(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
鱗片状コークスを2400℃〜3600℃で黒鉛化する工程及び加熱下において酸素と接触させる工程を含む請求項1〜3のいずれかに記載の負極活物質用人造黒鉛粉の製造方法。
加熱下において酸素と接触させる工程が、黒鉛化の工程が完了した後、独立した加熱処理時に酸素と接触させるものである請求項4に記載の負極活物質用人造黒鉛粉の製造方法。
黒鉛化前に石油系ピッチ、石炭系ピッチ及びフェノール樹脂の中から選ばれる1種類以上の炭素材料との乾式混合を行う請求項4に記載の負極活物質用人造黒鉛粉の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(1)黒鉛粉
二次電池の負極は、単位体積あたりの容量が高いことが要求されている。負極の容量向上のための
方法の1つには、
黒鉛の質量あたりの容量を向上させることがある。これは、黒鉛の質量あたりの容量
が黒鉛の結晶性が高いほど増加する傾向にある
からである。
負極の体積当たりの容量の向上のためのもう一つの方法は、電極体積あたりの活物質量を増加させること、すなわち電極密度の向上がある。通常、電池の電極は活物質を集電板上に塗工乾燥した後、プレス(圧縮)を行なうことにより製造される。プレスは体積あたりの活物質の充填性を向上させる上に、活物質が柔らかくプレスに伴ってある程度変形すると、電極密度を極めて大きくすることが可能である。黒鉛の結晶性が高く、結晶のC軸方向の厚み(Lc)が大きいほど電極密度が向上する傾向にある。しかし、電池作製時の電極密度が高くても、充放電を繰り返すうちに電極が膨張してしまうために結果的に電池が小型化出来ない場合がある。したがって、負極の活物質には電極膨張率が低いことが求められる。
【0015】
本発明の好ましい実施態様における黒鉛粉は、鱗片状の黒鉛粒子からなる。
本発明において鱗片状の黒鉛粒子とは、sysmex社製FPIA−3000を用いてLPFモードで10000個以上の粒子に対して測定された粒子のアスペクト比の中央値が1.4以上である黒鉛粒子のことを言う。ここで言う粒子のアスペクト比は、粒子投影像の内部に最長の線分をとったものを長軸とし、粒子投影像内部にあり長軸と垂直な線分のうち最長のものを最大長垂直軸としたときに、アスペクト比=長軸長/最大長垂直軸長である。一方、アスペクト比の中央値が1.4未満である黒鉛粒子を塊状の粒子と呼ぶ。
【0016】
本発明の好ましい実施態様における黒鉛粉は、X線回折法による(002)面の平均面間隔
d002が0.340nm以下であり、結晶のC軸方向の厚み
Lcが50nm以上1000nm以下である。この範囲とすることにより、黒鉛粉を活物質とする電極の質量あたりの放電容量が向上し、プレスによる電極密度が向上する。d002が0.337nmを超えると、あるいはLcが50nm未満だと、体積当たりの容量が減少する傾向にある。さらに好ましい実施態様においては
d002が0.338nm以下、
Lcが80nm以上1000nm以下である。最も好ましい実施態様においては
d002が0.336nm以下、
Lcが90nm以上1000nm以下である。
d002およびLcは、既知の方法により粉末X線回折(XRD)法を用いて測定することができる(野田稲吉、稲垣道夫、日本学術振興会、第117委員会資料、117−71−A−1(1963)、稲垣道夫他、日本学術振興会、第117委員会試料、117−121−C−5(1972)、稲垣道夫、「炭素」、1963、No.36、25−34頁参照)。
【0017】
本発明の好ましい実施態様における黒鉛粉のメジアン径(D50)は、1μm以上、50μm以下である。D50が1μm未満の黒鉛粉を製造するには、粉砕時に特殊な機器により粉砕することが必要であり、エネルギーもより多く必要となる。D50を50μm以下とすることにより、電極とした場合のリチウム拡散が素早く行われ、充放電速度が高くなる。より好ましいD50は5μm以上35μm以下である。また、D50を10μm以上とすることにより、目的外反応が起きにくくなるためさらに好ましい。自動車等駆動電源として使う際には大電流発生が必要であるとの観点からは、D50は25μm以下であることがさらに好ましい。
【0018】
本発明の好ましい実施態様における黒鉛粉は、黒鉛化後に粉砕を行わない。そのため菱面体ピーク割合は5%以下、さらに好ましくは1%以下である。
このような範囲とすることで、リチウムとの層間化合物の形成がスムーズになり、これを負極材料としてリチウムイオン二次電池に用いた場合、リチウム吸蔵・放出反応が阻害されづらく、急速充放電特性が向上する。
なお、黒鉛粉中の菱面体晶構造のピーク割合(x)は、六方晶構造(100)面の実測ピーク強度(P1)、菱面体晶構造の(101)面の実測ピーク強度(P2)から、下記式によって求める。
x=P2/(P1+P2)
【0019】
本発明の好ましい実施態様における黒鉛粉は、BET比表面積が0.4m
2/g以上5m
2/g以下であり、0.5m
2/g以上3.5m
2/g以下がより好ましい。さらに好ましくは1m
2/g以上3.0m
2/g以下である。BET比表面積がこの範囲にあることにより、結着剤を過剰に使用することなく、かつ電解液と接触する面積を大きく確保し、リチウムがスムーズに挿入脱離され、電池の反応抵抗を小さくするとともに急速充放電特性を向上することができる。BET比表面積については、単位質量あたりのガスの吸着脱離量の計測という一般的な手法によって測定する。測定装置としては、例えばNOVA−1200を用い、窒素吸着により測定することができる。
【0020】
本発明の好ましい実施態様における黒鉛粉は、適度な酸化処理を経ることにより、細孔の生成及び拡大が起こるため、液体窒素冷却下における窒素ガス吸着法による全細孔容積が8.0μL/g〜20.0μL/gとなる。このとき、電解液が浸透しやすくなるとともに急速充放電特性が向上する。全細孔容積が8.0μL/g以上であると、黒鉛粉から得られる負極が、副反応が少なく初回充放電効率の高い負極となる。X線回折法で測定されるLcが100nm以上の黒鉛粉において、前記全細孔容積が20.0μL/g以下であると、充放電時の黒鉛層の異方的な膨張収縮に起因する構造の不可逆変化が起こりにくく、サイクル特性がさらに向上し、充放電中の電極膨張も抑制される。さらに好ましい実施態様においては、前記全細孔容積が8.5μL/g〜17.0μL/gである。最も好ましい実施態様においては、前記全細孔容積が8.7μL/g〜15.0μL/gである。
【0021】
本発明の好ましい実施態様における黒鉛粉を活物質とする電極は、適度な圧力で圧縮することで、黒鉛粒子間の接触をさらに安定化させ、初回充放電効率が向上する。
例えば、前記黒鉛粉を活物質とする電極材料を0.5t/cm
2の圧力で圧縮してなる電極(作用極)とリチウム金属対極とセパレータと電解液から作製したコイン電池の初回充放電効率をe(0.5)、前記電極材料を3t/cm
2の圧力で圧縮してなる電極(作用極)とリチウム金属対極とセパレータと電解液から作製したコイン電池の初回充放電効率をe(3)
としたとき、
黒鉛粉は、以下の式(1)及び(2):
e(3)(%)−e(0.5)(%)≧1 (1)
e(3)(%)>85 (2)
の条件を満足するという特徴を有する。
さらに好ましい黒鉛粉は、e(3)(%)−e(0.5)(%)>2、かつe(3)(%)>86である。
最も好ましい黒鉛粉は、e(3)(%)−e(0.5)(%)>3、かつe(3)(%)>87である。
また、前記圧力が3t/cm
2のときの前記コイン電池の初回サイクルの前記活物質の質量あたりの放電容量は、好ましくは335mAh/g以上、より好ましくは340mAh/g以上、さらに好ましくは345mAh/g以上である。
【0022】
本発明の好ましい実施態様における黒鉛粉は、電極作製前の黒鉛粉を粉体の状態で圧縮することによっても、黒鉛表面形状が黒鉛粒子の電極内での接触構造の安定化に適した形状となり、該黒鉛粉を活物質とした電極の初回充放電効率が向上する。この場合の圧縮としては、容器に充填した黒鉛粉を1.5t/cm
2〜5t/cm
2で30秒間圧縮することが好ましい。さらに好ましくは2t/cm
2〜5t/cm
2で30秒間圧縮することである。圧縮の圧力が強すぎると粒子が崩壊し、初回充放電効率が低下してしまう。
【0023】
本発明の好ましい実施様態における黒鉛粉は、実施例に記載の方法で該黒鉛粉を活物質とした電極を3t/cm
2で圧縮した時、前記作用極の電極密度は1.3〜2.1g/cm
3となる。さらに好ましい電極密度は1.5〜2.1g/cm
3であり、特に好ましい電極密度は1.7〜2.1g/cm
3である。
【0024】
本発明の黒鉛粉は、黒鉛粉の粒子表面上に炭素被覆層を有することができる。炭素被覆層を有することにより、電極とし
た場合のサイクル特性、充電状態保存特性、急速充放電特性を改善し、充放電中の電極膨張を抑制することができる。
【0025】
好ましい実施態様における本発明の黒鉛粉は、負極活物質として黒鉛粉を用いてリチウムイオン
二次電池を作製したとき電池内部での副反応が抑制され、充放電サイクルにおける10サイクル後の負極活物質層の厚みをT10、500サイクル後の負極活物質層の厚みをT500としたとき、次式で示される電極膨張率が100〜130%となる。
電極膨張率(%)={(T500/T10)}×100
さらに好ましい実施態様においては電極膨張率は100%〜125%であり、最も好ましい場合においては100%〜122%である。
【0026】
(2)黒鉛粉の製造方法
黒鉛粉の製造方法は限定されないが、例えば下記のような方法が好適である。
黒鉛粉の原料にはか焼または生コークスを用いることが出来る。コークスの原料としては、例えば、石油ピッチ、石炭ピッチ、石炭ピッチコークス、石油コークスおよびこれらの混合物を用いることができる。これらの中でも、特定の条件下でディレイドコーキングを行ったコークスを、不活性雰囲気で加熱したものが好ましい。
ディレイドコーカーに通す原料としては、原油精製時の重質溜分に対して、流動床接触分解を行った後に触媒を除去したデカントオイルや、瀝青炭等から抽出されたコールタールを200℃以上の温度で蒸留し、得られたタールを100℃以上に昇温することによって十分に流動性を持たせたものが挙げられる。ディレイドコーキングプロセス中、少なくともドラム内入り口においては、これらの液体が450℃以上、さらには510℃以上に昇温されていることが好ましく、それによりコークスのか焼時に残炭率が高くなる。また、ドラム内での圧力は好ましくは常圧以上、より好ましくは300kPa以上、さらに好ましくは400kPa以上に維持する。これにより負極としての容量がより高まる。以上の通り、通常よりも過酷な条件においてコーキングを行うことにより、液体をより反応させ、より重合度の高いコークスを得ることができる。
【0027】
得られたコークスをドラム内からジェット水流により切り出し、得られた塊を5cm程度まで金槌等で粗粉砕する。粗粉砕には、二軸ロールクラッシャーやジョークラッシャーを用いることもできるが、好ましくは1mm篩上が90質量%以上となるように粉砕する。粒径1mm以下の微粉が大量に発生する程度にまで過粉砕を行なうと、以降の加熱の工程等において、乾燥後舞い上がったり、焼損が増えてしまう等の不都合が生じるおそれがある。
【0028】
次に粗粉砕されたコークスをか焼することも可能である。か焼とは、水分及び有機性の揮発分を除去するために、加熱を行うこという。
か焼を行ったコークスに対して黒鉛化を行うと、結晶がより成長するために好ましい。
【0029】
か焼は、電気による加熱や、LPG、LNG、灯油、重油等の火炎加熱により行なうことができる。水分および有機揮発分の除去には、2000℃以下の熱源で十分であるため、大量の生産を行う際にはより安価な熱源である火炎加熱が好ましい。特に大規模に処理を行う際には、ロータリーキルン内で燃料および未加熱コークスが持つ有機揮発分を燃焼させながら、内炎式または内熱式でコークスを加熱することにより、エネルギーコストを削減することが可能である。
【0030】
本発明の好ましい実施態様における原料コークスは、偏光顕微鏡観察において光学組織が2.0<AR(60)を満たすことが好ましく、2.2≦AR(60)を満たすことがさらに好ましく、2.25≦AR(60)を満たすことが最も好ましい。原料が生コークスである場合は、1100℃で熱処理を行った後に偏光顕微鏡観察を行う。このようなコークスを原料とすることで、黒鉛化によりLcが高くなり、電極の密度を高めることが出来る。
【0031】
ここで、AR(60)とは1100℃で熱処理を行った原料生コークスまたは原料か焼コークスの断面を偏光顕微鏡で観察し個々の光学組織を抽出し、アスペクト比が小さい光学組織から順に面積を積算した時、積算値が観察された全光学組織面積の60%となるときのアスペクト比である。偏光顕微鏡測定は、か焼コークスの数mm大以上の塊状物を樹脂に埋設し、鏡面加工等してその断面を観察する。また、“最新の炭素材料実験技術(分析・解析偏)炭素材料学会偏(2001年),出版:サイペック株式会社,1〜8頁”等に記載されている方法により実施することができる。このような条件を満たすコークスを原料として人造黒鉛を製造した場合、得られる人造黒鉛粒子は
図1に示すような鱗片状となる傾向にある。ここで、樹脂埋没、鏡面加工、偏光顕微鏡観察及び光学組織の抽出は次のように行う。
【0032】
[樹脂埋没]
内容積30cm
3のプラスチック製サンプル容器の底に両面テープを貼り、その上に数mm大以上のコークス粒子を乗せる。冷間埋込樹脂(商品名:冷間埋込樹脂#105、製造会社:ジャパンコンポジット(株)、販売会社:丸本ストルアス(株))に硬化剤(商品名:硬化剤(M剤)、製造会社:日本油脂(株)、販売会社:丸本ストルアス(株))を加え、30秒練る。得られた混合物(5ml程度)を前記サンプル容器に高さ約1cmになるまでゆっくりと流し入れ、1日静置して凝固させる。凝固の後、凝固した樹脂を容器から取り出し、両面テープを剥がす。
【0033】
[鏡面加工]
研磨板回転式の研磨機を用いて、測定する面を研磨する。研磨は、回転面に研磨面を押し付けるように行う。研磨板の回転は1000rpmで行う。研磨板の番手は、#500、#1000、#2000の順に行い、最後はアルミナ(商品名:バイカロックス タイプ0.3CR、粒子径0.3μm、製造会社:バイコウスキー、販売会社:バイコウスキージャパン)を用いて鏡面研磨する。研磨した樹脂をプレパラート上に粘土で固定し、偏光顕微鏡(OLYMPAS社製、BX51)を用いて観察を行う。
【0034】
[偏光顕微鏡像解析方法]
観察は200倍で行う。偏光顕微鏡で観察した画像は、OLYMPUS製CAMEDIA C−5050 ZOOMデジタルカメラをアタッチメントで偏光顕微鏡に接続し、撮影する。シャッタータイムは1.6秒で行う。撮影データのうち、1200ピクセル×1600ピクセルの画像を解析対象とする。これは480μm×540μmの視野を検討していることに相当する。
【0035】
[光学組織の抽出]
光学組織の抽出はImageJ(アメリカ国立衛生研究所製)を用いて、青色部、黄色部、赤色部、黒色部を判定する。各色のImageJ使用時に各色を定義したパラメーターは以下の通りである。
【表1】
【0036】
検出された組織に対する統計処理は外部マクロを使って行う。黒色部、すなわち、光学組織ではなく樹脂部分に相当するものは、統計対象から除外し、青色、黄色、赤色のそれぞれの光学組織について、各組織のアスペクト比を算出する。ここで言う個々の光学組織のアスペクト比は、偏光顕微鏡像から抽出された光学組織形状の内部に最長の線分をとったものを長軸とし、長軸を平行移動した線分を2辺に持ち光学組織形状に外接する長方形の長辺と短辺から、(アスペクト比)=(長辺の長さ)/(短辺の長さ)とする。
【0037】
か焼コークスの粉砕は特に限定されないが、たとえば次のように行うことが可能である。
粉砕する手法に特に制限はなく、公知のジェットミル、ハンマーミル、ローラーミル、ピンミル、振動ミル等を用いて行なうことができる。
粉砕は、レーザー回析法による体積基準のメジアン径(D50)が1μm以上50μm以下となるように行なうことが好ましい。D50が1μm未満になるまで粉砕するには特殊な機器を用いて大きなエネルギーが必要となる。D50を50μm以下とすることにより、電極とした場合のリチウム拡散が素早く行われ、充放電速度が高くなる。より好ましいD50は5μm以上35μm以下である。また、D50を10μm以上とすることにより、目的外反応が起きにくくなるためさらに好ましい。自動車等駆動電源として使う際には大電流発生が必要であるとの観点からは、D50は25μm以下であることがさらに好ましい。
【0038】
粉砕後、黒鉛化を行う。
黒鉛粉の粒子表面上に炭素被覆層を形成する場合は、黒鉛化の前に、例えば、粉砕したか焼コークスに、石油系ピッチ、石炭系ピッチ及びフェノール樹脂の中から選ばれる1種類以上の被覆材を混合する。
【0039】
前記被覆材に用いられる石油系ピッチ及び石炭系ピッチは、βレジン分を20質量%以上含み、かつキノリン不溶分が10質量%以下であることが好ましい。このようなピッチを用いることで、加熱時に黒鉛表面にピッチが均一に広がり、効果的な炭素被覆層が形成され、放電容量や初回充放電効率、充電状態保存特性、サイクル特性の改善と電極膨張抑制に寄与する。さらに好ましい実施様態においては、βレジン分を25質量%以上含み、かつキノリン不溶分が7質量%以下である。最も好ましい実施様態においては、βレジン分を30質量%以上含み、かつキノリン不溶分が4質量%以下である。
【0040】
前記被覆材に用いられるフェノール樹脂は、熱可塑性であることが好ましい。
このような被覆材を用いることで、加熱時に黒鉛表面に樹脂が均一に広がり、効果的な炭素被覆層が形成され、放電容量や初回充放電効率、充電状態保存特性、サイクル特性、急速充放電特性の改善と電極膨張の抑制に寄与する。フェノール樹脂に加えて石油系ピッチ及び石炭系ピッチを混合することは、フェノール樹脂が黒鉛表面に均一に広がりやすくなるためさらに好ましい。
【0041】
か焼コークスを粉砕した粒子と、前記被覆材を粉砕した粒子との混合は、湿式でも乾式でも行なうことができる。
湿式により行なう場合は、例えば、前記被覆材を溶媒に溶解または分散させ、か焼コークスをさらに添加した後、溶剤を乾燥除去する。ただし、湿式では有機溶剤を用いるが、有機溶剤は取扱いに注意が必要であり、またその蒸気発生を防ぐことや回収することが必要となる。そのため前記混合は溶剤を使用しない乾式で行なうことが好ましい。
【0042】
乾式で行なう場合は、か焼コークスを粉砕した粒子と前記被覆材を粉砕した粒子とを確実に混合するために、か焼コークスを粉砕した粒子がおおむね粉砕されない程度の力で混合することが好ましい。混合には、自転公転混合機、プラネタリーミキサー、ヘンシェルミキサー等の粉砕能力の小さい混合機のほか、ハンマーミル、インペラーミル等のライナー部分や羽根、回転数を調整し、粉砕性能を下げたものが好ましく使用できる。これらの中でも、ハンマーミルおよびインペラーミルは、混合力が強く、連続的に短時間で乾式コーティング処理を行うのに適している。乾式混合では前記被覆材による平滑な膜が形成されない場合があるが、黒鉛化のための加熱により被覆材が軟化し、か焼コークスを粉砕した粒子の表面で広がり、平滑な膜となる。
【0043】
石油系ピッチまたは石炭系ピッチを粉砕した粒子は、レーザー回析法による体積基準のメジアン径(D50)がか焼コークスを粉砕した粒子のメジアン径(D50)よりも小さく、かつ0.01μm以上25μm以下であることが好ましい。被覆材の粒径を過剰に小さくすると粒子の凝集の原因となるほか粉塵爆発の原因となることがある。より好ましいD50は0.5μm以上であり、さらに好ましくは1.0μm以上である。形成される膜をより均一とし、より緻密な膜を形成するためには、D50が10μm以下であることがより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。
【0044】
また、か焼コークスを粉砕した粒子のメジアン径(D50)をDc、石油系ピッチまたはコールタールピッチを粉砕した粒子のメジアン径(D50)をDpとしたとき、Dc/Dpが1.5以上200未満であると、形成される膜がより均一となるため好ましい。Dc/Dpを200未満とすることにより、被覆材粒子をか焼コークスに十分な量付着させることができる。Dc/Dpはより好ましくは50以下であり、さらに好ましくは15以下である。また、か焼コークスを粉砕した粒子に付着する被覆粒子の量的バランスを考慮すれば、Dc/Dpはより好ましくは3以上であり、さらに好ましくは8以上である。
【0045】
前記被覆材を粉砕した粒子の配合量は、か焼コークスを粉砕した粒子と前記被覆材を粉砕した粒子との合計質量中、0.5質量%以上15質量%以下とすることが電極の体積あたり容量の観点から好ましい。1質量%以上5質量%以下が高速充放電特性と電力保存特性の観点からより好ましく、1.2質量%以上2.5質量%以下が体積当たり容量の観点からさらに好ましい。
【0046】
粉砕したか焼コークスと被覆材とを同時に黒鉛化することによって、コーティング後に別途炭化工程を有する工程と比較し、工程を簡易化できる。
【0047】
被覆材を混合した後に、500℃から1500℃で焼成を行い、被覆材を炭化させることが出来る。この時、黒鉛化処理時の質量減少が低減するため、黒鉛化処理装置で一度の処理量を高めることが出来る。
【0048】
黒鉛化は、好ましくは2400℃以上、より好ましくは2800℃以上、さらに好ましくは3050℃以上、最も好ましくは3150℃以上の温度で行なう。より高い温度で処理すると、より黒鉛結晶が成長し、リチウムイオンをより高容量で蓄えることが可能な電極を得ることができる。一方、温度が高すぎると黒鉛粉が昇華するのを防ぐことが困難であり、必要とされるエネルギーも余りにも大きくなるため、黒鉛化温度は3600℃以下であることが好ましい。
これらの温度を達成するためには電気エネルギーを用いることが好ましい。電気エネルギーは他の熱源と比べると高価であり、特に2000℃以上を達成するためには、極めて大きな電力を消費する。そのため、黒鉛化以外に電気エネルギーは消費されないほうが好ましく、黒鉛化に先んじて炭素原料はか焼され、有機揮発分が除去された状態、すなわち固定炭素分が95%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上となっていることが好ましい。
【0049】
従来、黒鉛化処理は酸素を含まない雰囲気、例えば、窒素封入環境やアルゴン封入環境で行われているが、本発明において黒鉛化処理は酸素を一定濃度含む環境下で行うか黒鉛化工程の後に酸化処理がなされることが好ましい。通常、黒鉛は表面にダングリングボンド等の高活性部位を持ち、この高活性部位が電池内部における副反応の原因となるため、初回充放電効率、サイクル特性、電力保存特性低下や充放電中の電極膨張の原因となっていた。本発明における黒鉛粉はこの高活性部位が酸化反応によって除去されるため、黒鉛粉の粒子表面上の高活性部位が少なく、電池内での副反応が抑えられるため、初回充放電効率、サイクル特性、電力保存特性が改善され、充放電時の電極膨張が抑制された黒鉛粉が得られる。
【0050】
本発明の黒鉛粉の製造方法においては、加熱下において酸素と接触させる工程を含み、その工程としては、具体的には(a)黒鉛化のための加熱時に酸素と接触させる、(b)黒鉛化のための加熱後の冷却する過程で酸素と接触させる、または(c)黒鉛化の工程が完了した後、独立した加熱処理時に酸素と接触させることにより行うことができる。
特に、黒鉛化炉の空気を窒素やアルゴンで置換しないことによって、黒鉛化処理と酸化処理を同一設備で行うことが好ましい。このような方法で黒鉛化処理および酸化処理を行うことで、黒鉛粉の表面が酸化されることにより表面のダングリングボンド等の高活性部位が除去される等して電池特性が改善する。また、工程および設備を簡略化することが出来るため経済性・安全性・量産性が向上する。
【0051】
黒鉛化処理は、酸素を一定濃度含む環境下で行えるのであれば制限されないが、例えば、炭素粒子または黒鉛粒子を詰め粉としたアチソン炉で、黒鉛るつぼに黒鉛化する材料をつめ、蓋をせずに上部を酸素含有気体と接触させた状態、黒鉛るつぼに直径1mm〜50mmの複数の酸素流入孔を設けた状態または黒鉛るつぼ外部に接続された直径1mm〜50mmの複数の筒状の酸素流入筒を設けた状態で通電し発熱させる方法により行うことができる。この際、黒鉛化する材料に含まれている物質が爆発的に反応をするのを防ぐために、あるいは爆発的に反応した前記材料が外部に飛散するのを防ぐために、るつぼ上部に炭化あるいは黒鉛化したフェルトや多孔体の板をかぶせ、軽度に酸素含有気体を遮断しても良い。アルゴンや窒素を少量流入させてもよいが、完全にアルゴンや窒素に置換せず、黒鉛化の工程において、黒鉛化する材料の表面近傍(5cm以内)の酸素濃度を1%以上、好ましくは1〜20%に調整することが好ましい。酸素含有気体としては、大気が好ましいが、酸素濃度を上記濃度内で調整した低酸素濃度気体も使用可能である。アルゴンや窒素を大量に用いることは、ガスの濃縮にエネルギーを必要とし、またガスを流通させれば、その分黒鉛化に必要な熱が系外に排出され、より多くのエネルギーを必要とする。そのため、エネルギーの有効利用及び経済性の観点からも、大気開放環境下で黒鉛化を行うことが好ましい。
【0052】
表面酸化が黒鉛化後に起これば、黒鉛粒子表面上のダングリングボンド等の高活性部位が除去され、その後は炭素原子の結合の組み換えは起こらない。したがって、得られる黒鉛粉は表面に高活性部位が少ないため、電池内部での副反応が少なく初回充放電効率やサイクル特性に優れ、電極膨張率が小さい電極材料となる。そのため、表面酸化は黒鉛化工程の冷却過程や、黒鉛化工程の後で起こることが最も好ましい。特に大気解放環境下で黒鉛化を行った場合には、黒鉛化炉の冷却時に空気が流入して、炉内の酸素濃度が1〜20%となるように炉を設計することが好ましい。
上記(c)のように、黒鉛化を行った後に別途酸化処理を行う場合は、酸素存在下で500℃以上の温度で温度に応じて適切な酸素濃度、加熱時間で処理を行う。
【0053】
但し、このようにして黒鉛化を行う場合、酸素と接する部分は、黒鉛化する材料に由来する不純物成分が析出しやすく、これを除去することが好ましい。除去方法としては、酸素含有気体と接する部分から所定深さまでの範囲の前記材料を除去する方法が挙げられる。すなわち、前記所定深さよりも深い部分を黒鉛材料として取得する。所定深さとしては、表面から2cm、より好ましくは3cm、さらに好ましくは5cmである。
深い場所に存在する部分は酸素と接触する機会が少なくなる。酸素含有気体と接する部分から2m以内の材料を黒鉛材料として取得することが好ましい。より好ましくは1m以内であり、さらに好ましくは50cm以内である。
【0054】
本発明の好ましい実施態様においては、酸化反応により粒子表面上の高活性部位を不活性化しているため、黒鉛化後は粉砕処理を行なわない。ただし、黒鉛化後に粒子が粉砕しない程度に解砕することはできる。
本発明の好ましい実施態様における適度な酸化処理を経て、粒子の表面形状および表面活性を改質することによって製造された黒鉛粉を活物質として電極を作製した際、該電極を圧縮すると、該電極内部で隣接する黒鉛粒子間の接触が安定なものとなり、該電極を電池の繰り返しの充放電に適したものとすることが可能である。
【0055】
(3)電池電極用黒鉛材料
本発明の好ましい実施態様における電池電極用黒鉛材料は、上記黒鉛粉を含んでなる。上記黒鉛粉を電池電極用黒鉛材料として用いると、高容量、高クーロン効率、高サイクル特性を維持したまま、充放電における電極膨張が抑制された高エネルギー密度の電池電極を得ることができる。
【0056】
電池電極用黒鉛材料としては、例えば、リチウムイオン二次電池の負極活物質及び負極導電付与材として用いることができる。
【0057】
本発明の好ましい実施態様における電池電極用黒鉛材料は、上記黒鉛粉のみを使用することができるが、黒鉛粉100質量部に対して、d002が0.3370nm以下の球状の天然黒鉛または人造黒鉛を0.01〜200質量部、好ましくは0.01〜100質量部配合したもの、あるいはd002が0.3370nm以下で、アスペクト比が2〜100の天然黒鉛または人造黒鉛(例えば、鱗片状黒鉛)を0.01〜120質量部、好ましくは0.01〜100質量部配合したものを使用することもできる。他の黒鉛材料を混合して用いることにより、本発明の好ましい実施態様における黒鉛粉の優れた特性を維持した状態で、他の黒鉛材料が有する優れた特性を加味した黒鉛材料とすることが可能である。これらの混合は、要求される電池特性に応じて適宜、混合材料を選択し、混合量を決定することができる。
【0058】
また、電池電極用黒鉛材料には炭素繊維を配合することもできる。配合量は、前記黒鉛粉100質量部に対して、0.01〜20質量部であり、好ましくは0.5〜5質量部である。
【0059】
炭素繊維としては、例えば、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維等の有機系カーボンファイバー、気相法炭素繊維等が挙げられる。これらのうち、特に、結晶性が高く、熱伝導性の高い、気相法炭素繊維が好ましい。炭素繊維を黒鉛粉の表面に接着させる場合には、特に気相法炭素繊維が好ましい。
【0060】
気相法炭素繊維は、例えば、有機化合物を原料とし、触媒としての有機遷移金属化合物をキャリアーガスとともに高温の反応炉に導入し生成し、続いて熱処理して製造される(特開昭60−54998号公報、特許第2778434号公報等参照)。その繊維径は2〜1000nm、好ましくは10〜500
nmであり、アスペクト比は好ましくは10〜15000である。
【0061】
炭素繊維の原料となる有機化合物としては、トルエン、ベンゼン、ナフタレン、エチレン、アセチレン、エタン、天然ガス、一酸化炭素等のガス及びそれらの混合物が挙げられる。中でもトルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素が好ましい。
【0062】
有機遷移金属化合物は、触媒となる遷移金属を含むものである。遷移金属としては、周期律表第IVa、Va、VIa、VIIa、VIII族の金属が挙げられる。有機遷移金属化合物としてはフェロセン、ニッケロセン等の化合物が好ましい。
【0063】
炭素繊維は、気相法等で得られた長繊維を粉砕または解砕したものであってもよい。また、炭素繊維はフロック
状に凝集したものであってもよい。
【0064】
炭素繊維は、その表面に有機化合物等に由来する熱分解物が付着していないもの、または炭素構造の結晶性が高いものが好ましい。
【0065】
熱分解物が付着していない炭素繊維または炭素構造の結晶性が高い炭素繊維は、例えば、不活性ガス雰囲気下で、炭素繊維、好ましくは気相法炭素繊維を焼成(熱処理)することによって得られる。具体的には、熱分解物が付着していない炭素繊維は、約800〜1500℃でアルゴン等の不活性ガス中で熱処理することによって得られる。また、炭素構造の結晶性が高い炭素繊維は、好ましくは2000℃以上、より好ましくは2000〜3000℃でアルゴン等の不活性ガス中で熱処理することによって得られる。
【0066】
炭素繊維は分岐状繊維が含まれているものが好ましい。また繊維全体が互いに連通した中空構造を有している箇所があってもよい。そのため繊維の円筒部分を構成している炭素層が連続している。中空構造とは炭素層が円筒状に巻いている構造であって、完全な円筒でないもの、部分的な切断箇所を有するもの、積層した2層の炭素層が1層に結合したもの等を含む。また、円筒の断面は完全な円に限らず楕円や多角化のものを含む。
【0067】
また炭素繊維は、X線回折法による(002)面の平均面間隔d002が、好ましくは0.344nm以下、より好ましくは0.339nm以下、特に好ましくは0.338nm以下である。また、結晶のC軸方向の厚さ(Lc)が40nm以下のものが好ましい。
【0068】
(4)電極用ペースト
本発明の好ましい実施態様における電極用ペーストは、前記電池電極用黒鉛材料とバインダーとを含んでなる。この電極用ペーストは、前記電池電極用黒鉛材料とバインダーとを混練することによって得られる。混錬には、リボンミキサー、スクリュー型ニーダー、スパルタンリューザー、レディゲミキサー、プラネタリーミキサー、万能ミキサー等公知の装置が使用できる。電極用ペーストは、シート状、ペレット状等の形状に成形することができる。
【0069】
電極用ペーストに用いるバインダーとしては、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマー、SBR(スチレンブタジエンラバー)等のゴム系等公知のものが挙げられる。
バインダーの使用量は、電池電極用黒鉛材料100質量部に対して1〜30質量部が適当であるが、特に3〜20質量部程度が好ましい。
混練する際に溶媒を用いることができる。溶媒としては、各々のバインダーに適した公知のもの、例えばフッ素系ポリマーの場合はトルエン、N−メチルピロリドン等;SBRの場合は水等;その他にジメチルホルムアミド、イソプロパノール等が挙げられる。溶媒として水を使用するバインダーの場合は、増粘剤を併用することが好ましい。溶媒の量は集電体に塗布しやすい粘度となるように調整される。
【0070】
(5)電極
本発明の好ましい実施態様における電極は前記電極用ペーストの成形体からなるものである。電極は例えば前記電極用ペーストを集電体上に塗布し、乾燥し、加圧成形することによって得られる。
集電体としては、例えばアルミニウム、ニッケル、銅、ステンレス等の箔、メッシュ等が挙げられる。ペーストの塗布厚は、通常50〜200μmである。塗布厚が大きくなりすぎると、規格化された電池容器に負極を収容できなくなることがある。ペーストの塗布方法は特に制限されず、例えばドクターブレードやバーコーター等で塗布後、ロールプレス等で成形する方法等が挙げられる。
【0071】
加圧成形法としては、ロール加圧、プレス加圧等の成形法を挙げることができる。加圧成形するときの圧力は、一般には2〜3t/cm
2程度である。より強く圧縮することにより電極の電極密度が高くなり体積あたりの電池容量も大きくなるが、強く圧縮しすぎるとサイクル特性が大きく低下する。
本発明の好ましい実施態様における黒鉛粉は、ペーストを用いた加圧成形により電極を得る場合、その圧縮を通常よりも強くしてもサイクル特性の低下が小さく、初回充放電効率に至っては圧縮を強くすることにより向上するといった従来の技術認識とは異なる驚くべき効果を発揮する。もちろん圧縮により電極密度を向上することもできる。
【0072】
加圧成形法としては、ロール加圧、プレス加圧等の成形法を挙げることができる。加圧成形するときの圧力は1.5〜5t/cm
2程度が好ましく、より好ましくは2〜5t/cm
2、さらに好ましくは2.5〜4t/cm
2である。電極の電極密度が高くなるほど体積あたりの電池容量が通常大きくなる。しかし電極密度を高くしすぎるとサイクル特性が通常低下する。本発明の好ましい実施態様における黒鉛粉を用いると、高圧縮により電極密度を高くしてもサイクル特性の低下が小さいので、高い電極密度の電極を得ることができる。この電極用ペーストを用いて得られる電極の電極密度の最大値は、通常1.7〜1.9g/cm
3である。このようにして得られた電極は、電池の負極、特に二次電池の負極に好適である。
【0073】
圧縮は黒鉛粉の状態で行なっても上記同様に電極とした場合の特性が向上し、その場合は、電極製造時の圧縮は通常の範囲でも構わない。すなわち、粉体の状態で圧縮するか、ペーストを乾燥させた後に圧縮するかのいずれかの段階で、適切な圧縮を行うことで特性が向上する。
【0074】
本願発明における黒鉛粉はさらに、アルカリ金属と合金を形成することが可能な金属及び/またはアルカリ金属の合金からなる金属質物(以下、包括的に「金属質物」とよぶことがある。)と混合して使用することも可能である。アルカリ金属と合金を形成することが可能な金属、好ましくはリチウム金属と合金を形成することが可能な金属としては、例えばアルミニウム(Al)、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、ビスマス(Bi)、インジウム(In)、マグネシウム(Mg)、ガリウム(Ga)、カドミウム(Cd)、銀(Ag)、ケイ素(Si)、ホウ素(B)、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、アンチモン(Sb)等が挙げられる。アルカリ金属との合金、好ましくはリチウム金属の合金としては、合金の組成(モル組成)をLi
xM(xは金属Mに対するモル比)と表すと、Mとしては上述の金属が用いられる。合金中には上述の金属以外にさらに他の元素を50モル%以下の範囲で含有していてもよい。
【0075】
黒鉛粉と金属質物との混合方法は、特に限定されず、公知の方法が使用可能である。例えば、特開平5−286763号公報に開示されているような方法が採用可能であり、具体的には、下記のような3つの方法が採用可能である。
(i)黒鉛粉と金属質物との混合物に、有機化合物を添加し、加熱して、有機化合物を液相状態を経由して炭素化させて炭素質物を形成しつつ黒鉛粉と金属質物とを結合または被覆する方法。有機化合物としては、例えば、ナフタレン、フェナンスレン、アントラセン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、ピセン、ペリレン、ペンタフェン、ペンタセンのような3員環以上の単環炭化水素化合物が互いに2個以上縮合してなる縮合環式炭化水素化合物、上記化合物の混合物を主成分とする各種ピッチがあげられる。ピッチとしては、例えば、原油ピッチ、ナフサピッチ、アスファルトピッチ、コールタールピッチ、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の分解ピッチがあげられる。また、インドール、イソインドール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、フタラジン、カルバゾール、アクリジン、フェナジン、フェナトリジンのような3員環以上の複素単環化合物が互いに少なくとも2個以上結合するか、または1個以上の3員環以上の単環炭化水素化合物と結合してなる縮合複素環化合物があげられる。
【0076】
(ii)黒鉛粉と、金属質物との混合物を、有機高分子化合物で結合または被覆した後、これを加熱、分解し、固相で炭素化させて炭素質物を形成して、黒鉛粉と金属質物とを結合または被覆する方法。有機高分子としては、例えば、セルロース樹脂、フェノール樹脂、フルフリルアルコール樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリ(α−ハロゲン化アクリロニトリル)等のアクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアセチレン、
ポリ(p−フェニレン)、ポリ(p−フェニレンビニレン)等の共役系樹脂があげられる。
(iii)黒鉛粉と、金属質物の混合物上に、有機化合物を気相で熱分解させて炭素質物を形成して、黒鉛粉と金属質物とを炭素質物で結合または被覆する方法。このとき用いる有機化合物は、例えば、プロパン等の脂肪族炭化水素、不飽和炭化水素化合物、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物、ベンゼン、ナフタレン、ペリレン等の芳香族化合物、縮合環式炭化水素化合物のカルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸イミドのような誘導体をあげることができる。
【0077】
(6)電池、二次電池
前記電極を構成要素(好ましくは負極)として、電池または二次電池とすることができる。
リチウムイオン二次電池を具体例に挙げて本発明の好ましい実施態様における電池または二次電池を説明する。リチウムイオン二次電池は、正極と負極とが電解液または電解質の中に浸漬された構造をしたものである。負極には本発明の好ましい実施態様における電極が用いられる。
【0078】
リチウムイオン二次電池の正極には、正極活物質として、通常、リチウム含有遷移金属酸化物が用いられ、好ましくはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Mo及びWから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素とリチウムとを主として含有する酸化物であって、リチウムと遷移金属元素のモル比が0.3〜2.2の化合物が用いられ、より好ましくはV、Cr、Mn、Fe、Co及びNiから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素とリチウムとを主として含有する酸化物であって、リチウムと遷移金属
元素のモル比が0.3〜2.2の化合物が用いられる。なお、主として存在する遷移金属
元素に対し30モル%未満の範囲でAl、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、B等を含有していても良い。上記の正極活物質の中で、一般式Li
xMO
2(MはCo、Ni、Fe、Mnの少なくとも1種、x=0〜1.2)、またはLi
yN
2O
4(Nは少なくともMnを含む。y=0〜2)で表わされるスピネル構造を有する材料の少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0079】
さらに、正極活物質はLi
yM
aD
1-aO
2(MはCo、Ni、Fe、Mnの少なくとも1種、DはCo、Ni、Fe、Mn、Al、Zn、Cu、Mo、Ag、W、Ga、In、Sn、Pb、Sb、Sr、B、Pの中のM以外の少なくとも1種、y=0〜1.2、a=0.5〜1)を含む材料、またはLi
z(N
bE
1-b)
2O
4(NはMn、EはCo、Ni、Fe、Mn、Al、Zn、Cu、Mo、Ag、W、Ga、In、Sn、Pb、Sb、Sr、B、Pの少なくとも1種、b=1〜0.2、z=0〜2)で表わされるスピネル構造を有する材料の少なくとも1種を用いることが特に好ましい。
【0080】
具体的には、Li
xCoO
2、Li
xNiO
2、Li
xMnO
2、Li
xCo
aNi
1-aO
2、Li
xCo
bV
1-bO
z、Li
xCo
bFe
1-bO
2、Li
xMn
2O
4、Li
xMn
cCo
2-cO
4、Li
xMn
cNi
2-cO
4、Li
xMn
cV
2-cO
4、Li
xMn
cFe
2-cO
4(ここでx=0.02〜1.2、a=0.1〜0.9、b=0.8〜0.98、c=1.6〜1.96、z=2.01〜2.3。)が挙げられる。最も好ましいリチウム含有遷移金属酸化物としては、Li
xCoO
2、Li
xNiO
2、Li
xMnO
2、Li
xCo
aNi
1-aO
2、Li
xMn
2O
4、Li
xCo
bV
1-bO
z(x=0.02〜1.2、a=0.1〜0.9、b=0.9〜0.98、z=2.01〜2.3)が挙げられる。なお、xの値は充放電開始前の値であり、充放電により増減する。
【0081】
正極活物質の平均粒子サイズは特に限定されないが、0.1〜50μmが好ましい。0.5〜30μmの粒子の体積が95%以上であることが好ましい。粒径3μm以下の粒子群の占める体積が全体積の18%以下であり、かつ15μm以上25μm以下の粒子群の占める体積が、全体積の18%以下であることが更に好ましい。比表面積は特に限定されないが、BET法で0.01〜50m
2/gが好ましく、特に0.2m
2/g〜1m
2/gが好ましい。また正極活物質5gを蒸留水100mlに溶かした時の上澄み液のpHとしては7以上12以下が好ましい。
【0082】
リチウムイオン二次電池では正極と負極との間にセパレータを設けることがある。セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを主成分とした不織布、クロス、微孔フィルムまたはそれらを組み合わせたもの等を挙げることができる。
【0083】
本発明の好ましい実施態様におけるリチウムイオン二次電池を構成する電解液及び電解質としては公知の有機電解液、無機固体電解質、高分子固体電解質が使用できるが、電気伝導性の観点から有機電解液が好ましい。
【0084】
有機電解液としては、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレ
ングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル等のエーテル;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、ヘキサメチルホスホリルアミド等のアミド;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄化合物;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のジアルキルケトン;エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、2−メトキシテトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート;γ−ブチロラクトン;N−メチルピロリドン;アセトニトリル、ニトロメタン等の有機溶媒の溶液が好ましい。さらに、好ましくはエチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、γ−ブチロラクトン等のエステル類、ジオキソラン、ジエチルエーテル、ジエトキシエタン等のエーテル類、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等が挙げられ、特に好ましくはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系非水溶媒を用いることができる。これらの溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0085】
これらの溶媒の溶質(電解質)には、リチウム塩が使用される。一般的に知られているリチウム塩にはLiClO
4、LiBF
4、LiPF
6、LiAlCl
4、LiSbF
6、LiSCN、LiCl、LiCF
3SO
3、LiCF
3CO
2、LiN(CF
3SO
2)
2等がある。
【0086】
高分子固体電解質としては、ポリエチレンオキサイド誘導体及び該誘導体を含む重合体、ポリプロピレンオキサイド誘導体及び該誘導体を含む重合体、リン酸エステル重合体、ポリカーボネート誘導体及び該誘導体を含む重合体等が挙げられる。
なお、上記以外の電池構成上必要な部材の選択についてはなんら制約を受けるものではない。
【実施例】
【0087】
以下に本発明について代表的な例を示し、さらに具体的に説明する。なお、これらは説明のための単なる例示であって、本発明はこれらに何等制限されるものではない。
なお、実施例及び比較例の黒鉛粉についての、X線回折法による平均面間隔(d002)と結晶のC軸方向の厚み(Lc)、BET比表面積、AR(60)は、本明細書の発明を実施するための形態の欄に詳述した方法により測定する。また、その他の物性の測定方法は以下の通り。
【0088】
(1)メジアン径(D50)の測定
レーザー回折式粒度分布測定装置として、マルバーン製マスターサイザーを用いて、体積基準のメジアン径(D50)を求める。
(2)細孔容積の測定
黒鉛粉約5gをガラス製セルに秤量し、1kPa以下の減圧下300℃で約3時間乾燥して、水分等の吸着成分を除去した後、黒鉛粉の質量を測定する。液体窒素冷却下における、乾燥後の黒鉛粉の窒素ガスの吸着等温線をQuantachrome社製Autosorb−1で測定する。P/P0=0.992〜0.995での測定点での窒素吸着量と乾燥後の黒鉛粉の質量から全細孔容積を求める。
【0089】
(3)コイン電池による評価と電極密度の測定
(a)ペースト作製:
黒鉛粉97質量部にスチレンブタジエンゴム(SBR)とカルボキシメチルセルロース(CMC)2質量%水溶液とを各1.5質量部加え、プラネタリーミキサーにて混練し、主剤原液とする。
【0090】
(b)電極作製:
主剤原液に
水を加え、粘度を調整した後、高純度銅箔上に塗布して120℃で1時間真空乾燥し、電極材料を得る。塗布の量は、黒鉛粉の量が5mg/cm
2となる量とする。得られた電極材料を円形に打ち抜き、約0.5〜3t/cm
2の圧力で10秒間圧縮し、電極を得る。圧力P(t/cm
2)で圧縮した時の集電体を除く電極層の密度(g/cm
3)をD(P)とする。
【0091】
(c)電池作製:
露点−80℃以下の乾燥アルゴン雰囲気下で、得られた電極を作用極、リチウム金属を対極として、さらにポリエチレンセパレータと電解液とケースから成るコイン電池を作製する。電解液にはEC(エチレンカーボネート)8質量部及びDEC(ジエチルカーボネート)12質量部の混合液に、電解質としてLiPF
6を1mol/L溶解したものを用いる。
【0092】
(d)コイン電池による充放電試験:
作製したコイン電池で前記作用極の充放電試験を25℃に設定した恒温槽内で行う。
はじめに、開回路電圧が0.002Vとなるまで0.05Cの電流を流した後、0.002Vで維持し、電流値が25.4μAに低下した時点で停止させることで作用極の充電容量を測定する。次に、開回路電圧が1.5Vとなるまで0.05Cで電流を流す。この際、第一回目の充放電で測定された充電容量と放電容量の比,すなわち放電容量/充電容量を百分率で表した値を、初回充放電効率とする。前記電極作製時における圧縮がPt/cm
2であったときの初回充放電効率をe(P)、初回充放電における放電容量をC(P)とし、前記電極材料を0.5t/cm
2の圧力で圧縮したときの初回充放電効率e(0.5)、初回充放電における放電容量C(0.5)、及び前記電極材料を3.0t/cm
2の圧力で圧縮したときの初回充放電効率e(3.0)、初回充放電における放電容量C(3.0)を測定する。
【0093】
(3)サイクル試験
上記(2)のコイン電池による充放電試験と同様の方法で用意した作用極と同様のものを負極とし、コバルト酸リチウムを正極として、さらに電解液とポリエチレンセパレータからなる電池を作製する。45℃の恒温槽内で充放電を1000回繰り返し、各充放電における放電容量のうちの最大値と1000回目の充放電における放電容量の比を、1000サイクル容量維持率と呼び百分率で表す。
【0094】
(4)電極膨張率の測定
上記(3)で作製した電池を2C、10サイクルの充放電を行った後に放電状態にして解体し測定した負極活物質層の厚さ(T10)と(3)で作製した電池を2C、500サイクルの充放電を行った後に放電状態にして解体し測定した負極活物質層の厚さ(T500)から電極膨張率:{(T500/T10)}×100を求める。
【0095】
実施例1:
AR(60)=2.2であるか焼コークスをホソカワミクロン製バンタムミルで粉砕し、その後32μmの目開きの篩を用いて粗粉をカットした。次に、日清エンジニアリング製ターボクラシファイアーTC−15Nで気流分級し、粒径が1.0μm以下の粒子を実質的に含まないD50=22.3μmの粉末か焼コークス1を得た。
この粉末か焼コークス1をアチソン炉にて最高到達温度が約3300℃となるように1週間かけて加熱することで黒鉛化処理を行った。この時、るつぼに複数の酸素流入孔を設け、黒鉛化処理の最中及び前後で空気が出入りできるようにし、冷却過程において約1週間をかけて粉体の酸化を行い、粒子が鱗片状である黒鉛粉を得た。
得られた黒鉛粉を32μmの目開きの篩を用いて粗粉を除去した。得られた黒鉛粉のBET比表面積、全細孔容積、d002及びLcを測定して、結果を表
2に示した。また、圧力を0.5t/cm
2として作製した電池の初回充放電効率e(0.5)及び容量C(0.5)、並びに、圧力を3.0t/cm
2として作製した電池の初回充放電効率e(3.0)、容量C(3.0)、密度D(3.0)及び1000サイクル容量維持率を測定し、表
2に併せて示した。
さらに得られた黒鉛粉のSEMを
図1に示す。
【0096】
実施例2:
実施例1と同様にして得た粉末か焼コークス1を100質量部と、キノリン不溶分1質量%、βレジン分48質量%の石油系ピッチ粉末2質量部とを自転公転式混合機に投入し、2000rpmで20分間乾式混合を行い、得られた混合物を、密閉されたるつぼを使用してアチソン炉にて最高到達温度が約3300℃となるように1週間かけて加熱することで黒鉛化処理を行った後、32μmの目開きの篩を用いて粗粉を除去した。得られた黒鉛粉を空気中で1100℃で1時間酸化処理を施し、32μmの目開きの篩を用いて粗粉を除去し、粒子が鱗片状である黒鉛粉を得た。得られた黒鉛粉の分析結果を表
2に示す。
【0097】
実施例3:
中国産生コークスを実施例1と同様の方法で粉砕及び分級し、粒径が1.0μm以下の粒子を実質的に含まないD50=24.5μmの粉末生コークス2を得た。生コークス2は1100℃でか焼してAR(60)を求めると2.1であった。
この粉末生コークス2を実施例1と同様の方法で黒鉛化処理及び酸化処理を行い、得られた黒鉛粉を32μmの目開きの篩を用いて粗粉を除去し、粒子が鱗片状である黒鉛粉を得た。得られた黒鉛粉の分析結果を表
2に示す。
【0098】
実施例4:
実施例2に記載の粉末か焼コークス1と石油系ピッチ粉末の混合物をアルゴン雰囲気中で3200℃で30分間黒鉛化した後、実施例2と同様の方法で酸化し、32μmの目開きの篩を用いて粗粉を除去し、粒子が鱗片状である黒鉛粉を得た。得られた黒鉛粉の分析結果を表
2に示す。
【0099】
実施例5:
実施例1で得られた黒鉛粉を、3.0t/cm
2で圧縮した。圧縮後の黒鉛粉の分析結果を表
2に示す。
【0100】
比較例1:
実施例2の混合及び黒鉛化処理で得られた黒鉛粉を酸化することなく32μmの目開きの篩を用いて粗粉を除去して、粒子が鱗片状である黒鉛粉を得た。得られた黒鉛粉の分析結果を表
2に示す。
【0101】
比較例2:
実施例4と同様の方法で黒鉛化処理を行って得られた黒鉛粉を酸化することなく32μmの目開きの篩を用いて粗粉を除去して、粒子が鱗片状である黒鉛粉を得た。得られた黒鉛粉の分析結果を表
2に示す。
【0102】
比較例3:
D50が18.0μmである天然黒鉛粉末を、粒子が塊状となるように力学的処理を行い、球状天然黒鉛粉末を得た。この球状天然黒鉛粉末90質量部と、キノリン不溶分1質量%、βレジン分48質量%の石油系ピッチ粉末10質量部とを均一に混合した後、窒素雰囲気下2800℃で焼成し、ピンミルで解砕して黒鉛粉を得た。得られた黒鉛粉の分析結果を表
2に示す。
【0103】
比較例4:
AR(60)=2.0であるか焼コークスを用いた以外は実施例1と同様の操作を行なったところ、粒子が塊状である黒鉛粉が得られた。得られた黒鉛粉の分析結果を表
2に示す。
また得られた黒鉛粉のSEMを
図2に示す。
【0104】
比較例5:
実施例3で得られた黒鉛粉を3.0t/cm
2で圧縮した。圧縮後の黒鉛粉の分析結果を表
2に示す。
【0105】
【表2】