(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記煙道における前記第1閉塞装置より下流側であって、前記下流側接続部と対向する位置に混合空間部が設けられることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のボイラ。
前記第2閉塞部材は、前記煙道における排ガスの流れ方向に直交する方向に沿った閉塞板であり、鉛直方向に沿って同じ幅に設定されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のボイラ。
【背景技術】
【0002】
従来の石炭焚きボイラは、中空形状をなして鉛直方向に設置される火炉を有し、この火炉壁に複数の燃焼バーナが周方向に沿って配設されている。また、石炭焚きボイラは、火炉の上方に煙道が連結されており、この煙道に蒸気を生成するための熱交換器が配置されている。そのため、燃焼バーナが火炉内に燃料と空気との混合気を噴射することで火炎が形成され、燃焼ガスを生成されて煙道に流れる。そして、燃焼により発生した排ガスにより熱交換器を流れる水を加熱して蒸気が生成され。また、この煙道は、排気ダクトが連結され、この排気ダクトに脱硝設備、電気集塵機、脱硫装置などが設けられ、下流端部に煙突が設けられている。
【0003】
このような石炭焚きボイラにて、排気ダクトに配置された脱硝設備は、アンモニアなどの還元剤を煙道に供給し、還元剤が供給された排ガスを窒素酸化物と還元剤との反応を促進させる触媒を通過させることで、排ガス中の窒素酸化物を除去するものである。この場合、触媒で排ガス中の窒素酸化物を効率良く除去するために、排ガス温度を所定の反応温度以上に維持する必要がある。そのため、石炭焚きボイラは、熱交換器(節炭器)をバイパスするバイパス流路が設けられており、低負荷運転時に、高温の排ガスをバイパス流路により脱硝触媒の上流側にバイパスさせることで、排ガス温度を反応温度以上に維持している。
【0004】
この石炭焚きボイラの低負荷運転時に、高温の排ガスをバイパスさせると、煙道を流れる低温の排ガスに対して高温の排ガスが混合されることとなる。ところが、低温の排ガスと高温の排ガスとの温度差が大きいことから、ここで十分に混合せず、低温の排ガスに酸性硫安が析出して脱硝触媒を閉塞させてしまうおそれがある。
【0005】
このような課題を解決するために煙道とバイパス流路との合流部に混合器を設けることが提案されており、例えば、下記特許文献に記載されたものがある。特許文献1に記載されたガス混合装置は、ガスが流れるダクト内に別の気体を流入する流入部を設け、その流入部に複数の吹込流路を接続すると共に、その各吹込流路の吹込口をダクト内のガス流に沿って気体が吹き込まれるように配置するものである。また、特許文献2に記載された気体混合装置は、第一ダクト内にボックス部材を複数配設し、前記第一ダクトに対し第二ダクトを各ボックス部材の分割入口開口と連通するよう接続するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した各特許文献では、煙道に流路形状をなす箱型の部材を複数配置することから、構造が複雑となり、製造コストが増加してしまう。また、箱型の部材が煙道を流れる流体に対して大きな抵抗となり、低温の排ガスと高温の排ガスとが十分に混合せず、層流となってしまうおそれがある。
【0008】
本発明は上述した課題を解決するものであり、構造の簡素化及び低コスト化を図ると共に低温の排ガスと高温の排ガスとを適正に混合させるボイラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための本発明のボイラは、中空形状をなして鉛直方向に沿って設置される火炉と、前記火炉に配置される燃焼装置と、前記火炉の上部に連結されて排ガスを流す煙道と、前記煙道に配置される熱交換器と、前記煙道における前記熱交換器より下流側に配置される還元剤供給装置と、前記煙道における前記還元剤供給装置より下流側に配置される脱硝触媒と、一端部が前記熱交換器より上流側の前記煙道に接続されて他端部が前記熱交換器と前記還元剤供給装置との間の前記煙道に接続されるバイパス流路と、前記バイパス流路における前記煙道との下流側接続部より上流側に設けられて一部の流路を閉塞する第1閉塞装置と、前記煙道における前記下流側接続部より上流側に設けられて一部の流路を閉塞する第2閉塞装置と、を備え、前記第1閉塞装置は、前記煙道における排ガスの流れ方向に沿うと共に前記煙道の幅方向に所定間隔で設けられる複数の第1閉塞部材を有し、前記第2閉塞装置は、鉛直方向に沿うと共に前記煙道の幅方向に所定間隔で設けられる複数の第2閉塞部材を有し、前記複数の第1閉塞部材と前記複数の第2閉塞部材は、前記煙道の幅方向にずれて配置される、ことを特徴とするものである。
【0010】
従って、高負荷運転時、火炉で発生した排ガスは、煙道に流れて熱交換器により排熱が回収された後、還元剤供給装置から還元剤が供給され、脱硝触媒により含有する窒素酸化物が除去される。煙道は、第2閉塞装置により一部の流路が閉塞されることから、煙道を流れる排ガスは、圧力損失により整流され、流速分布が均一化される。一方、低負荷運転時、火炉で発生した排ガスは、煙道に流れて熱交換器により排熱が回収されると共に、一部がバイパス流路により熱交換器を迂回して煙道に戻って合流した後、還元剤供給装置から還元剤が供給され、脱硝触媒により含有する窒素酸化物が除去される。バイパス流路は、第1閉塞装置により一部の流路が閉塞されることから、バイパス流路から煙道へ流れる排ガスは、流速が上がることで貫通力が維持され、鉛直方向の温度分布が均一化される。このとき、複数の第1閉塞部材と複数の第2閉塞部材が煙道の幅方向にずれていることから、第2閉塞装置により流速が上がって整流された低温の排ガスが、第1閉塞装置を通ってバイパス流路から煙道へ流れる高温の排ガスの貫通力を阻害することはなく、乱流により低温の排ガスと高温の排ガスとが効率良く混合される。その結果、構造の簡素化及び低コスト化を図ることができると共に、低温の排ガスと高温の排ガスとを適正に混合させることができる。
【0011】
本発明のボイラでは、前記煙道は、煙道直線部が設けられ、前記第2閉塞装置と前記還元剤供給装置が前記煙道直線部に配置されることを特徴としている。
【0012】
従って、第2閉塞装置と還元剤供給装置が煙道直線部に配置されることで、第2閉塞装置により流速分布が均一化された排ガス、または、第1、第2閉塞装置により温度分布が均一化された排ガスに対して還元剤が供給されることとなり、排ガスに対する還元剤のばらつきが小さくなって還元剤が一様に供給されることとなり、脱硝触媒による窒素酸化物の除去効率を向上することができる。
【0013】
本発明のボイラでは、前記煙道直線部は、前記第2閉塞装置より上流側に流量調整用ダンパが配置されることを特徴としている。
【0014】
従って、流量調整用ダンパとバイパス流路の下流側接続部との間に第2閉塞装置を配置することで、流速分布や温度分布が均一化された排ガスをその状態のままで還元剤供給装置に流すこととなり、脱硝触媒による窒素酸化物の除去効率を向上することができる。
【0015】
本発明のボイラでは、前記煙道における前記第1閉塞装置より下流側であって、前記下流側接続部と対向する位置に混合空間部が設けられることを特徴としている。
【0016】
従って、第1閉塞装置と第2閉塞装置の下流側に混合空間部が設けられることで、第1閉塞装置を通ってバイパス流路から煙道へ流れる高温の排ガスと、第2閉塞装置を通った低温の排ガスとがこの混合空間部で効率良く混合されることとなり、簡単な構成で排ガスの温度分布を容易に均一化することができる。
【0017】
本発明のボイラでは、前記第1閉塞装置と前記第2閉塞装置は、前記混合空間部に面して配置されることを特徴としている。
【0018】
従って、高温の排ガスと低温の排ガスは、流速が高められた状態で混合空間部により混合されることとなり、排ガスの温度分布を容易に均一化することができる。
【0019】
本発明のボイラでは、前記第2閉塞部材は、前記煙道における排ガスの流れ方向に直交する方向に沿った閉塞板であり、鉛直方向に沿って同じ幅に設定されることを特徴としている。
【0020】
従って、排ガスは、閉塞板に衝突してこの閉塞板の端部を回り込むときに渦が発生することから、この発生した渦により高温の排ガスと低温の排ガスを効率良く混合することができる。
【0021】
本発明のボイラでは、前記閉塞板は、排ガスの流れ方向の下流側に延出する補強板が固定されることを特徴としている。
【0022】
従って、閉塞板が補強板により補強されて剛性が向上することから、耐久性を向上することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のボイラによれば、バイパス流路に複数の第1閉塞部材を有する第1閉塞装置を設け、煙道に複数の第2閉塞部材を有する第2閉塞装置を設け、第1閉塞部材と第2閉塞部材を煙道の幅方向にずらして配置するので、構造の簡素化及び低コスト化を図ることができると共に、低温の排ガスと高温の排ガスとを適正に混合させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るボイラの好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0026】
図1は、本実施形態の石炭焚きボイラを表す概略構成図である。
【0027】
本実施形態のボイラは、石炭を粉砕した微粉炭を微粉燃料(固体燃料)として用い、この微粉炭を燃焼バーナにより燃焼させ、この燃焼により発生した熱を回収することが可能な微粉炭焚きボイラである。
【0028】
本実施形態において、
図1に示すように、石炭焚きボイラ10は、コンベンショナルボイラであって、火炉11と燃焼装置12と煙道13を有している。火炉11は、四角筒の中空形状をなして鉛直方向に沿って設置され、この火炉11を構成する火炉壁が伝熱管により構成されている。
【0029】
燃焼装置12は、この火炉11を構成する火炉壁(伝熱管)の下部に設けられている。この燃焼装置12は、火炉壁に装着された複数の燃焼バーナ21,22,23,24,25を有している。本実施形態にて、この燃焼バーナ21,22,23,24,25は、周方向に沿って4個均等間隔で配設されたものが1セットとして、鉛直方向に沿って5セット、つまり、5段配置されている。但し、火炉の形状や一つの段における燃焼バーナの数、段数はこの実施形態に限定されるものではない。
【0030】
この各燃焼バーナ21,22,23,24,25は、微粉炭供給管26,27,28,29,30を介して粉砕機(微粉炭機/ミル)31,32,33,34,35に連結されている。この粉砕機31,32,33,34,35は、図示しないが、ハウジング内に鉛直方向に沿った回転軸心をもって粉砕テーブルが駆動回転可能に支持され、この粉砕テーブルの上方に複数の粉砕ローラが粉砕テーブルの回転に連動して回転可能に支持されて構成されている。従って、石炭が複数の粉砕ローラと粉砕テーブルとの間に投入されると、ここで所定の大きさまで粉砕され、搬送用空気(1次空気)により分級された微粉炭を微粉炭供給管26,27,28,29,30から燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給することができる。
【0031】
また、火炉11は、各燃焼バーナ21,22,23,24,25の装着位置に風箱36が設けられており、この風箱36に空気ダクト37の一端部が連結されており、この空気ダクト37は、他端部に送風機38が装着されている。更に、火炉11は、各燃焼バーナ21,22,23,24,25の装着位置より上方にアディショナル空気ノズル39が設けられており、このアディショナル空気ノズル39に空気ダクト37から分岐した分岐空気ダクト40の端部が連結されている。従って、送風機38により送られた燃焼用空気(燃料ガス燃焼用空気/2次空気)を空気ダクト37から風箱36に供給し、この風箱36から各燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給することができると共に、送風機38により送られた燃焼用空気(追加空気)を分岐空気ダクト40からアディショナル空気ノズル39に供給することができる。
【0032】
煙道13は、火炉11の上部に連結されている。この煙道13は、排ガスの熱を回収するための熱交換器として、過熱器(スーパーヒータ)41,42,43、再熱器(リヒータ)44,45、節炭器(エコノマイザ)46,47が設けられており、火炉11での燃焼で発生した排ガスと水との間で熱交換が行われる。
【0033】
煙道13は、その下流側に熱交換を行った排ガスが排出されるガスダクト48が連結されている。このガスダクト48は、空気ダクト37との間にエアヒータ49が設けられ、空気ダクト37を流れる空気と、ガスダクト48を流れる排ガスとの間で熱交換を行い、燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給する燃焼用空気を昇温することができる。
【0034】
また、煙道13は、エアヒータ49より上流側の位置に選択還元型触媒(脱硝触媒)50が設けられている。選択還元型触媒50は、アンモニア、尿素水等の窒素酸化物を還元する作用を有する還元剤を煙道13内に供給し、還元剤が供給された排ガスを窒素酸化物と還元剤との反応を促進させることで、排ガス中の窒素酸化物を除去、低減するものである。そのため、煙道13は、選択還元型触媒50より上流側に還元剤供給装置51が設けられている。この還元剤供給装置51は、煙道13内における流路全面に下流側に向けて還元剤を供給することで、この還元剤を排ガスが流れる流路内で拡散することができる。還元剤としては、アンモニア水、気体のアンモニア、尿素水等を用いることができる。
【0035】
この選択還元型触媒50は、触媒により排ガス中の窒素酸化物を効率良く除去するために、排ガス温度を所定の反応温度以上に維持する必要がある。そのため、煙道13は、一部の熱交換器としての節炭器46,47をバイパスするバイパス流路52が設けられている。このバイパス流路52は、一端部が煙道13における再熱器45と節炭器46の間に連結され、他端部が煙道13における還元剤供給装置51の上流に連結されている。そして、煙道13は、節炭器47の下流側に流量調整用ダンパ53が設けられ、バイパス流路52は、流量調整用ダンパ54が設けられている。
【0036】
この石炭焚きボイラ10の低負荷運転時、流量調整用ダンパ53の開度を小さくし、流量調整用ダンパ54を開放することで、煙道13を流れる高温の排ガスの一部をバイパス流路52に流して節炭器46,47をバイパスさせる。すると、煙道13を流れる排ガスは、節炭器46,47に熱回収されることで温度が低下するが、バイパス流路52を通った高温の排ガスが混合されるため、排ガス温度を選択還元型触媒50の反応温度以上に維持することができる。
【0037】
煙道13に連結されるガスダクト48は、エアヒータ49より下流側の位置に煤塵処理装置(電気集塵機、脱硫装置)55、誘引送風機56が設けられ、下流端部に煙突57が設けられている。
【0038】
そのため、微粉炭機31,32,33,34,35が駆動すると、生成された微粉炭が搬送用空気と共に微粉炭供給管26,27,28,29,30を通して燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給される。また、加熱された燃焼用空気が空気ダクト37から風箱36を介して各燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給される。すると、燃焼バーナ21,22,23,24,25は、微粉炭と搬送用空気とが混合した微粉燃料混合気を火炉11に吹き込むと共に燃焼用空気を火炉11に吹き込み、このときに着火することで火炎を形成することができる。この火炉11では、微粉燃料混合気と燃焼用空気とが燃焼して火炎が生じ、この火炉11内の下部で火炎が生じると、燃焼ガス(排ガス)がこの火炉11内を上昇し、煙道13に排出される。
【0039】
火炉11は、空気の供給量が微粉炭の供給量に対して理論空気量未満となるように設定されることで、内部が還元雰囲気に保持される。そして、微粉炭の燃焼により発生したNOxが火炉11で還元され、その後、アディショナル空気ノズル39からアディショナルエアが追加供給されることで微粉炭の酸化燃焼が完結され、微粉炭の燃焼によるNOxの発生量が低減される。
【0040】
このとき、図示しない給水ポンプから供給された水は、節炭器46,47によって予熱された後、図示しない蒸気ドラムに供給され火炉壁の各水管(図示せず)に供給される間に加熱されて飽和蒸気となり、図示しない蒸気ドラムに送り込まれる。更に、図示しない蒸気ドラムの飽和蒸気は過熱器41,42,43に導入され、燃焼ガスによって過熱される。過熱器41,42,43で生成された過熱蒸気は、図示しない発電プラント(例えば、タービン等)に供給される。また、タービンでの膨張過程の中途で取り出した蒸気は、再熱器44,45に導入され、再度過熱されてタービンに戻される。なお、火炉11をドラム型(蒸気ドラム)として説明したが、この構造に限定されるものではない。
【0041】
その後、煙道13の節炭器46,47を通過した排ガス、バイパス流路52を通過して煙道13の排ガスと合流した排ガスは、還元剤供給装置51から還元剤が供給され、煙道13を流れる間に完全材が拡散される。そして、煙道13の排ガスは、選択還元型触媒50により窒素酸化物が還元除去され、煤塵処理装置56で粒子状物質が除去されると共に硫黄分が除去された後、煙突57から大気中に排出される。
【0042】
このように構成された石炭焚きボイラ10にて、高負荷運転時、全量の高温の排ガスが煙道13を流れるが、この煙道13に屈曲部があることから、屈曲部の内側と外側で流速が異なり、このような流速が異なる領域の排ガスに対して還元剤供給装置51から還元剤を供給すると、排ガスの低速領域と高速領域で還元剤の濃度にばらつきが発生してしまう。また、低負荷運転時、一部の高温の排ガスがバイパス流路52によりバイパスされると、煙道13を流れる低温の排ガスに対してバイパス流路52から高温の排ガスが投入されるが、排ガスの流量差や温度差が大きいために混合が不十分となる。すると、石炭焚きボイラ10の高負荷運転時や高負荷運転時に、選択還元型触媒50による窒素酸化物の還元効率が低下してしまう。
【0043】
図2は、石炭焚きボイラの煙道を表す側面図、
図3は、石炭焚きボイラの煙道を表す平面図、
図4は、石炭焚きボイラの煙道を表す斜視図である。
【0044】
本実施形態では、バイパス流路52における煙道13との下流側接続部より上流側に一部の流路を閉塞する第1閉塞装置61を設けると共に、煙道13における下流側接続部より上流側に一部の流路を閉塞する第2閉塞装置62を設けている。そして、煙道13における第1閉塞装置61より下流側であって、第2閉塞装置62と対向する位置に排ガスの混合空間部63を設けている。ここで、第1閉塞装置61と第2閉塞装置62の閉塞率は、両者共に、圧損や磨耗などの点から50%以下とすることが好ましい。
【0045】
即ち、煙道13は、第1水平煙道部13a、第1鉛直煙道部13b、第2水平煙道部(煙道直線部)13c、第2鉛直煙道部13d、第3水平煙道部13e、第3鉛直煙道部13fが連続して設けられて構成されている。そして、煙道13は、第1水平煙道部13a及び第1鉛直煙道部13bに、過熱器41,42,43、再熱器44,45、節炭器46,47が配置されている。また、煙道13は、第2水平煙道部13cに流量調整用ダンパ53、還元剤供給装置51が配置され、第3鉛直煙道部13fに選択還元型触媒50が配置されている。なお、第2鉛直煙道部13dに還元剤供給装置51を配置してもよい。
【0046】
バイパス流路52は、一端側の上流側接続部52aが第1鉛直煙道部13bにおける再熱器45と節炭器46との間に接続され、他端側の下流側接続部52bが第2水平煙道部13cの流量調整用ダンパ53と還元剤供給装置51との間に接続されている。そして、第1閉塞装置61は、バイパス流路52における下流側接続部52bで、煙道13の混合空間部63に面して配置され、第2閉塞装置62は、第2水平煙道部13cにおける混合空間部63の直上流側で、この混合空間部63に面して配置されている。
【0047】
図2から
図4に示すように、第1閉塞装置61は、煙道13における排ガスの流れ方向に沿うと共に煙道13の幅方向に所定間隔で設けられる複数の第1閉塞部材64を有している。第2閉塞装置62は、鉛直方向に沿うと共に煙道13の幅方向に所定間隔で設けられる複数の第2閉塞部材65を有している。そして、複数の第1閉塞部材64と複数の第2閉塞部材65は、煙道13の幅方向にずれて配置されている。
【0048】
煙道13(第2水平煙道部13c)は、鉛直方向の高さ寸法に対して、水平方向の幅寸法が大きい矩形断面形状をなす流路であり、バイパス流路52は、煙道13における排ガスの流れに沿う水平方向の縦幅寸法に対して、煙道13における排ガスの流れ方向に直交する水平方向の横幅寸法が大きい矩形断面形状をなす流路であり、煙道13とバイパス流路52は、同幅寸法となっている。即ち、バイパス流路52は、第2水平煙道部13cに対して上方からほぼ直交するように接続されている。なお、第2水平煙道部13cに対するバイパス流路52の接続角度は、90度に限らず、煙道13における排ガスの流れの下流側または上流側に傾斜していてもよい。
【0049】
複数の第1閉塞部材64は、バイパス流路52における下流側接続部52bの縦幅方向に沿うと共に、横幅方向に所定隙間を空けて配置されている。この場合、各第1閉塞部材64は、板形状をなし、長手方向の各端部がバイパス流路52の内壁面に固定されており、下流側の平面が煙道13の内壁面と段差なく連続している。また、複数の第2閉塞部材65は、煙道13におけるバイパス流路52の下流側接続部52bの直上流部の高さ方向に沿うと共に幅方向に所定隙間を空けて配置されている。この場合、各第2閉塞部材65は、板形状をなし、長手方向の各端部が煙道13の内壁面に固定されており、下流側の平面がバイパス流路52の内壁面と段差なく連続している。
【0050】
そして、各第1閉塞部材64と各第2閉塞部材65は、煙道13における排ガスの流れ方向に対向しないように、煙道13の幅方向にずれて配置されている。即ち、バイパス流路52から各第1閉塞部材64の隙間を通って混合空間部63に流れる排ガスと、煙道13から各第2閉塞部材65の隙間を通って混合空間部63に流れる排ガスとが、直接衝突しない構成となっている。
【0051】
ここで各第1閉塞部材64は、バイパス流路52における排ガスの流れ方向に直交する方向に沿った閉塞板であり、縦幅方向と沿って同じ幅に設定されている。また、各第2閉塞部材65は、煙道13における排ガスの流れ方向に直交する方向に沿った閉塞板であり、高さ方向と沿って同じ幅に設定されている。
【0052】
なお、上述した説明では、第1閉塞部材64及び第2閉塞部材65を排ガスの流れ方向に直交する方向に沿った閉塞板としたが、この構成に限定されるものではない。
図5は、第2閉塞部材の変形例1を表す斜視図、
図6は、第2閉塞部材の変形例1の配置を表す平面図、
図7は、第2閉塞部材の変形例2を表す斜視図、
図8は、第2閉塞部材の変形例2の配置を表す平面図である。
【0053】
第2閉塞部材の変形例1において、
図5及び
図6に示すように、第2閉塞部材71は、閉塞板71aと補強板71bとから構成されている。閉塞板71aは、鉛直方向に沿うと共に、排ガスの流れ方向に直交する方向に沿った板材であり、補強板71bは、鉛直方向に沿うと共に、排ガスの流れ方向に平行な方向に沿った板材であり、閉塞板71aから排ガスの流れ方向の下流側に延出するように固定されている。この第2閉塞部材71は、閉塞板71aが、バイパス流路52の下流側接続部52bより上流側に位置し、補強板71bがこの下流側接続部52b側に延出して位置している。
【0054】
第2閉塞部材の変形例2において、
図7及び
図8に示すように、第2閉塞部材72は、閉塞板72a,72bとから構成されている。閉塞板72a,72bは、鉛直方向に沿うと共に、V字断面形状をなすように連結された板材であり、排ガスの流れ方向の下流側に向けて幅広となっている。この第2閉塞部材72は、バイパス流路52の下流側接続部52bより上流側に位置している。
【0055】
なお、ここで、第2閉塞部材の変形例について説明したが、第2閉塞部材71,72は、第1閉塞部材として適用してもよい。また、第1閉塞部材及び第2閉塞部材は、上述した構成に限定されるものではない。例えば、I字断面形状をなすもの、円柱や角柱形状をなすものなどとしてもよい。
【0056】
ここで、本実施形態の石炭焚きボイラ10の煙道13での排ガスの流れについて説明する。
【0057】
図1から
図3に示すように、石炭焚きボイラ10の高負荷運転時、流量調整用ダンパ53を全開する一方、流量調整用ダンパ54を閉止する。すると、煙道13を流れる高温の排ガスは、全量が節炭器46,47を通過することで熱回収され、第2水平煙道部13cに流れる。そして、複数の第2閉塞部材65により第2水平煙道部13cの一部の流路が閉塞されることから、第2水平煙道部13cを流れる排ガスは、各第2閉塞部材65の隙間を通過することで、圧力損失により整流され、且つ、各第2閉塞部材65を回り込むことで渦(カルマン渦)が発生する。そのため、第2水平煙道部13cを流れる排ガスは、各第2閉塞部材65の隙間を通過するときに撹拌され、高さ方向や幅方向の流速分布が均一化される。
【0058】
その後、第2閉塞装置62により高さ方向の流速分布が均一化された排ガスに対して、還元剤供給装置51が還元剤を供給することから、第2水平煙道部13cで還元剤の濃度のばらつきが小さくなり、排ガスに含まれる窒素酸化物が選択還元型触媒50により効率良く還元除去される。
【0059】
一方、石炭焚きボイラ10の低負荷運転時、流量調整用ダンパ53の開度が小さくなるように調整する一方、流量調整用ダンパ54の開度が大きくなるように調整する。すると、煙道13を流れる高温の排ガスは、節炭器46,47を通過することで熱回収され、低温の排ガスとなって第2水平煙道部13cに流れる。また、煙道13を流れる高温の排ガスの一部は、バイパス流路52に流れて節炭器46,47をバイパスし、高温のままで第2水平煙道部13cに流れて低温の排ガスに合流する。
【0060】
このとき、各第1閉塞部材64と各第2閉塞部材65が煙道13の幅方向にずれていることから、バイパス流路52から第2水平煙道部13cに導入された高温の排ガスは、各第1閉塞部材64の隙間を通過することで、圧損が付加されて流速が上昇し、各第2閉塞部材65の下流側を流れて混合空間部63に至る。また、第2水平煙道部13cを流れる低温の排ガスは、各第2閉塞部材65の隙間を通過することで、圧損が付加されて流速が上昇し、各第1閉塞部材64の下流側を流れて混合空間部63に至る。即ち、各第2閉塞部材65の隙間を通過した低温の排ガスが、各第1閉塞部材64の隙間を通過した高温の排ガスの貫通力を阻害することはなく、混合空間部63では、高温部と低温部が幅方向に交互に相殺することとなる。そして、第2水平煙道部13cを流れる排ガスは、各第2閉塞部材65の隙間を通過するときに渦(カルマン渦)が発生することから、混合空間部63で、バイパス流路52からの高温の排ガスと第2水平煙道部13cを流れる低温の排ガスが効率良く撹拌混合され、高さ方向の温度分布が均一化される。
【0061】
その後、各閉塞装置61,62により高さ方向の温度分布が均一化された排ガスに対して、還元剤供給装置51が還元剤を供給することから、第2水平煙道部13cで還元剤の濃度のばらつきが小さくなり、排ガスに含まれる窒素酸化物が選択還元型触媒50により効率良く還元除去される。また、第2水平煙道部13cを流れる低温の排ガスにバイパス流路52から高温の排ガスが混合されることで、温度が均一化された排ガスは、その温度が選択還元型触媒50の反応温度以上に維持されることとなり、排ガスに酸性硫安が析出して選択還元型触媒50を閉塞させてしまうことが抑制される。
【0062】
このように本実施形態のボイラにあっては、煙道13に還元剤供給装置51と選択還元型触媒50を設けると共に、節炭器46,47をバイパスするバイパス流路52を設け、また、バイパス流路52の一部の流路を閉塞する第1閉塞装置61と、煙道13の一部の流路を閉塞する第2閉塞装置62を設け、第1閉塞装置61として、煙道13における排ガスの流れ方向に沿うと共に煙道13の幅方向に所定間隔で複数の第1閉塞部材64を設けると共に、第2閉塞装置62として、鉛直方向に沿うと共に煙道13の幅方向に所定間隔で複数の第2閉塞部材65を設け、各第1閉塞部材64と各第2閉塞部材65を煙道13の幅方向にずれて配置している。
【0063】
従って、高負荷運転時、煙道13を流れる排ガスは、圧力損失により整流され、流速分布が均一化される。一方、低負荷運転時、バイパス流路52から煙道13へ流れる排ガスは、第1閉塞装置61により流速が上がることで貫通力が維持され、第2閉塞装置62により貫通力を阻害されることが抑制され、第2閉塞装置62を通過した排ガスの乱流により低温の排ガスと高温の排ガスとが効率良く混合される。その結果、構造の簡素化及び低コスト化を図ることができると共に、低温の排ガスと高温の排ガスとを適正に混合させることができる。
【0064】
本実施形態のボイラでは、煙道13に直線状をなす第2水平煙道部13cを設け、第2閉塞装置62と還元剤供給装置51を第2水平煙道部13cに配置している。従って、第2閉塞装置62により整流されて流速分布が均一化された排ガス、または、各閉塞装置61,62により整流されて温度分布が均一化された排ガスに対して還元剤が供給されることとなり、排ガスに対する還元剤のばらつきが小さくなって還元剤が一様に供給されることとなり、選択還元型触媒50による窒素酸化物の除去効率を向上することができる。
【0065】
本実施形態のボイラでは、第2水平煙道部13cにおける第2閉塞装置62より上流側に流量調整用ダンパ53を配置している。従って、流量調整用ダンパ53とバイパス流路52の下流側接続部52bとの間に第2閉塞装置62を配置することで、流速分布や温度分布が均一化された排ガスをその状態のままで還元剤供給装置51に流すこととなり、選択還元型触媒50による窒素酸化物の除去効率を向上することができる。
【0066】
本実施形態のボイラでは、煙道13における第1閉塞装置61より下流側であって、下流側接続部52bと対向する位置に混合空間部63を設けている。従って、第1閉塞装置61と第2閉塞装置62の下流側に混合空間部63を設けることで、第1閉塞装置61を通ってバイパス流路52から煙道13へ流れる高温の排ガスと、第2閉塞装置62を通っ低温の排ガスとがこの混合空間部63で効率良く混合されることとなり、簡単な構成で排ガスの温度分布を容易に均一化することができる。
【0067】
本実施形態のボイラでは、第1閉塞装置61と第2閉塞装置62は、混合空間部63に面して配置されている。従って、高温の排ガスと低温の排ガスは、流速が高められた状態で混合空間部63により混合されることとなり、排ガスの温度分布を容易に均一化することができる。
【0068】
本実施形態のボイラでは、第2閉塞部材71は、煙道13における排ガスの流れ方向に直交する方向に沿った閉塞板71aであり、鉛直方向と沿って同じ幅に設定されている。従って、排ガスは、閉塞板71aに衝突してこの閉塞板71aの端部を回り込むときに渦が発生することから、この発生した渦により高温の排ガスと低温の排ガスを効率良く混合することができる。
【0069】
本実施形態のボイラでは、閉塞板71aは、排ガスの流れ方向の下流側に延出する補強板71bが固定されている。従って、閉塞板71aが補強板71bにより補強されて剛性が向上することから、耐久性を向上することができる。
【0070】
なお、上述した実施形態では、本発明のボイラを石炭焚きボイラとしたが、固体燃料としては、バイオマスや石油コークス、石油残渣などを使用するボイラであってもよい。また、燃料として固体燃料に限らず、重質油などの油焚きボイラにも使用することができ、更には、燃料としてガス(副生ガス)も使用することができる。そして、これら燃料の混焼焚きにも適用することができる。