(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記払拭ユニットは、前記接触部が前記貯留槽の前記洗浄液から露出させられる第1の位置と、前記接触部が前記貯留槽の前記洗浄液に浸漬される第2の位置と、の間で前記払拭部材を移動させる第1の駆動機構を有する、請求項2に記載のヘッド洗浄装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワイパーの汚れは、例えば他の部材によって除去される。しかし、粘度が増したインク等の汚れは、ワイパーに残留するおそれがある。
【0005】
本発明が解決する課題の一例は、払拭部材を効果的に洗浄できるヘッド洗浄装置及びインクジェットプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施形態に係るヘッド洗浄装置は、貯留槽と、払拭ユニットと、洗浄ユニットとを備えることを特徴とする。前記貯留槽に、前記払拭ユニットを洗浄する洗浄液が貯められる。前記払拭ユニットは、吐出面を拭く払拭部材を有する。前記洗浄ユニットは、前記貯留槽の前記洗浄液中において前記払拭部材を洗浄する。
【0007】
洗浄ユニットは、貯留槽の洗浄液を用いて、インクジェットヘッドの吐出面を拭く払拭部材を洗浄する。払拭部材に付着した汚れは、貯留槽内の多量の洗浄液の中に取り込まれる。これにより、払拭部材が効果的に洗浄され、払拭部材に残留した汚れがインクジェットヘッドの吐出面に付着することが抑制される。
【0008】
上記ヘッド洗浄装置において、前記洗浄ユニットは、少なくとも一部が前記貯留槽の前記洗浄液に浸漬され、前記インクジェットヘッドの前記吐出面と、前記払拭部材と、に接触して前記吐出面と前記払拭部材とを洗浄する洗浄部材を有することが好ましい。
【0009】
洗浄部材が、インクジェットヘッドの吐出面と、払拭部材とを洗浄する。これにより、より効果的に吐出面及び払拭部材が洗浄される。インク等の汚れが吐出面に付着したままの状態で払拭部材(例えば、ワイパー)を用いて吐出面を拭くと、その汚れを吐出面にあるノズルに押し込んで、ノズル詰まりを発生させてしまうおそれがある。そのため、インクジェットヘッドの吐出面を洗浄部材によって洗浄することで、インク等の汚れがノズルに入り込んでノズル詰まりを発生することを抑制できる。さらに、一つの洗浄部材が吐出面及び払拭部材を洗浄するため、ヘッド洗浄装置の部品点数が低減されるとともにヘッド洗浄装置が省スペース化される。
【0010】
上記ヘッド洗浄装置において、前記払拭部材は、前記インクジェットヘッドの前記吐出面に接触する接触部を有し、前記接触部は、前記払拭部材が前記吐出面を拭くときに前記貯留槽の前記洗浄液から露出させられ、前記洗浄ユニットが前記払拭部材を洗浄するときに前記貯留槽の前記洗浄液に浸漬されることが好ましい。
【0011】
払拭部材の接触部は、洗浄ユニットが払拭部材を洗浄するときに貯留槽の洗浄液に浸漬される。これにより、払拭部材に付着した汚れが貯留槽内の多量の洗浄液の中に取り込まれ、払拭部材がより効果的に洗浄される。さらに、払拭部材の接触部は、払拭部材がインクジェットヘッドの吐出面を拭くときに洗浄液から露出させられる。このような汚れが洗浄された払拭部材が吐出面を拭くことで、洗浄ユニットによって洗浄された吐出面に残留した洗浄液が拭き取られ、当該吐出面が乾燥しやすくなる。これにより、吐出面の洗浄の作業性が向上する。
【0012】
上記ヘッド洗浄装置において、前記貯留槽における前記洗浄液の液面の位置を変化させることができる自動レベル調整機構を更に有することが好ましい。
【0013】
貯留槽における洗浄液の液面の位置を、自動レベル調整機構によって変更することにより、洗浄部材で吐出面を洗浄する際に、吐出面と洗浄部材との接触位置を洗浄液に浸漬させることができる。これにより、吐出面の洗浄を洗浄液の液中で行うことができ、洗浄効率を高めることができる。また、払拭部材で吐出面を払拭する際には、洗浄液の液面を吐出面よりも下に位置するようにすることにより、吐出面を確実に払拭することができる。これらのように、貯留槽における洗浄液の液面の位置を、自動レベル調整機構によって変化させることにより、洗浄部材と払拭部材とを用いてインクジェットヘッドの吐出面を洗浄する際に、より確実に洗浄することができる。
【0014】
上記ヘッド洗浄装置において、前記払拭ユニットは、前記接触部が前記貯留槽の前記洗浄液から露出させられる第1の位置と、前記接触部が前記貯留槽の前記洗浄液に浸漬される第2の位置と、の間で前記払拭部材を移動させる第1の駆動機構を有することが好ましい。
【0015】
第1の駆動機構は、接触部が貯留槽の洗浄液から露出させられる第1の位置と、接触部が貯留槽の洗浄液に浸漬される第2の位置と、の間で払拭部材を移動させる。これにより、洗浄液の液面を制御することなく、払拭部材の接触部が洗浄液に浸漬される。さらに、第1の駆動機構によって接触部が第2の位置に移動させられるため、洗浄部材によって洗浄される前に接触部が吐出面に不用意に接触し、当該接触部に残留した汚れがインクジェットヘッドの吐出面に付着することが抑制される。
【0016】
上記ヘッド洗浄装置において、前記洗浄部材が前記吐出面を洗浄した後に、前記吐出面を拭くように前記払拭ユニットを制御する制御部を有することが好ましい。
【0017】
洗浄部材によって吐出面を洗浄した後に、吐出面を払拭ユニットで拭くことで吐出面に残留する洗浄液や汚れを取り除くことで、吐出面の洗浄効果を高めつつ乾きやすくすることができる。
【0018】
上記ヘッド洗浄装置において、前記洗浄ユニットは、前記洗浄部材を回転又は振動させる第2の駆動機構を有することが好ましい。
【0019】
第2の駆動機構が洗浄部材を回転又は振動させる。これにより、インクジェットヘッドの吐出面と、払拭部材とがより効果的に洗浄される。さらに、少なくとも一部が貯留槽の洗浄液に浸漬された洗浄部材が回転又は振動することで、吐出面及び払拭部材から洗浄部材に移った汚れが洗浄液中に取り込まれ、洗浄部材が洗浄される。
【0020】
上記ヘッド洗浄装置において、前記第2の駆動機構は、前記貯留槽の壁を介して前記洗浄部材に磁気的に結合され、前記洗浄部材を回転又は振動させることが好ましい。
【0021】
第2の駆動機構は、貯留槽の壁を介して洗浄部材に磁気的に結合され、洗浄部材を回転又は振動させる。このため、第2の駆動機構を貯留槽内部に設けたり、貯留槽の壁を貫通する部材を設けたりすることなく、洗浄部材が回転又は振動させられる。したがって、貯留槽を小型化できるとともに、貯留槽から洗浄液が漏れ出ることが抑制される。
【0022】
本発明の一つの実施形態に係るインクジェットプリンタは、インクジェットヘッドと、上記ヘッド洗浄装置と、を備えることを特徴とする。
【0023】
上記インクジェットプリンタにおいて、前記インクジェットヘッドを支持し、走査方向に沿って延びる支持部材がさらに備えられ、前記インクジェットヘッドは前記支持部材に沿って、インクの吐出を行う走査部分と、当該走査部分から外れた延長部分と、を移動可能であり、前記ヘッド洗浄装置は、前記延長部分に位置する前記インクジェットヘッドの前記吐出面を洗浄することが好ましい。
【0024】
ヘッド洗浄装置は、インクの吐出を行う走査部分から外れた延長部分に位置するインクジェットヘッドの吐出面を洗浄する。このため、インクジェットプリンタの空きスペースが有効に活用されインクジェットプリンタが小型化される。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、払拭部材を効果的に洗浄できる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第1実施形態]
以下に、第1実施形態について、
図1〜
図8を参照して説明する。なお、実施形態に係る構成要素や、当該要素の説明について、複数の表現を併記することがある。当該構成要素及び説明について、記載されていない他の表現がされることは妨げられない。さらに、複数の表現が記載されない構成要素及び説明について、他の表現がされることは妨げられない。
【0028】
図1は、発明の第1実施形態に係るインクジェットプリンタ10の構成を示す図である。
図1に示すように、インクジェットプリンタ10は、インクジェットヘッド11と、キャリッジ12と、バー13と、テーブル14と、メンテナンスステーション15と、洗浄ステーション16と、コントローラ19とを備える。バー13は、支持部材の一例である。洗浄ステーション16は、ヘッド洗浄装置の一例である。
【0029】
インクジェットヘッド11は、複数のノズルが設けられた吐出面26を有し、各ノズルはそれぞれ対応するインクを吐出する。例えば、インクジェットプリンタ10は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)、ホワイト、及びその他の色にそれぞれ対応する複数のノズルを有したインクジェットヘッド11を有する。なお、インクジェットヘッド11は、単数でも複数でもよい。
【0030】
キャリッジ12は、インクジェットヘッド11を保持する。バー13は、主走査方向に沿って延びるとともに、モータ等を用いた駆動機構によって副走査方向に移動する。バー13に、キャリッジ12が移動可能に取り付けられる。すなわち、バー13は、キャリッジ12に保持されたインクジェットヘッド11を支持する。インクジェットヘッド11を保持するキャリッジ12は、バー13に沿って(主走査方向に沿って)移動する。
【0031】
図面に示されるように、本明細書において、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、副走査方向に沿う。Y軸は、主走査方向に沿う。Z軸は、例えば鉛直方向に沿う。
【0032】
テーブル14に、メディアMが載置される。メディアMは、紙に限らず、板や布帛、構造体のような種々の物品であって良い。メディアMの厚さ(Z軸に沿う方向の寸法)は、当該メディアMによって異なる。メディアMは、例えば吸引やピン等によって、テーブル14に固定及び位置決めされる。なお、メディアMは、テーブル14に限らず、プラテンのような他の部材に支持されても良い。
【0033】
バー13は、所定の間隔を介してテーブル14の上に配置される。キャリッジ12は、バー13に沿って、テーブル14上に載置されたメディアM上の走査部分(走査経路)A1と、走査部分A1から外れた二つの延長部分(オーバーラン区間)A2,A3と、を移動する。
【0034】
インクジェットヘッド11は、キャリッジ12が走査部分A1に位置するときに、テーブル14に載置されたメディアMにインクを吐出する。延長部分A2,A3は、バー13の両端部に位置する。すなわち、二つの延長部分A2,A3の間に、走査部分A1が位置する。
【0035】
メンテナンスステーション15は、バー13とともに副走査方向に移動する。メンテナンスステーション15は、一方の延長部分A2に位置するキャリッジ12のインクジェットヘッド11に対向するように配置される。
【0036】
洗浄ステーション16は、バー13とともに副走査方向に移動する。洗浄ステーション16は、他方の延長部分A3に位置するキャリッジ12のインクジェットヘッド11に対向するように配置される。
【0037】
図2は、インクジェットヘッド11の洗浄を説明するための模式図であり、インクジェットヘッド11及び洗浄ステーション16を示す断面図である。
図2に示すように、インクジェットヘッド11は、本体21と、複数の圧力室22と、複数のノズル23と、複数の駆動素子24と、インク供給流路25と、をそれぞれ有する。インク供給流路25は、供給部25aと共通部25bを有し、それぞれ流路の一例である。
【0038】
本体21は、略直方体に形成される。なお、本体21の形状はこれに限らない。本体21は、略平坦な吐出面26を有する。吐出面26は、下方に向き、テーブル14及びメディアMに対向する。
【0039】
複数の圧力室22は、本体21の内部に設けられる。圧力室22は、X軸に沿う方向に並んで配置される。複数の圧力室22は、インク供給流路25の共通部25bと、複数のノズル23とを接続する。
【0040】
複数のノズル23は、インクを吐出するための孔であり、本体21の吐出面26に設けられる。すなわち、吐出面26からインクが吐出される。インクは第1の液体の一例である。ノズル23は、対応する圧力室22を介して、インク供給流路25の共通部25bに連通する。ノズル23は、X軸に沿う方向に並んで配置される。
【0041】
複数の駆動素子24は、対応する圧力室22の一部を形成する。駆動素子24は、圧電素子であり、電圧が印加されることにより変形することで圧力室22内のインクの圧力を変動させる。駆動素子24は、変形することによって圧力室22の内部のインクの圧力を上下させ、ノズル23からインク滴を吐出させる。なお、駆動素子24は
図2に示されるものに限らず、従来のピエゾ方式に分類される全ての駆動方法に適用可能である。例えば、駆動素子24は、圧力室22を形成するダイアフラム膜に積層形成されたものでも良い。また、サーマルジェットやバブルジェット(登録商標)と称されるサーマル方式のものでも良い。
【0042】
インク供給流路25は、共通部25bによって各圧力室22を接続し、供給部25aから共通部25bを介して各圧力室22にインクを供給する流路である。インク供給流路25は、インク供給部27を介して、ノズル23に対応するインクタンクに接続される。インク供給部27は、液体供給部の一例である。インク供給部27は、インクタンクのインクを、インク供給流路25を介して、圧力室22及びノズル23に供給する。
【0043】
インク供給部27は、ダンパー31を有する。ダンパー31は、インクタンクとインクジェットヘッド11との間の経路に設けられる。ダンパー31は、インクジェットヘッド11に対するインクの出入りにおいて、インクの圧力変動を緩和する。
【0044】
図1に示すメンテナンスステーション15は、比較的短い周期で定期的にインクジェットヘッド11を洗浄し、インクジェットヘッド11による印刷の品質を保つ。すなわち、メンテナンスステーション15は、吐出面26が汚れることを抑制し、ノズル23のインクの粘度を低く保つことで、インクジェットヘッド11のインクの吐出を安定させる。メンテナンスステーション15は、キャップと、ワイパーとを有する。
【0045】
メンテナンスステーション15のキャップは、下方からインクジェットヘッド11の吐出面26を覆い、ノズル23のインクが乾燥することを抑制する。インクジェットヘッド11は、キャップ中の洗浄液にインクを吐出するフラッシングを行う。ワイパーは、吐出面26を拭く。なお、本発明においてメンテナンスステーションの構成はこれに限定されず、インクジェットヘッド11のメンテナンス機能を備えていればよい。
【0046】
洗浄ステーション16は、一日毎や数日毎、あるいは週毎などのように、比較的長い周期で定期的にインクジェットヘッド11を洗浄し、インクジェットヘッド11による印刷の品質を保つ。なお、洗浄ステーション16は、定期的ではなく、所定の場合にのみインクジェットヘッド11を洗浄しても良い。洗浄ステーション16は、吐出面26及びノズル23から低粘度〜高粘度のインクを除去し、インクジェットヘッド11を初期状態に戻す。
【0047】
図2に示すように、洗浄ステーション16は、貯留槽41と、洗浄ユニット42と、ブラシ駆動機構43と、自動レベル調整機構44と、アクチュエータ45と、を有する。ブラシ駆動機構43は、第2の駆動機構の一例である。
【0048】
貯留槽41は、上端部が開放された箱状に形成される。なお、貯留槽41の形状はこれに限らない。貯留槽41に、洗浄液Lが貯められる。洗浄液Lは、第2の液体の一例であり、例えば溶剤である。
【0049】
貯留槽41は、底壁46と、複数の側壁47とを有する。複数の側壁47は、底壁46の縁からそれぞれ起立する。底壁46及び側壁47は、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼(例えば、SUS304)や合成樹脂のような非磁性材料によって作られる。
【0050】
洗浄ユニット42は、ブラシ51と、二つの支持壁52とを有する。ブラシ51は、洗浄部材の一例である。ブラシ51は、貯留槽41の洗浄液Lに浸漬される。ブラシ51は、回転軸54と、複数の毛55と、第1の磁石56とを有する。
【0051】
アクチュエータ45は、インクジェットヘッド11が洗浄ステーション16の洗浄位置にくると、貯留槽41をインクジェットヘッド11側に移動させ、洗浄動作のための位置に貯留槽41を保持する。
【0052】
回転軸54は、X軸に沿う方向に延びる。回転軸54は、貯留槽41の内部に設けられた支持壁52に回転可能に支持される。毛55は、回転軸54に周方向に配置され、回転軸54から径方向に突出する。これにより、毛55は略円筒形を形成する。毛55は、ポリプロピレン、ナイロン、及びポリカーボンのような、溶剤に耐性がある合成樹脂によって形成される。第1の磁石56は、回転軸54の一方の端部に取り付けられる。第1の磁石56は、貯留槽41の側壁47に対向する。ブラシ51は、部分的に洗浄液Lから露出される。なお、ブラシ51の全体が洗浄液Lに浸漬されても良い。
【0053】
ブラシ駆動機構43は、第1のモータ61と、ドライバ回路62と、第2の磁石63とを有する。第1のモータ61は、ドライバ回路62により駆動させられる。第2の磁石63は、第1のモータ61の出力軸61aに取り付けられる。第2の磁石63は、貯留槽41の側壁47を介して、第1の磁石56に対向する。
【0054】
第1の磁石56及び第2の磁石63により、ブラシ駆動機構43は、貯留槽41の側壁47を介して、ブラシ51に磁気的に結合される。第1のモータ61が駆動すると、出力軸61aに取り付けられた第2の磁石63が回転する。これにより、第1の磁石56が取り付けられた回転軸54も回転する。すなわち、ブラシ駆動機構43は、ブラシ51を回転させる。この方法により、貯留槽41からの回転軸を伝っての液漏れを完全になくすことができる。なお、回転軸54は、貯留槽41の側壁47を貫通し、第1のモータ61によって直接回転させられても良い。回転軸54が第1のモータ61によって直接回転させられる場合は、底壁46及び側壁47は非磁性材料ではなくても良く、例えば磁性を有する金属材料によって作られていてもよい。
【0055】
自動レベル調整機構44は、調整タンク67と、供給タンク68とを有する。調整タンク67は、貯留槽41に液体の流通が可能なように接続されるとともに、洗浄液Lを貯める。供給タンク68は、調整タンク67の上方に配置され、洗浄液Lを貯める。
【0056】
調整タンク67に、大気と連通する連通口67aが設けられる。供給タンク68の底面から、管68aが下方に向かって延びる。管68aの先端は、調整タンク67に貯められた洗浄液Lの液面に浸される。
【0057】
自動レベル調整機構44は、貯留槽41に洗浄液Lを自動的に供給することができ、貯留槽41の洗浄液Lの液面を一定に保つ。調整タンク67における洗浄液Lの液面の高さは、貯留槽41の洗浄液Lの液面の高さと等しくなる。
【0058】
貯留槽41に洗浄液Lを供給することにより、調整タンク67の洗浄液Lの液面が下がると、供給タンク68の管68aの先端が当該液面から露出する。これにより、管68aの先端から供給タンク68に空気が入り、供給タンク68の圧力が上昇することで供給タンク68の洗浄液Lが調整タンク67に供給される。
【0059】
調整タンク67の洗浄液Lの液面が上がると、供給タンク68の管68aの先端が当該液面に浸る。これにより、管68aの先端からの空気の流入が遮断され、供給タンク68からの洗浄液Lの供給が停止する。したがって、調整タンク67の洗浄液Lの液面は、管68aの先端付近に保たれる。
【0060】
貯留槽41に、排出口71と、排出弁72とが設けられる。排出口71は、貯留槽41の底壁46に開口する。貯留槽41に貯められた洗浄液Lは、排出口71から排出される。排出弁72は、例えば電磁弁である。排出弁72は、排出口71からの洗浄液Lの流出を遮断する。
【0061】
貯留槽41は、アクチュエータ45によりZ軸に沿う方向に移動させられる。アクチュエータ45は、貯留槽41をZ軸方向に移動させることで、移動するインクジェットヘッド11との衝突防止や、貯留槽41の位置を保持する。
【0062】
図3は、インクジェットヘッド11及び洗浄ステーション16を
図2と異なる方向から示す断面図である。
図3に示すように、洗浄ステーション16は、払拭ユニット81をさらに有する。払拭ユニット81は、二つのワイパー83と、ワイパー駆動機構84とを有する。ワイパー83は、払拭部材の一例である。ワイパー駆動機構84は、第1の駆動機構の一例である。
【0063】
ワイパー83は、例えば合成ゴムのような弾性を有する材料によって形成される。ワイパー83は、基部83aと、基部83aよりも薄い先端部83bとを有する。先端部83bは、接触部の一例であり、基部83aよりも撓みやすい。
【0064】
ワイパー駆動機構84は、二つの支持軸87と、二つの第2のモータ88とを有する。支持軸87は、貯留槽41の洗浄液Lに浸漬され、回転可能に支持される。第2のモータ88は、貯留槽41の外部に配置され、支持軸87を回転させる。第2のモータ88は、支持軸87に直接結合されても良いし、磁気的に結合されても良い。
【0065】
ワイパー83の基部83aは、支持軸87に取り付けられる。ワイパー83は、支持軸87に取り外し可能に取り付けられ、交換可能であって良い。第2のモータ88が支持軸87を回転させることで、ワイパー83が、露出位置P1と、浸漬位置P2との間で揺動させられる。露出位置P1は、第1の位置の一例である。浸漬位置P2は、第2の位置の一例である。
図3において、露出位置P1にあるワイパー83が二点鎖線で示される。
【0066】
露出位置P1において、ワイパー83は、例えばZ軸に沿う方向に延びる。なお、露出位置P1におけるワイパー83はこれに限らず、Z軸に対して傾斜しても良い。ワイパー83の先端部83bは、貯留槽41の洗浄液Lの液面から突出し、露出させられる。ワイパー83の基部83aは、洗浄液Lに浸漬していても良いし、洗浄液Lから例えば部分的に露出させられても良い。
【0067】
浸漬位置P2において、ワイパー83は、例えばY軸に沿う方向に延びる。なお、浸漬位置P2におけるワイパー83はこれに限らない。ワイパー83の基部83a及び先端部83bは、貯留槽41の洗浄液Lに浸漬される。
【0068】
浸漬位置P2において、ワイパー83の先端部83bは、ブラシ51の毛55に接触する。このため、ブラシ駆動機構43によってブラシ51が回転させられると、洗浄液Lの中で、ブラシ51の毛55が先端部83bを擦って洗浄する。
【0069】
図4は、コントローラ19の構成の一例を示すブロック図である。コントローラ19は、インクジェットプリンタ10の動作を制御する。コントローラ19は、ヘッド位置制御部101と、吐出制御部102と、メンテナンス制御部103と、ワイパー制御部104と、ブラシ制御部105と、貯留槽位置制御部107とを備える。
【0070】
ヘッド位置制御部101は、ドライバ回路111を介して移動機構112を制御する。移動機構112は、例えばモータや、ギヤや、ベルトを有し、キャリッジ12をバー13に沿って移動させる。すなわち、ヘッド位置制御部101は、インクジェットヘッド11及びキャリッジ12のY方向における位置を制御する。
【0071】
吐出制御部102は、ドライバ回路116を介して、インクジェットヘッド11の駆動素子24を制御する。すなわち、吐出制御部102は、ドライバ回路116を制御し、当該ドライバ回路116から駆動素子24に駆動電圧を供給させる。
【0072】
吐出制御部102は、複数の駆動素子24を選択的に駆動させることが可能である。すなわち、吐出制御部102は、少なくとも一つの駆動素子24を駆動させ、当該駆動素子24に対応する少なくとも一つのノズル23にインク等の液体の吐出を行わせることができる。すなわち、吐出制御部102と、ドライバ回路116と、駆動素子24とは、第1の制御機構の一例である。
【0073】
メンテナンス制御部103は、メンテナンスステーション15を制御する。メンテナンス制御部103は、例えばドライバ回路を介してメンテナンスステーション15に含まれるモータや電磁弁を制御することで、キャップに貯められた洗浄液を交換したり、ワイパーによってインクジェットヘッド11の吐出面26を拭いたりする。
【0074】
ワイパー制御部104は、ドライバ回路118を介して、払拭ユニット81の第2のモータ88を制御する。すなわち、ワイパー制御部104は、ドライバ回路118に第2のモータ88を駆動させることで、ワイパー83を露出位置P1と浸漬位置P2との間で揺動させる。
【0075】
ブラシ制御部105は、ドライバ回路62を介して、第1のモータ61を制御する。ブラシ制御部105は、ドライバ回路62に第1のモータ61を駆動させることで、上述のようにブラシ51を回転させる。
【0076】
貯留槽位置制御部107は、ドライバ回路114を介してアクチュエータ45を制御する。アクチュエータ45は、貯留槽41をZ軸に沿う方向に移動させる。すなわち、貯留槽位置制御部107は、貯留槽41のZ方向における位置を制御する。
【0077】
コントローラ19と、これに含まれるヘッド位置制御部101、吐出制御部102、メンテナンス制御部103、ワイパー制御部104、ブラシ制御部105、及び貯留槽位置制御部107等とは、演算装置、メモリ等のハードウェア及びこれらの所定の機能を実現させるプログラムから構成される。
【0078】
次に、上述のインクジェットプリンタ10の動作について説明する。
図5は、インクジェットプリンタ10の動作の一例を示すフローチャートである。以下に説明するインクジェットプリンタ10の動作は、例えば所定のプログラムによって実行される。
【0079】
インクジェットプリンタ10は、例えば外部のパーソナルコンピュータや、インクジェットプリンタ10に設けられた操作部からの印刷命令に従い、メディアMに印刷を行う。すなわち、インクジェットプリンタ10は、当該印刷命令に基づき、キャリッジ12及びバー13を副走査方向及び主走査方向に移動させる。インクジェットヘッド11が、ノズル23からメディアMにインクを吐出することにより、メディアMに画像が形成される。
【0080】
キャリッジ12は、上記印刷の間、バー13に沿って走査部分A1と延長部分A2,A3とを移動する。キャリッジ12は、一方の延長部分A2から、走査部分A1を通って、他方の延長部分A3に移動する。他方の延長部分A3に到達したキャリッジ12は、元の延長部分A2(待機位置)に戻る。すなわち、キャリッジ12は、延長部分A2,A3において移動方向の反転を行う。
【0081】
メンテナンスステーション15と洗浄ステーション16は、キャリッジ12の反転のために必要な空きスペース(延長部分A2,A3)に位置するインクジェットヘッド11にそれぞれ対向する。このため、インクジェットプリンタ10の小型化が可能である。
【0082】
コントローラ19は、上記印刷中のようにインクジェットプリンタ10が動作している間、インクジェットヘッド11の洗浄を行うタイミングか否かを判断する(ステップS11)。例えば、コントローラ19はタイマによって時間をカウントし、カウントされた時間が所定の周期に達した場合、インクジェットヘッド11の洗浄を行うタイミングであると判断する(ステップS11:Yes)。当該周期は、例えば、半日、又はインクの沈殿や凝縮が発生する時間である。インクジェットヘッド11の洗浄を行うタイミングであると判断された場合、タイマの時間のカウントはリセットされる。
【0083】
コントローラ19は、例えば、インクジェットプリンタ10の動作が終了するとき(長時間休止時)や、インクジェットヘッド11の内部のインクの粘度が約20ミリパスカル秒以上になったと推定される時に、インクジェットヘッド11の洗浄を行うタイミングであると判断しても良い。なお、インクジェットヘッド11の洗浄を行うタイミングであると判断される基準は、これに限らない。
【0084】
インクジェットヘッド11の洗浄を行うタイミングであると判断されると、コントローラ19のヘッド位置制御部101は、移動機構112を制御し、キャリッジ12を延長部分A3に移動させる。言い換えると、キャリッジ12は、洗浄ステーション16の上に移動させられる(ステップS12)。
【0085】
次に、貯留槽位置制御部107は、アクチュエータ45を制御し、貯留槽41を上昇させる。これにより、
図3に示すように、インクジェットヘッド11の吐出面26は、ブラシ51の毛55に接触する(ステップS13)。
【0086】
次に、ヘッド位置制御部101は、移動機構112を制御し、インクジェットヘッド11をY軸に沿う方向に移動させる。
図6は、ブラシ洗浄工程におけるインクジェットヘッド11と洗浄ステーション16とを示す断面図である。
図6に示すように、移動するインクジェットヘッド11の吐出面26に、ブラシ51の毛55が接触する。
【0087】
インクジェットヘッド11が移動させられる間、ブラシ制御部105がブラシ駆動機構43を制御し、ブラシ51が回転させられる。ブラシ51は、正転方向にのみ回転させられても良いし、所定の周期で回転方向を反転させられることで正逆転方向に回転させられても良い。
【0088】
回転するブラシ51の毛55は、インクジェットヘッド11の吐出面26に付着した汚れを取り除く(ステップS14)。ブラシ51の洗浄液Lから露出された部分が、インクジェットヘッド11の吐出面26を擦って洗浄する。ブラシ51は、回転することによって洗浄液Lを巻き上げる。これにより、吐出面26に洗浄液Lが浴びせられ、吐出面26が洗浄される。さらに、ブラシ51の一部が洗浄液Lに浸漬するため、ブラシ51の多数の毛55は、洗浄液Lを含む。洗浄液Lを含んだブラシ51の毛55がインクジェットヘッド11の吐出面26を擦ることで、吐出面26が効果的に洗浄される。
【0089】
なお、ステップS14の前に、吐出面26が洗浄液Lに浸漬しても良く、吐出面26を洗浄液Lに浸漬することで吐出面26に付着したインクの濃度は低下する。さらに、ブラシ51は、洗浄液Lに浸漬された状態で吐出面26を擦ることで、吐出面26の汚れが効果的に除去される。
【0090】
一方、ワイパー83は、基本的に浸漬位置P2に配置される。このため、回転するブラシ51の毛55は、洗浄液L中においてワイパー83の先端部83bを擦り、先端部83bに付着した汚れを取り除く。ワイパー83の他の部分の汚れも、洗浄液Lによって除去される。また、ワイパー83は、移動するインクジェットヘッド11に接触しない。このように、ブラシ51がワイパー83を洗浄するときに、ワイパー83は貯留槽41の洗浄液Lに浸漬される。
【0091】
ブラシ51によって除去されたインクジェットヘッド11の吐出面26の汚れと、ワイパー83の先端部83bの汚れとは、洗浄液Lに取り込まれる。すなわち、ブラシ51の毛55に汚れが付着したとしても、洗浄液Lの中でブラシ51が回転するため、毛55の汚れは洗浄液Lによって取り除かれる。
【0092】
図7は、キャリッジ12及びブラシ51を示す底面図である。
図7に示すように、ブラシ51の長さ(X軸に沿う寸法)は、インクジェットヘッド11の長さより大きくすることで、吐出面26全体を洗浄することができる。一方、ブラシ51の幅(直径、Y軸に沿う寸法)は、インクジェットヘッド11の幅より小さくて良く、小型化が可能である。また、ワイパー83の長さ(X軸に沿う寸法)は、インクジェットヘッド11の長さより大きくすることで、吐出面26全体を払拭することができる。ワイパー83の幅(Y軸に沿う寸法)は、インクジェットヘッド11の幅より小さくて良く、小型化が可能である。
【0093】
図8は、ワイピング工程におけるインクジェットヘッド11及び洗浄ステーション16を示す断面図である。インクジェットヘッド11の洗浄後、
図8に示すように、ワイパー制御部104は、第2のモータ88を制御し、ワイパー83を露出位置P1に移動させる。これにより、ワイパー83の先端部83bは、洗浄液Lの液面から露出させられる。
【0094】
ブラシ51による吐出面26の洗浄(ステップS14)が終わると、ヘッド位置制御部101は、移動機構112を制御し、インクジェットヘッド11をY軸に沿う方向に移動させる。移動するインクジェットヘッド11の吐出面26に、ワイパー83の先端部83bが接触する。
【0095】
ワイパー83の先端部83bは、移動するインクジェットヘッド11の吐出面26を拭くことで、吐出面26に残留する洗浄液Lや汚れを取り除く(ステップS16)。これにより、吐出面26は洗浄されるとともに、乾きやすくなる。
【0096】
このように、コントローラ19は、ブラシ制御部105による吐出面26の洗浄(ステップS14)が終わると、ヘッド位置制御部101とワイパー制御部104とを制御することで、ワイパー83による吐出面26のワイピング(ステップS16)を行うよう制御する。コントローラ19は、制御部の一例である。
【0097】
次に、ヘッド位置制御部101は、移動機構112を制御し、キャリッジ12を延長部分A2(待機位置)に移動させる(ステップS17)。以上により、洗浄ステーション16によるインクジェットヘッド11の洗浄が完了する。
【0098】
また、コントローラ19は、インクジェットヘッド11の洗浄を行うタイミングでないと判断した場合(ステップS11:No)、インクジェットヘッド11のメンテナンスを行うタイミングか否かを判断する(ステップS18)。例えば、コントローラ19は別のタイマによって時間をカウントし、カウントされた時間が所定の周期に達した場合、インクジェットヘッド11のメンテナンスを行うタイミングであると判断する(ステップS18:Yes)。当該周期は、インクジェットヘッド11の洗浄を行うタイミングを判断するための周期よりも短い。インクジェットヘッド11のメンテナンスを行うタイミングであると判断された場合、当該タイマの時間のカウントはリセットされる。
【0099】
コントローラ19は、例えば、インクジェットヘッド11の内部のインクの粘度が約20ミリパスカル秒以下の所定の粘度になったと判断される時に、インクジェットヘッド11のメンテナンスを行うタイミングであると判断しても良い。なお、インクジェットヘッド11のメンテナンスを行うタイミングであると判断される基準は、これに限らない。
【0100】
インクジェットヘッド11のメンテナンスを行うタイミングであると判断されると、キャリッジ12が延長部分A2(待機位置)にある状態で、コントローラ19の吐出制御部102は、駆動素子24を制御し、駆動素子24を微振動させる(ステップS19)。駆動素子24は、圧力室22のインクの圧力を上下させるが、当該インクはノズル23から吐出しない。当該微振動によって、ノズル23におけるインクのメニスカスが振動し、ノズル23の付近におけるインクの乾燥や粘度の増加が抑制される。なお、駆動素子24の微振動は、メンテナンス中に限らず、インクジェットプリンタ10の動作中に常に行われても良い。
【0101】
次に、吐出制御部102は、駆動素子24を制御し、ノズル23からインクを吐出させるフラッシングを行う(ステップS20)。インクは、ノズル23から、メンテナンスステーション15のキャップの洗浄液に吐出される。これにより、例えばノズル23の近傍で乾燥により粘度が増加したインクが排出され、ノズル23の詰まり及びインク滴の飛行曲りが抑制される。
【0102】
次に、メンテナンス制御部103は、メンテナンスステーション15のワイパーにより、インクジェットヘッド11の吐出面26を拭く(ステップS21)。これにより、吐出面26に付着したインクや埃のような汚れが除去される。
【0103】
以上により、メンテナンスステーション15によるインクジェットヘッド11のメンテナンスが完了する。なお、メンテナンスステーション15は、微振動(ステップS19)、フラッシング(ステップS20)、及びワイピング(ステップS21)の少なくとも一つを選択して行っても良い。
【0104】
さらに、メンテナンスステーション15は、キャップにより覆われたインクジェットヘッド11の吐出面26のノズル23から、キャップの洗浄液を吸引しても良い。これにより、インクジェットヘッド11の内部の粘度が増加したインクや汚れが除去される。
【0105】
コントローラ19は、上述のインクジェットヘッド11の洗浄(ステップS11〜S17)及びメンテナンス(ステップS18〜S21)を、インクジェットプリンタ10の動作が終了するまで繰り返す(ステップS22)。これにより、インクジェットヘッド11は清浄に保たれ、印刷の品質を保持する。
【0106】
インクジェットプリンタ10において、インクチューブ(インクタンクとインクジェットヘッド11との間のインクの経路)におけるインクの顔料の沈殿は、ダンパー31とインクタンク間に環状流路を設け、インクの循環を行うことにより抑制される。ダンパー31における汚れの発生は、メンテナンスステーション15におけるフラッシング(ステップS20)により抑制される。
【0107】
インクジェットヘッド11の吐出面26における汚れの発生は、洗浄ステーション16におけるブラシ洗浄(ステップS14)により抑制される。ノズル23におけるインクのメニスカスの増粘は、メンテナンスステーション15におけるフラッシング(ステップS20)により抑制される。
【0108】
以上のように、インクジェットヘッド11の印刷の不具合を生じさせ得る汚れ等の発生は、メンテナンスステーション15、及び洗浄ステーション16によって抑制される。言い換えると、メンテナンスステーション15及び洗浄ステーション16が組み合わされることで、インクジェットヘッド11が効果的に保守される。
【0109】
第1実施形態に係るインクジェットプリンタ10によれば、洗浄ユニット42は、貯留槽41の洗浄液Lを用いて、インクジェットヘッド11の吐出面26を拭くワイパー83を洗浄する。ワイパー83に付着した汚れは、貯留槽41の多量の洗浄液Lの中に取り込まれる。これにより、ワイパー83が効果的に洗浄され、ワイパー83に残留した汚れがインクジェットヘッド11の吐出面26に付着することが抑制される。
【0110】
上述の第1実施形態において、ブラシ51は、ブラシ駆動機構43によって振動させられても良い。ブラシ51は、振動することにより、インクジェットヘッド11の吐出面26を擦って洗浄する。
【0111】
上述の第1実施形態のようにブラシ51を吐出面26に接触させて洗浄する方法は、インクとしてエマルションインクおよび紫外線硬化型インクの何れかを吐出面26から吐出する場合に特に有効である。エマルションインクおよび紫外線硬化型インクは、一旦硬化してしまうと、耐候性が高いため、その後の洗浄によって取り除かれることが困難である。すなわち、これらのインクは、インクジェットヘッドの吐出面の洗浄が不十分であった場合に、吐出面に付着したまま硬化してしまうと、その後の洗浄によっても吐出面から取り除くことが困難である。したがって、インクジェットヘッドの吐出面の洗浄は、適切な時期に適切に実行されることが大切である。なお、洗浄液Lは、インクの種類に応じて溶媒の種類を適宜選択すればよい。
【0112】
[第2実施形態]
以下に、第2実施形態について、
図9を参照して説明する。なお、以下の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
【0113】
図9は、第2実施形態に係るインクジェットヘッド11及び洗浄ステーション16を示す断面図である。
図9に示すように、第2実施形態における洗浄ユニット42は、ブラシ51の代わりに、超音波洗浄装置121を有する。
【0114】
超音波洗浄装置121は、貯留槽41に取り付けられ、貯留槽41に貯められた洗浄液Lに超音波を伝播させる。当該超音波は、洗浄液Lに浸漬されたインクジェットヘッド11の吐出面26と、ワイパー83とを洗浄する。
【0115】
第2実施形態の超音波洗浄装置121のように、洗浄ユニット42は、接触を伴わずにインクジェットヘッド11の吐出面26やワイパー83を洗浄しても良い。また、洗浄ユニット42は、第1実施形態のブラシ51と、第2実施形態の超音波洗浄装置121とを両方とも有しても良い。
【0116】
第2実施形態の払拭ユニット81は、一つのワイパー83を有する。ワイパー83の個数は、第1実施形態のように二つであっても、第2実施形態のように一つであっても、他の個数であっても良い。
【0117】
また、自動レベル調整機構44は、貯留槽41における洗浄液Lの液面の位置を、必要に応じて変化させてもよい。つまり、貯留槽41における洗浄液Lの液面の高さは、自動レベル調整機構44の調整タンク67における洗浄液Lの液面の高さと等しくなるため、調整タンク67における洗浄液Lの液面の高さを調節することにより、貯留槽41における洗浄液Lの液面の高さを調節してもよい。これを実現するために、例えば、自動レベル調整機構44は、供給タンク68を上下動可能に構成してもよい。
【0118】
自動レベル調整機構44の供給タンク68を上下動可能に構成した場合において、貯留槽41における洗浄液Lの液面の高さを高くする際には、供給タンク68を上昇させて管68aの先端を洗浄液Lの液面から露出させることによって、管68aの先端から供給タンク68に空気を入り込ませる。供給タンク68に空気が入り込んだ場合には、供給タンク68内の圧力が上昇するため、この圧力の変化により供給タンク68の洗浄液Lを調整タンク67に供給することができ、調整タンク67における洗浄液Lの液面を上昇させることができる。これにより、貯留槽41における洗浄液Lの液面を上昇させることができる。
【0119】
また、貯留槽41における洗浄液Lの液面の高さを低くする際には、供給タンク68を下降させて管68aの先端の高さを下げると共に、貯留槽41の排出弁72を開くことにより、貯留槽41に貯められた洗浄液Lの一部を排出口71から排出する。これにより、貯留槽41における洗浄液Lの液面を、調整タンク67における洗浄液Lの液面と共に下降させることができる。
【0120】
自動レベル調整機構44を、これらのように貯留槽41における洗浄液Lの液面の高さを変化させることができるように構成した場合には、インクジェットヘッド11の洗浄時におけるステップに応じて、液面の高さを異ならせてもよい。具体的には、洗浄ステーション16によってインクジェットヘッド11の洗浄を行う際に、ブラシ51によるブラシ洗浄時とワイパー83によるワイピング時とで、自動レベル調整機構44によって洗浄液Lの液面の高さを異ならせてもよい。
【0121】
図10は、第1実施形態の変形例であり、ブラシ51による吐出面26の洗浄時における動作の説明図である。例えば、インクジェットヘッド11の吐出面26をブラシ51によって洗浄する際に、貯留槽41における洗浄液Lの液面が、吐出面26とブラシ51との接触位置以上の高さになるように、洗浄液Lの液面の高さを自動レベル調整機構44によって調節してもよい。ブラシ51によって吐出面26の洗浄をする際に、貯留槽41内の洗浄液Lの液面の高さを、吐出面26とブラシ51との接触位置が浸漬する高さにすることにより、ブラシ51による吐出面26の洗浄を、洗浄液Lの液中で行うことができる。これにより、洗浄効率を高めることができる。
【0122】
図11は、第1実施形態の変形例であり、ワイパー83による吐出面26の払拭時における動作の説明図である。また、インクジェットヘッド11の吐出面26をワイパー83によって払拭する際には、貯留槽41における洗浄液Lの液面が、ワイパー83の先端部83bよりも下に位置するように、液面の高さを下げてもよい。つまり、貯留槽41における洗浄液Lの液面の位置が、吐出面26よりも下に位置するように、自動レベル調整機構44によって洗浄液Lの液面の高さを調節してもよい。ワイパー83による吐出面26の払拭は、インクジェットヘッド11の吐出面26に付着した洗浄液Lを拭き取ることにより行うため、洗浄液Lの液面が吐出面26よりも下に位置するようにすることにより、吐出面26を確実に払拭することができる。貯留槽41における洗浄液Lの液面の位置を、これらのように自動レベル調整機構44によって変化させることにより、ブラシ51とワイパー83とを用いてインクジェットヘッド11の吐出面26を洗浄する際に、より確実に洗浄することができる。
【0123】
なお、自動レベル調整機構44によって洗浄液Lの液面の高さを調節する手法は、供給タンク68を上下動させること以外によって行ってもよい。例えば、自動レベル調整機構44にポンプ等の洗浄液Lの供給手段を設け、供給手段から直接、或いは供給タンク68を介して、調整タンク67に洗浄液Lを供給するように構成してもよい。このように、洗浄液Lの供給手段を設けて調整タンク67に洗浄液Lを供給することにより、調整タンク67における洗浄液Lの液面の高さを調整することができ、貯留槽41における洗浄液Lの液面の高さを調節することができる。
【0124】
上述の本発明の実施形態は、発明の範囲を限定するものではなく、発明の範囲に含まれる一例に過ぎない。また、模式図は、実際のインクジェットヘッドの構造を示しているものではなく、インク流路やインク駆動素子なども実際の形状とは異なる。本発明のある実施形態は、上述の実施形態に対して、例えば、具体的な用途、構造、形状、作用、及び効果の少なくとも一部について、発明の要旨を逸脱しない範囲において変更、省略、及び追加がされたものであっても良い。
【0125】
例えば、貯留槽41の側壁47から洗浄ユニット42のブラシ51の一部を突出させていてもよい。ブラシ51の一部を貯留槽41から突出した状態で、かつ、インクジェットヘッド11の吐出面26と接触する位置に設けることで、アクチュエータ45による貯留槽41の位置制御を行わなくてもよい。