特許第6535906号(P6535906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6535906潤滑油添加剤、潤滑油、グリース組成物、燃料油添加剤、燃料油およびオイルスラッジ抑制方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6535906
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】潤滑油添加剤、潤滑油、グリース組成物、燃料油添加剤、燃料油およびオイルスラッジ抑制方法
(51)【国際特許分類】
   C10M 125/10 20060101AFI20190625BHJP
   C10L 1/12 20060101ALI20190625BHJP
   C10L 10/00 20060101ALI20190625BHJP
   C10N 10/08 20060101ALN20190625BHJP
   C10N 20/06 20060101ALN20190625BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20190625BHJP
   C10N 30/04 20060101ALN20190625BHJP
   C10N 40/06 20060101ALN20190625BHJP
【FI】
   C10M125/10
   C10L1/12
   C10L10/00
   C10N10:08
   C10N20:06 Z
   C10N30:00 Z
   C10N30:04
   C10N40:06
【請求項の数】19
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2018-60469(P2018-60469)
(22)【出願日】2018年3月27日
【審査請求日】2018年3月28日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511247334
【氏名又は名称】株式会社VAB
(74)【代理人】
【識別番号】100123984
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 晃伸
(74)【代理人】
【識別番号】100102314
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
(74)【代理人】
【識別番号】100159178
【弁理士】
【氏名又は名称】榛葉 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】宮本 清英
【審査官】 安川 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6327658(JP,B2)
【文献】 特表2008−534744(JP,A)
【文献】 特開平10−002338(JP,A)
【文献】 特開2017−019910(JP,A)
【文献】 特開2002−285179(JP,A)
【文献】 特開2006−153095(JP,A)
【文献】 特開平11−236677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M 101/00−177/00
C10N 10:00− 80:00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光触媒機能を有する二酸化チタン粒子を有効成分とし、前記二酸化チタン粒子はアナターゼ型のみで構成され、潤滑油に添加して使用する、オイルスラッジを抑制するための潤滑油添加剤(但し、内燃機関用潤滑油添加剤を除く。)
【請求項2】
光触媒機能を有する二酸化チタン粒子を有効成分とし、前記二酸化チタン粒子は80%以上がアナターゼ型で構成され、潤滑油に前記二酸化チタン粒子を添加してオイルスラッジを抑制するための潤滑油添加剤(但し、内燃機関用潤滑油添加剤を除く。)
【請求項3】
前記二酸化チタン粒子は、コーティング処理が施されていない、請求項1または2に記載の潤滑油添加剤。
【請求項4】
前記二酸化チタン粒子は、平均粒径が1nm〜300nmのナノ粒子である請求項1ないし3のいずれかに記載の潤滑油添加剤。
【請求項5】
さらにオイルを含む請求項1ないし4のいずれかに記載の潤滑油添加剤。
【請求項6】
前記オイル中に前記二酸化チタン粒子を0.1〜5重量%含む、オイルとの組成物である請求項5に記載の潤滑油添加剤。
【請求項7】
さらに燃費を向上させるための請求項1ないし6のいずれかに記載の潤滑油添加剤。
【請求項8】
さらに機械振動を抑制させるための請求項1ないし7のいずれかに記載の潤滑油添加剤。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の潤滑油添加剤が混合された潤滑油(但し、内燃機関用潤滑油を除く。)
【請求項10】
前記二酸化チタン粒子を0.01〜0.1重量%含む請求項に記載の潤滑油。
【請求項11】
請求項1ないし8のいずれかに記載の潤滑油添加剤を潤滑油に添加することで、オイルスラッジを抑制するオイルスラッジ抑制方法(但し、内燃機関のオイルスラッジを抑制するオイルスラッジ抑制方法を除く。)
【請求項12】
さらに燃費を向上させるための方法である請求項11に記載のオイルスラッジ抑制方法。
【請求項13】
さらに機械振動を抑制させるための方法である請求項11または12に記載のオイルスラッジ抑制方法。
【請求項14】
前記二酸化チタン粒子が潤滑油に0.005重量%以上かつ0.3重量%未満含む請求項11ないし13のいずれかに記載のオイルスラッジ抑制方法。
【請求項15】
光触媒機能を有する二酸化チタン粒子を有効成分とし、前記二酸化チタン粒子は80%以上がアナターゼ型で構成され、燃料油に直接添加して使用する燃料油添加剤が添加された燃料油(但し、内燃機関用燃料油を除く。)
【請求項16】
光触媒機能を有する二酸化チタン粒子を有効成分とし、前記二酸化チタン粒子は80%以上がアナターゼ型で構成され、燃料油に直接添加して使用する燃料油添加剤を燃料油に添加することで、オイルスラッジを抑制するオイルスラッジ抑制方法(但し、内燃機関のオイルスラッジを抑制するオイルスラッジ抑制方法を除く。)
【請求項17】
さらに燃費を向上させるための方法である請求項16に記載のオイルスラッジ抑制方法。
【請求項18】
さらに酸性ガスの排出量を低減するための方法である請求項16または17に記載のオイルスラッジ抑制方法。
【請求項19】
さらに燃料油の燃焼を促進するための、燃焼室を洗浄するための、またはオイルスラッジを分散させるための請求項16ないし18のいずれかに記載のオイルスラッジ抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑油添加剤、潤滑油、グリース組成物、燃料油添加剤、燃料油およびオイルスラッジ抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、潤滑油の摩擦係数を低減させるために、二酸化チタンを含有させた潤滑油が知られている(たとえば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−179715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術における二酸化チタンの潤滑油への添加は、二酸化チタンの粒度や硬さに着目し、金属表面の凹凸部を二酸化チタンで研磨し、あるいは、金属表面の凹凸部に二酸化チタンを入り込ませることで、金属表面の面粗さを改善し、潤滑油の摩擦係数を低減させることを目的としたものである。
二酸化チタンの潤滑油への添加により、潤滑油のオイルスラッジが抑制されることは知られていなかった。
【0005】
本発明は、オイルスラッジを有効に抑制することが可能な潤滑油添加剤、潤滑油、グリース組成物、燃料油添加剤、燃料油およびオイルスラッジ抑制方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は二酸化チタン粒子の光触媒機能に着目し、二酸化チタン粒子を有効成分とする潤滑油に添加すると、潤滑油でのオイルスラッジが抑制されるという有用な作用効果を発揮することを見出して本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の(1)ないし()の潤滑油添加剤を要旨とする。
(1)光触媒機能を有する二酸化チタン粒子を有効成分とし、前記二酸化チタン粒子はアナターゼ型のみで構成され、潤滑油に添加して使用する、オイルスラッジを抑制するための潤滑油添加剤(但し、内燃機関用潤滑油添加剤を除く。)
(2)光触媒機能を有する二酸化チタン粒子を有効成分とし、前記二酸化チタン粒子は80%以上がアナターゼ型で構成され、潤滑油に前記二酸化チタン粒子を添加してオイルスラッジを抑制するための潤滑油添加剤。
(3)前記二酸化チタン粒子は、コーティング処理が施されていない、上記(1)または(2)に記載の潤滑油添加剤。
(4)前記二酸化チタン粒子は、平均粒径が1nm〜300nmのナノ粒子である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の潤滑油添加剤。
(5)さらにオイルを含む上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の潤滑油添加剤。
(6)前記オイル中に前記二酸化チタン粒子を0.1〜5重量%含む、オイルとの組成物である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の潤滑油添加剤。
(7)さらに燃費を向上させるための上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の潤滑油添加剤。
(8)さらに機械振動を抑制させるための上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の潤滑油添加剤。
【0007】
また、本発明は、以下の(9)または(10)の潤滑油を要旨とする。
(9)上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の潤滑油添加剤が混合された潤滑油(但し、内燃機関用潤滑油を除く。)
(10)前記二酸化チタン粒子を0.01〜0.1重量%含む上記(9)に記載の潤滑油。
【0009】
また、本発明は、以下の(11)ないし(14)のオイルスラッジ抑制方法を要旨とする。
11)上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の潤滑油添加剤を潤滑油に添加することで、オイルスラッジを抑制するオイルスラッジ抑制方法(但し、内燃機関のオイルスラッジを抑制するオイルスラッジ抑制方法を除く。)
12)さらに燃費を向上させるための方法である上記(11)に記載のオイルスラッジ抑制方法。
13)さらに機械振動を抑制させるための方法である上記(11)または(12)に記載のオイルスラッジ抑制方法。
14)前記二酸化チタン粒子を潤滑油に0.005重量%以上かつ0.3重量%未満添加する上記(11)ないし(13)のいずれかに記載のオイルスラッジ抑制方法。
【0011】
また、本発明は、以下の(15)の燃料油を要旨とする。
15光触媒機能を有する二酸化チタン粒子を有効成分とし、前記二酸化チタン粒子は80%以上がアナターゼ型で構成され、燃料油に直接添加して使用する燃料油添加剤が添加された燃料油(但し、内燃機関用燃料油を除く。)
【0012】
また、本発明は、以下の(16)ないし(19)のオイルスラッジ抑制方法を要旨とする。
16光触媒機能を有する二酸化チタン粒子を有効成分とし、前記二酸化チタン粒子は80%以上がアナターゼ型で構成され、燃料油に直接添加して使用する燃料油添加剤を燃料油に添加することで、オイルスラッジを抑制するオイルスラッジ抑制方法(但し、内燃機関のオイルスラッジを抑制するオイルスラッジ抑制方法を除く。)
17)さらに燃費を向上させるための方法である上記(16)に記載のオイルスラッジ抑制方法。
18)さらに酸性ガスの排出量を低減するための方法である上記(16)または(17)に記載のオイルスラッジ抑制方法。
19)さらに燃料油の燃焼を促進するための、燃焼室を洗浄するための、またはオイルスラッジを分散させるための上記(16)ないし(18)のいずれかに記載のオイルスラッジ抑制方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、二酸化チタン粒子の光触媒機能を利用して、オイルスラッジを有効に抑制することができる潤滑油添加剤、潤滑油、グリース組成物、燃料油添加剤、燃料油およびオイルスラッジ抑制方法を提供することができる。また、本発明により、オイルスラッジを有効に抑制することに加えて、燃費を向上させることができる、および/または、機械振動を抑制させることができる潤滑油添加剤、潤滑油、グリース組成物、燃料油添加剤、燃料油およびオイルスラッジ抑制方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る潤滑油添加剤を、二酸化チタン粒子が0.3重量%となるように添加した潤滑油(添加潤滑油A)と、二酸化チタン粒子が0.03重量%となるように添加した潤滑油(添加潤滑油B)と、本実施形態に係る潤滑油添加剤を添加しない無添加潤滑油とを用いた摩耗試験における摩擦係数の変化を示す図である。
図2図1に示す摩耗試験の結果のうち開始10分後までの摩擦係数の変化を示す図である。
図3図1に示す摩耗試験の結果のうち終了10分前からの摩擦係数の変化を示す図である。
図4図1に示す摩耗試験における油温の変化を示す図である。
図5図4に示す油温の変化のうち終了10分前からの油温の変化を示す図である。
図6図1に示す摩耗試験における摩耗損失重量を示す図である。
図7】本実施形態に係る潤滑油添加剤を添加した添加潤滑油と、本実施形態に係る潤滑油添加剤を添加しない無添加潤滑油を用いた走行試験の結果を示す図である。
図8】本実施形態に係る潤滑油添加剤を添加した添加潤滑油と、本実施形態に係る潤滑油添加剤を添加しない無添加潤滑油を用いた振動試験の結果(車体横方向の振動結果)を示す図である。
図9】本実施形態に係る潤滑油添加剤を添加した添加潤滑油と、本実施形態に係る潤滑油添加剤を添加しない無添加潤滑油を用いた振動試験の結果(車体前後方向の振動結果)を示す図である。
図10】本実施形態に係るグリース組成物を用いた高速四球耐摩耗試験の試験結果を示す図である。
図11】本実施形態に係る燃料油添加剤を添加した添加燃料油と、本実施形態に係る燃料油添加剤を添加しない無添加燃料油を用いたエンジン出力試験の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明する。本実施形態に係る潤滑油添加剤は、内燃機関、産業機器、精密機器、機械機器などの潤滑油に添加して使用される。また、本実施形態に係る潤滑油添加剤を添加した潤滑油は、産業機器、精密機器、機械機器などに用いられるグリース組成物に混合して使用することもできる。たとえば、本実施形態に係る潤滑油およびグリース組成物の用途の一例として、船舶や車両などのエンジンオイル、緩衝器や油圧機器用の作動油、回転機器、軸受けまたは歯車用の潤滑油やグリースなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
(潤滑油添加剤)
本実施形態に係る潤滑油添加剤は、光触媒機能を有する二酸化チタン粒子を含む。このような二酸化チタン粒子としては、アナターゼ型の結晶構造を有する二酸化チタン粒子を用いることができる。アナターゼ型の二酸化チタンは、太陽光などの紫外線の作用によって光触媒機能を発揮させることができるため、通常は太陽光(紫外線)が照射される物品の表面にアナターゼ型の二酸化チタンの層を形成させるなどし、太陽光(紫外線)の当たる環境下で使用される。そのため、内燃機関の内部、産業機器の内部、精密機器の内部、あるいは機械機器の内部で使用される潤滑油は、通常、紫外線が届かない暗所で使用されることとなるため、光触媒機能を期待して、アナターゼ型の二酸化チタンを含む潤滑油添加剤をこのような潤滑油に添加することはなかった。
【0017】
本実施形態に係る潤滑油添加剤は、このような太陽光(紫外線)が届かない暗所で使用される潤滑油に混合するための添加剤である。本発明者らは、内燃機関の内部、産業機器の内部、精密機器の内部、または機械機器の内部で使用する潤滑油に対して、本実施形態に係る潤滑油添加剤を添加した場合でも、潤滑油でオイルスラッジが抑制されることを見出した。これは、これら機械の摺動によりプラズマが発生し、発生したプラズマにより、潤滑油添加剤に含まれるアナターゼ型の二酸化チタン粒子が光触媒機能を発揮したため(桜井俊男著「潤滑の物理化学」の151−152ページ 幸書房出版)、あるいは、機械の摩擦により摩擦発光(トリボルミネセンス)という現象が生じることが知られておりこの摩擦発光により光触媒機能が発揮したためと考えられる。そして、二酸化チタン粒子の光触媒機能により、潤滑油の重合反応や酸化反応が抑制され、また、これら重合反応や酸化反応により生成された生成物の分解が行われることで、潤滑油でのオイルスラッジの増加を抑制することが可能になったと考えられる。
【0018】
さらに、潤滑油でのオイルスラッジの増加が抑制されることで、燃費の向上や機械振動の抑制などの効果を奏することができる。すなわち、潤滑油中でオイルスラッジが増加した場合には、オイルスラッジが機械部品間に入り込むことで機械部品間の摩擦力が増大し、燃費が悪化してしまうことが知られている。また、オイルスラッジにより機械部品間の摩擦力が増加することで機械部品間が円滑に摺動せず(機械部品が左右に振れてしまい)、機械振動が発生してしまうことも知られている。これに対して、本実施形態に係る潤滑油添加剤を潤滑油に添加した場合には、オイルスラッジが抑制されるため、オイルスラッジによる機械部品同士の摩擦が抑制され、燃費の向上や機械振動の抑制などの効果も発揮される。さらに、オイルスラッジの分解によりエステルが生成されることが知られており、このエステルが潤滑促進剤として機能することが知られていることから、光触媒機能によるオイルスラッジ由来のエステルの生成により摩擦力低減が促進されることも考えられる。
【0019】
本実施形態に係る二酸化チタン粒子は、平均粒径が1nm〜300nmのナノ粒子、より好ましくは1nm〜100nmのナノ粒子である。このように二酸化チタン粒子をナノ粒子とすることで、潤滑油添加剤を潤滑油に添加した場合に、光触媒機能に加えて、二酸化チタン粒子が金属表面の凹凸部を研磨し、また、二酸化チタン粒子が金属表面の凹凸部に入り込むことで、金属表面(機械表面)を鏡面に近づけることができる。これにより、金属表面の油膜比(油膜厚さ(μm)/平均面粗さ(μm)=Λ(ラムダ値))が大きくなり、機械部品同士の摩擦を抑制することができる。
【0020】
また、本実施形態に係る潤滑油添加剤は粉状であり、潤滑油添加剤の運搬性や品質保持性が良好となっている。使用者は、使用直前に対象潤滑油少量(例えば100ml程度)を別容器に分取し、これに粉状の潤滑油添加剤を必要量添加し、2〜3分撹拌した後、対象潤滑油に混入することで、オイルスラッジの抑制などの機能を発揮させることができる。
【0021】
さらに、本実施形態に係る二酸化チタン粒子には、分散や沈降防止などのためのコーティング処理が施されていない。これは、二酸化チタンの光触媒機能を十分に発揮できるようにするためである。ただし、本実施形態に係る二酸化チタン粒子は、ナノ粒子であるために凝縮性が高く、また潤滑油に比べ、比重が大きいので沈降性が高い。そのため、本実施形態に係る潤滑油添加剤には、二酸化チタン粒子の分散性を向上させるための分散剤と、二酸化チタン粒子の沈降を抑制するための沈降抑制剤とを含ませることができる。
【0022】
潤滑油添加剤に添加される分散剤は、二酸化チタン粒子の表面に吸着することで、二酸化チタン粒子間の凝集を有効に防ぎ、これにより、潤滑油での二酸化チタン粒子の分散性を向上させることができる。このような分散剤は、特に限定されず、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミノ系、アクリル系、スチレン・アクリル系、スチレン・マレイン酸共重合体等の高分子型分散剤や、アルキルスルホン酸系、四級アンモニウム系、高級アルコールアルキレンオキサイド系、多価アルコールエステル系、アルキルポリアミン系等の界面活性剤型分散剤などを使用することができる。
【0023】
また、潤滑油添加剤に添加される沈降抑制剤は、分散剤に梱包された二酸化チタン粒子を、潤滑油中に浮遊、または懸濁状態とすることで、二酸化チタン粒子の沈降を抑制することができる。このような沈降抑制剤も、特に限定されず、アマイド、エタノール、イソプロパノール、酢酸ブチル、アルキルシクロヘキサン、および酸化ポリエチレンなどを使用することができる。
【0024】
次に、本実施形態に係る潤滑油添加剤の使用方法について説明する。本実施形態では、潤滑油中における二酸化チタン粒子が0.005重量%以上かつ0.3重量%未満(重量比で50ppm以上かつ3000ppm未満)となるように、潤滑油添加剤が潤滑油に添加される。これは、潤滑油中の二酸化チタン粒子が0.005重量%(50ppm)未満では、二酸化チタンによる光触媒効果が有効に発揮されず、一方、二酸化チタン粒子が0.3重量%(3000ppm)以上では二酸化チタン粒子による摩耗効果が大きくなりすぎてしまい、却って機械を劣化させてしまう恐れがあるためである。特に、潤滑油中の二酸化チタン粒子の濃度は、0.01〜0.1重量%(重量比で100〜1000ppm)であることが好適であり、さらに好適には0.03〜0.04重量%(重量比で300〜400ppm)であることが望ましい。たとえば、潤滑油添加剤の二酸化チタン粒子の濃度が3重量%である場合、使用者は、密度が0.85の潤滑油1000ml(850g)に0.255gの潤滑油添加剤を加えることで、潤滑油中の二酸化チタン粒子の濃度を0.03重量%(300ppm)とすることができる。
【0025】
(添加剤組成物)
本発明の潤滑油添加剤の別の実施形態は、上述した潤滑油添加剤とオイルとを含む液状の組成物である。このように、潤滑油添加剤を液状の添加剤組成物とすることで、この添加剤組成物を潤滑油に添加した場合に、粉状の潤滑油添加剤と比べて、アナターゼ型の二酸化チタン粒子を潤滑油により効果的に拡散させることができる。添加剤組成物に用いるオイルは、特に限定されないが、添加する潤滑油(たとえばエンジンオイル)に用いられるベースオイルを使用することができる。また、添加剤組成物を添加する前の潤滑油の一部を、添加剤組成物に用いるオイルとすることもできる。なお、添加剤組成物に用いるオイルとしては、40℃における動粘度が5〜100mm/sの鉱油または合成油を使用することが好ましい。このような鉱油としては、たとえば、パラフィン系原油、ナフテン系原油、芳香族系原油などからの潤滑油留分を使用することができる。また、合成油としては、ポリアルファオレフィンなどのポリオレフィン系合成油、ジエステルなどのエステル系合成油、およびアルキルナフタレンなどを使用することができる。本実施形態では、SAE基油分類でG3のオイルを潤滑油添加剤の基油として使用するものとする。
【0026】
本実施形態に係る添加剤組成物は、アナターゼ型の二酸化チタン粒子を0.1〜5重量%含む。本実施形態に係る添加剤組成物も、潤滑油に添加する場合には、上述した粉状の潤滑油添加剤と同様に、潤滑油中における二酸化チタン粒子の濃度が0.005重量%以上かつ0.3重量%未満(重量比で50ppm以上かつ3000ppm未満)となるように、より好適には潤滑油における二酸化チタン粒子の濃度が0.01〜0.1重量%(重量比で100〜1000ppm)となるように、さらに好適には二酸化チタン粒子の濃度が0.03〜0.04重量%(重量比で300〜400ppm)となるように、この添加剤組成物を潤滑油に添加することができる。
【0027】
たとえば、密度が0.85のオイル100ml(85g)を含む容器に、1gの二酸化チタン粒子を添加することで、二酸化チタン粒子の濃度を約1.18重量%とした添加剤組成物を構成することができる。この場合、使用者は、密度が0.85の潤滑油3500ml(2975g)に、当該容器1本分の添加剤組成物(1gの二酸化チタン粒子を含む)を加えることで、潤滑油中のアナターゼ型の二酸化チタン粒子の濃度を約0.03重量%(約300ppm)とすることができる。
【0028】
本実施形態に係る添加剤組成物は、上述した分散剤を1〜5容量%含むことができる。本実施形態に係る二酸化チタン粒子は、1〜300nmのナノ粒子であるため、オイルを含む添加剤組成剤とした場合に凝集が起こり易い。そこで、添加剤組成物に分散剤を添加することで、オイルを含む添加剤組成物中において、さらには、添加剤組成物を添加した潤滑油中において、二酸化チタン粒子の凝集を有効に抑制することができ、二酸化チタン粒子を潤滑油全体に拡散させることができる。その結果、潤滑油中で二酸化チタン粒子の光触媒機能を十分に発揮させることができる。
【0029】
また、本実施形態に係る添加剤組成物は、上述した沈降抑制剤を1〜5容量%含むことができる。通常、二酸化チタン粒子は、比重が比較的高く、沈降し易い性質がある。本実施形態では、沈降抑制剤を潤滑油添加剤に添加することで、オイルを含む添加剤組成物中において、さらには、添加剤組成物を添加した潤滑油中において、二酸化チタン粒子が沈降してしまうことを防止することができる。その結果、使用者が添加剤組成物を潤滑油に添加する場合に添加剤組成物中の二酸化チタン粒子を比較的均等な濃度で潤滑油に添加することができ、また、潤滑油中において二酸化チタン粒子を比較的均等に分散させることができ、二酸化チタン粒子の光触媒機能をより効果的に発揮させることができる。
【0030】
(潤滑油)
本実施形態に係る潤滑油は、上述した潤滑油添加剤(上述した添加剤組成物も含む)が混合された潤滑油である。潤滑油添加剤を混合する前の潤滑油は、特に限定されず、たとえば一般に販売、利用されている潤滑油を使用することができる。本実施形態では、潤滑油中の二酸化チタン粒子の濃度が0.005重量%以上かつ0.3重量%未満(重量比で50ppm以上かつ3000ppm未満)となるように、より好適には潤滑油中の二酸化チタン粒子の濃度が0.01〜0.1重量%(重量比で100〜1000ppm)となるように、さらに好適には潤滑油中の二酸化チタン粒子の濃度が0.03〜0.04重量%(重量比で300〜400ppm)となるように、潤滑油添加剤が潤滑油に混合されている。そして、このように潤滑油添加剤を混合した潤滑油を、内燃機関、産業機器、精密機器、機械機器などに充填して用いることができる。
【0031】
(グリース組成物)
本実施形態に係るグリース組成物は、上述した潤滑油を混合したグリース組成物である。当該グリース組成物のうち潤滑油以外の成分は、特に限定されず、一般的に用いられている成分を使用することができる。本実施形態に係るグリース組成物は、アナターゼ型の二酸化チタン粒子を含有する潤滑油を含むため、産業機器、精密機器および機械機器などに適用する場合に、これら機器で生じたプラズマや摩擦発光による光触媒機能により、エステルを生成して摩擦係数を低減することができることに加えて、グリース組成物中の潤滑油の酸化を抑制することができる。これにより、上述したオイルスラッジ抑制機能に加えて、グリース組成物が潤滑油を保持する性能をより長い期間維持することができるなど、グリース組成物の長寿命化を図ることができる。
【0032】
次に、本実施形態に係る潤滑油添加剤、潤滑油、およびグリース組成物を用いた実施例について説明する。なお、以下において、「潤滑油添加剤、潤滑油、およびグリース組成物」は、特に記載がない限り、上述したように、平均粒径が1nm〜300nmで、アナターゼ型のみから構成され、コーティング処理が施されていない二酸化チタン粒子を含む。
【実施例1】
【0033】
(摩耗試験)
本実施形態に係る潤滑油添加剤を、二酸化チタン粒子が0.3重量%(重量比で3000ppm)となるように添加した潤滑油(以下、添加潤滑油Aともいう。)と、二酸化チタン粒子が0.03重量%(重量比で300ppm)となるように添加した潤滑油(以下、添加潤滑油Bともいう。)と、本実施形態に係る潤滑油添加剤を添加しない潤滑油(以下、無添加潤滑油ともいう。)とを用いて摩擦係数μを測定した実施例について説明する。具体的には、Pin−VeeBlockの高速FALEX試験機を用いて、下記の表1に示す条件にて60分間の摩耗試験を実施し、摩擦係数μを測定した。なお、潤滑油は、SAE粘度グレードが0W−20のエンジンオイルを用いた。なお、本実施例では、平均粒径が30nmとなるように二酸化チタン粒子を生成しているが、二酸化チタン粒子の生成方法上、二酸化チタン粒子の粒径は約30nmをピークにばらつきが生じている(以下の実施例でも同様)。なお、二酸化チタン粒子を0.03重量%となるように添加した添加潤滑油Bは、本実施形態に係る潤滑油添加剤を上述した使用方法にて混合した潤滑油となる。
【表1】
【0034】
(摩擦係数)
図1は、添加潤滑油A,Bおよび無添加潤滑油を用いた摩耗試験における摩擦係数μの変化を示す図であり、図2は、図1に示す摩耗試験の結果のうち開始10分後までの摩擦係数μの変化を示す図であり、図3は、図1に示す摩耗試験の結果のうち終了10分前からの摩擦係数μの変化を示す図である。
【0035】
まず、開始10分までのそれぞれの潤滑油での摩擦係数μについて説明する。図1,2に示すように、無添加潤滑油と二酸化チタン粒子を0.3重量%含む添加潤滑油Aとを比べた場合、添加潤滑油Aを用いた場合では無添加潤滑油を用いた場合と比べて開始10分までの摩擦係数μが小さくなった。同様に、無添加潤滑油と二酸化チタン粒子を0.03重量%含む添加潤滑油Bとを比べた場合、添加潤滑油Bを用いた場合では無添加潤滑油を用いた場合と比べて開始10分までの摩擦係数μが小さくなった。また、二酸化チタン粒子を0.3重量%含む添加潤滑油Aと二酸化チタン粒子を0.03重量%含む添加潤滑油Bと比べた場合、添加潤滑油Aを用いた場合では添加潤滑油Bを用いた場合と比べて開始10分までの摩擦係数μが小さくなった。これは、潤滑油に二酸化チタン粒子を添加した直後は、二酸化チタン粒子により金属表面の摩耗が促進されて摩擦面の面粗さが改善され、その結果、金属表面の油膜がより厚く形成され摩擦係数μが低下したためと考えられる。
【0036】
次に、終了10分前から(開始50分から60分まで)のそれぞれの潤滑油の摩擦係数μについて説明する。図1,3に示すように、無添加潤滑油と二酸化チタン粒子を0.3重量%含む添加潤滑油Aとを比べた場合、添加潤滑油Aを用いた場合では無添加潤滑油を用いた場合と比べて終了10分までの摩擦係数μは高くなった。一方、無添加潤滑油と二酸化チタン粒子を0.03重量%含む添加潤滑油Bとを比べた場合、添加潤滑油Bを用いた場合では無添加潤滑油を用いた場合と比べて終了10分前からの摩擦係数μが小さくなった。これは、二酸化チタン粒子の濃度が0.03重量%である添加潤滑油Bでは、潤滑油に二酸化チタン粒子を添加してから一定時間が経過すると、アナターゼ型の二酸化チタン粒子の光触媒機能が発揮され、オイルスラッジが抑制されることで、オイルスラッジによる摩擦力の増加が抑制され、その結果、無添加潤滑油と比べて摩擦係数μが低下したためと考えられる。このように添加潤滑油Bにおいて二酸化チタン粒子の光触媒機能が発揮したことは、後述する実施例2および実施例3からも裏付けることができる。なお、二酸化チタン粒子が0.3重量%である添加潤滑油Aでは、潤滑油中に二酸化チタン粒子を過剰に含むため、潤滑油に二酸化チタン粒子を添加してから一定時間が経過すると、二酸化チタン粒子の多くが摩擦面に入り込んで摩擦力が増加してしまい、無添加潤滑油よりも摩擦係数μが高くなったと考えられる。
【0037】
(油温)
次に、図4および図5を参照して、添加潤滑油A,Bおよび無添加潤滑油の摩耗試験における油温の変化について説明する。図4は、添加潤滑油A,Bおよび無添加潤滑油の摩耗試験における油温の変化を示す図であり、図5は、図4に示す油温の変化のうち終了10分前からの油温の変化を示す図である。
【0038】
図4および図5に示すように、添加潤滑油A,Bおよび無添加潤滑油ではともに摩耗試験の開始とともに油温が上昇している。そして、試験開始後20〜30分ごろから油温が上昇しなくなる。無添加潤滑油および二酸化チタン粒子を0.3重量%含む添加潤滑油Aでは、試験開始後40分経過後も油温はほぼ一定のままだが、二酸化チタン粒子を0.03重量%含む添加潤滑油Bにおいては、試験開始後40分ごろから油温が低下し、図5に示すように、試験開始後60分後には、無添加潤滑油と比べて20℃程度低くなった。
【0039】
このように二酸化チタン粒子を0.03重量%含む添加潤滑油Bでは、無添加潤滑油と比べて、特に試験開始から一定時間を経過した後に、油温の上昇を抑制することができる。これにより、本実施形態に係る潤滑油添加剤を添加した潤滑油では、油温の上昇による潤滑油の酸化反応や重合反応を抑制することができ、酸化反応や重合反応によるオイルスラッジの生成を抑制することができ、潤滑油の長寿命化を図ることができる。また、油温が上昇してしまうと潤滑油の粘度が低下してしまい、その結果、油膜の厚みが小さくなり摩擦力が上昇してしまう傾向にあることが知られている。本実施形態に係る潤滑油添加剤を添加した潤滑油では油温の上昇を抑制することができるため、このような油膜が薄くなることによる摩擦力の増加も抑制することができる。このことは、上述した図1図3に示す摩擦係数μの変化からも確認することができる。
【0040】
(摩耗損失重量)
次いで、図6を参照して、添加潤滑油A,Bおよび無添加潤滑油と金属の摩耗損失重量との関係について説明する。図6(A)は、図1に示す摩耗試験における摩耗損失重量を示す表であり、(B)は(A)に示す摩耗損失重量を棒グラフにした図である。本実施例の摩耗試験では、Pinと呼ばれる円柱形状の金属(SUJ−2)をVeeBlockと呼ばれる金属(SCM421)で挟み、その状態でPinを回転させて、PinおよびVee Blockのそれぞれの摩耗損失重量(mg)を検出した。本実施例では、無添加潤滑油を用いた場合にPinが0.7mg、VeeBlockが0.2mg損失した。また、二酸化チタン粒子を0.3重量%含む添加潤滑油Aを用いた場合にPinが0.4mg、Vee Blockが0.1mg損失し、二酸化チタン粒子を0.03重量%含む添加潤滑油Bを用いた場合にPinが0.4mg、VeeBlockが0.4mg損失した。
【0041】
ここで、本実施例の摩耗試験では、上記表1に記載しているとおり、使用したPinの硬度(HRC)は60であり、VeeBlockの硬度(HRC)は45であり、Pinの方がVee Blockよりも硬度が高い。図6を参照すると、無添加潤滑油および二酸化チタン粒子を0.3重量%含む添加潤滑油Aでは、Pinの方がVeeBlockと比べて約4倍摩耗していることがわかる。これに対して、二酸化チタン粒子を0.03重量%含む添加潤滑油Bでは、PinとVee Blockとが同程度摩耗していることがわかる。さらに、二酸化チタン粒子を0.03重量%含む添加潤滑油Bでは、無添加潤滑油と比べて、Pinの摩耗量が0.7から0.4に低下したことがわかる。これらのことから、二酸化チタン粒子を0.03重量%含む添加潤滑油Bでは、金属同士の摩耗において硬度がより高い方の金属の摩耗を抑制する効果があると考えられる。このような効果は、たとえば下記のような効果に繋がるものと考えられる。
【0042】
たとえば、エンジンバルブでは、略楕円形のカムノーズが回転運動してシムを押し出すことで、シムに連接されているバルブが開き、燃焼室内にガソリンの混合気体を導入することができる。このように、エンジンバルブでは、カムノーズがシムと当接しながら回転する機構であるため、カムノーズとシムとの間に摩耗が生じる。そして、カムノーズが摩耗してしまうとシムを充分に押し出すことができず、エンジンバルブを充分に開けることができなくなってしまう。本実施形態に係る潤滑油添加剤を添加した潤滑油では、金属同士の摩耗において硬度のより高い方の金属の摩耗を抑制することができるため、硬度がより高いカムノーズの摩耗を抑制することができ、カムノーズの長寿命化を図ることができる。
【実施例2】
【0043】
(赤外分光分析)
本実施形態に係る潤滑油添加剤を潤滑油に添加した場合に、潤滑油において二酸化チタン粒子の光触媒機能が発揮されることを裏付けるために、本発明者は、本実施形態に係る潤滑油添加剤を添加した潤滑油の赤外分光分析(以下、FT−IR分析ともいう。)を行った。本実施例では、本実施形態に係る潤滑油添加剤を添加する前の無添加潤滑油と、本実施形態に係る潤滑油添加剤を二酸化チタン粒子が0.03重量%となるように添加し500kmを走行した後の添加潤滑油Bとを、KBrのCellを用いて、膜厚0.1にて、液膜法により、FT−IR分析を行った。また、オイルスラッジが分解されるとエステルが生成されることが知られているため、本発明者は、アナターゼ型の二酸化チタン粒子を0.03重量%含む添加潤滑油Bと、アナターゼ型の二酸化チタン粒子を含まない無添加潤滑油とを用いてFT−IR分析を行い、エステル(C=O)が吸収する1730cm−1の波長の吸光度(透過率)を検出した。以下の表2にFT−IR分析の結果(検出した1730cm−1の波長の吸光度)を示す。
【表2】
【0044】
上記表2に示すように、アナターゼ型の二酸化チタン粒子を0.03重量%含む添加潤滑油Bの方が、無添加潤滑油よりも、1730cm−1の波長の吸光度が高くなった。これは、アナターゼ型の二酸化チタン粒子を0.03重量%含む添加潤滑油Bでは、無添加潤滑油と比べて、アナターゼ型の二酸化チタン粒子の光触媒機能によりオイルスラッジの分解が促進され、エステル(C=0)が生成されたためと考えられる。なお、上述したように、本実施例では、実施例1に示す摩耗試験を行った後の添加潤滑油B、すなわち、摩耗試験を60分間行った後の添加潤滑油Bおよび無添加潤滑油を用いてFT−IR分析を行ったが、摩耗試験を60分間よりも長い時間行った場合には、その分、オイルスラッジが発生し光触媒により分解されるため、添加潤滑油Bにおけるエステル(C=O)はより検出されるものと考えられる。
【実施例3】
【0045】
さらに、本発明者は、以下の調査から、本実施形態に係る潤滑油添加剤を添加した潤滑油において二酸化チタン粒子の光触媒機能が発揮することを発見した。すなわち、本実施形態に係る潤滑油添加剤を添加しないエンジンオイルでレース用バイクを走行させた場合に、レース走行後に、エンジンオイル内にガソリンが混入していることが発見された。調査の結果、ガソリン混入を防止するピストンリングがオイルスラッジにより固着したことが原因でシリンダーとピストンとの隙間からガソリンが漏れたためであることが分かった。そこで、本発明者らはエンジンオイルに本実施形態に係る潤滑油添加剤を添加して同様にレース用バイクを走行させたところ、オイルスラッジが抑制され、結果、ガソリンがエンジンオイルに混入することを防げることを発見した。このようなオイルスラッジの抑制は、単に二酸化チタン粒子による摩擦係数μの低下だけでは説明することができず、アナターゼ型の二酸化チタン粒子により光触媒機能が発揮されたことを裏付けるものである。
【実施例4】
【0046】
(走行試験)
次に、図7を参照して、本実施形態に係る潤滑油添加剤を添加したエンジンオイル(以下、添加エンジンオイルともいう)と、本実施形態に係る潤滑油添加剤を添加しないエンジンオイル(以下、無添加エンジンオイルともいう)とを用いた走行試験について説明する。図7は、添加エンジンオイルと、無添加エンジンオイルとを用いた走行試験の結果を示す図である。
【0047】
本実施例では、本実施形態に係る潤滑油添加剤を、二酸化チタン粒子が0.03重量%(重量比で300ppm)となるように添加した添加エンジンオイルと、本実施形態に係る潤滑油添加剤を添加しない無添加エンジンオイルとを同一の車両にそれぞれ充填し、それぞれのエンジンオイルで同じ区間(高速道路の同一の約100Kmの区間)を2回ずつ走行し、添加エンジンオイルでの平均燃費(添加エンジンオイルで走行した各走行時間における燃費の走行2回分の平均)と、無添加エンジンオイルでの平均燃費(無添加エンジンオイルで走行した各走行時間における燃費の走行2回での平均)とを算出した。
【0048】
図7(A)に、添加エンジンオイルでの平均燃費および無添加エンジンオイルでの平均燃費を示す。図7(A)に示すように、添加エンジンオイルでは、無添加エンジンオイルと比べて、燃費が良いことがわかる。これは、添加エンジンオイルでは、アナターゼ型の二酸化チタン粒子によりオイルスラッジが抑制され、オイルスラッジによる摩擦力の増加が抑制されることで、燃費が向上したためと考えられる。具体的には、図7(B)に示すように、車両の走行中5〜10%程度の燃費の向上が確認された。
【実施例5】
【0049】
(振動試験)
次に、図8および図9を参照して、添加エンジンオイルと無添加エンジンオイルを用いた振動試験について説明する。図8は、添加エンジンオイルと無添加エンジンオイルを用いた振動試験の車体横方向の振動の検出結果を示す図であり、図9は、添加エンジンオイルと無添加エンジンオイルを用いた振動試験の車体前後方向の振動の検出結果を示す図である。
【0050】
本実施例では、本実施形態に係る潤滑油添加剤を、二酸化チタン粒子が0.03重量%(重量比で300ppm)となるように添加した添加エンジンオイルと、本実施形態に係る潤滑油添加剤を添加しない無添加エンジンオイルとを同一の車両にそれぞれ充填した。そして、エンジンカバーに振動計を設置し、車両を停車させたままエンジンを稼動させることで、それぞれのエンジンオイルでの車体横方向の振動(横加速度)および車体前後方向の振動(縦加速度)を測定した。
【0051】
図8(A)に、無添加エンジンオイルでの車体横方向の振動(横加速度)の検出結果を示し、図8(B)には、添加エンジンオイルでの車体横方向の振動(横加速度)の検出結果を示す。図8(A),(B)に示すように、車体横方向の振動(横加速度)は、無添加エンジンオイルと比べて、添加エンジンオイルにおいて大幅に振動が抑制された。車体横方向の振動(横加速度)は、エンジンピストンのヘッド振れによる振動であると考えられ、エンジンオイルに本実施形態に係る潤滑油添加剤を添加することで、ピストンリングとシリンダーとの摩擦力低減やスティックスリップ現象を抑制し、機械振動を抑制することができたと考えられる。
【0052】
また、図9(A)に、無添加エンジンオイルでの車体前後方向の振動(縦加速度)の検出結果を示し、図9(B)には、添加エンジンオイルでの車体前後方向の振動(縦加速度)の検出結果を示す。図9(A),(B)に示すように、車体前後方向の振動(縦加速度)では、無添加エンジンオイルの場合の振動の周期がT1であるのに対して、添加エンジンオイルの場合の振動の周期がT1よりも長いT2となった。これば、エンジンオイルに本実施形態に係る潤滑油添加剤を添加することで、振動(振幅の変化)が緩やかとなり、機械振動が抑制されたためと考えられる。なお、図9(B)においては、T1とT2とを比べやすくするために、T1の周期を破線で示している。
【実施例6】
【0053】
(アナターゼ型とルチル型との対比走行試験)
次に、(1)エンジンオイルのみ(二酸化チタン粒子を無添加)、(2)二酸化チタン粒子をアナターゼ型のみで構成した潤滑油添加剤を添加したエンジンオイル(アナターゼ型100%)、(3)二酸化チタン粒子を、アナターゼ型を90%、ルチル型を10%で混合した潤滑油添加剤を添加したエンジンオイル(アナターゼ型90%)、(4)二酸化チタン粒子を、アナターゼ型を80%、ルチル型を20%で混合した潤滑油添加剤を添加したエンジンオイル(アナターゼ型80%)、(5)二酸化チタン粒子を、アナターゼ型を70%、ルチル型を30%で混合した潤滑油添加剤を添加したエンジンオイル(アナターゼ型70%)、をそれぞれ用意し、各エンジンオイルを用いて走行試験を行った。なお、測定条件として、車種三菱コルト(型式DBA−Z21A)により、高速道路23.4Kmを時速80Km固定で走行し、テクトム社燃費マネージャー(FCM−NX1)を自動車のOBD(On-board diagnostics)に取り付けて計測した。下記表3に、各走行試験の結果を示す。なお、上述した試験においては、エンジンオイル中に二酸化チタン粒子が0.03%となるように添加している。
【0054】
【表3】
【0055】
上記表3に示すように、(1)エンジンオイルのみ(無添加)で走行試験を行った比較例と比べて、(2)〜(5)の本実施形態に係る二酸化チタン粒子を含む潤滑油添加剤を添加した場合には、平均燃費が高くなることが分かった。また、本実施形態に係る二酸化チタン粒子を含む潤滑油添加剤を添加した場合においても、(2)二酸化チタン粒子をアナターゼ型のみで構成した場合には、(3)〜(5)のルチル型を混合する場合と比べて、平均燃費が高くなることが分かった。さらに、二酸化チタン粒子のうちアナターゼ型の割合が高いほど平均燃費が高くなることが分かった。特に、二酸化チタン粒子のうちアナターゼ型を80%以上含む場合には、エンジンオイルだけ(二酸化チタン粒子を無添加)の場合と比べて、1%以上の燃費の向上が図れることが分かった。
【0056】
このように、二酸化チタン粒子のうちアナターゼ型の割合が高いほど平均燃費が高くなるのは、アナターゼ型の二酸化チタン粒子が光触媒機能を発揮するため、オイルスラッジを分解し、またオイルスラッジの分解によりエステルが生じることで、摩擦係数が低下することができるためと考えられる。また、エンジンオイルにアナターゼ型の二酸化チタン粒子を添加することで、オイルスラッジが分解され、その結果、ピストンおよびピストンリングと、シリンダーとの隙間を密封する密封性が向上する。これにより、燃焼ガスの抜けをより有効に防止することができる、燃焼室の圧縮率を向上することがきる。そのため、当該走行試験において、アナターゼ型の割合が高い場合にはアクセルが軽くなり加速が良くなり、アナターゼ型の割合が低くなりルチル型の割合が高くなるほどアクセルが重く加速が悪くなった。
【0057】
また、発明者は、以下のように、(1)エンジンオイルのみ(二酸化チタン粒子を無添加)、(2)二酸化チタン粒子をルチル型のみで構成した潤滑油添加を添加したエンジンオイル(アナターゼ型0%)、(3)二酸化チタン粒子を、アナターゼ型を50%、ルチル型を50%で混合した潤滑油添加を添加したエンジンオイル(アナターゼ型50%)を用意し、各オイルエンジンを用いて走行試験を行った。下記表4に、各走行試験の結果を示す。なお、測定条件は、車種トヨタヴィッツ(型式DBA−NSP130)により、一般道路(山道)25.1Kmを時速50Km固定で走行し、テクトム社燃費マネージャー(FCM−NX1)を自動車のOBD(On-board diagnostics)に取り付けて計測した。
【0058】
【表4】
【0059】
上記表4に示すように、(1)エンジンオイルのみ(無添加)で走行試験を行った場合と比べて、(2)二酸化チタン粒子をルチル型のみで構成した潤滑油添加を添加したエンジンオイルを用いて走行した場合(アナターゼ型0%)には、平均燃費が悪くなった。また、本走行試験では、アップダウンのある道路(山道)を走行しており、(2)二酸化チタン粒子をルチル型のみで構成した潤滑油添加を添加したエンジンオイルを用いた場合には、特に上り坂において、アクセルが重く速度が出なかった。一方、(3)二酸化チタン粒子を、アナターゼ型を50%、ルチル型を50%で混合した潤滑油添加を添加したエンジンオイルを用いた場合には、(2)二酸化チタン粒子をルチル型のみで構成した潤滑油添加を添加したエンジンオイルを用いた場合と比べて、平均燃費が高くなることが分かった。
【実施例7】
【0060】
(グリース組成物の耐摩耗試験)
また、(1)従来の市販グリース組成物(HD−2)、(2)本実施形態に係る二酸化チタン粒子を0.03%添加したグリース組成物(HD−2+0.03%TiO)、(3)本実施形態に係る二酸化チタン粒子を0.3%添加したグリース組成物(HD−2+0.3%TiO)を用いて、高速四球耐摩耗試験を行った。なお、試験条件は、試験法ASTM−D 2596に準拠し、試験法準拠(SUJ−2軸受鋼)の材質を用い、回転数1200rpm、荷重392N、温度75℃、試験時間60分で耐摩耗試験を行った。また、耐摩耗試験においては、グリースとして商品名HD−2を用いた。図10に、本実施例の試験結果を示す。
【0061】
図10に示すように、本実施形態に係る二酸化チタン粒子を添加したグリース組成物では、従来のグリース組成物と比べて、摩擦係数を低減することが分かった。特に、グリース組成物中の二酸化チタン粒子の濃度が0.03%である場合には、濃度が0.3%である場合と比べて、摩擦係数をより低減することができることが分かった。このように、グリース組成物で摩擦係数を低下することができるため、摩擦熱も抑制することができ、その結果、実機(たとえば自動車のホイールベアリング)での温度上昇の抑制や、オイルスラッジを抑制することができる。
【0062】
以上のように、本実施形態に係る潤滑油添加剤は、太陽光(紫外線)が届かない内燃機関の内部、産業機器の内部、精密機器の内部、または機械機器の内部で使用する潤滑油に添加される添加剤であり、光触媒機能を有する二酸化チタン粒子を有効成分とする。そして、本実施形態に係る潤滑油添加剤を潤滑油に添加することで、太陽光(紫外線)が届かない内燃機関の内部、産業機器の内部、精密機器の内部、または機械機器の内部であっても、二酸化チタン粒子の光触媒機能によりオイルスラッジを抑制することができる。また、オイルスラッジを抑制することで、オイルスラッジによる摩擦係数μの増加が抑制され、また、燃費の向上や機械振動の抑制などの効果を発揮することができる。
【0063】
また、本実施形態に係る二酸化チタン粒子は、分散や沈降防止などのためのコーティング処理が施されていないため、二酸化チタン粒子の光触媒機能を十分に発揮することができる。さらに、本実施形態に係る二酸化チタン粒子は、平均粒径が1nm〜300nmのナノ粒子、より好ましくはが1nm〜100nmのナノ粒子であるため、潤滑油添加剤を潤滑油に添加した場合に、光触媒機能に加えて、金属表面の凹凸部を研磨し、また、金属表面の凹凸部に入り込むことで、金属表面を鏡面に近づけることができる。
【0064】
さらに、本実施形態では、潤滑油中の二酸化チタン粒子の濃度が0.005重量%以上かつ0.3重量%未満(重量比で50ppm以上かつ3000ppm未満)、より好適には潤滑油中の二酸化チタン粒子の濃度が0.01〜0.1重量%(重量比で100〜1000ppm)、さらに好適には潤滑油中の二酸化チタン粒子の濃度が0.03〜0.04重量%(重量比で300〜400ppm)となるように、潤滑油添加剤が潤滑油に混合される。これにより、二酸化チタン粒子が光触媒機能を有効に発揮することができるとともに、過剰な二酸化チタン粒子による弊害も抑制することができる。
【0065】
続いて、本実施形態に係る燃料油添加剤について説明する。本実施形態に係る燃料油添加剤は、たとえば、ガソリンなどの燃料油に添加して使用することができる。また、本実施形態に係る燃料油添加剤は、ガソリンの他に、灯油、軽油、および重油などの燃料油に適用することもできる。そして、本実施形態に係る燃料油添加剤を添加した燃料油は、たとえば、車両、船舶、飛行機、暖房器具、火力発電所などに使用することができる。
【0066】
(燃料油添加剤)
本実施形態に係る燃料油添加剤は、光触媒機能を有する二酸化チタン粒子を含む。このような二酸化チタン粒子としては、アナターゼ型の結晶構造を有する二酸化チタン粒子を用いることができる。上述したように、アナターゼ型の二酸化チタン粒子は紫外線により光触媒機能を発揮することが知られているが、ガソリン(燃料油)が循環する内燃機関内においては、太陽光(紫外線)が届かない暗所であるため、紫外線による光触媒機能は発揮されない。しかしながら、本発明者らは、内燃機関で燃焼されるガソリン(燃料油)に本実施形態に係る燃料油添加剤を添加した場合に、燃費が向上することを見出した。また、本発明者は、燃料油に本実施形態に係る燃料油添加剤を添加した場合に、ガソリン(燃料油)の燃焼効率が増加し、排出ガス中の酸性ガス、たとえば一酸化炭素(CO)、メタンガス(CH)、窒素酸化物(NO)などの排出量が低減されることを見出した。これは、燃焼室での燃焼(爆発)により生じた火炎(光)により、燃料油添加剤に含まれるアナターゼ型の二酸化チタン粒子が光触媒として機能し、ガソリン(燃料油)のオイルスラッジを抑制、分解することで、燃費が向上したものと考えられる。特に、燃焼室内で二酸化チタンが光触媒として働くことで、燃料油の重合反応を抑制しオイルスラッジを抑制するとともに、光触媒で発生したイオンがオイルスラッジを分解する。また、二酸化チタンの働きによって、燃料油を低分子化することができ、燃料油の燃焼を促進することができる。これにより、燃料油の完全燃焼を促進することができ、不完全燃焼により生じる酸性ガスの排出を抑制することができるとともに、燃費を向上することができたものと考える。
【0067】
本実施形態に係る二酸化チタン粒子は、平均粒径が1nm〜300nmのナノ粒子、より好ましくは1nm〜100nmのナノ粒子である。このように二酸化チタン粒子をナノ粒子とすることで、燃料油添加剤を燃料油に添加した場合に、光触媒機能に加えて、二酸化チタン粒子が金属表面の凹凸部を研磨し、また、二酸化チタン粒子が金属表面の凹凸部に入り込むことで、金属表面(機械表面)を鏡面に近づけることができる。これにより、金属表面の油膜比(油膜厚さ(μm)/平均面粗さ(μm)=Λ(ラムダ値))が大きくなり、機械部品同士の摩擦を抑制することもできる。
【0068】
本実施形態に係る燃料油添加剤は粉状であり、運搬性や品質保持性が良好となっている。使用者は、使用直前に、たとえば、いわゆる水抜き剤や洗浄剤などの、本実施形態に係る燃料油添加剤とは別の液体状の燃料油添加剤に、本実施形態に係る粉状の燃料油添加剤を必要量添加し、2〜3分撹拌した後、対象のガソリンに混入させることで、内燃機関においてオイルスラッジの抑制などの機能を発揮させることができる。
【0069】
本実施形態に係る二酸化チタン粒子には、分散や沈降防止などのためのコーティング処理は施されていない。これは、二酸化チタンの光触媒機能を十分に発揮できるようにするためである。ここで、本実施形態に係る燃料油添加剤は内燃機関内に添加されるためピストンやエンジンシャフトの動作によりある程度撹拌され分散されることとなる。ただし、本実施形態に係る二酸化チタン粒子は、上述した潤滑油添加剤と同様に、ナノ粒子であるために凝縮性が高く、また燃料油に比べ、比重が大きいので沈降性が高い。そのため、本実施形態に係る燃料油添加剤には、二酸化チタン粒子の分散性を向上させるための分散剤と、二酸化チタン粒子の沈降を抑制するための沈降抑制剤とを含ませることができる。
【0070】
燃料油添加剤に添加される分散剤は、上述した潤滑油添加剤と同様に、二酸化チタン粒子の表面に吸着することで、二酸化チタン粒子間の凝集を有効に防ぎ、これにより、燃料油での二酸化チタン粒子の分散性を向上させることができる。このような分散剤は、特に限定されず、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミノ系、アクリル系、スチレン・アクリル系、スチレン・マレイン酸共重合体等の高分子型分散剤や、アルキルスルホン酸系、四級アンモニウム系、高級アルコールアルキレンオキサイド系、多価アルコールエステル系、アルキルポリアミン系等の界面活性剤型分散剤などを使用することができる。
【0071】
また、燃料油添加剤に添加される沈降抑制剤は、上述した潤滑油添加剤と同様に、分散剤に梱包された二酸化チタン粒子を、燃料油中に浮遊、または懸濁状態とすることで、二酸化チタン粒子の沈降を抑制することができる。このような沈降抑制剤も、特に限定されず、アマイド、エタノール、イソプロパノール、酢酸ブチル、アルキルシクロヘキサン、および酸化ポリエチレンなどを使用することができる。
【0072】
さらに、本実施形態に係る燃料油添加剤では、二酸化チタン粒子にコーティング処理を施していないが、沈降抑制効果や分散効果を促進するために、有機チタンなどにより二酸化チタン粒子をコーティングする構成とすることもできる。
【0073】
次に、本実施形態に係る燃料油添加剤の使用方法について説明する。本実施形態では、燃料油における二酸化チタン粒子が0.00001重量%以上かつ0.01重量%未満(重量比で0.1ppm以上かつ100ppm未満)となるように、燃料油添加剤が燃料油に添加される。これは、燃料油中の二酸化チタン粒子が0.00001重量%(0.1ppm)未満では、二酸化チタンによる光触媒効果が有効に発揮されず、一方、二酸化チタン粒子が0.01重量%(100ppm)以上では、沈殿する二酸化チタン粒子の量が増えるため二酸化チタン粒子の量に対して効果が低減してしまい、またコストも高くなるためである。なお、燃料油中の二酸化チタン粒子の濃度は、0.00001〜0.01重量%(重量比で0.1〜100ppm)であることが好適であり、さらに好適には0.0001〜0.005重量%(重量比で1〜50ppm)であることが望ましい。たとえば、燃料油添加剤の二酸化チタン粒子の濃度が3重量%である場合、使用者は、密度が0.75の燃料油45L(33750g)に35gの燃料油添加剤を加えることで、燃料油中の二酸化チタン粒子の濃度を0.0031重量%(31ppm)とすることができる。
【0074】
(添加剤組成物)
本発明の燃料油添加剤の別の実施形態は、上述した二酸化チタンを含む燃料油添加剤と、いわゆる水抜き剤や洗浄剤など本実施形態に係る燃料油添加剤とは別の液体状の燃料油添加剤とを含む組成物である。本実施形態に係る燃料油添加剤を液体状の組成物とすることで、この添加剤組成物を燃料油に添加した場合に、粉状の燃料油添加剤のまま添加する場合と比べて、アナターゼ型の二酸化チタン粒子を燃料油により効果的に拡散させることができる。なお、本実施形態に係る燃料油添加剤とは別の液体状の燃料油添加剤としては、いわゆる水抜き剤や洗浄剤の他、燃料油に添加可能な、堆積物改良剤、アンチノック剤、酸化防止剤、金属付活性剤、防錆剤、腐食防止剤、着色剤、着臭剤、芳香剤、帯電防止剤、低温流動性向上剤、セタン価向上剤、潤滑性向上剤、識別剤、消泡剤、氷結防止剤、煤煙防止剤、助燃剤、スラッジ分散剤などが挙げられる。
【0075】
本実施形態に係る添加剤組成物は、アナターゼ型の二酸化チタン粒子を0.3〜1.4重量%含む。本実施形態に係る添加剤組成物も、燃料油に添加する場合には、上述した粉状の潤滑油添加剤と同様に、燃料油中における二酸化チタン粒子の濃度が0.00001重量%以上かつ0.01重量%未満(重量比で0.1ppm以上かつ100ppm未満)となるように、より好適には燃料油における二酸化チタン粒子の濃度が0.0001〜0.005重量%(重量比で1〜50ppm)となるように、この添加剤組成物を燃料油に添加することができる。
【0076】
たとえば、密度が0.78のイソプロピルアルコールを主成分とする水抜き剤360ml(280.7g)を含む容器に、二酸化チタン粒子1gを含む燃料油添加剤を添加することで、二酸化チタン粒子の濃度を約0.7重量%とした添加剤組成物を構成することができる。この場合、使用者は、密度が0.75の燃料油45L(33750g)に、当該容器1本分の添加剤組成物(1gの二酸化チタン粒子を含む)を加えることで、燃料油中のアナターゼ型の二酸化チタン粒子の濃度を約0.03重量%(約30ppm)とすることができる。
【0077】
本実施形態に係る添加剤組成物は、上述した分散剤を1〜5容量%含むことができる。本実施形態に係る二酸化チタン粒子は、1〜300nmのナノ粒子であるため、添加剤組成剤とした場合に凝集が起こり易い。そこで、添加剤組成物に分散剤を添加することで、添加剤組成物中において、さらには、添加剤組成物を添加した燃料油中において、二酸化チタン粒子の凝集を有効に抑制することができ、二酸化チタン粒子を燃料油全体に拡散させることができる。その結果、燃料油中で二酸化チタン粒子の光触媒機能を十分に発揮させることができる。
【0078】
また、本実施形態に係る添加剤組成物は、上述した沈降抑制剤を1〜5容量%含むことができる。通常、二酸化チタン粒子は、比重が比較的高く、沈降し易い性質がある。本実施形態では、沈降抑制剤を燃料油添加剤に添加することで、添加剤組成物中において、さらには、添加剤組成物を添加した燃料油中において、二酸化チタン粒子が沈降してしまうことを防止することができる。その結果、使用者が添加剤組成物を燃料油に添加する場合に添加剤組成物中の二酸化チタン粒子を比較的均等な濃度で燃料油に添加することができ、また、燃料油中において二酸化チタン粒子を比較的均等に分散させることができ、二酸化チタン粒子の光触媒機能をより効果的に発揮させることができる。
【0079】
(燃料油)
本実施形態に係る燃料油は、上述した燃料油添加剤(上述した添加剤組成物も含む)が混合された燃料油である。燃料油添加剤を混合する前の燃料油は、特に限定されず、たとえば一般に販売、利用されている燃料油を使用することができる。本実施形態では、燃料油中の二酸化チタン粒子の濃度が0.00001重量%以上かつ0.01重量%未満(重量比で0.1ppm以上かつ100ppm未満)となるように、より好適には燃料油中の二酸化チタン粒子の濃度が0.0001〜0.005重量%(重量比で1〜50ppm)となるように、燃料油添加剤が燃料油に混合されている。そして、このように燃料油添加剤を混合した燃料油を、内燃機関に充填して用いることができる。
【0080】
次に、本実施形態に係る燃料油添加剤および燃料油を用いた実施例について説明する。なお、以下において、「燃料油添加剤および燃料油」は、特に記載がない限り、上述したように、平均粒径が1nm〜300nmで、アナターゼ型のみから構成され、コーティング処理が施されていない二酸化チタン粒子を含む。
【実施例8】
【0081】
(燃費試験1)
本実施形態に係る燃料油添加剤をガソリンに添加した場合の燃費を計測した。燃費試験1では、(A)ガソリンのみ、(B)ガソリン45L中の二酸化チタンの濃度が0.003重量%(重量比で30ppm)となるように、ガソリン45Lに、水抜き剤180mlおよび本実施形態に係る燃料油添加剤を添加した、2種類のガソリンを用いて燃費を測定した。なお、測定条件として、車種トヨタポルテ(型式CBA−NNP11)により、高速道路31.8Kmを時速80Km固定で走行し、テクトム社燃費マネージャー(FCM−NX1)を自動車のOBD(On-board diagnostics)に取り付けて計測した。その結果を下記表5に示す。なお、燃費試験1ではA地点からB地点までを往復して走行しており、A地点からB地点までの往路での結果と、B地点で折り返した後A地点に到達するまでの往復での結果とを示している。
【表5】
【0082】
上記表5に示すように、(B)ガソリン45L中の二酸化チタンの濃度を約0.003重量%(重量比で約30ppm)とした場合には、ガソリンだけの場合と比べて、走行距離が16.0Kmである場合には燃費が約10.4%向上し、走行距離が35.2Kmである場合には燃費が約13.0%向上した。なお、走行距離が16.0Kmである場合の燃費が、走行距離が31.8Kmである場合の燃費よりも低いのは、走行経路上、A地点からB地点までの経路における傾斜が上りにある傾向が高かったためである(燃費試験2も同様。)。
【0083】
(燃費試験2)
また、燃費試験2では、(C)ガソリンのみ、(D)ガソリン45Lに水抜き剤360mlのみを添加、(E)ガソリン45L中の二酸化チタンの濃度が0.003重量%(重量比で30ppm)となるように、ガソリン45Lに、水抜き剤360mlおよび本実施形態に係る燃料油添加剤を添加した、3種類のガソリンを用いて燃費を測定した。なお、測定条件として、車種スバルサンバー(型式EBD−S331D)により、高速道路35.2Kmを時速80Km固定で走行し、テクトム社燃費マネージャー(FCM−NX1)を自動車のOBD(On-board diagnostics)に取り付けて計測した。その結果を下記表6に示す。なお、燃費試験1と同様に、燃費試験2ではC地点からD地点までを往復して走行しており、C地点からD地点までの往路での結果と、D地点で折り返した後C地点に到達するまでの往復での結果とを示している。
【表6】
【0084】
上記表6に示すように、(C)ガソリン45L中の二酸化チタンの濃度を0.003重量%(重量比で30ppm)とした場合には、ガソリン45Lに水抜き剤360mlのみを加えた場合と比べて、走行距離が17.7Kmである場合には燃費が約2.8%向上し、走行距離が35.2Kmである場合には燃費が約1.2%向上した。
【0085】
燃費試験1,2から、二酸化チタン粒子を含有する燃料油添加剤を燃料油に添加することで、燃料油の燃費を向上させることができることが分かった。
【実施例9】
【0086】
(アナターゼ型とルチル型との対比走行試験)
(1)アナターゼ型のみで構成した燃料油添加剤を添加したガソリン(アナターゼ型100%)と、(2)アナターゼ型50%と、ルチル型50%とを混合した燃料油添加剤を添加したガソリン(アナターゼ型50%)とを用意して、各ガソリンを用いて走行試験を行った。なお、測定条件として、車種三菱コルト(型式DBA−Z21A)により、高速道路23.4Kmを時速80Km固定で走行し、テクトム社燃費マネージャー(FCM−NX1)を自動車のOBD(On-board diagnostics)に取り付けて計測した。下記表7に、各走行試験の結果を示す。
【表7】
【0087】
上記表7に示すように、(1)アナターゼ型のみで構成した燃料油添加剤を添加したガソリン(アナターゼ型100%)では、(2)アナターゼ型50%と、ルチル型50%とを混合した燃料油添加剤を添加したガソリン(アナターゼ型50)と比べて、平均燃費が高くなることが分かった。これは、アナターゼ型の二酸化チタン粒子が、燃焼室内で光触媒として働くことで、光触媒で発生したイオンがオイルスラッジを分解し、また燃料油を低分子化することができ、燃料油の燃焼を促進することができ、これにより、燃料油の完全燃焼を促進することができ、ヘ金燃費を向上することができたものと考えられる。
【実施例10】
【0088】
(酸性ガスの排出量測定試験)
本実施形態に係る燃料油添加剤をガソリンに添加した場合のガス排出量について試験した。具体的には、(A)ガソリンのみ、(B)ガソリン30Lに水抜き剤360mlのみを添加、(C)ガソリン30L中の二酸化チタンの濃度が0.003重量%(重量比で30ppm)となるように、ガソリン30Lに水抜き剤360mlおよび本実施形態に係る燃料油添加剤を添加の、3種類のガソリンを用いて酸性ガスの排出量を測定した。具体的には、車両を2Km走行させた場合の排ガス中のCO量、HC量を、排ガス測定機器(製品:BANZAI MEXA−324)を用いて計測した。下記表8にその結果を示す。
【表8】
【0089】
上記表8に示すように、(C)ガソリン30L中の二酸化チタンの濃度が0.003重量%(重量比で30ppm)となるように、ガソリン30Lに水抜き剤360mlおよび本実施形態に係る燃料油添加剤を添加した場合には、(B)ガソリン30Lに水抜き剤360mlのみを添加した場合と比べて、酸性ガスの排出量を大幅に削減できることが分かった。
【実施例11】
【0090】
(エンジン出力試験)
次いで、本実施形態に係る燃料油添加剤をガソリンに添加した場合のエンジン出力について試験した。具体的には、本実施形態に係る燃料油添加剤を添加していない無添加燃料油と、ガソリン40L中の二酸化チタンの濃度が0.00125重量%(重量比で12.5ppm)となるように、本実施形態に係る燃料油添加剤を添加した添加燃料油について、エンジンのトルクおよび馬力を測定した。図11(A)は、トルクの測定結果を示す図であり、太線が添加燃料油を、細線が無添加燃料油を示す。また、図11(B)は、馬力の測定結果を示す図であり、図11(A)と同様に、太線が添加燃料油を、細線が無添加燃料油を示す。また、図11(A)に示すグラフの縦軸はトルクであり横軸は回転数である。さらに、図11(B)に示すグラフの縦軸は馬力であり横軸は回転数である。なお、本試験において使用したエンジンはチューニングエンジンである。
【0091】
図11(A)に示すように、本実施形態に係る燃料油添加剤を添加した添加燃料油では、本実施形態に係る燃料油添加剤を添加していない無添加燃料油と比べて、エンジンの回転数にかかわらずに、トルクが向上した。たとえば、回転数が4500rpmである場合には、添加燃料油でのトルクは約16.3kgf・mとなり、無添加燃料油のトルクは約15.8kgf・mとなり、添加燃料油の方が無添加燃料油よりも約0.5kgf・m大きくなった。
【0092】
また、図11(B)に示すように、本実施形態に係る燃料油添加剤を添加した添加燃料油では、本実施形態に係る燃料油添加剤を添加していない無添加燃料油と比べて、エンジンの回転数にかかわらずに、馬力が向上した。たとえば、回転数が6800rpm程度である場合には、添加燃料油でのトルクは139.3PSとなり、無添加燃料油のトルクは137.2PSとなり、添加燃料油の方が無添加燃料油よりも約2.1PSも大きくなった。
【0093】
以上のように、本実施形態に係る燃料油添加剤は、二酸化チタン粒子を有効成分とすることで、オイルスラッジを抑制し、その結果、燃費向上や酸性ガスの排出量を低減することができる。特に、本実施形態に係る二酸化チタン粒子は、コーティング処理が施されていないため、二酸化チタン粒子による光触媒機能をより発揮することができる。また、本実施形態では、燃料油に二酸化チタン粒子が0.00001重量%以上かつ0.001重量%未満となるように添加されることで、二酸化チタン粒子による光触媒機能をより効果的に機能させることができ、オイルスラッジを適切に抑制することができる。加えて、二酸化チタン粒子は平均粒径が1nm〜300nmのナノ粒子であるため、二酸化チタン粒子による光触媒機能を有する燃料油添加剤を燃料油に添加した場合に、光触媒機能に加えて、金属表面の凹凸部を研磨し、また、金属表面の凹凸部に入り込むことで、金属表面を鏡面に近づけることができ、摩擦力を低減することもできる。
【0094】
また、本実施形態では、粉状の上記燃料油添加剤を、別の液体状の燃料油添加剤と混合して、液体状の燃料油添加剤とすることで、アナターゼ型の二酸化チタン粒子を燃料油により効果的に拡散させることができる。また、上記燃料油添加剤を添加された燃料油として提供することもできる。
【0095】
さらに、本実施形態に係る燃料油添加剤では、二酸化チタン粒子の働きにより、燃料油を低分子化することができ、燃料油の燃焼を促進する助燃効果も奏する。また、二酸化チタン粒子の光触媒機能により、オイルスラッジを分解、分散するオイルスラッジ分散効果、及び、カーボン、ワニス、ガム質などの分解する洗浄効果も奏することができる。また、燃料油の燃焼を促進することでエンジンのトルクや馬力を向上する効果も奏する。
【0096】
以上、本発明の好ましい実施形態例について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態の記載に限定されるものではない。上記実施形態例には様々な変更・改良を加えることが可能であり、そのような変更または改良を加えた形態のものも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0097】
たとえば、上述した実施形態では、光触媒機能を有する二酸化チタン粒子として、アナターゼ型の二酸化チタン粒子を例示して説明したが、この構成に限定されるものではなく、光触媒機能を有する二酸化チタン粒子として、ルチル型の二酸化チタン粒子を用いる構成としてもよい。
【要約】
【課題】潤滑油中のオイルスラッジを有効に抑制することが可能な潤滑油添加剤、潤滑油、グリース組成物、燃料油添加剤、燃料油およびオイルスラッジ抑制方法を提供する。
【解決手段】光触媒機能を有する二酸化チタン粒子を有効成分とし、前記二酸化チタン粒子はアナターゼ型のみで構成され、潤滑油に添加して使用する、オイルスラッジを抑制するための潤滑油添加剤。
【選択図】図1
図1
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