(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6535532
(24)【登録日】2019年6月7日
(45)【発行日】2019年6月26日
(54)【発明の名称】イオン交換樹脂の再生方法
(51)【国際特許分類】
B01J 49/05 20170101AFI20190617BHJP
B01J 49/60 20170101ALI20190617BHJP
【FI】
B01J49/05
B01J49/60
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-144557(P2015-144557)
(22)【出願日】2015年7月22日
(65)【公開番号】特開2017-23932(P2017-23932A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年6月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014074
【氏名又は名称】前澤工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(72)【発明者】
【氏名】赤澤 尚友
【審査官】
富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−117679(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第101450331(CN,A)
【文献】
特開昭54−127871(JP,A)
【文献】
特開2013−188720(JP,A)
【文献】
特開平03−181384(JP,A)
【文献】
特開2009−278882(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 39/00−49/90
C02F 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン交換能力の低下したイオン交換樹脂を収容した再生処理タンクに、再生液を供給して前記イオン交換樹脂を再生するイオン交換樹脂の再生方法において、
前記再生処理タンクにイオン交換能力の低下した前記イオン交換樹脂を収容して洗浄水を供給し、前記イオン交換樹脂を水洗し、イオン交換樹脂洗浄後の洗浄水を排出する第1水洗工程と、
第1水洗工程終了後、再生液タンクから前記再生液を前記再生処理タンクに供給して前記イオン交換樹脂を再生する再生工程と、
前記イオン交換樹脂を再生後の前記再生液を排出する再生液排出工程と、
再生液排出工程で排出された前記再生液の状態をセンサでモニターし、前記イオン交換樹脂の再生が終了したことを検知した際に、前記再生液の排出を停止すると共に、前記再生処理タンク内に残留した前記再生液を前記再生処理タンクの中間部に設けられた再生液戻し経路を介して前記再生液タンクに戻す再生液戻し工程と、
該再生液戻し工程終了後に、前記再生処理タンクに洗浄水を供給し、前記イオン交換樹脂を水洗し、次いで、前記イオン交換樹脂を洗浄後の洗浄水を排出する第2水洗工程とを有することを特徴とするイオン交換樹脂の再生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン交換樹脂の再生方法に関し、詳しくは、イオン交換能力の低下したイオン交換樹脂を収容した再生処理タンクに、再生液を供給してイオン交換樹脂を再生するイオン交換樹脂の再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、溶液中に含まれた各イオンを分離するために、イオン交換樹脂が用いられているが、このイオン交換樹脂は、一定量のイオン交換を行うとイオン交換能力を失うことから、元の交換イオンを含む再生液に浸漬させて再生させている。このイオン交換樹脂の再生方法として、イオン交換能力の低下したイオン交換樹脂を収容した再生処理タンクに、再生液を収容した再生液タンクから再生液供給径路を介して再生液を供給し、再生処理タンクの出口から廃液径路を介してイオン交換樹脂を通過した再生液を廃液槽に送るものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−270214号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の特許文献1のものでは、イオン交換樹脂の再生が終了した際に、再生処理タンクに残留した再生液は、廃液径路を介して廃液槽に送られ、無駄に廃棄されていた。
【0005】
そこで本発明は、イオン交換樹脂の再生が終了した際に、再生処理タンクに残留した再生液を再生液タンクに戻し、無駄を無くすことができるイオン交換樹脂の再生方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のイオン交換樹脂の再生方法は、イオン交換能力の低下したイオン交換樹脂を収容した再生処理タンクに、再生液を供給して前記イオン交換樹脂を再生するイオン交換樹脂の再生方法において、前記再生処理タンクにイオン交換能力の低下した前記イオン交換樹脂を収容して洗浄水を供給し、前記イオン交換樹脂を水洗し、イオン交換樹脂洗浄後の洗浄水を排出する第1水洗工程と、第1水洗工程終了後、再生液タンクから前記再生液を前記再生処理タンクに供給して前記イオン交換樹脂を再生する再生工程と、前記イオン交換樹脂を再生後の前記再生液を排出する再生液排出工程と、再生液排出工程で排出された前記再生液の状態をセンサでモニターし、前記イオン交換樹脂の再生が終了したことを検知した際に、前記再生液の排出を停止すると共に、前記再生処理タンク内に残留した前記再生液を
前記再生処理タンクの中間部に設けられた再生液戻し経路を介して前記再生液タンクに戻す再生液戻し工程と、該再生液戻し工程終了後に、前記再生処理タンクに洗浄水を供給し、前記イオン交換樹脂を水洗し、次いで、前記イオン交換樹脂を洗浄後の洗浄水を排出する第2水洗工程とを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明のイオン交換樹脂の再生方法によれば、再生液排出工程で排出された前記再生液の状態をセンサによってモニターし、イオン交換樹脂の再生が終了したことを検知した際に、再生液の排出を停止すると共に、再生処理タンク内に残留した再生液を再生液戻し径路を介して再生液タンクに戻す再生液戻し工程を備えていることにより、再生液を無駄にすることなく有効に利用することができ、コストの削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一形態例を示すイオン交換樹脂再生装置の系統図である。
【
図2】第1水洗工程で再生処理タンクに洗浄水を供給しているイオン交換樹脂再生装置の説明図である。
【
図3】第1水洗工程で再生処理タンクから洗浄水を排出しているイオン交換樹脂再生装置の説明図である。
【
図4】再生工程で再生処理タンクに再生液を供給しているイオン交換樹脂再生装置の説明図である。
【
図5】再生工程で再生処理タンクから再生液を排出しているイオン交換樹脂再生装置の説明図である。
【
図6】再生液戻し工程で再生処理タンクから再生液タンクに再生液を戻しているイオン交換樹脂再生装置の説明図である。
【
図7】第2水洗工程で再生処理タンクに洗浄水を供給しているイオン交換樹脂再生装置の説明図である。
【
図8】第2水洗工程で再生処理タンクから洗浄水を排出しているイオン交換樹脂再生装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、イオン交換樹脂再生装置11の一形態例を示すもので、イオン交換能力の低下したイオン交換樹脂12を収容する再生処理タンク13と、再生液を貯留する再生液タンク14と、洗浄水を貯留する給水タンク15と、再生処理タンク13からの廃液を貯留する廃液槽16と、再生処理タンク13からの廃液の状態をモニターするセンサ17とを備えている。
【0010】
再生処理タンク13には、イオン交換樹脂12を導入する導入経路13aと、イオン交換樹脂1を導出する導出径路13bとが設けられている。再生処理タンク13と給水タンク15との間には給水径路18が設けられ、給水径路18には給水弁19が設けられている。再生処理タンク13と廃液槽16との間には、排水径路20が設けられ、排水径路20の再生処理タンク13側には前記センサ17が設けられるとともに、センサ17よりも下流側に、出口弁21と引抜きポンプ22と廃液排出弁23とが順に設けられている。再生液タンク14の下部と再生処理タンク13の上部との間には、再生液を供給する再生液供給径路24が設けられ、再生液供給径路24には、再生液タンク14側に供給弁25が、再生処理タンク13側に再生液注入弁26がそれぞれ設けられ、供給弁25と再生液注入弁26との間に再生液ポンプ27が配置されている。さらに、再生液タンク14の上部と再生処理タンク13の中間部との間には、再生処理タンク13から再生液を再生液タンク14に戻す再生液戻し径路28が設けられ、再生液戻し径路28には、再生処理タンク13側に余剰再生液排出弁29が、再生液タンク14側に再生液戻し弁30がそれぞれ設けられ、余剰再生液排出弁29と再生液戻し弁30との間に前記再生液ポンプ27が配置されている。また、再生液供給径路24と再生液戻し径路28とは、一部に共通の配管が用いられている。
【0011】
上述のイオン交換樹脂再生装置11でイオン交換能力の低下したイオン交換樹脂12を再生させる際には、導入経路13aを介してイオン交換能力の低下したイオン交換樹脂12を再生処理タンク13に導入した後、まず、第1水洗工程が行われる。第1水洗工程では、
図2に示されるように、給水弁19を開き、給水タンク15から給水径路18を介して再生処理タンク13に洗浄水を供給した後、
図3に示されるように、給水弁19を閉じて、出口弁21と廃液排出弁23とを開き、引抜きポンプ22を作動させて排水径路20を介して、イオン交換樹脂12を洗浄した排水を廃液槽16に送る。
【0012】
第1水洗工程終了後、再生工程が行われる。再生工程では、
図4に示されるように、引抜きポンプ22を停止するとともに出口弁21と廃液排出弁23とを閉じ、供給弁25と再生液注入弁26とを開き、再生液ポンプ27を作動させて再生液供給径路24を介して再生液を再生処理タンク13に送り、イオン交換樹脂12を再生させる。
【0013】
次いで、
図5に示されるように、再生液排出工程が行われる。再生液排出工程では、再生液ポンプ27を停止するとともに供給弁25と再生液注入弁26とを閉じ、出口弁21と廃液排出弁23とを開き、引抜きポンプ22を作動させて、排水径路20を介してイオン交換樹脂12を通過した再生液を廃液槽16に送る。
【0014】
再生処理タンク13から排出されるイオン交換樹脂12を通過した再生液は、排水径路20に設けられたセンサ17によってモニターされ、イオン交換樹脂12の再生が終了したことを検知した際には、再生液戻し工程が行われる。再生液戻し工程は、
図6に示されるように、引抜きポンプ22を停止するとともに出口弁21と廃液排出弁23とを閉じ、余剰再生液排出弁29と再生液戻し弁30とを開き、再生液ポンプ27を作動させ、再生処理タンク13内に残留した再生液を再生液戻し径路28を介して再生液タンク14に戻す。
【0015】
再生液戻し工程終了後、第2水洗工程が行われる。第2水洗工程は、
図7に示されるように、再生液ポンプ27を停止するとともに余剰再生液排出弁29と再生液戻し弁30とを閉じ、第1水洗工程と同様に、給水弁19を開き給水タンク15から給水径路18を介して再生処理タンク13に洗浄水を供給した後、
図8に示されるように、給水弁19を閉じ、出口弁21と廃液排出弁23とを開き、引抜きポンプ22を作動させて排水径路20を介してイオン交換樹脂12を洗浄した排水を廃液槽16に送液し、導出径路13bを介して再生されたイオン交換樹脂12を導出する。
【0016】
本形態例は、上述のように、排水径路20に設けたセンサ17によって、イオン交換樹脂12を通過した再生液の状態をモニターし、イオン交換樹脂12の再生が終了したことを検知した際に、排水径路20を遮断すると共に、再生処理タンク13内に残留した再生液を再生液戻し径路28を介して再生液タンク14に戻す再生液戻し工程を備えていることにより、再生液を無駄にすることなく有効に利用することができ、コストの削減を図ることができる。
【0017】
なお、本発明のイオン交換樹脂は限定されるものではなく、また、再生液やセンサは、イオン交換樹脂に応じて適宜選択すればよい。さらに、再生処理タンクと再生液タンクとの間に高低差があれば、再生液ポンプを省略することができる。
【符号の説明】
【0018】
11…イオン交換樹脂生成装置、12…イオン交換樹脂、13…再生処理タンク、13a…導入経路、13b…導出径路、14…再生液タンク、15…給水タンク、16…廃液槽、17…センサ、18…給水径路、19…給水弁、20…排水径路、21…出口弁、22…引抜きポンプ、23…廃液排出弁、24…再生液供給径路、25…供給弁、26…再生液注入弁、27…再生液ポンプ、28…再生液戻し径路、29…余剰再生液排出弁、30…再生液戻し弁