【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様から見ると、本技術は、データを記憶するように構成されている少なくとも1つのメモリと、
少なくとも1つのメモリ内のデータにアクセスするためのメモリ・トランザクションを発行するように構成されている処理回路と、
少なくとも1つのメモリの少なくとも1つの対象となるメモリ・ロケーションをテストするためにテスト・プロシージャが実施されることを指示するMBISTリクエストを受信するように構成されているメモリ・ビルトイン・セルフテスト(MBIST)インターフェースと、
MBISTインターフェースにより受信されるMBISTリクエストを検出し、MBISTリクエストを検出することに応答して、前記少なくとも1つの対象となるメモリ・ロケーションを含む少なくとも1つの予約済みメモリ・ロケーションをテストするために予約するように構成されている制御回路と
を含み、
テスト・プロシージャ中に、少なくとも1つのメモリが、制御回路により予約されている少なくとも1つの予約済みメモリ・ロケーション以外のメモリ・ロケーションを対象とするメモリ・トランザクションであって、処理回路により発行されるメモリ・トランザクションをサービスし続けるように構成されている、
データ処理装置を提供する。
【0005】
既存のオンライン・メモリ・テスト技術は、プロセッサ上で動作してメモリを直接テストするソフトウェア、又は外部デバイスがテスト・インターフェイースを介してテストを実施することができるように、テストされるメモリへのプロセッサ・アクセスを無効にするソフトウェアのどちらかを使用する。通常、ソフトウェアはその通常動作を停止し、テスト・モードに入る。これは極めてインベイシブであり、プロセッサがその通常機能を実施しないようにする。この問題に対処するために、少なくとも1つのメモリ内の少なくとも1つの対象となるメモリ・ロケーションにおいてテスト・プロシージャが実施されようとしていることを指示する、MBISTインターフェースにおいて受信されるMBISTリクエストを検出する制御回路が設けられている。MBISTリクエストの検出時に、設けられた制御回路は、テストされる少なくとも対象となるメモリ・ロケーションを含む少なくとも1つの予約メモリ・ロケーションをテストするために予約する。テスト・プロシージャが次いで実施された場合、少なくとも1つのメモリは、制御回路により予約されている少なくとも1つの予約済みメモリ・ロケーション以外のメモリ・ロケーションを対象とする、処理回路により発行されるメモリ・トランザクションをサービスし続けることができる。従って、少なくとも1つのメモリの一部分のみが予約され、他の部分が引き続き処理回路からのトランザクションをサービスすることができ、その結果、プロセッサは通常通り機能し続けてもよく、テスティングは、プロセッサ上で実行しているソフトウェアに対して透過的であり得る。(例えば、プロセッサが予約済みメモリ・ロケーションにアクセスする場合、プロセッサがストールされる可能性がある)テスティングのためのメモリを予約するためにハードウェアに専用の制御回路を設けることは、処理回路の処理に割り込んでMBISTを実施する必要を排除する。これは、MBISTプロシージャに起因するパフォーマンスへの影響を遥かに小さくすることに繋がり、従ってMBISTが回路の通常機能と共存することを可能にする。このことは、例えば、処理回路の通常処理を無効にすることは望ましくないと考えられるセーフクリティカル機能を実施するデータ処理装置にとって特に重要である。
【0006】
MBISTリクエストを検出し、テスティングのためにメモリ内のロケーションを予約する制御回路は、いくつかの場合、インターフェースにより受信されるトランザクションに対するデータ処理装置の応答を制御するためにMBISTインターフェースに連結されているMBISTインターフェース制御回路内に設けられていてもよい。他の場合に、制御回路は、少なくとも1つのメモリの1つ又は複数を制御するメモリ制御回路内に設けられていてもよい。例えば、所与のメモリのためのメモリ・コントローラは、そのメモリに向かって通過する全てのトランザクションを処理してもよく、また、テスティングのためのメモリ・ロケーションの予約及びテスト・トランザクションと通常メモリ・トランザクションとの間のアービトレーションを処理してもよい。メモリ・トランザクションのサービスを制御するための関数論理を再使用することができきるため、本手法は優れており、本手法はより良いタイミングを有し、メモリ・コントローラ関数論理をテストし、領域、電力、及びルーティングを減少させ、実施することが容易である。しかし、いくつかの場合に、制御回路は、MBISTインターフェース制御回路及びメモリ制御回路の両方の一部に対応してもよく、例えばMBISTインターフェース制御回路はMBISTリクエストを検出し、次いでメモリ制御回路をトリガしてテスティングのためのメモリ領域を予約させる。また、典型的なRAMマクロに論理を追加して、MBISTのためのメモリ・ロケーションを予約することにより制御回路を実装し、メモリ・トランザクションとMBISTテスト・トランザクションとの間でアービトレーションすることが可能であると考えられるが、これには、RAMの関数型インターフェースに待機信号を追加して、プロセッサが予約済みロケーションにアクセスしようとした場合に該プロセッサをストールする必要がある可能性がある。
【0007】
一般に、メモリ・ロケーションが何らかのテストをするために予約されてもよく、それにより、テスト・プロシージャが実施されている間に処理回路が予約済みメモリ・ロケーションにアクセスしないようになる。例えば、予約済みメモリ・ロケーションを対象とする、処理回路からのメモリ・トランザクションがストールされてもよいか、又は別途、サービスされないようにされてもよい。その間に、予約済み領域以外のメモリ領域を対象とする、処理回路により発行されるメモリ・トランザクションは、メモリにより通常通りサービスされ得る。プロセッサは様々な理由で(例えば、障害若しくは低速外部メモリへのアクセスに因り、又は要求されたデータ値がL1キャッシュ内に存在せず、そのためL2メモリからフェッチされなければならないため)ストールする可能性があるので、テスティングの理由で少数のクロック・サイクルの間ストールすることは異常ではないと考えられ、そのため全体的なパフォーマンスにそれほど悪影響を及ぼさないと考えられる。
【0008】
いくつかの場合に、制御回路は、単にメモリ・ユニット全体又はメモリ・ロケーションの特定のブロックへのアクセスを無効にする制御フラグを設定することにより、あるメモリ・トランザクションのサービスを阻止してもよい。他の場合に、制御回路は、どのロケーションが予約されているか否かを識別するロック・レコードを維持してもよい。メモリ制御回路内のアービトレーション・ユニットが、次いで、予約済みメモリ・ロケーションを対象とする、プロセッサからのメモリ・トランザクションをストールしてもよい。
【0009】
メモリ・ロケーションは、異なる粒度でのテスティングのために予約されてもよい。複数のメモリ・タイプを有するシステムでは、例えばデータ・キャッシュ、インストラクション・キャッシュ、データ密結合メモリ(DTCM:data tightly coupled memory)又はインストラクション密結合メモリ(ITCM:instruction tightly coupled memory)のうちのそのような2つ以上が設けられていてもよい。この場合、そのメモリ内の1つ又は複数のロケーションがテストされている場合に、メモリ・タイプ全体がテスティングのために予約されてもよく、一方、プロセッサは他のメモリ・タイプを使用し続けることができる。本手法は実際に実施するのに効率的である可能性がある。所与のメモリ・タイプを有していてもいなくてもよいシステム(例えば、DTCMは必ずしも設けられているとは限らない可能性がある)のために特定のプロセッサが設計されてもよいので、該装置は特定のメモリ・タイプを無効にする/有効にすることができる何らかの制御論理を既に有する可能性があり、該制御論理は、次いで、MBISTリクエストが受信されると、テスティングのためのメモリを予約するために再使用され得る。
【0010】
他方、また、メモリ・ロケーションが更なる微粒子レベルで予約され得ると考えられる。例えば、所与のメモリ・タイプがいくつかの論理メモリを含んでいてもよい(例えば、例えば2つのタグ・メモリと2つのデータ・メモリとを含めて、インストラクション・キャッシュが4つの論理メモリを含んでいてもよい)。各論理メモリはいくつかの物理メモリ・ユニットで作られていてもよく、各物理メモリ・ユニットは複数のバンク又はメモリ・ロケーションの他のサブ区分に分割されていてもよい。従って、所与のメモリ・タイプ、論理メモリ、物理メモリ・ユニット、バンク、行、又はテストされている対象となるロケーションを含むメモリ・ロケーションの他のサブ区分をテストするために予約することが可能である。また、メより大きなブロックのモリ・ロケーションではない、テスティングのための個々のロケーションを予約することが可能である。制御回路は、どのメモリ・ロケーション又はメモリ・ロケーションのグループがテスティングのためにロックされているのかを指示するロック情報を維持してもよく、その結果、これらのロケーションに対するメモリ・トランザクションがサービスされないようにされ得る。
【0011】
テスティングのためのメモリ・ロケーションの予約は、ソフトウェアの介入又は処理回路の割込みなしにハードウェアにおいて自動的に開始してもよい。MBISTリクエスト自体は、処理回路により実行されるソフトウェアによりトリガされてもよい一方、MBISTリクエストに対する応答は、制御回路によりハードウェア内にもたらされてもよく、その結果、テスティングは、処理回路上で実行しているソフトウェアに対して全体的に透過的である。
【0012】
テスト・プロシージャの完了後、制御回路は、処理回路により発行されるメモリ・トランザクションをサービスするために予約済みメモリ・ロケーションが再度使用可能になるように、予約済みメモリ・ロケーションを非予約状態にし(unreserve)てもよい。いくつかの場合、予約済みメモリ・ロケーションが非予約状態にされ得る前に、テスト・プロシージャが完全に終了する必要がない可能性がある。例えば、テスト・プロシージャの最終部分がテストされたメモリ・ロケーション内のデータを変更しなかった場合、且つこの時点までにテスト・プロシージャがこれらロケーション内のオリジナル・データを既に回復させていた場合、予約済みロケーションは、メモリが処理回路からのメモリ・トランザクションをサービスすることをより早く再開してMBISTのパフォーマンス・インパクトを低減することができるように、テスト・プロシージャの終了前に非予約状態にされてもよい。
【0013】
既存のMBISTテスト・プロシージャは、単一のテスト実行において、メモリ内のロケーション全てをテストする傾向がある。しかし、特にテスト・プロシージャがメモリの全ロケーションの端から端まで数度循環し、種々のチェックを実施することが多いので、これは完了するのに長時間を要する。これが、集積回路が使用可能であるかどうかを判定するために不良に関してメモリ空間全体がチェックされる必要がある場合、殆どのMBISTテスト・プロシージャが通常は製造テスティングのために設計されている理由である。しかし、オンラインMBISTを実施する場合、そのようなMBISTテスト・プロシージャは、重大なパフォーマンス・インパクトを引き起こすと考えられる。従って、既存のオンラインMBISTは、通常、いずれにせよプロセッサが完全に動作可能でない場合、パワーオン又はパワーオフで実施されるのみである。
【0014】
製造MBISTが既に製造中に実施されていると考えられるので、オンラインMBISTでは、テスト・プロシージャが製造MBISTと同じくらい完全であることを必要としないことを、本技術の発明者は分かっている。そのため、任意の1つのロケーションが不良であろう可能性は比較的少ないので、短時間にメモリ全体を調査するのではなく、長時間に亘ってテスティングを展開することが可能である。このことが活用されて、テスト・プロシージャのパフォーマンス・インパクトが低いことを確実にすることができ、その結果、オンラインMBISTは、パフォーマンス・インパクトを殆ど伴わずに、処理回路の通常動作と同時に実施され得る。
【0015】
従って、オンラインMBISTでは、テスティングがテスト・トランザクションの比較的短いバーストに分割されていてもよく、各バーストはメモリ・ロケーションのサブセットをテストするだけでもよい。例えば、トランザクションの各バーストは、1つ、2つ、又は他の比較的小さい数のメモリ・ロケーションをテストするだけでもよい。バーストが短いほど、処理パフォーマンスへの影響は小さくなる。更なるロケーションがテストされる必要がある場合、異なるロケーション・サブセットに関して複数のバーストが実施されてもよく、ある時間帯に亘って引き延ばされてもよい。経時的に、多数のバーストを実施することにより、メモリ全体がテストされ得る。連続バースト間の時間は、単一バーストのためのテスト・プロシージャを実施するのにかけられる時間よりずっと長い(例えば、例えば10,000クロック・サイクル毎などの、比較的低い頻度でバーストが発行され得るであろうが、単一バーストのためのテスト・プロシージャは20クロック・サイクル以下しかかからない可能性がある)。各短いテスト・バーストは、例えばカウンタによりトリガされて、定期的に起こり得る。カウンタが終了した場合、カウンタはMBISTコントローラに短いテスト・バーストを実施させ、MBISTリクエストを発行して制御回路をトリガし、データ処理装置がテスティングのために準備が整っているように設定させる。このように、パフォーマンス・インパクトは最小である。また、バーストの残りを完了させるのに長くかからないので、これらのテスト・プロシージャの1つの間にプロセッサにより割込みが受信された場合、割込みレイテンシは非常に低い。
【0016】
各バーストは、前のバーストに対して正確な間隔で起こる必要がない。重要なソフトウェアが実行されようとしているか又は現在実行されている時にバーストが起こる場合、それを延期するか又は実施しない能力を付与することが可能である。また、ソフトウェアがアイドルであるか又は非重要タスクを実施している可能性がある時に、例えば処理ループの最後に、バーストが起こるように、バーストはフトウェアに適合されることが可能であると考えられる。
【0017】
途中で、テスト・プロシージャのバーストに割り込む能力を付与することが可能である。例えば、プロセッサが重要な割込みをサービスする必要がある場合、割込みが起こる場合により、必要に応じて後で新しいバーストにおいて実施されることが可能であろうチェック・ステップを見逃すことにより、バーストは短縮されることが可能であると考えられる。しかし、バーストは非常に短い可能性があるので、バーストに割り込むことは、多くのクロック・サイクルを節約しない可能性があり、達成するのにより複雑なコントローラを必要とすると考えられる。従って、バーストが開始したら、テストされたロケーションが、バーストが開始した時にそれらがあった状態まで回復される時点まで割り込まれることが不可能であるように、テスト・プロシージャの各バーストを割込み不可能にすることは、より効率的である可能性がある。
【0018】
MBISTリクエストは、オフチップに配置されていてもよいMBISTコントローラからMBISTインターフェースにより受信されてもよい。或いは、オンチップ源がMBISTリクエストを生成してもよいか、又はMBISTコントローラの機能性はプロセッサ内に存在し得ると考えられる。
【0019】
制御回路がMBISTリクエストを検出した場合、制御回路は、MBIST信号面によりMBIST肯定応答信号を発行し、MBISTコントローラをトリガしてテスト・プロシージャを開始させてもよい。制御回路は、該装置がテスト・プロシージャを実施する準備が整った状態になるまで、確認応答信号を発行することを遅延させてもよい。例えば、プロセッサが、現在、割り込まれるべきでない重要なアクションを実行している場合、制御回路は確認応答を遅延させてもよい。また、確認応答信号が、処理回路により発行される少なくとも1つのインフライト・メモリ・トランザクションが完了されるまで遅延されてもよい。例えば、メモリ・トランザクションがキャッシュ・ミスに遭遇した可能性があり、これが外部メモリからの又は更なるキャッシュからのラインフィルをトリガした可能性がある。メモリ・コントローラ内の関数論理、例えば制御論理及びパイプライン・レジスタ、がMBISTトランザクションによりやはり使用されてもよいため、これもまた有益である。また、インフライト・トランザクションは、他のプロセッサが外部メモリ又はキャッシュにアクセスしないようにするいくつかのサブトランザクションで構成されているため、又は他の無関係のトランザクションがシステム内でブロックされる可能性があるため、インフライト・トランザクションをストールすることは望ましくない可能性がある。
【0020】
テスト・プロシージャの一部として、MBISTインターフェースは、少なくとも1つの対象となるメモリ・ロケーションをテストするために、MBISTコントローラからの少なくとも1つのテスト・トランザクションを受信してもよい。いくつかのシステムが、処理回路からの通常のメモリ・トランザクションに使用されるパスとは完全に別個の、インターフェースからメモリまでトランザクションを送る専用のMBISTトランザクション・パスを有していてもよい。この場合、各メモリが、インターフェースにより受信されるテスト・トランザクションとプロセッサからの通常のメモリ・トランザクションとの間で選択するマルチプレクサを有していてもよい。しかし、本手法は、回路の重複をもたらす可能性があり、機能タイミングに悪影響を及ぼす可能性があり、メモリにマルチプレクサを設けることは、メモリの部分がテストされている間に通常のメモリ・トランザクションがサービスされ続けることを可能にすることを難しくする可能性がある。
【0021】
従って、処理回路により使用されているメモリ制御回路の一部を再使用して、それがまたMBISTインターフェースからのテスト・トランザクションを搬送するように、メモリ・トランザクションをメモリへ送ることが有益である。例えば、各メモリが対応するメモリ・コントローラを有していてもよい。メモリ・コントローラは、通常のメモリ・トランザクションを処理する処理回路のロード/ストア・ユニットを備えたその通常インターフェースに加えて、(例えば、制御情報、アドレス、及びデータ値を含む)テスト・トランザクションを受信し且つそれらをメモリへ送るMBISTインターフェース・ユニットを有していてもよい。テスト・トランザクションのサービスを制御するメモリ制御回路を再使用することにより、テスト・トランザクションは、通常のメモリ・トランザクションと類似したレイテンシで「高速で」サービスされ得る。MBISTテスト・トランザクションがメモリ・インターフェースにおいてパイプライン・レジスタを通過させられることが可能であり且つ制御論理が再使用され得るので、これはメモリ・タイミングに殆ど又は全く影響を及ぼさず、回路領域及び電力消費を減少させる結果となり、また、メモリ・インターフェース論理の不良が検出可能であるため、テスト範囲が改善される。
【0022】
非透過的MBISTテスト・プロシージャが使用されてもよいが、テスト・プロシージャが透過的であることが特に有益であり、それは、(メモリ不良が検出されない場合)テスト・プロシージャの最後のテストされたメモリ・ロケーションのデータ値がテスト・プロシージャの開始時のデータ値と同じであることを意味する。従って、透過的テスト・プロシージャは、対象となるメモリ・ロケーションにおいて複数の動作を実施してもよいが、透過的テスト・プロシージャは、プロシージャの最後までに、メモリにオリジナル・データ値を回復させる。これは、プロセッサの通常処理への影響を増大させるであろう、ソフトウェアにおける状態保存/回復動作を、プロセッサが実施する必要をなくす。
【0023】
前述の通り、テスト・プロシージャは、一度に比較的少ないメモリ・ロケーションをテストする短いバーストにおいて実施されてもよい。より詳細には、テスト・プロシージャは、メモリの異なる部分に(例えば、異なるバンク、メモリの列又は行に)配置されている一対のメモリ・ロケーションをテストしてもよい。例えば、メモリ・ロケーションの対は、そのメモリ・アドレスが所与の定数で分離されている2つのロケーションであってもよい。一度に一対のロケーションをテストすることは、メモリ及びその関連制御論理により完全にストレスを掛けて、より強力なテストをもたらすのに有益であり得る。これが、最初に対の一方のロケーションから次いで他方から値を読み取り又は書き込むことが、異なる制御信号(例えば、ワード線又はバンク・セレクタ)がアサートされるようにするか若しくはクリアされるようにする可能性があるか、又はメモリ内の異なる回路が使用されるようにする可能性がある(例えば、ビット線調整及びセンス増幅器)理由であり、それは、メモリの一部へのアクセスにメモリの別の部分へのアクセスが続く可能性がある、メモリへの実際のアクセスに関連する遅延を、より正確に反映する可能性がある。また、特定のメモリ・トランザクションを完全機能速度で連続して実施することが望ましい。これは、最大機能速度で又はその付近でメモリ制御信号及び回路を切り替えることにより、メモリに更にストレスをかける。
【0024】
より詳細には、テスト・プロシージャの各バーストが、
(a)一対のメモリ・ロケーションから第1のデータ値及び第2のデータ値を読み取り、第1のデータ値及び第2のデータ値を第1の記憶ロケーション及び第2の記憶ロケーションに保存するステップと、
(b)選択されたデータ値を一対のメモリ・ロケーションに書き込むステップと、
(c)一対のメモリ・ロケーションから読み取られたデータ値が、一対のメモリ・ロケーションに書き込まれた、選択されたデータ値にマッチするかどうかチェックするステップと、
(d)第1の記憶ロケーション及び第2の記憶ロケーションからの第1のデータ値及び第2のデータ値を一対のメモリ・ロケーションに書き込むステップと、
(e)一対のメモリ・ロケーションから読み取られたデータ値が、第1の記憶ロケーション及び第2の記憶ロケーションに記憶された第1のデータ値及び第2のデータ値にマッチするかどうかチェックするステップと
を含んでいてもよい。
【0025】
従って、このテスト・アルゴリズムは、一対のロケーションから既存の値を読み取り、それらを(レジスタなどの)所定のロケーションに保存して、テストの最後にこれらの値が回復され得ることを確認してもよい。いくつかの選択されたデータ値が一対のメモリ・ロケーションに書き込まれ、次いでそれらが引き続き書き込まれた値と同じであるかどうかチェックするために読み取り戻される。選択されたデータ値は、一対のロケーションに関して同じであってもよいか又は異なっていてもよく、第1のデータ値及び第2のデータ値の1つに基づいていてもよく、又は代わりに完全に無関係な値であり得ると考えられる。オリジナルの第1のデータ値及び第2のデータ値は、次いで、メモリ・ロケーションに回復され、次いでそれらが正しいかどうかチェックするために読み取り戻される。全てのチェックが終わった場合、一対のロケーションはエラーなしと判定されてもよく、一方、チェックの1つが値の1つがその期待値にマッチしないことを発見した場合、エラーが信号で伝えられる。
【0026】
データ値及び関連するデータ・チェック論理を記憶するために使用されるレジスタは、MBISTコントローラの一部であってもよいか、又はプロセッサ内に、メモリに近接して、例えば各メモリ・コントローラ内に、あってもよい。このデータパス論理がプロセッサの内部に配置されている場合、MBISTコントローラは、各メモリ・トランザクションに関してアドレス及び制御情報を供給するのみであると考えられ、データ値を受信又は送信しないと考えられる。このデータパス論理をメモリに近接して配置する利点は、MBISTインターフェースにおいて読み取られたアドレスを発行することとデータ・レジスタに読み取り戻されたデータを受信することとの間のレイテンシが短縮され得ることである。これは、次いで、追加領域を犠牲にして、上記の例示的テスト・プロシージャの部分(a)と部分(b)との間の少数のクロック・サイクルを節約する。
【0027】
一対のメモリ・ロケーションへの第2の書込みが完了したら(上記の部分(d))、値が正しいかどうかチェックするための部分(e)での後続の読取りがメモリ内の値に影響を及ぼさず、そのため、プロセッサはこれらの領域へのメモリ・トランザクションの発行を再度開始することができるので、予約済みメモリ領域は非予約状態にされ得る。部分(e)でその後エラーが検出された場合、チェックが完了する前に不良メモリ・ロケーションに既に発行されていた任意のトランザクションの結果を処理回路が処理しないようにする可能性がある、エラー発見プロセスが起動され得る。
【0028】
別の態様から見ると、本技術は、
データを記憶するための少なくとも1つのメモリ手段と、
少なくとも1つのメモリ手段内のデータにアクセスするためのメモリ・トランザクションを発行するための処理手段と、
少なくとも1つのメモリ手段の少なくとも1つの対象となるメモリ・ロケーションをテストするためにテスト・プロシージャが実施されることを指示するMBISTリクエストを受信するためのメモリ・ビルトイン・セルフテスト(MBIST)インターフェース手段と、
MBISTインターフェースにより受信されるMBISTリクエストを検出し、MBISTリクエストを検出することに応答して、前記少なくとも1つの対象となるメモリ・ロケーションを含む少なくとも1つの予約済みメモリ・ロケーションをテストするために予約するための制御手段と
を含み、
テスト・プロシージャ中に、少なくとも1つのメモリ手段は、制御手段により予約された少なくとも1つの予約済みメモリ・ロケーション以外のメモリ・ロケーションを対象とするメモリ・トランザクションであって、処理手段により発行されるメモリ・トランザクションをサービスし続けるように構成されている、
データ処理装置を提供する。
【0029】
更なる態様から見ると、本技術は、少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つのメモリ内のデータにアクセスするためのメモリ・トランザクションを発行するように構成されている処理回路とを含むデータ処理装置のためのメモリ・ビルトイン・セルフテスト(MBIST)方法を提供し、
本方法は、
データ処理装置のMBISTインターフェースにより受信されるメモリ・ビルトイン・セルフテスト(MBIST)リクエストを検出するステップであり、MBISTリクエストは、少なくとも1つのメモリの少なくとも1つの対象となるメモリ・ロケーションをテストするためにテスト・プロシージャが実施されることを指示する、検出するステップと、
MBISTリクエストを検出するステップに応答して、少なくとも1つの対象となるメモリ・ロケーションを含む少なくとも1つの予約済みメモリ・ロケーションをテストするために予約するステップと、
テスト・プロシージャ中に、少なくとも1つのメモリは、少なくとも1つの予約済みメモリ・ロケーション以外のメモリ・ロケーションを対象とするメモリ・トランザクションであって、処理回路により発行されるメモリ・トランザクションをサービスするステップと
を含み、
データ処理装置は、MBISTリクエストを検出し、MBISTリクエストを検出するステップに応答して、少なくとも1つの予約済みメモリ・ロケーションを予約する制御回路を含む、
方法。
【0030】
本技術の更なる態様、特徴、及び利点が、添付図面と併せて読まれるべきである以下の例の説明から明らかになるであろう。