(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
スプール(31)から巻解かれて繰り出される線材(32)が挿通される複数のノズル(11b)が先端に設けられた軸部材(11)と、制御手段(8)により制御され前記軸部材(11)の中心軸(C1)を回転中心として前記軸部材(11)を回転させる軸部材回転手段(12)と、回転軸(C2)が前記軸部材(11)と平行になるように前記軸部材(11)の周囲に設けられ前記軸部材(11)の回転により前記軸部材(11)を中心として公転する複数の公転体(23)と、前記公転体(23)の自転を禁止する自転禁止手段(25)と備え、前記軸部材(11)とともに回転する前記複数のノズル(11b)から繰り出された複数の線材(32)を撚る線材撚り装置であって、
前記スプール(31)が回転して前記線材(32)を巻解くように前記スプール(31)の中心軸(C3)を前記軸部材(11)の中心軸(C1)に直交する面内にして前記スプール(31)が前記公転体(23)に枢支され、
前記制御手段(8)により制御され前記スプール(31)を回転させる回転駆動手段(40)が前記公転体(23)に設けられ、
前記回転駆動手段は前記スプール(31)に並列に設けられたモータ(40)であり、
前記モータ(40)は、回転軸(41a)が同軸に連結された一対の小モータ(41,41)から成る
ことを特徴とする線材撚り装置。
スプール(31)から供給される線材(32)に張力を付与する張力付与手段(60)が設けられ、制御手段(8)は、前記張力付与手段(60)により付与される張力が一定となるように前記スプール(31)の回転を制御する請求項1記載の線材撚り装置。
張力付与手段(60)は、回動支点の回りで回動可能なテンションアーム(61)と、前記テンションアーム(61)の先端に取り付けられスプール(31)からノズル(11b)に延びる線材(32)が掛け回される線材ガイド(62)と、前記テンションアーム(61)の回動支点と前記線材ガイド(62)との間の所定位置において前記テンションアーム(61)にその回動角度に応じた弾性力を及ぼす弾性部材(63)と、前記テンションアーム(61)の回動角度を検出する検出手段(64)とを備え、
制御手段(8)は、前記検出手段(64)により検出された回動角度が所定の角度となるように回転駆動手段(40)を制御する請求項2記載の線材撚り装置。
軸部材(11)の中心軸(C1)に芯線(13)が通過する芯線通路(11a)が形成され、前記軸部材(11)の基端側から前記芯線通路(11a)に芯線(13)を供給する芯線供給機(80)を更に備え、前記軸部材(11)の先端から繰り出された前記芯線(13)の周囲に複数のノズル(11b)から繰り出された線材(32)を螺旋状に巻き付けるように構成された請求項1ないし3いずれか1項に記載の線材撚り装置。
複数のスプール(31)を軸部材(11)を中心として公転させ、前記複数のスプール(31)からそれぞれ巻き解かれて繰り出される複数の線材(32)が撚られた撚り線(9)を得る撚り線の製造方法であって、
前記軸部材(11)の回転により前記軸部材(11)を中心として公転する複数の公転体(23)を設け、
前記スプール(31)が回転して前記線材(32)を巻解くように前記スプール(31)の中心軸(C3)を前記軸部材(11)の中心軸(C1)に直交する面内にして前記スプール(31)を前記公転体(23)に枢支させ、
回転軸(41a)が同軸に連結されて前記スプール(31)を回転させる一対の小モータ(41,41)を前記スプール(31)に並列に前記公転体(23)に設け、
複数の前記公転体(23)の自転を禁止しつつ前記軸部材(11)を中心として複数の前記公転体(23)を公転させ、
前記スプール(31)から巻き解かれた前記線材(32)の張力が一定となるように前記スプール(31)の回転を制御しつつ前記公転体(23)を公転させて複数の前記公転体(23)にそれぞれ設けられた複数のスプール(31)からそれぞれ巻き解かれて繰り出される複数の線材(32)を撚る
ことを特徴とする撚り線の製造方法。
軸部材(11)の中心軸(C1)に芯線(13)が通過する芯線通路(11a)を形成し、公転体(23)を公転させつつ前記軸部材(11)の基端側から前記芯線通路(11a)に芯線(13)を供給し、前記軸部材(11)の先端から繰り出された前記芯線(13)の周囲に線材(32)を螺旋状に巻き付ける請求項5記載の撚り線の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、スプールから線材をそのスプールの軸方向に引き出すと、その引き出された線材は捩られた状態で引き出されることに成り、このように、既に捩られた複数の線材を撚って撚り線を製造すると、線材が既に捩られていることから、得られた撚り線の撚りの程度が、その後に各線材の弾性により戻ってしまい、所望の撚り状態を維持できないような事態を生じさせる。
【0005】
また、複数のスプールから線材をそのスプールの軸方向に引き出すと、各スプールから繰り出された線材における捩りの程度が異なることもある。このように捩りの程度が異なる複数の線材を撚ると、撚り線を構成する各線材の弾性により戻ろうとする復元力が異なることに成り、得られた撚り線の撚りの程度が局部的に異なり、撚りの程度が均一な撚り線を得ることが困難になる不具合も生じさせる。
【0006】
この様な不具合を解消するためには、線材をスプールの円周方向に引き出して、捩られていない状態で、複数の線材を撚ることが考えられる。けれども、線材をスプールの円周方向に引き出す為には、スプールを回転させなければならず、スプールに貯線された線材の巻回された直径は、線材が引き出される従って小さくなり、スプールの回転速度が一定であってもその周方向に引き出される線材の速度は変動し、常に一定の速度で線材を繰り出すことが困難に成る不具合があった。
【0007】
また、引き出す線材の速度に変動が生じる場合、スプールの回転速度が、その変動に追従できなければ、線材を所望の速度で引き出すことができずに、比較的細い線材にあっては、速度変動に追従できない線材が引き千切られるような事態も生じさせる。
【0008】
本発明の目的は、複数のスプールから線材を所望の速度で捩ることなく引き出して、捩られていない複数の線材を撚ることのできる線材撚り装置及び撚り線の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、スプールから巻解かれて繰り出される線材が挿通される複数のノズルが先端に設けられた軸部材と、制御手段により制御され軸部材の中心軸を回転中心として軸部材を回転させる軸部材回転手段と、回転軸が軸部材と平行になるように軸部材の周囲に設けられ軸部材の回転により軸部材を中心として公転する複数の公転体と、公転体の自転を禁止する自転禁止手段と備え、軸部材とともに回転する複数のノズルから繰り出された複数の線材を撚る線材撚り装置である。
【0010】
その特徴ある構成は、スプールが回転して線材を巻解くようにスプールの中心軸を軸部材の中心軸に直交する面内にしてスプールが公転体に枢支され、制御手段により制御されスプールを回転させる回転駆動手段が公転体に設けられたところにある。
【0011】
この場合、回転駆動手段がスプールに並列に設けられたモータであることが好ましく、そのモータは、軸部材が同軸に連結された一対の小モータから成ることが更に好ましい。
【0012】
一方、スプールから供給される線材に張力を付与する張力付与手段が設けられ、制御手段は、張力付与手段により付与される張力が一定となるようにスプールの回転を制御することが好ましく、張力付与手段は、回動支点の回りで回動可能なテンションアームと、テンションアームの先端に取り付けられスプールからノズルに延びる線材が掛け回される線材ガイドと、テンションアームの回動支点と線材ガイドとの間の所定位置においてテンションアームにその回動角度に応じた弾性力を及ぼす弾性部材と、テンションアームの回動角度を検出する検出手段とを備え、制御手段は、検出手段により検出された回動角度が所定の角度となるように回転駆動手段を制御することが更に好ましい。
【0013】
そして、軸部材の中心軸に芯線が通過する芯線通路が形成され、軸部材の基端側から芯線通路に芯線を供給する芯線供給機を更に備え、軸部材の先端から繰り出された芯線の周囲に複数のノズルから繰り出された線材を螺旋状に巻き付けるように構成することもできる。
【0014】
一方、別の本発明は、複数のスプールを軸部材を中心として公転させ、複数のスプールからそれぞれ巻き解かれて繰り出される複数の線材が撚られた撚り線を得る撚り線の製造方法である。
【0015】
その特徴ある点は、軸部材の回転により軸部材を中心として公転する複数の公転体を設け、スプールが回転して線材を巻解くようにスプールの中心軸を軸部材の中心軸に直交する面内にしてスプールを公転体に枢支させ、
回転軸が同軸に連結されてスプールを回転させる
一対の小モータをスプールに並列に公転体に設け、複数の公転体の自転を禁止しつつ軸部材を中心として複数の公転体を公転させ、スプールから巻き解かれた線材の張力が一定となるようにスプールの回転を制御しつつ公転体を公転させて複数の公転体にそれぞれ設けられた複数のスプールからそれぞれ巻き解かれて繰り出される複数の線材を撚るところにある。
【0016】
軸部材の中心軸に芯線が通過する芯線通路を形成している場合、公転体を公転させつつ軸部材の基端側から芯線通路に芯線を供給し、軸部材の先端から繰り出された芯線の周囲に線材を螺旋状に巻き付けることもできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の線材撚り装置及び撚り線の製造方法では、スプールの中心軸を軸部材の中心軸に直交する面内にしてスプールを公転体に枢支したので、回転駆動手段によりスプールを回転させて線材を巻解くことにより、その線材を軸部材の長手方向に所望の速度で引き出すことができる。すると、線材はスプールの円周方向に引き出され、その引き出しの際に線材が捩られるようなことはない。よって、本発明では、複数のスプールから線材を所望の速度で捩ることなく引き出して撚ることのできるものとなる。
【0018】
そして、回転駆動手段がスプールに並列に設けられたモータであれば、そのモータをスプールの軸方向に設ける場合に比較して、公転体の幅方向の寸法を小さくすることができ、公転体の幅方向の寸法が拡大することに起因する公転半径の拡大は防止され、公転半径の拡大に起因する装置の大型化を回避することができる。
【0019】
また、そのモータは、軸部材が同軸に連結された一対の小モータから成る様であれば、同一の動力であるにもかかわらず、単一のモータによりスプールを回転させる場合に比較して、モータの径方向の寸法を小さくすることができ、そのモータが設けられる公転体の回転軸方向における寸法を小さくすることもできる。
【0020】
そして、複数のスプールから別々に巻解かれた複数の線材に別々に所定の張力を加える複数の張力付与手段を設ければ、各ノズルから繰出される線材のそれぞれの張力は略等しくなり、その張力変動を押さえて、所定のピッチで規則正しく撚られた複数の線材から成る撚り線を得ることができる。
【0021】
一方、スプールに貯線された線材の巻回された直径は、線材が引き出される従って小さくなり、スプールの回転速度が一定であれば、その周方向に引き出される線材の速度は変動することになる。けれども、引き出される線材の速度変動は、線材の張力に影響を与えるので、張力付与手段によりその線材に付与される張力が一定となるようにスプールの回転を制御すれば、スプールに巻回された線材の外径が変化した場合でも、そのスプールから引き出される線材の速度を目標値に保つことができ、その速度が変動するような事態を回避することができる。
【0022】
よって、スプールの回転速度が繰り出される線材の速度変動に追従できないような事態は回避され、線材を所望の速度で引き出すことができない場合に生じる線材が引き千切られるような事態を回避することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
本発明の線材撚り装置10を
図1に示す。本発明の線材撚り装置10は、軸部材11と、軸部材11の中心軸を回転中心としてその軸部材11を回転させる軸部材回転手段12とを備える。軸部材11は断面が円形の棒状部材であって、軸部材11の中心軸には芯線13が通過する芯線通路11aが形成される。そして、軸部材11の先端には、後述するスプール31から巻解かれて繰り出される線材32が挿通される複数のノズル11bが、芯線通路11aを中心に放射状に等角度に設けられる(
図5)。
【0026】
この実施の形態におけるノズル11bは、軸部材11の先端に芯線通路11aと平行に形成された孔であって、
図5に示すように、この孔から成るノズル11bは、芯線通路11aを中心に60度毎に6個形成される場合を示す。
【0027】
図1に戻って、軸部材11は、その基端側端縁と先端側端縁がベアリング14a,15aを介してそれぞれ台板14,15に枢支され、軸部材11が水平になるように台板14,15が基台16に立設される。基台16には、この基台16を移動可能な複数のローラ16aと、この基台16を設置可能な複数の支持脚16bとが設けられる。
【0028】
基端側台板14には、軸部材回転手段12を構成するサーボモータ12aがその回転軸12bが軸部材11と平行になるように設けられ、その回転軸12bには第一プーリ12cが設けられる。その第一プーリ12cに対応する軸部材11の基端側には第二プーリ12dが設けられ、第一プーリ12cと第二プーリ12dの間にはベルト12eが掛け回される。サーボモータ12aには、制御手段であるコントローラ8の制御出力が接続され、そのコントローラ8からの指令によりサーボモータ12aが駆動してその回転軸12bが第一プーリ12cとともに回転すると、その回転はベルト12eにより第二プーリ12dに伝達され、その第二プーリ12dが設けられた軸部材11が芯線通路11aを回転中心として回転するように構成される。
【0029】
軸部材11には、その中心軸方向に所定の間隔を開けて一対の支持板21,22が設けられ、この一対の支持板21,22には複数の公転体23が枢支される(
図1には二台の公転体23を示す)。この複数の公転体23は、それらの回転軸C2が軸部材11の中心軸C1と平行になるよう一対の支持板21,22に枢支され、この実施の形態では、ノズル11bの数に等しい6個の公転体23が設けられるものとする(
図4及び
図5)。
【0030】
複数の公転体23はそれぞれ同一構造であるので、その内の1つを代表して説明する。すると、
図3に示すように、この公転体23は、その平面視において、軸部材11の基端側に位置する方形部23aと、軸部材11の先端側に位置する台形部23bとから成り、それらの回転軸C2上における両端には円筒状の枢支部材23c,23dがそれぞれ設けられ、これらの枢支部材23c,23dが一対の支持板21,22にベアリング21a,22aを介してそれぞれ枢支される。このようにして、この複数の公転体23は、その回転軸C2が軸部材11と平行になるように支持板21,22に枢支され、軸部材11の回転によりその軸部材11を中心として公転するように構成される。
【0031】
図1に戻って、この線材撚り装置10には、公転体23の自転を禁止する自転禁止手段25が設けられる。
図4に示すように、この実施の形態における自転禁止手段25は、公転体23の基端側枢支部材23cに公転体23の回転軸C2と同軸に設けられた第一スプロケット26と、第一スプロケット26と同形同大であって軸部材11と同軸になるように基端側台板14(
図1)に回転不能に取付けられた第二スプロケット27と、この第一及び第二スプロケット27を連結するチェーン28とを備える。ここで、符号27aは、第二スプロケット27を基端側台板14(
図1)に取付ける取付脚27aである。
【0032】
従って、軸部材11が回転しても、第二スプロケット27は回転しないので、その第二スプロケット27にチェーン28を介して連結された第二スプロケット27と同形同大の第一スプロケット26は、軸部材11を中心として公転しても、その第一スプロケット26自体が回転することは無く、この第一スプロケット26が枢支部材23cに設けられた公転体23は、その自転が禁止されることになる。
【0033】
よって、
図1及び
図4に示すように、公転体23が基台16と平行な水平状態で一対の支持板21,22間に架設されたとしたならば、その支持板21,22が軸部材11とともに回転すると、複数の公転体23は、その軸部材11の周囲を公転することになるけれども、公転体23自体の自転は禁止されるため、その複数の公転体23は、水平状態で軸部材11の周囲を公転することになる。
【0034】
なお、
図4に示すように、この実施の形態では、支持板21に6個の公転体23を60度毎に設けている。このため、周方向に隣接する一対の公転体23におけるそれぞれの第一スプロケット26に単一のチェーン28を掛け回し、そのチェーン28を軸部材11と同軸に設けられた単一の第二スプロケット27に更に掛け回す。そして、補助スプロケット29によりそのチェーン28の弛みを取るようにする場合を示す。これにより、6個の公転体23を3本のチェーン28によりそれらの自転を禁止するように構成される。
【0035】
また、
図1に示す様に、この自転禁止手段25並びに軸部材回転手段12を構成するプーリ12c,12d及びベルト12e等を覆う覆い部材30が軸部材11の基端が枢支された台板14に設けられる。
【0036】
図3に示すように、複数の公転体23における方形部23aには、線材32が巻回されたスプール31がそれぞれ取付けられる。このスプール31の取付け構造は、それぞれ同一であるので、その内の1つを代表して説明すると、スプール31は、それが回転して線材32を巻解くようにスプール31の中心軸C3を軸部材11の中心軸C1及びそれに平行な公転体23の回転軸C2に直交する面内にして公転体23に枢支される。
【0037】
即ち、公転体23の方形部23aには、スプール31を両側から支持する一対の支持部材33,33が設けられる。これらは同一構造であるので、その内の一方を代表して説明すると、この支持部材33は、公転体23に取付けられた取付材34と、軸部材11の中心軸C1に直交する仮想面において同軸になるようにその取付材34に回転可能に設けられた回転体35と、その回転体35にスプライン結合されてその仮想面内において軸方向に移動可能に設けられた係止棒36とを備える。軸部材11の中心軸C1に直交する仮想面において係止棒36が同軸に成るように取付材34が公転体23における方形部23aの両側にそれぞれ設けられ、これにより一対の係止棒36,36は、その仮想面内において互いに離接可能に取付けられる。
【0038】
そして、この一対の係止棒36は同軸になるように設けられ、互いに近づいてスプール31をその中心軸C3の両側から挟むことにより、そのスプール31の中心軸C3を軸部材11の中心軸C1及びそれに平行な公転体23の回転軸C2に直交する面内にして、そのスプール31を公転体23に枢支するように構成される。この一対の係止棒36は、公転体23の方形部23aにおける両側から突出して設けられ、その方形部23aにはスプール31を支持した係止棒36が互いに離間することを防止する係止具37が設けられる。
【0039】
図2及び
図3に示すように、この実施の形態における係止具37は、係止棒36の端縁にその係止棒36と直行するように枢支されたハンドル棒38と、係止棒36がスプール31を支持した状態でハンドル棒38を公転体23に係止する係止フック39とを備える。そして、係止フック39におけるハンドル棒38の係止を解除することにより一対の係止棒36を互いに遠ざけることが可能となり、この一対の係止棒36を互いに遠ざけると、それらの間にあったスプール31を取り外すことができるように構成される。
【0040】
図3に示すように、複数の公転体23における方形部23aには、スプール31を回転させる回転駆動手段が設けられる。この実施の形態では、回転駆動手段がスプール31に並列に設けられたモータ40である場合を示し、そのモータ40は、カップリング42により回転軸41aが同軸に連結された一対の小モータ41,41から成る場合を示す。
【0041】
この一対の小モータ41,41は、それらの回転軸41a,41aを係止棒36と平行にして、その公転体23の方形部23aの外側に突出するように取付けられ、方形部23aの外側に突出した回転軸41a,41aには第三プーリ43がそれぞれ設けられる。その第三プーリ43に対応する支持部材33における回転体35には第四プーリ44が設けられ、第三プーリ43と第四プーリ44の間にはベルト45が掛け回される。
【0042】
一対の小モータ41,41には、制御手段であるコントローラ8の制御出力がそれぞれ接続され、そのコントローラ8からの指令により一対の小モータ41,41が同期してそれらの回転軸41a,41aを第三プーリ43とともに回転すると、その回転はベルト45により第四プーリ44に伝達され、その第四プーリ44が設けられた回転体35がそれにスプライン結合された係止棒36とともに回転し、係止棒36がスプール31を挟持している場合には、そのスプール31を回転させるように構成される。
【0043】
なお、図の符号46は、ベルト45の弛みを防止する補助プーリ46であり、符号47は、公転体23の外部に設けられた制御手段であるコントローラ8や図示しない電源等と、軸部材11の周囲において公転する公転体23に設けられたモータ40等とを接続するためのコネクタ47を示す。
【0044】
図2及び
図3に示すように、公転体23における方形部23aと台形部23bの境には、その方形部23aに設けられたスプール31から巻解かれた線材32を挟んで公転体23の幅方向(スプール31の中心軸C3方向)における中央に集める一対のローラ51,51が枢支され、その台形部23bには、一対のローラ51,51により案内された線材32を軸部材11の先端側支持板22に枢支された枢支部材23dに貫通させるように案内する複数のプーリ52,52が枢支される。
【0045】
そして、
図2に示すように、これら一対のローラ51,51及びプーリ52,52は、公転体23の表面側と裏面側(
図2の上側と下側)の双方に取付けられ、スプール31に巻回された線材32を公転体23の表面側と裏面側のいずれに側に巻解いても、そのように巻解かれた線材32を軸部材11の先端側支持板22に枢支された枢支部材23dにそれぞれ貫通させ得るように構成される。
【0046】
スプール31から巻解かれて先端側支持板22に枢支された枢支部材23dを貫通した線材32はその後ノズル11b(
図1)にまで案内されるけれども、
図5に示すように、この先端側支持板22には、スプール31から供給される線材32に張力を付与する張力付与手段60が設けられる。
【0047】
この実施の形態における張力付与手段60は、その先端側支持板22に設けられ回動支点の回りで回動可能なテンションアーム61と、そのテンションアーム61の先端に取り付けられスプール31(
図2)から枢支部材23dを貫通してノズル11bにまで延びる線材32が掛け回される線材ガイド62と、そのテンションアーム61の回動支点と線材ガイド62との間の所定位置においてテンションアーム61にその回動角度に応じた弾性力を及ぼす弾性部材63と、テンションアーム61の回動角度を検出する検出手段64とを備える。
【0048】
即ち、スプール31から巻解かれて枢支部材23dを貫通した線材32はテンションアーム61の先端における線材ガイド62に導かれる。このため先端側支持板22には枢支部材23dを貫通した線材32を軸部材11に向かわせる第一転向プーリ66と、その軸部材11に向かう線材32を横方向に折り返して先端側支持板22の周方向に向かわせる第二転向プーリ67が設けられる。
【0049】
第二転向プーリ67により先端側支持板22の周方向に転向した線材32が線材ガイド62に達するように、その線材ガイド62が先端に設けられたテンションアーム61は支持板22の直径方向に延びて設けられる。線材ガイド62に導かれた線材32はその線材ガイド62に掛け回されて折り返され、支持板22の逆の周方向に向かい、その逆の周方向に向かう線材32を再び軸部材11に向かわせるように転向させる第三転向プーリ68が支持板22に設けられる。
【0050】
テンションアーム61は、その基端の軸部材11と平行な回動軸61aを支点として回動可能に支持板22に設けられる。この回動軸61aの回動角度は、その支持板22に取付けられた回動角度検出手段としてのポテンショメータ64により検出される。ポテンショメータ64の検出出力は制御手段であるコントローラ8(
図1)に入力され、コントローラ8からの制御出力が、各公転体23における一対の小モータ41,41(
図3)にそれぞれ接続される。
【0051】
また、テンションアーム61の回動軸61aと線材ガイド62との間の所定位置には、テンションアーム61の回動方向に付勢力を与える付勢手段としての弾性部材であるスプリング63の一端が取付けられる。テンションアーム61は、弾性部材63であるスプリング63によって回動角度に応じた弾性力が及ぼされる。このスプリング63の他端は、移動部材69に固定される。この移動部材69はテンション調節ネジ70に螺合しており、このネジ70の回転に従って移動調整が可能に構成される。このように、スプリング63の他端の固定位置は変位でき、テンションアーム61によって付与される線材32の張力が調節可能に構成される。
【0052】
制御手段であるコントローラ8(
図1)は、回動角度検出手段であるポテンショメータ64により検出された回動角度が所定の角度となるように回転駆動手段であるモータ40(
図3)を制御するように構成される。従って、この張力付与手段60では、スプリング63によりテンションアーム61を介して線材32に張力を与えて、そのテンションアーム61が所定の角度になるようにスプール31が回転して所定量の線材32が繰出される。よって、線材32の張力は所定の値に維持されるようになっている。
【0053】
図1の拡大図に示すように、軸部材11の先端側支持板22が設けられた部位には、第三転向プーリ68から軸部材11に向かう線材32を更に転向させてノズル11bを通過させ、その線材32を軸部材11の先端側から突出させる第四転向プーリ71がノズル11b毎に設けられる。従って、軸部材回転手段12によりこの軸部材11を回転させると、この軸部材11とともに芯線通路11aの周囲において複数のノズル11bが回転することになる。このため、軸部材11を回転させつつ、それら複数のノズル11bから線材32が繰り出されると、その繰り出された複数の線材32は撚られることになる。
【0054】
図1に示すように、この実施の形態では、軸部材11の中心軸に芯線13が通過する芯線通路11aを形成したので、その軸部材11の基端側から芯線通路11aに芯線13を供給する芯線供給機80を更に備え、その軸部材11の先端から繰り出された芯線13の周囲に複数のノズル11bから繰り出された線材32は螺旋状に巻き付けられ、芯線13の周囲に螺旋状に巻き付けられた複数の線材32から成る撚り線9が得られることになる。そして、そのように得られた撚り線9は回収手段90により回収される。
【0055】
この実施の形態における回収手段90は、撚り線9を等速でドラム91に巻き取るものであって、撚り線9を巻き取るためのドラム91と、そのドラム91を回転させる巻き取りモータ92と、ドラム91に巻き取られる撚り線9が掛け回される回収側速度検出プーリ93と、その回収側速度検出プーリ93の回転速度を検出する例えばエンコーダからなる回収側回転センサ94とを備える。
【0056】
モータ92はその回転軸92aが軸部材11の中心軸C1に直交する面内になるように基板96に取付けられ、ドラム91はその回転軸92aに同軸に取付けられる。また、回収側速度検出プーリ93は、そこに掛け回される撚り線9が芯線通路11aの延長線上に位置するように、基板96に取付けられる。基板96には、この回収手段90を移動可能な複数のローラ97と、この回収手段90を設置可能な支持脚98とが設けられる。そして、撚り線9は回収側速度検出プーリ93に掛け回された後にドラム91に巻き取られるように構成される。ここで、図の符号99は、回収側速度検出プーリ93に掛け回された撚り線9が回収側速度検出プーリ93から外れないように、その回収側速度検出プーリ93と共に撚り線9を挟む挟持ローラ99を示す。
【0057】
回収側回転センサ94の検出出力は制御手段であるコントローラ8の制御入力に接続され、コントローラ8の制御出力は巻き取りモータ92に接続される。ここで、撚り線9のドラム91への巻き取り速度は、その撚り線9が掛け回された回収側速度検出プーリ93の回転速度により決まることになり、コントローラ8は、回収側回転センサ94が出力する回収側速度検出プーリ93の回転速度が一定になるように巻き取りモータ92を制御し、撚り線99を等速でドラム91に巻き取るように構成される。
【0058】
一方、芯線供給機80は、芯線13が巻回されて貯線された繰り出しスプール81と、その繰り出しスプール81を回転させる繰り出しモータ82と、繰り出しスプール81から巻解かれた芯線13が掛け回される供給側速度検出プーリ83と、その供給側速度検出プーリ83の回転速度を検出する例えばエンコーダからなる供給側回転センサ84とを備える。
【0059】
モータ82はその回転軸82aが軸部材11の中心軸C1に直交する面内になるように基板86に取付けられ、繰り出しスプール81はその回転軸82aに同軸に取付けられる。また、供給側速度検出プーリ83は、そこに掛け回されて繰り出される芯線13が芯線通路11aに真っ直ぐに伸びてそのまま供給されるように、芯線通路11aの延長線上の基板86に取付けられる。基板86には、この芯線供給機80を移動可能な複数のローラ87と、この芯線供給機80を設置可能な支持脚88とが設けられる。そして、繰り出しスプール81が回転することにより巻解かれて繰り出された芯線13は、供給側速度検出プーリ83に掛け回された後、芯線通路11aに挿通される。
【0060】
供給側回転センサ84の検出出力は制御手段であるコントローラ8の制御入力に接続され、コントローラ8の制御出力は繰り出しモータ82に接続される。ここで、図の符号89は、供給側速度検出プーリ83に掛け回された芯線13が供給側速度検出プーリ83から外れないように、その供給側速度検出プーリ83と共に芯線13を挟む挟持ローラ89を示す。
【0061】
芯線通路11aに挿通される芯線13の繰り出しは、繰り出しモータ82による繰り出しスプール81の回転により行われ、その繰り出し速度は、供給側速度検出プーリ83の回転速度により検出される。コントローラ8は、供給側回転センサ84が出力する供給側速度検出プーリ83の回転速度が一定になるように繰り出しモータ82を制御し、芯線13を等速で繰り出しスプール81から巻解いて、芯線通路11aに供給するように構成される。
【0062】
それとともに、コントローラ8は、回収側回転センサ94が出力する回収側速度検出プーリ93の回転速度から求められる撚り線9の回収速度と、供給側速度検出プーリ83の回転速度により決まる芯線13の繰り出し速度をそれぞれ求める。そして、制御手段であるコントローラ8は、芯線13の繰り出し速度と撚り線9の巻き取り速度が目標値となるように、巻き取りモータ92及び繰り出しモータ82をそれぞれ制御するように構成される。これにより、芯線13の繰り出し、撚り線9の巻き取りによってスプール31に巻回された芯線13の外径及びドラム91に巻き取られた撚り線9の外径が変化した場合でも、芯線13の繰り出し速度及び撚り線9の巻き取り速度を、目標値に保つように構成される。
【0063】
次に、本発明の撚り線の製造方法を説明する。
【0064】
本発明の撚り線の製造方法は、複数のスプール31を軸部材11を中心として公転させ、それら複数のスプール31からそれぞれ巻き解かれて繰り出される複数の線材32が撚られた撚り線9を得る方法である。
【0065】
その特徴ある点は、軸部材11の回転により軸部材11を中心として公転する複数の公転体23を設け、スプール31が回転して線材32を巻解くようにスプール31の中心軸C3を軸部材11の中心軸C1に直交する面内にしてスプール31を公転体23に枢支させ、スプール31を回転させる回転駆動手段40を公転体23に設け、複数の公転体23の自転を禁止しつつ軸部材11を中心として複数の公転体23を公転させ、スプール31から巻き解かれた線材32の張力が一定となるようにスプール31の回転を制御しつつ公転体23を公転させて複数の公転体23にそれぞれ設けられた複数のスプール31からそれぞれ巻き解かれて繰り出される複数の線材32を撚るところにある。
【0066】
上記線材撚り装置10を用いる撚り線の製造方法にあっては、軸部材11の中心軸C1に芯線13が通過する芯線通路11aを形成したので、公転体23を公転させつつ軸部材11の基端側から芯線通路11aに芯線13を供給し、軸部材11の先端から繰り出された芯線13の周囲に線材32を螺旋状に巻き付けて撚り線9を製造することになる。
【0067】
その具体的な手順は以下のようになる。
【0068】
即ち、先ず、芯線13が巻回されて貯線された繰り出しスプール81を準備し、その繰り出しスプール81を繰り出しモータ82の回転軸82aに取付け、繰り出しスプール81の回転軸を軸部材11の中心軸C1に直交する面内にする。そして、繰り出しスプール81から巻解いた芯線13を供給側速度検出プーリ83に掛け回した後、芯線通路11aに挿通する。
【0069】
一方、線材32が巻回されて貯線された複数のスプール31を準備し、それらを複数の公転体23に枢支させる。具体的には、同軸になるように設けられて互いに離間した一対の係止棒36の間にスプール31を位置させ、その後に一対の係止棒36を互いに近づけてスプール31をその中心軸C3の両側から挟む。それにより、そのスプール31の中心軸C3を軸部材11の中心軸C1に直交する面内にして、そのスプール31を公転体23に枢支する。そして、スプール31を支持した係止棒36を係止具37に係止させて互いに離間することを防止する。
【0070】
その後、
図2に示すように、スプール31から線材32を巻解いて一対のローラ51,51間に挟み、一対のローラ51,51により案内された線材32を複数のプーリ52,52に掛回して軸部材11の先端側支持板22に枢支された枢支部材23dに貫通させる。そして、枢支部材23dを貫通した線材32を張力付与手段60を介してノズル11bに貫通させる。
【0071】
具体的には、枢支部材23dに貫通させた線材32を、第一及び第二転向プーリ66,67、線材ガイド62、第三及び第四転向プーリ68,71に順次掛け回し、その後に軸部材11の先端に形成されたノズル11bに貫通させる。このように複数のノズル11bからそれぞれ順次引き出された複数の線材32を、軸部材11の先端から引き出された芯線13と共に回収手段90である回収側速度検出プーリ93に掛け回し、その後ドラム91にそれらの端部を係止させる。
【0072】
この状態から、ドラム91が巻き取る回収速度と、芯線供給機80における芯線13の繰り出し速度が目標値となるように、巻き取りモータ92及び繰り出しモータ82をそれぞれ制御する。
【0073】
巻き取りモータ92がドラム91を回転させて芯線13とともにノズル11bから繰り出される複数の線材32を巻き取って回収すると、その線材32が掛け回されて折り返された線材ガイド62は第二及び第三プーリ67,68に近づくので、張力付与手段60におけるテンションアーム61は揺動し、その回転は回動角度検出手段としてのポテンショメータ64により検出される。
【0074】
このポテンショメータ64の検出出力は制御手段であるコントローラ8(
図1)に入力され、コントローラ8(
図1)は、回動角度検出手段であるポテンショメータ64により検出された回動角度が、所定の角度となるように回転駆動手段であるモータ40(
図3)を制御し、各公転体23におけるスプール31を回転させ、所定の張力が付与された状態で線材32を順次繰り出す。
【0075】
このように、張力が一定となるようにスプール31の回転が制御された状態で、軸部材11を回転させて複数のスプール31を軸部材11を中心として公転させ、複数のスプール31からそれぞれ巻き解かれて軸部材11の先端における複数のノズル11bから順次繰り出される複数の線材32を、軸部材11の先端から順次繰り出される芯線13の周囲に螺旋状に巻き付けて撚り線9を製造する。そして、製造された撚り線9を順次ドラム91に巻き付けて回収する。
【0076】
制御手段であるコントローラ8は、芯線13の繰り出し速度、撚り線9の巻き取り速度が目標値となるように、巻き取りモータ92及び繰り出しモータ82をそれぞれ制御するとともに、軸部材11の回転速度を均一にして、芯線13の周囲に螺旋状に巻回される線材32の巻き付けピッチを均一にする。
【0077】
この時、軸部材11の周囲において公転する複数の公転体23の自転を禁止する。公転体23の自転の禁止は、自転禁止手段25により行われる。そして、張力付与手段60により付与された線材32の張力は、制御手段であるコントローラ8が、張力付与手段60におけるテンションアーム61が所定の角度になるようにスプール31を回転させ、このように回転駆動手段であるモータ40を制御することにより、所定の値に維持することになる。
【0078】
このような線材撚り装置10及び撚り線の製造方法では、線材32を繰り出すスプール31の中心軸C3を軸部材11の中心軸C1に直交する面内にしてスプール31を公転体23に枢支したので、回転駆動手段40によりスプール31を回転させて線材32を巻解くことにより、その線材32を軸部材11の長手方向に引き出すことができる。すると、線材32はスプール31の円周方向に引き出され、その引き出しの際に線材32が捩られるようなことはない。
【0079】
よって、本発明では、複数のスプール31から線材32を所望の速度で捩ることなく引き出して撚ることのできるものとなる。これにより、得られた撚り線9の所望の撚り状態は維持され、得られた撚り線9の撚りの程度が局部的に異なるようなことはなく、撚りの程度が均一な撚り線9を得ることが可能となる。
【0080】
そして、回転駆動手段がスプール31に並列に設けられたモータ40であれば、そのモータ40をスプール31の軸方向に設ける場合に比較して、公転体23の幅方向の寸法を小さくすることができ、公転体23の幅方向の寸法が拡大することに起因する公転半径の拡大は回避される。
【0081】
また、そのモータ40は、回転軸41aが同軸に連結された一対の小モータ41,41から成る様であれば、同一の動力を出力するにもかかわらず、単一のモータによりスプール31を回転させる場合に比較して、モータ41,41の径方向の寸法を小さくすることができ、そのモータ41,41が設けられる公転体23の回転軸C2方向における寸法を小さくすることもできる。これらにより、公転半径が拡大することや、公転体23の回転軸C2方向における寸法が拡大することに起因する装置10の大型化を回避することができる。
【0082】
そして、複数のスプール31から別々に巻解かれた複数の線材32に別々に所定の張力を加える複数の張力付与手段60を設けているので、各ノズル11bから繰出される線材32のそれぞれの張力を略等しくすることができ、ノズル11bから繰出される線材32相互の張力変動が押さえられる。これにより、その張力変動を押さえて、所定のピッチで規則正しく撚られた複数の線材32から成る撚り線9を得ることができる。
【0083】
一方、スプール31に貯線された線材32の巻回された直径は、線材32が引き出される従って小さくなり、スプール31の回転速度が一定であれば、その周方向に引き出される線材32の速度は変動することになる。けれども、引き出される線材32の速度変動は、線材32の張力に影響を与えるので、張力付与手段60によりその線材32に付与される張力が一定となるようにスプール31の回転を制御すれば、スプール31に巻回された線材32の外径が変化した場合でも、そのスプール31から引き出される線材32の速度を目標値に保つことができ、その速度が変動するような事態を回避することができる。
【0084】
よって、スプール31の回転速度が繰り出される線材32の速度変動に追従できないような事態は回避され、線材32を所望の速度で引き出すことができない場合に生じる線材32が引き千切られるような事態を回避することもできる。
【0085】
なお、上述した実施の形態では、軸部材回転手段12として、サーボモータ12aを備えたものを例示したけれども、この軸部材回転手段12は、複数のノズル11bが先端に形成された軸部材11を回転可能である限り、モータに限られない。例えば、圧縮エア等の流体圧により軸部材11を回転可能な流体圧モータを備えるようなものであっても良い。
【0086】
また、上述した実施の形態では、スプロケット26,27とチェーン28を用いた自転禁止手段25を例示したけれども、この自転禁止手段は25は、公転体23の自転を禁止しうる限り、これに限られるものではなく、例えば、ベルトとプーリを用いたようなものであっても良く、ギヤを用いたようなものであっても良い。
【0087】
また、上述した実施の形態では、6本の線材32が芯線13の周囲に螺旋状に巻き付けられた撚り線を得る場合を説明した。けれども、撚られる線材32の数は6本に限られない。この場合、撚るべき線材32の数に等しいか又はそれ以上の数のノズル11bを軸部材11の先端に設け、軸部材回転手段12が軸部材11を回転させる。このように、それら複数のノズル11bを同時に回転可能である限り、線材32の数は、3本であっても、4本であっても、5本であっても、7本以上であっても良い。
【0088】
また、上述した実施の形態では、得られた撚り線9を回収手段90であるドラム91に巻き付けて貯線する場合を説明した。けれども、得られた撚り線9は必ずしも貯線しなくても良い。例えば、得られた撚り線9を図示しない巻線機にそのまま供給して、その巻線機により直ちに巻線に使用するようにしても良い。
【0089】
また、上述した実施の形態では、張力付与手段60が軸部材11の先端側に設けられた支持板22に設けられる場合を説明した。けれども、この張力付与手段60は各公転体23にそれぞれ設けるようにしても良い。
【0090】
更に、上述した実施の形態では、軸部材11に芯線通路11aを形成し、その芯線通路11aから繰り出される芯線13の周囲に、ノズル11bから繰り出される複数の線材32が螺旋状に巻き付けられる場合を説明した。けれども、芯線13は必ずしも必要でない。この場合、芯線通路11aへの芯線13の供給は不要と成り、軸部材回転手段12が軸部材11を回転させることにより、その先端に設けられた複数のノズル11bから繰り出される複数の線材32は、芯線13が無い状態で撚られることになる。