【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、独立請求項の主題によって実現される。有利な改良形態および発展形態は、従属請求項の主題である。
【0012】
薬物送達デバイスとともに開示される本明細書の特徴は、薬物送達デバイス向けのアセンブリに対しても開示されると見なされるべきである。
【0013】
一態様によれば、薬物送達デバイスは、ハウジングを含む。薬物送達デバイスは、遠位端および近位端を有する親ねじをさらに含む。親ねじは、好ましくは、ねじ軸を含む。薬物送達デバイスは駆動ナットをさらに含み、駆動ナットは、親ねじにねじ係合され、親ねじに沿ってねじ込み可能である。特に、駆動ナットは、ねじ軸にねじ係合され、かつねじ軸に沿ってねじ込み可能である。さらに、薬物送達デバイスは内側スリーブを含み、内側スリーブは、ハウジングに対して軸方向に可動でありかつ
回転方向に固定される。したがって、便宜上、ハウジングに対する内側スリーブの軸方向運動は許容されるが、ハウジングに対する内側スリーブの回転運動は防止される。さらに、駆動ナットは、内側スリーブに軸方向に固定される。便宜上、駆動ナットは、内側スリーブに軸方向に固定されたまま、内側スリーブに対して回転することができる。内側スリーブはまた、用量終了フィードバック連結の第1のセクションを収容する部分、好ましくは遠位部分を有する。薬物送達デバイスはまた、ハウジング内で軸方向に固定され、好ましくは
回転方向に固定されるように設けられた用量終了フィードバック連結の第2のセクションを含む。したがって、用量終了フィードバック連結の第2のセクションは、好ましくは、ハウジング内で回転せず、軸方向に動かない。用量終了フィードバック連結の第2のセクションは、ハウジングと一体形成することができ、またはたとえばハウジング内で
回転方向および軸方向に固定さ
れた別個の本体部分とすることができる。
【0014】
薬物送達デバイスは、用量設定中または用量設定のために、駆動ナットが親ねじに沿って、特にそのねじ軸に沿ってねじ込まれるように構成される。そのとき、駆動ナットは、駆動ナットが内側スリーブに軸方向に固定されているため、内側スリーブをともに搬送することができる。デバイスは、用量送達中または用量送達のために、内側スリーブを、特に遠位方向におよび/またはハウジングに対して、回転なしに前進させて、駆動ナット、それによって親ねじを軸方向に前進させるようにさらに構成される。用量送達中、駆動ナットは、好ましくは回転しない。
【0015】
用量設定中、駆動ナット、したがって内側スリーブは、原点またはゼロ用量位置とすることができる最初の位置から、用量設定位置の方へ、近位方向に変位させることができる。親ねじに対する駆動ナットの軸方向変位の距離は、用量送達中に後に送達されるべき用量のサイズを決定することができる。用量送達中、駆動ナット、およびそれとともに内側スリーブは、用量設定位置から最初の位置の方へ戻される。最初の位置に再び到達したとき、用量送達が完了する。
【0016】
提案する薬物送達デバイスは、用量終了フィードバック連結の第1のセクションおよび用量終了フィードバック連結の第2のセクションを有する。これらのセクションは、好ましくは、相互作用し、これらのセクションが相互作用するとき、たとえばこれらのセクション間の連結が確立されるときに、何らかの種類の信号またはフィードバックを使用者に提供するように構成される。このようにして、用量終了フィードバック信号を使用者に提供することができる。提案する薬物送達デバイスは、薬物送達デバイス内に確実に位置する用量終了フィードバック連結のセクションを利用する。特に、用量終了フィードバック連結の第1のセクションは、回転が防止された内側スリーブ上に提供される。用量終了フィードバック連結の第2のセクションはハウジング内で軸方向に固定されるため、第1のセクションは、用量設定中は第2のセクションに対して近位側へ動かされ、用量送達中は第1のセクションの方へ戻される。この動きは内側スリーブの回転が防止されるために純粋な軸方向運動であり、第2のセクションは軸方向に固定されるため、第1のセクションが軸方向に動く方向の第2のセクションの動きが防止され、連結を確実に確立することができるため、連結を確実に確立することができる。したがって、2つのセクションを協働させるために必要とされる相対運動は、内側スリーブの軸方向運動を必要とし、好ましくは内側スリーブの軸方向運動のみを必要とする。当然ながら、用量終了フィードバックを使用者に提供するために用量終了フィードバック連結が確立されたとき、軸方向運動は非常に信頼性が高く、回転運動成分を考慮する必要はない。
【0017】
用量終了フィードバック連結の第1および第2のセクション間の連結が確立されたとき、使用者が認識することができるように感覚的に、用量送達の終了を使用者に信号で伝えることができる。したがって、提案する薬物送達デバイスでは、使用者は、自身が用量終了フィードバックを知覚した場合、用量送達が完了し、この点に関して不確実性は存在しないことを確信することができる。
【0018】
一実施形態では、薬物送達デバイスは、カートリッジを含む。カートリッジは、一方の端部に可動ピストンを含み、他方の端部に出口を含むことができる。ピストンは、用量送達中に親ねじが動かされるときに出口の方へ可動とすることができる。カートリッジは、流体を含むことができ、流体は、医薬製品を含有することができる。ピストンが出口の方へ動かされるとき、カートリッジの出口から流体を投薬することができる。ピストンは、親ねじが動かされるとき、たとえば遠位側へ動かされるとき、前記出口の方へ前進させられるように、親ねじによって、特にその支承部末端によって、係合可能とすることができる。
【0019】
一実施形態では、用量終了連結の第1のセクションおよび用量終了連結の第2のセクションは、機械的に協働するように構成される。これらのセクションは、便宜上、機械的に協働するように構成され、その結果、好ましくはこの協働のため、感覚的インジケーションまたはフィードバック、たとえば可聴または触覚信号が作り出される。インジケーションまたはフィードバックは、用量送達が完了したことを示すことができる。したがって、セクションの機械的協働のため、用量送達が完了したことを使用者に信号で伝える信号またはフィードバックが提供される。可聴および/または触覚信号には、視覚信号に比べて、使用者の目がディスプレイの位置を特定する必要がないという利点がある。逆に、使用者は、可聴信号の場合は耳を介して、または触覚信号の場合は薬物送達デバイスをすでに保持している手を介して、信号を知覚することができる。
【0020】
一実施形態では、親ねじは、用量設定中および/または用量送達中に
回転方向に固定される。したがって、親ねじが
回転方向に固定されるため、用量設定中または用量送達中の親ねじの回転運動を防止することができる。さらに、親ねじは、便宜上、ハウジングに対して遠位方向に軸方向に可動である。親ねじは、ねじ軸と、親ねじの遠位端に連結されたまたは親ねじの遠位端を形成する支承部末端とを含むことができる。
【0021】
一実施形態では、薬物送達デバイスは、数字スリーブを含む。内側スリーブは、数字スリーブに係合、特にねじ係合することができる。このようにして、内側スリーブの回転運動が防止されるため、数字スリーブの回転運動を内側スリーブの軸方向運動に変換することができる。数字スリーブは、特にハウジングに対してねじ込み可能になるように、ハウジングにねじ係合することができる。したがって、ハウジングに対する数字スリーブの回転の結果、数字スリーブとハウジングとのねじ係合によって、数字スリーブの軸方向変位を画成することができる。
【0022】
一実施形態では、駆動ナットと親ねじとの間のねじ切り部、たとえばねじ係合を画成するねじ山が、第3のリードであり、内側スリーブから数字スリーブへのねじ切り部が、第2のリードであり、数字スリーブからハウジングへのねじ切り部が、第1のリードである。これらのリードのうちの任意の1つは、残りのリードのうちの任意の1つと異なることができる。好ましくは、これらのリードのうちの任意に選択された1対が、2つの異なるリードを有する。第1のリードは、好ましくは、第2のリードおよび/または第3のリードより大きい。第3のリードは、好ましくは、第2のリードより小さい。第2および第3のリードの和は、第1のリードに等しくすることができる。
【0023】
これらのねじ山のうち、駆動ナットおよび親ねじ、内側スリーブおよび数字スリーブ、または該当する場合、数字スリーブおよびハウジングのねじ係合を画成する特有のリードは、駆動ナットおよび内側スリーブが軸方向に数字スリーブより小さい程度だけ変位させられることを容易にする。したがって、内側スリーブが用量終了フィードバック連結の第2のセクションに対して実行する動きは、特に数字スリーブの動きと比較すると、相対的に小さい。距離が小さければ小さいほど、大きい距離の動きより、信頼性が高くなる。したがって、確立されるまでに関連する部材のより大きい行程距離を必要とする用量終了フィードバック連結と比較すると、用量終了フィードバック連結をより確実に確立することができる。
【0024】
一実施形態では、薬物送達デバイスは、ダイヤルリンクを含む。ダイヤルリンクは、駆動ナットに連結することができる。ダイヤルリンクは、駆動ナットに対して軸方向に可動とすることができる。ダイヤルリンクは、駆動ナットに対して
回転方向に固定することができる。したがって、駆動ナットとダイヤルリンクとの間の相対的な回転運動を防止することができる。薬物送達デバイスは、数字スリーブおよびダイヤルリンクの少なくとも2
つの異なる軸方向の配置があるように設計することができる。薬物送達デバイスは、これらの配置間で、ダイヤルリンクと数字スリーブとの間で実行される相対運動を介して切り替えることができる。ダイヤルリンクおよび数字スリーブが第1の軸方向の配置にあるとき、ダイヤルリンクは、数字スリーブに
回転方向に固定することができる。したがって、第1の軸方向の配置で、ダイヤルリンクと数字スリーブとの間の相対的な回転を防止することができる。第2の軸方向の配置では、数字スリーブは、ダイヤルリンクに対して回転可能とすることができる。第1の軸方向の配置で数字スリーブおよびダイヤルリンクを回転方向に連結するクラッチを設けることができ、クラッチは、第2の軸方向の配置で解放される。第2の軸方向の配置では、内側スリーブはハウジングに対する回転が防止されているので、内側スリーブに対するダイヤルリンクの回転を防止するために、ダイヤルリンクを連結係合によって内側スリーブに連結することができる。数字スリーブおよびダイヤルリンクは、用量設定中は第1の軸方向の配置に位置し、用量送達中は第2の軸方向の配置に位置することができる。
【0025】
ダイヤルリンクおよび数字スリーブが第1の軸方向の配置にあるとき、すなわち用量設定中、ハウジングに対するダイヤルリンクおよび数字スリーブのねじ込み運動が、ダイヤルリンクおよび数字スリーブを、原点から第1の軸方向の距離だけねじ込むことができる。ダイヤルリンクのこのねじ込み運動は、駆動ナットを、親ねじのねじ軸に沿って、第1の軸方向の距離とは異なる第2の軸方向の距離だけねじ込む。第1および第2の軸方向の距離間の差は、関連するねじ切り部の異なるリードに起因することができる。
【0026】
用量送達中、ダイヤルリンクおよび数字スリーブは第2の軸方向の配置にある。したがって、ハウジングに対する数字スリーブのねじ込み運動が、数字スリーブを原点の方へ戻す。原点の方への数字スリーブの運動中または原点の方への数字スリーブの運動のため、内側スリーブを遠位方向に回転なしに前進させ、内側スリーブに軸方向に固定された駆動ナット、それによって親ねじを軸方向に前進させることができる。そのとき、カートリッジ内の可動ピストンを遠位方向に前進させ、カートリッジ出口から流体を投薬することができる。
【0027】
一実施形態では、薬物送達デバイスは、本体部分を含む。本体部分は、用量終了フィードバック連結の第2のセクションを収容しまたは含むことができる。本体部分は、ハウジングの内側で軸方向に、好ましくは
回転方向に、固定することができる。したがって、本体部分は、ハウジングに対して軸方向に動かすことができず、かつ/または回転させることができない。内側スリーブは、本体部分に対して軸方向に可動とすることができ、
回転方向に固定することができる。したがって、内側スリーブは、本体部分に対して軸方向に動くことができるが、本体部分に対して回転することができない。内側スリーブは、内側スリーブ内に形成された少なくとも1つのスロット内に摺動可能に嵌る本体部分の少なくとも1つのラグによって、本体部分に対して
回転方向に固定することができる。本体部分は、ハウジング内の親ねじの回転を防止するために、親ねじ内のキー溝内に摺動可能に嵌るタブを含むことができる。さらに、本体部分は、中央部とすることができる。中央部は、デバイスの中心部分内に位置することができる。中央部は、親ねじがその元の位置にあり、薬物送達デバイスから薬物がまだ投薬されていないとき、親ねじの遠位端に近接して位置することができる。
【0028】
一実施形態では、駆動ナットは、内側スリーブに対して回転可能である。好ましくは、駆動ナットは、用量設定中に内側スリーブに対して回転する。用量送達中は、内側スリーブに対する駆動ナットの回転は便宜上防止される。駆動ナットおよび内側スリーブは、機械的に協働するように構成された1つまたはそれ以上の対応するフィードバック
構造を含むことができ、その結果、駆動ナットが内側スリーブに対して回転するとき、可聴および/または触覚フィードバックが生成される。そのため、駆動ナットは、1つまたはそれ以
上の第1のフィードバック
構造を含むことができ、内側スリーブは、1つまたはそれ以上の第2のフィードバック
構造を含むことができる。第1および第2のフィードバック
構造を提供して、薬物送達デバイスのクリッカ機構、特に用量設定クリッカ機構を確立または形成することができる。
【0029】
一実施形態では、用量終了フィードバック連結の第1のセクションおよび内側スリーブのフィードバック
構造は、内側スリーブの同じ部分内、たとえば内側スリーブの遠位部分内に配置される。したがって、用量終了フィードバックおよびフィードバック
構造によって生成されるフィードバックは、デバイスの同じ部分から発生することができる。したがって、用量終了フィードバックおよび用量設定フィードバックを生成することができ、その結果、使用者は、これらのフィードバックが同じ領域、すなわち用量設定が始まるとすぐに用量設定フィードバックが生成される領域から発生すると知覚することができる。これにより、デバイスの確実な動作に関する使用者の確信が増大する。用量終了連結の第1のセクションは、内側スリーブの外面上に設けることができる。内側スリーブのフィードバック
構造は、内側スリーブの内面上に設けることができる。別法として、内側スリーブの表面は、内側スリーブのフィードバック
構造を画成するために、1つまたはそれ以上の開口部または切抜き部を含むことができる。内側スリーブのそれぞれのフィードバック
構造は、可撓性または弾性のフィンガもしくはアームまたは可撓性の部分とすることができる。駆動ナットのそれぞれのフィードバック
構造は、歯とすることができる。
【0030】
一実施形態では、用量終了フィードバック連結の第1のセクションおよび用量終了フィードバック連結の第2のセクションは、解放可能な連結または係合を確立するように構成される。第1および第2のセクションは、用量設定が開始される前に連結または係合することができる。第1および第2のセクション間の連結または係合は、用量設定中に、好ましくは用量設定が始まるとすぐに、解放することができる。第1および第2のセクション間の連結は、用量送達の終了時に再び確立することができる。便宜上、セクションは、少なくとも用量送達の終了時にフィードバックが生成されるように設計される。好ましくは、連結が再び確立されるときと比較すると、連結が解放されるとき、フィードバックは生成されず、実質上より小さいフィードバックが生成され、または実質上異なるフィードバックが生成される。したがって、使用者は、用量終了フィードバックと、用量設定が始まるとすぐに生成される動作ノイズとを区別することができる。これは、たとえば、下記および例示的な実施形態でさらに説明する斜面形状または類似の形状など、第1および第2のセクションの適当な成形によって実現することができる。用量終了フィードバック連結の第1および第2のセクション間の連結または係合は、スナップ嵌め連結または係合とすることができる。
【0031】
第1および第2のセクション間の連結は、ゼロ用量設定で、特にサイズゼロの用量が設定されるとき、すなわちデバイスが用量設定の準備ができた状態であるとき、確立することができる。したがって、用量終了フィードバック連結の第1および第2のセクションは、ゼロ用量設定で協働して、解放可能なスナップ嵌め係合または連結を形成することができる。用量終了フィードバック連結の第1および第2のセクションは、セクションが協働して解放可能なスナップ嵌め連結または係合を形成するときに可聴音を生成するように構成することができる。したがって、スナップ嵌め連結または係合が確立されているとき、可聴音を生成することができる。
【0032】
一実施形態では、用量終了フィードバック連結の第1および第2のセクションは、セクションが協働して解放可能なスナップ嵌め連結または係合を形成するときに薬物送達デバイスを保持している使用者に知覚可能な触感覚を生成するように構成される。
【0033】
一実施形態では、用量終了フィードバック連結の第1のセクションは、可撓性のクリッ
クアームである。一実施形態では、用量終了フィードバック連結の第2のセクションは、斜面付デテント(ramped detent)、孔、または窪みである。斜面付デテント、孔、または窪みは、クリックアームに連結されたときに可聴音を生成するように構成することができる。
【0034】
一実施形態では、用量終了フィードバック連結の第1のセクションは、少なくとも2つのクリックアームを含む。用量終了フィードバック連結の第2のセクションは、少なくとも2つの斜面付デテントまたは2つの孔もしくは2つの窪みを含むことができる。デテント、孔、または窪みは、特に同時におよび/またはゼロ用量設定で、少なくとも2つのクリックアームと協働および係合するように、本体部分上に径方向または直径方向に位置することができる。このようにして、薬物送達デバイスを保持している使用者に対して、可聴および/または触覚信号を生成することができる。
【0035】
当然ながら、クリックアームを用量終了フィードバック連結の第2のセクションによって含むこともでき、用量終了フィードバック連結の第1のセクションが、斜面付デテント、孔、または窪みを含むこともできる。
【0036】
WO2005/018721に概して記載されている市販のペン注射デバイスに関する物理的な説明は、フィードバック信号が用量の設定中にのみ提供され、用量送達中または用量の完了時には提供されないことを示す。この問題を解決するために、本開示は、上記および下記で開示するように、設定された用量が完全に送達または注射されたとき、大きな音の「クリック」の形態の用量終了可聴フィードバック信号を有効にするように修正された設計を提案した。WO2005/018721公開に記載されているペン注射デバイスを修正する1つのそのような方法は、全用量が完全に注射されたときに相互作用して大きな音のクリックノイズを生成するように中央部および内側スリーブ構成要素を再設計することを含む。このフィードバック
構造を実現する1つの方法は、斜面付デテントまたは孔もしくは窪み内にカチッと留まるクリックアームを、デバイスの中央部構成要素上に含むことであり、クリックアームは、注射が完了した瞬間に内側スリーブ構成要素の遠位部分に追加される。内側スリーブが注射中に遠位側へ中央部内に駆動されると、クリックアームは、内側スリーブ上の斜面付デテントを載り越える、または孔/窪み内へカチッと留まる。クリックアームは、注射を完了する行程の終了と同時に内側スリーブ内のデテントまたは孔内へカチッと留まる。こうしてカチッと留まることで、大きな音の可聴「クリック」を生成し、このクリックは、使用者によって聞かれるだけではなく、クリックアームがデテントまたは開口部内へカチッと留まることによって引き起こされる触覚的な振動の結果としても感じられる。
【0037】
前述の設計上の改善を含むペン型薬物送達デバイスは、ハウジングと、用量設定および注射中に回転可能または回転方向に固定されるねじ軸を有する親ねじとを含み、親ねじは、用量投与中にはハウジングに対して遠位方向に軸方向にのみ動き、近位側へ動くことが常に防止される。デバイスはまた、薬で充填されたリザーバを画成する流体容器またはカートリッジを有し、カートリッジは、一方の端部に可動ピストンを有し、他方の端部に出口を有し、ピストンは、親ねじの遠位端に連結された支承部によって係合される。ピストンは、親ねじが用量投与中に遠位側へ動かされるとき、カートリッジの出口または遠位端の方へ前進させられる。
【0038】
親ねじ上のねじ山に駆動ナットがねじ係合され、駆動ナットは、用量設定中に親ねじおよびハウジングに対して近位側へ回転して動くことができる。ハウジングに数字スリーブがねじ係合され、数字スリーブは、用量設定中にハウジングに対して近位方向に外側へねじ込まれる。駆動ナットにダイヤルリンクが摺動可能および回転方向に係合され、ダイヤルリンクは、駆動ナットに対して軸方向に可動であり、回転可能または回転方向に固定さ
れる。ダイヤルリンクは、ダイヤルリンクおよび数字スリーブが第1の軸方向の配置にあるとき、クラッチを通って数字スリーブに回転可能または回転方向に固定され、第2の軸方向位置では、クラッチ、したがって数字スリーブは、ダイヤルリンクから係合解除され、ダイヤルリンクは、数字スリーブに対して回転可能になる。数字スリーブに内側スリーブがねじ係合され、内側スリーブは、ハウジングに対して軸方向に可動であるが、回転可能または回転方向に固定される。用量設定中、ダイヤルリンクおよび数字スリーブは第1の軸方向の配置にあり、それによって、ダイヤルリンクおよび数字スリーブに連結された用量ノブの、ハウジングに対するねじ込み運動が、ダイヤルリンクおよび数字スリーブを、原点から第1の軸方向の距離だけねじ込み、数字スリーブをハウジングまたはデバイスの本体から近位方向に外側に延ばす。ダイヤルリンクのねじ込み運動は、親ねじのねじ軸に沿って第1の軸方向の距離とは異なる第2の軸方向の距離だけ駆動ナットをねじ込む。
【0039】
用量投薬中、ダイヤルリンクおよび数字スリーブ要素は第2の軸方向の配置にあり、それによって原点側への後方または内方へのハウジングに対する数字スリーブのねじ込み運動が、内側スリーブを遠位方向に回転なしに前進させ、駆動ナット、それによって親ねじおよび流体容器ピストンを軸方向に前進させ、出口から薬を投薬する。本明細書に開示するペン注射器は、使用者が医薬品の投薬中に用量ノブを押すことをより容易にする機械的倍率を備えることができ、この機械的倍率は、非常に高く、好都合には装置の設計中に製造者によって選択することができる。この機械的倍率は、数字スリーブが前進させる親ねじより大きい軸方向の距離だけ数字スリーブが移動することを可能にし、したがって小さい用量が送達されることを可能にする。
【0040】
以下、1組の有利な態様について説明する。これらの態様には、他の態様の中から1つの態様の特徴を参照することを容易にするために番号が付与される。これらの態様からの特徴は、関係する特有の態様に関して重要であるだけでなく、それ自体が重要である。
【0041】
1.薬物送達デバイスであって:
ハウジングと;
用量設定および用量送達中は
回転方向に固定され、ハウジングに対して遠位方向に軸方向に可動の遠位端および近位端を有する親ねじであって、ねじ軸および遠位端に連結された支承部末端を含む親ねじと;
一方の端部に可動ピストンを有し、他方の端部に出口を有するカートリッジであって、ピストンは、親ねじが遠位側へ動かされるときに前記出口の方へ前進させられるように、親ねじの支承部末端によって係合可能である、カートリッジと;
親ねじのねじ軸に沿ってねじ係合されてねじ込み可能な駆動ナットと;
ハウジングに対してねじ込み可能になるように、ハウジングにねじ係合される数字スリーブと;
駆動ナットに連結され、駆動ナットに対して軸方向に可動でありかつ
回転方向に固定されたダイヤルリンクであって、ダイヤルリンクおよび数字スリーブが第1の軸方向の配置にあるときにはダイヤルリンクが数字スリーブに
回転方向に固定され、ダイヤルリンクおよび数字スリーブが第2の軸方向の配置にあるときには数字スリーブがダイヤルリンクに対して回転可能である、ダイヤルリンクと;
数字スリーブにねじ係合された内側スリーブであって、ハウジングに対して軸方向に可動でありかつ
回転方向に固定され、用量終了フィードバック連結の第1のセクションを収容する遠位部分を有する内側スリーブと;
ハウジングの内側で軸方向に固定される中央部であって、ハウジング内で親ねじの回転を防止するために親ねじ内のキー溝内に摺動可能に嵌るタブを含み、用量終了フィードバック連結の第2のセクションを収容し、ここで、内側スリーブは、内側スリーブ内に形成された少なくとも1つのスロット内に摺動可能に嵌る中央部の少なくとも1つのラグによって、中央部に対して軸方向に可動でありかつ
回転方向に固定され;
数字スリーブからハウジングへのねじ切り部が、第1のリードであり、内側スリーブから数字スリーブへのねじ切り部が、第2のリードであり、親ねじのねじ軸のねじ切り部が、第3のリードであり、第1のリード、第2のリード、および第3のリードが等しいものではなく;
用量設定中、ダイヤルリンクおよび数字スリーブは第1の軸方向の配置にあり、それによって、ハウジングに対するダイヤルリンクおよび数字スリーブのねじ込み運動が、ダイヤルリンクおよび数字スリーブを、原点から第1の軸方向の距離だけねじ込み、ダイヤルリンクのねじ込み運動が、前記駆動ナットを、親ねじのねじ軸に沿って第1の軸方向の距離とは異なる第2の軸方向の距離だけねじ込み;
用量送達中、ダイヤルリンクおよび数字スリーブは前記第2の軸方向の配置にあり、それによって、原点の方へ戻すハウジングに対する数字スリーブのねじ込み運動が、内側スリーブを遠位方向に回転なしに前進させ、内側スリーブに軸方向に固定された駆動ナット、それによって親ねじおよび可動ピストンを軸方向に前進させ、カートリッジ出口から流体を投薬する、薬物送達デバイス。
【0042】
2.用量終了連結の第1および第2のセクションは、ゼロ用量設定で協働して、解放可能なスナップ嵌め係合を形成する、態様1に記載の薬物送達デバイス。
【0043】
3.用量終了連結の第1および第2のセクションは、セクションが協働して解放可能なスナップ嵌め連結を形成するときに可聴音を生成するように構成される、態様1に記載の薬物送達デバイス。
【0044】
4.用量終了連結の第1および第2のセクションは、セクションが協働して解放可能なスナップ嵌め連結を形成するときに薬物送達デバイスを保持している使用者に知覚可能な触感覚を生成するように構成される、態様1に記載の薬物送達デバイス。
【0045】
5.用量終了連結の第1のセクションは、可撓性のクリックアームであり、用量終了連結の第2のセクションは、クリックアームに連結されたときに可聴音を生成するように構成された斜面付デテントまたは孔もしくは窪みである、態様1に記載の薬物送達デバイス。
【0046】
6.用量終了連結の第1のセクションは、少なくとも2つのクリックアームを含み、用量終了連結の第2のセクションは、同時にゼロ用量設定で少なくとも2つのクリックアームと協働および係合して、薬物送達デバイスを保持している使用者に対して、可聴および触覚信号を生成するように中央部上で径方向に位置する少なくとも2つの斜面付デテントまたは2つの孔もしくは2つの窪みを含む、態様1に記載の薬物送達デバイス
【0047】
本発明者らの改善された薬物送達デバイスの様々な態様および実施形態の前述の利点ならびに他の利点、またこれらを得る方法は、添付の図面を適当に参照しながら以下の詳細な説明を読むことによって、当業者には明らかになるであろう。
【0048】
例示的な実施形態について、図面を参照しながら本明細書に説明する。