(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記発熱抵抗体の部分のうち、前記支持体の先端から前記軸線方向に長さ2L/3の範囲に存在する部分の常温抵抗値R3は、0.70≦R3/RL≦0.80を満たす、請求項1に記載のグロープラグ。
環境温度20℃において前記グロープラグに11Vの電圧に印加することによって前記発熱抵抗体に通電する場合、前記セラミックヒータの先端から前記軸線方向へ2mmに位置する前記セラミックヒータの表面温度が20℃から1000℃に到達する時間は、4秒以上である、請求項1または請求項2に記載のグロープラグ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
A.実施形態
A1.加熱装置の構成
図1は、加熱装置20の構成を示す説明図である。加熱装置20は、ディーゼルエンジンを始めとする内燃機関の始動時における着火を補助するために燃焼室を加熱する。加熱装置20は、グロープラグ10の他、リレー22と、電源コード24とを備える。リレー22および電源コード24は、バッテリ30からグロープラグ10に電力を供給する電力供給部である。
【0014】
加熱装置20のリレー22は、電圧を調整することなく、バッテリ30からグロープラグ10に電力を供給する。本実施形態では、バッテリ30は、鉛蓄電池である。リレー22は、バッテリ30から出力される電力を、電源コード24を介してグロープラグ10に供給する。加熱装置20の電源コード24は、リレー22とグロープラグ10との間を接続する被覆電線である。電源コード24は、バッテリ30から供給される電力をグロープラグ10へと中継する。加熱装置20のグロープラグ10は、直通電タイプのグロープラグであり、電源コード24を介して供給される電力に基づいて発熱する。
【0015】
A2.グロープラグの構成
図2は、グロープラグ10の構成を示す説明図である。
図2は、グロープラグ10の軸線ALを境界として、紙面右側にグロープラグ10の外観形状を図示し、紙面左側にグロープラグ10の断面形状を図示した。本実施形態の説明では、グロープラグ10における
図2の紙面下側を「先端側」といい、
図2の紙面上側を「後端側」という。
【0016】
図2には、XYZ軸が図示されている。
図2のXYZ軸は、互いに直交する3つの空間軸として、X軸、Y軸およびZ軸を有する。本実施形態では、Z軸は、グロープラグ10の軸線ALに沿った軸である。X軸に沿ったX軸方向のうち、+X軸方向は、紙面手前から紙面奥に向かう方向であり、−X軸方向は、+X軸方向に対する逆方向である。Y軸に沿ったY軸方向のうち、+Y軸方向は、紙面右側から紙面左側に向かう方向であり、−Y軸方向は、+Y軸方向に対する逆方向である。Z軸に沿ったZ軸方向(軸線方向)のうち、+Z軸方向は、先端側から後端側に向かう方向であり、−Z軸方向は、+Z軸方向に対する逆方向である。
図2のXYZ軸は、他の図におけるXYZ軸に対応する。
【0017】
グロープラグ10は、熱を発生させるセラミックヒータ800を備え、ディーゼルエンジンを始めとする内燃機関90の始動時における点火を補助する熱源として機能する。グロープラグ10は、セラミックヒータ800の他、端子用ナット120と、かしめナット140と、中軸200と、絶縁部材300と、主体金具500と、セラミックヒータ800とを備える。本実施形態では、グロープラグ10の軸線ALは、端子用ナット120、かしめナット140、中軸200、絶縁部材300、主体金具500およびセラミックヒータ800などの各部材の軸線でもある。
【0018】
グロープラグ10の端子用ナット120は、中軸200の後端側に形成された雄ねじ210に嵌まり合うナットである。本実施形態では、端子用ナット120は、中軸200に嵌め込まれた電源コード24の導電用電極(グロープレート、図示しない)をかしめナット140との間に固定する。グロープラグ10のかしめナット140は、筒状を成し、中軸200が挿入された状態で外周方向からかしめられることによって中軸200に固定されている。本実施形態では、端子用ナット120およびかしめナット140は、導電性を有する金属製(例えば、アルミニウム合金、ステンレス合金など)である。
【0019】
グロープラグ10の中軸200は、先端側から後端側(+Z軸方向)へ軸線方向に延びた棒状を成す導体である。本実施形態では、中軸200は、金属製(例えば、ステンレス鋼など)である。本実施形態では、中軸200の後端側を構成する雄ねじ210は、電源コード24と接続可能にかしめナット140から突出している。本実施形態では、中軸200の先端側は、セラミックヒータ800の後端側に連結されている。
【0020】
本実施形態では、中軸200は、中軸200の後端側において、グロープラグ10の外部から直接的に給電を受け付けている。他の本実施形態では、中軸200は、中軸200の後端側において、グロープラグ10の外部から端子100を介して給電を受け付けてもよい。
【0021】
本実施形態では、中軸200は、中軸200の先端側において、導体製のリング600を介してセラミックヒータ800と接続されている。他の実施形態では、中軸200は、中軸200の先端側において、セラミックヒータ800と直接的に接続されてもよい。
【0022】
グロープラグ10の主体金具500は、軸線ALを中心に延びた筒状を成す導体である。本実施形態では、主体金具500は、金属製(例えば、炭素鋼)である。本実施形態では、主体金具500の表面には、めっき(例えば、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、亜鉛−ニッケル合金など)が施されている。主体金具500は、軸孔510と、工具係合部520と、雄ねじ部540とを有する。
【0023】
主体金具500の軸孔510は、軸線ALを中心に延びた貫通孔である。軸孔510の内径は、中軸200の外径よりも大きい。軸孔510の内側には、中軸200が軸線AL上に保持される。軸孔510と中軸200との間には、軸孔510と中軸200とを電気的に絶縁する空隙が形成される。本実施形態では、軸孔510の後端側には、円筒状を成す絶縁部材300と、環状を成す絶縁部材400とを介して、中軸200が保持されている。
【0024】
主体金具500の工具係合部520は、グロープラグ10の取り付けおよび取り外しに用いられる工具(図示しない)と係合可能に構成されている。主体金具500の雄ねじ部540は、内燃機関90に形成された雌ねじ92に嵌り合うことによって、内燃機関90に対して固定可能に構成されている。本実施形態では、雄ねじ部540は、工具係合部520より先端側に位置する。
【0025】
図3は、グロープラグ10の先端側における詳細構成を示す説明図である。
図3には、外筒700およびセラミックヒータ800を中心とする構成が図示されている。
【0026】
グロープラグ10の外筒700は、軸線ALを中心に延びた筒状を成す導体である。本実施形態では、主体金具500は、金属製(例えば、ステンレス鋼)である。外筒700の後端側は、主体金具500の先端側に溶接されている。外筒700は、軸孔710と、小径部720と、傾斜面部730と、大径部740とを有する。
【0027】
外筒700の軸孔710は、軸線ALを中心に延びた貫通孔である。軸孔710は、先端側からセラミックヒータ800を突出させた状態でセラミックヒータ800を保持する。本実施形態では、軸孔710には、セラミックヒータ800が圧入されている。
【0028】
外筒700の小径部720は、外筒700の先端側を構成し、大径部740より小さな外径を有する筒状の部位である。外筒700の大径部740は、外筒700の後端側を構成し、主体金具500の先端側とほぼ同じ外径を有する筒状の部位である。
【0029】
外筒700の傾斜面部730は、小径部720と大径部740とを繋ぐ部位であり、外筒700の外周の一部を構成する。本実施形態では、傾斜面部730は、後端側から先端側(−Z軸方向)に向けて傾斜した面を有する。傾斜面部730は、内燃機関90に形成された取付孔96に接触する。セラミックヒータ800で発生した熱の一部は、小径部720から傾斜面部730を通じて取付孔96へと移動する。外筒700の大径部740は、傾斜面部730と主体金具500とを繋ぐ部位である。
【0030】
グロープラグ10のセラミックヒータ800は、セラミック組成物から成る発熱素子(発熱装置)である。グロープラグ10において、セラミックヒータ800は、先端側から後端側(+Z軸方向)へと軸線方向に延びている。セラミックヒータ800は、支持体810と、発熱抵抗体830とを備える。
【0031】
セラミックヒータ800の支持体810は、電気絶縁性を有する絶縁性セラミックから主に成り、軸線方向(Z軸方向)に延びている。支持体810には、発熱抵抗体830が埋め込まれている。支持体810は、発熱抵抗体830を支持する。支持体810は、グロープラグ10の外部から発熱抵抗体830を電気的に絶縁すると共に、発熱抵抗体830の熱をグロープラグ10の外部へと伝達する。
【0032】
本実施形態では、支持体810は、窒化ケイ素(Si
3N
4)から主に成る。他の実施形態では、支持体810を形成する窒化ケイ素(Si
3N
4)のうち、ケイ素(Si)の少なくとも一部がアルミニウム(Al)で置換され、窒素(N)の少なくとも一部が酸素(O)で置換されてもよい。支持体810は、焼結助剤として、希土類酸化物(例えば、イッテルビウム(Yb)酸化物、エルビウム(Er)酸化物など)とアルミニウム(Al)酸化物とを含有してもよい。
【0033】
セラミックヒータ800の発熱抵抗体830は、導電性を有する導電性セラミックから主に成る。発熱抵抗体830は、通電によって発熱する。
【0034】
本実施形態では、発熱抵抗体830は、炭化タングステン(WC)から主に成る。本実施形態では、発熱抵抗体830は、炭化タングステンに加え、窒化ケイ素(Si
3N
4)を含有する。発熱抵抗体830は、55〜70質量%の炭化タングステンと、28〜35質量%の窒化ケイ素とを含有し、残りの2〜10質量%として酸化エルビウム(Er
2O
3)および酸化ケイ素(SiO
2)を含有してもよい。他の実施形態では、発熱抵抗体830は、二ケイ化モリブデン(MoSi
2)から主に成る組成物であってもよい。
【0035】
発熱抵抗体830は、折返し部832と、一対の線状部834と、一対の導電部836と、2つの端子部838とを備える。
【0036】
発熱抵抗体830の折返し部832は、支持体810の先端側に設けられている。折返し部832は、円弧状に折り返した線状を成す部位である。折返し部832は、一対の線状部834の間を接続する。
【0037】
発熱抵抗体830における一対の線状部834は、折返し部832(先端側)から後端側(+Z軸方向側)へ相互に延びた部位である。一対の線状部834は、線状部834aと、線状部834bとを含む。線状部834aは、折返し部832の右側から後端側へと線状に延びた部位であり、線状部834bは、折返し部832の左側から後端側へと線状に延びた部位である。本実施例では、線状部834aと線状部834bとは、相互にほぼ平行に延びた部位である。本実施形態の説明では、線状部を総称する場合には符号「834」を使用し、線状部を特定する場合には符号「834a」、「834b」を使用する。
【0038】
発熱抵抗体830における一対の導電部836は、一対の線状部834の各々(先端側)から後端側(+Z軸方向側)へ相互に延びた部位である。一対の導電部836は、導電部836aと、導電部836bとを含む。導電部836aは、線状部834aから後端側へと線状に延びた部位であり、導電部836bは、線状部834bから後端側へと線状に延びた部位である。本実施形態では、導電部836aと導電部836bとは、相互にほぼ平行に延びた部位である。本実施形態の説明では、導電部を総称する場合には符号「836」を使用し、導電部を特定する場合には符号「836a」、「836b」を使用する。
【0039】
発熱抵抗体830における2つの端子部838は、一対の線状部834の各々から突出し、支持体810の表面に露出する。2つの端子部838は、端子部838aと、端子部838bとを含む。端子部838aは、導電部836aの後端側に形成され、導電部836aから−Y軸方向に突出した部位である。端子部838bは、導電部836bの後端側に形成され、導電部836bから+Y軸方向に突出した部位である。本実施形態では、端子部838bは、端子部838aより先端側に位置する。本実施形態では、セラミックヒータ800が主体金具500に組み付けられた状態で、端子部838aは中軸200と電気的に接続され、端子部838bは外筒700と電気的に接続される。本実施形態の説明では、端子部を総称する場合には符号「838」を使用し、導電部を特定する場合には符号「838a」、「838b」を使用する。
【0040】
本実施形態では、発熱抵抗体830の部分的な抵抗値である常温抵抗値RLは、0.50Ω以上である。常温抵抗値RLは、発熱抵抗体830の部位のうち、支持体810の先端から傾斜面730の後端までの軸線方向(Z軸方向)における長さLの範囲に存在する部分の抵抗値である。常温抵抗値RLは、20℃の環境温度において測定される抵抗値である。本実施形態では、長さLは、30mm(ミリメートル)である。他の実施形態では、長さLは、30mm未満であってもよいし、30mm超過であってもよい。なお、本実施形態では、常温抵抗値RLは、発熱抵抗体830全体の抵抗値である常温抵抗値RAに対して、RL/RA≧0.8を満たす。
【0041】
本実施形態では、発熱抵抗体830の部分的な抵抗値である常温抵抗値R1は、0.35≦R1/RL≦0.50を満たす。常温抵抗値R1は、発熱抵抗体830の部分のうち支持体810の先端から軸線方向(Z軸方向)に長さL1(=L/4)の範囲に存在する部分の抵抗値である。常温抵抗値R1は、20℃の環境温度において測定される抵抗値である。本実施形態では、長さL1は、7.5mmである。他の実施形態では、長さL1は、7.5mm未満であってもよいし、7.5mm超過であってもよい。
【0042】
本実施形態では、発熱抵抗体830の部分的な抵抗値である常温抵抗値R2は、R1≦R2を満たす。常温抵抗値R2は、発熱抵抗体830の部分のうち支持体810の先端から軸線方向(Z軸方向)に長さLの範囲に存在する部分から、発熱抵抗体830の部分のうち支持体810の先端から軸線方向(Z軸方向)に長さL1の範囲に存在する部分を除いた、長さL2(=3L/4)の範囲に存在する部分の抵抗値である。常温抵抗値R2は、20℃の環境温度において測定される抵抗値である。本実施形態では、長さL2は、20mmである。他の実施形態では、長さL2は、20mm未満であってもよいし、20mm超過であってもよい。
【0043】
本実施形態では、発熱抵抗体830の部分的な抵抗値である常温抵抗値R3は、0.70≦R3/RL≦0.80を満たす。常温抵抗値R3は、発熱抵抗体830の部分のうち支持体810の先端から軸線方向(Z軸方向)に長さL3(=2L/3)の範囲に存在する部分の抵抗値である。常温抵抗値R3は、20℃の環境温度において測定される抵抗値である。本実施形態では、長さL3は、22.5mmである。他の実施形態では、長さL3は、22.5mm未満であってもよいし、22.5mm超過であってもよい。
【0044】
なお、本実施形態の常温抵抗値R1,R2,R3,RL,RAの各値は、発熱抵抗体830の仕様(例えば、折返し部832の断面積、線状部834の断面積、導電部836の断面積、折返し部832のY軸方向の長さ、線状部834の軸線方向(Z軸方向)の長さ、導電部836の軸線方向(Z軸方向)の長さなど)との関係に応じて調整可能である。
【0045】
本実施形態では、環境温度20℃においてグロープラグ10に11Vの電圧に印加することによって発熱抵抗体830に通電する場合、セラミックヒータ800の先端から軸線方向(Z軸方向)へ2mmに位置するセラミックヒータ800の表面温度が20℃から1000℃に到達する時間は、4秒以上である。
【0046】
A3.評価試験
図4は、グロープラグを評価した結果を示す表である。
図4の評価試験では、試験者は、発熱抵抗体の仕様が異なるグロープラグである試料S1,S2,S3,S4,S5,S6について評価を行った。試料S3,S4の構成は、上述したグロープラグ10と同様である。試料S1,S2,S5,S6は、発熱抵抗体の仕様が異なる点を除き、上述したグロープラグ10と同様である。
【0047】
各試料における発熱抵抗体の環境温度20℃における常温抵抗値RA,R1,R2,R3,RLは、
図4に示すとおりである。常温抵抗値R1,R2,R3,RL,RAは、前述したように、発熱抵抗体の部分的な抵抗値である。これらの常温抵抗値から、試験者は、抵抗集中率R1/RLと、抵抗集中率R3/RLと、抵抗比率R2/R1とを算出した。
【0048】
図5は、各試料の発熱抵抗体における抵抗値の分布特性を示すグラフである。
図5の横軸は、軸線方向(Z軸方向)におけるセラミックヒータの先端からの距離を示す。
図5の縦軸は、セラミックヒータの先端から各部位までの発熱抵抗体における抵抗集中率を示す。例えば、「長さL1における抵抗集中率が90%である」とは、長さLにおける発熱抵抗体の常温抵抗値RLに対する、長さL1での発熱抵抗体の常温抵抗値R1の抵抗集中率R1/RL(=0.9)の百分率が90%であることを指す。試料S1の発熱抵抗体は、他の試料と比較して先端側に抵抗が集中している。試料S2の発熱抵抗体は、試料S1と比較して先端側への抵抗の集中が緩和されている。試料S3の発熱抵抗体は、試料S2より更に先端側への抵抗の集中が緩和されている。試料S4,S5,S6の発熱抵抗体は、試料S3より更に先端側への抵抗の集中が緩和されている。なお、試料S4,S5,S6の各分布特性は、ほぼ同一である。
【0049】
各試料における発熱抵抗体は、11V印加・10秒時の温度T1が950℃以上になるように設計されている。温度T1は、20℃の環境温度で11V(ボルト)の電圧をグロープラグに印加してから10秒後において、セラミックヒータの先端から軸線方向へ2mmに位置するセラミックヒータの表面温度である。
【0050】
各試料における14V印加・飽和時の温度T2は、
図4に示すとおりである。温度T2は、20℃の環境温度で14V(ボルト)の電圧をグロープラグに印加した際に、セラミックヒータの先端から軸線方向へ2mmに位置するセラミックヒータの表面温度が飽和した飽和温度である。
【0051】
試験者は、各試料に対して耐久試験を実施した。耐久試験では、試験者は、試料であるグロープラグに対して、14Vの電圧を1分間通電した後、通電を30秒間停止して圧縮空気で強制的に冷却するまでを1サイクルとして、10万サイクル繰り返した。その後、試験者は、発熱抵抗体の常温抵抗値RAを測定し、次の評価基準に基づいて各試料の耐久性を評価した。
<評価基準>
○(良):評価試験の前後で発熱抵抗体の常温抵抗値RAの変化が10%未満
×(不可):評価試験の前後で発熱抵抗体の常温抵抗値RAの変化が10%以上
【0052】
図4の結果によれば、直通電タイプのグロープラグの耐久性を向上させる観点から、試料S3,S4の発熱抵抗体が好ましい。言い換えると、常温抵抗値RLは、0.50Ω以上であって、常温抵抗値R1は、0.35≦R1/RL≦0.50を満たすことが好ましい。また、常温抵抗値R2は、R1≦R2を満たすことが好ましい。また、常温抵抗値R3は、0.70≦R3/RL≦0.80を満たすことが好ましい。
【0053】
A4.効果
以上説明した実施形態によれば、常温抵抗値RLが0.50Ω以上であり、常温抵抗値R1が0.35≦R1/RL≦0.50を満たすことによって、発熱抵抗体830の先端側における発熱の立ち上がり特性を十分に確保しながら、過大なバッテリ電圧による発熱抵抗体830の先端側における過剰な発熱を抑制できる。その結果、直通電タイプのグロープラグ10の耐久性を向上させることができる。
【0054】
また、常温抵抗値R3が0.70≦R3/RL≦0.80を満たすことによって、発熱抵抗体830の先端側における発熱の立ち上がりを十分に確保しながら、過大なバッテリ電圧による発熱抵抗体830の先端側における過剰な発熱を抑制できる。
【0055】
また、環境温度20℃においてグロープラグ10に11Vの電圧に印加することによって発熱抵抗体830に通電する場合、セラミックヒータ800の先端から軸線方向へ2mmに位置するセラミックヒータ800の表面温度が20℃から1000℃に到達する時間は、4秒以上であるため、グロープラグ10の耐久性をいっそう向上させることができる。
【0056】
B.他の実施形態
本発明は、上述した実施形態、実施例および変形例に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現できる。例えば、実施形態、実施例および変形例における技術的特徴のうち、発明の概要の欄に記載した各形態における技術的特徴に対応するものは、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えおよび組み合わせを行うことが可能である。また、本明細書中に必須なものとして説明されていない技術的特徴については、適宜、削除することが可能である。