(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6535250
(24)【登録日】2019年6月7日
(45)【発行日】2019年6月26日
(54)【発明の名称】荷電粒子検出器およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
H01J 43/24 20060101AFI20190617BHJP
【FI】
H01J43/24
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-158294(P2015-158294)
(22)【出願日】2015年8月10日
(65)【公開番号】特開2017-37783(P2017-37783A)
(43)【公開日】2017年2月16日
【審査請求日】2018年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】林 雅宏
【審査官】
小林 直暉
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第07564043(US,B1)
【文献】
特開昭57−196466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 43/24
37/244
9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力面と前記入力面に対向する出力面を有し、前記入力面および前記出力面の間の空間内に配置された1またはそれ以上のマイクロチャネルプレートを含むMCPユニットと、
前記MCPユニットの前記入力面に少なくとも一部が接触した状態で配置された電極であって、前記MCPユニットの前記入力面を露出させるための開口を有するMCP入力側電極と、
前記MCPユニットの前記出力面に少なくとも一部が接触した状態で配置された電極であって、前記MCPユニットの前記出力面を露出させるための開口を有するとともに前記MCP入力側電極よりも高い電位に設定されるよう構成されたMCP出力側電極と、
前記MCPユニットの出力面側の空間内に存在する荷電粒子を、負電荷粒子と正電荷粒子に分けてそれぞれを別個に捕獲するマルチ電極構造と、を備え、
前記マルチ電極構造は、
前記MCP入力側電極とともに前記MCP出力側電極を挟むよう配置された電極であって、前記MCP出力側電極よりも高い電位に設定されるよう構成された、前記負電荷粒子を捕獲するための第1電極と、
前記MCP入力側電極とともに前記MCP出力側電極を挟むよう配置されるとともに前記第1電極に対して電気的に絶縁された電極であって、前記MCP出力側電極と前記第1電極との間の電位差よりも前記MCP出力側電極と当該電極との間の電位差が大きくなるように前記MCP出力側電極よりも低い電位に設定されるよう構成された、前記正電荷粒子を捕獲するための第2電極と、を有することを特徴とする荷電粒子検出器。
【請求項2】
前記第2電極は、前記MCP出力側電極とともに前記第1電極を挟むよう配置されたことを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子検出器。
【請求項3】
前記第2電極は、前記MCP出力側電極と前記第1電極との間の空間に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子検出器。
【請求項4】
前記第1電極および前記第2電極は、前記MCPユニットの出力面に対して平行な平面上に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子検出器。
【請求項5】
前記平面上において、前記第1および第2電極のうち一方は、前記第1および第2電極のうち他方全体を取り囲んだ形状を有することを特徴とする請求項4に記載の荷電粒子検出器。
【請求項6】
前記第1および第2電極のうち一方は、ファラデーカップ構造を有し、前記第1および第2電極のうち他方は、前記ファラデーカップ構造の内部空間に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子検出器。
【請求項7】
前記第2電極と前記MCP入力側電極とを電気的に接続するための電位設定構造を備えたことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の荷電粒子検出器。
【請求項8】
前記MCP入力側電極は、前記電位設定構造として、前記MCPユニット、前記MCP出力側電極、および前記第1電極のそれぞれを取り囲んだ状態で当該MCP入力側電極から前記第2電極へ向かって伸びた形状を有し、かつ、前記第2電極に直接接触しているフランジ部を有することを特徴とする請求項7に記載の荷電粒子検出器。
【請求項9】
前記第1電極と前記第2電極の電位が異なるよう、前記第1電極と前記第2電極のそれぞれに異なる値の電圧を印加するための電圧制御回路をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の荷電粒子検出器。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか一項に記載の荷電粒子検出器の制御方法であって、
前記MCP出力側電極に印加される電圧よりも高い電圧を第1電極に印加する一方、前記MCP出力側電極に印加される電圧よりも低い電圧を第2電極に印加することにより、前記MCP出力側電極、前記第1電極、および前記第2電極により形成される電位勾配を、前記第1電極の位置において電位ピークが現れるように調整することを特徴とする制御方法。
【請求項11】
前記MCP入力側電極と前記第2電極とに等しい電圧が印加されることにより、前記MCP入力側電極と前記第2電極とが同電位に設定されることを特徴とする請求項10に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のマイクロチャネルプレート(以下、MCPと記す)で構成されたMCPユニットを含む荷電粒子検出器およびその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
イオン、電子等の荷電粒子の高感度検出を可能にする検出器として、例えば、一定のゲインを得るためのMCP等の増倍手段を備えた荷電粒子検出器が知られている。このような荷電粒子検出器は、質量分析装置等の真空チャンバ内に計測器として設置されるのが一般的である。
【0003】
図1(a)には、質量分析装置の一例として、残留ガス分析装置(RGA:Residual Gas Analyzers)の概略構成が示されている。この残留ガス分析装置1は、
図1(a)に示されたように、一定の真空度に維持された真空チャンバ内に、イオン源10、集束レンズ20、質量分析部30、計測部100が配置されている。
【0004】
残留ガス分析装置1において、イオン源10に導入された残留ガスは、高温のフィラメントから放出された熱電子と衝突することでイオン化する。このようにイオン源10において生成されたイオンは、複数の電極で構成された集束レンズ20を通過する際に加速、集束されながら質量分析部30に導かれる。質量分析部30は、4本の円柱電極(四重極)に直流電圧および交流電圧を印加することにより質量の異なるイオンを振り分ける。すなわち、質量分析部30は、4本の円柱電極に印加される電圧を変えることにより、その値に応じた質量電荷比のイオンを選択的に通過させることができる。計測部100では、上述のように質量分析部30へ導入されたイオンのうち該質量分析部30を通過したイオンを信号(イオン電流)として検出する。このイオン電流は残留ガスの量(分圧)に比例している。
【0005】
計測部100としては、例えば
図1(b)に示されたような一定のゲインを得るためのMCPユニット200を備えた荷電粒子検出器100Aが適用可能である。なお、MCPユニット200は、入力面200aと出力面200bを有し、入力面200aと出力面200bとの間の空間に積層された状態で配置された2枚のMCP210、220を含む。荷電粒子検出器100Aは、このような所望のゲインを得るためのMCPユニット200と、MCPユニット200の出力面200bから放出された電子を取り込むためのアノード電極240を備える。なお、MCPユニット200の入力面200aと出力面200bのそれぞれには、入力面200aの電位よりも出力面200bの電位が高くなるよう、電圧制御回路(ブリーダ回路)230から異なる値の電圧(それぞれマイナス電圧)が印加される。一方、アノード電極240はグランド電位(0V)に設定されており、該アノード電極240に取り込まれたMCPユニット200からの電子は、電気信号として増幅器250に入力される。そして、増幅器250により増幅された電気信号(増幅信号)が出力端OUTから検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第8,471,444号
【特許文献2】特開昭57−196466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明者は、従来の荷電粒子検出器について検討した結果、以下のような課題を発見した。すなわち、質量分析装置の中でもイオン飛行距離が長くなることにより性能が向上する飛行時間計測型質量分析装置(TOF−MS)などは、10
−4Pa(約10
−6Torr)程度の高真空状態での計測が必須である。一方で、真空排気機構の簡略化(製造コストの低減)、イオンの平均自由工程の短縮(装置の小型化)等を目的として、10
−1Pa(約10
−3Torr)程度の低真空状態での高感度質量分析が可能な荷電粒子検出器の開発要求も高まってきており、特に、10
−1Pa(約10
−3Torr)程度の低真空環境下においてゲイン10
5程度の高感度(低ノイズ)のイオン検出が望まれる。
【0008】
しかしながら、真空度が低下するほどチャンバ内の残留ガス分子が増えるため、低真空環境下での質量分析では、この不要な残留ガス分子のイオン化(電子イオン化)に起因したダークノイズの増加が問題となる。具体的には、
図1(b)に示されたように、MCPユニット200から放出された電子と電極間に存在する残留ガス分子との衝突により、残留ガスイオンが発生してしまうことに起因していると考えられる。なお、この電子イオン化は、70〜100eVの電子の衝突によりイオン化効率が最大とることが知られており(MCPの出力電子エネルギーは80〜100eV)、電子イオン化により生成される残留ガスイオンは、そのほとんどが正イオン(正電荷粒子)である((元素M)+(e
−)−>(M
+)+2(e
−))。
【0009】
図1(b)の電極配置では、MCPユニット200の出力側電位よりもアノード電極240の電位の方が高く設定されているため、電極間で生成された不要な正イオン(M
+)は、直接MCPユニット200の出力面200bに向かうか(
図1(b)中の矢印Aで示された経路)、荷電粒子検出器100Aの周辺を浮遊したのちMCPユニット200の入射面200aに到達してしまう(
図1(b)中の矢印Bで示された経路)。このように、荷電粒子検出器100A内の電極間で生成された不要な正イオンがMCPユニット200に到達する現象、すなわちイオンフィードバックが発生すると、残留ガス由来の電子がダークノイズとして検出されることになるので、低真空度環境下における荷電粒子の高感度検出が困難になる。
【0010】
なお、上記特許文献1には、迷走イオン遮蔽用のイオンバリア膜を形成することが開示されている。また、上記特許文献2には、MCP12〜14、25、31〜32と平板ダイノード19とでアノード20を挟み込んだ構造が示されている。上記特許文献2のこのような電極配置において、平板ダイノード19の電位はアノード19の電位よりも低く設定されているが、MCPの電位は平板ダイノード19の電位よりもさらに低く設定されている。このような電極配置によっても、電極間での電子イオン化に起因したイオンフィードバックを回避することは困難である。
【0011】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、低真空環境下における電子イオン化により生成される正電荷粒子の、電子増倍構造(MCP)側へのフィードバック現象(イオンフィードバック)を効果的に抑制するため、該正イオン等の正電荷粒子の移動を制限する構造を備えた荷電粒子検出器およびその制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本実施形態に係る荷電粒子検出器は、電子増倍機能を実現するためのMCPユニットを備え、10
−1Pa(=10
−3Torr)程度の低真空度環境下で、イオン等の荷電粒子の正確な検出を可能にするための構造を備える。すなわち、当該荷電粒子検出器は、MCPユニットから放出される電子が電極間の残留ガス分子に衝突することにより発生する残留ガスイオン(イオンフィードバックの原因)を効率よく除去するための構造を備える。
【0013】
本実施形態の第1の態様として、当該荷電粒子検出器は、MCPユニットの出力面側の空間に存在する荷電粒子を、MCPユニットから放出される二次電子等の負電荷粒子と、電子イオン化により生成される残留ガスイオン等の不要な正電荷粒子とに分けてそれぞれを別個に捕獲するための構造を有する。具体的に、当該荷電粒子検出器は、MCPユニットと、MCP入力側電極と、MCP出力側電極と、MCPユニットの出力面側の空間内に存在する荷電粒子を負電荷粒子と正電荷粒子に分けて、それぞれを別個に捕獲するマルチ電極構造と、を少なくとも備える。MCPユニットは、入力面と該入力面に対向する出力面を有する。また、MCPユニットは、入力面および出力面の間の空間内に配置された1またはそれ以上のMCP(マイクロチャネルプレート)を含む。MCP入力側電極は、MCPユニットの入力面に少なくとも一部が接触した状態で配置された電極であり、MCPユニットの入力面を露出させるための開口を有する。MCP出力側電極は、MCPユニットの出力面に少なくとも一部が接触した状態で配置された電極である。また、MCP出力側電極は、MCPユニットの出力面を露出させるための開口を有するとともにMCP入力側電極よりも高い電位に設定されるよう構成されている。
【0014】
特に、この第1の態様において、マルチ電極構造は、MCP入力側電極とともにMCP出力側電極を挟むよう配置された第1電極と、MCP入力側電極とともにMCP出力側電極を挟むよう配置されるとともに第1電極に対して電気的に絶縁された第2電極と、を有する。第1電極は、MCP出力側電極よりも高い電位に設定されるよう構成され、電子などに代表される負電荷粒子を捕獲するための電極として機能する。一方、第2電極は、MCP出力側電極よりも低い電位に設定されるよう構成され、電子イオン化により生成された残留ガスイオンなどに代表される不要な正電荷粒子を捕獲するための電極である。
【0015】
上記第1の態様に適用可能な第2の態様として、第2電極は、MCP出力側電極とともに第1電極を挟むよう配置されてもよい。上記第1の態様に適用可能な第3の態様として、第2電極は、MCP出力側電極と第1電極との間の空間に配置されてもよい。また、上記第1の態様に適用可能な第4の態様として、第1電極および第2電極は、MCPユニットの出力面に対して平行な平面上に配置されてもよい。上記第4の態様に適用可能な第5の態様として、平面上において、第1および第2電極のうち一方が、第1および第2電極のうち他方全体を取り囲んだ形状を有するのが好ましい。さらに、上記第1の態様に適用可能な第6の態様として、第1および第2電極のうち一方は、ファラデーカップ構造を有し、第1および第2電極のうち他方は、ファラデーカップ構造の内部空間に配置されてもよい。
【0016】
上記第1〜第6の態様のうち少なくとも何れかの態様に適用可能な第7の態様として、当該荷電粒子検出器は、第2電極とMCP入力側電極とを電気的に接続するための電位設定構造を備えるのが好ましい。この場合、第2電極の電位とMCP入力側電極の電位は一致するが、第2電極の電位はMCP入力側電極の電位よりも低くてもよい。なお、第1〜第7の態様のうち少なくとも何れかの態様に適用可能な第8の態様として、MCP入力側電極は、フランジ部を備えてもよい。このフランジ部は上述の電位設定構造として機能するとともに、MCPユニットの他、他の電極を有能する筐体の一部としても機能する。具体的にフランジ部は、MCPユニット、MCP出力側電極、および第1電極のそれぞれを取り囲んだ状態で当該MCP入力側電極から第2電極へ向かって伸びた形状を有し、かつ、第2電極に直接接触する。
【0017】
上記第1〜第8の態様のうち少なくとも何れかの態様に適用可能な第9の態様として、当該荷電粒子検出器は、第1電極と第2電極の各電位を個別に設定するための電圧制御回路をさらに備えてもよい。この場合、電圧制御回路は、第1電極と第2電極のそれぞれに異なる値の電圧を印加することにより、これら電極の電位を異ならせることができる。
【0018】
本実施形態に係る制御方法は、上述のような構造を有する荷電粒子検出器、すなわち、上記第1〜第9のうち少なくとも何れかの態様に係る荷電粒子検出器の検出動作を制御する。具体的に当該制御方法では、MCP出力側電極に印加される電圧よりも高い電圧が第1電極に印加される。一方、MCP出力側電極に印加される電圧よりも低い電圧が第2電極に印加される。このように第1電極と第2電極のそれぞれに対して異なる値の電圧が印加されることにより、MCP出力側電極と第2電極との間で規定される空間内において、第1電極の位置がピークとなる電位勾配が形成される。
【0019】
上記制御方法に適用可能な態様として、MCP入力側電極と第2電極にはそれぞれ等しい電圧が印加されてもよい。この場合、MCP入力側電極と第2電極とが同電位に設定され、当該荷電粒子検出器自体の構造簡素化が可能になる。
【0020】
なお、本発明に係る各実施形態は、以下の詳細な説明及び添付図面によりさらに十分に理解可能となる。これら実施例は単に例示のために示されるものであって、本発明を限定するものと考えるべきではない。
【0021】
また、本発明のさらなる応用範囲は、以下の詳細な説明から明らかになる。しかしながら、詳細な説明及び特定の事例はこの発明の好適な実施形態を示すものではあるが、例示のためにのみ示されているものであって、本発明の範囲における様々な変形および改良はこの詳細な説明から当業者には自明であることは明らかである。
【発明の効果】
【0022】
本実施形態によれば、低真空度環境下の電極間においてMCPユニットからの電子と残留ガス分子とが衝突することにより発生する不要な残留ガスイオン(正電荷粒子)を、信号として取り込むべき電子(負電荷粒子)から効率的に分離し、かつ捕獲することができる。その結果、電極間に位置する電子飛行空間(少なくともMCP−Out電極520、第1電極300、第2電極400によりtriode構造が構成された電極間空間)からMCPユニットへのイオンフィードバックが効果的に抑制され得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】質量分析装置の一例として残留ガス分析装置の構成および一般的な荷電粒子検出器の構造の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る荷電粒子検出器の概略構成を説明するための図である。
【
図3】本実施形態に係る荷電粒子検出器に適用可能なMCPユニットの概略構成を説明するための図である。
【
図4】第1構造を有する本実施形態に係る荷電粒子検出器の組み立て工程を説明するための図である。
【
図5】
図4に示された組み立て工程を経て得られた荷電粒子検出器を示す斜視図および該荷電粒子検出器の内部構造を示す断面図である。
【
図6】本実施形態に係る荷電粒子検出器の制御方法を説明するための図である。
【
図7】第2構造を有する本実施形態に係る荷電粒子検出器の要部組み立て工程および要部断面を示す図である。
【
図8】第3構造を有する本実施形態に係る荷電粒子検出器の要部組立工程および要部断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本願発明に係る荷電粒子検出器およびその制御方法の各実施形態を添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。また、本実施形態は、これら例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図されている。
【0025】
図2は、本実施形態に係る荷電粒子検出器の概略構成を説明するための図である。また、
図3は、本実施形態に係る荷電粒子検出器に適用可能なMCPユニットの概略構成を説明するための図である。
【0026】
本実施形態に係る荷電粒子検出器100Bは、
図1(a)に示された残留ガス分析装置1の計測部100に適用可能である。具体的に、荷電粒子検出器100Bは、
図2に示されたように、入力面200aと出力面200bを有するMCPユニット200と、MCPユニット200の出力面200b側の空間内に存在する荷電粒子を、負電荷粒子と正電荷粒子に分けてそれぞれを別個に捕獲するマルチ電極構造と、を少なくとも備える。マルチ電極構造は、後述するMCP出力側電極とともにtriode構造を構成する第1電極300と第2電極を、少なくとも含む。第1電極300は、MCPユニット200の出力面200bから放出された電子を電気信号として読み出すための電極(電子に代表される負電荷粒子の捕獲用電極)である。第2電極は、MCPユニット200の出力面200bから放出された電子の飛行空間において生成された不要な正イオン(M
+)を捕獲するための電極(正イオンに代表される正電荷粒子の捕獲電極)である。また、MCPユニット200の入力面200aと出力面200bのそれぞれには、入力面200aの電位よりも出力面200bの電位が高くなるよう、ブリーダ回路(電圧制御回路)230から異なる値の電圧(それぞれマイナス電圧)が印加される。第1電極300はグランド電位(0V)に設定されており、該第1電極300に取り込まれたMCPユニット200からの電子は、電気信号として増幅器250に入力される。そして、増幅器250により増幅された電気信号(増幅信号)が出力端OUTから検出される。一方、第2電極400は、MCPユニット200の入力面200aと同電位(出力面200bよりも低い電位)に設定されており、MCPユニット200の出力面200bから放出された電子の飛行空間内で電子イオン化により生成された不要な残留ガスイオン(ほとんどが正イオン)は、第2電極400により捕獲される。そのため、当該荷電粒子検出器100Bでは、イオンフィードバックに起因したダークノイズの発生が効果的に抑制されえる。
【0027】
なお、当該荷電粒子検出器100Bに適用されるMCPユニット200の構造の一例が
図3に示されている。すなわち、
図3(a)は、MCPユニット200の組立工程を示す図であり、
図3(b)は、
図3(a)中のX1−X1線に沿った、MCPユニット200の断面図である。
【0028】
図3(a)に示されたように、MCPユニット200は、入力面210aと出力面210bを有するMCP210と、入力面220aと出力面220bを有するMCP220を備える。MCP210に形成された複数の貫通孔(内壁に二次電子放出面が形成されているチャネル)は、入力面210aに対して所定のバイアス角θだけ傾斜している。同様に、MCP220に形成された複数の貫通孔(内壁に二次電子放出面が形成されているチャネル)も、入力面220aに対して所定のバイアス角θだけ傾斜している。ここで、バイアス角は、入射荷電粒子が各チャネルの内壁に衝突することなくMCPを通過することを防止するために設けられるチャネルの傾斜角である。
【0029】
上述のような構造を有する2枚のMCP210、220は、互いのバイアス角が一致しないように出力面210bと入力面220aを貼り合わせることにより、積層される。さらに、MCP210の入力面210a上には電極211が蒸着により形成され、MCP220の出力面220bにも電極221が蒸着により形成されている。したがって、2枚のMCP210、220が貼り合わされた状態で、電極211の露出面が当該MCPユニット200の入力面200aとなり、電極221の露出面が当該MCPユニット200の出力面200bとなる。ここで、電極211は、MCP210の入力面210aの前面をカバーするのではなく、入力面210aの外周端から0.5mm〜1.0mm露出させて形成されている。電極221も同様である。
【0030】
次に、
図4および
図5を用いて、第1構造を有する本実施形態に係る荷電粒子検出器100Cの具体的な構造を説明する。
図4は、第1構造を有する本実施形態に係る荷電粒子検出器100Cの組み立て工程を説明するための図である。
図5(a)は、
図4に示された組立工程を経て得られた荷電粒子検出器100Cの斜視図である。
図5(b)は、
図5(a)中のX2−X2線に沿った当該荷電粒子検出器100Cの断面図である。
【0031】
当該荷電粒子検出器100Cの組み立て工程では、MCPユニット200から第2電極400Aへ向かう方向(MCPユニット200の中心軸に沿った方向)に沿って順に、MCP入力側電極510(以下、MCP−In電極と記す)、MCPユニット200を収納する貫通孔610aを有する絶縁スペーサ610、MCP出力側電極520(以下、MCP−Out電極と記す)、上側絶縁リング620、第1電極300A(負電荷粒子捕獲用電極)、下側絶縁リング630、および、第2電極(正電荷粒子捕獲用電極)400Aが配置されている。MCP−In電極510と第2電極400Aは、当該荷電粒子検出器100Cの筐体としても機能しており、具体的には、MCP−In電極510の一部を構成するフランジ部と第2電極400Aが溶接されている(MCP−In電極510と第2電極400Aは同電位に設定される)。このようにMCP−In電極510と第2電極400Aにより規定される内部空間内に、絶縁スペーサ610、MCP−Out電極520、上側絶縁リング620、第1電極300A、および下側絶縁リング630が収納される。さらに、第2電極400Aを挟んでMCPユニット200の反対側にはブリーダ回路基板700が配置され、第2電極400Aから伸びた、各電極に所望の電圧を印加するためリードピンを介して、MCPユニット200を収納した金属筐体部分(MCP−In電極510と第2電極400Aにより構成されている)がブリーダ回路基板700に固定される。
【0032】
具体的に、MCPユニット200は、ディスク形状を有する絶縁スペーサ610の貫通孔610a内に収納された状態で、MCP−In電極510と、MCP−Out電極520に挟まれる。その際、MCP−In電極510は、MCPユニット200の入力面200a上に形成された電極211に電気的に接続され、同様に、MCP−Out電極520は、MCPユニット200の出力面200b上に形成された電極221に電気的に接続される。
【0033】
なお、MCP−In電極510は、MCPユニット200の入力面200aを露出させるための開口510aと、MCPユニット200とともに他の電極を収納する筐体の一部を構成するフランジ部を有する。MCP−In電極510のフランジ部は、MCPユニット200とともに他の電極を取り囲んだ状態で、MCPユニット200から第2電極400Aへ向かって伸びた形状を有し、その端部は第2電極400Aに溶接される。以上のように本実施形態では、MCP−In電極510と第2電極400Aが、MCPユニット200と他の電極を収納する筐体を構成している。また、この構成において、MCP−In電極510のフランジ部は電位設定構造(給電部)として機能するため、MCP−In電極510と第2電極400Aとが同電位に設定される。一方、MCP−Out電極520は、MCPユニット200の出力面200bを露出させるための開口520aと、当該MCP−Out電極520を所定電位に設定するための給電ピン520bを有する。
【0034】
第1電極300Aは、主に、MCPユニット200から放出された二次電子を捕獲する負電荷粒子捕獲用電極(信号読み出し電極)であり、貫通孔300Aaが設けられたディスク形状を有する。また、第1電極300Aは、当該第1電極300Aを所定電位に設定するための給電ピン300Abを有するとともに、MCP−Out電極520の給電ピン520bを接触することなく貫通させるための連絡孔300Acも有する。このような構造を有する第1電極300Aは、貫通孔300Aaとほぼ等しい直径の開口620aが設けられた上側絶縁リング620と、同様に貫通孔300Aaとほぼ等しい直径の開口630aが設けられた下側絶縁リング630により挟まれる。なお、上側絶縁リング620は、MCP−Out電極520と第1電極300Aを電気的に分離するための絶縁スペーサとして機能し、下側絶縁リング630は、第1電極300Aと第2電極400Aを電気的に分離するための絶縁スペーサとして機能する。また、第1電極300Aの貫通孔300Aaの開口端にはメッシュ状または格子状の金属製ワイヤ電極部が配置されてもよい。
【0035】
第2電極400Aは、MCPユニット200から放出された二次電子の飛行空間内での電子イオン化により生成される不要な残留ガスイオン(M
+)を捕獲するための正電荷粒子捕獲用電極である。少なくともMCP−Out電極520、第1電極300A、第2電極400Aによりtriode構造が構成された電極空間内では、第2電極400Aが最も低い電位に設定されるため、この電極空間内で生成された不要な正電荷粒子は必然的に第2電極400Aへ向かうことになる。したがって、この第2電極400Aの存在により、生成された残留ガスイオンがMCPユニット200側へ移動していく現象、すなわちイオンフィードバックの発生が効果的に抑制され得る。具体的に、第2電極400Aは、MCP−Out電極520の電位よりも低い電位に設定されるよう所定の電圧が印加される給電ピン400Aaを備える。さらに、第2電極400Aには、第1電極300Aの給電ピン300Abを接触することなく貫通させるための連絡孔400Abと、MCP−Out電極520の給電ピン520bを接触することなく貫通させるための連絡孔400Acがそれぞれ設けられている。当該第2電極400Aの外周端は、MCP−In電極510のフランジ部に電気的に接続されているため、給電ピン400Aaを介して第2電極400Aに所定電圧が印加されることにより、MCP−In電極510と第2電極400Aは同電位に設定される。なお、第2電極400Aの電位は、MCP−Out電極520の電位よりも低ければ、MCP−In電極510の電位よりも高く設定されてもよく、また、低く設定されてもよい。
【0036】
ブリーダ回路基板700は、ディスク形状を有するガラスエポキシ基板であって、上述のように構成された検出器筐体の支持部として機能するとともに、各電極へ所望の電圧を供給するためのブリーダ回路(分圧回路)230が搭載されている。具体的に、ブリーダ回路基板700は、第1電極300の給電ピン300bが差し込まれる金属ソケット710a、MCP−In電極510と電気的に接続されている第2電極400の給電ピン400aが差し込まれる金属ソケット710b、MCP−Out電極510の給電ピン520bが差し込まれる金属ソケット710cを保持している。また、これら金属ソケット710a〜710cは、ブリーダ回路基板700の表面に形成されたプリント配線720によりブリーダ回路230に電気的に接続されている。なお、各電極の給電ピン300b、400a、520bとブリーダ回路230とがプリント配線720を介して電気的に接続される構造であれば、ソケット710a〜710cは金属以外の材料で構成されてもよい。
【0037】
なお、上述の第1構造では、第1電極300AがMCP−Out電極520と第2電極400Aの間に配置されているが、第2電極400AがMCP−Out電極520と第1電極300Aの間に配置されてもよい。また、上述の第2電極400Aが検出器筐体の一部を構成する場合、その中央に貫通孔を設け、かつ、該貫通孔の開口端を塞ぐように配置されたメッシュ状または格子状のワイヤ電極部が配置されてもよい。この構成により、当該荷電粒子検出器100Cが設置される真空チャンバ内圧力と、検出器筐体内の圧力を一致させことが可能になる。
【0038】
次に、本実施形態に係る荷電粒子検出器100Bの制御方法を、
図6を用いて説明する。なお、
図6(a)は、本実施形態に係る荷電粒子検出器100Bの構成を示す図であり、
図6(b)は、本実施形態に係制御方法により設定される荷電粒子検出器100Bの電位勾配を示す図である。
【0039】
図6(a)に示された荷電粒子検出器100Bの構造は、
図2に示された構造と同じである。すなわち、当該荷電粒子検出器100Bは、
図6(a)に示されたように、入力面200aと出力面200bを有するMCPユニット200と、負電荷粒子捕獲用電極としての第1電極300と、正電荷粒子捕獲用電極としての第2電極400と、を備える。また、MCPユニット200の入力面200aと出力面200bのそれぞれには、入力面200aの電位よりも出力面200bの電位が高くなるよう、ブリーダ回路230から異なる値の電圧が印加される。第1電極300はグランド電位(0V)に設定されており、該第1電極300に取り込まれたMCPユニット200からの電子は、電気信号として増幅器250に入力される。そして、増幅器250により増幅された電気信号(増幅信号)が出力端OUTから検出される。一方、第2電極400は、MCPユニット200の入力面200aと同電位(出力面200bよりも低い電位)に設定される。
【0040】
この荷電粒子検出器100Bにおける具体的な電位勾配は、10
5程度の高ゲインを得る場合、
図6(b)のように設定される。すなわち、MCP−In電極510は−1500V、MCP−Out電極520は−100V、第1電極300はグランド電位(0V)、第2電極400は、−100Vよりも低い電位に設定される。なお、
図6(b)において、第2電極400の最低電位はMCP−In電極510と同じ−1500Vであるが、第2電極400は、MCP−In電極510の電位より低い電位に設定されてもよい。また、第1電極300と第2電極400の位置が逆になった電極配置であっても、第1電極300はMCP−Out電極520の電位よりも高い電位に設定され、第2電極400はMCP−Out電極520の電位よりも低い電位に設定される。さらに、
図6(a)に示された電位勾配は、10
5程度の高ゲインを得る例であるが、10
3程度の低ゲインを得る場合、MCP−In電極510の電位は、−1000V程度に設定されればよい。
【0041】
次に、第2構造を有する本実施形態に係る荷電粒子検出器100Dの構造について
図7を用いて説明する。なお、
図7(a)は、第2構造を有する本実施形態に係る荷電粒子検出器100Dの要部組み立て工程を示す図であり、
図7(b)は、第2構造を有する荷電粒子検出器100Dの要部断面を示す図である。
【0042】
第2構造を有する荷電粒子検出器100Dの組立工程は、
図4に示された組み立て工程(上述の第1構造を有する荷電粒子検出器100Cの組立工程)のうち破線で囲まれた領域Sの工程に替え、
図7(a)に示された破線領域S1の工程を備える。破線領域S1の工程以外の工程は
図4に示された組み立て工程と同じであるため、以下、破線領域S1の工程(第1電極300Bと第2電極400Bの組み立て工程)のみを説明する。
【0043】
図7(a)に示されたように、当該荷電粒子検出器100Dの組立工程において、用意される第1電極300Bは、所定の直径を有するディスク形状を有し、その裏面には給電ピン300Baが取り付けられている。また、第2電極400Bもディスク形状を有する。第2電極400Bには、第1電極300Bが配置される開口400Baが形成されるとともに、その裏面に給電ピン400Bbが取り付けられている。ディスク上の第2電極400Bの内径は、第1電極300Bの直径よりも大きい。これら第1電極300Bおよび第2電極400Bが、ディスク形状の絶縁基板640の同一面上に配置される。なお、絶縁基板640には、第2電極400Bの給電ピン400Bbを貫通させるための連絡孔640a、第1電極300Bの給電ピン300Baを貫通させるための連絡孔640b、およびMCP−Out電極520の給電ピン520bを貫通させるための連絡孔640cが設けられている。以上の工程を経て
図7(b)に示された断面構造が得られる。なお、第1電極300Bと第2電極400Bの配置は、逆であってもよい。
【0044】
次に、第3構造を有する本実施形態に係る荷電粒子検出器100Eの構造について
図8を用いて説明する。なお、
図8(a)は、第3構造を有する本実施形態に係る荷電粒子検出器100Eの要部組み立て工程を示す図であり、
図8(b)は、第3構造を有する荷電粒子検出器100Eの要部断面を示す図である。
【0045】
第3構造を有する荷電粒子検出器100Eの組立工程は、
図4に示された組み立て工程(上述の第1構造を有する荷電粒子検出器100Cの組立工程)のうち破線で囲まれた領域Sの工程に替え、
図8(a)に示された破線領域S2の工程を備える。破線領域S2の工程以外の工程は
図4に示された組み立て工程と同じであるため、以下、破線領域S2の工程(第1電極300Cと第2電極400Cの組み立て工程)のみを説明する。
【0046】
図8(a)に示されたように、当該荷電粒子検出器100Eの組立工程において、用意される第1電極300Cは、所定の直径を有するディスク形状を有し、その裏面には給電ピン300Caが取り付けられている。また、第2電極400Dは、開口410aを有するリング部材410と、ディスク部材420により構成されたファラデーカップ構造を有する。なお、リング部材410の開口410aは、第1電極300Cの直径よりも大きい内径を有する。また、ディスク部材420には、その裏面に給電ピン420aが取り付けられており、さらに、ディスク部材420には、第1電極300Cの給電ピン300Caが貫通した状態で該第1電極300Cを支持する絶縁スペーサ310の一部を貫通させる連絡孔420b、MCP−Out電極520の給電ピン520bを接触することなく貫通させる連絡孔420cが設けられている。リング部材410およびディスク部材420で構成された、ファラデーカップ構造の第2電極400Cは、絶縁スペーサ310を解して第1電極300Cを支持した状態で、MCP−In電極510のフランジ部に固定されることにより、検出器筐体の一部を構成する。以上の工程を経て
図8(b)に示された断面構造が得られる。なお、第1電極300Cと第2電極400Cの構造および配置は、逆であってもよい。すなわち、第1電極300Cがファラデーカップ構造を有し、第2電極400Cが、ファラデーカップ構造の内部空間に配置さてもよい。
【0047】
本実施形態に係る制御方法では、少なくともMCP−Out電極520、第1電極300、第2電極400によりtriode構造が構成された電極間空間において、上述のように、負電荷粒子捕獲用電極である第1電極300が最も高い電位に設定され、かつ、正電荷粒子捕獲用電極である第2電極400が最も低い電位に設定される。このような電極空間内では、主にMCPユニットから放出される電子などの負電荷粒子は、最も高い電位に設定された電極へ向かう一方、電極間における電子イオン化により生成される不要な残留ガスイオンなどの正電荷粒子は最も低い電位に設定された電極へ向かう。したがって、本実施形態に係る制御方法によれば、信号として取り出される電子と不要な残留ガスイオンとの分離が可能になるとともに、イオンフィードバックの原因となる該不要な残留ガスイオン(正イオン)の捕獲が可能になる。
【0048】
以上の本発明の説明から、本発明を様々に変形しうることは明らかである。そのような変形は、本発明の思想および範囲から逸脱するものとは認めることはできず、すべての当業者にとって自明である改良は、以下の請求の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0049】
1…残留ガス分析装置(質量分析装置)、100B、100C、100D、100E…荷電粒子検出器、200…MCPユニット、230…ブリーダ回路(電圧制御回路)、510…MCP−In電極(MCP入力側電極)、520…MCP−Out電極(MCP出力側電極)、300、300A、300B、300C…第1電極(負電荷粒子捕獲用電極)、400、400A、400B、400C…第2電極(正電荷粒子捕獲用電極)。