhとが示されている。uは、軌道のカントを示し、αは、カント角度を示す。25は、カントを付されたレールである。当該カントは、振り子センサ24によって測定される。
【0028】
図4は、上記の鉄道軌道1の両レールの一部を上から概略的に再度示す。実際のカントが、前方の張設台車10で計測用振り子31によって検出される。作業用振り子30が、補修測定台車7の作業地点に据え付けられている。確認用振り子29が、確認用測定台車3にある。同様に、後方のボギー台車19の位置が示されている。このボギー台車19は、沈下を引き起こす力を、突き固められた軌道上に既に及ぼしている。当該軌道が、昇降補修装置14を用いて2つの油圧シリンダ(1つは左側のレール用で、1つは右側のレール用)によって持ち上げられる。この場合、カントを付された軌道25が、曲線軌道の内側の基準軌道よりもカントuだけ上方に持ち上げられる。
【0029】
図4aによるさらに簡略化した図は、軌道上のカントuの変化を示す。uは、目標カントを示す。破線が、持ち上げ前の、曲線軌道の内側のレールに対するカントを付されたレールの変化33を示す。当該レールを目標カントuに移動させるためには、当該レールが、Δuだけ持ち上げられる必要がある(一点鎖線32)。当該軌道が、後続するボギー台車の車軸荷重(2Qの車軸荷重)の下でΔuだけ沈下する。この誤差は、上記の確認用測定装置によって検出される。
【0030】
図4bによるグラフでは、本発明の作用が考慮される。この場合、未処理の軌道(破線33)が、予測される沈下量Δuだけ余計に持ち上げられる。その結果、ボギー台車19による沈下過程後には、もはや、より小さい平均残留誤差Δuしか発生しない。
【0031】
図5によるグラフは、補修緑Fと軌框の戻りΔcとの間の関係を示す。Eは、曲線軌道の弾性戻り変化を示す一方で、Pは、塑性変化(残留する軌道移動量)を示す。当該弾性戻りΔcの量が、この数学的な関係によって計算され得る。
【0032】
図6は、カントを付された軌道の持ち上げ値Δuに対するカントΔuの沈下の関係をグラフで示す。沈下Δuが、持ち上げ値=0のときでも突き固め時のバラスト道床の緩みによって発生することが、このグラフから分かる。
【0033】
図7は、本発明の軌道整正システムの制御図である。演算装置48が、確認用コンピュータと制御コンピュータとを統合し、図に示された機能によって拡張される。軌道の線形の画面表示と確認用記録の画面表示とが、モニター39によって結合される。補修力が、油圧pK及びpRによって換算される。戻り量が、当該補修力と戻りとの間の関係(図5)によって計算される。残留補修誤差Δcが、確認測定によって算出され、当該Δcの平均値が、(約5〜10mの)基準長さにわたって生成され、さらに当該弾性戻り量Δcに加算される。さらに、この補正値が、プリセットされている補修値rに加算され、新しい目標補修値rとして当該演算装置から上記の制御測定装置に出力される。
【0034】
カントを付されたレールの持ち上げ値Δuによって決まる沈下Δuが、図6による関係にしたがって計算される。(約5〜10mの)基準長さにわたるΔuの平均値が、確認用振り子によって測定される残留カント誤差Δuから生成され、当該Δu(Δu)に加算される。さらに、この補正値が、当該プリセットされているカント値Δuに加算され、新しい目標カント値Δuとして上記の制御測定装置に出力される。
【0035】
アンテナ54を有する無線式データ伝送システム53が、組み合わされた上記の演算装置に接続されている。この演算装置は、データの直接の伝送を可能にする。アンテナ56を有するGPS受信機49が、典型的な曲線軌道の線形データを絶対座標系に追加する。50は、アンテナ51を有するWLAN装置である。このWLAN装置50は、画像記録装置52又はカメラ等からのデータ伝送を可能にする。
【0036】
図8は、従来の技術による突き固め機械の制御ルーティングコンピュータ用のモニター画面39を概略的に示す。38は、キロメートル表記を示す。縦欄34は、目標補修値の変化を示す。縦欄35は、縦方向の高さ目標値の変化を示す。縦欄36は、目標カントの変化を示し、縦欄37は、補修補正値の変化を示す。
【0037】
図9は、従来の技術による確認用記録装置のモニター画面40を概略的に示す。この図から分かるように、この図9は、ただ1つのモニター上の従来の構成における、上記の制御コンピュータ及びルーティングコンピュータのモニター表示に対して回転されたx/y軸を示す。38は、キロメートル表記を示す。縦欄34は、処理後の補修の変化を示す。縦欄35は、処理後の縦方向の高さの変化を示す。縦欄36は、得られたカントの変化を示し、縦欄37は、残留する補修誤差の変化を示す。
【0038】
図10は、1つの画面において本発明にしたがって結合された、同じx/y軸を有するデータ表示を示す。この場合、当該画面は、スライドバー47によって制御ルーティングコンピュータの画面39と確認用画面40とに連続して分割され得る。これらの縦欄は、図8及び9のような縦欄に相当する。当該確認用画面では、複数の許容差(43,44,45,46)が、個々の確認変数に対して表示されている。本発明の効果を上記の突き固め機械の運転士に見せるため、(及び介入の可能性を当該運転士に提供するため、)カント補正値(破線)Δu+Δuが、当該制御ルーティングコンピュータの画面の目標カント画面(縦欄36)から読み取られ得る。また、残留している残留誤差Δuが、対向する確認用画面に表示され得る。補修補正値のための縦欄37では、過圧補正値Δc+Δcの変化が、制御ルーティングコンピュータの画面内に表示される。これに対して、補修残留誤差Δcが、当該縦欄37の確認用画面内に表示されている。符号53は、軌道の特徴が画像記録装置によって記録されてある当該軌道内の1つの地点を示す。GPS座標が存在する場合、曲線軌道長さデータのほかに、当該GPS座標を追加する必要がある。許容差越えが回避され得ない1つの地点が、55によって表示され得る。
【符号の説明】
【0039】
1 鉄道軌道
2 確認用張設台車
3 確認用補修測定台車、確認用測定装置
4 付設センサ
5 張設台車
6 タンピング装置
7 補修測定台車、補修センサ
9 補修シリンダ
10 張設台車
14 軌道補修ローラ、昇降補修装置
15 昇降シリンダ
16 昇降ローラ
17 保線用機械
18 被牽引車両
19 ボギー台車
20 台車
21 牽引バー
23 ガイドポール
24 タンピング装置、振り子センサ
25 リンクシリンダ、レール、カントを付された軌道
26 振動駆動部、枕木
27 バラスト道床
28 地面
29 確認用振り子
30 作業用振り子
31 計測用振り子
32 一点鎖線
33 カントを付されたレールの変化、破線
34 縦欄
35 縦欄
36 縦欄
37 縦欄
38 キロメートル表記
39 モニター、モニター画面、制御ルーティングコンピュータの画面
40 モニター画面、確認用画面
43 許容差
44 許容差
45 許容差
46 許容差
47 圧力センサ、スライドバー
48 演算装置
49 GPS受信機
50 WLAN装置、無線区間
51 アンテナ、無線区間
52 画像記録装置
53 無線式データ伝送システム、地点
54 無線アンテナ
55 地点
56 アンテナ
57 タンピングツール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10