(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6535523
(24)【登録日】2019年6月7日
(45)【発行日】2019年6月26日
(54)【発明の名称】スプリンクラーヘッド用継手
(51)【国際特許分類】
A62C 35/68 20060101AFI20190617BHJP
【FI】
A62C35/68
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-129343(P2015-129343)
(22)【出願日】2015年6月27日
(65)【公開番号】特開2017-12254(P2017-12254A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000199186
【氏名又は名称】千住スプリンクラー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大越 久誉
(72)【発明者】
【氏名】金 幸宏
【審査官】
首藤 崇聡
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−357981(JP,A)
【文献】
特開2005−042855(JP,A)
【文献】
実開昭58−082588(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 35/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状をした継手本体の一端側は給水源に続く配管と接続されており、
他端側はスプリンクラーヘッドのノズルに差し込まれる挿通部を備え、
前記挿通部と前記ノズルの間にはシール部材が設置されており、
前記挿通部の外周面から所定間隔を隔てた箇所に、前記ノズルの外部に形成された牡ネジと係合する突起が形成され、
前記シール部材は、挿通部の外周面とノズルの内周面の間に設置されていることを特徴とするスプリンクラーヘッド用継手。
【請求項2】
前記スプリンクラーヘッドの牡ネジと係合する前記突起は、前記挿通部の外周面から所定間隔を隔てて設置された筒部の内周部に設置される請求項1記載のスプリンクラーヘッド用継手。
【請求項3】
前記スプリンクラーヘッドの牡ネジと係合する前記突起は、前記スプリンクラーヘッドの牡ネジと螺合可能な牝ネジである請求項1または請求項2記載のスプリンクラーヘッド用継手。
【請求項4】
前記スプリンクラーヘッドの牡ネジと係合する前記突起は、前記スプリンクラーヘッドの牡ネジの溝に対応する位置に前記筒部の内周面から突出して設置された複数の突起である請求項1または請求項2記載のスプリンクラーヘッド用継手。
【請求項5】
前記突起の先端は前記スプリンクラーヘッドの牡ネジの方向に移動可能である請求項4記載のスプリンクラーヘッド用継手。
【請求項6】
前記突起は、前記筒部の側面を貫いた穴の内部に設置されたピンである請求項5記載のスプリンクラーヘッド用継手。
【請求項7】
前記突起は前記筒部の外部に設置したスリーブにより移動可能である請求項5または請求項6記載のスプリンクラーヘッド用継手。
【請求項8】
シール部材は環状であり、挿通部の外周面に刻設された溝に埋め込まれて設置されている請求項1〜請求項7何れか1項記載のスプリンクラーヘッド用継手。
【請求項9】
前記牝ネジの端面は前記挿通部の端面よりも前記スプリンクラーヘッド側に突出している請求項3記載のスプリンクラーヘッド用継手。
【請求項10】
前記継手本体における前記挿通部と前記一端側の間には前記スプリンクラーヘッドの前記ノズルの端面が当接する段が形成されている請求項1〜請求項9何れか1項記載のスプリンクラーヘッド用継手。
【請求項11】
前記継手本体の内径は一端側が大径であり、他端側が小径である請求項1〜請求項10何れか1項記載のスプリンクラーヘッド用継手。
【請求項12】
筒状をした継手本体の一端側は給水源に続く配管と接続されており、
他端側はスプリンクラーヘッドのノズルに差し込まれる挿通部を備え、
前記挿通部と前記ノズルの間にはシール部材が設置され、
前記挿通部の外周面から所定間隔を隔てた箇所に、前記ノズルの外部に形成された牡ネジと係合する突起が形成されており、
前記挿通部の最小内径は前記ノズルの最小内径よりも大きいことを特徴とするスプリンクラーヘッド用継手。
【請求項13】
前記挿通部の最小内径は、5mm〜15mmである請求項12記載のスプリンクラーヘッド用継手。
【請求項14】
前記継手本体の外周面には前記スリーブの移動する方向に溝が形成され、前記スリーブの内面には前記溝と係合可能な爪が設置されており、前記スリーブの下端には前記スプリンクラーヘッドの外周形状と係合可能な係合部が形成されている請求項1〜請求項13何れか1項記載のスプリンクラーヘッド用継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火用のスプリンクラーヘッドが接続される継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
消火用のスプリンクラーヘッドは主に建物の天井面に設置されており、火災時に自動的に作動して水を散布し消火を行うものである。スプリンクラーヘッドは天井裏に敷設された消火設備配管と接続されており、消火設備配管は水源と接続しており常時水が充填されている。
【0003】
スプリンクラーヘッドは天井面に所定間隔で設置されており、建物の設計時に設置位置が定められる。所定の位置にスプリンクラーヘッドを設置するため、スプリンクラーヘッドと消火設備配管は、可撓性を有する金属性のフレキ配管や樹脂配管を介して接続されていることが多い。
【0004】
スプリンクラーヘッドと配管の接続部はネジ構造となっており、スプリンクラーヘッドの牡ネジにシールテープを巻いてから、配管側の牝ネジと螺合接続している。このネジを所定のトルクで締付けることでシールテープが牡ネジと牝ネジの隙間に密着して水漏れを防いでいる。しかしながら、作業に不慣れなものが行うとシールテープの巻き方が悪かったり、締付け時のトルクが不足すると水漏れが生じてしまうことがあった。水漏れが生じた場合には手直しを行うため、施工効率が低下する要因となっていた。
【0005】
この解決策として、例えば特許文献1に記載されたスプリンクラーヘッドの取付構造がある。これはシールテープを用いずに、継手の内周にシール部材としてOリングを設置したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−357981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献1のスプリンクラーヘッドの取付構造は、Oリングにより作業者の技量によらず水漏れを防ぐことが可能であるが、Oリングの設置により継手とスプリンクラーヘッドの全長が増加してしまうという問題がある。
【0008】
近年において、特にマンション等の共同住宅では天井裏の懐寸法が狭くなっており、継手やスプリンクラーヘッドの全長が増加すると、天井裏の空間にスプリンクラーヘッドが納まりきらず、室内側への突出量が増えてしまい意匠的に好ましくない。
【0009】
そこで本発明では、上記問題に鑑み、作業者の技量に左右されず漏れを防止可能であり、さらに天井裏の懐寸法が狭い場合においても設置可能なスプリンクラーヘッド用継手を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために本発明は、筒状をした継手本体の一端側は給水源に続く配管と接続されており、他端側はスプリンクラーヘッドのノズルに差し込まれる挿通部を備え、挿通部とノズルの間にはシール部材が設置されており、挿通部の外周面から所定間隔を隔てた箇所に、ノズルの外部に形成された牡ネジと係合する突起が形成されていることを特徴とするスプリンクラーヘッド用継手である。挿通部をスプリンクラーヘッドのノズル内部に差し込み、挿通部とノズルの間にシール部材を設置することで継手の全長を増加させることなくシール部材を継手内部に組み込むことができる。また、挿通部とノズルの間にシール部材を設置したことでネジが多少緩んでもシール性能に影響を及ぼさない構成にすることができる。
【0011】
また、スプリンクラーヘッドの継手本体への着脱時において、シール部材が設置された挿通部とスプリンクラーヘッドの牡ネジを係合する突起との間が、所定の間隔によって隔てられているので、シール部材にスプリンクラーヘッドの牡ネジのネジ山が触れたり干渉することがなく、牡ネジの鋭角部によってシール部材に傷が付かない構成にしている。さらに挿通部はノズルの内部に挿通されるので、Oリングのような止水部材を複数設置することも可能であり、継手やスプリンクラーヘッドの全長を増やすことなくシール部材を複数設置させてシール性を向上させることができる。
【0012】
スプリンクラーヘッドの牡ネジと係合する突起は、継手本体の挿通部の外周面から所定間隔を隔てて設置された筒部の内周部に設置される。突起は具体的には、前記牡ネジと螺合可能な牝ネジとして構成可能である。あるいは牡ネジの溝に対応する位置に筒部の内周面から突出して設置された複数の突起として構成可能である。この複数の突起は、筒部の側面を貫通する複数の穴の内部に設置されたピンとすることも可能であり、筒部の外部に設置したスリーブによりピンの先端を筒部の内周面から突出させてスプリンクラーヘッドの牡ネジの方向に移動可能である。
【0013】
前記シール部材は、挿通部の外周面とノズルの内周面の間に設置されており、シール部材を環状として、挿通部の外周面に刻設された溝に埋め込んで設置することができる。またこれに対応してノズルの内周面にシール部材が当接するシール面を設置すると安定したシール性能を得ることができる。
【0014】
また、牝ネジの端面を挿通部の端面よりもスプリンクラーヘッド側に突出して設置すると、スプリンクラーヘッドを取り外す際に、ネジの係合状態が外れるよりも先にシール部材の止水作用が解除されることから継手内部に残留していた流体の圧力が降下した後にネジの係合が外れるのでスプリンクラーヘッドを安全に取り外すことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、挿通部をスプリンクラーヘッドのノズル内部に差し込み、挿通部とノズルの間にシール部材を設置することで継手の全長を増加させることなくシール部材を継手内部に組み込むことができる。また天井裏の懐寸法が狭い場合においてもスプリンクラーヘッドを設置可能な継手構造を実現することができる。さらに挿通部とノズルの間にOリングのようなシール部材を設置することで作業者の技量によらず漏れを防止可能なスプリンクラーヘッド用継手を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態のスプリンクラーヘッド用継手とスプリンクラーヘッドの断面図。
【
図2】
図1の二点鎖線の内側の拡大図(スプリンクラーヘッド取付時)。
【
図3】
図1の二点鎖線の内側の拡大図(スプリンクラーヘッド取付後)。
【
図4】
図1のスプリンクラーヘッド用継手の分解斜視図(一部断面、バネ3は省略)。
【
図5】
図1のX−X断面図であり、(a)はスリーブ2を反時計回りに回転させた状態。(b)はスリーブ2を時計回りに回転させた状態。
【
図6】
図1のスプリンクラーヘッド取付後の断面図。
【
図7】
図6の状態からスプリンクラーヘッドを取外すときの断面図。
【
図8】第2実施形態のスプリンクラーヘッド用継手にスプリンクラーヘッドを取付けた状態の断面図。
【
図9】第2実施形態のスプリンクラーヘッド用継手の変形例の断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
第1実施形態(
図1〜
図7)
本発明の第1実施形態のスプリンクラーヘッド用継手100は、継手本体1、スリーブ2、バネ3から構成される。
【0018】
継手本体1は、円筒形状をしており、一端が給水源に続く配管Pと接続されている。他端側はスプリンクラーヘッド5のノズル51に差し込まれる挿通部11となっている。継手本体1の内径は一端側から他端側に向かうに従い小径となっており、挿通部11の最小内径は5mm〜15mm程度である。
【0019】
挿通部11の外周面には環状に溝が刻設され、溝の内部にOリングのようなシール部材12、13が設置されている。図中において挿通部11の上方には段14が形成されており、段14にはスプリンクラーヘッド5の端面が当接される。シール部材12、13は、挿通部11に設置されているが、これに替えてスプリンクラーヘッド5のノズル51の内周面に設置することも可能である。
【0020】
挿通部11の外部には、筒状をした筒部15が固定設置される。筒部15の内周面は挿通部11の外周面から離間して設置されており、筒部15の内周面と挿通部11の外周面との間の空間にスプリンクラーヘッドの牡ネジ52が挿通される。これにより継手本体1を挿通部11と筒部15の二重構造にして、挿通部11をスプリンクラーヘッド5のノズル51の内部に差し込ませ、挿通部11とノズル51の間にシール部材12、13を設置することで継手本体1の全長を増加させることなくシール部材12、13を継手内部に組み込むことができる。
【0021】
また、筒部15の内周面と挿通部11の外周面との間の空間にスプリンクラーヘッドの牡ネジ52を挿通させることで、牡ネジ52は筒部15の内周面と対向し、ノズル内周面が挿通部11の外周面と対向するので、挿通部11に設置されたシール部材12、13に牡ネジ51のネジ山が触れたり干渉することがなく、牡ネジ52のネジ山の先端等によってシール部材12、13に傷が付くことを防止できる。
【0022】
筒部15には側面を貫通する複数の穴16が穿設されており、穴16は牝ネジ52の溝に対応する位置に穿設されている。穴16の内部にはピン17が差し込まれており、ピン17の先端は先細りしたテーパー状に形成されており、牡ネジ52のネジ山の溝に係合可能である。その反対側の端には鍔18が形成されている。穴16には鍔18が収容可能な段19が形成されている。鍔18の端面は曲面状に形成されており、後述するリング27が鍔18に引っかかることなくスムーズに上下方向に移動できるようにしている。
【0023】
筒部15の上部外周には、継手本体1の中心軸Aと平行な溝Mが複数刻設されている。溝Mは後述するスリーブ2の爪21と係合される。
【0024】
スリーブ2は筒部15の外部に設置されている。スリーブ2は筒状をしており、上部の内周面には前述の縦溝Mと係合される爪21が複数設置されている。爪21はスリーブ2の周面を周方向に沿って切欠かれて形成しており、爪21はスリーブの外周側に弾性変形可能である。爪21の先端部22はスリーブ2の内周面よりも僅かに内側に突出しており、先端部22とスリーブ2の内周面との間には緩やかな斜面が形成されている。爪21の端面23は溝Mに当接して回転を阻止するストッパーとなっている。これによりスリーブ2は一方向にのみ回転可能となっている。
【0025】
より具体的に説明すると、
図5(b)に示すようにスリーブ2を時計回りに回転させると、爪21の先端部22は斜面により溝Mを乗り越えて外側に弾性変形して回転可能である。一方、
図5(a)に示すようにスリーブ2が反時計回りに回転させると、先端部22の端面23が溝Mの側面に当接して係止され回転が阻止される。これによってネジが締まる方向への回転を許容してスプリンクラーヘッド5が継手本体1から外れる方向に回転することを防止している。
【0026】
スリーブ2の爪21は前述のとおり溝Mと係合しており、スリーブ2は溝Mに沿って図中上下方向に移動可能である。スリーブ2の内部には段25が形成されており、段25と縦溝Mの端面との間にはバネ3が設置されている。バネ3はコイルスプリングであり、スリーブ2をスプリンクラーヘッド5の方向に付勢している。
【0027】
スリーブ2の段部25よりも下方には、スプリンクラーヘッド5の外周部53と係合可能な係合部として凸部26が形成されている。凸部26はスプリンクラーヘッド5の外周部53に形成された凹部54と係合可能である。スリーブ2はバネ3によってスプリンクラーヘッド5の方向に付勢されているので、凸部26と凹部54は常に係合した状態を維持している(
図2参照)。
【0028】
段部25と凸部26の間には、環状をしたリング27がスリーブ2に固定設置されている。リング27の内周は、上方が小径部28となっており筒部15の外周径よりも僅かに大径となっている。リング27の下方は上方よりも大きな内径を有する大径部29となっている。小径部28と大径部29の間は斜面によって接続されている。
【0029】
リング27の内周面はピン17の鍔18を押圧する面となっており、リング27は金属材料により構成される。リング27のスリーブ2を上方に移動させると、鍔18の位置に大径部29が配置されてピン17の先端は筒部15の内周面からはみ出さずに筒部15の内周面の内部に配置される(
図2参照)。スリーブ2を下方に移動させると、小径部28の内周面が鍔18を押圧して段19の内部に収容され、ピン17の先端が筒部15の内周面から牡ネジ52側に突出する(
図3参照)。
【0030】
スプリンクラーヘッド5は上端側に給水源と接続される牡ネジ52を有しており、牡ネジ52の内部はノズル51が形成されている。スプリンクラーヘッド5の詳細構造については公知であり、本発明に関する部分のみを説明して、それ以外の部分の詳細な説明は省略する。
【0031】
スプリンクラーヘッド5のノズル51にはシール部材12、13が接触するシール面51Aが形成されている。シール面51Aは平滑な内周面となっており、シール面51Aよりも下方は内径が絞られている。ノズル51の最小内径は挿通部11の最小内径よりも小さい。ノズル51の下端は弁55によって常時閉塞されており、火災時には弁55がノズル51から離れて配管Pに充填されている水がノズル51から放出される。
【0032】
牡ネジ52の形状は、一般的に管用テーパーネジが用いられており、サイズはR1/2が主流である。スプリンクラーヘッド5の外周部53には牡ネジ52を回転させるためにレンチ等の工具を係合させる溝や突起等の工具係合部が設けられている。本実施形態においては、スプリンクラーヘッドの外周側面に形成された凹部54に工具を係合させる構造となっている。
【0033】
続いて第1実施形態によるスプリンクラーヘッド用継手100とスプリンクラーヘッド50の着脱手順を説明する。
【0034】
先に取付手順を説明する。スリーブ2を継手本体1の一端側に引き上げ、挿通部11にスプリンクラーヘッド5のノズル51を差し込ませる。このとき、ピン17の先端は筒部15の内周面よりも内側に配置される。スプリンクラーヘッド5が止水部材12、13に当接したら、スリーブ2から手を離す。スリーブ2はバネ3の作用によりスプリンクラーヘッド5の方向に移動する。
【0035】
そしてスプリンクラーヘッド5を牡ネジ52が締まる方向に回転させて、ピン17を牡ネジ52としっかり係合させる。また回転動作の際に、スリーブ2の凸部26と凹部54の位置が重なるとバネ3の作用により凸部26が凹部54と係合して、スリーブ2とスプリンクラーヘッド5が供回りする。ここで爪21が弾性変形により溝Mを乗り越えて継手本体1に対してスリーブ2が回転可能となる。スプリンクラーヘッド5の端部が継手本体1の段14に当たり、牡ネジ52の回転ができなくなったら取付が完了する。
【0036】
上記以外の取付方法として、スリーブ2を引き上げずに、筒部15の内部にスプリンクラーヘッド5のノズル51を挿入させて牡ネジ52が締まる方向に回転させると、ピン17と牡ネジ52が螺合しながらノズル51を挿通部11に差し込むことができる。回転の途中でスリーブ2の凸部26と凹部54の位置が重なるとバネ3の作用により凸部26が凹部54と係合して、スリーブ2とスプリンクラーヘッド5が供回りする。スプリンクラーヘッド5の端面が段14に当接するまでねじ込んだら取付を完了する。
【0037】
次に取り外し手順を説明する。スプリンクラーヘッド5は天井に設置された状態であり、継手本体1は天井裏に設置された状態にある。この状態において、溝Mと爪21が係合しており、さらに凸部26と凹部54が係合しているので、スプリンクラーヘッド5は継手本体1とスリーブ2によって回転を阻止されている。
【0038】
まずスプリンクラーヘッド5にレンチRを係合させる。具体的には筒状をしたレンチRの内部にスプリンクラーヘッド5を挿通させ、レンチRの内周端に形成された凸部R1とスプリンクラーヘッド5の凹部54と係合させる。すると、レンチRの先端によりスリーブ2の下端が上方に押上げられ、スリーブ2の凸部26と凹部54の係合が解除される(
図7参照)。この状態でスプリンクラーヘッド5を外れる方向に回転させて継手本体1からスプリンクラーヘッド5を取り外す。
【0039】
第2実施形態(
図8)
第2実施形態のスプリンクラーヘッド用継手200は、牡ネジ52と螺合可能な牝ネジとしたものである。尚第1実施形態と構造が同じ箇所には同符号を付して詳細な説明は省略する。
【0040】
図8に示すスプリンクラーヘッド用継手200は、筒部15の内周面に牝ネジ61が形成されている。牝ネジ61と牡ネジ52の接続構造は、通常のネジ構造のようにスプリンクラーヘッド5を回転させて取付ける構造である。牡ネジ52の形状が管用テーパーネジの場合、牝ネジ61の形状は管用テーパーネジとしたり、あるいは管用平行ネジを用いることができる。
【0041】
図8において、挿通部11の下端面に対して牝ネジ61の端面はスプリンクラーヘッド5の方向に突出して設置されている。これにより、スプリンクラーヘッド5を取り外す際に、ネジの係合状態が外れるよりも先にシール部材12、13の止水作用が解除されることから継手本体1の内部に残留していた流体の圧力が降下した後にネジの係合が外れるのでスプリンクラーヘッド5を安全に取り外すことができる。
【0042】
第2実施形態のスプリンクラーヘッド用継手200とスプリンクラーヘッド50の取付手順については、通常のネジ接合と同様に行うことができる。先ず、スプリンクラーヘッド5の牡ネジ51を継手本体1の牝ネジ61に螺入させる。すると、スリーブ2の下端とスプリンクラーヘッド5の外周部53が近づく。さらに螺入を続けるとスリーブ2の凸部26と外周部53の凹部54が係合する。スプリンクラーヘッド5の端部が継手本体1の段14に当たり、牡ネジ52の回転ができなくなったら取付が完了する。
【0043】
取り外しの手順は第1実施形態と同じであるので説明は省略する。第2実施形態においては、取付、取り外しの手順が通常のネジ接続と同じであることから、作業者が直感的に作業手順を理解することができる。それに加えてスリーブ2がバネ3によってスプリンクラーヘッド5の方向に付勢されていることから、牡ネジ52を牝ネジ61に螺入させる過程で自動的に凸部26と凹部54が係合され、牡ネジ52が締まる方向にのみ回転可能となり、継手本体1が天井裏に設置された後も牡ネジ52が外れる方向に回転することを防止する。
【0044】
第2実施形態の変形例(
図9)
上記に説明した第2実施形態の変形例として、
図9に示すように牡ネジ52との係合構造を、牡ネジ52の溝に対応する位置に筒部15の内周面よりも牡ネジ52側に突出して設置された複数の突起71として構成することも可能である。突起71は前述の牝ネジ61のように連続した螺旋状の溝ではなく、筒部15の内周面に牡ネジ52の溝に対応する位置に設置した複数の突起71により構成したものである。
図9において突起71を設置した牡ネジ係合部材72を筒部15の内周部に組み込んで構成することもできる。
【符号の説明】
【0045】
100、200 スプリンクラーヘッド用継手
1 継手本体
2 スリーブ
3 バネ
5 スプリンクラーヘッド
11 挿通部
12、13 シール部材
14 段
15 筒部
16 穴
17 ピン
21 爪
26 凸部
27 リング
51 ノズル
52 牡ネジ
54 凹部
61 牝ネジ
71 突起
M 溝