(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6535457
(24)【登録日】2019年6月7日
(45)【発行日】2019年6月26日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
H05B 33/26 20060101AFI20190617BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20190617BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20190617BHJP
H05B 33/22 20060101ALI20190617BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20190617BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20190617BHJP
【FI】
H05B33/26 Z
H05B33/14 A
H05B33/12 B
H05B33/22 Z
H01L27/32
G09F9/30 365
【請求項の数】17
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-230626(P2014-230626)
(22)【出願日】2014年11月13日
(65)【公開番号】特開2016-95971(P2016-95971A)
(43)【公開日】2016年5月26日
【審査請求日】2017年11月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梶山 憲太
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 敏浩
【審査官】
中山 佳美
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−068472(JP,A)
【文献】
特開2005−031645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50−51/56
H01L 27/32
H05B 33/00−33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
表示領域に位置する第1の画素と、
前記第1の画素の外周を囲うバンク層と、
前記バンク層を介して前記第1の画素と隣接し、全体が前記表示領域に位置するコンタクト領域と、
前記第1の画素に形成された画素電極と、
前記基板に形成され、前記第1の画素に備えられ、且つ前記画素電極と接続する薄膜トランジスタと、
前記薄膜トランジスタを覆い、且つ前記第1の画素と前記コンタクト領域とに亘って配置された絶縁層と、
前記第1の画素と前記コンタクト領域とに亘って配置された共通電極と、
前記絶縁層の前記基板とは反対側に配置され、少なくとも一部が前記コンタクト領域に位置する補助導電層と、
前記コンタクト領域に形成され、前記共通電極と前記補助導電層とを電気的に接続するコンタクトホールと、
を有し、
前記補助導電層は、前記コンタクト領域に開口を有し、
前記コンタクトホールの縁は、前記補助導電層の開口の縁を含んで構成され、
前記共通電極は前記コンタクトホールを覆っている
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、
前記絶縁層は、前記コンタクト領域に開口を有し、
前記コンタクトホールの縁は、更に前記絶縁層の開口の縁を含んで構成される
ことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の表示装置において、
前記コンタクト領域は前記画素電極と同層に形成された導電部を有し、
前記導電部は、前記コンタクトホールを覆って、且つ前記補助導電層に接して配置され、
前記共通電極と前記補助導電層とは、前記導電部を介して電気的に接続している
ことを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の表示装置において、
前記補助導電層の開口の縁は、平面視において、第1の方向に延びており、
前記導電部は、平面視において、前記第1の方向に交差する第2の方向に延びている
ことを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1に記載の表示装置において、
前記補助導電層の開口の端部側面は、前記コンタクトホールの幅が前記基板から離れる方向に向かって徐々に小さくなるように傾斜している
ことを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項1に記載の表示装置において、
前記画素電極と前記共通電極との間に位置すると共に、前記第1の画素と前記コンタクト領域とに亘って配置された発光層を備え、
前記発光層は、前記コンタクトホールの側壁で破断している
ことを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項1に記載の表示装置において、
前記コンタクトホールは前記コンタクト領域に複数個形成されている
ことを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項1に記載の表示装置において、
前記第1の画素と前記コンタクト領域とを含む第1の主画素と、
前記第1の画素と同じ第1の色の第2の画素と、前記第2の画素とは異なる第2の色の第3の画素とを含み、且つ前記第1の主画素と隣接する第2の主画素と、
を備え、
平面視において、前記第1の画素から前記コンタクト領域への方向と、前記第2の画素から前記第3の画素への方向とは同じであり、
前記第2の色は、前記第1の色よりも視認性が低い
ことを特徴とする表示装置。
【請求項9】
請求項8に記載の表示装置において、
前記第2の色は青色であり、
前記第1の主画素は、青色の画素を含まない
ことを特徴とする表示装置。
【請求項10】
表示領域と、
表示領域に設けられている複数の主画素と、
前記複数の主画素に亘って配置されている共通電極と、
前記共通電極よりも下の層に形成されている補助導電層と、を備え、
前記複数の主画素は第1の主画素と第2の主画素とを有し、
前記第1の主画素は、互いに異なる色で発光する、第1の色の副画素と第2の色の副画素と第3の色の副画素を有し、
前記第2の主画素は、前記共通電極と前記補助導電層とが接続するコンタクト領域と、前記第1の色の副画素と、前記第2の色の副画素と、を有し、
前記第1の主画素には、前記共通電極と前記補助導電層とが接続する領域が含まれず、
前記第2の主画素には、前記第3の色の副画素が含まれない
ことを特徴とする表示装置。
【請求項11】
請求項10に記載の表示装置において、
前記第3の色の副画素は、青の副画素であること
を特徴とする表示装置。
【請求項12】
請求項11に記載の表示装置において、
前記第1の主画素は、前記青の副画素、赤の副画素、緑の副画素、及び白の副画素を有している
ことを特徴とする表示装置。
【請求項13】
請求項10に記載の表示装置において、発光層をさらに有し、
前記発光層の下側に前記補助導電層を含む1又は複数の層が形成され、
前記発光層の上側に前記共通電極が形成され、
前記1又は複数の層は前記コンタクト領域にコンタクトホールを有し、
前記補助導電層は、前記コンタクト領域に開口を有し、
前記補助導電層の開口の縁は、その開口の幅が上方に向かって徐々に小さくなるように傾斜する逆テーパ部を構成し、
前記コンタクトホールの内側の側面は、前記補助導電層の開口の縁によって構成される前記逆テーパ部を含み、
前記逆テーパ部と前記共通電極とが電気的に接続している
ことを特徴とする表示装置。
【請求項14】
請求項13に記載の表示装置において、
前記コンタクト領域には、複数の前記コンタクトホールが形成されている、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項15】
請求項13に記載の表示装置において、
前記1又は複数の層として、前記補助導電層と、前記補助導電層の下側に形成されている絶縁層とが設けられ、
前記絶縁層には、上方に向かって開いている穴が形成され、
前記穴は、その内側に、互いに向き合い且つ上方に向かって間隔が大きくなる2つの側面を有し、
前記補助導電層は前記絶縁層の穴に対応する位置に開口を有し、
前記補助導電層の開口の縁は前記穴の前記2つの側面上に位置している
ことを特徴とする表示装置。
【請求項16】
請求項15に記載の表示装置において、
前記複数の副画素のそれぞれに形成されている画素電極をさらに有し、
前記画素電極は前記発光層と前記補助導電層との間に形成され且つ前記発光層に接しており、
前記補助導電層の前記開口の縁は前記画素電極と同じ層に形成されている導電部によって覆われている
ことを特徴とする表示装置。
【請求項17】
請求項16に記載の表示装置において、
前記補助導電層の前記開口の縁は、平面視において、第1の方向に延びており、
前記画素電極と同じ層に形成されている前記導電部は、平面視において、前記第1の方向に交差する第2の方向に延びている
ことを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL表示装置は各画素に配置されている画素電極と複数の画素に亘って配置されている共通電極とを有し、それらの電極の間に発光層を含む有機層が配置されている。一般的に、共通電極の材料は比較的大きな電気抵抗を有している。そのため、端子からの距離が大きくなるに従って共通電極の電位が低下する。このことは、表示領域における輝度の傾斜(漸減)につながる。
【0003】
下記特許文献1では、共通電極の電位の低下を抑えるため、隣接する2つの画素の間に補助電極が設けられている。また、下記特許文献2では、共通電極と共通電極よりも下の層に形成されている補助配線とが、隣接する2つの画素の間で接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−287354号公報
【特許文献2】特開2010−044894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
有機EL表示装置の高精細化にともなって、隣接する2つの画素の間隔が狭くなってきている。そのため、特許文献1及び2のように、共通電極の電位の低下を抑えるための構造を隣接する2つの画素の間に設けることが困難となってきている。
【0006】
本発明の目的は、共通電極の電位の均一化及び高精細化を可能とする表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る表示装置は、表示領域と、表示領域に設けられている複数の主画素と、前記複数の主画素に亘って配置されている共通電極と、前記共通電極よりも下の層に形成されている補助導電層と、を備え、前記複数の主画素の一部は、互いに異なる色で発光する、少なくとも3つの副画素を有し、前記複数の主画素の他の一部は、前記少なくとも3つの副画素のうちのいずれかの副画素に替えて、前記共通電極と前記補助導電層とを接続する構造が形成された領域であるコンタクト領域を有している。或いは、本発明に係る表示装置は、第1の画素と、前記第1の画素の外周を囲うバンク層と、前記バンク層を介して、前記第1の画素と隣接するコンタクト領域と、前記第1の画素に形成された画素電極と、前記第1の画素と前記コンタクト領域とに亘って配置された共通電極と、補助導電層と、前記コンタクト領域に形成され、前記共通電極と前記補助導電層とを電気的に接続するコンタクトホールとを有している。これによれば、共通電極の電位の均一化及び高精細化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の斜視図である。
【
図2】TFT基板における画素のレイアウトの例を示す平面図である。
【
図3】補助導電層、画素電極、導電部のレイアウトの一例を示す平面図である。
【
図4】サブ画素及びコンタクト領域の一例を示す断面図である。
【
図5】補助導電層、画素電極、導電部のレイアウトの一例を示す平面図である。
【
図6】コンタクトホールの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明を実施するための形態(以下、実施形態と呼ぶ)について説明する。なお、本明細書の開示は本発明の一例にすぎず、本発明の主旨を保った適宜変更であって当業者が容易に想到し得るものは本発明の範囲に含まれる。また、図で示す各部の幅、厚さ及び形状等は模式的に表されており、本発明の解釈を限定するものではない。また、実施形態では、表示装置を有機EL表示装置として説明するが、本発明は有機EL表示装置以外の表示装置に適用されてもよい。
【0010】
[1.有機EL表示装置の外観]
図1は、本発明の実施形態に係る有機EL表示装置1の斜視図である。有機EL表示装置1はTFT(Thin Film Transistor)基板2と、これに対向している対向基板50とを有している。
【0011】
[2.画素のレイアウト]
図2は、TFT基板2における主画素のレイアウトの一例を示す平面図である。
図2に示すように、TFT基板2は画像を表示する領域である表示領域を備え、表示領域には、複数の主画素P1及びP2が設けられている。各主画素P1及びP2は、表示領域の水平方向(
図2においてX方向)及び垂直方向(
図2においてY方向)に並んでいる。
【0012】
主画素P1は、互いに異なる色で発光する、少なくとも3つの副画素(以降、サブ画素S、或いは単に「画素」とも呼ぶ)を有している。本実施形態では、主画素P1は、赤色で発光する赤サブ画素S(R)、緑色で発光する緑サブ画素S(G)、青色で発光する青サブ画素S(B)、及び、白色で発光する白サブ画素S(W)を有している。なお、主画素P1は白サブ画素S(W)を含まない3つのサブ画素によって構成されてもよい。
【0013】
また、主画素P2は、少なくとも2つのサブ画素Sと、後述する共通電極33が後述する補助導電層12に電気的に接続される領域である、コンタクト領域Cを有している。より具体的には、主画素P2は、主画素P1が有する少なくとも3つのサブ画素Sのうちのいずれかに替えて、コンタクト領域Cを有している。
【0014】
本実施形態では、主画素P2は青サブ画素S(B)に替えて、コンタクト領域Cを有している。一般に、表示領域に表示されるうちの青サブ画素S(B)が幾つか欠落しても、青色の視認性が低いため、有機EL表示装置1の利用者は視認することができない。このため、このように青サブ画素S(B)に替えてコンタクト領域Cを設けることにより、コンタクト領域Cを設けるために画素を欠落させたとしても、表示される画質の低下が抑えられることとなる。なお、コンタクト領域Cを設けるために欠落させる画素は青サブ画素S(B)に限らず、赤サブ画素S(R)、緑サブ画素S(G)、白サブ画素S(W)のいずれであってもよい。
【0015】
[3.サブ画素及びコンタクト領域]
図3は、画素P2におけるサブ画素S及びコンタクト領域Cにおける補助導電層、画素電極、導電部のレイアウトの一例を示す平面図であり、
図2のIII線内の詳細を示す図である。また、
図4は、TFT基板2(具体的には、サブ画素S及びコンタクト領域C)の断面の一例を示す断面図であり、その切断面は
図3のIV−IV線で示されている。
【0016】
図3及び
図4に示すように、各サブ画素Sには、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(インジウム亜鉛複合酸化物)などの導電材料からなる画素電極31aが形成されている。また、各コンタクト領域Cには、導電素材からなる導電部31bが形成されている。本実施形態では、導電部31bは、画素電極31aと同一の層に、画素電極31aと同一の材料により形成されている。即ち、表示領域全体に形成された導電素材は、各サブ画素S及びコンタクト領域Cの間で互いに切り離されるように加工(例えば、エッチング処理)され、画素電極31a、導電部31bとなる。
図3に示すように、コンタクト領域Cの導電部31bは、サブ画素Sの画素電極31aに相当する位置に形成される。なお、画素電極31aはスパッタにより形成されることとしてよい。また、TFT基板2がトップエミッション方式で構成される場合、画素電極31a及び導電部31bには、Agなどの光を反射する材量が含まれることとしてよい。
【0017】
また、サブ画素S及びコンタクト領域Cの一部分を除く表示領域には、AlやMoなどの導電材料からなる補助導電層12が形成される。補助導電層12の下には、画素電極31aとの間に電気的な接続を遮断するための絶縁層13が形成される。このように補助電極層12と絶縁層13は、サブ画素Sとコンタクト領域Cとに亘って配置されている。なお、サブ画素Sにおいて補助導電層12及び絶縁層13が除かれる箇所(例えば、
図3の網掛けされた部分を除いた、矩形領域A1内)では、画素電極31aは、後述する回路部20の駆動配線21に接続されている。
【0018】
また、コンタクト領域Cの領域内には、後述するコンタクトホールA2が形成される。なお、
図3では1つのコンタクト領域C内に4つのコンタクトホールA2が形成される場合の例を示しているが、コンタクト領域C内に形成されるコンタクトホールA2の数は1つであってもよいし、4以外の複数であってもよい。
【0019】
また、
図4に示すように、TFT基板2は、基板10を有している。基板10は、例えば、ガラス基板や樹脂基板である。TFT基板2の表示領域におけるサブ画素Sには、画像表示を制御する回路部20が形成されている。回路部20は、TFT(薄膜トランジスタ)や容量を含み、各サブ画素Sに形成されている画素電極31aへの電流供給を制御する。より具体的には、回路部20に含まれる駆動TFTがON状態となることにより、駆動TFTに接続される駆動配線21及び画素電極31a、後述する有機層32、共通電極33に電流が流れて、サブ画素Sが発光する。なお、回路部20は、容量を増すための補助容量をさらに含んでもよい。
【0020】
また、サブ画素Sの回路部20の上側(即ち、画像領域が形成されるTFT基板2の表面から離れる方向)には、回路部20と補助導電層12との電気的な接続を遮断するための第2の絶縁層である平坦化層11が形成されている。この平坦化層11の上側には、補助導電層12と、補助導電層12と画素電極31aとの電気的な接続を遮断するための絶縁層13が形成されている。サブ画素Sでは、これら複数の層の上側に、画素電極31aが形成されている。画素電極31aは、例えば、表示領域の全域にスパッタリングにより形成される導電材料の膜である。ここで、平坦化層11には、駆動配線21の一部と接する箇所で、互いに向き合い且つ上方に向かって間隔が大きくなる2つの側面を有する穴(即ち、テーパ形状の穴)が形成されており、この穴に画素電極31aの一部が入り込んで、回路部20の駆動配線21に接触している。なお、平坦化層11に形成される穴の斜面は、湾曲していてもよい。
【0021】
また、サブ画素Sの画素電極31aの上側には、電荷輸送層や電荷注入層、発光層などを含んで形成される有機層32と、ITOやIZOなどの導電材料(TFT基板2がトップエミッション方式で構成される場合は透明の材料)からなる共通電極33が形成されている。有機層32は、例えば、表示領域の全域に複数の層が蒸着されることにより形成される。有機層32は、各サブ画素Sの色に応じた色の光が出るように構成されることとしてよく(塗り分け方式)、他にも例えば、全サブ画素Sが同じ色(例えば、白)で発光するように構成されてもよい(カラーフィルタ方式)。カラーフィルタ方式の場合、対向基板50にカラーフィルタが形成される。また、カラーフィルタ方式の場合、有機層32は全サブ画素Sに跨って配置される共通の積層構造を有してもよい。
【0022】
また、TFT基板2は、互いに隣接するサブ画素S及びコンタクト領域Cを区画するバンク層8を有する。即ち、バンク層8はサブ画素Sやコンタクト領域Cの外周を囲うように配置される。バンク層8は平坦化層11及び画素電極31a、導電部31bの上に形成される。ここで、バンク層8が形成される領域を除いた表示領域が、バンク開口A3(A3−1及びA3−2)となる。サブ画素Sでは、画素電極31aはバンク開口A3において露出し、有機層32はバンク開口A3の内側で画素電極31aに接している。画素電極31a及び有機層32、共通電極33に電流が流れると、サブ画素Sのバンク開口A3(A3−1)の内側から光が出る。
【0023】
また、共通電極33は、複数の主画素P1及びP2に亘って、且つコンタクトホールA2を覆って配置されている。共通電極33は、例えば、表示領域の全域にスパッタリングにより形成される導電材料の膜である。共通電極33は、サブ画素Sでは有機層32に接しているが、コンタクト領域CのコンタクトホールA2では画素電極31aと同一の層に形成される導電部31bに接触し、補助導電層12と電気的に接続されている。ここで、補助導電層12を構成する材料の抵抗値は、共通電極33を構成する材料の抵抗値よりも小さいものであることが好ましい。一例では、補助電極層12は、AlやMoなどの金属材料により形成される。
【0024】
このように、共通電極33と補助導電層12が電気的に接続されることにより、共通電極33の全体の電気抵抗が低減され、電位傾斜が抑えられる。また、サブ画素Sに替えてコンタクト領域Cを設けることにより、高精細化して画像領域における主画素P1の間隔が小さくなり、例えば隣接する主画素P1の間に共通電極33と補助導電層12との接続箇所が形成できなくなっても、共通電極33と補助導電層12との接続を確保することが可能である。なお、共通電極33には所定の電位(共通電位)が印加されてもよい。この場合、共通電極33と電気的に接続される補助電極層12にも、上記所定の電位が印加されることとなる。
【0025】
[4.コンタクトホール]
本実施形態に係るコンタクトホールA2について説明する。コンタクトホールA2は、コンタクト領域Cにおける平坦化層11のテーパ形状の穴(開口)から形成される。テーパ形状の穴(開口)は、斜面が湾曲していてもよい。また、
図4に示すように、補助導電層12には、平坦化層11の穴を避けるように開口が形成されている。補助導電層12の開口の縁は、平坦化層11の穴の2つの側面111上に位置している。即ち、コンタクトホールA2は、平坦化層11の穴と補助導電層12の開口とによって形成されているとも言うことができる。また、このように補助導電層12が配置されることで、コンタクトホールA2の内側の側面121(
図4に示す補助導電層12の端部側面)は、幅が上方に向かって徐々に小さくなるように傾斜する逆テーパの形状に形成される。
図4に示すように、導電部31bは、コンタクトホールA2の側面111及び側面121を覆って、コンタクトホールA2内に配置される。また、導電部31bは、側面121に倣って逆テーパに形成されている部分を備え、そこで共通電極33と電気的に接続されている。
【0026】
このように補助導電層12の厚みを利用することにより、逆テーパを容易に形成することができる。なお、逆テーパの大きさ及び角度は、補助導電層12の厚みや、平坦化層11の斜面の急峻度に応じて定まる。例えば、平坦化層11が急であれば逆テーパの角度も急になる。平坦化層11の斜面の急峻度は、平坦化層11の形成時の加熱温度やその時間、コンタクトホールA2の粗密度に応じて定まる。例えば、所定の面積を有するサブ画素S内のコンタクトホールA2の数が多い方が、コンタクトホールA2の粗密度も大きくなり、平坦化層11の斜面の角度は急になる。
【0027】
また、コンタクトホールA2における補助導電層12の開口の縁は、画素電極31aと同じ層に形成されている導電部31bによって覆われている。なお、コンタクトホールA2は、共通電極33と補助導電層12が電気的に接続されるものであればよく、理論的には導電部31bは無くてよい。しかし、例えば、スパッタリング処理により表示領域全体に導電材料の層(画素電極31aと導電部31bを構成する層)を形成し、エッチング処理によりこの導電材料の層を除去する場合では、エッチング液により、上記導電素材の層のみならず、その下に形成される補助導電層12までもが影響を受ける。このため、本実施形態では、補助導電層12をエッチング液から保護するため、導電材料の層、即ち、導電部31bを残している。
【0028】
また、コンタクトホールA2の逆テーパが形成される部分では、有機層32が破断している。このように有機層32が破断する箇所で、共通電極33が導電部31bに接触するため、共通電極33と補助導電層12を電気的に接続することが可能である。
【0029】
以上説明したように、本実施形態の主画素P2では、青サブ画素S(B)に替えてコンタクト領域Cが設けられている。これにより、TFT基板2の表示領域が高精細化しても、共通電極33の電位の均一に保つことが可能となる。
【0030】
また、コンタクト領域CのコンタクトホールA2に逆テーパが形成されることにより、共通電極33と補助導電層12を電気的に接続することが可能である。
【0031】
[5.変形例]
なお、本発明は以上説明した実施形態に限られず、種々の変更がなされてよい。以下、本発明を実施するための他の形態の例(変形例)について説明する。
【0032】
(1)
図5は、画素P2におけるサブ画素S及びコンタクト領域Cの補助電極層12、画素電極31a、導電部31bのレイアウトの変形例を示す平面図である。
図5の平面視において、補助導電層12の開口(即ち、コンタクトホールA4)の縁は、X軸の方向に延びており、画素電極31aと同じ層に形成されている導電部31bは、Y軸の方向に延びている。このようにコンタクトホールA4が形成される場合、コンタクトホールA4の縁と導電部31bが交差する部分で有機層32が破断し易くなる。このため、コンタクトホールA4と交差する部分に、共通電極33が接し易くなる。
【0033】
図6は、
図5のVI線内におけるコンタクトホールA4の詳細を示した斜視図である。
図6に示す導電部31bのうち、補助導電層12の縁に交差する部分の縁の付近(例えば、
図6における領域B)では、有機層32が破断し易いため、共通電極33が接し易くなる。
【0034】
(2)また、補助導電層12は、共通電極33と接続し共通電極33の電気抵抗の低下に寄与するものであるが、補助導電層12には、回路部20に含まれる駆動TFTの電圧を安定させる補助容量が形成されてもよい。この場合、補助導電層12は、サブ画素Sとコンタクト領域Cとの間で切り離されて形成されることとしてもよい。
【0035】
(3)また、コンタクトホールA2は、必ずしも逆テーパが形成されなくてよい。即ち、コンタクトホールA2では、共通電極33と導電部31bが接すればよく、例えば、有機層32がコンタクトホールA2を避けて形成されることとしてもよい。
【0036】
(4)また、実施形態では、コンタクト領域Cを設けるために青サブ画素S(B)を欠落させる場合について説明したが、欠落させるサブ画素Sの色は、青に限定されるものではない。尚、欠落させるサブ画素Sの色は、他のサブ画素Sの色よりも、視認性が低い色であることが望ましい。また、コンタクト領域Cを設けるために欠落させる画素Sは、所定の規則に従って選択されることとしてもよいし、ランダムに選択されることとしてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 有機EL表示装置、2 TFT基板、8 バンク層、A2 コンタクトホール、A3 バンク開口、A4 コンタクトホール、C コンタクト領域、P1 主画素、P2 主画素、S サブ画素、S(B) 青サブ画素、S(R) 赤サブ画素、S(W) 白サブ画素、S(G) 緑サブ画素、10 基板、11 平坦化層、12 補助導電層、13 絶縁層、20 回路部、21 駆動配線、31a 画素電極、31b 導電部、32 有機層、33 共通電極、50 対向基板、111 平坦化層の側面、121 コンタクトホールの側面。