特許第6535586号(P6535586)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6535586
(24)【登録日】2019年6月7日
(45)【発行日】2019年6月26日
(54)【発明の名称】接触式変位計の測定補助装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/00 20060101AFI20190617BHJP
【FI】
   G01B5/00 B
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-234582(P2015-234582)
(22)【出願日】2015年12月1日
(65)【公開番号】特開2017-101991(P2017-101991A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2018年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(72)【発明者】
【氏名】濱田 真
【審査官】 眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−257262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 3/00−5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の変位量を測定するために用いられる、本体と該本体に直線運動可能に保持された接触子とを備える接触式変位計の測定補助装置であって、
基部材と、
軸線を有する2つの第1の可動部材及び軸線を有する1つの第2の可動部材であって前記基部材に、互いに直交する2つの方向へそれぞれ直線運動可能にかつそれぞれの軸線の周りに回転可能に支持された2つの第1の可動部材及び1つの第2の可動部材と、
第1の両可動部材のそれぞれと前記第2の可動部材とを等距離をおいて相互に連結する第1のリンク部材及び第2のリンク部材とを含み、
前記測定補助装置は、その基部材において、前記第1の両可動部材の直線運動方向と前記接触式変位計の接触子の直線運動方向とが平行であるように前記接触式変位計の本体に固定され、また、前記一方の第1の可動部材がその軸線の周りに回転可能であるように前記接触子に連結される、測定補助装置。
【請求項2】
前記基部材は、各第1の可動部材が貫通する第1のスロットと、前記第2の可動部材が貫通する第2のスロットとを備える、請求項1に記載の測定補助装置。
【請求項3】
前記基部材は第1のレールと、該第1のレールに対して直角をなす第2のレールとを備え、
前記2つの第1の可動部材は、それぞれ、前記第1のレール上を摺動可能である2つのスライダと、両スライダにそれぞれ回転可能に取り付けられた2つの回転子との組み合わせからなり、
前記1つの第2の可動部材は、前記第2のレール上を摺動可能であるスライダと、該スライダに回転可能に取り付けられた回転子との組み合わせからなる、請求項1に記載の測定補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触式変位計のための測定補助装置、より詳細には、接触式変位計が測定可能である変位の量、すなわち測定範囲を実質的に拡大するための測定補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
測定対象又はその一部がある位置から他の位置へ変位した量を測定するために用いられる装置の一つに接触式変位計がある。接触式変位計は、測定対象に接触し、これに追随して直線運動をする接触子を備え、接触子の直線運動距離を変位量として表示する機能を有する(後記特許文献1参照)。
【0003】
ところで、測定対象又はその一部の変位量の測定において、変位量が接触式変位計の測定範囲すなわち測定限界を超える場合がある。この場合には、接触式変位計の位置を移し替えて行う再度の測定により、測定限界を超える変位量を求めることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−192592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような場合、すなわち、測定対象又はその一部の変位量がその測定に用いられる接触式変位計の測定範囲を超える場合について、当該接触式変位計による測定を可能にする測定補助装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、測定対象又はその一部の変位量を測定するために用いられる、本体と該本体に直線運動可能に保持された接触子とを備える接触式変位計の測定補助装置に係る。前記測定補助装置は、基部材と、軸線を有する2つの第1の可動部材及び軸線を有する1つの第2の可動部材であって前記基部材に、互いに直交する2つの方向へそれぞれ直線運動可能にかつそれぞれの軸線の周りに回転可能であるように支持された2つの第1の可動部材及び1つの第2の可動部材と、第1の両可動部材のそれぞれと前記第2の可動部材とを等距離をおいて相互に連結する第1のリンク部材及び第2のリンク部材とを備える。
【0007】
前記測定補助装置は、使用に際して、その基部材において、第1の両可動部材の直線運動方向と前記接触式変位計の接触子の直線運動方向とが平行であるように前記接触式変位計の本体に固定され、また、一方の第1の可動部材がその軸線の周りに回転可能であるように前記接触子に連結される。
【0008】
前記基部材は、本発明の実施形態の1つにおいて、各第1の可動部材の直線運動及びその軸線の周りの回転運動を許す第1のスロットと、前記第2の可動部材の直線運動及びその軸線の周りの回転運動を許す第2のスロットとを備える。
【0009】
また、本発明の他の実施形態において、前記基部材は、第1のレール及び該第1のレールに対して直角をなす第2のレールを備え、第1の両可動部材は、前記第1のレール上を摺動可能である2つのスライダ及び両スライダにそれぞれ回転可能に取り付けられた2つの回転子の組み合わせからなり、また、第2の可動部材は、前記第2のレール上を摺動可能であるスライダ及び該スライダに回転可能に取り付けられた回転子の組み合わせからなる。
【0010】
本発明に係る測定補助装置を使用して行う前記接触式変位計による測定対象又はその一部の変位量の測定に際し、前記測定補助装置の一方の第1の可動部材及びその他方の第1の可動部材が、それぞれ、前記測定対象及び不動の支持体に固定される。
【0011】
本発明によれば、測定対象又はその一部が、前記支持体に対して、ある位置から他の位置へと相対的に変位するとき、前記測定対象又はその一部と共に変位する測定補助装置の一方の第1の可動部材が前記基部材に対して相対的に直線運動をする。同時に、一方の第1の可動部材に第1のリンク部材を介して連結されている第2の可動部材が、一方の第1の可動部材の直線運動方向に直角な方向へ、前記基部材に対して相対的に直線運動をする。また、第2の可動部材に第2のリンク部材を介して連結されている他方の第1の可動部材が前記基部材に対して相対的に直線運動をする。ここにおいて、一方の可動部材及び第2の可動部材の相互間距離と、他方の第1の可動部材及び第2の可動部材の相互間距離が等しいことから、第1の両可動部材の前記基部材に対する直線運動距離は等しい。なお、他方の第1の可動部材は前記支持体に固定されていることから、実際には、前記基部材が他方の可動部材(したがって前記支持体)に対して前記直線運動距離に相当する距離を移動する。
【0012】
第1及び第2の両リンク部材は、第1の両可動部材及び第2の可動部材に対してこれらの軸線の周りに回転可能であることから、第1の両可動部材及び第2の可動部材の前記基部材に対する相対的な直線運動の間に揺動運動をし、第1及び第2の両リンク部材のなす交差角度が変化する。この交差角度の変化に伴って、前記基部材に固定された接触式変位計の本体に対して、接触子が、一方の第1の可動部材から外力を受けて一方の第1の可動部材と平行に該第1の可動部材と同一の距離を直線運動する。したがって、前記接触子の直線運動距離は、他方の可動部材の直線運動距離に等しい。したがって、また、前記測定対象又はその一部の変位量は、前記基部材の相対的な直線運動距離と前記接触子の直線運動距離との和、すなわち前記基部材に対する一方の第1の可動部材の直線運動距離と他方の可動部材の直線運動距離との和に等しく、当該直線運動距離の和は前記接触式変位計が示す接触子の直線運動距離の2倍に相当する。このことから、前記測定対象又はその一部の変位量がその測定に用いられる接触式変位計の測定範囲を超える場合にあっても、当該接触式変位計を使用しての変位量の測定が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】測定対象の一部の変位を測定するために測定対象及び不動の支持体に支持された状態にある、接触式変位計とこれに取り付けられた測定補助装置との組み合わせの正面図である。
図2図1に示すある位置から他の位置へ測定対象の一部が変位したときにおける接触式変位計と測定補助装置との組み合わせの正面図である。
図3図1に示す接触式変位計と測定補助装置との組み合わせの拡大正面図である。接触式変位計は、その接触子がその本体内から最大限に伸び出た状態にある。
図4図1に示す接触式変位計と測定補助装置との組み合わせの拡大背面図である。
図5図1に示す接触式変位計と測定補助装置との組み合わせの拡大底面図である。
図6図2に示す接触式変位計と測定補助装置との組み合わせの拡大正面図である。接触式変位計は、その接触子の一部がその本体内に移動し収容された状態にある。
図7図2に示す接触式変位計と測定補助装置との組み合わせの拡大底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1及び図2を参照すると、接触式変位計10及び該接触式変位計に取り付けられ、接触式変位計10の測定範囲を実質的に拡大する測定補助装置12の組み合わせ14と、接触式変位計10により変位量が測定される対象(測定対象)Mとが示されている。
【0015】
図示の測定対象Mは鋼製、コンクリート製等の柱又は壁からなり、その強度試験を行うために地上Eに設置されている。前記強度試験は、測定対象Mの上部に所定の水平外力Fを負荷したときに生じる測定対象Mの弾塑性変形(撓み)の程度、すなわち測定対象Mの上部がある位置(図1に示す位置)から他の位置(図2に示す位置)に変位したときの量(変位量)を測定することにより行われる。
【0016】
接触式変位計10と測定補助装置12との組み合わせ14は、測定対象Mと不動の支持体Sとに架け渡され、前記「ある位置」において水平に支持されている。支持体Sは、地上Eに、測定対象Mから水平方向に間隔を置いて設置され鉛直上方へ伸びる、例えば比較的高い剛性を有する棒状体からなる。
【0017】
以下、図1及び図2に示す接触式変位計10及び測定補助装置12の組み合わせ14の拡大図である図3図7及び図1図2を参照して、接触式変位計10及び測定補助装置12について説明する。
【0018】
接触式変位計10は市販されているものであって、筒状の本体16と、本体16に直線運動可能に保持された棒状の接触子18とを備える。接触式変位計10は、接触子18が本体16に対して直線運動可能である最大限の距離、すなわち本体16から最大限に突出したときの長さによって定まる測定範囲を有する。
【0019】
測定補助装置12は、基部材20と、2つの第1の可動部材22、24及び1つの第2の可動部材26と、第1の両可動部材22、24のそれぞれと第2の可動部材26とを相互に連結する第1のリンク部材28及び第2のリンク部材30とを備える。
【0020】
図示の基部材20は全体に逆T字の形状を呈する板状体からなり、細長い一の板状部20aと、一の板状部20aに対してその長手方向中央部において連なりかつ一の板状部20aに直交する細長い他の板状部20bとを有する。基部材20は、図示の逆T字形を呈する板状体に代えて、例えば矩形の平板からなるものとすることができる。
【0021】
基部材20の一の板状部20aには、その幅方向中央部をその長手方向へ伸びる第1のスロット32が設けられている。また、他の板状部20bには、その幅方向中央部をその長手方向へ伸びる第2のスロット34が設けられている。第2のスロット34は、その仮想延長において、第1スロット32と交差している。したがって、第1及び第2の両スロット32、34は連通していない。但し、図示の例に代えて、第1及び第2の両スロット32、34が互いに連通するものとすることは任意である。
【0022】
図示の第1の両可動部材22、24及び第2の可動部材26はそれぞれピンからなり、軸線l1、l2、l3(図5)を有する。第1の両可動部材22、24は、それぞれ、基部材20の第1のスロット32に摺動可能であるように通され、基部材20に対して、相対的に、第1のスロット32の伸長方向へ直線運動可能でありまた軸線l1、l2の周りに回転可能である。第2の可動部材26もまた基部材20の第2のスロット34に摺動可能であるように通され、基部材20に対して、相対的に、第2のスロット34の伸長方向へ直線運動可能でありまた軸線l3の周りに回転可能である。各可動部材22、24,26は、その両端部に取り付けられる止め輪のような留め具(図示せず)を介して、各スロット32、34からの抜け出しを阻止されている。
【0023】
一方の第1の可動部材22と第2の可動部材26とを相互に連結する第1のリンク部材28、及び、他方の第1の可動部材24と第2の可動部材26とを相互に連結する第2のリンク部材30は、それぞれ、細長い板状体からなり、一方の第1の可動部材22及び第2の可動部材26の軸線l1、l3相互間と、他方の第1の可動部材24及び第2の可動部材26の軸線l2、l3相互間とを等距離に維持する。第1のリンク部材28はその両端部において一方の第1の可動部材22及び第2の可動部材26に対してこれらの軸線l1、l3の周りに揺動可能に接続され、また、第2のリンク部材30はその両端部において他方の第1の可動部材24及び第2の可動部材26に対してこれらの軸線l2、l3の周りに揺動可能に接続されている。
【0024】
接触式変位計10と測定補助装置12との組み合わせ14において、測定補助装置12は、その基部材20において、接触式変位計10の本体16に複数のブラケット36を介して解除可能に取り付けられている。取り付けに際し、測定補助装置12は、その第1の両可動部材22,24の直線運動方向、すなわち第1のスロット32の伸長方向と接触式変位計10の接触子18の直線運動方向とが平行であるように配置される。
【0025】
図示の例では、接触式変位計10の本体16及び接触子18が測定補助装置12の第1のスロット32の上方(図5で見て基部材20の下方)を該スロットに沿って伸びている。また、測定補助装置12の一方の第1の可動部材22がその軸線l1の周りに回転可能であるように接触式変位計10の接触子18の先端部に連結されている。図示の例にあっては、接触子18の先端部がリング状を呈し、該先端部に一方の第1の可動部材22が嵌合されている。また、接触式変位計10は、その本体16の先端、すなわち本体16に対する接触子18の出入を許す孔(図示せず)を規定する先端16a(図3及び図5)が、第2のスロット34の長手方向中心軸線L(図3)に接するように配置されている。但し、図示の例に代えて、接触式変位計10を、その本体16の先端16aが第2のスロット34の中心軸線Lの手前に存するように、あるいは、先端16aが中心軸線Lを超えたところに存するように配置することは任意である。
【0026】
測定補助装置12にあっては、その第1の両可動部材22、24及び第2の可動部材26が、それぞれ、これらの軸線l1、l2、l3を結ぶ3つの線分が常に二等辺三角形を描くように第1のスロット32及び第2のスロット34を直線運動することが可能である。したがって、第2の可動部材26(より詳細にはその軸線l3)は、第1の両可動部材22、24(より詳細にはこれらの軸線l1、l2)を相互に結ぶ線分の垂直二等分線上に位置し、第1の両可動部材22、24は第1のスロット32を互いに相寄るように又は互いに離れるように直線運動をし、また、第2の可動部材26は第2のスロット34を第1のスロット32から離れるように又はこれに近づくように直線運動をする。このときの第1のスロット32における第1の両可動部材22、24の直線運動距離は互いに等しい。また、第1及び第2の3つの可動部材22、24、26の前記直線運動の間、前記二等辺三角形の二等辺に沿って伸びる第1のリンク部材28及び第2のリンク部材30は、それぞれ、軸線l1、l3及び軸線l2、l3の周りに揺動し、第1及び第2の両リンク部材28、30のなす交差角度(前記二等辺三角形の頂角の大きさ)αが漸減し又は漸増する。
【0027】
第1のスロット32は、好ましくは、接触式変位計10の接触子18がその本体16から最大限に突出したときにおける接触式変位計10の全長にほぼ等しい長さ寸法を有する。また、第2のスロット34の長さ寸法は、第1のスロット32における第1の両可動部材22、24の直線運動に追随して第2の可動部材26が直線運動可能である長さ寸法を有する。
【0028】
再び、図1を参照すると、測定対象Mと不動の支持体Sとの相互間隔は、組み合わせ14を構成する測定補助装置12の基部材20の一方の板状部20aの長さ寸法よりわずかに小さいものに設定されている。測定に際し、測定補助装置12の一方の第1の可動部材22及びその他方の第1の可動部材24が、それぞれ、測定対象Mの上部及び支持体Sの上部に固定され、基部材20の一方の板状部20a及び他方の板状部20bがそれぞれ水平及び鉛直上方に伸びている。
【0029】
測定対象Mの前記弾塑性変形によってその上部が支持体Sに向けて前記「ある位置」(図1)から前記「他の位置」(図2)へと変位するとき、測定補助装置12の一方の第1の可動部材22は測定対象Mと共に変位する。また、他方の第1の可動部材24は変位することなく不動の支持体Sと共にその位置を維持する。
【0030】
このとき、第1のスロット32において、一方の第1の可動部材22と他方の第1の可動部材24とがこれらの軸線l1、l2の周りに回転運動をし、かつ、互いに相寄るように基部材20に対して相対的に直線運動をする。同時に、第2の可動部材26が、第2のスロット34において、その軸線l3の周りに回転運動をし、かつ、第1のスロット32から離れる方向へ基部材20に対して相対的に直線運動をする。
【0031】
これに伴って、第1及び第2の両リンク部材28、30はこれらのなす交差角度αが次第に小さくなるように揺動運動をする。この揺動運動は、接触式変位計10の接触子18に対して、軸線l1の周りに回転運動をする一方の第1の可動部材22を介して、外力(押圧力)を及ぼし、接触子18を本体16に向けて直線運動させる。接触子18の直線運動距離は、一方の第1の可動部材22の直線運動距離に等しい。また、一方の第1の可動部材22の前記直線運動距離は他方の第1の可動部材24の前記直線運動距離に等しくなるところ、他方の第1の可動部材24は不動であることから、基部材20が他方の第1の可動部材24に対して一方の第1の可動部材22の前記直線運動距離に等しい距離を相対的に直線運動する。これに伴って、図2に示すように、測定補助装置12は接触式変位計10と共にその姿勢を変化させる。
【0032】
測定対象Mの上部の変位量は、測定補助装置12の基部材20の相対的な直線運動距離と接触式変位計10の接触子18の前記直線運動距離との和、すなわち基部材20に対する一方の第1の可動部材22の直線運動距離と他方の第1の可動部材24の直線運動距離との和に等しく、この直線運動距離の和は接触式変位計10が示す接触子18の直線運動距離の2倍に相当する。このことから、測定対象Mの上部の変位量がその測定に用いられる接触式変位計10の測定範囲を超える場合、当該接触式変位計を使用しての測定が可能である。
【0033】
測定補助装置12の基部材20は、図示の例に代えて、その一の板状部20aとその他の板状部20bとが互いに独立した2つの細長い板状体(図示せず)からなり、これらの2つの板状体が相互に解除可能に連結及び固定されるものとすることができる。ここにおいて、前記2つの細長い板状体はそれぞれ第1のスロット32及び第2のスロット34を有する。
【0034】
また、測定補助装置12の基部材20は、図示の例に代えて、その一の板状部20aが互いに独立した2つの細長い板状体(図示せず)からなり、かつ、その他の板状部20bが一の細長い板状体20aに対して独立した1つの板状体(図示せず)からなるものとすることができる。ここにおいて、前記2つの細長い板状体は、これらの長手方向へ伸びかつ第1の両可動部材22、24がそれぞれ摺動する2つのスロットを有する。また、前記2つの細長い板状体は、これらの間に間隔をおいて、前記2つの板状体及び前記2つのスロットが互いに部分的に重なり合うように平行に配置されかつ解除可能に連結及び固定され、前記2つのスロットは共同して第1のスロット32を構成する。他方、前記1つの板状体はその長手方向へ伸びる、第2のスロット34に相当するスロットを有する。また、前記1つの板状体は前記2つの板状体の少なくとも一方に解除可能に連結及び固定される。これによれば、前記2つのスロットを互いに他の一方に向けてそれぞれ摺動する第1の両可動部材22、24の軸線l1、l2が、前記二等辺三角形の垂直二等分線(スロット34の中心軸線L)上に位置し、かつ、第1及び第2の両リンク部材28、30がこれらの全長において互いに重なり合い、交差角度αが0(零)となるようにすることができる。
【0035】
さらに、測定補助装置12の基部材20は、図示の例に代えて、2つのレール(図示せず)であって、該2つのレールの一方(第1のレール)及び他方(第2のレール)が互いに直角な方向へ伸びる2つのレールで構成することができる。2つの第1の可動部材22は、それぞれ、前記第1のレール上を摺動可能である2つのスライダ(図示せず)と、両スライダにそれぞれ回転可能に取り付けられた2つの回転子(図示せず)との組み合わせとで構成することができる。また、1つの第2の可動部材26は、前記第2のレール上を摺動可能であるスライダ(図示せず)と、該スライダに回転可能に取り付けられた回転子(図示せず)との組み合わせとで構成することができる。
【0036】
前記したところでは、接触式変位計10と測定補助装置12との組み合わせ14の使用上、測定補助装置12をその第1及び第2の両リンク部材28、30の交差角度αが漸減するように設定したが、これに代えて、交差角度αが漸増するように、すなわち、図2に示す状態から図1に示す状態へと移行するように設定することができる。
【符号の説明】
【0037】
10 接触式変位計
12 測定補助装置
14 接触式変位計と測定式補助装置との組み合わせ
16、18 接触式変位計の本体及び接触子
20 測定補助装置の基部材
22、24 測定補助装置の第1の可動部材
26 測定補助装置の第2の可動部材
28、30 第1のリンク部材及び第2のリンク部材
32、34 第1のスロット及び第2のスロット
F 水平外力
M 測定対象
S 支持体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7