(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
更に式(1)で表わされるヒンダードアミン構造を有しない樹脂型分散剤(C)を含有することを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
ビニル系樹脂[B1]が、構成単位(b2)の前駆体とエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体との共重合体(i1−1)、不飽和1塩基酸及び、無水コハク酸との反応生成物である樹脂であることを特徴とする請求項2記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本願では、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、又は「(メタ)アクリルアミド」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、又は「アクリルアミド及び/又はメタクリルアミド」を表すものとする。
また、本明細書に挙げる「C.I.」は、カラーインデクッス(C.I.)を意味する。
【0025】
本発明は、着色剤、樹脂型分散剤、バインダー樹脂、および有機溶剤を含有する着色組成物であって、該樹脂型分散剤が一般式(1)で表わされるヒンダードアミン骨格を有し、該バインダー樹脂が、エチレン性不飽和二重結合を導入したビニル系樹脂であって、かつ構成単位(b1)および(b2)を含むビニル系樹脂[B1]であることを特徴とする。
【0026】
本発明の着色組成物は、ヒンダードアミン骨格を有する樹脂型分散剤とエチレン性不飽和二重結合を導入したビニル系樹脂とを含むことで、着色組成物の分散性(低粘度化)と経時での安定性、耐熱性、現像性、解像度に優れた効果を有するものとなる。
【0027】
さらに、本発明の着色組成物は、高いガラス転移温度を持つ樹脂型分散剤と無水コハク酸由来の酸基を含むエチレン性不飽和二重結合を導入したビニル系樹脂とを含むことで、着色組成物の明度と現像性に優れた効果を有するものとなる。
【0028】
<ヒンダードアミン骨格を有する樹脂型分散剤(A)>
本発明の、ヒンダードアミン骨格を有する樹脂型分散剤は一般式(1)で表されるヒンダードアミン構造を有することを特徴とし、一般式(1)で表されるヒンダードアミン構造を有してさえいれば構造に限定は無い。特に、一般式(1)で表されるヒンダードアミン骨格を有するエチレン性不飽和単量体と、必要に応じその他のエチレン性不飽和単量体を重合せしめて得られるビニル系重合体が好適に使用できる。好適なビニル重合体の具体例としては、後述の一般式(6−1)または(6−2)で表されるエチレン性不飽和単量体と、後述の一般式(6−1)または(6−2)と共重合可能なその他エチレン性不飽和単量体との共重合体が挙げられる。
重合方法は、ランダム重合、ブロック重合のいずれを用いても目的の効果を得ることができる。また、共重合相手としてマクロマー(重合可能な官能基を有する高分子量モノマー)を用いて重合したいわゆる櫛形共重合体でも同様の効果を得る事ができる。
【0029】
一般式(1)
【化6】
[式(1)中、R
1は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、アシル基、オキシラジカル基、または、OR
4を表し、R
4は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、または、アシル基を表し、R
2、及び、R
3はそれぞれ独立にメチル基、エチル基、または、フェニル基を示す。「*」は結合手であることを示す。]
【0030】
上記、一般式(1)において、R
1及びR
4の炭素数1〜18のアルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、n―ブチル基、t―ブチル基、n―ヘキシル基、シクロヘキシル基、n―オクチル基、ヘキサデシル基等を挙げることが出来る。
【0031】
また、上記一般式(1)においてR
1及びR
4の炭素数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等を挙げることが出来る。
【0032】
また、上記一般式(1)において、R
1及びR
4の炭素数7〜12のアラルキル基としては、例えば、炭素数6〜10のアリール基に炭素数1〜8のアルキル基が結合した基が挙げられ、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、α―メチルベンジル基、2−フェニルプロパン−2−イル基等を挙げることが出来る。
【0033】
また、一般式(1)において、R
1及びR
4のアシル基としては、炭素数2〜8のアルカノイル基及び、アロイル基が挙げられ、具体的にはアセチル基、ベンゾイル基等を挙げることが出来る。
本発明において、R
1としては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、オキシラジカル基が好ましく、さらに水素原子、メチル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
【0034】
[一般式(1)で表されるヒンダードアミン骨格を有するエチレン性不飽和単量体]
上記、一般式(1)で表される基を有するエチレン性不飽和単量体の具体例としては、
例えば、下記一般式(6−1)で表される化合物、下記一般式(6−2)で表される化合物等を挙げることができる。
【0035】
一般式(6−1)、(6−2)
【化7】
【0036】
[一般式(6−1)及び一般式(6−2)において、R
5及びR
7は相互に水素原子、または、メチル基を示し、R
6は炭素数1〜5のアルキレン基を示し、Xは上記一般式(1)
で表される基を示し、Yは−CONH−*、−SO
2−、−SO
2NH−*を示し(ただし、「*」を付した結合手がXと結合する。)、nは0〜9の整数を示す。]
【0037】
R
6としては、エチレン基、プロピレン基が好ましく、特にエチレン基が好ましい。nは0〜8の整数、特に0〜6の整数が好ましい。
【0038】
上記一般式(6−1)で表される単量体の具体例としては、例えば、下記一般式(7−1)〜(7−7)で表される化合物等を挙げることが出来る。
【0039】
一般式(7−1)〜一般式(7−7)
【化8】
【0040】
(一般式(7−1)〜一般式(7−7)において、R
5は上記一般式(6−1)におけるR
5と同義である。)
【0041】
また、一般式(6−2)で表される単量体の具体例としては、例えば、下記一般式(8−1)〜(8−4)で表される化合物を挙げる事ができる。
【0042】
一般式(8−1)〜一般式(8−4)
【化9】
【0043】
[一般式(8−1)〜一般式(8−4)において、R
7は上記一般式(6−2)におけるR
7と同義である。]
【0044】
これらのうち、2,2,6,6−テトラメチルピペリジルメタクリレート(上記一般式(7−1)において、R
5がメチル基である化合物)、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルメタクリレート(上記一般式(7−2)においてR
5がメチル基である化合物)が好ましく、特に1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルメタクリレート(上記一般式(7−2))が好ましい。
【0045】
[その他のエチレン性不飽和単量体]
その他のエチレン性不飽和単量体としては、ヒンダードアミン骨格を有するエチレン性不飽和単量体と共重合可能な単量体であれば特に限定されず、用途に応じて適宜選択することができ、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルアルコールのエステル類、スチレン類、(メタ)アクリロニトリルなどが挙げられる。
【0046】
このようなモノマーの具体例としては、例えば以下のような化合物が挙げられる。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)、ターシャリブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、及びイソステアリル(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャリブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート類;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、及び3−メチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート等の複素環を有する(メタ)アクリレート類;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートの芳香族環を有する(メタ)アクリレート類;
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノステアリルエーテル(メタ)アクリレート、及びオクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート類;
フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート 、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ
ヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、及びノニルフェノキシポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)(メタ)アクリレー
ト等の芳香族環を有する(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート類;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、及びテトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキル(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリロキシ変性ポリジメチルシロキサン(シリコーンマクロマー)類;
(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、及びアクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類;
(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類等が挙げられる。
スチレン、及びα−メチルスチレン等のスチレン類;
ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサン等の重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー類;
エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、及びイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
酢酸ビニル、及びプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類;等を用いることもできる。
【0047】
更に、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体を併用することもできる。カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、及びω-カルボキシポリカプロラクトン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0048】
以上挙げた、エチレン性不飽和単量体の中から、1種又は2種以上を選択することができ、少なくとも、ベンジル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、及びメトキシエチル(メタ)アクリレートからなる群から選択されるエチレン性不飽和単量体が用いられるのが好ましい。
【0049】
[重合法について]
(ランダム重合)
本願発明の樹脂型分散剤(A)はランダム共重合体であることが特に好ましい。本願発明の樹脂型分散剤(A)が、ランダム共重合体である場合、フリーラジカル重合法を好適に用いることができる。フリーラジカル重合法の場合は、重合開始剤を使用するのが好ましい。重合開始剤としては例えば、アゾ系化合物及び有機過酸化物を用いることができる。アゾ系化合物の例としては、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2'−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、または2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。有機過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、またはジアセチルパーオキシド等が挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で、若しくは2種類以上組み合わせて用いることができる。反応温度は好ましくは40〜150℃、より好ましくは50〜110℃、反応時間は好ましくは3〜30時間、より好ましくは5〜20時間である。
【0050】
上記重合には有機溶剤を用いることが好ましい。有機溶剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、またはジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が用いられる。これらの重合溶媒は、2種類以上混合して用いてもよい。
【0051】
一般式(1)で表される基を有するエチレン性不飽和単量体を用いたランダム重合体である樹脂型分散剤(A)は、顔料分散体の粘度及び粘度安定性の観点から、エチレン性不飽和単量体固形分に対して、一般式(1)で表される基を有するエチレン性不飽和単量体を1重量%〜100重量%含有することが好ましく、さらに25重量%〜100重量%含有することが好ましく、特に40重量%〜100重量%含有することが好ましい。
【0052】
一般式(1)で表される基は酸化防止機能があるため、少量でも含むことでカラーフィルタ材料の酸化を防止し、その結果明度の低下を防止することができる。
【0053】
更に、本発明の一般式(1)で表される基を有するエチレン性不飽和単量体を用いたランダム重合体である樹脂型分散剤(A)は、アミン価が50〜350mgKOH/gであることが好ましい。アミン価が50mgKOH/g未満だと顔料分散体の粘度、及び粘度安定性が悪くなる場合がある。350mgKOH/gを越えると、明度が低下する場合がある。
【0054】
本発明の一般式(1)で表される基を有するエチレン性不飽和単量体を用いたランダム重合体である樹脂型分散剤(A)の数平均分子量は、500〜30,000が好ましい。500未満、又は30,000を越えると、顔料分散体の粘度、及び粘度安定性が悪くなる場合がある。
【0055】
(ブロック重合)
本願発明の樹脂型分散剤(A)が、ブロック共重合体である場合、側鎖に一般式(1)で表わされるヒンダードアミン構造を有するAブロックとヒンダードアミン構造を有さないBブロックとからなる共重合体であればよく、A―Bブロック、B−A−Bブロック、または、A−B−Aが好ましく、A―Bブロック、B−A−Bブロックがさらに好ましく用いることができる。
このようなブロック共重合体は、例えば、以下に示すリビング重合法にて調製される。ここでリビング重合とは、一般的なラジカル重合に起こる副反応が抑制され、さらには重合の成長が均一に起こるため、容易にブロックポリマーや分子量の揃った樹脂を合成する重合方法である。重合時に添加する重合開始剤とビニル系モノマーとの仕込み比によって、重合体の分子量やブロック共重合するモノマーの比率を自由にコントロールでき、ブロックポリマー・グラジエントポリマー・星形ポリマー・くし型ポリマー、さらには、末端官能性ポリマーなどの製造に利用することができる。
【0056】
本発明のブロック共重合体は公知のラジカルリビング重合法によって合成することが出来る。具体例としては、下記に列挙した方法などが開発され、幅広く研究開発が行われている。アミンオキシドラジカルの解離と結合を利用するニトロキサイド法(Nitroxide mediated polymerization :NMP法)(参考文献1参照)。銅やルテニウム、ニッケル、鉄などの重金属、そして、それと錯体を形成するリガンドを使用して、ハロゲン化合物を開始化合物として重合する原子移動ラジカル重合(Atom transfer radical polymerization :ATRP法)(参考文献2、参考文献3、及び、参考文献4参照)。ジチオカルボン酸エステルやザンテート化合物などを開始化合物として、付加重合性モノマーとラジカル開始剤を使用して重合する可逆的付加解裂型連鎖移動重合( Reversible addition- fragmentation chain transfer :RAFT法)(参考文献5参照)や、 Macromolecular Designvia Interchange of Xanthate (MADIX法)(参考文献6参照)。有機テルルや有機ビスマス、有機アンチモン、ハロゲン化アンチモン、有機ゲルマニウム、ハロゲン化ゲルマニウムなどの重金属を用いる方法( Degenerative transfer :DT法)(参考文献7、及び、参考文献8参照)
【0057】
(参考文献1)Chemical Review (2001)101,3661
(参考文献2)特表2000−500516号公報
(参考文献3)特表2000−514479号公報
(参考文献4)Chemical Review (2001)101,3689
(参考文献5)特表2000−515181号公報
(参考文献6)国際公開第1999−05099号パンフレット参照
(参考文献7)特開2007−277533号公報
(参考文献8)Journal of American Chemical Society (2002)124,2874
【0058】
これらラジカルリビング重合のなかでも、有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属を中心金属とする金属錯体を触媒として重合する原子移動ラジカル重合法(ATRP法)は重合体の分子量・分子量分布の制御の観点のみならず、広範囲な単量体に適応出来る点、既存の設備に適応可能な重合温度を採用出来る点で好ましい。
【0059】
原子移動ラジカル重合法では、レドックス重合触媒として、銅、ルテニウム、鉄、ニッケルなどの遷移金属錯体を用いて行われる。遷移金属錯体の具体的な例としては、塩化銅(I)臭化銅(I)などの低原子価のハロゲン化遷移金属が挙げられる。
【0060】
上記遷移金属錯体には有機配位子が使用される。有機配位子は、重合溶剤への可溶性およびレドックス重合触媒の可逆的な変化を可能にするために使用される。遷移金属の配位原子としては、窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子等が挙げられる。
【0061】
原子ラジカル重合法に使用される開始剤としては、公知のものを使用出来るが、主に、反応性の高い炭素ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物、ハロゲン化スルホニル化合物等が用いられる。具体的に例示すると、ブロモイソ酪酸エチル、ブロモ酪酸エチル、クロロイソ酪酸エチル、クロロ酪酸エチル、パラトルエンスルホン酸クロライド、1−ブロモエチルベンゼン、クロロエチルベンゼン等である。これらは単独又は併用で用いる。
【0062】
ブロック共重合体固形分に対する、側鎖に一般式(1)に表されるヒンダードアミン構造を有する部分構造(Aブロック)の含有率は1重量%〜99重量%含有することが好ましく、さらに20重量%〜50重量%含有することが好ましく、特に20重量%〜30重量%含有することが好ましい。Aブロックが20重量%〜30重量%含有することで、残りの70重量%〜80重量%がBブロックを構成する。その為、Bブロックが分散媒である溶剤に親和することにより、顔料を分散媒中に安定に存在させることができる。
【0063】
本発明で用いるブロック共重合体はA−Bブロック共重合体であっても、B−A−Bブロック共重合体であっても、その共重合体を構成するAブロック/Bブロック比(重量比)は通常1/99以上、中でも20/80以上、また通常80/20以下、中でも60/40以下の範囲であることが好ましい。この範囲外では良好な明度と分散性を両立することが出来ない場合がある。
【0064】
また、本発明で用いるA−Bブロック共重合体、B−A−Bブロック共重合体1g中の一般式(1)で表される基の量は、通常0.1〜5mmolであることが好ましく、この範囲外では良好な明度と分散性を両立することが出来ない場合がある。
【0065】
本発明のブロック共重合体は、該アミン価の元となる一般式(1)で表されるヒンダードアミン基の種類にもよるが、アミン価が50〜350mgKOH/gであることが好ましい。アミン価が50mgKOH/g未満だと顔料分散体の粘度、及び粘度安定性が悪くなる場合がある。350mgKOH/gを越えると、明度が低下する場合がある。
【0066】
また、本発明のブロック共重合体の分子量はポリスチレン換算の重量平均で、通常1,000以上、100,000以下の範囲が好ましい。ブロック共重合体の分子量が1,000未満であると分散安定性が低下し、100,000を超えると現像性が低下する傾向がある。
【0067】
ブロック共重合体を構成するAブロックは一般式(1)で表されるヒンダードアミン構造を有し、ヒンダードアミン骨格を有する樹脂型分散剤の説明欄で既に説明したものと同じものを用いることが出来る。
一方、一般式(1)で表される基を含まない部分構造のAブロック、及び、ヒンダードアミン構造を有さないBブロックとしては、共重合可能な単量体を共重合させたポリマー構造であれば特に限定されず、用途に応じて適宜選択することができる。共重合可能な単量体については、ランダム重合体の説明欄で既に説明したものと同じものを用いることが出来る。
【0068】
<ヒンダードアミン構造を有しない樹脂型分散剤(C)>
本発明の着色組成物には、更に、一般式(1)で表されるヒンダードアミン構造を有しない、その他樹脂型分散剤(C)を併用することが好ましい。以下に示す樹脂型分散剤は、添加着色剤に吸着する性質を有する着色剤親和性部位と、着色剤担体と相溶性のある部位とを有し、添加着色剤に吸着して着色剤担体への分散を安定化する働きをするものである。
【0069】
樹脂型分散剤の具体例としては、芳香族カルボキシル基を有する分散剤(D)、リン酸基を有する分散剤、硫酸基もしくはスルホン酸基を有する分散剤、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物等が用いられ、これらは単独または2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0070】
市販のその他樹脂型分散剤(C)としては、ビックケミー・ジャパン社製のDisperbyk−101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、167、168、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2009、2010、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155、2163、2164またはAnti−Terra−U、203、204、またはBYK−P104、P104S、220S、6919、21116、またはLactimon、Lactimon−WSまたはBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE−3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、56000、76500等、BASF社製のEFKA−46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503、等、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
【0071】
樹脂型分散剤(C)は、大きく酸性樹脂型分散剤、塩基性樹脂型分散剤に大別でき、酸性樹脂型分散剤を好ましく用いることができる。中でも、芳香族カルボキシル基を有する分散剤(D)、リン酸基を有する分散剤、硫酸基あるいはスルホン酸基を有する分散剤が好ましく、芳香族カルボキシル基を有する分散剤(D)が最も好ましい。
【0072】
また、樹脂型分散剤(C)は、重合体部位を有することが好ましく、該重合体部位のガラス転移温度(Tg)が、明度と現像性の観点から40〜170℃であることが好ましい。
より好ましくは、重合体部位が、エチレン性不飽和単量体を重合してなるビニル重合体であることが顔料分散体の粘度、保存安定性の面で好ましい。
【0073】
ここで本発明で言う重合体部位のTg(ガラス転移温度)とは、重合する単量体のそれぞれの単独重合体のTgから、下記のFoxの式で算出することができる。
Foxの式
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wn/Tgn
W1からWnは、使用している単量体の重量分率を示し、Tg1からTgnは、単量体の単独重合体のガラス転移温度(単位は絶対温度「K」)を示す。
【0074】
[芳香族カルボキシル基を有する分散剤(D)]
本発明の芳香族カルボキシル基を有する分散剤(D)は、その分子内に芳香族カルボキシル基を有するものである。その製造方法には、例えば、水酸基を有する重合体(E)に芳香族トリカルボン酸無水物(D1)及び/又は芳香族テトラカルボン酸二無水物(D2)を反応させる製造方法1、芳香族カルボキシル基を有する単量体を用いて重合体を作る製造方法2、水酸基を有する単量体を重合しながら芳香族トリカルボン酸無水物(D1)及び/又は芳香族テトラカルボン酸二無水物(D2)を反応させる製造方法3、のいずれかが挙げられる。この中で、顔料分散性の観点から、分散剤(D)中の芳香族カルボキシル基の個数をより制御し易い製造方法1により作られたものが好ましい。
【0075】
すなわち、芳香族カルボキシル基を有する分散剤(C)としては、水酸基を有する重合体(E)と、芳香族トリカルボン酸無水物(D1)及び/又は芳香族テトラカルボン酸二無水物(D2)とを反応させてなる分散剤であることが好ましく、より好ましくは、水酸基を有する重合体(E)が、片末端に水酸基を有する重合体であり、さらに好ましくは、片末端に水酸基を有する重合体(E)が、片末端に2つの水酸基を有する重合体である分散剤を用いることにより安定性に優れたものとすることが出来る。
【0076】
また、片末端に水酸基を有する重合体としては、片末端に水酸基を有するポリエステル及び/又はポリエーテル系重合体、または片末端に水酸基を有するビニル系重合体であることが好ましく、特に好ましくは、分散安定性の点より、片末端に水酸基を有するビニル系重合体を用いた場合である。
【0077】
また、芳香族トリカルボン酸無水物(D1)及び/又は芳香族テトラカルボン酸二無水物(D2)としては、特に芳香族テトラカルボン酸二無水物(D2)が、顔料分散体の保存安定性に優れるために好ましい。
【0078】
このような芳香族カルボキシル基を有する分散剤(D)のなかでも、重合体部位を有しかつ該重合体部位のガラス転移温度(Tg)が、明度と現像性の観点から40〜170℃であることが好ましい。より好ましくは、50〜150℃であり、さらに好ましくは70〜130℃である。40℃未満だと現像性は向上するが明度が低くなり、170℃を越えると、現像性が悪くなる場合がある。
【0079】
本発明の芳香族カルボキシル基を有する分散剤(D)は、数平均分子量が500〜30,000であることが好ましい。500未満、30,000を越えると、顔料分散体の粘度、及び粘度安定性が悪くなる場合がある。
又、本発明の芳香族カルボキシル基を有する分散剤(D)は、酸価が10〜200mgKOH/gであることが好ましい。
【0080】
芳香族カルボキシル基を有する分散剤(D)については、国際公開第2008/007776号パンフレット、特開2009−185277号公報、特開2008−029901号公報に記載されている公知技術を用いることができる。
【0081】
<着色剤>
本発明の着色組成物に用いることができる着色剤としては、従来公知の種々の顔料、および染料から任意に選択することができる。以下、本発明に使用しうる代表的な顔料と染料を挙げる。
【0082】
本発明で使用することができる赤色顔料は、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、14、17、22、23、31、38、41、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、57:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90、105、112、119、122、123、144、146、149、150、155、166、168、169、170、171、172、175、176、177、178、179、184、185、187、188、190、200、202、206、207、208、209、210、216、220、221、224、226、242、246、254、255、264、270、272、273、274,276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、または特表2011−523433号公報に記載のジケトピロロピロール顔料等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。また、キサンテン系、アゾ系、ジスアゾ系、アントラキノン系などの赤色染料も使用できる。具体的には、C.I.アシッドレッド52、87、92、289、338などのキサンテン系酸性染料の造塩化合物等が挙げられる。
【0083】
本発明で使用することができる橙色顔料は、例えば、C.I.ピグメントオレンジ38、43、71、または73等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0084】
黄色染料としては、アゾ染料、アゾ金属錯塩染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、チオインジゴ染料、フタロシアニン染料、ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、チアジン染料、カチオン染料、シアニン染料、ニトロ染料、キノリン染料、ナフトキノン染料、オキサジン染料が挙げられる。
【0085】
したがって、黄色染料の具体例としては、C.I.アシッド イエロー 2,3、4、5、6、7、8、9、9:1、10、11、11:1、12、13、14、15、16、17、17:1、18、20、21、22、23、25、26、27、29、30、31、33、34、36、38、39、40、40:1、41、42、42:1、43、44、46、48、51、53、55、56、60、63、65、66、67、68、69、72、76、82、83、84、86、87、90、94、105、115、117、122、127、131、132、136、141、142、143、144、145、146、149、153、159、166、168、169,172、174、175、178、180、183、187、188、189、190、191、192、199等が挙げられる。
【0086】
また、C.I.ダイレクト イエロー 1、2、4、5、12、13、15、20、2
4、25、26、32、33、34、35、41、42、44、44:1、45、46、48、49、50、51、61、66、67、69、70、71、72、73、74、81、84、86、90、91、92、95、107、110、117、118、119、120、121、126、127、129、132、133、134等も挙げられる。
【0087】
また、C.I.ベーシック イエロー 1、2、5、11、13、14、15、19、21、24、25、28、29、37、40、45、49、51、57、79、87、90、96、103、105、106等が挙げられる。
【0088】
また、C.I.ソルベント イエロー 2、3、4、7、8、10、11、12、13、14、15、16、18、19、21、22、25、27、28、29、30、32、33、34、40、42、43、44、45、47、48、56、62、64、68、69、71、72、73、77、79、81、82、83、85、88、89、90、93、94、98、104、107、114、116、117、124、130、131、133、135、138、141、143、145、146、147、157、160、162、163、167、172、174、175、176、177、179、181、182、183、184、185、186、187、188、190、191、192、194、195等も挙げられる。
【0089】
また、C.I.ディスパーズ イエロー 1、2、3、5、7、8、10、11、13、13、23、27、33、34、42、45、48、51、54、56、59、60、63、64、67、70、77、79、82、85、88、93、99、114、118、119、122、123、124、126、163、184、184:1、202、211、229、231、232、233、241、245、246、247、248、249、250、251等が挙げられる。
【0090】
黄色顔料としては、有機または無機の顔料を、単独でまたは2種類以上混合して用いることができ、発色性が高く、且つ耐熱性の高い顔料、特に耐熱分解性の高い顔料が好ましく、通常は有機顔料が用いられる。有機顔料としては、一般に市販されているものを用いることができ、所望とするフィルタセグメントの色相に応じて、天然色素、無機顔料を併用することができる。
【0091】
以下に、上記着色組成物に使用可能な黄色有機顔料の具体例を示す。黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、192、193、194、196、198、199、213、214等の黄色顔料を用いることができる。特にフィルタセグメントの耐熱性、耐光性、および明度の観点からC.I.ピグメントイエロー138、139、150、185が好ましい。
これらの黄色色素は所望とする色特性に応じて単独または2種類以上を混合して使用することができる。
【0092】
本発明で使用することができる緑色顔料は、例えば、C.I.ピグメントグリーン7、10、36、37、58、特開2008−19383号公報、特開2007−320986号公報、特開2004−70342号公報等に記載の亜鉛フタロシアニン顔料等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0093】
本発明で使用することができる青色顔料は、例えば、C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、特開2004−333817号公報、特許第4893859号公報等に記載のアルミニウムフタロシアニン顔料等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0094】
本発明による着色組成物の全不揮発成分中において好ましい着色剤の含有量としては、十分な色再現性、安定性の観点から10〜90重量%であり、より好ましくは15〜85重量%であり、最も好ましくは20〜80重量%である。
【0095】
(顔料の微細化)
本発明の着色組成物に使用する着色剤が顔料の場合、ソルトミリング処理等により微細化することができる。顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)により求められる平均一次粒子径は5〜90nmの範囲であることが好ましい。5nmよりも小さくなると有機溶剤中への分散が困難になり、90nmよりも大きくなると十分なコントラスト比を得ることができない。このような理由から、より好ましい平均一次粒子径は10〜70nmの範囲である。
【0096】
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
【0097】
水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等を用いることができるが、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)を用いるのが好ましい。水溶性無機塩は、処理効率と生産効率の両面から、顔料100重量部に対し、50〜2000重量部用いることが好ましく、300〜1000重量部用いることが最も好ましい。
【0098】
水溶性有機溶剤は、顔料及び水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。水溶性有機溶剤は、顔料100重量部に対し、5〜1000重量部用いることが好ましく、50〜500重量部用いることが最も好ましい。
【0099】
顔料をソルトミリング処理する際には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。用いられる樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を用いることができる。用いられる樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることがさらに好ましい。樹脂の使用量は、顔料100重量部に対し、5〜200重量部の範囲であることが好ましい。
【0100】
<バインダー樹脂>
(ビニル樹脂[B1])
本発明の着色組成物に含まれるバインダー樹脂は、エチレン性不飽和二重結合を導入したビニル系樹脂であって、かつ下記構成単位(b1)および(b2)を含むビニル系樹脂[B1]を含有することを特徴とする。
(b1);カルボキシル基を有する構成単位:
ビニル系樹脂[B1]の全構成単位の重量を基準として2〜60重量%
(b2);一般式(2)または一般式(3)に示す芳香族環基を有する構成単位:
ビニル系樹脂[B1]の全構成単位の重量を基準として2〜80重量%
【0102】
【化11】
[一般式(2)及び(3)中、R
15は、水素原子、またはベンゼン環を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基である。]
【0103】
以下に、構成単位(b1)、及び構成単位(b2)、その他の構成単位についてと、エチレン性不飽和二重結合を導入する方法について順に説明する。
本明細書においては、各構成単位の含有重量%は各構成単位をビニル系樹脂[B1]にもたらす前駆体の重量%である。
【0104】
[構成単位(b1)]
構成単位(b1)は、カルボキシル基を有し、現像時、アルカリ可溶性部位として機能する。ビニル系樹脂[B1]の全構成単位の重量を基準として、構成単位(b1)は、現像性の観点から、2〜60重量%である。2重量%未満では、アルカリ性現像液による未露光部分の除去性が不十分となり、60重量%を越えると、アルカリ現像液への溶解速度が速くなり、露光部分まで溶解してしまう。
【0105】
構成単位(b1)は、カルボキシル基を有する構成単位(b1)の前駆体を用いる方法と、後述する方法(i−1)により、エポキシ基との付加反応に用いられないカルボキシル基に相当する構成単位が、ビニル系樹脂における構成単位(b1)となる場合とがある。
【0106】
カルボキシル基を有する構成単位(b1)の前駆体としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、若しくはα−クロルアクリル酸等の不飽和モノカルボン酸、またはマレイン酸、若しくはフマル酸等の不飽和ジカルボン酸等のカルボキシル基を含有しかつエチレン性不飽和二重結合を有する化合物等が挙げられる。また、無水マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸の無水物をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも使用できる。この中でも、重合性(分子量等のコントロールしやすさ)の観点から、(メタ)アクリル酸がより好ましく、特にメタクリル酸が最も好ましい。これらは、単独でも、2種類以上の併用でも使用できる。
【0107】
[構成単位(b2)]
構成単位(b2)は、一般式(2)及び一般式(3)に示す芳香族環基による環状構造を有し、顔料または顔料と分散剤等とからなる顔料組成物に対する親和性部位として機能する。ビニル系樹脂[B1]の全構成単位の重量を基準として、構成単位(b2)は、現像性と分散安定性、耐薬品性の観点から、2〜80重量%である。2重量%未満では、現像性と分散安定性および耐薬品性が低下し、また、80重量%を越えると、アルカリ現像液への溶解速度が遅くなり、現像時間が長く、生産性が悪くなる。
(b2);一般式(2)または一般式(3)に示す芳香族環基を有する構成単位:
ビニル系樹脂[B1]の全構成単位の重量を基準として2〜80重量%
【0109】
【化13】
[一般式(2)及び(3)中、R
15は、水素原子、またはベンゼン環を有していてもよい
炭素数1〜20のアルキル基である。]
【0110】
構成単位(b2)の前駆体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、インデン、アセチルナフテン、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル等のモノマー・オリゴマー、または一般式(9)に示すエチレン性不飽和単量体等が挙げられる。
【0111】
【化14】
[一般式(9)中、R
16は、水素原子、またはメチル基であり、R
17は、炭素数2若しくは3のアルキレン基であり、R
18は、ベンゼン環を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基であり、nは、1〜15の整数である。]
【0112】
一般式(9)に示されるエチレン性不飽和単量体としては、例えば、
第一工業製薬社製ニューフロンティア CEA〔EO変性クレゾールアクリレート、R
16:水素原子、R
17:エチレン基、R
18:メチル基、n=1または2、〕、NP−2〔n−ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、R
16:水素原子、R
17:エチレン基、R
18:n−ノニル基、n=2〕、N−177E〔n−ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、R
16:水素原子、R
17:エチレン基、R
18:n−ノニル基、n=16〜17〕、若しくはPHE〔フェノキシエチルアクリレート、R
16:水素原子、R
17:エチレン基、R
18:水素原子、n=1〕、
ダイセル社製、IRR169〔エトキシ化フェニルアクリレート(EO 1mol)、R
16:水素原子、R
17:エチレン基、R
18:水素原子、n=1〕、またはEbecryl110〔エトキシ化フェニルアクリレート(EO 2mol)、R
16:水素原子、R
17:エチレン基、R
18:水素原子、n=2〕、
東亞合成社製アロニックス M−101A〔フェノールEO変性(n≒2)アクリレート、R
16:水素原子、R
17:エチレン基、R
18:水素原子、n≒2〕、M−102〔フェノールEO変性(n≒4)アクリレート、R
16:水素原子、R
17:エチレン基、R
18:水素原子、n≒4〕、M−110〔パラクミルフェノールEO変性(n≒1)アクリレート、R
16:水素原子、R
17:エチレン基、R
18:パラクミル、n≒1〕、M−111〔n−ノニルフェノールEO変性(n≒1)アクリレート、R
16:水素原子、R
17:エチレン基、R
18:n−ノニル基、n≒1〕、M−113〔n−ノニルフェノールEO変性(n≒4)アクリレート、R
16:水素原子、R
17:エチレン基、R
18:n−ノニル基、n≒4〕、若しくはM−117〔n−ノニルフェノールPO変性(n≒2.5)アクリレート、R
16:水素原子、R
17:プロピレン基、R
18:n−ノニル基、n≒2.5〕、
共栄社製ライトアクリレート PO−A〔フェノキシエチルアクリレート、R
16:水素原子、R
17:エチレン基、R
18:水素原子、n=1〕、P−200A〔フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、R
16:水素原子、R
17:エチレン基、R
18:水素原子、n≒2〕、NP−4EA〔ノニルフェノールEO付加物アクリレート、R
16:水素原子、R
17:エチレン基、R
18:n−ノニル基、n≒4〕、若しくはNP−8EA〔〔ノニルフェノールEO付加物アクリレート、R
16:水素原子、R
17:エチレン基、R
18:n−ノニル基、n≒8〕、またはライトエステル PO〔フェノキシエチルメタクリレート、R
16:メチル基、R
17:プロピレン基、R
18:水素原子、n=1〕、
日油社製ブレンマー ANE−300〔ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、R
16:水素原子、R
17:エチレン基、R
18:−ノニル基、n≒5〕、ANP−300〔ノニルフェノキシポリプロピレングリコールアクリレート、R
16:水素原子、R
17:プロピレン基、R
18:n−ノニル基、n≒5〕、43ANEP−500〔ノニルフェノキシ−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−アクリレート、R
16:水素原子、R
17:エチレン基及びプロピレン基、R
18:−ノニル基、n≒5+5〕、70ANEP−550〔ノニルフェノキシ−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−アクリレート、R
16:水素原子、R
17:エチレン基及びプロピレン基、R
18:n−ノニル基、n≒9+3〕、75ANEP−600〔ノニルフェノキシ−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−アクリレート、R
16:水素原子、R
17:エチレン基及びプロピレン基、R
18:n−ノニル基、n≒5+2〕、AAE−50〔フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、R
16:水素原子、R
17:エチレン基、R
18:水素原子、n=1〕、AAE−300〔フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、R
16:水素原子、R
17:エチレン基、R
18:水素原子、n≒5.5〕、PAE−50〔フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、R
16:メチル基、R
17:エチレン基、R
18:水素原子、n=1〕、PAE−100〔フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、R
16:メチル基、R
17:エチレン基、R
18:水素原子、n=2〕、若しくは43PAPE−600B〔フェノキシ−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−メタクリレート、R
16:メチル基、R
17:エチレン基及びプロピレン基、R
18:水素原子、n≒6+6〕、
新中村化学社製NK ESTER AMP−10G〔フェノキシエチレングリコールアクリレート(EO1mol)、R
16:水素原子、R
17:エチレン基、R
18:水素原子、n=1〕、AMP−20G〔フェノキシエチレングリコールアクリレート(EO2mol)、R
16:水素原子、R
17:エチレン基、R
18:水素原子、n≒2〕、AMP−60G〔フェノキシエチレングリコールアクリレート(EO6mol)、R
16:水素原子、R
17:エチレン基、R
18:水素原子、n≒6〕、PHE−1G〔フェノキシエチレングリコールメタクリレート(EO1mol)、R
16:メチル基、R
17:エチレン基、R
18:水素原子、n=1〕、
大阪有機化学社製ビスコート #192〔フェノキシエチルアクリレート、R
16:水素原子、R
17:エチレン基、R
18:水素原子、n=1〕、あるいは、
日本化薬製SR−339A〔2−フェノキシエチレングリコールアクリレート、R
16:水素原子、R
17:エチレン基、R
18:水素原子、n=1〕,若しくはSR−504(エトキシ化ノニルフェノールアクリレート、R
16:水素原子、R
17:エチレン基、R
18:n−ノニル基〕等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
【0113】
一般式(9)で示されるエチレン性不飽和単量体において、R
18のアルキル基の炭素数は1〜20であるが、より好ましくは1〜10である。アルキル基は、直鎖状アルキル基だけでなく、分岐状アルキル基及び置換基としてベンゼン環を有するアルキル基も含まれる。R
18のアルキル基の炭素数が1〜10のときはアルキル基が障害となりITOエッチング液、Metalエッチング液などの浸透を抑制し耐薬品性が高まるが、炭素数が10を超えると、アルキル基の立体障害効果が高くなり、基材との密着をも妨げる傾向を示す。この傾向は、R
18のアルキル基の炭素鎖長が長くなるに従い顕著となり、炭素数が20を超えると、基材との密着が極端に低下する。R
18で表されるベンゼン環を有するアルキル基としては、ベンジル基、2−フェニル(イソ)プロピル基等を挙げることができる。側鎖ベンゼン環が一つ増えることによって、耐薬品性がより改善され、現像性も向上する。
【0114】
一般式(9)で示されるエチレン性不飽和単量体において、nは、1〜15の整数が好ましい。nが15を越えると、親水性が増して溶媒和の効果が小さくなると共に、ビニル系樹脂[B1]の粘度が高くなり、これを用いた感光性組成物の粘度も高くなり、流動性に影響を与える場合がある。溶媒和の観点から、nは、1〜4が特に好ましい。
【0115】
構成単位(b2)の前駆体としては、他の前駆体との共重合性の観点、及び耐薬品性の観点から、スチレン、α−メチルスチレン、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、または一般式(9)で示されるエチレン性不飽和単量体が好ましい。これらは、ビニル系樹脂[B1]の側鎖にベンゼン環を導入できるので特に好ましい。ビニル系樹脂の側鎖にベンゼン環を導入することよって、側鎖ベンゼン環が、顔料に配向するため、顔料への樹脂吸着を促し、更に顔料の凝集を抑える働きもする。更に、ベンジルアクリレート及び/またはベンジルメタクリレートは、現像性と分散安定性の観点から、最も好ましい。
【0116】
[その他の構成単位]
ビニル系樹脂[B1]は、その他の構成単位として、構成単位(b1)、構成単位(b2)以外の構成単位を有していてもよい。しかし、その他の構成単位の主な機能は、現像性を与えることであるため、耐薬品性の機能を有する構成単位(b2)の側鎖の比較的大きな前記環構造に対して、小さな構造をとることが好ましい。これにより耐薬品性がある大きな構造の側鎖を有する構成単位(b2)の特性を保持しつつ、現像性を付与できると考えられる。
【0117】
その他の構成単位の前駆体としては、例えば、
メチル(メタ)メタアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチルアクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、t−ペンチル(メタ)アクリレート、1−メチルブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプタ(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、またはオレイル(メタ)アクリレート等のアルキルまたはアルケニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル、ジメチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート等のモノマー・オリゴマーが挙げられるが、目的に応じて、これらに限定することなく他のエチレン性不飽和単量体を選ぶこともでき、2種類以上併用することもできる。上記のように、現像性の観点から、メチル(メタ)アクリルメタクリレート、またはエチル(メタ)アクリレートが好んで用いられる。
【0118】
その他のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、または3−メチルオキセタニル(メタ)アクリレート等の複素環式置換基を有する(メタ)アクリレート類;
メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、またはエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類;あるいは、
(メタ)アクリルアミド(なお、「(メタ)アクリルアミド」と表記した場合には、アクリルアミド及び/またはメタクリルアミドを示すものとする。以下同じ。)、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、またはアクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
【0119】
また、前記アクリル単量体以外の単量体としては、例えば、
エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、またはイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;あるいは、
酢酸ビニル、またはプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類等が挙げられる。アクリル単量体以外の前記単量体を、前記アクリル単量体と併用することもできる。
【0120】
また、本発明のビニル系樹脂[B1]は、式(4)及び式(5)に示す脂肪族環基による環状構造を有する構成単位(b3)をさらに含有することが好ましい。構成単位(b3)は、式(4)及び式(5)に示す脂肪族環基による環状構造を有し、顔料または顔料と分散剤等とからなる顔料組成物に対する親和性部位として、及び、アルカリ現像液に対する疎水性部位として機能する。
【0121】
(構成単位(b3))
構成単位(b3)は、ビニル系樹脂[B1]の全構成単位の重量を基準(100重量%)として、現像性と分散安定性、耐薬品性付与の観点から、2〜60重量%有することが好ましい。2重量%以上である場合、顔料または顔料と分散剤等とからなる顔料組成物に対する親和性部位が十分となり、高品質なカラーフィルタが得られたり、カラーフィルタ用着色組成物の保存安定性が良好となるために好ましい。また、画素部のパターン剥れや欠けの問題が生じることもなく良好である。60重量%以下であると、アルカリ現像液への溶解速度が速く、現像時間が短く、カラーフィルタの生産性が良好となるために好ましい。
【0124】
構成単位(b3)の前駆体としては、一般式(10)に示すエチレン性不飽和単量体、または一般式(11)に示すエチレン性不飽和単量体等が挙げられる。
【0126】
【化18】
[一般式(10)、一般式(11)中、R
9は、水素原子、またはメチル基であり、R
10は、炭素数2若しくは3のアルキレン基であり、mは、1〜15の整数である。]
【0127】
一般式(10)に示されるエチレン性不飽和単量体としては、例えば、
日立化成社製ファンクリル FA−513AS〔ジシクロペンタニルアクリレート、R
9:水素原子、R
10:なし、m=0〕、またはFA−513M〔ジシクロペンタニルメタクリレート、R
9:メチル、R
10:なし、m=0〕等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
【0128】
一般式(11)に示される不飽和エチレン製単量体としては、例えば、
日立化成社製ファンクリル FA−511AS〔ジシクロペンテニルアクリレート、R
9:水素原子、R
10:なし、m=0〕、FA−512AS〔ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、R
9:水素原子、R
10:エチレン基、m=1〕、FA−512M〔ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、R
9:メチル基、R
10:エチレン基、m=1〕、またはFA−512MT〔ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、R
9:メチル基、R
10:エチレン基、m=1〕等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
【0129】
[エチレン性不飽和二重結合の導入]
また、本発明のビニル系樹脂[B1]は、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体を用いてエチレン性不飽和二重結合を導入した、エチレン性不飽和二重結合を有する構成単位(b4)を有するビニル系樹脂であることを特徴とする。
ビニル系樹脂[B1]は、二重結合基を有し、パターン形状を良化させる部位として機能する。このエチレン性不飽和二重結合を有する構成単位(b4)は、ビニル系樹脂[B1]の全構成単位の重量を基準(100重量%)として、パターン形状の観点から、2〜60重量%が好ましい。2重量%以上であることにより、パターン形状が良好となり、60重量%以下である場合、解像度が良好と成るために好ましい。
エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体を用いてエチレン性不飽和二重結合を導入する方法としては、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体とを用いてエチレン性不飽和二重結合を導入し、感光性樹脂とする方法が挙げられ、以下に示す方法(i1)または方法(i2)が挙げられる。
【0130】
[方法(i1)]
エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体を用いてエチレン性不飽和二重結合を導入する方法としては、例えば、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体と、他の1種類以上のエチレン性不飽和単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖エポキシ基に、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和1塩基酸のカルボキシル基を付加反応させ、更に、生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させ、エチレン性不飽和二重結合導入し感光性樹脂の機能を持たせ、かつ、アルカリ可溶性機能を持つカルボキシル基を導入する方法(i1)がある。
【0131】
すなわち、本発明においては、構成単位(b2)の前駆体と、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体とを反応させて共重合体(i1−1)を得て、次に得られた共重合体(i1−1)と不飽和1塩基酸とを反応させて共重合体(i1−2)を得て、さらに得られた共重合体(i1−2)と多塩基酸無水物とを反応させて得られる樹脂が、パターン形状が良好となるために好ましい。
【0132】
また、この方法(i1)に用いた不飽和1塩基酸のカルボキシル基は、エポキシ基への付加反応後にエステル結合を形成するので、本明細書におけるビニル系樹脂[B1]の構成単位(b1)には該当せず、多塩基酸無水物は、水酸基との反応後にカルボキシル基を形成するので、本明細書におけるビニル系樹脂[B1]の構成単位(b1)に該当する。
【0133】
[方法(i2)]
または、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と、他の1種類以上のエチレン性不飽和単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖カルボキシル基の一部に、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体を付加反応させ、エチレン性不飽和二重結合およびカルボキシル基を導入する方法(i2)が挙げられる。
【0134】
すなわち、本発明においては、構成単位(b1)の前駆体と、構成単位(b2)の前駆体とを反応させて共重合体(i2−1)を得て、次に得られた共重合体(i2−1)とエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体とを反応させて得られる樹脂が、耐熱性に優れるために好ましい。
【0135】
この場合、エポキシ基との付加反応に用いられないカルボキシル基に相当する構成単位のみが、本明細書におけるビニル系樹脂[B1]の構成単位(b1)に該当する。
【0136】
エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。次工程の不飽和1塩基酸との反応性の観点、および基材密着性の観点から、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0137】
不飽和1塩基酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、P−ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。中でも(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0138】
多塩基酸無水物としては、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。カルボキシル基の数を増やす等、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物を用いたり、ピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いて、残った無水物基を加水分解すること等もできる。また、多塩基酸無水物として、エチレン性不飽和二重結合を有する、エトラヒドロ無水フタル酸、または無水マレイン酸を用いると、更にエチレン性不飽和二重結合を増やすことができる。
また、多塩基酸無水物として、無水コハク酸を用いると、現像性に優れたものとすることができるために好ましい。
【0139】
ビニル系樹脂[B1]の重量平均分子量(Mw)は5,000〜100,000の範囲が好ましく、より好ましくは5,000〜80,000の範囲であり、さらに好ましくは、5,000〜30,000の範囲である。また数平均分子量(Mn)は5,000〜50,000の範囲が好ましく、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。
ビニル系樹脂[B1]の重量平均分子量(Mw)が100,000を越えると樹脂間の相互作用が強くなり、感光性樹脂組成物の粘度が高くなるため、取り扱いが困難となりやすい。また、重量平均分子量(Mw)が5,000未満だと現像性やガラス等の基板への密着性に問題のおこることがある。
【0140】
ビニル系樹脂[B1]の重量平均分子量(Mw)は、着色剤を好ましく分散させるためには、5,000〜80,000の範囲が好ましく、より好ましくは7,000〜50,000の範囲である。また数平均分子量(Mn)は2,500〜40,000の範囲が好ましく、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。
【0141】
ここで重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、東ソー株式会社製ゲルパーミエイションクロマトグラフィー「HLC−8120GPC」において、分離カラムを4本直列に繋ぎ、充填剤には順に東ソー株式会社製「TSK−GEL SUPER H5000」、「H4000」、「H3000」、および「H2000」を用い、移動相にテトラヒドロフランを用いて測定したポリスチレン換算分子量である。
【0142】
ビニル系樹脂[B1]をカラーフィルタ用着色組成物として使用する場合には、着色剤吸着基および現像時のアルカリ可溶基として働くカルボキシル基、着色剤担体および溶剤に対する親和性基として働く脂肪族基および芳香族基のバランスが、着色剤の分散性、浸透性、現像性、さらには耐久性にとって重要であり、酸価20〜300mgKOH/gの樹脂を用いることが好ましい。酸価が、20mgKOH/g未満では、現像液に対する溶解性が悪く、微細パターン形成するのが困難である。300mgKOH/gを超えると、現像で微細パターンが残らなくなる。
【0143】
ビニル系樹脂[B1]は、着色剤100重量部に対し、20〜500重量部の量で用いることが好ましい。20重量部未満では、成膜性および諸耐性が不十分となり、500重量部より多いと着色剤の濃度が低くなり、色特性を発現できない。
【0144】
(その他の樹脂)
本発明の感光性樹脂組成物は、さらにビニル系樹脂[B1]以外のその他の樹脂を含んでも良い。その他の樹脂としては、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂が好ましい。その他の樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が含まれ、これらを単独で、または2種以上混合して用いることができる。
【0145】
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、およびポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0146】
また、アルカリ現像型着色レジスト材の形態で用いる場合には、酸性基含有エチレン性不飽和単量体を共重合したアルカリ可溶性樹脂を用いることが好ましい。また、さらに光感度を向上させるために、エチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂を用いることもできる。
特に側鎖にエチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂をアルカリ現像型着色レジスト材に用いることで、活性エネルギー線で露光し塗膜を形成する際に、樹脂が3次元架橋されることで着色剤が固定され、耐熱性が良好になり、着色剤の熱による退色(明度低下)を抑制できる。また、現像工程においても着色剤成分の凝集・析出を抑制する効果もある。
【0147】
酸性基含有エチレン性不飽和モノマーを共重合したアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂として具体的には、酸性基を有するアクリル樹脂、α−オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、またはイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、酸性基を有するアクリル樹脂、およびスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂、特に酸性基を有するアクリル樹脂は、耐熱性、透明性が高いため、好適に用いられる。
【0148】
エチレン性不飽和活性二重結合を有するエネルギー線硬化性樹脂としては、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0149】
熱可塑性樹脂として、アルカリ可溶性能とエネルギー線硬化性能とを併せもつものも、カラーフィルタ用着色組成物として好ましい。
【0150】
上記熱可塑性樹脂を構成するモノマーとして以下のものが挙げられる。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、またはエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類、
あるいは、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、またはアクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類、スチレン、またはα−メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、またはイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、またはプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類が挙げられる。
【0151】
あるいは、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、1,2−ビスマレイミドエタン1,6−ビスマレイミドヘキサン、3−マレイミドプロピオン酸、6,7−メチレンジオキシ−4−メチル−3−マレイミドクマリン、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、N,N’−1,3−フェニレンジマレイミド、N,N’−1,4−フェニレンジマレイミド、N−(1−ピレニル)マレイミド、N−(2,4,6−トリクロロフェニル)マレイミド、N−(4−アミノフェニル)マレイミド、N−(4−ニトロフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−ブロモメチル−2,3−ジクロロマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオナート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチラート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドヘキサノアート、N−[4−(2−ベンゾイミダゾリル)フェニル]マレイミド、9−マレイミドアクリジン等のN-置換マレ
イミド類が挙げられる。
【0152】
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、およびフェノール樹脂等が挙げられる。中でも、耐熱性向上の観点から、エポキシ樹脂、メラミン樹脂がより好適に用いられる。
【0153】
バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、着色剤を好ましく分散させるためには、5,000〜80,000の範囲が好ましく、より好ましくは7,000〜50,000の範囲である。また数平均分子量(Mn)は2,500〜40,000の範囲が好ましく、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。
【0154】
ここで重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、装置としてHLC−8220GPC(東ソー株式会社製)を用い、カラムとしてTSK−GEL SUPER HZM−Nを2連でつなげて使用し、溶媒としてTHFを用いて測定したポリスチレン換算分子量である。
【0155】
バインダー樹脂をカラーフィルタ用着色組成物として使用する場合には、着色剤吸着基および現像時のアルカリ可溶基として働くカルボキシル基、着色剤担体および溶剤に対する親和性基として働く脂肪族基および芳香族基のバランスが、着色剤の分散性、浸透性、現像性、さらには耐久性にとって重要であり、酸価20〜300mgKOH/gの樹脂を用いることが好ましい。酸価が、20mgKOH/g未満では、現像液に対する溶解性が悪く、微細パターン形成するのが困難である。300mgKOH/gを超えると、現像で微細パターンが残らなくなる。
【0156】
酸価は、JIS K 0070の電位差滴定法に準拠し、測定した酸価(mgKOH/g)を固形分換算した値である。
【0157】
バインダー樹脂は、着色剤100重量部に対し、20〜500重量部の量で用いることが好ましい。20重量部未満では、成膜性および諸耐性が不十分となり、500重量部より多いと着色剤の濃度が低くなり、色特性を発現できない。
【0158】
<有機溶剤>
本発明の着色組成物には、着色剤を充分に着色剤担体中に分散、浸透させ、ガラス基板等の基板上に乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布してフィルタセグメントを形成することを容易にするために有機溶剤を含有させる。有機溶剤は、着色組成物の塗布性が良好であることに加え、着色組成物各成分の溶解性、さらには安全性を考慮して選定される。
【0159】
有機溶剤としては、例えば、乳酸エチル、ベンジルアルコール、1,2,3−トリクロロプロパン、1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、m−ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、o−キシレン、o−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−クロロトルエン、p−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、γ―ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。
これらの溶剤は、単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0160】
中でも、着色剤の分散性、浸透性、および着色組成物の塗布性が良好なことから、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類、ベンジルアルコール、ダイアセトンアルコール等のアルコール類やシクロヘキサノン等のケトン類を用いることが好ましい。
【0161】
また有機溶剤は、着色組成物を適正な粘度に調節し、目的とする均一な膜厚のフィルタセグメントを形成できることから、着色剤100重量部に対して、500〜4000重量部の量で用いることが好ましい。
【0162】
<光重合性単量体>
本発明の着色組成物に添加しても良い光重合性単量体には、紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれる。
紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマー、オリゴマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
これらの光重合性化合物は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0163】
光重合性単量体の配合量は、着色剤100重量部に対し、5〜400重量部であることが好ましく、光硬化性および現像性の観点から10〜300重量部であることがより好ましい。
【0164】
<光重合開始剤>
本発明の着色組成物には、該組成物を紫外線照射により硬化させ、フォトリソグラフィー法によりフィルタセグメントを形成するために、光重合開始剤を加えて溶剤現像型あるいはアルカリ現像型感光性着色組成物の形態で調製することができる。
【0165】
光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、または2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、またはベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、または3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、または2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、または2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、またはO−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、または2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物; ボレート系化合物; カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が用いられる。
これらの光重合開始剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0166】
光重合開始剤の含有量は、着色剤100重量部に対し、2〜200重量部であることが好ましく、光硬化性及び現像性の観点から3〜150重量部であることがより好ましい。
【0167】
<増感剤>
さらに、本発明の着色組成物には、増感剤を含有させることができる。
増感剤としては、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2−ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ−ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はミヒラーケトン誘導体、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,又は4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
これらの増感剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0168】
さらに具体的には、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、及び「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤を含有させることもできる。
【0169】
増感剤の含有量は、着色組成物中に含まれる光重合開始剤100重量部に対し、3〜60重量部であることが好ましく、光硬化性、現像性の観点から5〜50重量部であることがより好ましい。
【0170】
<酸化防止剤>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤は、カラーフィルタ用着色組成物に含まれる光重合開始剤や熱硬化性化合物が、熱硬化やITOアニール時の熱工程によって酸化し黄変することを防ぐため、塗膜の透過率を高くすることができる。そのため、酸化防止剤を含むことで、加熱工程時の酸化による黄変を防止し、高い塗膜の透過率を得る事ができる。
【0171】
本発明における「酸化防止剤」とは、紫外線吸収機能、ラジカル補足機能、または、過酸化物分解機能を有する化合物であればよく、具体的には、酸化防止剤としてヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒドロキシルアミン系、サルチル酸エステル系、およびトリアジン系の化合物があげられ、公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤等が使用できる。
【0172】
これらの酸化防止剤の中でも、塗膜の透過率と感度の両立の観点から、好ましいものとしては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤またはイオウ系酸化防止剤が挙げられる。また、より好ましくは、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、またはリン系酸化防止剤である。
【0173】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,4−ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕−o−クレゾール、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,6−ジ−t−ブチル−4−ノニルフェノール、2,2'−イソブチリデン−ビス−(4,6−ジメチル−フェノール)、4,4'−ブチリデン−ビス−(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)、2,2'−チオ−ビス−(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミル−ヒドロキノン、2,2'チオジエチルビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,1,3−トリス−(2'−メチル−4'−ヒドロキシ−5'−t−ブチルフェニル)−ブタン、2,2'−メチレン−ビス−(6−(1−メチル−シクロヘキシル)−p−クレゾール)、2,4−ジメチル−6−(1−メチル−シクロヘキシル)−フェノール、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナムアミド)等が挙げられる。その他ヒンダードフェノール構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0174】
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)(1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチル{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、ポリ〔(6−モルホリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル){(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、N,N′−4,7−テトラキス〔4,6−ビス{N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ}−1,3,5−トリアジン−2−イル〕−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン等が挙げられる。
その他ヒンダードアミン構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0175】
リン系酸化防止剤としては、トリス(イソデシル)フォスファイト、トリス(トリデシル)フォスファイト、フェニルイソオクチルフォスファイト、フェニルイソデシルフォスファイト、フェニルジ(トリデシル)フォスファイト、ジフェニルイソオクチルフォスファイト、ジフェニルイソデシルフォスファイト、ジフェニルトリデシルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、4,4'イソプロピリデンジフェノールアルキルフォスファイト、トリスノニルフェニルフォスファイト、トリスジノニルフェニルフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、トリス(ビフェニル)フォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、ジ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラトリデシル4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)ジフォスファイト、ヘキサトリデシル1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタントリフォスファイト、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスファイトジエチルエステル、ソジウムビス(4−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ソジウム−2,2−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)−フォスファイト、1,3−ビス(ジフェノキシフォスフォニロキシ)−ベンゼン、亜リン酸エチルビス(2,4−ジtert−ブチル−6−メチルフェニル)等が挙げられる。その他フォスファイト構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0176】
イオウ系酸化防止剤としては、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−o−クレゾール、2,4−ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕−o−クレゾール等が挙げられる。その他チオエーテル構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0177】
ベンゾトリアゾール系酸化防止剤としては、ベンゾトリアゾール構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等を使用することが出来る。
【0178】
ベンゾフェノン系酸化防止剤として具体的には、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2'ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2'ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5スルフォベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2'−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−クロロベンゾフェノン等が挙げられる。その他ベンゾフェノン構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0179】
トリアジン系酸化防止剤としては、2,4−ビス(アリル)−6−(2−ヒドロキシフェニル)1,3,5−トリアジン等が挙げられる。その他トリアジン構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0180】
サルチル酸エステル系酸化防止剤としては、サリチル酸フェニル、サリチル酸p−オクチルフェニル、サリチル酸p−tertブチルフェニル等が挙げられる。その他サルチル酸エステル構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0181】
これらの酸化防止剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。また酸化防止剤の含有量は、カラーフィルタ用着色組成物の固形分重量を基準として、0.5〜5.0重量%の場合、明度、感度が良好であるためより好ましい。
【0182】
<アミン系化合物>
また、本発明の着色組成物には、溶存している酸素を還元する働きのあるアミン系化合物を含有させることができる。
このようなアミン系化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、およびN,N−ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。
【0183】
<レベリング剤>
本発明の着色組成物には、透明基板上での組成物のレベリング性をよくするため、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造またはポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ−2122、ビックケミー社製BYK−333などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK−310、BYK−370などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。レベリング剤の含有量は通常、着色組成物の全重量を基準(100重量%)として、0.003〜0.5重量%用いることが好ましい。
【0184】
レベリング剤として特に好ましいものとしては、分子内に疎水基と親水基を有するいわゆる界面活性剤の一種で、親水基を有しながらも水に対する溶解性が小さく、着色組成物に添加した場合、その表面張力低下能が低いという特徴を有し、さらに表面張力低下能が低いにも拘らずガラス板への濡れ性が良好なものが有用であり、泡立ちによる塗膜の欠陥が出現しない添加量において十分に帯電性を抑止できるものが好ましく使用できる。このような好ましい特性を有するレベリング剤として、ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンが好ましく使用できる。ポリアルキレンオキサイド単位としては、ポリエチレンオキサイド単位、ポリプロピレンオキサイド単位があり、ジメチルポリシロキサンは、ポリエチレンオキサイド単位とポリプロピレンオキサイド単位とを共に有していてもよい。
【0185】
また、ポリアルキレンオキサイド単位のジメチルポリシロキサンとの結合形態は、ポリアルキレンオキサイド単位がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位中に結合したペンダント型、ジメチルポリシロキサンの末端に結合した末端変性型、ジメチルポリシロキサンと交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマー型のいずれであってもよい。ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンは、東レ・ダウコーニング株式会社から市販されており、例えば、FZ−2110、FZ−2122、FZ−2130、FZ−2166、FZ−2191、FZ−2203、FZ−2207が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0186】
レベリング剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、または両性の界面活性剤を補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない。
レベリング剤に補助的に加えるアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0187】
レベリング剤に補助的に加えるカオチン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加えるノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどの;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
【0188】
<硬化剤、硬化促進剤>
また本発明の着色組成物には、熱硬化性樹脂の硬化を補助するため、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤などを含んでいてもよい。硬化剤としては、フェノール系樹脂、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物などが有効であるが、特にこれらに限定されるものではなく、熱硬化性樹脂と反応し得るものであれば、いずれの硬化剤を使用してもよい。また、これらの中でも、1分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物、アミン系硬化剤が好ましく挙げられる。上記硬化促進剤としては、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物およびその塩(例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、グアナミン化合物(例えば、メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等)、S−トリアジン誘導体(例えば、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。上記硬化促進剤の含有量としては、熱硬化性樹脂100重量部に対し、0.01〜15重量部が好ましい。
【0189】
<その他の添加剤成分>
本発明の着色組成物には、経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。また、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。
【0190】
貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色剤100重量部に対し、0.1〜10重量部の量で用いることができる。
【0191】
密着向上剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等のシランカップリング剤が挙げられる。密着向上剤は、着色組成物中の着色剤100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部の量で用いることができる。
【0192】
<着色組成物の製造方法>
本発明の着色組成物は、着色剤を、バインダー樹脂などの色素担体および/または溶剤中に、好ましくは分散助剤と一緒に、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、またはアトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる(顔料分散体)。このとき、特定キノフタロン化合物、アルミニウムフタロシアニン顔料、およびその他の着色剤等を同時に着色剤担体に分散しても良いし、別々に着色材担体に分散したものを混合しても良い。また、着色剤の溶解性が高い場合、具体的には使用する溶剤への溶解性が高く、攪拌により溶解、異物が確認されない状態であれば、上記のような微細に分散して製造する必要はない。
【0193】
また、カラーフィルタ用感光性着色組成物(レジスト材)として用いる場合には、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色組成物として調製することができる。溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色組成物は、前記顔料分散体と、光重合性単量体及び/または光重合開始剤と、必要に応じて、溶剤、分散助剤、及び添加剤等を混合して調整することができる。光重合開始剤は、着色組成物を調製する段階で加えてもよく、調製した着色組成物に後から加えてもよい。
【0194】
(分散助剤)
着色剤を着色剤担体中に分散する際に、適宜、色素誘導体、樹脂型分散剤、界面活性剤等の分散助剤を含有してもよい。分散助剤は、分散後の着色剤の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて着色剤を着色剤担体中に分散してなる着色組成物は、明度および粘度安定性が良好になる。
【0195】
色素誘導体としては、有機顔料、アントラキノン、アクリドンまたはトリアジンに、塩基性置換基、酸性置換基、または置換基を有していても良いフタルイミドメチル基を導入した化合物があげられ、例えば、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報、特開2001−335717号公報、特開2003−128669号公報、特開2004−091497号公報、特開2007−156395号公報、特開2008−094873号公報、特開2008−094986号公報、特開2008−095007号公報、特開2008−195916号公報、特許第4585781号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独または2種類以上を混合して用いることができる。色素誘導体を使用する場合、明度の観点から、キノフタロン骨格を有するものが好ましい。
【0196】
色素誘導体の含有量は、分散性向上の観点から、着色剤100重量部に対し、好ましくは0.5重量部以上、さらに好ましくは1重量部以上、最も好ましくは3重量部以上である。また、耐熱性、耐光性の観点から、好ましくは40重量部以下、さらに好ましくは35重量部以下である。
【0197】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート等のノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等のカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0198】
界面活性剤を添加する場合には、着色剤100重量部に対し、好ましくは0.1〜55重量部、さらに好ましくは0.1〜45重量部である。界面活性剤の配合量が、0.1重量部未満の場合には、添加した効果が得られ難く、含有量が55重量部より多いと、過剰な分散剤により分散に影響を及ぼすことがある。
【0199】
<粗大粒子の除去>
本発明の着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタやメンブレンフィルタによる濾過等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。このように着色組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましい。より好ましくは0.3μm以下であることが好ましい。
【0200】
<カラーフィルタ>
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。
本発明のカラーフィルタは、赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメント、および青色フィルタセグメントを具備するものであり、該フィルタセグメントが、本発明の着色組成物から形成されてなるものである。また、カラーフィルタは、さらにマゼンタ色フィルタセグメント、シアン色フィルタセグメント、および黄色フィルタセグメントを具備するものであってもよい。
【0201】
赤色フィルタセグメントは、赤色顔料と着色剤担体を含む通常の赤色着色組成物を用いて形成することができる。赤色着色組成物には、例えばC.I.ピグメントレッド7、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、57:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、122、146、168、169、176、177、178、179、184、185、187、200、202、208、210、242、246、254、255、264、270、272、273、274,276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、または287等の赤色顔料を挙げることができる。また、キサンテン系、アゾ系、ジスアゾ系、アントラキノン系などの赤色染料も使用できる。具体的には、C.I.アシッドレッド52、87、92、289、338などのキサンテン系酸性染料の造塩化合物等が挙げられる。
【0202】
また、赤色着色組成物には、C.I.ピグメントオレンジ43、71、若しくは73等の橙色顔料および/またはC.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214、218、219、220、若しくは221等の黄色顔料を併用することができる。また、キノリン系、アゾ系、ジスアゾ系、メチン系などの橙色染料および/または黄色染料も使用できる。
【0203】
青色フィルタセグメントは、青色顔料と着色剤担体を含む通常の青色着色組成物を用いて形成することができる。青色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64等が用いられる。また青色着色組成物には、紫色顔料を併用することができる。併用可能な紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料を挙げることができる。また、青色や紫色を呈する塩基性染料、酸性染料の造塩化合物を使用することもできる。染料を使用する場合、トリアリールメタン系染料、またはキサンテン系染料が明度の点で好ましい。
【0204】
<カラーフィルタの製造方法>
本発明のカラーフィルタは、印刷法またはフォトリソグラフィー法により、製造することができる。
【0205】
印刷法によるフィルタセグメントの形成は、印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストで量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性の制御も重要であり、分散剤や体質顔料によるインキ粘度の調整を行うこともできる。
【0206】
フォトリソグラフィー法によりフィルタセグメントを形成する場合は、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製した着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するかもしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。さらに、着色レジスト材の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、上記印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
【0207】
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジストを塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【0208】
本発明のカラーフィルタは、上記方法の他に電着法、転写法、インクジェット法などにより製造することができるが、本発明の着色組成物はいずれの方法にも用いることができる。なお、電着法は、基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色フィルタセグメントを透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめフィルタセグメントを形成しておき、このフィルタセグメントを所望の基板に転写させる方法である。
【0209】
透明基板あるいは反射基板上に各色フィルタセグメントを形成する前に、あらかじめブラックマトリクスを形成することができる。ブラックマトリクスとしては、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウムなどの無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜が用いられるが、これらに限定されない。また、上記の透明基板あるいは反射基板上に薄膜トランジスター(TFT)をあらかじめ形成しておき、その後に各色フィルタセグメントを形成することもできる。また本発明のカラーフィルタ上には、必要に応じてオーバーコート膜や透明導電膜などが形成される。
【0210】
カラーフィルタは、シール剤を用いて対向基板と張り合わせ、シール部に設けられた注入口から液晶を注入したのち注入口を封止し、必要に応じて偏光膜や位相差膜を基板の外側に張り合わせることにより、液晶表示パネルが製造される。
【0211】
かかる液晶表示パネルは、ツイステッド・ネマティック(TN)、スーパー・ツイステッド・ネマティック(STN)、イン・プレーン・スイッチング(IPS)、ヴァーティカリー・アライメント(VA)、オプティカリー・コンベンセンド・ベンド(OCB)等のカラーフィルタを使用してカラー化を行う液晶表示モードに使用することができる。
【実施例】
【0212】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例中、「部」および「%」は、「重量部」および「重量%」をそれぞれ表す。また、「PGMAC」とはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを意味する。
【0213】
(顔料の平均一次粒子径)
顔料の平均一次粒子径は、透過型(TEM)電子顕微鏡を使用して、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で測定した。具体的には、個々の顔料の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその顔料一次粒子の粒径とした。次に、100個以上の顔料粒子について、それぞれの粒子の体積(重量)を、求めた粒径の立方体と近似して求め、体積平均粒径を平均一次粒子径とした。
【0214】
(樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn))
[アクリル樹脂の重量平均分子量]
バインダー樹脂として用いるアクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、RI検出器を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。装置としてHLC−8220GPC(東ソー株式会社製)を用い、分離カラムを2本直列に繋ぎ、両方の充填剤には「TSK−GEL SUPER HZM−N」を2連でつなげて使用し、オーブン温度40℃、溶離液としてTHF溶液を用い、流速0.35ml/minで測定した。サンプルは1wt%の上記溶離液からなる溶剤に溶解し、20マイクロリットル注入した。分子量はいずれもポリスチレン換算値である。
【0215】
[ヒンダードアミン骨格を有するビニル系樹脂の平均分子量]
ヒンダードアミン骨格を有するビニル系樹脂の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、RI検出器を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。装置としてHLC−8320GPC(東ソー株式会社製)を用い、分離カラムを3本直列に繋ぎ、充填剤には順に東ソー株式会社製「TSK−GEL SUPER AW−4000」、「AW−3000」、及び「AW−2000」を用い、オーブン温度40℃、溶離液として30mMトリエチルアミン及び10mM LiBrのN,N−ジメチルホルムアミド溶液を用い、流速0.6ml/minで測定した。サンプルは上記溶離液からなる溶剤に1wt%の濃度で調製し、50マイクロリットル注入した。分子量はいずれもポリスチレン換算値である。
【0216】
[りん酸基、硫酸基もしくはスルホン酸基を有する樹脂型分散剤の平均分子量]
りん酸基、硫酸基もしくはスルホン酸基を有する樹脂型分散剤の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、RI検出器を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。装置としてHLC−8320GPC(東ソー株式会社製)を用い、分離カラムを2本直列に繋ぎ、両方の充填剤には「TSK−GEL SUPER HZ−N」を2連でつなげて使用し、オーブン温度40℃、溶離液として100mM リン酸のTHF溶液を用い、流速0.35ml/minで測定した。サンプルは上記溶離液からなる溶剤に1wt%の濃度で調製し、10マイクロリットル注入した。分子量はいずれもポリスチレン換算値である。
【0217】
[芳香族カルボキシル基を有する樹脂型分散剤の平均分子量]
芳香族カルボキシル基を有する樹脂型分散剤の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、RI検出器を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。装置としてHLC−8220GPC(東ソー株式会社製)を用い、分離カラムを2本直列に繋ぎ、両方の充填剤には「TSK−GEL SUPER HZM−N」を2連でつなげて使用し、オーブン温度40℃、溶離液としてTHF溶液を用い、流速0.35ml/minで測定した。サンプルは1wt%の上記溶離液からなる溶剤に溶解し、20マイクロリットル注入した。分子量はいずれもポリスチレン換算値である。
【0218】
(樹脂型分散剤(C)のガラス転移温度(Tg)(℃)の算出)
樹脂型分散剤(C)における重合体部位のTgを、下記のFoxの式で算出した。
1/Tg=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)+・・・+(Wn/Tgn)
W1からWnは、使用している単量体の重量分立を示し、Tg1からTgnは、各単量体の単独重合体のガラス転移温度(単位は絶対温度「K」)を示す。
算出に使用する主な単独重合体のTgに関してはポリマーハンドブック記載の数値を用いることができる。数値に関しては下記に例示する。
ε−カプロラクトン:−60℃(213K)
エチルアクリレート:−22℃(251K)
t−ブチルアクリレート:41℃(314K)
メタクリル酸:130℃(403K)
メチルメタクリレート:105℃(378K)
n−ブチルアクリレート:−54℃(219K)
2−メトキシエチルアクリレート:−50℃(223K)
ジエチルアミノエチルメタクリレート:18℃(291K)
1−アダマンチルメタクリレート:250℃(523K)
【0219】
(樹脂の酸価(mgKOH/g))
[りん酸基、硫酸基もしくはスルホン酸基を有する樹脂型分散剤
及びアクリル樹脂の酸価]
りん酸基、硫酸基もしくはスルホン酸基を有する樹脂型分散剤、及びアクリル樹脂の酸価は、JIS K 0070の電位差滴定法に準拠し、測定した酸価(mgKOH/g)を固形分換算した値である。
【0220】
(樹脂のアミン価(mgKOH/g))
アミン価は、ASTM D 2074の方法に準拠し、測定した全アミン価(mgKOH/g)を固形分換算した値である。
【0221】
<バインダー樹脂溶液の製造方法>
[樹脂溶液(B1−1)]
(段階1:樹脂主鎖の重合)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAC)100部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら120℃に加熱して、同温度で滴下管よりスチレン16.2部、グリシジルメタクリレート35.5部、ジシクロペンタニルメタクリレート41.0部、およびこの段階における前駆体の反応に要する触媒としてアゾビスイソブチロニトリル3.0部の混合物を2.5時間かけて滴下し重合反応を行った。
【0222】
(段階2:エポキシ基への反応)
次にフラスコ内を空気置換し、アクリル酸17.0部およびこの段階における前駆体の反応に要する触媒としてトリスジメチルアミノメチルフェノール0.3部、及びハイドロキノン0.3部を投入し、120℃で5時間反応を行い、重量平均分子量が約12000(GPCによる測定)の樹脂溶液を得た。投入したアクリル酸はグリシジルメタクリレート構成単位のエポキシ基末端にエステル結合するので樹脂構造中にカルボキシル基を生じない。
【0223】
(段階3:水酸基への反応)
さらにテトラヒドロ無水フタル酸30.4部およびこの段階における前駆体の反応に要する触媒として、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で4時間反応させた。加えたテトラヒドロ無水フタル酸は無水カルボン酸部位が開裂して生じた2個のカルボキシル基の一方が樹脂構造中の水酸基にエステル結合し、他方がカルボキシル基末端を生じさせる。
【0224】
(段階4:不揮発分の調整)
不揮発分が40%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して樹脂溶液(B1−1)を得た。
【0225】
樹脂溶液(B1−1)における構成単位の重量比は、構成単位(b1)としてテトラヒドロ無水フタル酸;21.7重量%、構成単位(b2)としてスチレン;11.6重量%、構成単位(b3)としてジシクロペンタニルメタクリレート;29.3重量%、構成単位(b4)としてグリシジルメタクリレートおよびそのグリシジル末端にエステル結合したアクリル酸の合計;37.4重量%、その他の構成単位;0.0重量%である。
【0226】
[樹脂溶液(B1−2〜3、7及びB2−1)]
樹脂溶液(B1−1)と同様の方法で樹脂溶液(B1−2〜3、7)及び(B2−1)を得た。すなわち、樹脂溶液(B1−1)の製造法中、構成単位(b1)〜(b4)およびその他の構成単位に該当する前駆体を表1に則して置き換えた。各段階に要する触媒の部数は、各段階で混合した前駆体の合計の部数に比例させて混合した。
段階2で投入するアクリル酸の部数は、段階1で重合されたグリシジルメタクリレートと等モルとした。
【0227】
[樹脂溶液(B1−4〜5)]
樹脂溶液(B1−1)の段階1、段階2、段階4と同様の方法で樹脂溶液(B1−4)〜(B1−5)を得た。すなわち、樹脂溶液(B1−1)の製造法中、構成単位(b1)〜(b4)およびその他の構成単位に該当する前駆体を表1に則して置き換えた。構成単位(b1)〜(b3)および構成単位(b4)中のMAA(メタクリル酸)に該当する前駆体を混合して製造の段階1を実施し、次にGMA(グリシジルメタクリレート)を前駆体として加えて製造の段階2を実施し、さらに段階4を実施した。
樹脂溶液(B1−4)の段階2で投入するグリシジルメタクリレートの部数は、段階1で重合されたメタクリル酸の38.5mol%とした。樹脂溶液(B1−5)の段階2で投入するグリシジルメタクリレートの部数は、段階1で重合されたメタクリル酸の7mol%とした。
各段階に要する触媒の部数は、各段階で混合した前駆体の合計の部数に比例させて混合した。
【0228】
[樹脂溶液(B2−2)]
樹脂溶液(B1−1)の段階1、段階2、段階4と同様の方法で樹脂溶液(B2−2)の調整を行った。すなわち、樹脂溶液(B1−1)の製造法中、構成単位(b1)〜(b4)およびその他の構成単位に該当する前駆体を表1に則して置き換えた。構成単位(b2)、構成単位(b4)中のGMA(グリシジルメタクリレート)およびその他の構成単位に該当する前駆体を混合して製造の段階1を実施し、次にAA(アクリル酸)を前駆体として加えて製造の段階2を実施し、さらに段階4を実施した。
段階2で投入するアクリル酸の部数は、段階1で重合されたグリシジルメタクリレートと等モルとした。
各段階に要する触媒の部数は、各段階で混合した前駆体の合計の部数に比例させて混合した。
【0229】
得られた樹脂溶液(B1−1〜5、7)および樹脂溶液(B2−1〜2)の組成及び重量比を表1に示す。カッコ内は樹脂固形分中の構成単位重量比(重量%)を表す。
【0230】
【表1】
【0231】
表1における構成単位の前駆体および構成単位の略称について下記に記す。
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
THPA:テトラヒドロフタル酸無水物(4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物)
MMA:メチルメタクリレート
BzMA:ベンジルメタクリレート
St:スチレン
DCPMA:ジシクロペンタニルメタクリレート
GMA:グリシジルメタクリレート
GMA−AA:構成単位GMAにアクリル酸が付加反応し結合したもの
MAA−GMA:構成単位メタクリル酸にGMAが付加反応し結合したもの
BMA:n−ブチルメタクリレート
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
【0232】
[樹脂溶液(B1−6)]
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン207部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、メタクリル酸20部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成社製アロニックスM110)20部、メタクリル酸メチル45部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート8.5部、及び2,2'−アゾビスイソブチロニトリル3.0部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、共重合体樹脂溶液を得た。次に得られた共重合体溶液全量に対して、窒素ガスを停止し乾燥空気を1時間注入しながら攪拌したのちに、室温まで冷却した後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製カレンズMOI)6.5部、ラウリン酸ジブチル錫0.08部、シクロヘキサノン26部の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が40重量%になるようにシクロヘキサノンを添加して樹脂溶液(B1−6)を調製した。重量平均分子量(Mw)は18000であった。
【0233】
[樹脂溶液(B2−3)]
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にPGMAC70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりベンジルメタクリレート67.2部、メタクリル酸18.4部、ジシクロペンタニルメタクリレート14.4部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3.0部の混合物を2時間かけて滴下し重合反応を行った。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、固形分50重量%のアクリル樹脂溶液を得た。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が40重量%になるようにPGMACを添加して樹脂溶液(B2−3)を調製した。重量平均分子量は22000であった。
【0234】
[樹脂溶液(B2−5)]
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン196部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、n−ブチルメタクリレート37.2部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート12.9部、メタクリル酸12.0部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM110」)20.7部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.1部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が40重量%になるようにPGMACを添加して樹脂溶液(B2−5)を調製した。重量平均分子量(Mw)は26000であった。
【0235】
<着色剤の製造方法>
(緑色着色剤(PG−1):PG58)
フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメントグリーン58(DIC社製「FASTGEN GREEN A110」)を100部、塩化ナトリウム1200部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で6時間混練した。この混練物を3000部の温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、緑色着色剤(PG−1)97部を得た。平均一次粒子径は28.2nmであった。
【0236】
(黄色着色剤(PY−1):PY138)
C.I.ピグメントイエロー138(BASF社製商品名パリオトールイエローK0961HD)を100部、塩化ナトリウム1200部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で6時間混練した。この混練物を3000部の温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、黄色着色剤(PY−1)98部を得た。平均一次粒子径は35.5nmであった。
【0237】
(赤色着色剤(PR−1):PR254)
ジケトピロロピロール系赤色顔料C.I.ピグメントレッド254(BASF社製「IRGAZIN RED 2030」)120部、粉砕した食塩1000部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、60℃で10時間混練した。この混合物を温水2000部に投入し、80℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、115部の赤色着色剤(PR−1)を得た。平均一次粒子径は24.8nmであった。
【0238】
(赤色着色剤(PR−2):PR177)
アントラキノン系赤色顔料C.I.ピグメントレッド177(BASF社製「クロモフタルレッド A2B」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコ
ール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部の赤色着色剤(PR−2)を得た。平均一次粒子径は27.6nmであった。
【0239】
(青色着色剤(PB−1):PB15:6)
フタロシアニン系青色顔料C.I.ピグメントブルー15:6(トーヨーカラー社製「リオノールブルーES」)100部、粉砕した食塩800部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。この混合物を温水3000部に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、98部の青色着色剤(PB−1)を得た。平均一次粒子径は28.3nmであった。
【0240】
(紫色着色剤(PV−1):PV23)
ジオキサジン系紫色顔料C.I.ピグメントバイオレット23(Clariant社製「Fast Violet RL」)120部、粉砕した食塩1600部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、90℃で18時間混練した。この混合物を温水5000部に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、118部の紫色着色剤(PV−1)を得た。平均一次粒子径は26.4nmであった。
【0241】
(色素誘導体(1)の製造)
特許第4585781号公報に記載の合成方法に従い、色素誘導体(1)を得た。
【0242】
【化19】
【0243】
<ヒンダードアミン構造を有する樹脂型分散剤(A)の作製>
(樹脂型分散剤(A−1)の製造) ランダム共重合体
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、PGMAC 133部を仕込み、窒素置換しながら110℃に昇温した。滴下槽に2,2,6,6−テトラメチルピペリジルメタクリレート120部、メチルアクリレート70部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10部、PGMAC 61部、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を6部仕込み、均一になるまで攪拌した後、反応槽へ2時間かけて滴下し、その後同温度で3時間反応を継続した。このようにして、固形分当たりのアミン価が145mgKOH/g、数平均分子量3,500(Mn)のヒンダードアミン骨格を有するビニル系樹脂型分散剤(A−1)を得た。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、不揮発分が30重量%になるようにPGMACを添加してヒンダードアミン骨格を有するビニル系樹脂型分散剤(A−1)溶液を調製した。
【0244】
(樹脂型分散剤(A−2)の製造) ランダム共重合体
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、PGMAC 133部を仕込み、窒素置換しながら110℃に昇温した。滴下槽に1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルメタクリレート177部、メチルアクリレート3部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20部、PGMAC 61部、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を6部仕込み、均一になるまで攪拌した後、反応槽へ2時間かけて滴下し、その後同温度で3時間反応を継続した。このようにして、固形分当たりのアミン価が201mgKOH/g、数平均分子量3,800(Mn)のヒンダードアミン骨格を有するビニル系樹脂型分散剤(A−2)を得た。
(A−1)と同様にして希釈して、ヒンダードアミン骨格を有するビニル系樹脂型分散
剤(A−2)溶液を調製した。
【0245】
(樹脂型分散剤(A−3)の製造) ブロック共重合体
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタクリレート30部、nーブチルメタクリレート30部、ヒドロキシエチルメタクリレート20部、テトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル9.3部、塩化第一銅5.6部、PGMAC 133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロックの重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応装置に、PGMAC 61部、第二ブロックモノマーとして1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルメタクリレート20部を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルメタクリレート投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロックの重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却して重合を停止した。
GPC測定の結果、ポリマーのMw9200、Mw/Mn=1.5であり、反応転化率は98.5%であった。このようにして、固形分当たりのアミン価が57mgKOH/g、のヒンダードアミン構造を有するブロック型の樹脂型分散剤(A−3)を得た。
(A−1)と同様にして希釈して、ヒンダードアミン骨格を有するビニル系樹脂型分散剤(A−3)溶液を調製した。
【0246】
(樹脂型分散剤(A−4)の製造) 櫛形共重合体
ガス導入管、温度計、コンデンサー、および攪拌機を備えた反応容器に、PGMAC 150部、メチルメタクリレート50部、およびn−ブチルタクリレート50 部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、2−メルカプトエタノール4部に、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.5部を溶解した溶液を添加して、10時間反応した。固形分測定により95% が反応したことを確認し、数平均分子量は3900、重量平均分子量8000の反応生成物(A−4a)を得た。
【0247】
上記反応生成物(A−4a)に、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート7.8部とメチルジブチル錫ジラウレート0.05部とメチルヒドロキノン0.05部を追加で仕込み、反応容器を100℃に加熱して4時間反応した。その後40℃まで冷却し、反応性生物(A−4b)を得た。
【0248】
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、PGMAC 43部を仕込み、窒素置換しながら100℃に昇温した。滴下槽に上記反応性生物(A−4b)、ペンタメチルピペリジルメタクリレート(株式会社ADEKA製、アデカスタブLA−82)70部、メチルアクリレート10部、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルブチロニトリル)を4部仕込み、均一になるまで攪拌した後、反応槽へ2時間かけて滴下し、その後同温度で3時間反応を継続した。このようにして、固形分当たりのアミン価が57mgKOH/g、重量平均分子量22500(Mw)の櫛形構造のヒンダードアミン構造を有する樹脂型分散剤(A−4)を得た。
(A−1)と同様にして希釈して、櫛形構造のヒンダードアミン骨格を有するビニル系樹脂型分散剤(A−4)溶液を調製した。
【0249】
<ヒンダードアミン骨格を有しない樹脂型分散剤(C)の作製>
[酸性樹脂型分散剤]
(樹脂型分散剤(C−1)の製造)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、メチルメタクリレート80部、n−ブチルアクリレート20部、PGMAC 44部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3‐メルカプト‐1,2‐プロパンジオール2.2部を添加した後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.3部をPGMAC 24部に溶解したものを20回に分けて30分ごとに加え、80℃のまま12時間反応し、固形分測定により95%が反応したことを確認した。次に、トリメリット酸無水物7.4部、触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.2部を追加し、120℃で2時間、80℃で5時間反応させた。90%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを滴定で確認し固形分当たりの酸価40mgKOH/g、数平均分子量(Mn)5,200、ガラス転移温度(Tg)57℃である芳香族カルボキシル基を有する樹脂型分散剤(C−1)を得た。
(A−1)と同様にして希釈して、芳香族カルボキシル基を有する樹脂型分散剤(C−1)溶液を調製した。
【0250】
(樹脂型分散剤(C−2)の製造)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、1−ドデカノール62.6部、ε−カプロラクトン287.4部、触媒としてモノブチルスズ(IV)オキシド0.1部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で4時間加熱、撹拌した。固形分測定により98%が反応したことを確認した後、ここにポリリン酸116%(純正化学製)29.2部を加え、120℃で2時間反応させ、分散剤を得た。このようにして固形分当たりの数平均分子量(Mn)1,200、ガラス転移温度(Tg)−60℃のりん酸基を有する樹脂型分散剤(C−2)を得た。
(A−1)と同様にして希釈して、りん酸基を有する樹脂型分散剤(C−2)溶液を調製した。
【0251】
(樹脂型分散剤(C−3)の製造)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、1−ドデカノール62.6部、ε−カプロラクトン287.4部、触媒としてモノブチルスズ(IV)オキシド0.1部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で4時間加熱、撹拌した。固形分測定により98%が反応したことを確認した後、ここに三酸化硫黄−ピリジン錯体を53.5部を加え、50℃で2時間反応させた。その後、ストリッピングしてピリジンを除去し、分散剤を得た。このようにして固形分当たりの数平均分子量(Mn)1,200、ガラス転移温度(Tg)−60℃の硫酸基を有する樹脂型分散剤(C−3)を得た。
(A−1)と同様にして希釈して、硫酸基を有する樹脂型分散剤(C−3)溶液を調製した。
【0252】
(樹脂型分散剤(C−5)の製造)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、1−ドデカノール5.5部、ε−カプロラクトン25.0部、触媒としてモノブチルスズ(IV)オキシド0.1部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で4時間加熱、撹拌した。固形分測定により98%が反応したことを確認した後、ここにピロメリット酸無水物3.0部を加え、100℃で5時間反応させ、分散剤を得た。このようにして固形分当たりの数平均分子量(Mn)2,500、ガラス転移温度(Tg)−60℃の樹脂型分散剤(C−5)を得た。
ここにシクロヘキサノン26.0部、PGMAC 52.0部を添加して不揮発分30%の芳香族カルボキシル基を有する樹脂型分散剤(C−5)溶液を得た。
【0253】
(樹脂型分散剤(C−6)の製造)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、エチルアクリレート60部、t−ブチルアクリレート40部、メタクリル酸10部、メチルメタクリレート90部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール10部に、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1部を溶解した溶液を添加して、10時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。ピロメリット酸無水物20部、PGMAC 200.0部、触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.40部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了し酸価70mgKOH/g、数平均分子量(Mn)5000、ガラス転移温度(Tg)45℃のポリエステル分散剤である樹脂型分散剤(C−6)を得た。
ここにPGMAC 568部を添加して不揮発分30%の芳香族カルボキシル基を有する樹脂型分散剤(C−6)溶液を得た。
【0254】
(樹脂型分散剤(C−7)の製造)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、t−ブチルアクリレート40部、メタクリル酸10部、メチルメタクリレート150部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール3.0部に、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1部を溶解した溶液を添加して、10時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。ピロメリット酸無水物7.0部、PGMAC200.0部、触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.40部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了し、酸価45mgKOH/g、数平均分子量(Mn)10000、ガラス転移温度(Tg)91℃のポリエステル分散剤である樹脂型分散剤(C−7)を得た。
ここにPGMAC 500部を添加して不揮発分30%の芳香族カルボキシル基を有する樹脂型分散剤(C−7)溶液を得た。
【0255】
(樹脂型分散剤(C−8)の製造)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メタクリル酸10部、メチルメタクリレート100部、1−アダマンチルメタクリレート90部(大阪有機化学工業株式会社製「ADMA」)を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール10部に、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1部を溶解した溶液を添加して、10時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。ピロメリット酸無水物20部、PGMAC 200.0部、触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.40部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了し、酸価70mgKOH/g、数平均分子量(Mn)5200、ガラス転移温度(Tg)160℃のポリエステル分散剤である樹脂型分散剤(C−8)を得た。
ここにPGMAC 568部を添加して不揮発分30%の芳香族カルボキシル基を有する樹脂型分散剤(C−8)溶液を得た。
【0256】
(樹脂型分散剤(C−9)の製造)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メタクリル酸10部、メチルメタクリレート75部、1−アダマンチルメタクリレート100部(大阪有機化学工業株式会社製「ADMA」)を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール10部に、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1部を溶解した溶液を添加して、10時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。ピロメリット酸無水物20部、PGMAC 200.0部、触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.40部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了し酸価70mgKOH/g、数平均分子量(Mn)5400、ガラス転移温度(Tg)182℃のポリエステル分散剤である樹脂型分散剤(C−9)を得た。
ここにPGMAC 568部を添加して不揮発分30%の芳香族カルボキシル基を有する樹脂型分散剤(C−9)溶液を得た。
【0257】
[塩基性樹脂型分散剤]
(樹脂型分散剤(C−4)の製造)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、PGMAC 133部を仕込み、窒素置換しながら110℃に昇温した。滴下槽にジエチルアミノエチルメタクリレート200部、PGMAC 61部、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を6部仕込み、均一になるまで攪拌した後、反応槽へ2時間かけて滴下し、その後同温度で3時間反応を継続した。このようにして、固形分当たりのアミン価が345mgKOH/g、数平均分子量(Mn)3000、ガラス転移温度(Tg)18℃のヒンダードアミン骨格を有しないビニル系樹脂型分散剤(C−4)を得た。
(A−1)と同様にして希釈して、ヒンダードアミン骨格を有しない塩基性樹脂型分散剤(C−4)溶液を調製した。
【0258】
<着色組成物の製造方法>
[実施例1]
(緑色着色組成物(DG−1))
下記の組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)にて5時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し、緑色着色組成物(DG−1)を作製した。このとき、塗布基板にした際に、C光源でx=0.290、y=0.600の色度に合うように、緑色着色剤(PG−1)と黄色着色剤(PY−1)の比率を選定した。
緑色着色剤(PG−1) 4.2部
黄色着色剤(PY−1) 7.8部
樹脂型分散剤(A−2)溶液 3.0部
樹脂型分散剤(C−1)溶液 9.0部
樹脂溶液(B1−1) 11.0部
PGMAC 65.0部
【0259】
[実施例2]
(緑色着色組成物(DG−2))
樹脂型分散剤(C−1)を樹脂型分散剤(A−2)に変更した以外は、緑色着色組成物(DG−1)と同様にして、緑色着色組成物(DG−2)を得た。
【0260】
[実施例3〜9、17、比較例1〜5]
(緑色着色組成物(DG−3〜9、17、23〜27))
樹脂溶液(B1−1)と樹脂型分散剤(A−2)を、表2に示す樹脂溶液と分散剤に変更した以外は、緑色着色組成物(DG−2)と同様にして、緑色着色組成物(DG−3〜9、17、23〜27)を得た。
【0261】
[実施例10〜16、18〜22]
(緑色着色組成物(DG−10〜16、18〜22))
樹脂溶液(B1−1)と樹脂型分散剤(C−1)を表2に示す樹脂溶液、または樹脂型分散剤(C)に変更した以外は、緑色着色組成物(DG−1)と同様にして、緑色着色組成物(DG−10〜16、18〜22)を得た。
【0262】
[実施例23]
(赤色着色組成物(DR−1))
下記の組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)にて5時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し、赤色着色組成物(DR−1)を作製した。
赤色着色剤(PR−1) 9.6部
赤色着色剤(PR−2) 2.4部
樹脂型分散剤(A−2)溶液 3.0部
樹脂型分散剤(C−1)溶液 9.0部
樹脂溶液(B1−1) 11.0部
PGMAC 65.0部
【0263】
[実施例24]
(赤色着色組成物(DR−2))
樹脂型分散剤(C−1)を樹脂型分散剤(A−2)に変更した以外は、赤色着色組成物(DR−1)と同様にして、赤色着色組成物(DR−2)を得た。
【0264】
[実施例25]
(青色着色組成物(DB−1))
下記の組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)にて5時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し、青色着色組成物(DB−1)を作製した。
青色着色剤(PB−1) 7.2部
紫色着色剤(PV−1) 4.8部
樹脂型分散剤(A−2)溶液 3.0部
樹脂型分散剤(C−1)溶液 9.0部
樹脂溶液(B1−1) 11.0部
PGMAC 65.0部
【0265】
[実施例26]
(青色着色組成物(DB−2))
樹脂型分散剤(C−1)を樹脂型分散剤(A−2)に変更した以外は、青色着色組成物(DB−1)と同様にして、青色着色組成物(DB−2)を得た。
【0266】
<着色組成物の評価>
得られた着色組成物(DG−1〜27、DR−1、2、DB−1、2)の初期粘度、保存安定性、および耐熱性の評価を下記方法で行った。表2に評価結果を示す。
【0267】
(初期粘度の評価)
着色組成物の粘度は、E型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて、25℃における初期粘度を測定した。
【0268】
(保存安定性の評価)
得られた着色組成物について、40℃の恒温機に1週間保存して経時促進させた後、経時後の着色組成物の粘度を前記粘度測定と同じ方法で測定し、40℃で1週間保存した前後の粘度の変化率を計算し、以下の基準により2段階で評価した。
○:粘度変化率が±20%以内で、沈降物を生じなかった場合。
×:粘度変化率が±20%を超える場合、又は粘度変化率が±20%以内であっても沈降物を生じていた場合。
【0269】
(塗膜の耐熱性評価)
得られた着色組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布し、次に70℃で20分乾燥し、ついで220℃で30分間加熱、放冷することで塗膜基板を作製した。作製した塗膜基板は、220℃での熱処理後で、C光源で赤色着色組成物はx=0.640、緑色着色組成物はy=0.600、青色着色組成物はy=0.060の色度に合うようにした。
得られた塗膜のC光源での色度([L*(1)、a*(1)、b*(1)])を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて測定した。さらにその後、耐熱性試験として230℃で1時間加熱し、C光源での色度([L*(2)、a*(2)、b*(2)])を測定し、下記計算式により、色差ΔEab*を求め、下記の4段階で評価した。
ΔEab* = √((L*(2)- L*(1))
2+ (a*(2)- a*(1))
2+( b*(2)- b*(1))
2)
◎:ΔEab*が3.0未満
○:ΔEab*が3.0以上5.0未満
△:ΔEab*が5.0以上10.0未満
×:ΔEab*が10.0以上
【0270】
【表2】
【0271】
表2に示すように、特定構造の樹脂型分散剤(A)と特定構造を有するバインダー樹脂[B1]とを含む本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、いずれも低粘度で保存安定性も良好であって、耐熱性も非常に優れた結果であった。
【0272】
<感光性着色組成物の製造方法>
[実施例27]
(緑色感光性着色組成物(RG−1))
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過して緑色感光性着色組成物(RG−1)を得た。
緑色着色組成物(DG−1) 37.5部
樹脂溶液(B1−1) 9.0部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM402」 3.0部
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) 1.3部
増感剤(保土谷化学社製「EAB−F」) 0.2部
PGMAC 49.0部
【0273】
[実施例28〜48、比較例6〜10]
(緑色感光性着色組成物(RG−2〜27)
緑色着色組成物(DG−1)と樹脂溶液(B1−1)を表3に示す緑色着色組成物と樹脂溶液に変更した以外は、(RG−1)と同様にして緑色感光性着色組成物(RG−2〜27)を得た。
【0274】
[実施例49]
(赤色感光性着色組成物(RR−1)の作製)
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過し
、赤色感光性着色組成物(RR−1)を作製した。
赤色着色組成物(DR−1) 37.5部
樹脂溶液(B1−1) 9.0部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM402」 3.0部
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) 1.3部
増感剤(保土谷化学社製「EAB−F」) 0.2部
PGMAC 49.0部
【0275】
[実施例50]
(赤色感光性着色組成物(RR−2)
赤色着色組成物(DR−1)を表3に示す赤色着色組成物と樹脂溶液に変更する以外は、(RR−1)と同様にして赤色感光性着色組成物(RR−2)を得た。
【0276】
[実施例51]
(青色感光性着色組成物(RB−1)の作製)
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過し、青色感光性着色組成物(RB−1)を作製した。
青色着色組成物(DB−1) 37.5部
アクリル樹脂溶液(B1−1) 9.0部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM402」 3.0部
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) 1.3部
増感剤(保土谷化学社製「EAB−F」) 0.2部
PGMAC 49.0部
【0277】
[実施例52]
(青色感光性着色組成物(RB−2)
青色着色組成物(DB−1)を表3に示す青色着色組成物に変更する以外は、(RB−1)と同様にして青色感光性着色組成物(RB−2)を得た。
【0278】
<感光性着色組成物の塗膜作製と評価>
得られた感光性着色組成物(RG−1〜27、RR1〜2、RB1〜2)を用いて作製した塗膜の現像性、耐熱性、解像度、および明度の評価を下記方法で行った。表3に評価結果を示す。
【0279】
(現像性評価)
感光性着色組成物(RG−1〜27、RR1、2、RB1、2)を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に乾燥後の膜厚が2μmになる回転数にてスピンコーターを用いて塗布した基板を、70℃で20分乾燥後、23℃の炭酸ナトリウム水溶液を用いてスプレー現像し、現像性を4段階で評価した。なお、アルカリ現像液は、炭酸ナトリウム1.5重量%、炭酸水素ナトリウム0.5重量%、陰イオン系界面活性剤(花王
社製「ペレックスNBL」)8.0重量%、および水90重量%からなるものを用いた。
また、現像性評価は下記基準に従って判定した。
◎:30秒以内に完全に除去できるもの
○:30秒を超えるが33秒以内に完全に除去できるもの
△:33秒を超えるが36秒以内に完全に除去できるもの
×:36秒を超えても完全に除去できないもの
【0280】
(塗膜の耐熱性評価)
得られた感光性着色組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布し、次に70℃で20分乾燥し、超高圧水銀ランプを用いて、積算光量150mJ/cm
2で紫外線露光を行い、23℃のアルカリ現像液で現像を
行った。ついで220℃で30分間加熱、放冷後し、塗膜基板を得た。作製した塗膜基板は、220℃での熱処理後で、C光源で赤色着色組成物はx=0.640、緑色着色組成物はy=0.600、青色着色組成物はy=0.060の色度に合うようにした。
得られた塗膜のC光源での色度([L*(1)、a*(1)、b*(1)])を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて測定した。さらにその後、耐熱性試験として230℃で1時間加熱し、C光源での色度([L*(2)、a*(2)、b*(2)])を測定し、下記計算式により、色差ΔEab*を求め、下記の4段階で評価した。
ΔEab* = √((L*(2)- L*(1))
2+ (a*(2)- a*(1))
2+( b*(2)- b*(1))
2)
◎:ΔEab*が3.0未満
○:ΔEab*が3.0以上5.0未満
△:ΔEab*が5.0以上10.0未満
×:ΔEab*が10.0以上
【0281】
(解像度評価)
得られた感光性着色組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に塗工した後、クリーンオーブン中70℃で20分間加温して溶剤を除去し、約2μmの塗膜を得た。次いで、この基板を室温に冷却後、超高圧水銀ランプを用い、100μm幅(ピッチ200μm)および25μm幅(ピッチ50μm)ストライプパターンのフォトマスクを介して紫外線を露光した。その後、この基板を23℃の炭酸ナトリウム水溶液を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄、風乾し、クリーンオーブン中230℃で330分間加熱した。スプレー現像は、それぞれの感光性着色組成物での塗膜について、現像残りなくパターン形成可能な最短時間で行い、これを適正現像時間とした。なお、アルカリ現像液は、炭酸ナトリウム1.5重量%、炭酸水素ナトリウム0.5重量%、陰イオン系界面活性剤(花王社製「ペレックスNBL」)8.0重量%、および水90重量%からなるものを用いた。
塗膜の膜厚は、Dektak 3030(日本真空技術社製)を用いて測定した。
【0282】
上記方法で形成されたフィルタセグメントの25μmフォトマスク部分でのパターンについて、光学顕微鏡を用いて観察して評価を行った。評価のランクは次の通りである。解像性不良とは、隣接するストライプパターンが繋がったり、欠けが発生したりすることである。また、解像度評価は下記基準に従って判定した。
◎:解像性および直線性良好
○:直線性の点でやや劣るが解像性良好
△:部分的に解像性不良
×:解像性不良
【0283】
(明度評価)
得られた感光性着色組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布し、次に70℃で20分乾燥し、超高圧水銀ランプを用いて、積算光量150mJ/cm
2で紫外線露光を行い、23℃のアルカリ現像液で現像を行った。220℃で30分間加熱、放冷後し、塗膜基板を得た。作製した塗膜基板は、220℃での熱処理後で、C光源で赤色着色組成物はx=0.640、y=0.330、緑色着色組成物はx=0.290、y=0.600、青色着色組成物はx=0.150、y=0.060の色度に合うようにした。
得られた塗膜のC光源での色度を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて測定した。
【0284】
【表3】
【0285】
表3に示すように、特定構造の樹脂型分散剤(A)と特定構造を有するバインダー樹脂[B1]とを含む本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、全ての評価で高水準の評価結果を得た。
【0286】
すなわち特定構造の樹脂型分散剤(A)との組み合わせにおいて、樹脂[B1]の構成単位(b1)を多く含有する構成では現像性の向上が、構成単位(b2)を多く含有する構成では耐熱性の向上が見られ、さらに構成単位(b3)を多く含有する構成では高耐熱性、高解像度を与える効果が認められる傾向にあり、高い性能を有した着色組成物である。
【0287】
また、特定構造の樹脂型分散剤(A)との組み合わせにおいて、樹脂型分散剤(C)の重合体部位のTgが高いほど高明度であって、樹脂[B1]の構成単位(b1)が無水コハク酸由来の場合、現像性の向上が認められ、高い性能を有した着色組成物が得られた。
【0288】
<カラーフィルタの作製>
ガラス基板上にブラックマトリクスをパターン加工し、該基板上にスピンコーターで赤色感光性着色組成物(RR−1)をC光源において(以下、緑色、青色にも用いる)x=0.640、y=0.330になるように塗布し着色被膜を形成した。該被膜にフォトマスクを介して、超高圧水銀ランプを用いて150mJ/cm
2の紫外線を照射した。次いで
0.2重量%の炭酸ナトリウム水溶液からなるアルカリ現像液によりスプレー現像して未露光部分を取り除いた後、イオン交換水で洗浄し、この基板を220℃で20分加熱して、赤色フィルタセグメントを形成した。同様の方法により、本発明の緑色感光性着色組成物(RG−1)をx=0.290、y=0.600になるように、青色感光性着色組成物(RB―1)を用いてx=0.150、y=0.060になるように緑色フィルタセグメント、青色フィルタセグメントを形成して、カラーフィルタを得た。
【0289】
本発明の感光性着色組成物を用いることにより、耐熱性の良いカラーフィルタの作製が可能であり、その他物性にも問題なく好適に使用することができた。