特許第6535238号(P6535238)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6535238
(24)【登録日】2019年6月7日
(45)【発行日】2019年6月26日
(54)【発明の名称】建物の柱構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 19/00 20060101AFI20190617BHJP
【FI】
   E04F19/00 D
【請求項の数】7
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-134987(P2015-134987)
(22)【出願日】2015年7月6日
(65)【公開番号】特開2017-14852(P2017-14852A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】中村 稔
【審査官】 五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−038695(JP,A)
【文献】 特開平05−179812(JP,A)
【文献】 特開2002−188268(JP,A)
【文献】 特開平08−135162(JP,A)
【文献】 特開2002−194816(JP,A)
【文献】 特開平06−264496(JP,A)
【文献】 特開平06−010469(JP,A)
【文献】 実開昭62−036115(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 19/00
E04F 13/00−13/30
E04B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
独立柱の周囲にその独立柱を囲むように複数の化粧板が設けられてなる化粧柱を備え、
前記化粧柱には、前記独立柱と前記化粧板との間に前記独立柱を囲むように支持フレームが配設されており、
前記支持フレームは前記独立柱に固定され、その支持フレームのフレーム外周部に前記化粧板が取り付けられており、
前記支持フレームは、第1フレーム部及び第2フレーム部を有しており、
前記第1フレーム部及び前記第2フレーム部はいずれも前記フレーム外周部を構成しており、
前記第1フレーム部は、その前記フレーム外周部を構成する部分が隣り合う前記化粧板に跨がるように配置され、
前記第1フレーム部及び前記第2フレーム部はそれぞれ、前記フレーム外周部からフレーム内側に向けて延び固定具により互いに固定された固定部分を有していることを特徴とする建物の柱構造。
【請求項2】
独立柱の周囲に化粧板が設けられてなる化粧柱を備え、
前記化粧柱には、前記独立柱と前記化粧板との間に支持フレームが配設されており、
前記支持フレームは前記独立柱に固定され、その支持フレームに前記化粧板が取り付けられており、
前記支持フレームは、第1フレーム部と、前記独立柱及び前記第1フレーム部を挟んだ両側に設けられた一対の第2フレーム部とを有し、
前記第1フレーム部は、前記独立柱に対して固定具により固定され、
前記一対の第2フレーム部はそれぞれ、前記独立柱及び前記第1フレーム部に固定具により固定されていることを特徴とする建物の柱構造。
【請求項3】
ユニット柱とユニット大梁とを有してなる建物ユニットが複数組み合わされて構築されるユニット式建物に適用され、
いずれかの前記ユニット柱を前記独立柱として、前記支持フレームに前記化粧板が取り付けられてなる前記化粧柱が構築されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の建物の柱構造。
【請求項4】
前記独立柱の上下の端部にはそれぞれ上梁及び下梁が固定され、
前記支持フレームは、前記上梁に固定された上梁固定部と、前記下梁に固定された下梁固定部とを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の建物の柱構造。
【請求項5】
前記独立柱は角形鋼により構成され、
前記支持フレームは、前記独立柱において互いに直交する各側面にそれぞれ当接することで位置決めされる位置決め部を有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の建物の柱構造。
【請求項6】
前記位置決め部は、前記支持フレームにおいて上下方向に所定の間隔で複数設けられていることを特徴とする請求項に記載の建物の柱構造。
【請求項7】
前記位置決め部は、前記独立柱に対して固定具により固定されていることを特徴とする請求項又はに記載の建物の柱構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の柱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、柱及び梁を有してなる複数の建物ユニットが互いに組み合わされて構成されるユニット式建物が知られている。特許文献1には、ユニット式建物に形成されたアルコーブ(玄関ポーチ)の隅角部にポーチ柱が独立した状態で立設された構成が開示されている。このポーチ柱は、建物ユニットを構成する一の柱を独立柱として利用することにより形成されている。ポーチ柱は、上記一の柱(独立柱)と、その独立柱の外周を囲んで設けられる複数の化粧板とを有して構成され、それら各化粧板が独立柱の側面に対して取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−138570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、化粧板が独立柱の側面に取り付けられる上記特許文献1の構成では、化粧板の幅(横幅)ひいてはポーチ柱の幅が独立柱の幅(横幅)とほぼ同じ幅となる。そのため、上記特許文献1の構成では、ポーチ柱において重厚感を演出することが困難であると考えられる。
【0005】
また、このような問題は、ユニット式建物に設けられたポーチ柱(化粧柱)に限らず、建物において独立した状態で設けられる化粧柱全般において生じうる問題である。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、重厚感を演出することができる建物の柱構造を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、第1の発明の建物の柱構造は、独立柱の周囲に化粧板が設けられてなる化粧柱を備え、前記化粧柱には、前記独立柱と前記化粧板との間に前記独立柱に沿って上下に延びる支持フレームが配設されており、前記支持フレームは前記独立柱に固定され、その支持フレームに前記化粧板が取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、独立柱と化粧板との間に支持フレームが配設されており、その支持フレームを介して化粧板が独立柱に取り付けられている。この場合、化粧板が独立柱から離間した位置に取り付けられるため、化粧柱の幅を独立柱の幅よりも十分に大きくすることができる。これにより、化粧柱において重厚感を演出することが可能となる。
【0009】
第2の発明の建物の柱構造は、第1の発明において、ユニット柱とユニット大梁とを有してなる建物ユニットが複数組み合わされて構築されるユニット式建物に適用され、いずれかの前記ユニット柱を前記独立柱として、前記支持フレームに前記化粧板が取り付けられてなる前記化粧柱が構築されていることを特徴とする。
【0010】
ユニット式建物では、建物ユニットの柱(ユニット柱)を独立柱として利用することで化粧柱が構築される場合がある。ここで、ユニット式建物では、建物ユニットを構成する部材の共通化が図られるため、化粧柱を構成する一のユニット柱だけ幅を大きくして形成することが難しい。つまり、当該一のユニット柱だけ幅を大きくすることで化粧柱の幅を大きくすることが難しい。その点本発明では、かかるユニット柱を利用した化粧柱に上記第1の発明を適用しているため、かかる化粧柱であっても重厚感を演出することが可能となる。
【0011】
第3の発明の建物の柱構造は、第1又は第2の発明において、前記独立柱の上下の端部にはそれぞれ上梁及び下梁が固定され、前記支持フレームは、前記上梁に固定された上梁固定部と、前記下梁に固定された下梁固定部とを有することを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、支持フレームが独立柱に加え上梁及び下梁にも固定されている。これにより、支持フレームを安定した状態で固定することができるため、支持フレームに対して化粧板を安定した状態で支持させることができる。
【0013】
第4の発明の建物の柱構造は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記独立柱は角形鋼により構成され、前記支持フレームは、前記独立柱において互いに直交する各側面にそれぞれ当接することで位置決めされる位置決め部を有することを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、支持フレームに設けられた位置決め部による位置決めを利用することで、支持フレームを独立柱に対して所定の位置に容易に配置することができる。これにより、支持フレームに取り付けられる化粧板についても所定の位置に容易に配置することが可能となる。
【0015】
第5の発明の建物の柱構造は、第4の発明において、前記位置決め部は、前記支持フレームにおいて上下方向に所定の間隔で複数設けられていることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、位置決め部が支持フレームにおいて上下に複数設けられているため、それら各位置決め部を利用することで支持フレームを独立柱に対してまっすぐに配置することができる。これにより、支持フレームに取り付けられる化粧板が独立柱に対して傾いて配置される等の不都合を抑制することができる。
【0017】
第6の発明の建物の柱構造は、第4又は第5の発明において、前記位置決め部は、前記独立柱に対して固定具により固定されていることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、位置決め部が固定具により独立柱に固定されているため、位置決め部を独立柱に対する固定部としても利用することができる。また、位置決め部が固定部となっていることは、位置決め部を独立柱に位置決めした状態で支持フレームを独立柱に固定する上でも好都合となる。
【0019】
なお、固定具としては、ビスやボルト、タッピングネジ等を用いることができる。
【0020】
第7の発明の建物の柱構造は、第1乃至第6のいずれかの発明において、前記支持フレームは、前記独立柱に沿って上下に延びる第1フレーム部及び第2フレーム部を有し、前記第1フレーム部は、前記独立柱に対して固定具により固定され、前記第2フレーム部は、前記独立柱と前記第1フレーム部とに跨がって設けられ、それら両者にそれぞれ固定具により固定されていることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、支持フレームが第1フレーム部と第2フレーム部とに分割されて構成されているため、支持フレームを独立柱に固定する際にはそれら各フレーム部を順次固定していけばよい。各フレーム部は支持フレーム(全体)と比べると、サイズや重量が小さく、その取り扱いが容易であるため、この場合独立柱に対する支持フレームの固定作業を容易に行うことが可能となる。
【0022】
なお、固定具としては、ビスやボルト、タッピングネジ等を用いることができる。
【0023】
第8の発明の建物の柱構造は、第7の発明において、前記第2フレーム部は、前記独立柱及び前記第1フレーム部を挟んだ両側にそれぞれ設けられており、それら一対の各第2フレーム部がそれぞれ、前記独立柱及び前記第1フレーム部に固定具により固定されていることを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、第2フレーム部が一対設けられているため、支持フレームが3つのフレーム部からなる3分割構成とされている。この場合、各フレーム部のサイズや重量をより低減させることができるため、フレーム部の取り扱いをさらに容易とすることができる。また、3分割した各フレーム部がそれぞれ独立柱に固定されているため、支持フレームを3分割した構成にあっても支持フレームを独立柱に安定した状態で固定することができる。
【0025】
第9の発明の建物の柱構造は、第7又は第8の発明において、前記独立柱は角形鋼により構成され、前記第1フレーム部は、前記独立柱において互いに直交する各側面にそれぞれ当接することで位置決めされる位置決め部を有することを特徴とする。
【0026】
本発明によれば、第1フレーム部に位置決め部が設けられているため、この位置決め部を利用して第1フレーム部が独立柱に対し所定の位置に固定される。また、第2フレーム部については、独立柱とその独立柱に位置決めされた第1フレーム部とに跨がって固定される。これにより、支持フレームが複数のフレーム部に分割された構成にあって、それら各フレーム部をそれぞれ独立柱に対し所定の位置に好適に配設することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】一階部分におけるアルコーブ周辺を示す平面図。
図2】アルコーブを示す斜視図。
図3】アルコーブユニットにおける柱周辺を示す斜視図。
図4】ポーチ柱の構成を示す横断面図。
図5】ポーチ柱の構成を分解した状態で示す分解横断面図。
図6】ポーチ柱周辺を分解した状態で示す斜視図。
図7】支持フレームを分解した状態で示す斜視図。
図8】第1フレーム部を示す斜視図。
図9】第1フレーム部が上下の梁に固定された状態を示す縦断面図。
図10】建物ユニットを示す斜視図。
図11】アルコーブユニットの柱に支持フレームを固定する際の作業手順を説明するための図。
図12】他の実施形態におけるポーチ柱の構成を示す横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、建物として、複数の建物ユニットが互いに組み合わされてなるユニット式建物について具体化している。そこでまず、建物ユニットの構成について図10を参照しながら簡単に説明する。なお、図10は建物ユニットを示す斜視図である。
【0029】
図10に示すように、建物ユニット20は、その四隅に配設される4本の柱21と、各柱21の上端部及び下端部をそれぞれ連結する各4本の天井大梁22及び床大梁23とを備える。そして、それら柱21、天井大梁22及び床大梁23により直方体状の骨格(フレーム)が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼よりなる。天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、その開口部が向き合うようにして設置されている。なお、柱21がユニット柱に相当し、天井大梁22及び床大梁23がユニット大梁に相当する。
【0030】
建物ユニット20の長辺部の相対する天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁25が架け渡されている。同じく建物ユニット20の長辺部の相対する床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁26が架け渡されている。天井小梁25と床小梁26とはそれぞれ同間隔でかつ各々上下に対応する位置に設けられている。天井小梁25はリップ溝形鋼よりなり、床小梁26は角形鋼よりなる。
【0031】
続いて、建物10の一階部分について図1を用いながら説明する。図1は一階部分におけるアルコーブ周辺を示す平面図である。図2はアルコーブを示す斜視図である。
【0032】
図1に示すように、建物10の一階部分には、玄関11や居室12,13、アルコーブ14等が設けられている。玄関11には玄関口16が設けられており、その玄関口16には玄関ドア17が設けられている。玄関11は、玄関口16を介してアルコーブ14(玄関ポーチ)に通じている。
【0033】
図1及び図2に示すように、アルコーブ14は、一階部分における角部に形成された凹状空間となっている。アルコーブ14は、一階部分において互いに直交する2つの外壁部31,32をそれぞれ屋内側に後退させることにより形成されている。この場合、アルコーブ14においてその2面には屋外に開口された開口部33,34が形成されている。アルコーブ14にはこれらの開口部33,34を通じて屋外から出入りできるようになっている。なお、各開口部33,34のうち、開口部33は開口部34よりも開口幅が大きくなっている。この場合、この開口部33の形成されている側がアルコーブ14の正面側となる。以下の説明では、この正面側の開口部33の幅方向を第1方向Xといい、この第1方向Xと直交する開口部34の幅方向を第2方向Yという。
【0034】
アルコーブ14(玄関ポーチ)において各開口部33,34の間の角隅部にはポーチ柱30が立設されている。ポーチ柱30は、アルコーブ14において独立した状態で配置された化粧柱である。ポーチ柱30は、アルコーブ14を形成する建物ユニット20(以下、アルコーブユニット20Aという)の柱21を用いて構成されている。なお、以下の説明では便宜上、ポーチ柱30を構成する当該柱21の符号にAを付す。また、この柱21Aが独立柱に相当する。
【0035】
続いて、アルコーブユニット20Aの構成について説明する。アルコーブユニット20Aは、その床部の構成が通常の建物ユニット20と相違しており、以下においてはその相違点を中心に説明する。図3は、アルコーブユニット20Aにおける柱21A周辺を示す斜視図である。
【0036】
図3に示すように、アルコーブユニット20Aにおいて柱21Aを介して隣接する各側面部にはそれぞれ上記開口部33,34が形成される。この場合、アルコーブユニット20Aの上記各側面部には、各開口部33,34が形成されている関係で床大梁23の一部が除去された梁欠損部39が形成されている。
【0037】
柱21Aにおける各開口部33,34側の側面にはそれぞれ、短尺状の下梁37が固定されている。下梁37は、床大梁23と同じ断面を有する溝形鋼により形成され、その溝部を水平方向内側に向けた状態で配設されている。下梁37は、床大梁23と同じ高さ位置に配置され、天井大梁22に対して真下に位置している。
【0038】
ここで、ユニット製造工場でのアルコーブユニット20Aの製造時には、梁欠損部39に対して仮梁38(図3において二点鎖線で示す)が組み付けられる。仮梁38は、その一端部が下梁37に対してボルトにより固定され、その他端部が図示しない床大梁23(梁欠損部39に隣接する床大梁23)に対してボルトにより固定される。この場合、仮梁38を介して隣り合う柱21A,21間が互いに連結される。
【0039】
このように仮梁38が組み付けられた状態でアルコーブユニット20Aは施工現場へと搬送される。そのため、アルコーブユニット20Aの搬送時及び据付時に床部が変形するのが防止されている。アルコーブユニット20Aが施工現場へ搬送され、所定位置に据え付けられた後、同ユニット20Aから仮梁38が取り外される。これにより、その仮梁38が取り外された部位が梁欠損部39となる。
【0040】
次に、ポーチ柱30の構成について図4図6を用いながら説明する。図4は、ポーチ柱30の構成を示す横断面図である。図5は、ポーチ柱30の構成を分解した状態で示す分解横断面図である。図6は、ポーチ柱30周辺を分解した状態で示す斜視図である。なお、図6では便宜上、アルコーブユニット20Aを二点鎖線で示している(後述する図7も同様)。
【0041】
図4図6に示すように、ポーチ柱30は、アルコーブユニット20Aの柱21Aと、その柱21Aに沿って上下に延びるとともに柱21Aを囲むように設けられた支持フレーム40と、支持フレーム40よりも外周側において柱21Aを囲むように設けられた複数の化粧板35とを備えて構成されている。支持フレーム40は柱21Aに対して固定され、各化粧板35はそれぞれ支持フレーム40に対して取り付けられている。
【0042】
柱21Aは、上述したように角形鋼管よりなり、その横断面が矩形形状詳しくは正方形状をなしている。柱21Aには、その側面として、第1方向Xに対向する2つの側面21a,21bと、第2方向Yに対向する2つの側面21c,21dとが設けられている。各側面21a,21bのうち、側面21aが第1方向Xにおいてアルコーブユニット20Aの内側(以下、ユニット内側という)に形成され、側面21bがアルコーブユニット20Aの外側(以下、ユニット外側という)に形成されている。また、各側面21c,21dのうち、側面21cが第2方向Yにおいてユニット内側に形成され、側面21dがユニット外側に形成されている。
【0043】
続いて、支持フレーム40の構成について図4図6に加え図7を用いながら説明する。図7は、支持フレーム40を分解した状態で示す斜視図である。
【0044】
図4図7に示すように、支持フレーム40は、第1フレーム部41と第2フレーム部42と第3フレーム部43とを備える。これら各フレーム部41〜43はいずれも柱21Aに沿って上下方向に延びる長尺状に形成されており、それら各フレーム部41〜43が互いに連結されることにより支持フレーム40が構成されている。
【0045】
第1フレーム部41は、概ね柱21Aに対して第1方向Xにおけるユニット内側に配設されている。第2フレーム部42及び第3フレーム部43は柱21A及び第1フレーム部41を挟んで第2方向Yにおける両側にそれぞれ配設されている。これら各フレーム部42,43は柱21A及び第1フレーム部41に対してそれぞれ固定されている。それら各フレーム部42,43のうち、第2フレーム部42が柱21A及び第1フレーム部41に対して第2方向Yのユニット内側に配置され、第3フレーム部43が第2方向Yのユニット外側に配置されている。この点からすると、第2フレーム部42を内側フレーム部ということができ、第3フレーム部43を外側フレーム部ということができる。なお、これら各フレーム部42,43がそれぞれ特許請求の範囲に記載された「第2フレーム部」に相当する。
【0046】
続いて、各フレーム部41〜43の構成について順に説明していく。まず、第1フレーム部41の構成について図4図7に加え図8及び図9を用いながら説明する。図8は、第1フレーム部41を示す斜視図である。図9は、その第1フレーム部41が上下の梁に固定された状態を示す縦断面図である。
【0047】
図4図9に示すように、第1フレーム部41は、上下方向に延びる縦枠材45と、その縦枠材45において上下方向に所定の間隔で取り付けられた複数(具体的には3つ)の位置決め部46とを有している。縦枠材45は、横断面がコ字状をなす鋼材により形成されており、ウェブ45aとそのウェブ45aを挟んで両側に設けられた一対のフランジ45b,45cとを有している。縦枠材45は、柱21Aに対して第1方向Xにおけるユニット内側に離間して配置され、その配置状態においてその溝部を同方向Xにおけるユニット外側に向けている。この場合、縦枠材45の各フランジ45b,45cは第2方向Yに互いに対向した状態で配置されている。それら各フランジ45b,45cのうちユニット内側に位置するフランジ45bについては柱21Aの側面21cよりも若干ユニット内側に配置され、ユニット外側に位置するフランジ45cについては第2方向Yにおいて柱21Aの中間部(詳しくは中央部)と同位置に配置されている。
【0048】
縦枠材45には、その上端部に天井大梁22に固定される上梁固定部51が設けられ、その下端部に下梁37に固定される下梁固定部52が設けられている。この場合、各固定部51,52はそれぞれ第1方向Xに延びる天井大梁22とその真下に位置する下梁37とに固定されている。なお、この場合、上記天井大梁22が上梁に相当する。
【0049】
上梁固定部51は、L字状の鋼板により形成され、縦枠材45の上端部に溶接固定された水平板部51aと、天井大梁22のウェブ22aの外側面に固定された鉛直板部51bとを有している。水平板部51aは、天井大梁22の下フランジ22bの下面に当接しており、その当接状態で鉛直板部51bがボルト54により天井大梁22のウェブ22aに固定されている。この場合、鉛直板部51bの外側面にはウェルディングナット55が溶接固定されており、そのウェルディングナット55に対してボルト54が天井大梁22のウェブ22a及び上梁固定部51の鉛直板部51bを介して梁内側から締結されている。
【0050】
下梁固定部52は、L字状の鋼板により形成され、縦枠材45の下端側に溶接固定されている。詳しくは、縦枠材45はその下端側において各フランジ45b,45cが除去されており、その除去された部位に下梁固定部52が配設されている。下梁固定部52は、下梁37の上フランジ37aの上面に当接された水平板部52aと、下梁37のウェブ37bの外側面にボルト57により固定された鉛直板部52bとを有している。下梁37のウェブ37bの内側面にはウェルディングナット58が溶接固定されており、そのウェルディングナット58に対してボルト57が下梁固定部52の鉛直板部52b及び下梁37のウェブ37bを介して締結されている。
【0051】
なお、ユニット製造工場でのアルコーブユニット20Aの製造時においては、下梁固定部52に加えて仮梁38(図9において仮梁38の端部プレートを二点鎖線で示す)が下梁37に対してボルト57により(仮)固定される。この場合、かかる仮固定状態でアルコーブユニット20Aが施工現場へと搬送され、所定位置に据え付えられた後、ボルト57が取り外されることにより仮梁38が取り外される。そして、その後ボルト57が再び締められることで下梁固定部52が下梁37に(本)固定されるようになっている。
【0052】
縦枠材45のフランジ45bには位置決め部46が取り付けられている。位置決め部46は、フランジ45bに固定され当該フランジ45bから第1方向Xにおけるユニット外側へ突出する突出板47と、その突出板47に取り付けられ柱21Aの側面21a,21cに当接する2つの当接部材48,49とを有している。
【0053】
突出板47は平板状の鋼板よりなり、フランジ45bの内側面に溶接固定されている。突出板47は、その一部が柱21Aの側面21cと対向する位置まで突出しており、その対向部分には上記当接部材としてのスペーサ48が取り付けられている。スペーサ48は、合板により平板状に形成されており、柱21Aの側面21cと突出板47との間に配設されている。したがって、スペーサ48は柱21Aの側面21cに当接した状態で配設されている。かかるスペーサ48の配設状態で突出板47はビス61(固定具に相当)により柱21Aに対して固定されている。この場合、ビス61は突出板47とスペーサ48とをそれぞれ貫通した状態で柱21Aに打ち付けられている。
【0054】
突出板47においてスペーサ48よりも縦枠材45(フランジ45b)側には、上記当接部材としてのアングル49が固定されている。アングル49は、L字状の鋼板により形成され、突出板47の板面(詳しくはユニット外側の板面)に溶接固定された固定板部49aと、柱21Aの側面21aに当接された当接板部49bとを有している。
【0055】
このように、位置決め部46には、柱21Aにおいて互いに直交する2つの側面21a,21cにそれぞれ当接する2つの当接部材48,49が設けられている。このため、位置決め部46は、それら当接部材48,49による当接により柱21Aに対して第1方向X及び第2方向Yのいずれの方向においても位置決めがされている。そして、かかる位置決め部46による位置決めによって、第1フレーム部41ひいては支持フレーム40が柱21Aに対して第1方向X及び第2方向Yの各方向において位置決めされている。
【0056】
第2フレーム部42は、第1フレーム部41と柱21Aとに跨がって設けられており、それら両部材21A、41に対してそれぞれ固定されている。第2フレーム部42は、第1方向Xにおいて互いに離間して配置された一対の縦枠材64,65と、それら各縦枠材64,65の間に架け渡された複数の横枠材66とを有している。各縦枠材64,65のうち縦枠材64が第1方向Xにおけるユニット内側に配置され、縦枠材65がユニット外側に配置されている。
【0057】
縦枠材64は、横断面がコ字状をなす長尺状の鋼材により形成されており、ウェブ64aとそのウェブ64aを挟んで両側に設けられた一対のフランジ64b,64cとを有している。縦枠材64は、その溝部を第1方向Xにおけるユニット外側に向けた状態で、第1フレーム部41の縦枠材45に対して第2方向Yにおけるユニット内側に隣接して配置されている。この場合、縦枠材64は、各フランジ64b,64cのうち縦枠材45側のフランジ64cを当該縦枠材45のフランジ45bに当接させて配置されており、その配置状態でフランジ64cが縦枠材45のフランジ45bにボルト68(固定具に相当)により固定されている。これにより、縦枠材64ひいては第2フレーム部42が第1フレーム部41に対して固定されている。また、かかる固定状態において縦枠材64のウェブ64aは、その外側面が縦枠材45のウェブ45aの外側面と同一平面上に位置している。
【0058】
ボルト68による上記固定について詳しくは、縦枠材45のフランジ45bの内側面にはウェルディングナット69が溶接固定されており、そのウェルディングナット69に対してボルト68が各フランジ45b,64cを介して締結されている。また、ボルト68及びウェルディングナット69は、縦枠材45,64の長手方向に沿って所定の間隔で複数(具体的には4つ)配置されている。この場合、ボルト68及びウェルディングナット69は、横枠材66と異なる高さ位置に配置されている。そのため、ボルト68をウェルディングナット69に締結する際に、上下に並ぶ横枠材66の間を通じてかかる締結作業がし易くなっている(図11(c)も参照)。また、ボルト68によりフランジ45b,65c同士が固定される固定部分が柱21Aよりも横枠材66側に位置しているため、横枠材66の間を通じてボルト68の締結を行う際柱21Aが邪魔となるのを回避することができる。
【0059】
縦枠材65は、横断面がL字状をなす長尺状の鋼材により形成されている。縦枠材65を構成する2つの板部65a,65bのうち、一方の板部65aは、その外側面が縦枠材64のフランジ64bの外側面と同一平面上に位置している。また、他方の板部65bは、第1方向Xにおいて柱21Aよりも(若干)ユニット外側に位置しており、その先端側(板部65aとは反対側の先端側)が柱21Aの側面21bと対向する位置まで延びている。
【0060】
板部65bの先端部にはスペーサ71が取り付けられている。スペーサ71は、上下方向に延びる長尺平板状の合板により形成されている。スペーサ71は、幅方向の一部が板部65bからはみ出した状態で当該板部65bの内側面に接着剤等を用いて固定されている。スペーサ71は、その(反板部65b側の)板面が柱21Aの側面21bに当接した状態で配設されている。
【0061】
横枠材66は、長尺平板状の鋼板により形成されている。横枠材66は、上下方向に所定の間隔をおいて複数(具体的には4つ)配置されている。各横枠材66はそれぞれ一方の端部が縦枠材64のフランジ64bの内側面に溶接固定され、他方の端部が縦枠材65の板部65aの内側面に溶接固定されている。これにより、これらの横枠材66を介して各縦枠材64,65が互いに連結されている。
【0062】
第3フレーム部43は、第1フレーム部41と柱21Aとに跨がって設けられており、それら両部材21A、41に対してそれぞれ固定されている。第3フレーム部43は、第1方向Xにおいて互いに離間して配置された一対の縦枠材74,75と、それら各縦枠材74,75の間に架け渡された複数の横枠材76とを有している。各縦枠材74,75のうち縦枠材74が第1方向Xにおけるユニット内側に配置され、縦枠材75がユニット外側に配置されている。
【0063】
縦枠材74は、その横断面がL字状をなす長尺状の鋼材により形成されている。縦枠材74は、第1フレーム部41の縦枠材45に対して第2方向Yにおけるユニット外側に離間して配置されている。縦枠材74を構成する2つの板部74a,74bのうち、一方の板部74aはその外側面が縦枠材45のウェブ45aの外側面と同一平面上に位置している。また、他方の板部74bは、第2方向Yにおいて柱21Aよりも(若干)ユニット外側に位置している。
【0064】
縦枠材75は、横断面がL字状をなす鋼材により長尺状に形成されている。縦枠材75を構成する2つの板部75a,75bのうち、一方の板部75aはその外側面が縦枠材74の板部74bの外側面と同一平面上に位置している。また、他方の板部75bは、第1方向Xにおいて柱21Aよりも(若干)ユニット外側に位置している。この場合、当該板部75bの外側面は、第2フレーム部42の縦枠材65の板部65bの外側面と同一平面上に位置している。
【0065】
板部75bは、その先端部(板部75aとは反対側の先端部)がスペーサ71の外側面に重ねられており、その状態でビス78(固定具に相当)によりスペーサ71を介して柱21Aに固定されている。この場合、ビス78は、板部75bとスペーサ71とを貫通して柱21Aに打ち付けられている。また、ビス78は、上下方向に所定の間隔で複数打ち付けられている。これにより、縦枠材75ひいては第3フレーム部43が柱21Aに対して固定されているとともに、スペーサ71ひいては当該スペーサ71を有する第2フレーム部42(詳しくは縦枠材65)が柱21Aに対して固定されている。
【0066】
横枠材76は、長尺平板状の鋼板により形成されている。横枠材76は、上下方向に所定の間隔をおいて複数(具体的には4つ)配置されている。各横枠材76はそれぞれ一方の端部が縦枠材74の板部74bの内側面に溶接固定され、他方の端部が縦枠材75の板部75aの内側面に溶接固定されている。これにより、これらの横枠材76を介して各縦枠材74,75が互いに連結されている。
【0067】
第3フレーム部43は、その縦枠材74が第1フレーム部41の縦枠材45に対して固定されている。以下、これら縦枠材45,74同士が固定される固定部分の構成について説明する。
【0068】
縦枠材45,74同士が固定される固定部分において、縦枠材45側にはそのフランジ45cに上下方向に所定の間隔で複数(具体的には4つ)の固定金具81が固定されておいる。その一方で、縦枠材74側には、その板部74aに上下方向に所定の間隔で複数(具体的には4つ)の固定金具82が固定されている。各固定金具82はそれぞれ各固定金具81と対応して配置されており、その配置状態で両固定金具81,82がボルト84を用いて固定されている。
【0069】
固定金具81は、平面視L字状の鋼板により形成されている。固定金具81を構成する2つの板部81a,81bのうち、板部81aは縦枠材45のフランジ45cの外側面に溶接固定されている。板部81bは、板部81aから第2方向Yにおいて縦枠材74側に延びており、その第1方向Xにおける位置が縦枠材74の板部74a(ひいては後述するフレーム外周部90)よりも支持フレーム40の内部側(換言すると柱21A側)に設定されている。
【0070】
一方、固定金具82は、平面視略Z字状の鋼板により形成されている。固定金具82は、縦枠材74の板部74aの内側面に溶接固定された固定板部82aと、固定金具81の板部81bの外側面に固定された固定板部82bと、それら各固定板部82a,82b同士を繋ぐ繋ぎ板部82cとを有している。固定板部82bは、固定金具81の板部81bに重ね合わせられた状態で当該板部81bにボルト84(固定具に相当)により固定されている。この場合、ボルト84により固定される各板部81b,82bは縦枠材74の板部74a(フレーム外周部90)よりも支持フレーム内部側となる位置で互いに固定されている。このため、ボルト84の頭部は、フレーム外周部90よりも支持フレーム内部側に位置している。
【0071】
ボルト84による固定構成についてより詳しくは、上記各板部81b,82bにはそれぞれボルト84を挿通するための挿通孔87,88が形成されている。これら各挿通孔87,88には、ボルト84が板部82bの外側から挿通されており、その挿通状態でボルト84が板部81bの内側面に溶接固定されたウェルディングナット85に締結されている。これにより、各固定金具81,82がボルト84及びナット85により固定され、ひいては第1フレーム部41と第3フレーム部43とが互いに固定されている。
【0072】
ここで、本実施形態では、各固定金具81,82同士の固定位置を第2方向Yに調整することが可能となっている。そして、その調整により第1フレーム部41に対する第3フレーム部43の固定位置を第2方向Yに調整することが可能となっている。以下、かかる固定位置の調整に関する構成について説明する。
【0073】
各固定金具81,82に形成されたボルト84の挿通孔87,88のうち、固定金具81(板部81b)に形成された挿通孔87は丸孔形状とされているのに対して、固定金具82(板部82b)に形成された挿通孔88は第2方向Yに長い長孔形状とされている。挿通孔88は、その長手方向(つまり第2方向Y)における孔の長さが例えばボルト84の外径の1.5倍〜2倍程度に設定されている。この場合、その挿通孔88が形成されている範囲内で固定金具81に対する固定金具82の固定位置を第2方向Yに調整することが可能となっている。そして、その調整により第1フレーム部41に対する第3フレーム部43の固定位置を第2方向Yに調整することが可能となっている。
【0074】
本実施形態では、かかるフレーム部41,43同士の固定位置の調整により、第2方向Yにおける支持フレーム40の幅W、より詳しくは同フレーム40の外周部(以下、フレーム外周部90という)の幅Wを調整することが可能となっている。フレーム外周部90は、支持フレーム40においてその外周部を構成する部分である。具体的には、フレーム外周部90は、第1フレーム部41における縦枠材45(詳しくはウェブ45a)、第2フレーム部42における縦枠材64(詳しくはウェブ64a及びフランジ64b)、縦枠材65及び横枠材66、第3フレーム部43における各縦枠材74,75及び横枠材76をそれぞれ含んで構成されている。フレーム外周部90は、平面視において矩形形状をなしており、詳しくは正方形状をなしている。
【0075】
以上が、支持フレーム40に関する説明である。続いて、支持フレーム40に取り付けられる化粧板35について説明する。
【0076】
化粧板35は、支持フレーム40のフレーム外周部90に取り付けられている。化粧板35は、窯業系サイディングにより構成され、支持フレーム40(フレーム外周部90)の周囲に分割して2つ設けられている。各化粧板35は柱21Aに沿って上下に延びる長尺状とされ、その長さが柱21Aの長さと略同じ長さとなっている。また、各化粧板35はいずれもその横断面がフレーム外周部90に沿ったコ字状をなしており、詳しくはその横断面がいずれも同じ大きさでかつ同じ形状とされている。各化粧板35は、互いの溝部(内側空間)を第2方向Yに向き合わせた状態で支持フレーム40(フレーム外周部90)の外周側に配設されており、その配設状態でフレーム外周部90にビスにより固定されている。この場合、各化粧板35は支持フレーム40(さらには柱21A)を囲むように設けられており、それら各化粧板35により横断面矩形(詳しくは正方形)の化粧壁部36が構成されている。
【0077】
上記のように、各化粧板35が支持フレーム40を介して柱21Aに取り付けられていることから、化粧壁部36ひいてはポーチ柱30の幅は柱21Aの幅よりも十分に大きくなっている。本実施形態では、ポーチ柱30の幅が柱21Aの幅の約2倍程度となっている。
【0078】
各化粧板35は、互いの端面同士を第2方向Yに向き合わせた状態で配置されている。それら各化粧板35の端面同士の間には上下方向に延びる目地91(縦目地)が形成されている。目地91は、各化粧板35の間において2箇所存在しており、その目地幅方向が第2方向Yとなっている。それら2つの目地91はいずれも第2方向Yにおいて同位置にあり、また同方向Yにおいてポーチ柱30の中央に位置している。
【0079】
これらの目地91にはそれぞれ、目地止水部材としてガスケット92が配設されている。ガスケット92は、定形シールよりなり、EPDM等の樹脂材料により形成されている。ガスケット92は、目地91に沿って上下に延びるように配設され、当該目地91にはめ込まれている。これにより、目地91を通じて雨水等の水が化粧板35の内側空間(つまりポーチ柱30の内部空間)に入り込むことが防止されている。
【0080】
ガスケット92の奥側には止水シート93が配設されている。止水シート93は、上下方向に延びる長尺状のシートであり、目地91を挟んで隣り合う各化粧板35の裏面に跨がって配設されている。止水シート93は、目地91を挟んだ両側部分が化粧板35とフレーム外周部90との間に挟み込まれた状態で設けられている。この場合、仮に雨水等の水がガスケット92を突破したとしても、その水がポーチ柱30の内部空間に入り込むのを防止することができる。また、止水シート93は各目地91に対してそれぞれ配設されており、それら各止水シート93のうち一方については化粧板35と第1フレーム部41(縦枠材45)との間に挟み込まれ、他方については化粧板35と第2フレーム部42(縦枠材65)及び第3フレーム部43(縦枠材74)との間に挟み込まれている。特に、上記一方の止水シート93について付言すると、この止水シート93は縦枠材45のウェブ45aの外側面に貼り付けられている(図9参照)。この場合、縦枠材45は止水シート93の下地としても利用されており、その関係で縦枠材45が目地91を第2方向Yに跨ぐ位置に配置されている。
【0081】
次に、アルコーブユニット20Aの柱21Aを利用して上述したポーチ柱30を構築する際の作業手順について説明する。図11は、アルコーブユニット20Aの柱21Aに支持フレーム40を固定する際の作業手順を説明するための図である。
【0082】
ポーチ柱30を構築するにあたっては、まずユニット製造工場においてアルコーブユニット20Aの柱21A等に支持フレーム40を固定する作業を行う。この支持フレーム40の固定作業に際しては、まず図11(a)に示すように、第1フレーム部41の上梁固定部51及び下梁固定部52をそれぞれ天井大梁22及び下梁37に固定する作業を行う。この場合、上梁固定部51についてはボルト54をウェルディングナット55に締結することで天井大梁22に固定し、下梁固定部52についてはボルト57をウェルディングナット58に締結することで下梁37に固定する。また、これら各固定部51,52を天井大梁22及び下梁37に固定する際には、第1フレーム部41の各位置決め部46(詳しくはスペーサ48及びアングル49)をそれぞれ柱21Aの各側面21a,21cにそれぞれ当接させて位置決めした状態で固定を行う(図11(b)も参照)。
【0083】
次に、図11(b)に示すように、各位置決め部46をそれぞれ柱21Aに対してビス61により固定する作業を行う。これにより、第1フレーム部41が柱21Aに対して所定の位置に位置決めされた状態で固定される。
【0084】
次に、図11(c)に示すように、第1フレーム部41に対して第2フレーム部42を固定する作業を行う。この場合、ボルト68をウェルディングナット69に締結することで、第2フレーム部42の縦枠材64を第1フレーム部41の縦枠材45に固定する。
【0085】
次に、図11(d)に示すように、第1フレーム部41に対して第3フレーム部43を固定する作業を行う。この場合、ボルト84をウェルディングナット85に締結することで、第3フレーム部43の固定金具82を第1フレーム部41の固定金具81に固定する。
【0086】
ここで、かかる固定作業に際しては、まずボルト84を各固定金具81,82の挿通孔87,88に挿通した状態でウェルディングナット85に(緩めた状態で)仮締めする。そして、その仮締め状態で固定金具82を固定金具81に対して第2方向Yに変位させることで、すなわち第3フレーム部43を第1フレーム部41に対して第2方向Yに変位させることで、フレーム外周部90の幅Wを予め定められた所定幅に調整する。そして、かかる幅調整をした後、ボルト84をウェルディングナット85に対して本締めする。これにより、フレーム外周部90の幅Wが所定幅とされた状態で第3フレーム部43が第1フレーム部41に固定される。
【0087】
次に、第3フレーム部43の縦枠材75をビス78により柱21Aに固定する。これにより、上記各フレーム部41〜43からなる支持フレーム40が柱21等に固定される。
【0088】
その後、支持フレーム40が固定されたアルコーブユニット20Aは施工現場へ搬送される。施工現場では、アルコーブユニット20Aの支持フレーム40のフレーム外周部90に各化粧板35をビスにより固定する作業を行う。これにより、アルコーブユニット20Aにおいてポーチ柱30が構築される。
【0089】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0090】
アルコーブユニット20Aの柱21Aを囲むようにして上下に延びる支持フレーム40を配設し、その支持フレーム40を柱21Aに対して固定した。そして、その支持フレーム40に対して化粧板35を取り付けた。つまり、化粧板35を支持フレーム40を介して柱21Aに取り付けるようにした。この場合、化粧板35が柱21Aから離間した位置に取り付けられるため、ポーチ柱30の幅を柱21Aの幅よりも十分に大きくすることができる。これにより、ポーチ柱30において重厚感を演出することが可能となる。
【0091】
ユニット式建物では、建物ユニット20を構成する部材の共通化が図られるため、ポーチ柱30を構成する一の柱21Aだけ幅を大きくして形成することは難しい。つまり、当該一の柱21Aだけ幅を大きくすることでポーチ柱30の幅を大きくすることが難しい。この点、上記の実施形態では、かかるユニット柱21Aに支持フレーム40を介して化粧板35を取り付ける上述の構成を採用したため、ユニット柱21Aを利用して構築されるポーチ柱30においても重厚感を演出することが可能となる。
【0092】
支持フレーム40(具体的には第1フレーム部41)に、天井大梁22に固定される上梁固定部51と、下梁37に固定される下梁固定部52とを設けた。この場合、支持フレーム40が柱21に加えて天井大梁22及び下梁37にも固定されるため、支持フレーム40を安定した状態で固定することができる。これにより、支持フレーム40に対して化粧板35を安定した状態で支持させることができる。
【0093】
支持フレーム40(具体的には第1フレーム部41)に、柱21Aにおいて互いに直交する各側面21a,21cにそれぞれ当接して位置決めされる位置決め部46を設けた。この場合、この位置決め部46による位置決めを利用することで、支持フレーム40を柱21Aに対して所定の位置に容易に配置することができる。これにより、支持フレーム40に取り付けられる化粧板35についても所定位置に容易に配置することが可能となる。
【0094】
位置決め部46を、支持フレーム40において上下方向に所定間隔で複数設けたため、それら各位置決め部46を利用することで支持フレーム40を柱21Aに対してまっすぐに配置することができる。これにより、支持フレーム40に取り付けられる化粧板35が柱21Aに対して傾いて配置される等の不都合を抑制することができる。
【0095】
位置決め部46(具体的には、当該位置決め部46において柱21Aの側面21cに当接されるスペーサ48)をビス61により柱21Aに固定したため、位置決め部46を柱21Aに対する固定部としても利用することができる。また、位置決め部46が固定部となっていることは、位置決め部46を柱21Aに位置決めした状態で支持フレーム40を柱21Aに固定する上でも好都合となる。
【0096】
支持フレーム40を、柱21Aに沿って上下に延びる3つのフレーム部41〜43を有して構成したため、支持フレーム40を柱21A等に固定する際には各フレーム部41〜43を順次固定していけばよい。各フレーム部41〜43は支持フレーム40と比べると、サイズや重量が小さく、その取り扱いが容易であるため、この場合柱21A等に対する支持フレーム40の固定作業を容易に行うことが可能となる。
【0097】
また、第1フレーム部41を柱21Aに固定するとともに、第2フレーム部42及び第3フレーム部43をそれぞれ第1フレーム部41及び柱21Aを挟んだ両側に配設した。そして、第2フレーム部42及び第3フレーム部43をそれぞれ第1フレーム部41及び柱21Aに跨がって設けるとともに、それら両部材21A,41にそれぞれボルト68,84やビス78(固定具に相当)により固定した。この場合、各フレーム部41〜43をそれぞれ柱21Aに対して固定することができるため、支持フレーム40を3つのフレーム部41〜43に分割した構成にあって、支持フレーム40を柱21Aに対して安定した状態で固定することができる。
【0098】
また、このように支持フレーム40を3分割した構成にあって、第1フレーム部41に上述した位置決め部46を設けた。この場合、各フレーム部41〜43を柱21Aに固定していく際には、まず第1フレーム部41を柱21Aに対して位置決め部46による位置決めを利用して固定する。これにより、第1フレーム部41が柱21Aに対して所定位置に位置決め固定される。そして、その後、その位置決めされた第1フレーム部41と柱21Aとに跨がって第2フレーム部42及び第3フレーム部43を固定していく。この場合、支持フレーム40が3つのフレーム部41〜43に分割された構成にあって、それら各フレーム部41〜43を柱21Aに対し所定の位置に好適に配置することが可能となる。
【0099】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0100】
(1)上記実施形態では、支持フレーム40を、3つのフレーム部41〜43に分割しそれら各フレーム部41〜43を固定具により互いに連結することにより構成したが、これを変更してもよい。例えば、支持フレーム40を、2つのフレーム部に分割しそれら各フレーム部を固定具により互いに連結することにより構成してもよい。この場合、それら2つのフレーム部のうち、一方のフレーム部を第1フレーム部41と第2フレーム部42とを溶接により固定することで一体化して構成し、他方のフレーム部を第3フレーム部43により構成することが考えられる。なお、この場合、上記一方のフレーム部が特許請求の範囲に記載された「第1フレーム部」に相当し、上記他方のフレーム部が特許請求の範囲に記載された「第2フレーム部」に相当する。この場合にも、支持フレーム40を柱21Aに固定する際には、各フレーム部ごとに柱21Aに固定していけばよいため、柱21Aに対する支持フレーム40の固定作業を比較的容易に行うことができる。
【0101】
なお、支持フレーム40を4つ以上のフレーム部に分割して構成してもよい。また、支持フレーム40を複数のフレーム部に分割しないで構成してもよい。
【0102】
(2)上記実施形態では、支持フレーム40を上梁固定部51及び下梁固定部52を介して天井大梁22及び下梁37のそれぞれに固定したが、支持フレーム40は必ずしもこれら各梁22,37に固定する必要はなく、柱21Aに対してのみ固定するようにしてもよい。なお、柱21Aに床大梁23が固定されている場合には、その床大梁23(下梁に相当)に下梁固定部52を固定するようにしてもよい。
【0103】
(3)上記実施形態では、位置決め部46を第1フレーム部41に設けたが、位置決め部46を第2フレーム部42や第3フレーム部43に設けてもよい。また、各フレーム部41〜43のいずれにも位置決め部46を設けないようにしてもよい。
【0104】
(4)上記実施形態では、各固定金具81,82の固定位置を第2方向Y(目地幅方向)に調整することで、支持フレーム40のフレーム外周部90の幅Wを第2方向Yに調整可能としたが、かかるフレーム幅の調整機能は必ずしも支持フレーム40に設ける必要はない。
【0105】
(5)上記実施形態では、ポーチ柱30(化粧柱)の横断面形状を正方形状としたが、これを変更して、長方形状としてもよい。例えば図12に示すポーチ柱30Aは、上記実施形態のポーチ柱30よりも第1方向Xの幅が大きくなっており、それにより横断面が同方向Xに長い長方形状をなしている。このポーチ柱30Aは、その支持フレーム40Aの構成が基本的にポーチ柱30の支持フレーム40と同じ構成となっている。支持フレーム40Aは、第1方向Xの幅がポーチ柱30の支持フレーム40よりも大きくなっている。これは、支持フレーム40Aでは、第1フレーム部41Aの突出板47Aと、第2フレーム部42A及び第3フレーム部43Aの各横枠材66A,76Aとについて、その第1方向Xの長さが支持フレーム40よりも長くされていることで実現されている。また、支持フレーム40Aでは、これら突出板47A及び各横枠材66A,76A以外の部材については支持フレーム40と同じ部材が用いられている。この場合、部材の共通化を図りながら、支持フレーム40の第1方向Xの幅を適宜変更することができるため、ポーチ柱30の幅違いを各種形成する上で好都合な構成といえる。
【0106】
(6)また、本発明の柱構造は、横断面が矩形形状のポーチ柱30(化粧柱)に限らず、横断面が円形形状や六角形状等、他の形状の化粧柱にも適用が可能である。その場合、支持フレーム40のフレーム外周部90を化粧柱の横断面形状に応じた形状で形成すればよい。
【0107】
(7)上記実施形態では、2つの化粧板35により柱21A(支持フレーム40)を囲んでポーチ柱30を形成したが、3つ以上の化粧板35により柱21Aを囲んでもよい。例えば、横断面がL字状の4つの化粧板35により柱21を囲む構成が考えられる。
【0108】
(8)上記実施形態では、アルコーブ14に設けられたポーチ柱30(化粧柱)に本発明の柱構造を適用したが、バルコニーやテラス等、アルコーブ14以外に設けられた化粧柱に本発明を適用してもよい。また、屋内(例えばリビングダイニング等)に設けられた化粧柱に本発明を適用してもよい。
【0109】
(9)上記実施形態では、ユニット式建物への適用例を説明したが、鉄骨軸組工法により構築される建物等、他の構造の建物にも本発明を適用することができる。要するに、化粧柱を備えた建物であれば、本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0110】
10…建物、20…建物ユニット、21A…独立柱及びユニット柱としての柱、22…上梁としての天井大梁、30…化粧柱としてのポーチ柱、35…化粧板、37…下梁、40…支持フレーム、41…第1フレーム部、42…第2フレーム部、43…第3フレーム部、46…位置決め部、51…上梁固定部、52…下梁固定部、61…固定具としてのビス、68…固定具としてのボルト、78…固定具としてのビス、84…固定具としてのボルト。
図1
図2
図3
図4
図5
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図12