(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、エンコーダ100を備えたモータ107により駆動されるボールスクリュウ機構105を含む装置104の模式図である。ここで、ボールスクリュウ機構105は、ねじ軸105sにナット(不図示)とボール(不図示)を組み合わせて構成され、回転運動を直線運動に変換する要素である。装置104は、ボールスクリュウ機構105によってモータ107の主軸8の回転運動をZ軸方向の直線運動に変換して、可動部105mをねじ軸105s上の所望の位置に移動させる。ボールスクリュウ機構105のねじ軸105sはモータ107の主軸8と一体に回転する。エンコーダ100は、可動部105mのZ軸方向の位置を主軸8の回転位置に置き換えて検出するために、主軸8の複数の回転にわたる回転量を検出する。主軸8の初期位置からの複数回の回転にわたる回転角の総和(以下、主軸の回転量という。)は、可動部105mの初期位置からの変位距離に比例する。したがって、主軸8の回転量と可動部105mの変位距離との比例定数を特定することによって、主軸8の回転量を検出することで可動部105mの位置を検出することができる。
【0014】
このようなエンコーダとしては、例えば主軸の1回転内の絶対回転角を検出してデジタル信号として出力する角度センサを複数組み合わせて構成することが考えられる。角度センサを複数組み合わせるエンコーダの一例として、主軸と異なる減速比で回転する第1従軸と第2従軸の3軸それぞれに別々の角度センサを設ける構成が考えられる。この構成では、主軸、第1従軸および第2従軸の3軸から検出した回転角に基づいて主軸の複数回転にわたる回転量をデジタル演算して求める。デジタル演算するとは、例えばN進法に変換した量で演算することなどが挙げられる。この構成では、回転角から回転量を算出するから、複数の角度センサで検出された回転角(以下、検出回転角)のいずれかの分解能が低いと、演算して求めた回転量の精度が低下するという課題がある。この精度を改善するために、この3軸すべてに高分解能の角度センサを取付けることも考えられるが、この場合、高価な角度センサを3個備えることでコストダウンに不利になるという課題がある。
【0015】
また、この構成では、これらの3個の角度センサそれぞれの検出回転角(デジタル信号)を、CPU(central processing unit)にて複雑なアルゴリズムを用いて演算し回転量を求めることになる。したがって、演算能力の低いCPUを用いると演算が追いつかずに誤動作する課題がある。これらの課題から、複数の回転角を並列的に処理して回転量を検出する構成には、コストアップを抑えつつ精度を向上する観点で改善をする余地がある。
【0016】
これらを踏まえ、主軸の複数回の回転(以下、複数回転と呼称する)にわたる回転量を、主軸の1回転内の回転角と、主軸の回転の回数である回転数とに基づき式1によって求める。
(式1) 主軸の回転量=主軸の回転角+主軸の回転数×360°
本発明は、このような認識に基づきなされたもので、主軸の回転角と回転数とに基づいてその回転量を求めるアブソリュートエンコーダを提供する。
【0017】
以下、本発明を好適ないくつかの実施形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施形態、変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において第1実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0018】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係るエンコーダ100について説明する。
図2は、エンコーダ100を示す模式図である。
図3は、エンコーダ100を示す正面図である。以下、XYZ直交座標系をもとに説明する。X軸方向は水平な左右方向に対応し、Y軸方向は水平な前後方向に対応し、Z軸方向は鉛直な上下方向に対応する。Y軸方向およびZ軸方向はそれぞれX軸方向に直交する。X軸方向は左方向あるいは右方向と、Y軸方向は前方向あるいは後方向と、Z軸方向で正方向を上方向、Z軸方向で負方向を下方向と表記することがある。特に、後述する第1基板126側から視て第2基板128側を上側と、第2基板128側から視て第1基板126側を下側という。このような方向の表記はエンコーダ100の使用姿勢を制限するものではなく、エンコーダ100は任意の姿勢で使用されうる。
【0019】
エンコーダ100は、主軸8の複数回転にわたる回転量を検出するアブソリュート型のエンコーダである。エンコーダ100は検出した主軸8の回転量をデジタル信号として出力する。
図2に示すように、エンコーダ100は、第1ロータ108と、第2ロータ109と、第3ロータ110と、第1角度センサ116と、第2角度センサ118と、第3角度センサ120と、変速部G1と、変速部G2と、変速部G3と、制御部122と、を主に含む。これらのロータは主軸8の回転に連動してそれぞれ異なる速度で回転する。第1ロータ108は主軸8と一体に回転する。第2ロータ109は、第1ロータ108から、変速比P1の変速部G1と、変速比P2の変速部G2と、を介して減速回転する。第3ロータ110は、第2ロータ109から変速比P3の変速部G3を介して減速回転する。ここで、変速比とは第1ロータ108と比較した場合の回転比率をいい、例えば、変速比P1は第1ロータ108に対する変速部G1の回転比率をいう。他のP2、P3についても、この概念が同様に適用される。
【0020】
第1角度センサ116は、第1ロータ108の回転角(=主軸8の回転角)を検出する。第1ロータ108と、マグネットM1と、第1角度センサ116と、第1取得部41と、は主軸8の回転角を特定する第1特定要素71を構成する。第2角度センサ118は第2ロータ109の回転角を検出する。第2ロータ109と、マグネットM2と、第2角度センサ118と、第2取得部42と、は第2ロータ109の回転角を特定する第2特定要素72を構成する。第3角度センサ120は第3ロータ110の回転角を検出する。第3ロータ110と、第3角度センサ120と、第3取得部43と、は第3ロータ110の回転角を特定する第3特定要素73を構成する。
【0021】
制御部122は、第2角度センサ118および第3角度センサ120が検出する回転角に基づき、主軸8の回転数を特定すると共に、この回転数と第1角度センサ116が検出した第1ロータ108の回転角に基づき、主軸8の回転角を特定する。すなわち、制御部122は、第1角度センサ116、第2角度センサ118、第3角度センサ120が検出する回転角に基づき、主軸8の回転量を特定する。例えば、主軸8の回転量は式2によって特定することができる。
(式2) 主軸8の回転量=第1ロータ108の回転角+P1×P2×(第2ロータ109の回転角+P3×第3ロータ110の回転角)
制御部122については後述する。
【0022】
続いて、エンコーダ100の詳細な構成について説明する。
図3に示すように、エンコーダ100は、第1基板126と、第2基板128と、Z軸方向において第1基板126と第2基板128との間に配置された中間歯車部115と、マグネットM1と、マグネットM2と、をさらに含む。また、第1ロータ108には第1歯車部112が、第2ロータ109には第2歯車部113が、第3ロータ110には第3歯車部114がそれぞれに設けられる。第1ロータ108の回転軸と第1歯車部112の回転軸、第2ロータ109の回転軸と第2歯車部113の回転軸、第3ロータ110の回転軸と第3歯車部114の回転軸は、同じになるように配置されている。
図4は、第2基板128側から視たエンコーダ100の各歯車部の配置図である。
図5は、第1基板126側から視たエンコーダ100の各歯車部の配置図である。
図6は、第1基板126側から視たエンコーダ100の各角度センサ、各ホール検出器および制御部122の配置図である。なお、
図4〜
図6では、理解を容易にするため一部の歯車部の記載を省略している。
【0023】
(第1基板)
第1基板126は、エンコーダ100のモータ107側(
図3において下側)に設けられる略平板状の部材である。第1基板126は、例えば樹脂材料を用いてモールド成型により形成されてもよい。第1基板126は主軸8が挿通される孔部126hを有する。第1基板126には、中間歯車部115、第2ロータ109および第3ロータ110を回転可能に支持する4本のシャフト(不図示)が設けられており、これら4本のシャフトは第1基板126に対して直交し、且つ第2基板128に向かって延びている。これら4本のシャフトは回転軸を構成する。各ロータ108、109、110の中央部にはこのシャフトを回転可能に支持する軸受(不図示)が設けられる。この軸受には転がり軸受や滑り軸受を用いてもよい。
【0024】
(第2基板)
図3に示すように、第2基板128は、エンコーダ100の第1基板126と反対側に設けられる略平板状の部材である。第2基板128は、第1基板126に設けられた複数のボス(不図示)に固定されてもよい。
図6に示すように、第2基板128は、第1角度センサ116と、第2角度センサ118と、第3角度センサ120と、制御部122と、を支持する。第2基板128は、例えば各センサと制御部の配線が設けられたプリント配線板であってもよい。第1角度センサ116の中央部は第1ロータ108の回転軸R1の延長上に配置され、マグネットM1に対向している。第2角度センサ118の中央部は第2ロータ109の回転軸R2の延長上に配置され、マグネットM2に対向している。第3角度センサ120の中央部は第3ロータ110の回転軸R3の延長上に配置される。
【0025】
(角度センサ)
第1角度センサ116、第2角度センサ118および第3角度センサ120(以下、各角度センサと表記することがある。)は、1回転に対応する0°〜360°の範囲の絶対的な回転角を検出するセンサである。各角度センサは検出した回転角に応じた信号(例えばデジタル信号)を制御部122に出力する。第1角度センサ116、第2角度センサ118および第3角度センサ120は、一旦通電を停止して再通電をした場合にも、通電停止前と同じ回転角を制御部122に出力する。このためバックアップ電源を備えない構成が可能である。
図6に示すように、各角度センサ116、118、120は第2基板128の予め定められた位置又は所定の位置にはんだ付け等の手段によって固定される。
図6において第1角度センサ116、第2角度センサ118を囲む円形の破線は、第2基板128に投影したマグネットM1、M2の外形を示す。
【0026】
第1角度センサ116と第2角度センサ118には比較的分解能が高い磁気式角度センサを使用してもよい。磁気式角度センサは、Z軸方向において、例えばマグネットの2極の磁極と隙間を介して対向配置され、これら磁極の回転に基づいてロータの回転角を特定してデジタル信号を制御部122に出力する。磁気式角度センサは、一例として、磁極を検出する検出素子と、この検出素子の出力に基づいてデジタル信号を出力する演算回路と、を含む。検出素子は、例えばホールエレメントやGMR(Giant Magneto Resistive)エレメントなどの磁界検出要素を複数(例えば4つ)含んでもよい。演算回路は、例えば複数の検出素子の出力の差や比をキーとしてルックアップテーブルを用いてテーブル処理によって回転角を特定するようにしてもよい。この検出素子と演算回路とは一つのICチップ上に集積されてもよい。このICチップは薄型の直方体形状の外形を有する樹脂中に埋め込まれてもよい。第1角度センサ116では、この樹脂から露出する複数の出力端子に検出した主軸8の回転角に対応する並列デジタル信号である角度信号が出力される。
【0027】
第3角度センサ120は、第1角度センサ116と同様の磁気式角度センサが用いられてもよいが、第1実施形態ではロータリーコードスイッチが用いられる。ロータリーコードスイッチは、ロータの回転角に応じた複数ビット(例えば4ビット)のデジタル信号を出力するスイッチ要素を含んでもよい。ロータリーコードスイッチは磁気式角度センサに比べて、構成がシンプルで安価である。
図3に示すように、第3角度センサ120の入力軸120sは、第3ロータ110の中央部から第2基板128に向かって延在する筒状部110sの中央部に形成された凹部110hに挿入されて固定される。
【0028】
なお、第3角度センサ120の分解能は第2角度センサ118の分解能より高くしてもよい。例えば第3角度センサ120に分解能が7ビットの磁気式角度センサを用いて、第2角度センサ118に分解能が4ビットのロータリーコードスイッチを用いてもよい。1/128回転ずつ緩慢に回転する第2歯車の後段に、分解能が1/16回転(4ビット)の角度センサを配置する構成に比べ、1/16回転ずつ比較的速く回転する第2歯車の後段に、分解能が1/128(7ビット)の角度センサを配置する構成の方が、歯車のバックラッシュによる影響が小さく、計数誤差の発生を抑制しやすい。
【0029】
(マグネット)
マグネットM1およびマグネットM2(以下、各マグネットと表記することがある。)は略円筒形状を有し、例えばNdFeB系の磁石材料から形成されるボンド磁石である。各マグネットの第2基板128側の端部には径方向に2極の磁極が設けられる。言い換えれば、周方向に2つの磁極が並んで設けられている。各マグネットは各ロータ108、109から第2基板128に向かって(上向きに)延在する各支持部108s、109sに形成された各凹部108h、109hに収容され、例えば接着材を用いて固定される。第1角度センサ116は、第1ロータ108に設けられたマグネットM1の磁極を検出して、第1ロータ108の回転角を複数ビット(例えば7ビット)のデジタル信号として出力する。第2角度センサ118は、第2ロータ109に設けられたマグネットM2の磁極を検出して、第2ロータ109の回転角を複数ビット(例えば7ビット)のデジタル信号として出力する。
【0030】
(減速機構)
図3〜5に示すように、第1歯車部112には欠歯ギアが設けられ、中間歯車部115にはゼネバ機構が設けられている。これら第1歯車部112と中間歯車部115は欠歯ギアとゼネバ機構により結合されて変速比がP1である変速部G1を構成する。中間歯車部115と第2歯車部113はギア結合されて変速比がP2である変速部G2を構成する。同様に、第2歯車部113と第3歯車部114は欠歯ギアとゼネバ機構により結合されて変速比がP3である変速部G3を構成する。変速部G1、変速部G2および変速部G3は次第に減速する減速機構を構成する。この減速機構によって、第1ロータ108、中間歯車部115、第2ロータ109および第3ロータ110は、連動して回転する。つまり、第1ロータ108が回転することによって、第2ロータ109および第3ロータ110は予め設定された減速比で減速回転する。なお、第1歯車部112と中間歯車部115は欠歯ギアとゼネバ機構により結合されて、変速比P1の変速部G1を構成している。同様に、第2歯車部113と第3歯車部114は欠歯ギアとゼネバ機構により結合されて変速比P3の変速部G3を構成している。
但し、ゼネバ機構による伝達であるため連続回転ではなく間欠回転による伝達であり、主軸8の回転は連続した回転角度ではなく主軸8の回転数を表す離散的な回転位置として、各ロータ108、109、110へと伝達される。
【0031】
(第1歯車部)
第1歯車部112は、第2基板128側(上)から順に設けられる駆動歯車112dと、カム部112cと、を含む。駆動歯車とは、駆動する歯車をいう。この駆動歯車により駆動される歯車は従動歯車という。カム部112cおよび駆動歯車112dは、それぞれ外周面に所定の凹凸またはギア歯が設けられる略円筒形状の外形を有する。カム部112cおよび駆動歯車112dは一体に形成され、さらに同じ回転軸を備えていてもよい。駆動歯車112dが中間歯車部115の従動歯車115eと噛み合うことで、第1ロータ108の回転が中間歯車部115に伝達される。カム部112cが中間歯車部115のカム部115cと噛み合うことで中間歯車部115の非正規回転を規制する。ここで非正規回転とは従動歯車が駆動歯車と噛み合うことで正規に伝達される回転以外の回転をいう。以下の従動歯車が駆動歯車と噛み合う部分についても、この概念が同様に適用される。第1歯車部112の駆動歯車112dは、その外周を12等分した位置のうち連続する2箇所に2個の歯を有する部分と、他の箇所に歯が設けられない部分である欠歯部と、を有する欠歯歯車である。つまり、駆動歯車112dは角度が60°であるギア歯を有する欠歯歯車である。このような第1歯車部のカム部112cと中間歯車部のカム部115cは、第1歯車部の駆動歯車112dと中間歯車部の従動歯車115eによって駆動されるゼネバ機構を構成している。
【0032】
(中間歯車部)
中間歯車部115は、第1ロータ108と第2ロータ109の間で回転を減速して伝達する要素である。中間歯車部115を設けることで、第1ロータ108と第2ロータ109の間の減速比を大きくできる。中間歯車部115は、第2基板128側(上)から順に設けられる従動歯車115eと、カム部115cと、駆動歯車115dと、を含む。カム部115c、従動歯車115eおよび駆動歯車115dは、それぞれ外周面に所定の凹凸またはギア歯が設けられる略円筒形状の外形を有する。カム部115c、従動歯車115eおよび駆動歯車115dは一体に形成され、さらに同じ回転軸を備えてもよい。従動歯車115eが第1歯車部112の駆動歯車112dと噛み合うことで、第1ロータ108の回転が中間歯車部115に伝達される。
【0033】
従動歯車115eはその外周を48等分した位置に48個のギア歯を有する平歯車である。第1歯車部112の駆動歯車112dは、その外周を12等分した位置のうち連続する2箇所に2個の歯を有する部分と、他の箇所に歯が設けられない部分である欠歯部と、を有する欠歯歯車である。中間歯車部のカム部115cはその外周を18等分するカムから成る、ゼネバホイールである。この第1歯車部のカム部112cはその外周に1箇所のゼネバホイールの非正規回転を規制するロック要素を持っており、第1歯車部のカム部112cと中間歯車部のカム部115cは第1歯車部の駆動歯車112dと中間歯車部の従動歯車115eによって駆動される分割比18のゼネバ機構を構成している。ゼネバ機構により中間歯車部115は間欠駆動される。つまり、第1歯車部112が連続回転するとき中間歯車部115および中間歯車部115は分割比P1が18で間欠回転する。従動歯車のピッチ円直径はカム部のピッチ円直径よりやや大きい。つまり従動歯車115eの歯の先端はカム部115cよりも外周側(第1歯車部112側)に突出している。
【0034】
中間歯車部115の駆動歯車115dは、その外周を12等分した位置に12個のギア歯を有する平歯車である。
【0035】
(第2歯車部)
第2歯車部113は、第2基板128側(上)から順に設けられる従動歯車113eと、カム部113cと、駆動歯車113dと、を含む。従動歯車113e、駆動歯車113dおよびカム部113cはそれぞれ外周面に所定の凹凸またはギア歯が設けられる略円筒形状の外形を有する。従動歯車113e、駆動歯車113dおよびカム部113cは一体に形成され、さらに同じ回転軸を備えていてもよい。従動歯車113eが中間歯車部115の駆動歯車115dと噛み合うことで、中間歯車部115の回転が第2ロータ109に伝達される。
【0036】
従動歯車113eはその外周を60等分した位置に60個のギア歯を有する平歯車である。したがって、第2歯車部113は中間歯車部115に対して12/60(=1/5)の減速比P2でギア連結される。つまり、駆動歯車115dと従動歯車113eとは変速比P2が5である変速部G2を構成する。この構成により、第2ロータ109が1回転する間に主軸8はP1(=18)とP2(=5)の積である90回分回転しており、第2ロータ109の回転角を検出することで主軸8の90回転にわたる回転数を検出することができる。
【0037】
第2歯車部113の駆動歯車113dは、その外周を20等分した位置のうち連続する2箇所に2個の歯を有する部分と、他の箇所に歯が設けられない部分である欠歯部と、を有する欠歯歯車である。つまり、駆動歯車113dは36°だけギア歯を有する欠歯歯車である。第2歯車部113の駆動歯車113dは、第3歯車部114の従動歯車114eと噛合う。第2歯車部113のカム部113cは、第3歯車部114のカム部114cと噛合う。
【0038】
(第3歯車部)
第3歯車部114は、第2基板128側(上)から順に設けられるカム部114cと、従動歯車114eと、を含む。カム部114cおよび従動歯車114eは、それぞれ外周面に所定の凹凸またはギア歯が設けられる略円筒形状の外形を有する。カム部114cと従動歯車114eは一体に形成され、さらに同じ回転軸を備えていてもよい。第3歯車部114の従動歯車114eは、その外周の44等分した位置に44個のギア歯を有する平歯車である。第3歯車部のカム部114cはその外周を16等分するカムから成るゼネバホイールであり、第2歯車部のカム部113cはその外周に1箇所の前記ゼネバホイールの非正規回転を規制するロック要素を持っており、第2歯車部のカム部113cと第3歯車部のカム部114cは第2歯車部の駆動歯車113dと第3歯車部の従動歯車114eによって駆動される分割比16のゼネバ機構を構成している。つまり、第2歯車部と第3歯車部とは変速比P3が16である変速部G3を構成する。この構成により、第3ロータ110が1回転することで第2ロータ109は変速比P3に対応して16回分回転しており、さらに主軸8は変速比P1と変速比P2の積に対応して1440回分回転している。よって、第3ロータ110の回転角を検出することで主軸の1440回転にわたる回転数を検出することができる。
【0039】
(制御部)
図2を参照する。制御部122は、第1取得部41と、第2取得部42と、第3取得部43と、回転数特定部45と、回転量特定部44と、出力部46と、を含む。これら各ブロックは、ハードウエア的には、コンピュータのCPU(central processing unit)をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウエア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者に理解されるところである。
【0040】
第1取得部41は第1角度センサ116から出力された信号(以下、出力信号と呼称する)を取得して所定の形式のデータに整えて回転量特定部44に送る。第2取得部42は第2角度センサ118からの出力信号を取得して所定の形式のデータに整えて回転数特定部45に送る。第3取得部43は第3角度センサ120からの出力信号を取得して所定の形式のデータに整えて回転数特定部45に送る。回転数特定部45は、第1取得部41からの出力データと第2取得部42からの出力データに基づき第1ロータ108の回転数(=主軸8の回転数)を特定し、回転量特定部44に送る。回転量特定部44は、第1取得部41からの出力データおよび回転数特定部45からの出力データに基づき、前述の式2によって主軸8の回転量を特定する。出力部46は回転量特定部44によって特定された主軸8の回転量を所定の形式で出力する。出力部46から出力される信号は並列デジタル信号であってもよい。
【0041】
ここで、出力部46からのデジタル信号の各ビットを上位側から下位側に向かって区分したとき、上位側のビットを上位ビットと、その下のビットを中位ビットと、さらにその下のビットを下位ビットというとき、式2に示すように、第3角度センサ120からの出力信号は主に上位ビット、第2角度センサ118からの出力信号は主に中位ビット、第1角度センサ116からの出力信号は主に下位ビットの領域にそれぞれ対応する。このため、3つの角度センサの分解能が相違する場合も検出精度への影響を小さくできる。また、式2による演算は単純であるから、演算量が少なくて済み、制御部122に演算能力の低いCPUを用いることが可能になる。
【0042】
次に、このように構成された第1実施形態のエンコーダ100を製造する方法について説明する。エンコーダ100の製造方法は、下側の部材の一部に上側の部材を順次積み重ねて組み立てる工程を含んでもよい。
(1)モータ107と、シャフト(不図示)を立設した第1基板126と、を準備する。
(2)主軸8を上向きにした姿勢でモータ107を治具に固定する。孔部126hに主軸8を挿通して第1基板126をモータ107の上側に固定する。
(3)第1ロータ108を第2基板128が設けられる側(上)から主軸8に被せて固定する。
(4)第3ロータ110を第1基板126に取付ける。この際、第1基板126のシャフトに第3ロータ110の軸受(不図示)を第2基板128が設けられる側(上)から嵌合する。
(5)第2ロータ109を、第3ロータ110の一部を覆うように第1基板126に取付ける。この際、第1基板126のシャフトに第2ロータ109の軸受(不図示)を第2基板128側(上)から嵌合する。
(6)中間歯車部115を、第2ロータ109の一部を覆うように第1基板126に取付ける。この際、第1基板126のシャフトに中間歯車部115の軸受(不図示)を第2基板128側(上)から嵌合する。
(7)第1角度センサ116、第2角度センサ118、第3角度センサ120および制御部122を取付けた第2基板128を、複数のボス(不図示)等を介して第1基板126に固定する。この際、第3角度センサ120の入力軸120sを第3ロータ110に固定する。
このように各部材を順次上側に重ねるように組み立てることで、個々の作業が単純化され、製造の手間や設備投資額を抑制することができる。
なお、上述の工程は一例であって、必要に応じて工程順を変更したり、別の工程を追加したり、一部の工程を削除してもよい。
【0043】
次に、このように構成された第1実施形態のエンコーダ100を説明する。
第1実施形態のエンコーダ100は、主軸8と一体に回転する第1歯車部112と、第1歯車部112が連続回転するとき間欠回転する歯車であって、第1歯車部112に対して第1減速比で減速回転する第2歯車部113と、主軸8の回転角を検出する第1角度センサ116と、第2歯車部113の回転角を検出する第2角度センサ118と、を備える。この構成によれば、検出した主軸8の回転角と、検出した第2歯車部113の回転角から特定した主軸8の回転数とに基づき、例えば前述の式1により主軸8の複数回転にわたる回転量を特定することができる。一方の角度センサがその分解能の範囲でエンコーダ100から出力されるデジタル信号の下位のビット列を検出し、他方の角度センサがその分解能の範囲で中位または上位のビット列を検出することで、分解能が異なる複数の角度センサを組み合わせた場合でもエンコーダの精度の低下を抑制することができる。ここで、エンコーダ100から出力されるデジタル信号のビット列をその上位側から下位側に向かって区分したとき、上位のビット列を上位のビット列と、その下のビット列を中位のビット列と、さらにその下のビット列を下位のビット列と呼ぶ。なお、各ビット列の幅は、角度センサの分解能に応じて設定することができる。
【0044】
第1実施形態のエンコーダ100は、第2歯車部113が連続回転するとき間欠回転する歯車であって、第2歯車部113に対して第2減速比で減速回転する第3歯車部114と、第3歯車部114の回転角を検出する第3角度センサ120と、を備える。この構成によれば、第3歯車部114の回転角を検出することで、第2歯車部113の回転数を特定できるから、主軸8の回転数の計数範囲を拡大して、より多くの回転数にわたる回転量を特定することができる。
【0045】
第1実施形態のエンコーダ100では、第3角度センサ120が、第3歯車の回転角に応じたデジタル信号を出力するスイッチ要素を含むロータリーコードスイッチを有する。この構成によれば、分解能の差による精度低下が少ないから、比較的安価なロータリーコードスイッチを採用することが可能になりコストダウンに有利になる。
【0046】
第1実施形態のエンコーダ100は、第3角度センサ120の分解能を第2角度センサ118の分解能より高く設定する構成も可能である。この構成では、第2歯車部113の前後の減速比を小さくして第3歯車部114の回転速度を速くできるから、歯車のバックラッシュによる影響を小さくして計数誤差の発生を抑えることが可能になる。
【0047】
[第2実施形態]
続いて本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態の図面および説明では、第1実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
図7は、エンコーダ200を示す模式図である。
図8はエンコーダ200を示す正面図である。エンコーダ200は、エンコーダ100に対して主軸8の回転数を特定するための第3特定要素73の構成が異なり他の構成は共通である。
図7に示すように、エンコーダ200は第3特定要素73に代えて第3特定要素74を備える。
【0048】
第3特定要素74は第2ロータ109の複数回転にわたる回転数を特定する要素である。第3特定要素74は、第2歯車部113の回転量を順次半減するように連結されて前段が連続回転するとき前段と同じ回転速度で間欠回転する第1段〜第N(Nは1以上の整数)段の歯車と、この第1段〜第N段の歯車それぞれの回転を検出する回転センサと、を含む。第1段〜第N(Nは1以上の整数)段の歯車それぞれと、この歯車の回転を検出する回転センサそれぞれとは、検出要素を構成する。本実施例では、この検出要素は1ビットのデータを出力する検出要素である1ビット検出要素となっている。1ビット検出要素は、順次1/2の減速比で減速回転するように多段連結される。第2実施形態の第3特定要素74は、N=2として2段連結された歯車と回転センサとしてホール検出器を含む。
【0049】
特に、第3特定要素74は、第4ロータ146、第5ロータ147、マグネットM4、マグネットM5、第4ホール検出器161、第5ホール検出器162および第4取得部47を含む。マグネットM4、M5はマグネットM1、M2と同様の仕様を備え、必要に応じて外径や厚みが変更されてもよい。
図8に示すように、マグネットM4、M5は、第4ロータ146、第5ロータ147から第2基板128(上向き)に延在する各支持部146s、147sの各凹部146h、147hに収容され、例えば接着材を用いて固定される。第4ホール検出器161は第4ロータ146の回転軸R4の延長線の近傍に配置される。第5ホール検出器162は第5ロータ147の回転軸R5の延長線の近傍に配置される。
【0050】
第4ロータ146、マグネットM4および第4ホール検出器161は1ビット検出要素を構成する。第5ロータ147、マグネットM5および第5ホール検出器162は別の1ビット検出要素を構成する。マグネットM4およびマグネットM5(以下、各マグネットという。)の第4ホール検出器161および第5ホール検出器162(以下、各ホール検出器という。)に対向する面には径方向に2分割された2極の磁極が設けられる。すなわち、2つの磁極は周方向に並んで設けられている。各ホール検出器は各マグネットの磁極に基づきLレベルとHレベルのデジタル信号である出力信号を出力する。各ホール検出器は例えばホールICであってもよい。一例として、各ホール検出器はN極に対応してLレベルを、S極に対応してHレベルを出力してもよい。したがって、各ホール検出器は各マグネットが1回転する毎に1サイクルの出力信号を出力する。つまり、第4ロータ146が1回転することで第4ホール検出器161は1サイクルの出力信号を出力し、第5ロータ147が1回転することで第5ホール検出器162は1サイクルの出力信号を出力する。
【0051】
第4ロータ146は、第2ロータ109が回転することによって1/2の減速比で間欠回転する。第5ロータ147は、第4ロータ146が回転することによって1/2の減速比で間欠回転する。したがって、第5ロータ147が1回転して1サイクルの出力信号を出力するとき、第4ロータ146は2回転して2サイクルの出力信号を出力し、第2ロータ109は4回転して4周期の回転角信号を出力する。よって、第3特定要素74は、2つの1ビット検出要素の2ビットの並列信号により4つの状態を判別して、第2ロータ109の4回転以内の回転数を特定することができる。第3特定要素74は、順次1/2の減速比で減速回転する1ビット検出要素の連結数(=N)を3以上に増やすことで、判別可能な状態数を増やし、ひいては特定可能な第2ロータ109の回転数の範囲を増やすことができる。
【0052】
第4取得部47は、各ホール検出器からの出力信号を取得して所定の形式のデータに整えて回転数特定部45に送る。第2取得部42は、第2角度センサ118からの回転角信号を取得して所定の形式のデータに整えて回転数特定部45に送る。回転数特定部45は、第4取得部47からの出力データに基づき第2ロータ109の回転数を特定し、第2取得部42からのデータに基づき第2ロータ109の回転角を特定する。回転数特定部45は、特定した第2ロータ109の回転数および第2ロータ109の回転角に基づき式3によって主軸8の回転数を特定する。
(式3) 主軸8の回転数=P1×P2×(第2ロータ109の回転角÷360°+第2ロータ109の回転数)
この主軸8の回転数を前述の式1に代入することで、主軸8の回転量を特定することができる。回転量特定部44は、第1取得部41からの出力データおよび回転数特定部45からの出力データに基づき主軸8の回転量を特定する。出力部46は回転量特定部44によって特定された主軸8の回転量を所定の形式で出力する。
【0053】
次に、第2実施形態に係るエンコーダ200の詳細な構成を説明する。
図9は、第2基板128側から視たエンコーダ200の各歯車部の配置図である。
図10は、第1基板126側から視たエンコーダ200の各歯車部の配置図である。
図11は、第1基板126側から視たエンコーダ200の各角度センサ、各ホール検出器および制御部124の配置図である。なお、
図9〜
図11では、理解を容易にするため一部の歯車部の記載を省略している。
【0054】
エンコーダ200は、減速機構として第1歯車部112、中間歯車部115、第2歯車部113、連絡歯車部154、連携歯車部155、第4歯車部156および第5歯車部157を含む。第1歯車部112、中間歯車部115、第2歯車部113、連絡歯車部154、連携歯車部155、第4歯車部156および第5歯車部157はこの順で回転を順次伝達する。特に、第4歯車部156は第4ロータ146を回転駆動し、第5歯車部157は、第5ロータ147を回転駆動する。
【0055】
第1基板126には、第1歯車部112、中間歯車部115、第2歯車部113、連絡歯車部154、連携歯車部155、第4歯車部156および第5歯車部157を回転可能に支持する7本のシャフト(不図示)が立設される。各歯車の中央部にはこのシャフトに径方向の隙間を介して嵌合する軸受(不図示)が設けられる。この軸受には転がり軸受や滑り軸受を用いてもよい。
【0056】
第1歯車部112については第1実施形態と同様であり説明を省く。中間歯車部115は駆動歯車115dの代わりに駆動歯車115jを含む。中間歯車部115は、カム部115cと駆動歯車115jの間にカム部115fを含む。駆動歯車115jは、その外周を12等分した位置のうち連続する2箇所に2個の歯を有する部分と、他の箇所に歯が設けられない部分である欠歯部と、を有する欠歯歯車である。つまり、駆動歯車115jは60°だけギア歯を有する欠歯歯車である。第2歯車部113は駆動歯車113dの代わりに駆動歯車113jを含む。駆動歯車113jは、その外周を28等分した位置に28個のギア歯を有する平歯車である。連絡歯車部154は、その外周を14等分した位置に14個のギア歯を有する平歯車である歯車154bを含む。
【0057】
連携歯車部155は、第2基板128側(上)から順に設けられる駆動歯車155dと、カム部155cと、従動歯車155eと、を含む。駆動歯車155d、カム部155cおよび従動歯車155eは、それぞれ外周面に所定の凹凸またはギア歯が設けられる略円筒形状の外形を有する。駆動歯車155d、カム部155cおよび従動歯車155eは一体に形成され、さらに同じ回転軸を備えていてもよい。従動歯車155eは、その外周を28等分した位置に28個のギア歯を有する平歯車である。駆動歯車155dは、その外周を18等分した位置のうち連続する9箇所に9個の歯を有する部分と、他の箇所に歯が設けられない部分である欠歯部と、を有する欠歯歯車である。つまり、駆動歯車155dは180°だけギア歯を有する欠歯歯車である。
【0058】
第4歯車部156は、第2基板128側(上)から順に設けられる駆動歯車156dと、カム部156cと、従動歯車156eと、カム部156fと、を含む。駆動歯車156d、カム部156c、従動歯車156eおよびカム部156fは、それぞれ外周面に所定の凹凸またはギア歯が設けられる略円筒形状の外形を有する。駆動歯車156d、カム部156c、従動歯車156eおよびカム部156fは一体に形成され、さらに同じ中心軸を備えていてもよい。従動歯車156eは、その外周を18等分した位置に18個のギア歯を有する平歯車である。駆動歯車156dは、その外周を18等分した位置のうち連続する9箇所に9個の歯を有する部分と、他の箇所に歯が設けられない部分である欠歯部と、を有する欠歯歯車である。つまり、駆動歯車156dは180°だけギア歯を有する欠歯歯車である。
【0059】
第5歯車部157は、第2基板128側(上)から順に設けられる従動歯車157eと、カム部157cと、を含む。従動歯車157eおよびカム部157cは、それぞれ外周面に所定の凹凸またはギア歯が設けられる略円筒形状の外形を有する。従動歯車157eおよびカム部157cは一体に形成され、さらに同じ回転軸を備えていてもよい。従動歯車157eは、その外周を18等分した位置に18個のギア歯を有する平歯車である。
【0060】
中間歯車部115のカム部115fは、第2歯車部113のゼネバホイールであるカム部113cと噛み合うことで変速比P2が20である変速部G2を構成する。つまり、中間歯車部115が20回転するとき第2歯車部113は1回転する。駆動歯車115jが欠歯歯車であり、従動歯車113eが駆動歯車115jの欠歯部と噛み合うことで回転が伝達されない非駆動区間を有する。カム部113cはその外周を20等分するカムから成るゼネバホイールであり、カム部115fはその外周に1箇所の前記ゼネバホイールの非正規回転を規制するロック要素を持っており、カム部115fとカム部113cは駆動歯車115jと従動歯車113eによって駆動される分割比20のゼネバ機構を構成している。ゼネバ機構により第2歯車部113は間欠駆動される。つまり、駆動歯車115jが連続回転するとき第2歯車部113は分割比20の間欠回転する。中間歯車部115のカム部115fは、第2歯車部113のカム部113cと噛み合うことで駆動歯車115jの非駆動区間における第2歯車部113の非正規回転を規制する。
【0061】
連絡歯車部154の歯車154bは、第2歯車部113の駆動歯車113jと噛み合うことで変速比P4が1/2である変速部G4を構成する。つまり、第2歯車部113が1回転するとき連絡歯車部154は2回転する。連絡歯車部154の歯車154bは、連携歯車部155の従動歯車155eと噛み合うことで変速比P5が2である変速部G5を構成する。つまり、連絡歯車部154が2回転するとき連携歯車部155は1回転する。
【0062】
連携歯車部155のカム部155cは、第4歯車部156のゼネバホイールであるカム部156fと噛み合うことで変速比P6が2である変速部G6を構成する。つまり、連携歯車部155が2回転するとき第4歯車部156は1回転する。駆動歯車155dが欠歯歯車であり、従動歯車156eが駆動歯車155dの欠歯部と噛み合うことで回転が伝達されない非駆動区間を有する。カム部156fはその外周を2等分するカムから成るゼネバホイールであり、カム部155cはその外周に1箇所の前記ゼネバホイールの非正規回転を規制するロック要素を持っており、カム部156fとカム部155cは駆動歯車155dと従動歯車156eによって駆動される分割比2のゼネバ機構を構成している。ゼネバ機構により第4歯車部156は間欠駆動される。つまり、連携歯車部155が連続回転するとき第4歯車部156は分割比2の間欠回転する。連携歯車部155のカム部155cは、第4歯車部156のカム部156fと噛み合うことで駆動歯車155dの非駆動区間における第4歯車部156の非正規回転を規制する。
【0063】
第4歯車部156のカム部156cは、第5歯車部157のゼネバホイールであるカム部157cと噛み合うことで変速比P7が2である変速部G7を構成する。つまり、第4歯車部156が2回転するとき第5歯車部157は1回転する。駆動歯車156dが欠歯歯車であり、従動歯車156eが駆動歯車155dの欠歯部と噛み合うことで回転が伝達されない非駆動区間を有する。カム部157cはその外周を2等分するカムから成るゼネバホイールであり、カム部156cはその外周に1箇所の前記ゼネバホイールの非正規回転を規制するロック要素を持っており、カム部157cとカム部156cは駆動歯車156dと従動歯車157eによって駆動される分割比2のゼネバ機構を構成している。ゼネバ機構により第5歯車部157は間欠駆動される。つまり、第4歯車部156が連続回転するとき第5歯車部157は分割比2の間欠回転する。第4歯車部156のカム部156cは、第5歯車部157のカム部157cと噛み合うことで駆動歯車156dの非駆動区間における第5歯車部157の非正規回転を規制する。
【0064】
各歯車が以上のように多段結合されることで、第2ロータ109が4回転するとき、第4ロータ146は2回転し、第5ロータ147は1回転する。したがって、第4ロータ146と第5ロータ147の回転を検出することで第2ロータ109の4回転分の回転数を特定することができる。
【0065】
次に、このように構成された第2実施形態のエンコーダ200を説明する。
第2実施形態のエンコーダ200は、主軸8と一体に回転する第1歯車部112と、第1歯車部112が連続回転するとき間欠回転する歯車であって第1歯車部112に対して予め設定された減速比で減速回転する第2歯車部113と、第2歯車部113部の回転量を順次半減するように連結されて前段が連続回転するとき前段と同じ回転速度で間欠回転する第1段〜第N(Nは1以上の整数)段の歯車である第4歯車部156および第5歯車部157と、主軸8の回転角を検出する第1角度センサ116と、第2歯車部113の回転角を検出する第2角度センサ118と、第1段〜第N段の歯車それぞれの回転を検出する第4ホール検出器161および第5ホール検出器162と、を備える。この構成によれば、第1角度センサ116および第2角度センサ118からの出力信号と、第4ホール検出器161および第5ホール検出器162からの出力信号とに基づいて主軸8の複数回転にわたる回転量を特定することができる。第4ホール検出器161および第5ホール検出器162を備えることによって主軸8の回転量の特定可能範囲を拡大することができる。また、駆動歯車155d、従動歯車156e、駆動歯車156d、従動歯車157eは同じ歯数(18歯)であり、同じ速度で回転するため、各歯車の回転を検出するタイミングにおける歯車の通過速度の低下を抑制して、第4ホール検出器161および第5ホール検出器162の検出タイミングの変動を軽減することができる。
【0066】
[第3実施形態]
続いて本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態の図面および説明では、第2実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第2実施形態と重複する説明を適宜省略し、第2実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
図12は、エンコーダ300を示す模式図である。
図13はエンコーダ300を示す正面図である。エンコーダ300は、エンコーダ200に対して、第3特定要素74が第2特定要素72の前段側に結合される点および歯車列の構成が異なり、他の構成は共通である。
【0067】
第3実施形態の第3特定要素74は第1ロータ108の回転数(=主軸8の回転数)を特定する機構である。第3特定要素74は、第1歯車部117の回転量を順次半減するように連結されて前段が連続回転するとき前段と同じ回転速度で間欠回転する第1段〜第N(Nは1以上の整数)段の歯車と、この第1段〜第N段の歯車それぞれの回転を検出する回転センサと、を含む。
【0068】
第4ロータ146は第1ロータ108の次段に接続される。第4ロータ146は、第1ロータ108が回転することによって1/2の分割比で間欠回転する。第5ロータ147は、第4ロータ146が回転することによって1/2の分割比で間欠回転する。したがって、第5ロータ147が1回転して第5ホール検出器162から1サイクルの出力信号を出力するとき、第4ロータ146は2回転して第4ホール検出器161から2サイクルの出力信号を出力し、第1ロータ108は4回転して第1角度センサ116から4サイクルの回転角信号を出力する。よって、2つの1ビット検出要素の2ビットの並列信号により第1ロータ108の4回転以内の回転数(以下、「第1ロータ108の回転数」という。)を特定することができる。したがって、この1ビット検出要素の連結数(=N)を増やすことで特定可能な第1ロータ108の回転数を増やすことができる。
【0069】
第2ロータ109は、所定の減速機構を介して第5ロータ147の後段に接続される。第2ロータ109は、第5ロータ147が回転することによって後述する変速比P10×P11×P12で減速回転する。よって、第2ロータ109が0°〜360°回転する間に、第2角度センサ118は、P10×P11×P12回転以内の第5ロータ147の回転数に対応する回転角信号を出力する。
【0070】
第4取得部47は、第4ホール検出器161と第5ホール検出器162からの出力信号を取得して所定の形式のデータに整えて回転数特定部45に送る。第2取得部42は、第2角度センサ118からの回転角信号を取得して所定の形式のデータに整えて回転数特定部45に送る。回転数特定部45は、第4取得部47からの出力データに基づき第1ロータ108の回転数を特定し、第2取得部42からのデータに基づき第2ロータ109の回転角を特定する。回転数特定部45は、例えば第1ロータ108の回転数および第2ロータ109の回転角に基づき式4によって主軸8の回転数を特定してもよい。
(式4) 主軸8の回転数=4×P10×P11×P12×第2ロータ109の回転角÷360°
この主軸8の回転数を前述の式1に代入することで、主軸8の回転量を特定することができる。回転量特定部44は、第1取得部41からの出力データおよび回転数特定部45からの出力データに基づき主軸8の回転量を特定する。出力部46は回転量特定部44によって特定された主軸8の回転量を所定の形式で出力する。
【0071】
次に、第3実施形態に係るエンコーダ300の詳細な構成を説明する。
図14は、第2基板128側から視たエンコーダ300の各歯車部の配置図である。
図15は、第1基板126側から視たエンコーダ300の各歯車部の配置図である。
図16は、第1基板126側から視たエンコーダ300の各角度センサ、各ホール検出器および制御部124の配置図である。なお、
図14〜
図16では、理解を容易にするため一部の歯車部の記載を省略している。
【0072】
エンコーダ300は、減速機構として第1歯車部117、第4歯車部151、第5歯車部152、連絡歯車部158、連携歯車部159および第2歯車部119を含む。第1歯車部117、第4歯車部151、第5歯車部152、連絡歯車部158、連携歯車部159および第2歯車部119は、この順番で回転を伝達する。エンコーダ300の第1歯車部117、第2歯車部119、第4歯車部151および第5歯車部152は、エンコーダ200の第1歯車部112、第2歯車部113、第4歯車部156および第5歯車部157に対応する。
【0073】
第1基板126には、第1歯車部117、第4歯車部151、第5歯車部152、連絡歯車部158、連携歯車部159および第2歯車部119を回転可能に支持する6本のシャフト(不図示)が立設される。各歯車の中央部にはこのシャフトに隙間を介して嵌合する軸受(不図示)が設けられる。この軸受には転がり軸受や滑り軸受を用いてもよい。
【0074】
第1歯車部117は、第2基板128側(上)から順に設けられる駆動歯車117dと、カム部117cと、を含む。駆動歯車117dおよびカム部117cは、それぞれ外周面に所定の凹凸またはギア歯が設けられる略円筒形状の外形を有する。駆動歯車117dおよびカム部117cは一体に形成され、さらに同じ中心軸を備えていてもよい。駆動歯車117dは、その外周を22等分した位置のうち連続する11箇所に11個の歯を有する部分と、他の箇所に歯が設けられない部分である欠歯部と、を有する欠歯歯車である。つまり、駆動歯車117dは180°だけギア歯を有する欠歯歯車である。
【0075】
第4歯車部151は、第2基板128側(上)から順に設けられる駆動歯車151dと、カム部151cと、従動歯車151eと、カム部151fと、を含む。駆動歯車151d、カム部151c、従動歯車151eおよびカム部151fは、それぞれ外周面に所定の凹凸またはギア歯が設けられる略円筒形状の外形を有する。駆動歯車151d、カム部151c、従動歯車151eおよびカム部151fは一体に形成され、さらに同じ中心軸を備えていてもよい。従動歯車151eは、その外周を22等分した位置に22個のギア歯を有する平歯車である。駆動歯車151dは、その外周を22等分した位置のうち連続する11箇所に11個の歯を有する部分と、他の箇所に歯が設けられない部分である欠歯部と、を有する欠歯歯車である。つまり、駆動歯車151dは180°だけギア歯を有する欠歯歯車である。
【0076】
第5歯車部152は、第2基板128側(上)から順に設けられる歯車152bと、カム部152cを含む。歯車152bおよびカム部152cは、それぞれ外周面に所定の凹凸またはギア歯が設けられる略円筒形状の外形を有する。歯車152bおよびカム部152cは一体に形成され、さらに同じ中心軸を備えていてもよい。歯車152bは、その外周を22等分した位置に22個のギア歯を有する平歯車である。
【0077】
連絡歯車部158は、第2基板128側(上)から順に設けられる従動歯車158e、カム部158cおよび駆動歯車158dを含む。従動歯車158e、カム部158cおよび駆動歯車158dは、それぞれ外周面に所定の凹凸またはギア歯が設けられる略円筒形状の外形を有する。従動歯車158e、カム部158cおよび駆動歯車158dは一体に形成され、さらに同じ中心軸を備えていてもよい。従動歯車158eは、その外周を22等分した位置に22個のギア歯を有する平歯車である。駆動歯車158dは、その外周を12等分した位置のうち連続する2箇所に2個の歯を有する部分と、他の箇所に歯が設けられない部分である欠歯部と、を有する欠歯歯車である。つまり、駆動歯車158dは60°だけギア歯を有する欠歯歯車である。
【0078】
連携歯車部159は、第2基板128側(上)から順に設けられるカム部159f、従動歯車159e、カム部159cおよび駆動歯車159dを含む。カム部159f、従動歯車159e、カム部159cおよび駆動歯車159dは、それぞれ外周面に所定の凹凸またはギア歯が設けられる略円筒形状の外形を有する。カム部159f、従動歯車159e、カム部159cおよび駆動歯車159dは一体に形成され、さらに同じ中心軸を備えていてもよい。従動歯車159eは、その外周を48等分した位置に48個のギア歯を有する平歯車である。駆動歯車159dは、その外周を12等分した位置のうち連続する2箇所に2個の歯を有する部分と、他の箇所に歯が設けられない部分である欠歯部と、を有する欠歯歯車である。つまり、駆動歯車159dは60°だけギア歯を有する欠歯歯車である。カム部159fは、その外周に18歯の略花弁状のカム面を有する。
【0079】
第2歯車部119は、第2基板128側(上)から順に設けられるカム部119cおよび従動歯車119eを含む。カム部119cおよび従動歯車119eは、それぞれ外周面に所定の凹凸またはギア歯が設けられる略円筒形状の外形を有する。カム部119cおよび従動歯車119eは一体に形成され、さらに同じ中心軸を備えていてもよい。従動歯車119eは、その外周を60等分した位置に60個のギア歯を有する平歯車である。カム部119cは、その外周に20歯の略花弁状のカム面を有する。
【0080】
第1歯車部117のカム部117cは、第4歯車部151のゼネバホイールである151fと噛み合うことで変速比P8が2である変速部G8を構成する。つまり、第1歯車部117が2回転するとき第4歯車部151は1回転する。駆動歯車117dが欠歯歯車であり、従動歯車151eが駆動歯車117dの欠歯部と噛み合うことで回転が伝達されない非駆動区間を有する。カム部151fはその外周を2等分するカムから成るゼネバホイールであり、カム部117cはその外周に1箇所の前記ゼネバホイールの非正規回転を規制するロック要素を持っており、カム部151fとカム部117cは駆動歯車117dと従動歯車151eによって駆動される分割比2のゼネバ機構を構成している。ゼネバ機構により第4歯車部151は間欠駆動される。つまり、駆動歯車117dが連続回転するとき第4歯車部151は分割比2の間欠回転する。第1歯車部117のカム部117cは、第4歯車部151のカム部151fと噛み合うことで駆動歯車117dの非駆動区間における第4歯車部151の非正規回転を規制する。
【0081】
第4歯車部151のカム部151cは、第5歯車部152のゼネバホイールであるカム部152cと噛み合うことで変速比P9が2である変速部G9を構成する。つまり、第4歯車部151が2回転するとき第5歯車部152は1回転する。駆動歯車151dが欠歯歯車であり、歯車152bが駆動歯車151dの欠歯部と噛み合うことで回転が伝達されない非駆動区間を有する。カム部152cはその外周を2等分するカムから成るゼネバホイールであり、カム部151cはその外周に1箇所の前記ゼネバホイールの非正規回転を規制するロック要素を持っており、カム部152cとカム部151cは駆動歯車151dと歯車152bによって駆動される分割比2のゼネバ機構を構成している。ゼネバ機構により第5歯車部152は間欠駆動される。つまり、駆動歯車151dが連続回転するとき第5歯車部152は分割比2の間欠回転する。第4歯車部151のカム部151cは、第5歯車部152のカム部152cと噛み合うことで駆動歯車151dの非駆動区間における第5歯車部152の非正規回転を規制する。
【0082】
第5歯車部152の歯車152bは、連絡歯車部158の従動歯車158eと噛み合うことで変速比P10が1である変速部G10を構成する。つまり、第5歯車部152が1回転するとき連絡歯車部158は1回転する。
【0083】
連絡歯車部158のカム部158cは、連携歯車部159のゼネバホイールであるカム部159fと噛み合うことで変速比P11が18である変速部G11を構成する。つまり、連絡歯車部158が18回転するとき連携歯車部159は1回転する。駆動歯車158dが欠歯歯車であり、従動歯車159eが駆動歯車158dの欠歯部と噛み合うことで回転が伝達されない非駆動区間を有する。カム部159fはその外周を18等分するカムから成るゼネバホイールであり、カム部158cはその外周に1箇所の前記ゼネバホイールの非正規回転を規制するロック要素を持っており、カム部159fとカム部158cは駆動歯車158dと従動歯車159eによって駆動される分割比18のゼネバ機構を構成している。ゼネバ機構により連携歯車部159は間欠駆動される。つまり、駆動歯車151dが連続回転するとき連携歯車部159は分割比18の間欠回転する。連絡歯車部158のカム部158cは、連携歯車部159のカム部159fと噛み合うことで駆動歯車158dの非駆動区間における連携歯車部159の非正規回転を規制する。
【0084】
連携歯車部159のカム部159cは、第2歯車部119のゼネバホイールであるカム部119cと噛み合うことで変速比P12が20である変速部G12を構成する。つまり、連携歯車部159が20回転するとき第2歯車部119は1回転する。駆動歯車159dが欠歯歯車であり、従動歯車119eが駆動歯車159dの欠歯部と噛み合うことで回転が伝達されない非駆動区間を有する。カム部119cはその外周を20等分するカムから成るゼネバホイールであり、カム部159cはその外周に1箇所の前記ゼネバホイールの非正規回転を規制するロック要素を持っており、カム部159cとカム部159cは駆動歯車159dと従動歯車119eによって駆動される分割比20のゼネバ機構を構成している。ゼネバ機構により第2歯車部119は間欠駆動される。つまり、連携歯車部159が連続回転するとき第2歯車部119は分割比20の間欠回転する。連携歯車部159のカム部159cは、第2歯車部119のカム部119cと噛み合うことで駆動歯車159dの非駆動区間における第2歯車部119の非正規回転を規制する。
【0085】
各歯車部が以上のように多段結合されることで、第2歯車部119および第2ロータ109が1回転するとき、連携歯車部159が20回転し、連絡歯車部158は360回転し、第5歯車部152および第5ロータ147は360回転し、第4歯車部151および第4ロータ146は720回転し、第1歯車部117、第1ロータ108および主軸8は1440回転する。第2ロータ109、第4ロータ146および第5ロータ147の回転を検出することで、主軸8の1440回転の範囲内の回転数を特定することができる。
【0086】
次に、このように構成された第3実施形態のエンコーダ300の特徴を説明する。
第3実施形態のエンコーダ300は、主軸8と一体に回転する第1歯車部117と、第1歯車部117の回転量を順次半減するように連結されて前段が連続回転するとき前段と同じ回転速度で間欠回転する第1段〜第N(Nは1以上の整数)段の歯車である第4歯車部151および第5歯車部152と、第N段の歯車である第5歯車部152が連続回転するとき間欠回転する歯車であって、第5歯車部152に対して第1減速比で連結される第2歯車部119と、主軸8の回転角を検出する第1角度センサ116と、第1段〜第N段の歯車それぞれの回転を検出する回転センサである第4ホール検出器161および第5ホール検出器162と、第2歯車部119の回転角を検出する第2角度センサ118と、を備える。この構成によれば、第1角度センサ116および第2角度センサ118からの出力信号と、第4ホール検出器161および第5ホール検出器162からの出力信号とに基づいて主軸8の複数回転にわたる回転量を特定することができる。第4ホール検出器161および第5ホール検出器162を備えたことによって主軸8の回転量の特定可能範囲を拡大することができる。また、同じ歯数(22歯)であり、同じ速度で回転する駆動歯車117d、従動歯車151e、駆動歯車151d、歯車152bにより構成される第4歯車部151および第5歯車部152が第2歯車部119の前段側に設けられることで、各歯車の回転を検出するタイミングにおける歯車の通過速度の低下を抑制して、第4ホール検出器161および第5ホール検出器162の検出タイミングの変動を軽減できるとともにこれらの入力側の周速を大きくしてバックラッシュの影響を抑制することができる。
【0087】
以上、本発明のいくつかの実施形態をもとに説明した。これらの実施形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求の範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【0088】
以下、変形例について説明する。変形例の説明では、実施形態と同一または同等の構成要素、部、部材には、同一の符号を用いる。また、実施形態と重複する説明は適宜省略し、実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0089】
(変形例1)
第1〜第3実施形態では、間欠駆動を実現するために180°、60°あるいは36°だけギア歯を有する欠歯歯車を用いる例について説明したがこれに限られない。間欠駆動は別の原理に基づく機構によって実現されてもよい。例えば、間欠駆動は駆動ピンとカム溝を用いたゼネバ機構によって実現されてもよい。
また第2?第3実施形態で第4ロータおよび第5ロータの変速比を1/2として説明したが、駆動ギアと従動ギアの歯数を同じにして、駆動ギアと従動ギアが同じ回転速度で回転するようにして、ゼネバホイールの分割数を2より大きくしても変速比1/2の場合と同じ効果が得られる。
【0090】
(変形例2)
第2および第3実施形態では、回転センサがホール効果を用いた磁気式センサである例について説明したがこれに限られない。回転センサは回転を検出可能なセンサであれば別の原理に基づくものであってもよい。例えば、回転センサは光学式や静電容量式のセンサであってもよい。
【0091】
(変形例3)
第1〜第3実施形態では、エンコーダ100が5組の歯車部から、エンコーダ200が7組の歯車部から、エンコーダ300が6組の歯車部から、それぞれ構成される例について説明したがこれに限られない。必要に応じて歯車部の構成数は増減してもよい。
【0092】
(変形例4)
第1〜第3実施形態では、各歯車部が直線状に配置される例について説明したがこれに限られない。例えば、各歯車部は環状あるいはらせん状に配置されてもよい。
【0093】
(その他の変形例)
第1〜第3実施形態では、第1基板126にシャフトを立設し、このシャフトに歯車部に設けた軸受を嵌合する例について説明したがこれに限られない。各歯車部にシャフトを固定し、このシャフトを第1基板126に設けた軸受に嵌合するように構成してもよい。第2、第3実施形態では、Nは1以上の整数として説明したが、Nは2以上の整数であってもよい。
【0094】
上述した実施の形態と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【0095】
説明に使用した図面では、部材の関係を明瞭にするために一部の部材にハッチングを施しているが、当該ハッチングはこれらの部材の素材や材質を制限するものではない。