【実施例1】
【0012】
(構成)
まず、ラフテレーンクレーン1の全体構成を説明する。ラフテレーンクレーン1は、
図1に示すように、走行機能を有する車両の本体部分となる車体10と、車体10の四隅に設けられたアウトリガ11,・・・と、車体10に水平旋回可能に取り付けられた旋回台12と、旋回台12に立設されたブラケット13に取り付けられたブーム14と、を備えている。
【0013】
ブーム14は、先端ブーム143と、基端ブーム141と、それらの間の中間ブーム142、・・・と、によって入れ子式(テレスコープ式)に構成されている。基端ブーム141の下部とブラケット13との間には、起伏シリンダ15が架け渡されて、ブーム14全体が起伏できるようになっている。さらに、本実施例では、基端ブーム141の側面に、ジブ30及びテンションロッド20が横抱姿勢にて格納されている。
【0014】
図2、3は、ジブ30を格納したジブ格納姿勢における、テンションロッド20及びジブ30を示している。ただし、以下の説明において、特に言及しない場合は「上方向/下方向」はジブ作業姿勢における方向で規定している。
【0015】
テンションロッド20は、全体として長尺の棒状に形成される。テンションロッド20は、複数の取付孔を有する長さ調節部24と、中空の鋼管パイプからなる本体部25と、本体部25の先端側に配置されてジブ30のジブ先端連結部31に連結されるロッド先端連結部21と、本体部25の基端側に配置されてジブ格納姿勢においてジブ30のジブ基端連結部32に連結されるロッド基端連結部22と、テンションロッド20の基端近傍を把持するためのグリップ23と、を有している。
【0016】
ロッド先端連結部21は、ジブ先端連結部31にピンを連通することで回動自在に取り付けられる。なお、ロッド先端連結部は、後述するようにジブ先端連結部としての長孔に摺動自在に支承され、チルトシリンダを伸縮することで摺動するように構成することもできる(実施例2参照)。
【0017】
ジブ30は、全体として略Y字状に形成される。ジブ30の(ジブ作業時における)基端側は、先端ブーム143の先端のブームヘッド144(
図1参照)下部の両側の係合部(不図示)と係合するように二股に分岐されており、分岐した先端にはU字状の係合部33が取り付けられている。ジブ30の先端側は、箱状構造となっており、その最先端に2枚のプレートが取り付けられてシーブが回転自在に挟持されている。
【0018】
そして、本実施例のジブ30は、ロッド先端連結部21と連結されるジブ先端連結部31と、ジブ格納姿勢においてテンションロッド20の中間部を受けるコ字型のガイド部材40と、ロッド基端連結部22と連結されるジブ基端連結部32と、を有する。
【0019】
ジブ先端連結部31は、
図2、3に示すように、ジブ30の先端上部に配置されて、テンションロッド20のロッド先端連結部21とピンによって連結される。なお、ジブ先端連結部としては、後述するように、ロッド先端連結部をジブの軸線方向に摺動自在に支承する長穴を形成することもできる(実施例2参照)。
【0020】
ジブ基端連結部32は、
図2、3に示すように、ジブ30の基端上部に配置されて、テンションロッド20のロッド基端連結部22とピンによって連結される。後述するように、このジブ基端連結部32にロッド基端連結部22を連結するために、テンションロッド20のグリップ23を作業者が手で把持して押し下げる。ただし、テンションロッド20は中間部をガイド部材40で支持された状態で自重によって下方に撓んでいるため、下に押し下げる力は人力で十分な大きさである。
【0021】
そして、ガイド部材40は、
図4、5に示すように、全体としてジブ30から上方外側に突出する腕状に形成される。ガイド部材40は、テンションロッド20を受けるコ字部41と、コ字部41を支持する腕部42と、コ字部41及び腕部42を下方から支える補強部43と、を有している。
【0022】
コ字部41は、ジブ作業姿勢において上向きに開くように、換言するとジブ30の反対方向に向いて開くように形成される。コ字部41のジブ30の幅方向の位置は、ジブ先端連結部31とジブ基端連結部32を結ぶ直線上にコ字部41の幅方向の中心が位置するように設定される。
【0023】
そして、ガイド部材40のコ字部41のジブ30の上面からの高さは、ジブ先端連結部31とジブ基端連結部32を結ぶ直線よりも上方向(ジブ作業姿勢)に所定の距離だけ離れた位置とされる。すなわち、コ字部41の高さは、テンションロッド20がジブ30の下方に位置する反転姿勢において、テンションロッド20が自重によって撓んだとしても、テンションロッド20がコ字部41の底面部に押し付けられ固定されるように設定される。換言すると、あらかじめ反転姿勢におけるガイド部材40位置でのテンションロッド20全長の自重による撓み量(形状)を計算しておき、少なくとも、計算した撓み量よりも上方(使用姿勢、反転姿勢では下方)にコ字部41を配置すればよい。したがって、格納作業の途中でテンションロッド基端連結部22をジブ基端連結部32に連結する際には、ガイド部材40によって中間部を支持された状態で撓んでいるため、少なくとも反転状態との撓み量の差分に相当する分の力を手で加える必要がある。
【0024】
なお、ガイド部材40の高さは、格納姿勢が下抱姿勢となる機種では、走行する場合の振動等を考慮すると、上述の撓み量に基づいて計算した高さに所定の余裕高さを加えることが好ましい。ただし、ガイド部材40の高さは、テンションロッド20のパイプ状の本体部25が弾性変形する範囲内で、かつ、手で押して連結できる程度とする必要がある。
【0025】
(作用)
次に、
図6〜9を用いて、本実施例のテンションロッドの格納構造Sの作用について説明する。はじめに、
図6(a)、(b)及び
図7(c)、(d)、(e)を用いて、ジブ30を格納する全体手順について説明する。なお、ジブ30を格納姿勢から使用姿勢(張出姿勢)へと移行する手順は、概ね、以下の手順の逆順となる。
【0026】
まず、
図6(a)に示すように、ブーム14を略水平な状態まで倒し、テンションロッド20をブームヘッド144から取り外す。すなわち、ロッド先端連結部21は、ピンによってジブ先端連結部31に連結したまま、ロッド基端連結部22は、ピンを抜いてブームヘッド144から取り外す。そして、本実施例では、テンションロッド20の中間部をガイド部材40内に載置した状態で、テンションロッド20のグリップ23を把持して手で下向きに押して位置を合わせ、ロッド基端連結部22をジブ基端連結部32にピンによって連結する。
【0027】
これとは逆に、ジブ30を張り出す際には、グリップ23を把持して手で下向きに押しつつ、ピンを抜きロッド基端連結部22をジブ基端連結部32から取り外すことでテンションロッド20の固定が解除される。すなわち、ガイド部材40は上部が開いているため、テンションロッド20の中間部において、従来のようなキャッチ部材の解除作業は必要ない。
【0028】
次に、
図6(b)に示すように、ブーム14を縮めながら、ブーム14を起こす。そうすると、ジブ30が自重によって回動して略垂直に立つ姿勢となる。
【0029】
次に、
図7(c)に示すように、ジブ30(及びテンションロッド20、20)に補助ワイヤ50を掛けてウインチで巻き上げることで、ジブ30をブーム14の下面まで引き寄せる。
【0030】
次に、
図7(d)に示すように、再びブーム14を略水平な状態まで倒し、ジブ30をブームヘッド144から取り外す。すなわち、ブーム14を倒した状態で、ジブ30の係合部33からピンを抜き、ブーム14を一時的に伸ばすことで、ジブ30とブームヘッド144の係合を外す。さらに、基端ブーム141の側面に配置したサイドアップシリンダ(不図示)をピンによってジブ30と連結する。
【0031】
最後に、
図7(e)に示すように、サイドアップシリンダを縮めることで、ジブ30を基端ブーム141の下面から、基端ブーム141の側面まで引き上げる。そして、ジブ30の適所を基端ブーム141に固定してジブ30の格納が完了する。
【0032】
上述したように、
図6(a)の工程では、ジブ30はブームヘッド144の前方に振り出されている。この状態では、ジブ30の上方にテンションロッド20が位置している。そして、この状態で、テンションロッド20の中間部をガイド部材40内に載置し、グリップ23を持って押し下げながら(弾性変形させながら)、テンションロッド20の基端連結部22がジブ30の基端連結部32とピンによって連結される。
【0033】
図6(b)〜
図7(c)の工程では、ジブ30は、ブームヘッド144の下方に吊り下げられて立っている。この状態では、テンションロッド20の長さ方向に重力が作用するため、ガイド部材40からテンションロッド20が逸脱することはない。
【0034】
図7(d)の工程では、ジブ30は、ブーム14下面に引き寄せられ、テンションロッド20が下でジブ30が上にある状態となっている。この状態では、ガイド部材40からテンションロッド20が逸脱する方向に重力が作用する。したがって、この状態はテンションロッド20が最も逸脱しやすい状態である。ただし、本実施例では、自重による撓み量を超えるようにガイド部材40の高さを設定しているため、この状態でもテンションロッド20の復元力によって、テンションロッド20の中間部はガイド部材40の底面部に押し付けられている。なお、格納姿勢が下抱姿勢となる機種では、工程に相違点はあるものの、テンションロッド20とジブ30の荷重関係は
図9に示す状態と同じである。
【0035】
次に、
図7(e)の工程では、ジブ30は、ブーム14側面に引き寄せられて、テンションロッド20が外側でジブ30が内側にある状態となっている。そして、この状態が、横抱姿勢におけるジブ30及びテンションロッド20の格納姿勢となる。この状態では、
図8に示すように、テンションロッド20の復元力はコ字部41の底壁を水平内向きに押す方向に作用し、かつ、テンションロッド20の自重はコ字部41の側壁を垂直下向きに押す方向に作用する。すなわち、復元力の作用方向と自重の作用方向とが略直交している。そして、自重はコ字部41の側壁によって受け、復元力はコ字部41の底壁で受けるようになっている。すなわち、テンションロッド20がコ字部41から逸脱する方向に力は作用しない。むしろ、テンションロッド20がコ字部41から逸脱することを妨げる方向に力が作用する。
【0036】
(効果)
次に、本実施例のテンションロッドの格納構造Sの奏する効果を列挙して説明する。
【0037】
(1)上述してきたように、本実施例のテンションロッドの格納構造Sは、ジブ作業姿勢においてブーム14の先端上部とジブ30の先端適所の間に張設されるテンションロッドの格納構造Sである。そして、テンションロッドの格納構造Sは、ジブ30の先端適所に連結されるロッド先端連結部21と、ジブ格納姿勢においてジブ30の基端適所に連結されるロッド基端連結部22と、を有するテンションロッド20と;ロッド先端連結部21と連結されるジブ先端連結部31と、ジブ格納姿勢においてテンションロッド20の中間部を受けるコ字型のガイド部材40と、ロッド基端連結部22と連結されるジブ基端連結部32と、を有するジブ30と;を備えている。そして、ジブ格納姿勢において、ロッド先端連結部21がジブ先端連結部31と連結されるとともに、ロッド基端連結部22がジブ基端連結部32と連結された状態で、テンションロッド20の弾性変形による復元力によって、テンションロッド20の中間部がコ字型のガイド部材40に押し付けられるようになっている。このため、簡単な構成であり、ジブ30の張出作業の際にテンションロッド20の中間部での作業が必要とされないテンションロッドの格納構造Sとなる。
【0038】
すなわち、テンションロッド20の撓みを利用することで、簡単な構造のガイド部材40によってテンションロッド20を格納・保持できる。さらに、ガイド部材40は上方が開いた構造であるため、ジブ30の張出作業の際に従来のようにキャッチ部材を解除する必要はない。
【0039】
(2)また、テンションロッド20がジブ30よりも下方に位置する反転姿勢において、テンションロッド20が自重によってガイド部材40から逸脱しないように、テンションロッド20がコ字型のガイド部材40の底面部に押し付けられて固定されるように、ガイド部材40のジブ30からの高さが設定される。すなわち、格納作業においては、各工程によってジブ30の姿勢が変化する。そして、各工程中、テンションロッド20がジブ30よりも下方に位置する反転姿勢の荷重状態が、テンションロッド20がガイド部材40から最も逸脱しやすい荷重状態である。そこで、この最も逸脱しやすい荷重状態となる反転姿勢であっても、テンションロッド20がガイド部材40の外に出ないようにガイド部材40の高さを設定すれば、全工程においてテンションロッド20がガイド部材40から外れることを防止できる。具体的には、反転姿勢における自重による撓み量よりも、作業姿勢において高い位置にガイド部材40の底面部を配置すればよい。
【0040】
(3)さらに、ジブ格納姿勢において、ジブ30は、ジブ作業姿勢におけるジブ30下面を基端ブーム141側面に引き寄せた横抱姿勢で保持されるように構成できる。この横抱姿勢では、テンションロッド20の自重はガイド部材40の側壁によって支持され、同時に、テンションロッド20の弾性変形による復元力はガイド部材40の底部を押す方向に作用する。すなわち、横抱姿勢では、テンションロッド20の弾性変形による復元力は、ガイド部材40からの逸脱を妨げる方向に作用するため、テンションロッド20がガイド部材40から逸脱することはない。さらに、テンションロッド20を撓ませてガタつきを抑えることにより、走行振動による接触音の発生を抑制できる。
【0041】
(4)また、ジブ格納姿勢において、ジブ30は、ジブ作業姿勢におけるジブ30下面を基端ブーム141下面に引き寄せた下抱姿勢で保持されるように構成できる。この下抱姿勢では、テンションロッド20の自重は、テンションロッド20の弾性変形による復元力に対向する方向に作用する。しかしながら、テンションロッド20の中間部がコ字型のガイド部材40に押し付けられる程度の復元力を持たせることで、下抱姿勢でもテンションロッド20のガイド部材40からの逸脱を防止できる。
【実施例2】
【0042】
以下、
図10、11を用いて、実施例1とは異なる形態のテンションロッドの格納構造Sについて説明する。なお、前記実施の形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0043】
(構成)
はじめに構成について説明する。
図10、11に示すように、本実施例のテンションロッドの格納構造Sは、実施例1と同様に、テンションロッド20と、ジブ60と、によって構成されている。ただし、実施例1と異なり、テンションロッド20は基端部が作業姿勢においてテンションロッド接続リンク145に接続され、先端部が作業姿勢及び格納姿勢においてサポート部材61に摺動自在に支承されるチルトシリンダ63に接続されている。
【0044】
テンションロッド20は、本体部25と、ジブ先端連結部31としてのサポート部材61に摺動自在に支承されるロッド先端連結部21と、ジブ格納姿勢においてジブ基端連結部62に連結され、ジブ作業姿勢においてテンションロッド接続リンク145に連結されるロッド基端連結部22と、を有している。そして、本実施例の2つのロッド先端連結部21、21は、サポート部材61に挿入されて摺動自在に支承される摺動軸26を介して相互に連結されている。
【0045】
ジブ60は、ロッド先端連結部21どうしを連結する摺動軸26をジブ60の軸線方向に摺動自在に支承する、ジブ先端連結部としてのサポート部材61と、ジブ格納姿勢においてテンションロッド20の中間部を受けるコ字型のガイド部材40と、ジブ格納姿勢においてロッド基端連結部22と連結されるジブ基端連結部62と、ジブ60の軸線方向に伸縮してロッド先端連結部21を連結する摺動軸26を摺動させるチルトシリンダ63と、を備えている。サポート部材61は、側面に長孔を有しており、この長孔内に摺動軸26を摺動自在に支承する。
【0046】
(作用)
次に、本実施例のテンションロッドの格納構造Sの作用について説明する。ジブ格納姿勢では、
図10に示すように、ロッド先端連結部21どうしを連結する摺動軸26はサポート部材61内の基端寄りの位置に配置され、ロッド基端連結部22はジブ基端連結部62と連結され、テンションロッド20の中間部はコ字型のガイド部材40に押し付けられる。さらに、
図11に示すように、ジブ作業姿勢では、ロッド先端連結部21どうしを連結する摺動軸26はサポート部材61内でチルトシリンダ63によって先端寄りの位置に移動され、ロッド基端連結部22はテンションロッド接続リンク145に連結され、テンションロッド20の中間部はガイド部材40から脱して上方に移動する。
【0047】
そして、ジブ格納姿勢が下抱姿勢の場合には、
図9に示すようにガイド部材40からテンションロッド20が逸脱する方向に重力が作用する。本実施例では、自重による撓み量を超えるようにガイド部材40の高さを設定しているため、この状態でもテンションロッド20の復元力によって、テンションロッド20の中間部はガイド部材40の底面部に押し付けられている。また、ジブ格納姿勢が横抱姿勢の場合には、
図8に示すようにテンションロッド20の復元力はコ字部41の底壁を水平内向きに押す方向に作用し、かつ、テンションロッド20の自重はコ字部41の側壁を垂直下向きに押す方向に作用する。この状態ではテンションロッド20の復元力は、テンションロッド20がコ字部41から逸脱することを妨げる方向に力が作用する。
【0048】
(効果)
次に、本実施例のテンションロッドの格納構造Sの奏する効果を説明する。
【0049】
(1)上述してきたように、本実施例のテンションロッドの格納構造Sは、実施例1と同様に、テンションロッド20とジブ60とを備え、ジブ格納姿勢において、ロッド先端連結部21がジブ先端連結部としてのサポート部材61と連結されるとともに、ロッド基端連結部22がジブ基端連結部62と連結された状態で、テンションロッド20の弾性変形による復元力によって、テンションロッド20の中間部がコ字型のガイド部材40に押し付けられるようになっている。このため、簡単な構成であり、ジブ60の張出作業の際にテンションロッド20の中間部での作業が必要とされないテンションロッドの格納構造Sとなる。
【0050】
(2)そして、本実施例のテンションロッドの格納構造Sでは、ブーム14の先端のブームヘッド145に、作業姿勢においてロッド基端連結部22と連結されるテンションロッド接続リンク145が取り付けられている。ジブ60は、ロッド先端連結部21をジブ60の軸線方向に摺動自在に支承する、ジブ先端連結部としてのサポート部材61と、ジブ60の軸線方向に伸縮してロッド先端連結部21を摺動させるチルトシリンダ63と、を有している。そして、ジブ格納姿勢において、ロッド先端連結部21はサポート部材61内の基端寄りの位置に配置されるとともに、ロッド基端連結部22がジブ基端連結部62と連結された状態で、テンションロッド20の弾性変形による復元力によって、テンションロッド20の中間部がコ字型のガイド部材40に押し付けられるようになっている。さらに、ジブ作業姿勢において、ロッド先端連結部21はチルトシリンダ63を伸縮することでサポート部材61内を摺動移動されて所定位置に配置されるとともに、ロッド基端連結部22はテンションロッド接続リンク145と連結されるようになっている。このように、本実施例のテンションロッドの格納構造Sは、実施例1とは異なる形態のテンションロッド20及びジブ60に適用できる。この際、実施例1と同様、テンションロッド20の撓みを利用することで、簡単な構造のガイド部材40によってテンションロッド20を格納・保持できる。さらに、ガイド部材40は上方が開いた構造であるため、ジブ60の張出作業の際に従来のようにキャッチ部材を解除する必要はない。さらに、ジブ張出時のキャッチ部材の解除忘れによるテンションロッド20の損傷を防ぐ効果もある。
【0051】
そして、上述した構成であれば、ジブ張出作業においてブーム上側のテンションロッド接続が不要になる、高所作業をなくして低位置での安全な作業を実現できる、省スペースでの張出が可能で、張出・格納時間も大幅に短縮できる、といった効果を奏する。
【0052】
なお、この他の構成および作用効果については、前記実施の形態と略同様であるため説明を省略する。
【0053】
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0054】
例えば、実施例では、「コ字型」のガイド部材40は、底壁と側壁とが略直交するコ字型である場合について説明したが、これに限定されるものではなく、先端が開いたコ字型であってもよいし、底壁が湾曲したU字状なども含まれる。換言すると、本発明における「コ字型」は、ジブ作業姿勢で上になる一辺が開いているオープンな形状であることを意図したものであり、厳密な意味で「コ」の形状とすることを意図するものではない。
【0055】
また、実施例では、ガイド部材40がテンションロッド20の長さ方向に1か所だけ配置される場合について説明したが、これに限定されるものではない。ガイド部材40は、例えば2か所など、複数の位置に配置することもできる。