(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
道路、線路等は、盛土の両脇の斜面(法面)に挟まれた上部や、切土の両脇の斜面(法面)に挟まれた下部に形成されることがある。その盛土や切土の両脇の斜面(法面)は、土を露出すると、法面に雑草等が生い茂り美観が損なわれたり、道路の路肩と法肩または法尻との間の雑草が道路側に伸びることにより通行人や通行車両の安全が損なわれたりする可能性がある。そのため、路肩およびそれに隣接する法面には、予め美観を良くするように植栽したり、雑草などの草の成育を防止させるための防草シートを敷設したりすることがある。なお、本明細書における「法面」とは、道路や線路およびこれらの周辺の法面、盛土や切土等でできた法面、段差のある2つの地表面の間の法面などを意味する。
【0003】
草の成育を防止するためには、例えば、特許文献1に開示されているような防草シートが用いられている。
【0004】
草の成育を防止するための構造体として、例えば、特許文献2には、法面部上端の路肩部に布設されるコンクリートブロック部と、そのコンクリートブロック部の法面側に一端部が一体的に固定された防草シート部とからなり、コンクリートブロック部を路肩部に布設した状態で、防草シート部を法面部上に展開して法面部を被覆可能とした路肩ブロックが開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、シート両面に多数の凸部を交互に形成した遮光性かつ遮水性の合成樹脂製エンボスシート(防草シート)を、除草や剪定すべき地面に敷設、固定したことを特徴とする防草構体が開示されている。この特許文献3には、路肩にガードレールがある場合には、ガードレール支柱と、エンボスシート(防草シート)に形成したガードレール支柱の挿通孔との隙間に、コーキング材を詰めることが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、法尻に隣接する構造体がU字形状の構造体(例えばU形側溝(U字溝))である場合、U字形状の構造体の法面側上面に防草シートの端部を固定する方法が用いられていた。しかしながら、この方法では、当該構造体の法面側上面の幅が狭いため、当該上面と防草シート端部の固定部分に隙間ができたり、捲れたりした場合、その隙間から太陽光が入射して雑草が生えてくる懸念があり、さらなる改良が必要であった。
【0008】
そこで、本発明は、防草シートの端部をU字形状の構造体の法面側内壁に沿って所定寸法以上の幅で当該内壁に接するように折り曲げ、防草シート自体の融着、接着材による接着、及び両面接着テープによる接着の何れかで固定する工程を有する防草構造体の施工方法及び当該施工方法により形成される防草構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る防草構造体の施工方法は、盛土又は切土における法面区域に、防草シートに基づいて形成された防草構造体を施工する施工方法であって、法面区域の下部に配置されたU字形状の第1の構造体に、防水性を有する改質アスファルト系防草シートの第1の端部を固定する工程を有し、第1の端部は、第1の構造体の法面側内壁に沿って少なくとも第1の所定寸法以上の幅で覆われ、且つ、第1の端部は、第1の構造体の法面側内壁と、防草シート自体の融着、接着材による接着、及び両面接着テープによる接着の何れかで固定される。
【0010】
本態様の防草構造体の施工方法によれば、防草シートの端部をU字形状の構造体の法面側内壁に沿って所定寸法以上の幅で当該構造体の法面内壁と一体化して固定できるので、太陽光の入射を防ぐことが可能となり、雑草の発生を防止できる。
【0011】
本発明の防草構造体の施工方法の好ましい態様[(1)〜(7)]を以下に示す。本発明では、これらの態様を適宜組み合わせることがより好ましい。
【0012】
(1)第1の端部は、第1の構造体の法面側上面と、第1の端部を貫通して打ち込まれる第1の釘状器具で固定され、第1の釘状器具は、第1の構造体の形成方向に沿って間欠的に打ち込まれることが好ましい。これにより、より強固に防草シートを固定することができる。
【0013】
(2)法面区域の上部に配置された構造体に、防草シートの第2の端部を固定する工程を有することが好ましい。これにより、防草シートを法面区域により確実に固定できる。
【0014】
(3)上部に配置された構造体が、壁面を有する第2の構造体であり、第2の端部は、第2の構造体の法面側壁面に沿って少なくとも第2の所定寸法以上の幅で覆われて固定されることが好ましい。これにより、より確実に防草シートを固定できる。
【0015】
(4)第2の端部は、第2の構造体の法面側壁面と、第2の端部を貫通して打ち込まれる第1の釘状器具で固定され、第1の釘状器具は、第2の構造体の形成方向に沿って間欠的に打ち込まれることが好ましい。これにより、防草シートを法面区域により確実に固定できる。
【0016】
(5)上部に配置された構造体が、埋設され上面が露出する第3の構造体であり、第2の端部は、第3の構造体の法面側上面に沿って少なくとも第3の所定寸法以上の幅で覆われて固定されることが好ましい。これにより、より確実に防草シートを固定できる。
【0017】
(6)第2の端部は、第3の構造体の法面側上面と、第2の端部を貫通して打ち込まれる第1の釘状器具で固定され、第1の釘状器具は、第3の構造体の形成方向に沿って間欠的に打ち込まれることが好ましい。これにより、防草シートを法面区域により確実に固定できる。
【0018】
(7)上部に配置された構造体が、埋設されたU字形状の第4の構造体であり、第2の端部は、第4の構造体の法面側内壁に沿って少なくとも第1の所定寸法以の幅で覆われて固定されることが好ましい。これにより、より確実に防草シートを固定できる。
【0019】
(8)第2の端部は、第4の構造体の法面側内壁と、防草シート自体の融着、接着材による接着、及び両面接着テープによる接着の何れかで固定されることが好ましい。これにより、防草シートの端部をU字形状の構造体の法面側内壁に沿って所定寸法以上の幅で当該構造体の法面内壁と一体化して固定できるので、太陽光の入射を防ぐことが可能となり、雑草の発生を防止できる。
【0020】
(9)第2の端部は、第4の構造体の法面側上面と、第2の端部を貫通して打ち込まれる第1の釘状器具で固定され、第1の釘状器具は、第4の構造体の形成方向に沿って間欠的に打ち込まれることが好ましい。これにより、より強固に防草シートを固定することができる。
【0021】
(10)法面区域に前記防草シートを固定する工程を有することが好ましい。これにより、防草シートを法面区域により確実に固定できる。
【0022】
また、本発明の防草構造体は、上述の施工方法により施工される。本態様の防草構造体によれば、防草シートの下端部をU字形状の構造体の法面側内壁に沿って所定寸法以上の幅で当該構造体の法面内壁と一体化して固定する施工方法により形成されるので、太陽光の入射を防ぐことが可能となり、雑草の発生を防止できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、防草シートの下端部をU字形状の構造体の法面側内壁に沿って所定寸法以上の幅で当該構造体の法面内壁と一体化して固定することにより、太陽光の入射を防ぐことが可能となり、雑草の発生を防止できる防草構造体を提供することができる。また、上記優れた効果を有する防草構造体の施工方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<第1実施形態>
本発明の防草構造体およびその施工方法の第1の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0026】
まず、本実施形態の防草構造体1の概略構成について
図1〜
図3を用いて説明する。
図2(a)及び(b)に示したように、本実施形態の防草構造体1は、複数の防草シート15が、重ね合わせ接続部19にて接続された構造となっている。このように、適宜選択した寸法の複数の防草シート15の重ね合わせ接続部19を、加熱融着法またはテープ接着法により張り合わせて用いることにより、本発明の防草構造体1を任意の寸法の法面6区域に合わせて設置することができる。なお、本発明の防草構造体1は、道路、線路、河川、公園あるいは造林園およびこれらの周辺の地面、表面、法面6など、防草が必要な場所であれば、どのような場所にも用いることができる。
【0027】
また、防草構造体1は、例えば、所定寸法の防水性防草シート20を用いて、防草区域の形状に合わせて防草シート15を切って並べることで作成することができる。複数の防草シート15の間に隙間ができると、そこから植物が貫通してくることがあるので、各防草シート15の対向する端部は融着または接着される。具体的には、防草構造体1は、一の防草シート15における、隣接する他の防草シート15との重ね合わせ接続部19を、防草シート15の自己の融着、接着材による接着、および、両面接着テープによる接着、の少なくとも何れかを用いて、例えば、
図1の盛土5の法面6区域上の草の成育を防止する必要がある場所の領域範囲に合わせて固定することで形成される。この複数の防草シート15を用いることで防草構造体1の施工を容易にすることができる。
【0028】
また、例えば、法面6区域の幅が防草シート15より狭い場合、すなわち法面6区域の幅が一般的に1m程度以下の場合には、一枚の防草シート15を用いて防草構造体1を設置することができる。
【0029】
より詳しくは、本実施形態の防草構造体1は、例えば
図1のような盛土5における法面6区域上に、敷設場所の形状に合うように必要に応じて複数の防水性防草シート15を、重ね合わせ接続部23の重ね代が50mm〜200mmとなるように隣接させて配置し、その重ね合わせ接続部23をトーチバーナーにより溶融させてから重ね合わせることにより相互に加熱融着するか、その重ね合わせ接続部23の間に両面に接着性の自着層(例えば特殊ゴム化アスファルト粘着層)を有するテープを挟むように挿入して転圧することで接着するように施工することで形成される。
【0030】
なお、テープ接着法とは、両面に接着性のあるアスファルトテープを、一の防草シート15の重ね代と隣接する防草シート15の被接着面との間に挿入し、重ね代と被接着面との重ね合わせ接続部19の固定を行う方法である。住宅地近傍への設置の場合や、設置箇所近傍に下草等の可燃物が多い場合など、火気の使用が制限されている場合には、テープ接着法を用いて防草シート15を固定することが好ましい。
【0031】
このように防草シート15をアスファルト系とすることにより、シート同士の接着または融着が容易になるだけでなく、後述する第1の構造体11への融着または接着が、加熱または転圧のみでも可能となる。
【0032】
また、上記した防草シート15の重ね合わせ接続部19を融着または接着する方法の他に、盛土5に後述する第2の釘状器具26等により一の防草シート15の側端部18を固定し、その端部における第2の釘状器具26等よりも内側に、隣接する他の防草シート15の端部を重ね、重なり部分を融着または接着により固定するようにしてもよい。
【0033】
本実施形態で防水性の防草シート15を用いる理由は、盛土5の法面6に降り注いだ雨水は、盛土5の中に浸透すると、浸透水が盛土5を脆弱にさせることがあるため、雨水は極力減少させることが望ましい。
【0034】
しかし、防水性の防草シート15を用いても、その各防草シート15の隙間から雨水が浸入する場合がある。そのため、本実施形態によれば、シート端部を隣接するシートの端部との重ね合わせ接続部23を隙間無く連続的に融着するか接着することで、複数の防水性のシートの重なった隙間への水の侵入を防いでいる。また、重ね合わせ接続部23の防水性をより完全にするために、重ね合わせ接続部23の隙間に、例えば、シリコンを成分に含むコーキング材又はシーリング材(シーラント)等を充填して隙間を無くしてもよい。
【0035】
盛土5は、例えば、幹線道路、高速道路、鉄道の軌道等を敷設するために土木工事により土砂を堆積させて形成される。その場合の盛土5の上面は平面であり、道路や軌道を敷設するための路盤等が設けられると共に、それらの道路や軌道に沿った端部には、路側帯や舗道ブロック、侵入防止用側壁等が設けられ、また、法尻に沿って排水のためのU字形状の第1の構造体11(例えばU字溝)が設けられる。
【0036】
防草シート15は、例えば、1m×10m等の所定寸法の改質アスファルト系の防草シート15であり、法面6区域上の防草領域の範囲に合わせて、必要に応じて切断され、重ね代を加熱融着又は接着する。本実施形態の防草シート15は、防水性を有する改質アスファルト系防草シート15である。従って防草構造体1は防水性を有するので、盛土5内の植物の種子や根への水分の供給を減らすことで植物が育成されにくくできる。なお、防草シート15の寸法は、法面6区域の寸法やその他の施工条件によって、適宜選択することができる。
【0037】
防草シート15の側端部18は、防草構造体1における法面6の上下方向に沿う側端部であり、風雨の浸入抑制のため、その側端部18に沿って、その端部における固定する部分を埋設可能な寸法で掘削された溝に折り込まれ、その防草シート15の側端部18に沿って、釘状器具を少なくとも防草シート15を貫通させて法面6に対して間欠的に打ち込むことで、防草シート15の端部を盛土5の法面6区域に釘状器具で固定することができる。そして、さらに固定した後に、その溝を埋め戻している。このように防草シート15の側端部を、法面6に釘状器具で固定することで、風による防草シート15の浮きを抑制することに加えて、側端部を溝中で固定して埋め戻すことで、風による防草シート15の浮きを無くすことができる。
【0038】
防草シート15の第1の端部16は、法面6に敷設された防草構造体1における下側(法尻側)の端部であり、各防草シート15の下端部である。本実施形態では、第1の端部21は、盛土5の法面6区域の下部に配置されたU字形状の第1の構造体11の法面側内壁12を覆って固定される。固定方法としては、第1の端部16は、U字形状の第1の構造体11の法面側内壁12に沿って内側に折り曲げられ、第1の所定寸法20(例えば50mm)以上の幅で法面側内壁12を覆う。この折り曲げられた第1の端部16部分の幅は、50mm以上であれば100mmでも200mmでもよい。そして、その折り曲げられた第1の端部16部分は、防草シート15自体の融着、接着材による接着、及び両面接着テープによる接着のいずれかにより固定される。このように下側の第1の端部16を第1の所定寸法20(50mm)以上の幅として折り曲げ固定することで、太陽光の入射を防ぐことが可能となる。
【0039】
第1の端部16は、U字形状の第1の構造体11の法面側上面13を覆うように敷設され、第1の釘状器具が第1の端部16を貫通して打ち込まれて固定されることにより、より強固に防草シート15を固定することができる。また、第1の釘状器具25は、第1の構造体11の形成方向に沿って、法面側上面13を覆う第1の端部16を貫通して、間欠的に打ち込まれる。
【0040】
U字形状の第1の構造体11は、盛土5の法面6区域の下部に配置された下部構造体であり、盛土5の下部の側溝であり、防草シート15の下端部が固定される側溝である。第1の構造体11の法面側内壁12は、第1の構造体11の両側の内壁の一方であり、盛土5の法面6区域側の内壁である。
【0041】
防草シート15を下部構造体に固定する場合に、上記融着または接着に加えて、さらに防草シート15を貫通して打ち込まれる第1の釘状器具25を、下部構造体の形成方向に沿って間欠的に追加の釘状器具として用いて固定することで、より確実に固定することができる。
【0042】
防草シート15の第2の端部17は、法面6に敷設された防草構造体1における上側(法肩)の端部であり、各防草シート15の上端部である。本実施形態では、第2の端部17は、盛土5の法面6区域上部に配置された第2の構造体30の法面側壁面31を覆って固定される。固定方法としては、第2の端部17は、第2の構造体30の法面側壁面31を、第2の所定寸法21(例えば200mm)以上の幅で覆う。この覆う幅は、200mm以上であれば300mmでも400mmでもよい。そして、第2の端部17部分は、防草シート15自体の融着または接着により固定される。このように上側の上端の第2の端部17を第2所定寸法21以上の幅として固定することで、風雨の侵入を抑制することができる。
【0043】
第2の端部17は、第2の構造体30の法面側壁面31を覆うように敷設され、第1の釘状器具が第2の端部17を貫通して打ち込まれて固定されることにより、より強固に防草シート15を固定することができる。また、第1の釘状器具25は、第2の構造体30の形成方向に沿って、法面側壁面31を覆う第2の端部17を貫通して、間欠的に打ち込まれる。
【0044】
防草シート15を上部構造体に固定する場合に、上記融着または接着に加えて、さらに防草シート15を貫通して打ち込まれる第1の釘状器具25を、上部構造体の形成方向に沿って間欠的に追加の釘状器具として用いて固定することで、より確実に固定することができる。
【0045】
第2の構造体30は、盛土5の法面6区域の上部に凸形状となるように配置されている。例えば、侵入防止用側壁が挙げられる。
【0046】
防草シート15の第2の端部17の固定と、上記した第1の端部16の固定とを合わせることで、法面6区域に、その露出部上部から下部まで連続させて防草シート15を設置することができる。従って、盛土5の法面6区域には草が生えず、法面での除草や剪定作業等の危険作業をする必要がなくなる。
【0047】
第1の釘状器具25は、例えば、コンクリート用のビス、ビスとナイロンプラグとの組み合わせ、プラグアンカー、ビスとナイロンプラグと固定ディスクとの組み合わせ等である。防草シート15を第1の構造体11に固定し、また、防草シート15を第2の構造体30に固定するために、防草シート15を貫通して下地のコンクリートにドリル等を用いて削孔し、第1の釘状器具25を打ち込む。プラグを用いる場合には、先にプラグを挿入してからビス等をハンマーで打ち込むか、ドライバーでねじ込む。第1の釘状器具25の使用間隔としては、下部構造体である第1の構造体11の法面側上面13の形成方向に沿って、例えば0.45mおきに間欠的に用いる。このように追加の釘状器具で固定することで、防草シート15の第1の端部16または第2の端部17の固定をより確実にすることができる。
【0048】
また、第1の釘状器具25としては、オールアンカー、コンクリート釘、または測量釘なども用いることができる。オールアンカーとは、アンカー本体、打込みピン、ナットおよびワッシャーがセットになったアンカーのことである。オールアンカーの一例として、直径5mm、長さ30mmのものを用いることができる。また、オールアンカーによる固定を確実にするために、さらにオールアンカー用ディスク(例えば、厚さ1.2mm、直径45mm)を用いることができる。また、コンクリート釘による固定を効率的にかつ確実にするために、自動釘打機を用いることが好ましい。
【0049】
第2の釘状器具26は、例えば、土中に埋める釘またはペグであり、折り曲げ又は金属加工によりL字形状又はT字形状等のハンマーによる打ち込みが容易な頭部を有し、反対側の先端は土中に潜り込み易いように尖端になっており、胴部分は直線形状またはスパイラル形状になっている。また、第2の釘状器具26としてのL字型のピンの寸法の一例として、直径9〜16mm、長辺の長さ200〜800mmのものを用いることができる。例えば、第2の釘状器具26は、防草シート15の横方向端部を、当該端部に沿って法面6に対して間欠的な間隔で、防草シート15を貫通させて打ち込む。これにより、盛土5の法面6区域に防草シート15を固定できる。このように防草シート15の側端部18を釘状器具で法面6に固定することで、風による防草シート15の浮きを抑制することができる。
【0050】
<
第1の参考実施形態>
防草構造体およびその施工方法の
第1の参考実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0051】
まず、本実施形態の防草構造体2の概略構成について
図4を用いて説明する。
図4に示したように、本実施形態の防草構造体2は、盛土5の法面6区域の上部に配置された構造体が第3の構造体35であること以外は、防草構造体1と同様である。
【0052】
防草シート15の第2の端部17は、法面6に敷設された防草構造体2における上側(法肩)の端部であり、各防草シート15の上端部である。本実施形態では、第2の端部17は、盛土5の法面6区域の上部に配置された第3の構造体35の法面側上面36を覆って固定される。固定方法としては、第2の端部17は、第3の構造体35の法面側上面36を、第3の所定寸法22(例えば200mm)以上の幅で覆う。この覆う幅は、200mm以上であれば300mmでも400mmでもよい。そして、第2の端部17部分は、防草シート15自体の融着または接着により固定される。このように上側の上端の第2の端部17を第3所定寸法22以上の幅で固定することで、風雨の侵入を抑制することができる。
【0053】
第2の端部17は、第3の構造体35の法面側上面36を覆うように敷設され、第1の釘状器具が第2の端部17を貫通して打ち込まれて固定されることにより、より強固に防草シート15を固定することができる。また、第1の釘状器具25は、第3の構造体35の形成方向に沿って、法面側上面36を覆う第2の端部17を貫通して、間欠的に打ち込まれる。
【0054】
防草シート15を上部に配置された構造体に固定する場合に、上記融着または接着に加えて、さらに防草シート15を貫通して打ち込まれる第1の釘状器具25を、当該構造体の形成方向に沿って間欠的に追加の釘状器具として用いて固定することで、より確実に固定することができる。
【0055】
第3の構造体35は、盛土5の法面6区域の上部に埋設され上部が露出する程度に配置されている。例えば、路側帯や舗道ブロックや道路等が挙げられる。
【0056】
<
第2の参考実施形態>
防草構造体およびその施工方法の
第2の参考実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0057】
まず、本実施形態の防草構造体3の概略構成について
図5を用いて説明する。
図5に示したように、本実施形態の防草構造体3は、盛土5の法面6区域の上部に配置された構造体が第4の構造体40であること以外は、防草構造体1と同様である。
【0058】
防草シート15の第2の端部17は、法面6に敷設された防草構造体2における上側(法肩)の端部であり、各防草シート15の上端部である。本実施形態では、第2の端部17は、盛土5の法面6区域の上部に配置されたU字形状の第4の構造体40の法面側内壁41を覆って固定される。固定方法としては、第2の端部17は、U字形状の第4の構造体40の法面側内壁41に沿って内側に折り曲げられ、第1の所定寸法20(例えば50mm)以上の幅で法面側内壁41を覆う。この折り曲げられた第2の端部17部分の幅は、50mm以上であれば100mmでも200mmでもよい。そして、その折り曲げられた第2の端部17部分は、防草シート15自体の融着、接着材による接着、及び両面接着テープによる接着のいずれかにより固定される。このように上側の第2の端部17を第1の所定寸法20(50mm)以上の幅として折り曲げ固定することで、太陽光の入射を防ぐことが可能となる。
【0059】
第2の端部17は、U字形状の第4の構造体40の法面側上面41を覆うように敷設され、第1の釘状器具が第2の端部17を貫通して打ち込まれて固定されることにより、より強固に防草シート15を固定することができる。また、第1の釘状器具25は、第4の構造体40の形成方向に沿って、法面側上面41を覆う第2の端部17を貫通して、間欠的に打ち込まれる。
【0060】
U字形状の第4の構造体40は、盛土5の法面6区域の上部に配置された上部構造体であり、盛土5の上部の側溝であり、防草シート15の上端部が固定される側溝である。第4の構造体40の法面側内壁41は、第4の構造体41の両側の内壁の一方であり、盛土5の法面6区域側の内壁である。
【0061】
なお、本実施形態では、防草シート15として改質アスファルト系のものを用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、市販の防草シート15から適宜選択して用いても効果を得ることができる。しかし、特に、可撓性、防水性および遮光性を有し、シート状の形状を有するものは、良好な耐久性を有することから好適に用いることができる。
【0062】
「改質アスファルト系防草シート」とは、改質アスファルトを材料として含む防草シート15のことをいう。改質アスファルトとしては、具体的には後述する耐貫通型防草シートの(b)改質アスファルト層および(d)改質アスファルト層に用いることのできる改質アスファルトと同様のものを用いることができる。改質アスファルト系防草シート15は、建築用防水シート(改質アスファルト系防水シート)を転用して用いることができる。改質アスファルト系防草シート10としては、単層の改質アスファルトからなるシートのみならず、2層の改質アスファルト層の間に不織布等からなる基材層を含む構造のものを用いることができる。
【0063】
また、改質アスファルト系防草シート15は、さらに表面層および裏面層を含むことができる。表面層は、後述する耐貫通型防草シートの(a)表面層と同様のものを用いることができる。また、裏面層には、合成樹脂フィルムを好適に用いることができる。合成樹脂フィルムとしては、具体的には、HDPEフィルム(高密度ポリエチレン)およびOPPフィルム(二軸延伸成形ポリプロピレン)などから選択したものを好適に用いることができる。また、後述する耐貫通型防草シートの(e)裏面層と同様のものを用いることができる。
【0064】
改質アスファルト系防草シート15の構造の一例は、表面層、改質アスファルト層、基材層、改質アスファルト層および裏面層をこの順番で有する構造であるが、これらの層の全てを含む必要はなく、また、さらなる層を含むこともできる。
【0065】
このように本実施形態の防草構造体およびその施工方法によれば、防草シートの下端部をU字形状の構造体の法面側内壁に沿って所定寸法以上の幅で当該構造体の法面内壁と一体化して固定することにより、太陽光の入射を防ぐことが可能となり、雑草の発生を防止できる防草構造体を提供することができる。また、上記優れた効果を有する防草構造体の施工方法を提供することができる。