特許第6535558号(P6535558)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6535558
(24)【登録日】2019年6月7日
(45)【発行日】2019年6月26日
(54)【発明の名称】腹起し
(51)【国際特許分類】
   E02D 17/04 20060101AFI20190617BHJP
【FI】
   E02D17/04 B
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-184003(P2015-184003)
(22)【出願日】2015年9月17日
(65)【公開番号】特開2017-57653(P2017-57653A)
(43)【公開日】2017年3月23日
【審査請求日】2018年4月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000179915
【氏名又は名称】ジェコス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087491
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 享
(74)【代理人】
【識別番号】100104271
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 保子
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 剛
(72)【発明者】
【氏名】藤本 正貴
【審査官】 荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭47−032616(JP,A)
【文献】 特開2014−159711(JP,A)
【文献】 特開平04−068116(JP,A)
【文献】 特開平11−125008(JP,A)
【文献】 特開2006−037552(JP,A)
【文献】 特開昭50−047410(JP,A)
【文献】 特開昭59−021820(JP,A)
【文献】 実開平06−008442(JP,U)
【文献】 特開平03−267417(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3015907(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 17/00−17/20
E01D 1/00−24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
山留め壁の内側に設置される腹起しであって、前記山留め壁の内側に設置された一段目の山留め主材と、当該一段目の山留め主材の内側に積層された二段目の山留め主材と、当該一段目と二段目の山留め主材どうしを接合する複数の締結ボルトを備え、前記一段目と二段目の山留め主材は、H形鋼より形成されていると共に、双方のウェブどうしが同一水平面内に位置するように積層され、かつ前記一段目と二段目の山留め主材の互いに接するフランジどうしが、前記山留め主材の長手方向の全長に渡って前記複数の締結ボルトによって等間隔に接合されていることを特徴とする腹起し。
【請求項2】
請求項1記載の腹起しにおいて、前記一段目と二段目の山留め主材は、それぞれ軸方向に互いに隣接して複数設置され、かつ隣接する前記一段目および二段目の山留め主材どうしは、それぞれ互いに接合されていることを特徴とする腹起し。
【請求項3】
請求項2記載の腹起しにおいて、前記一段目と二段目の山留め主材どうし、それぞれ軸方向の異なる位置で互いに接合されていることを特徴とする腹起し。
【請求項4】
請求項3記載の腹起しにおいて、前記一段目の山留め主材どうしの継手部と、前記二段目の山留め主材どうしの継手部との間における前記二段目の山留め主材の内側に切梁の端部が接合され、その両側に火打梁が設置されていることを特徴とする腹起し。
【請求項5】
請求項3または4記載の腹起しにおいて、前記二段目の山留め主材どうしは、火打ちピースによって接合され、当該火打ちピースに切梁の端部が接合されていることを特徴とする腹起し。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、山留め壁の内側に設置される腹起しに関し、必要に応じて梁成を増して梁の曲げ強度とせん断強度を容易に増大させることができて、腹起しを支える切梁や火打梁等の支保工材の使用量を大幅に削減可能にしたものである。
【背景技術】
【0002】
建築・土木工事における根切り工事では、掘削に伴う地山の崩落に備える必要がり、一般に、図10に図示するように地盤にH形鋼やシートパイル等を打ち込んで山留め壁20を施工し、地盤の掘削と共に山留め壁20の内側に腹起し21、切梁22および火打梁23などからなる山留め支保工を仮設して地山の崩落を防いでいる。
【0003】
腹起し21は山留め壁20の内側に水平に添え付けられ、山留め壁20に作用する土圧を受ける。また、切梁22は対向する腹起し21,21間に架設され、腹起し21を介して作用する土圧を受ける。
【0004】
いずれの部材も長年の経験などにより、また他の鋼材に比べて入手が容易なこと等から主にH形鋼からなる山留め主材が用いられる。
【0005】
特に腹起し21には、一般にH-300×300〜400×400が使用され、また特に反力が大きい場合にはH-500×500が使用されることもあり、その耐力は5m程度が限界とされている。
【0006】
ところで、切梁22や火打梁23を多用することは、腹起し21のスパンが短くなって支持力は増大するが、作業空間、掘削土の搬出や資材搬出入用の開口スペースAが狭くなって山留め工事や掘削工事に支障を来し、また切梁22や火打梁23の多用により支保工材費が嵩む等の課題がある。
【0007】
このため、腹起し21の強度(主に曲げ強度とせん断強度)を増大させて切梁22や火打梁23の設置をなるべく低減する方法が種々提案されている。例えば、特許文献1には、腹起しの最大曲げモーメントと最大せん断力が発生する中央区間に高強度鋼からなる中央単体梁を、その両端部に一般構造用鋼材からなる端部重合梁をそれぞれ配置し、当該中央単体梁と端部重合梁とを一体に接合することにより構成された複合腹起しが開示されている。
【0008】
また、特許文献2には、腹起しの内側に別途の腹起しを重ね梁として添い付け、当該重ね合わせた腹起し内にケーブルを張
設してプレストレスを導入する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2014-159711号公報
【特許文献2】特開昭50-47410号公報
【特許文献3】実開平07-38228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、山留め壁の内側に腹起しを設置し、その内側に切梁と火打梁を設置して山留め壁を支持する方法は、腹起しの耐力には自ずと限界あることから、既存の腹起しでは充分に対応しきれないことがあった。
【0011】
このため、切梁や火打梁などの支保工材を多用することとなり、その結果、山留め壁内の作業空間および掘削土を搬出したり資材を搬入搬出するための開口スペースA(図10参照)が狭くなって掘削工事に支障を来すことがあった。
【0012】
また、特許文献1に開示された複合腹起しには、高強力鋼を使用するため製作コストが高くなる等の課題があり、特許文献2に開示された腹起しには、ケーブルを張設してプレストレスを導入するための装置を現地に搬入する必要かあり、しかも導入するプレストレスを適切に管理する必要があるため、多くの手間を必要として施工が面倒な上にコストが高くなる等の課題があった。
【0013】
本発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、必要に応じて梁成を増して梁の曲げ強度とせん断強度を容易に増大させることができ、これにより切梁や火打梁等の支保工材の使用量を大幅に削減できるようにした腹起しを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、山留め壁の内側に設置される腹起しの発明であり、必要に応じて梁成を増すことにより腹起しの曲げ強度とせん断強度を容易に増大させることができ、これにより腹起しを支える切梁や火打梁等の支保工材の使用量を大幅に削減できるようにしたものであり、山留め壁の内側に設置された一段目の山留め主材と、当該一段目の山留め主材の内側に積層された二段目の山留め主材と、当該一段目と二段目の山留め主材の間に介在された複数の調整材と、前記一段目および二段目の山留め主材と調整材とをそれぞれを接合する複数の締結ボルトを備え、前記一段目と二段目の山留め主材は、双方のウェブが同一水平面内に位置するように積層され、かつ前記一段目と二段目の山留め主材と前記調整材とを前記複数の締結ボルトによって締結することにより接合されてなることを特徴とするものである。
【0015】
調整材を省略して一段目と二段目の山留主材どうしを直接積層し、複数の締結ボルトによって直接接合してもよい。また、一段目および二段目の山留め主材には既存の山留め主材を使用することができ、また既存のH形鋼より形成することもできる。
【0016】
調整材には山留め主材の長さ調整用に用いられる既存の調整材(調整ピース)を使用することができ、また既存のH形鋼や溝形鋼、あるいは平鋼板より形成することもできる。また、締結ボルトには高力ボルト(HTB)を使用するのが望ましい。
【0017】
なお、一段目と二段目の山留め主材を、それぞれ軸方向に互いに隣接して複数設置し、かつ隣接する山留め主材どうしをそれぞれ接合することにより、山留め壁の長さに自由に対応することができる。
【0018】
また、一段目と二段目の隣接する山留め主材どうしを、それぞれ軸方向の異なる位置で接合することにより、継手部を設けたことによる腹起しの強度低下を最小に留めることができる。
【0019】
またその際に、一段目の隣接する山留め主材どうしの継手部と二段目の隣接する山留め主材どうしの継手部との間における二段目の山留め主材の内側に切梁の端部を接合し、その両側に火打梁を設置することにより、腹起しの継手部を補強しつつ、腹起しを支持することができる。
【0020】
さらに、二段目の隣接する山留め主材どうしを火打ちピースによって接合し、当該火打ちピースに切梁の端部を接合することにより、二段目の山留め主材どうしを接合するための接合プレートと火打梁を省略することができる。
【0021】
このようにして、山留め壁に作用する応力に応じて、山留め主材どうしを接合し、かつ切梁と火打ちピースによって支持することにより、山留め壁に作用する応力に即した強度で確実強固に補強することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の腹起しによれば、シートパイル等からなる山留め壁の内側に一段目の山留め主材を設置し、その内側に二段目の山留め主材を積層し、双方の山留め主材を複数の締結ボルトによって一体的に接合することにより、合成梁の形で梁成を増して腹起しの曲げ強度とせん断強度を容易に増大させることができ、これにより腹起しを支える切梁や火打梁等の支保工材の使用量を大幅に削減することができる。
【0023】
また、一段目と二段目の山留め主材の間に複数の調整材を介在して梁成を嵩上げすることにより、たとえ一段目と二段目の山留め主材の梁成が小さくても梁全体としての梁成を容易に大きくすることができる。さらに、山留め主材には既存の山留め主材やH形鋼等を使用することが可能なことによりきわめて経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】シートパイルからなる山留め壁の内側に設置された腹起しの一実施形態を示す斜視図である。
図2図2(a)は図1における腹起しの平面図、図2(b)は図2(a)におけるイ−イ線断面図である。
図3図3(a),(b),(c)は、図1における腹起しの平面図である。
図4図4(a),(b),(c)は、図1における腹起しの平面図である。
図5】シートパイルからなる山留め壁の内側に設置された腹起しの他の実施形態を示す斜視図である。
図6図6(a)は図5における腹起しの平面図、図6(b)は図6(a)におけるロ−ロ線断面図である。
図7図7(a),(b),(c)は、図5における腹起しの平面図である。
図8図8(a),(b),(c)は、図5における腹起しの平面図である。
図9】腹起しの曲げ強度試験の方法を示す説明図である。
図10】山留め壁と山留め壁を支える支保工の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1図4は、シートパイル等からなる山留め壁の内側に設置された腹起しの一実施形態を図示したものである。
【0026】
腹起し1は、山留め壁2の内側に水平に添え付けられた一段目の山留め主材3と当該山留め主材3の内側に山留め主材3の軸方向に沿って水平に積層された二段目の山留め主材4および山留め主材3と山留め主材4との間に介在された複数の調整材5より構成されている。
【0027】
山留め主材3および山留め主材4は同一断面寸法、同一長さに形成され、各山留め主材3と4のフランジ3aとフランジ4aにはそれぞれ複数のボルト孔6が軸方向に等間隔に形成され、さらに両端部にエンドプレート(図省略)が取り付けられている。
【0028】
また、山留め主材3と山留め主材4は、両端が面一揃えられ、かつ双方のウェブ3bと4bが同一水平面内に位置するように積層されている。なお、山留め主材3と4には既存の山留め主材を使用ことができ、また既存のH形鋼より形成することもできる。
【0029】
調整材5は山留め主材3と山留め主材4との間にあって、腹起し1の梁成を増大させるための部材であり、山留め主材3および4の両端部とその間に所定間隔に介在されている。
【0030】
また、調整材5は山留め主材3および4と同一幅に形成され、高さの異なる複数種類の中から腹起し1の必要とされる梁成に応じて最適な高さのものが山留め主材3と山留め主材4との間に介在されている。
【0031】
さらに、調整材5は、腹起し1の軸方向に見て箱形、H形、溝形などの形状に形成され、場合により2個の溝形材を背中合わせに抱き合せる等してH形状に形成されることもあり、特に形状が限定されるものではない。また、調整材5の長さは、特に限定されるものではなく、ボルトの締結による一体化の固定度により調整でき、概ね1.0m程度の長さに形成されている。
【0032】
また、山留め主材3と4のフランジ3aとフランジ4aにそれぞれ当接するフランジ5aと5bに、フランジ3aおよびフランジ4aのボルト孔6と同じ間隔で複数のボルト孔7が形成されている。
【0033】
そして、対応する各ボルト孔6とボルト孔7に締結ボルト8を締め付けることにより、山留め主材3および4と各調整材5が一体的に接合されている。
【0034】
なお、調整材5には山留め工事で山留め主材の長さ調整などに使用される既存の調整材(調整ピース)を使用することができ、また既存のH形鋼や溝形鋼、あるいは帯鋼より形成することもできる。また、締結ボルト8には原則として高力ボルト(HTB)が使用されている。
【0035】
このように構成された腹起し1は、山留め壁2の長さに応じて複数、山留め壁2の内側に軸方向に互いに隣接して設置され、隣接する各腹起し1,1の端部は互いに突き合わせられ、一体的に接合されている。
【0036】
隣接する各腹起し1,1どうしは、山留め主材3および4のフランジ3a,3aの端部どうしとフランジ4a,4aの端部どうしをそれぞれ接合プレート9と複数の締結ボルト10によって締結し、さらに双方のエンドプレート(図省略)どうしをボルト締結することにより一体的に接合されている。なお、接合プレート9の代わりに調整材5を利用することもある。
【0037】
そして、図2図3(a)に図示するように、接合された各腹起し1,1の山留め主材4の内側に切梁11の端部が接合され、当該切梁11の両側に火打梁12,12が左右対称に設置されている。
【0038】
また、左右火打梁12,12のうち、特に隣接する腹起し側に設置された火打梁12の隣接する腹起し側の端部は、隣接する腹起し1の山留め主材4の内側に接合されている(図2(a))。すなわち、隣接する腹起し側に設置された火打梁12は、隣接する山留め主材4,4間を跨いで設置されている。
【0039】
切梁11と左右火打梁12,12をこのように設置することにより、切梁12と接合ボルトの数量を低減することができて開口部A(図10参照)を広くすることができ、また切梁11と火打梁12によって腹起し1,1の継手部を補強することができる。
【0040】
なお、図3(b)では、接合された各腹起し1,1のそれぞれの山留め主材4の内側に切梁11,11の端部が接合され、当該切梁11,11間に繋ぎ梁13が架設され、各切梁11,11の外側に火打梁12,12が左右対称に設置されている。このようにすることで、各腹起し1,1の継手部を補強することができる。
【0041】
また、図3(c)では、接合された各腹起し1,1の特に山留め主材4,4の端部どうしは、平面に見て三角形状、腹起し1の軸方向に見て例えば矩形状に形成された火打ピース14によって接合され、当該火打ピース14を介して切梁11の端部が腹起し1の山留め主材4の内側に接合されている。火打ピース14には既存の火打ピースを利用することができる。このようにすることで、切梁11の数量を低減することができ、また火打梁12と接合プレート9を省略することができる。
【0042】
また、図4(a)〜(c)では、隣接する各腹起し1,1の継手部において、山留め主材3,3の継手部と山留め主剤4,4の継手部を、腹起し1の軸方向の異なる位置に設けることにより、継手を設けたことによる腹起しの強度低下を防止することができる。
【0043】
図5図8は、シートパイル等からなる山留め壁の内側に設置された腹起しの他の実施形態を図示したものである。
【0044】
図において、腹起し1は、山留め壁2の内側に水平に添え付けられた一段目の山留め主材3と当該一段目の山留め主材3の内側に直に積層された二段目の山留め主材4より構成されている。
【0045】
各山留め主材3および4のフランジ3aとフランジ4aにはそれぞれ複数のボルト孔6が軸方向に等間隔に形成され、また両端部にエンドプレート(図省略)が取り付けられている。
【0046】
また、山留め主材3と山留め主材4は、両端が面一揃えられ、かつ双方のウェブ3bと4bが同一水平面内に位置するように積層されている。そして、対応する双方のボルト孔6に締結ボルト8を締め付けることにより一体的に接合されている。締結ボルト8には高力ボルト(図省略)が使用されている。
【0047】
その他、隣接する腹起し1,1間の接合、切梁11と火打梁12および火打ピース13の設置等の構成については、図1図2で説明した実施形態とほぼ同じである。
【0048】
また、図7図8に図示する腹起しについては、山留め主材3と4が調整材5を介さず、複数の締結ボルト8によって直接接合されている以外は、図3図4で説明した実施形態とほぼ同じである。
【0049】
また、表-1は、一段目の山留め主材と二段目の山留め主材を積層し、複数の締結ボルトによって締結することにより構成された腹起し(図1,2)と、一段目の山留め主材と二段目の山留め主材を単に積層することにより構成された腹起しについて実施した曲げ強度試験(図9)の結果を示したものである。
【0050】
山留め主材にはH-250×250、H-300×300、H-350×350、H-400×400を使用し、この4種類の山留め主材からなる腹起しについて曲げ強度試験を実施した。図9は曲げ強度試験の方法を示す。
【0051】
締結ボルトは、ボルトのコストや手間等を考慮して高力ボルト(HTB)を使用し、山留め主材どうしを30cm間隔または20cm間隔で締結した。
【0052】
試験の結果(表-1)から、表-1のボルト間隔で締結すれば、本発明の腹起し(重ね合成腹起)が形成され、いずれの場合も、山留め主材を単純に重ねた腹起しより複数の締結ボルトによって締結された腹起しの方が概ね17%以上曲げ強度が向上している。
【0053】
一般に、締結ボルトの径を同じとした場合、山留め主材の断面形状が大きくなるに伴ってボルト本数が増えてボルト間隔が狭くなり、山留め主材の断面形状が小さくなるに伴ってボルト本数が少なくなってボルト間隔が広くなる。
【0054】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、必要に応じて梁成を増して梁の曲げ強度とせん断強度を容易に増大させることができて、腹起しを支える切梁や火打梁等の支保工材の数量を低減することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 腹起し
2 山留め壁
3 一段目の山留め主材
4 二段目の山留め主材
5 調整材
6 ボルト孔
7 ボルト孔
8 締結ボルト
9 接合プレート
10 締結ボルト
11 切梁
12 火打梁
13 繋ぎ梁
14 火打ピース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10