特許第6536098号(P6536098)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6536098
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】貼り合わせ基板の分断方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 33/07 20060101AFI20190625BHJP
   B28D 5/00 20060101ALI20190625BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20190625BHJP
【FI】
   C03B33/07
   B28D5/00 Z
   G02F1/1333 500
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-51912(P2015-51912)
(22)【出願日】2015年3月16日
(65)【公開番号】特開2016-8171(P2016-8171A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2018年2月28日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0078290
(32)【優先日】2014年6月25日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0106717
(32)【優先日】2014年8月18日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390000608
【氏名又は名称】三星ダイヤモンド工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】崔 東光
【審査官】 吉川 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−165264(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/029660(WO,A1)
【文献】 特開2003−002676(JP,A)
【文献】 特開2011−105521(JP,A)
【文献】 特開2002−287107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 33/07
C03B 33/09
B28D 1/22
B28D 5/00
B23K 26/00 − 26/70
G02F 1/13 − 1/1333
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貼り合わせ基板(10)の上部ガラス部(11a)と下部ガラス部(11b)との間に形成されたシール部(8)上を分断する貼り合わせ基板(10)の分断方法において、
前記シール部(8)上の上部ガラス部(11a)又は下部ガラス部(11b)をスクライビングホイール(60)で前記シール部(8)まで到逹するようにスクライブして上部ガラス部(11a)又は下部ガラス部(11b)にスクライブライン(CL)を形成する段階と、
前記上部ガラス部(11a)又は下部ガラス部(11b)に形成された前記スクライブライン(CL)の位置から間隔を置いて離隔された位置に形成されたシール部(8)にレーザを照射して該シール部(8)をスクライブする段階と、
前記シール部(8)をスクライブする段階の後に、前記スクライブライン(CL)が形成されていない残りのガラス部をスクライビングホイール(60)でスクライブする段階を含み、
前記上部ガラス部(11a)と下部ガラス部(11b)の間には、前記シール部(8)により外周部分が密封される液晶部(50)が形成され、
前記液晶部(50)を基準として、前記スクライブライン(CL)よりも遠い位置の前記シール部(8)にレーザを照射して前記シール部(8)をスクライブすることを特徴とする貼り合わせ基板の分断方法。
【請求項2】
貼り合わせ基板(10)の上部ガラス部(11a)と下部ガラス部(11b)との間に形成されたシール部(8)上を分断する貼り合わせ基板(10)の分断方法において、
前記シール部(8)上の上部ガラス部(11a)又は下部ガラス部(11b)の厚さの一部までスクライビングホイール(60)でスクライブして上部ガラス部(11a)又は下部ガラス部(11b)にスクライブライン(CL)を形成した後に、スクライブされた上部ガラス部(11a)又は下部ガラス部(11b)をローラブレイク又はバーブレイクで押圧して上部ガラス部(11a)又は下部ガラス部(11b)に前記シール部(8)まで到逹するスクライブライン(CL)を形成する段階と、
前記上部ガラス部(11a)又は下部ガラス部(11b)に形成された前記スクライブライン(CL)の位置から間隔を置いて離隔された位置に形成されたシール部(8)にレーザを照射して該シール部(8)をスクライブする段階と、
前記シール部(8)をスクライブする段階の後に、前記スクライブライン(CL)が形成されていない残りのガラス部をスクライビングホイール(60)でスクライブする段階を含み、
前記上部ガラス部(11a)と下部ガラス部(11b)の間には、前記シール部(8)により外周部分が密封される液晶部(50)が形成され、
前記液晶部(50)を基準として、前記スクライブライン(CL)よりも遠い位置の前記シール部(8)にレーザを照射して前記シール部(8)をスクライブすることを特徴とする貼り合わせ基板の分断方法。
【請求項3】
貼り合わせ基板(10)の上部ガラス部(11a)と下部ガラス部(11b)との間に形成されたシール部(8)上を分断する貼り合わせ基板(10)の分断方法において、
前記シール部(8)上の上部ガラス部(11a)及び下部ガラス部(11b)をスクライビングホイール(60)で前記シール部(8)まで到逹するようにスクライブして上部ガラス部(11a)及び下部ガラス部(11b)にスクライブライン(CL)を形成する段階と、
前記上部ガラス部(11a)及び下部ガラス部(11b)に形成された前記スクライブライン(CL)の位置から間隔を置いて離隔された位置に形成されたシール部(8)にレーザを照射して該シール部(8)をスクライブする段階を含み、
前記上部ガラス部(11a)と下部ガラス部(11b)の間には、前記シール部(8)により外周部分が密封される液晶部(50)が形成され、
前記液晶部(50)を基準として、前記スクライブライン(CL)よりも遠い位置の前記シール部(8)にレーザを照射して前記シール部(8)をスクライブすることを特徴とする貼り合わせ基板の分断方法。
【請求項4】
貼り合わせ基板(10)の上部ガラス部(11a)と下部ガラス部(11b)との間に形成されたシール部(8)上を分断する貼り合わせ基板(10)の分断方法において、
前記シール部(8)上の上部ガラス部(11a)及び下部ガラス部(11b)の厚さの一部までスクライビングホイール(60)でスクライブして上部ガラス部(11a)及び下部ガラス部(11b)にスクライブライン(CL)を形成した後に、スクライブされた上部ガラス部(11a)及び下部ガラス部(11b)をローラブレイク又はバーブレイクで押圧して上部ガラス部(11a)及び下部ガラス部(11b)に前記シール部(8)まで到逹するスクライブライン(CL)を形成する段階と、
前記上部ガラス部(11a)及び下部ガラス部(11b)に形成された前記スクライブライン(CL)の位置から間隔を置いて離隔された位置に形成されたシール部(8)にレーザを照射して該シール部(8)をスクライブする段階を含み、
前記上部ガラス部(11a)と下部ガラス部(11b)の間には、前記シール部(8)により外周部分が密封される液晶部(50)が形成され、
前記液晶部(50)を基準として、前記スクライブライン(CL)よりも遠い位置の前記シール部(8)にレーザを照射して前記シール部(8)をスクライブすることを特徴とする貼り合わせ基板の分断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貼り合わせ基板の分断方法に関し、詳しくは、基板の不要なダミー部を最大限に小さくすることができるだけではなく、滑らかな分断面を得ることができる貼り合わせ基板の分断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、従来では、液晶基板の不要なダミー部を取り除く時には、スクライビングホイールのみを利用していた。
【0003】
具体的に、一般的な液晶基板は、上部ガラス部と下部ガラス部の間に液晶層が充填された後に液晶層が外部へ漏液しないように液晶層の枠部分をシール層で囲んでシーリングされている。
すなわち、シール層を上部ガラス部と下部ガラス部の互いに対向する面に付着させて、液晶層が外部へ流れ出さないように密封する構造になっている。
【0004】
また、シール性を高めるために、シール層を基板平面の延在方向に幅広に形成させている。
【0005】
このように、液晶基板の枠部分に広い幅を有するシール層が含まれているため、従来は、ベゼル(額縁)のサイズが大きい状態で使用しているか、又はシール層の外周部分を切り取ってベゼルを小さくしているというのが実情であった。
【0006】
しかし、最近は、液晶基板を互いに平面に連結して使用する場合も存在し、この場合、画像の具現時にシール層の外周部分同士の連結部位で画像が滑らかではない問題点がある。
【0007】
このような問題点を解決すべく、液晶基板のシール層の幅を最大限切り取るために、スクライビングホイールを利用して液晶基板のシール層まで深く食い込むように分断している。
【0008】
しかし、スクライビングホイールを利用して液晶基板のシール層をスクライブする時には、シール層が有している物性により、スクライビングホイールがスクライブしながら直進性を失ったり、スクライブ予定ラインに沿って移動することができずに別の方向に走行して、基板を不良にする問題点が発生している。
【0009】
また、従来のスクライビングホイール方式では、上部ガラス部と下部ガラス部の間に位置されているシール層まで食い込むようなスクライブが難しく、スクライビングホイールのスクライブ作業が完了した後にもシール層が分断されずに残っており、ガラスが完全に分離しない問題点も発生している実情である。
【0010】
さらに、最近は、多数の液晶基板を平面で互いに枠が当接するようにして大型の画面を具現させて発売される画面装置が多くなっており、画面を具現することができる液晶層以外の部分、例えば、シール層は最小とするための研究が盛んに試みられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述のような問題点を解決すべく創出されたものであって、その目的はレーザを利用して液晶基板等の貼り合わせ基板をスクライブするとき、基板の不要なダミー部を最大限に小さくすることができるだけではなく、滑らかな分断面を得ることができる貼り合わせ基板の分断方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様による貼り合わせ基板の分断方法は、貼り合わせ基板(10)の上部ガラス部(11a)と下部ガラス部(11b)との間に形成されたシール部(8)上を分断する貼り合わせ基板(10)の分断方法において、前記シール部(8)上の上部ガラス部(11a)又は下部ガラス部(11b)をスクライビングホイール(60)で前記シール部(8)まで到逹するようにスクライブして上部ガラス部(11a)又は下部ガラス部(11b)にスクライブライン(CL)を形成する段階と、前記上部ガラス部(11a)又は下部ガラス部(11b)に形成された前記スクライブライン(CL)の位置から間隔を置いて離隔された位置に形成されたシール部(8)にレーザを照射して該シール部(8)をスクライブする段階と、前記シール部(8)をスクライブする段階の後に、前記スクライブライン(CL)が形成されていない残りのガラス部をスクライビングホイール(60)でスクライブする段階を含み、前記上部ガラス部(11a)と下部ガラス部(11b)の間には、前記シール部(8)により外周部分が密封される液晶部(50)が形成され、前記液晶部(50)を基準として、前記スクライブライン(CL)よりも遠い位置の前記シール部(8)にレーザを照射して前記シール部(8)をスクライブすることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の第2の態様による貼り合わせ基板の分断方法は、貼り合わせ基板(10)の上部ガラス部(11a)と下部ガラス部(11b)との間に形成されたシール部(8)上を分断する貼り合わせ基板(10)の分断方法において、前記シール部(8)上の上部ガラス部(11a)又は下部ガラス部(11b)の厚さの一部までスクライビングホイール(60)でスクライブして上部ガラス部(11a)又は下部ガラス部(11b)にスクライブライン(CL)を形成した後に、スクライブされた上部ガラス部(11a)又は下部ガラス部(11b)をローラブレイク又はバーブレイクで押圧して上部ガラス部(11a)又は下部ガラス部(11b)に前記シール部(8)まで到逹するスクライブライン(CL)を形成する段階と、前記上部ガラス部(11a)又は下部ガラス部(11b)に形成された前記スクライブライン(CL)の位置から間隔を置いて離隔された位置に形成されたシール部(8)にレーザを照射して該シール部(8)をスクライブする段階と、前記シール部(8)をスクライブする段階の後に、前記スクライブライン(CL)が形成されていない残りのガラス部をスクライビングホイール(60)でスクライブする段階を含み、前記上部ガラス部(11a)と下部ガラス部(11b)の間には、前記シール部(8)により外周部分が密封される液晶部(50)が形成され、前記液晶部(50)を基準として、前記スクライブライン(CL)よりも遠い位置の前記シール部(8)にレーザを照射して前記シール部(8)をスクライブすることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の第3の態様による貼り合わせ基板の分断方法は、貼り合わせ基板(10)の上部ガラス部(11a)と下部ガラス部(11b)との間に形成されたシール部(8)上を分断する貼り合わせ基板(10)の分断方法において、前記シール部(8)上の上部ガラス部(11a)及び下部ガラス部(11b)をスクライビングホイール(60)で前記シール部(8)まで到逹するようにスクライブして上部ガラス部(11a)及び下部ガラス部(11b)にスクライブライン(CL)を形成する段階と、前記上部ガラス部(11a)及び下部ガラス部(11b)に形成された前記スクライブライン(CL)の位置から間隔を置いて離隔された位置に形成されたシール部(8)にレーザを照射して該シール部(8)をスクライブする段階を含み、前記上部ガラス部(11a)と下部ガラス部(11b)の間には、前記シール部(8)により外周部分が密封される液晶部(50)が形成され、前記液晶部(50)を基準として、前記スクライブライン(CL)よりも遠い位置の前記シール部(8)にレーザを照射して前記シール部(8)をスクライブすることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の第4の態様による貼り合わせ基板の分断方法は、貼り合わせ基板(10)の上部ガラス部(11a)と下部ガラス部(11b)との間に形成されたシール部(8)上を分断する貼り合わせ基板(10)の分断方法において、前記シール部(8)上の上部ガラス部(11a)及び下部ガラス部(11b)の厚さの一部までスクライビングホイール(60)でスクライブして上部ガラス部(11a)及び下部ガラス部(11b)にスクライブライン(CL)を形成した後に、スクライブされた上部ガラス部(11a)及び下部ガラス部(11b)をローラブレイク又はバーブレイクで押圧して上部ガラス部(11a)及び下部ガラス部(11b)に前記シール部(8)まで到逹するスクライブライン(CL)を形成する段階と、前記上部ガラス部(11a)及び下部ガラス部(11b)に形成された前記スクライブライン(CL)の位置から間隔を置いて離隔された位置に形成されたシール部(8)にレーザを照射して該シール部(8)をスクライブする段階を含み、前記上部ガラス部(11a)と下部ガラス部(11b)の間には、前記シール部(8)により外周部分が密封される液晶部(50)が形成され、前記液晶部(50)を基準として、前記スクライブライン(CL)よりも遠い位置の前記シール部(8)にレーザを照射して前記シール部(8)をスクライブすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、貼り合わせ基板のシール部をレーザでスクライブした時に発生する気泡が貼り合わせ基板の液晶層側へ流れ込まないようにすることにより、液晶層が汚染されたり、不良になることを防止することができる効果がある。
【0018】
また、貼り合わせ基板の分断面を良好に形成することができるとともに、貼り合わせ基板の分離性を向上させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】貼り合わせ基板のシール部上にスクライブラインを形成することを示す図である。
図2】貼り合わせ基板の側断面から見た概路図である。
図3】スクライビングホイールを利用して貼り合わせ基板をスクライブする作業状態を示す図である。
図4】貼り合わせ基板のスクライブ方法に関する他の実施例を示す図である。
図5】貼り合わせ基板のスクライブライン上にレーザを照射したときの気泡の浸透現象を示す顕微鏡写真である。
図6】貼り合わせ基板のスクライブラインの外側位置にレーザを照射したときの気泡の浸透現象を示す顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態に係る貼り合わせ基板の分断方法を添付の図を参照して具体的に説明する。
【0021】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る貼り合わせ基板10は、上部ガラス部11a及び下部ガラス部11bを含み、これらの上部ガラス部11aと下部ガラス部11bの間に液晶部50が形成されている。そして、液晶部50が貼り合わせ基板10の外部へ漏液しないように液晶部50の外周がシール部8で密封されている。
【0022】
貼り合わせ基板10の枠部には、不要な部分であるダミー部5が存在する。このようなダミー部5に該当する上部ガラス部11a及び下部ガラス部11bの枠部の間にはシール部8も含まれている。
【0023】
このようなダミー部5は、貼り合わせ基板10を通じて具現される画像の質を高めるためにそのサイズを最小化させることが好ましく、ダミー部5は分断除去される必要がある。
【0024】
本実施形態に係る貼り合わせ基板のスクライブ方法では、まず、貼り合わせ基板10上に1次的にスクライビングホイール60を利用して上部ガラス部11a又は下部ガラス部11bにスクライブラインCL(図1に破線で示した矢印部分)を形成する。参考までに、図2では、下部ガラス部11bにスクライブラインCLが形成された様子が図示されている。
【0025】
そして、上部ガラス部11a又は下部ガラス部11bにスクライブラインCLを形成するときには、シール部の8の領域までスクライビングホイール60が食い込むようにスクライブラインCLを形成する。これとは異なる方法で、図3に示すように、スクライビングホイール60を利用して上部ガラス部11a又は下部ガラス部11bの厚さの一部まで食い込むようにスクライブラインを形成し、その後ローラブレイク70等のブレイク器具を利用して当該スクライブラインが形成されたガラス部を厚さ方向に押圧して、上部ガラス部11a又は下部ガラス部11bに当該ガラス部の表面からシール部8が形成された面まで到達するスクライブラインCLを形成することもできる。
【0026】
上述のように上部ガラス部11a又は下部ガラス部11bにスクライブラインCLが形成されると、スクライブラインCLから外側(貼り合わせ基板10の枠側)へ所定間隔離隔された位置にあるシール部8(図1に実線で示した矢印部分を参照)にレーザを照射してシール部8をスクライブする。
【0027】
この時、シール部8がレーザによりスクライブされると気泡が発生し、発生した気泡は、上部ガラス部11a及び下部ガラス部11bの間でシール部8の幅方向である液晶部50及びダミー部5側へ伝播していく。
【0028】
ダミー部5側へ伝播していく気泡は、ダミー部5を経て貼り合わせ基板10の外へ排出される。
【0029】
そして、ダミー部5と反対方向である液晶部50側へ伝播していく気泡は、スクライブラインCLが形成された部位に到逹することになる。この時に気泡は、図2の拡大図に図示された矢印方向に沿って、シール部8から下部ガラス部11bに形成されたスクライブラインCLの隙間へ誘導されて外へ排出される。すなわち、貼り合わせ基板10上に形成されたスクライブラインCLを通じて気泡が押し出されるので、気泡は液晶部50が形成されている位置へはこれ以上進行しない。
【0030】
図5を参照すると、レーザをスクライブラインCLと同一線上のシール部8に照射した場合、シール部8上で発生した気泡がスクライブラインCLを越えて液晶部50まで押し込まれることを確認することができる。
【0031】
これに対し、図6を参照すると、上部ガラス部11a又は下部ガラス部11b上のいずれか一方にスクライブラインCLを形成し、このスクライブラインCLから間隔を置いて離隔された位置にあるシール部8にレーザを照射した場合、シール部8で発生する気泡はスクライブラインCLを越すことができず、留まっていることを確認することができる。これにより、シール部8で発生した気泡は、液晶部50側へ伝播していく途中でスクライブラインCLの隙間の外へ誘導されて排出されることを確認することができる。
【0032】
したがって、液晶部50に気泡が侵透することを防止する観点からは、貼り合わせ基板10のシール部8上にレーザを照射する時に、上部ガラス部11a又は下部ガラス部11bのスクライブラインCLからダミー部5側へ間隔を置いて離隔された位置のシール部8にレーザを照射することが好ましい。
【0033】
そして、シール部8にレーザ20を照射してスクライブする段階を経た後には、上部ガラス部11a又は下部ガラス部11bのうちスクライブされずに付着している残りのガラス部をスクライビングホイール60でスクライブする。これにより、貼り合わせ基板10から不要なダミー部5及びシール部8を容易かつ奇麗に除去することができる。
【0034】
一方、本実施形態では、上部ガラス部11a又は下部ガラス部11bのうちいずれか一方にのみスクライブラインCLを先に形成させた後、シール部8にレーザを照射して気泡をスクライブラインCLが形成された隙間へ誘導させて排出させるものとして説明しているが、これに限定するものではない。
【0035】
すなわち、本発明の他の実施形態によると、スクライビングホイール60で上部ガラス部11a及び下部ガラス部11bの両方にスクライブラインCLを形成させた後、シール部8にレーザを照射して気泡を両方のガラス部に形成されたスクライブラインCLへ誘導することもできる(図4を参照)。
【0036】
具体的には、上部ガラス部11a及び下部ガラス部11bの両方にスクライブラインCLを形成し、その後、前述した実施形態のようにレーザ20を利用してシール部8を照射してスクライブすると、シール部8で発生する気泡は、図4に示すように上部ガラス部11a及び下部ガラス部11bに形成されたスクライブラインCLに沿って誘導されながら外部へ排出させることができる。
【0037】
本発明の前述した実施形態では、ガラス上に予めスクライブラインCLを形成しておくことにより、レーザを照射してシール部8をスクライブする際に気泡が発生しても、この気泡はガラス部のスクライブラインCLに沿って自然に外部へ誘導されて放出されるので、分断されるシール部の面が奇麗な面を有するように分断することができる。
【0038】
また、本発明の前述した実施形態では、スクライビングホイールでガラス部にスクライブラインCLを予め形成した後、シール部8にレーザ20を照射して接合基板のダミー部5を除去させることができ、ベゼル(額縁)部分等を最小限に減らすことができる。
【符号の説明】
【0039】
8 シール部
10 貼り合わせ基板
11a 上部ガラス部
11b 下部ガラス部
50 液晶部
60 スクライビングホイール
CL スクライブライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6