特許第6536280号(P6536280)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キョーラク株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6536280-発泡成形用樹脂、発泡成形体の製造方法 図000003
  • 特許6536280-発泡成形用樹脂、発泡成形体の製造方法 図000004
  • 特許6536280-発泡成形用樹脂、発泡成形体の製造方法 図000005
  • 特許6536280-発泡成形用樹脂、発泡成形体の製造方法 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6536280
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】発泡成形用樹脂、発泡成形体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/04 20060101AFI20190625BHJP
   C08L 23/06 20060101ALI20190625BHJP
【FI】
   C08J9/04 101
   C08J9/04CES
   C08L23/06
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-161023(P2015-161023)
(22)【出願日】2015年8月18日
(65)【公開番号】特開2017-39812(P2017-39812A)
(43)【公開日】2017年2月23日
【審査請求日】2018年5月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】染谷 孝明
(72)【発明者】
【氏名】佐野 尊
【審査官】 市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−001545(JP,A)
【文献】 特開2015−096588(JP,A)
【文献】 特開2015−140429(JP,A)
【文献】 特表2015−530459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J9/00−9/42
B29C49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡成形体の製造方法であって、
低密度ポリエチレンを含有する発泡成形用樹脂と発泡剤を発泡押出機内で溶融混練してなる溶融混練樹脂を前記発泡押出機から押し出して発泡パリソンを形成し、前記発泡パリソンを分割金型を用いてブロー成形又は真空成形して発泡成形体を得る工程を備え、
前記低密度ポリエチレンは、メルトテンションが100〜250mNであり、且つせん断粘度が350〜450Pa・sである、発泡成形体の製造方法。
【請求項2】
前記発泡成形用樹脂は、高密度ポリエチレンをさらに含有する、請求項1に記載の製造方法
【請求項3】
前記低密度ポリエチレンと前記高密度ポリエチレンの質量比は、2:8〜8:2である、請求項2に記載の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡成形用樹脂、及び発泡成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車等の空調装置では、空気を通風させるための管状の空調用ダクトが用いられている。
【0003】
空調用ダクトとしては、熱可塑性樹脂を発泡剤により発泡させた発泡樹脂を用いた発泡成形体が知られている。発泡成形体は、高い断熱性と軽量化を同時に実現できることから需要が拡大している。
【0004】
こうした発泡成形体の製造方法としては、溶融状態の発泡樹脂を分割金型で型締めし、内部に空気を吹き込んで膨張させるブロー成形方法が広く知られている。
【0005】
特許文献1には、発泡成形において発泡成形体の発泡倍率を高めるために、メルトテンション(MT)を所定値以上にし、且つMT×メルトフローレイト(MFR)を所定値以上にする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−067256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されている基準は、種々の原料樹脂に適用可能なものであるが、発泡成形用の原料樹脂に用いる低密度ポリエチレン(LDPE)について、MT及びMT×MFRと、得られる発泡成形体の発泡倍率の関係を調べたところ、MTとMT×MFRのどちらもが比較的高い値であるにも関わらず、発泡倍率が低くなってしまう場合があることが分かった。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、発泡倍率を高めることが可能なLDPEを含有する発泡成形用樹脂を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、低密度ポリエチレンを含有する発泡成形用樹脂であって、前記低密度ポリエチレンは、メルトテンションが100〜250mNであり、且つせん断粘度が350〜450Pa・sである、発泡成形用樹脂が提供される。
【0010】
本発明者は鋭意検討を行ったところ、LDPEのMTが所定の範囲内であり、且つLDPEのせん断粘度が所定の範囲内である場合には、発泡倍率が高い発泡成形体を得ることができることを見出し、本発明の完成に到った。
【0011】
本発明では、発泡成形性に関する粘度のパラメータとしてせん断粘度に着目する。ダイヘッドから押し出された後の発泡パリソンの成形性に関わるMFRとは異なり、せん断粘度は、発泡押出機内でのガスの樹脂への吸収挙動に関わる粘度パラメータである。そして、せん断粘度が所定範囲内である場合には樹脂中へのガスの溶解及び分散が好適になることによって、発泡成形性が良好になる。
【0012】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記発泡成形用樹脂は、高密度ポリエチレンをさらに含有する。発泡成形用樹脂。
好ましくは、前記低密度ポリエチレンと前記高密度ポリエチレンの質量比は、2:8〜8:2である。
本発明の別の観点によれば、上記記載の発泡成形用樹脂と発泡剤を発泡押出機内で溶融混練してなる溶融混練樹脂を前記発泡押出機から押し出して発泡パリソンを形成し、前記発泡パリソンを成形して発泡成形体を得る工程を備える、発泡成形体の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態の発泡押出機1及び分割金型14を示す断面図である。
図2図1中のダイヘッド12の詳細な構成を示す断面図である。
図3】本発明の実験例1のサンプルA〜Lについて、MTとMT×MFRの関係をプロットしたグラフである。
図4】本発明の実験例1のサンプルA〜Lについて、MTとせん断粘度の関係をプロットしたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0015】
1.発泡成形用樹脂
本発明の一実施形態の発泡成形用樹脂は、LDPEを含有する発泡成形用樹脂であって、前記LDPEは、MTが100〜250mNであり、且つせん断粘度が350〜450Pa・sである。
【0016】
後述する実施例・比較例で示すように、MT及びせん断粘度が上記範囲内であるLDPEを含有する原料樹脂を用いて発泡成形を行うことによって、発泡成形体の発泡倍率を高めることができる。原料樹脂がLDPE以外の樹脂を含む場合でもLDPEの物性が特に重要である。なぜなら、LDPEのように長鎖分岐を持つ樹脂は分子鎖同士が絡みつき、気泡間のセル構造を保つ役割を持つため、長鎖分岐を持つLDPEの物性が発泡成形性の良し悪しに強い影響を与えるからである。
【0017】
本実施形態では、LDPEのMTは、100〜250mNである。LDPEのMTが100mN未満である場合には、樹脂強度が弱すぎるために、破泡しピンホールが発生するため、発泡倍率が低くなる。一方、LDPEのMTが250mNを超える場合には、樹脂強度が高すぎるために、気泡の成長が阻害されて、発泡倍率が低くなる。MTは、好ましくは、100〜200mNである。この場合、発泡倍率がさらに高くなりやすい。本明細書において、「メルトテンション(MT)」は、メルトテンションテスター(株式会社東洋精機製作所製)を用い、試験温度190℃、押出速度10mm/分で、直径2.095mm、長さ8mmのオリフィスからストランドを押し出し、このストランドを直径80mmのローラに巻き取り速度16rpmで巻き取ったときの張力を意味する。
【0018】
本実施形態では、LDPEのせん断粘度は、350〜450Pa・sである。LDPEのせん断粘度が350Pa・s未満である場合には、発泡成形用樹脂と発泡剤を混練する発泡押出機内での樹脂圧が低すぎるために、発泡成形用樹脂中に発泡用のガスが十分に溶解せず、発泡倍率が低くなる。一方、LDPEのせん断粘度が450Pa・sを超える場合には、発泡成形用樹脂と発泡剤を混練する発泡押出機内での樹脂圧とガス注入圧力との差が小さくなるために樹脂がガスになじみにくく、ガスの分散性が低くなり、発泡倍率が低くなる。せん断粘度は、好ましくは、350〜400Pa・sである。この場合、発泡倍率がさらに高くなりやすい。本明細書において、「せん断粘度」は、JIS K−7199に準じて試験温度190℃、見かけのせん断速度600/秒にて測定を行って得られる値を意味する。
【0019】
本実施形態のLDPEのMFRは特に限定されないが、例えば、0.2〜2.5g/10分が好ましく、0.8〜2.0g/10分がより好ましい。この場合、発泡倍率が特に高くなりやすいからである。本明細書において、「メルトフローレイト(MFR)」は、JIS K−7210に準じて試験温度190℃、試験荷重2.16kgにて測定を行って得られる値を意味する。
【0020】
本実施形態の発泡成形用樹脂は、LDPEのみで構成されてもよく、別の樹脂を含有してもよい。LDPE以外の樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。発泡成形用樹脂中にHDPEを含有させることによって、得られる発泡成形体の剛性が高められるからである。LDPEとHDPEの質量比は、特に限定されないが、2:8〜8:2が好ましく、3:7〜7:3がさらに好ましい。HDPEの割合が小さすぎると発泡成形体の剛性が低くなりやすく、HDPEの割合が大きすぎると発泡倍率が低くなりやすいからである。上記の割合でLDPEとHDPEを混合した樹脂を用いることによって剛性及び発泡倍率が高い発泡成形体を得ることができる。
【0021】
HDPEの物性は、特に限定されないが、好ましいMFR、せん断粘度、密度、MTは、それぞれ、以下の通りである。以下の物性を有するHDPEをLDPEと併用した場合には、剛性及び発泡倍率が高い発泡成形体を得やすい。
MFR:0.2〜0.4g/10分
せん断粘度:550〜650Pa・s
密度:0.94〜0.96g/cm
MT:70〜200mN
【0022】
発泡成形体に形成される気泡の厚み方向の長さは、50〜100μmが好ましい。50μmの場合は気泡の成長が不十分であるために発泡倍率が小さくなりやすく、100μmを超える場合には破泡が起こってピンホールが生じやすいからである。
【0023】
2.発泡成形体の製造方法
本発明の一実施形態の発泡成形体の製造方法では、上述した発泡成形用樹脂と発泡剤を発泡押出機内で溶融混練してなる溶融混練樹脂を前記発泡押出機から押し出して発泡パリソンを形成し、前記発泡パリソンを成形して発泡成形体を得る工程を備える。
【0024】
この方法は、一例では、図1に示す発泡押出機1及び分割金型14を用いて実施することができる。発泡押出機1は、シリンダ3と、樹脂投入口5と、スクリュー7と、発泡剤注入口Pと、温度制御部9と、樹脂押出口11と、ダイヘッド12を備える。
【0025】
以下、各構成要素を詳細に説明する。
【0026】
<樹脂投入口5>
樹脂投入口5は、いわゆるホッパーであり、ここから、原料樹脂を投入する。原料樹脂の形態は、特に限定されないが、通常は、ペレット状である。原料樹脂は、上述した本発明の一実施形態の発泡成形用樹脂である。原料樹脂は、樹脂投入口5からシリンダ3内に投入された後、シリンダ3内で加熱されることによって溶融されて溶融樹脂になる。また、シリンダ3内に配置されたスクリュー7の回転によってシリンダ3の一端に設けられた樹脂押出口11に向けて搬送される。
【0027】
<スクリュー7>
スクリュー7は、シリンダ3内に配置され、その回転によって溶融樹脂を混練しながら樹脂押出口11に向けて搬送する。スクリュー7の一端にはギア装置15が設けられており、ギア装置15によってスクリュー7が回転駆動される。シリンダ3内に配置されるスクリュー7の数は、1本でもよく、2本以上であってもよい。
【0028】
<発泡剤注入口P>
シリンダ3には、シリンダ3内に発泡剤を注入するための発泡剤注入口Pが設けられる。発泡剤注入口Pを設ける位置は特に限定されないが、シリンダ3の樹脂投入口5側の端部の位置を0、樹脂押出口11側の端部の位置をLとした場合、発泡剤注入口Pは、0.3L〜0.7L(好ましくは0.4〜0.6L)の位置に設けることが好ましい。発泡剤注入口Pが0.3Lよりも樹脂投入口5側に設けられると、溶融樹脂の混練が不十分な状態で発泡剤が注入されてしまって発泡剤の分散が不十分になる場合がある。また、溶融樹脂の温度は通常樹脂押出口11に向かって徐々に低下するように制御されるので、発泡剤注入口P0.7Lよりも樹脂押出口11側に設けられると、発泡剤を注入する部位での溶融樹脂の温度が低すぎて発泡剤の注入量が減少してしまう場合がある。
【0029】
発泡剤注入口Pから注入される発泡剤は、物理発泡剤、化学発泡剤、及びその混合物が挙げられるが、物理発泡剤が好ましい。物理発泡剤としては、空気、炭酸ガス、窒素ガス、水等の無機系物理発泡剤、およびブタン、ペンタン、ヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等の有機系物理発泡剤、さらにはそれらの超臨界流体を用いることができる。超臨界流体としては、二酸化炭素、窒素などを用いて作ることが好ましく、窒素であれば臨界温度−149.1℃、臨界圧力3.4MPa以上、二酸化炭素であれば臨界温度31℃、臨界圧力7.4MPa以上とすることにより得られる。化学発泡剤としては、酸(例:クエン酸又はその塩)と塩基(例:重曹)との化学反応により炭酸ガスを発生させるものが挙げられる。化学発泡剤は、発泡剤注入口Pから注入する代わりに、樹脂投入口5から投入してもよい。
【0030】
<温度制御部9>
温度制御部9は、シリンダ3に沿って設けられた複数の温調ユニットを個別に制御して、シリンダ3の各部分の温度を制御するように構成されている。また、温度制御部9は、パリソンを形成するためのダイヘッド12の温度、及びシリンダ3とダイヘッド12の間の連結部10の温度も制御可能である。
【0031】
<樹脂押出口11・ダイヘッド12>
原料樹脂と発泡剤が溶融混練されてなる溶融混練樹脂は、樹脂押出口11から押し出され、連結部10を通じてダイヘッド12内に注入される。ダイヘッド12は、図2に示すように、円筒状のダイ外筒41と、その内部に収容されるマンドレル43を備え、その間の空間47にシリンダ3から押し出された溶融混練樹脂を貯留する。そして、空間47に溶融混練樹脂が所定量貯留された後にリング状ピストン45を鉛直方向に押し下げることによって溶融混練樹脂をダイスリット49から押し出して円筒状の発泡パリソン13を形成する。なお、ここでは、円筒状の発泡パリソン13を形成するためのダイヘッド12を示しているが、ダイヘッド12は、シート状の発泡パリソンを形成するためのものであってもよい。
【0032】
<分割金型14>
発泡パリソン13は、一対の分割金型14間に導かれる。分割金型14を用いて発泡パリソン13の成形を行うことによって発泡成形体が得られる。分割金型14を用いた成形の方法は特に限定されず、分割金型14のキャビティ内にエアーを吹き込んで成形を行うブロー成形であってもよく、分割金型14のキャビティの内面からキャビティ内を減圧して発泡パリソン13の成形を行う真空成形であってもよく、その組み合わせであってもよい。
【実施例】
【0033】
<実験例1>
図1に示す発泡押出機1及び分割金型14を用いて、発泡成形品を作製し、発泡成形性の評価を行った。発泡押出機1のシリンダ3の内径は50mmであり、L/D=34であった。原料樹脂には、表1に示すLDPEと、HDPE(グレード:B470,旭化成ケミカルズ製)とを質量比1:1で混合したものを用いた。発泡パリソン13の温度が190〜200℃になるように温度制御部9の設定を行った。スクリュー7の回転数は、60rmmとし、押出量は、20kg/hrとした。発泡剤にはNガスを用い、0.5Lの位置に設けられた発泡剤注入口Pから注入した。注入ガス量を変化させることによって発泡倍率の調整を行った。
【0034】
以上の条件で形成された発泡パリソンを用いてブロー成形を行って、φ50mm、高さ100mmで厚さ5mmの円筒状の発泡成形体を作製した。
【0035】
各原料樹脂について、注入ガス量が異なる複数種類の発泡成形体を作成し、ピンホールおよび破泡による表面あれが生じない最大発泡倍率を成形可能な発泡倍率と判断した。なお、以下の説明中では、成形可能な発泡倍率を単に発泡倍率と表記する。
【0036】
得られた結果を表1に示す。表1中のサンプルA〜Dが本発明の実施例であり、サンプルE〜Lが比較例である。表1には、MT、MFR、MT×MFR、及びせん断粘度の値を合わせて示した。MT、MFR、及びせん断粘度は、実施形態中で説明した方法で測定した。
【0037】
【表1】
【0038】
表1中のサンプルA〜Lについて、MTとMT×MFTの関係をプロットしたものを図3に示し、MTとせん断粘度の関係をプロットしたものを図4に示す。図3図4において、発泡倍率が2倍以上のものを黒丸「●」で示し、2倍未満のものを内部が白色のダイヤ形状「◇」で示した。各プロット点に隣接した位置に記載した数値は、発泡倍率を示す。
【0039】
図3中のサンプルA,C,Hの比較から明らかなように、MT×MFRが高い場合でも、発泡倍率が必ずしも高くならない場合があることが分かった。一方、図4に示すように、発泡倍率が2倍以上であるサンプルは、図4中の太線の四角で囲った領域に集まっていることが分かる。太線の四角で囲った領域は、MTが100〜250mNであり、且つせん断粘度が350〜450Pa・sであるので、MT及びせん断粘度がこのような範囲内であるLDPEを含有する樹脂を原料樹脂として用いることによって発泡倍率を高めることができることが分かった。さらに、せん断粘度が350〜400Pa・sの場合には、発泡倍率がさらに高まることが分かった。
【0040】
<実験例2>
実施例2では、サンプルDと同じLDPEを用い、LDPEとHDPEの質量比を7:3に変更したサンプルD1と、LDPEとHDPEの質量比を3:7に変更したサンプルD2を作製し、各サンプルについて成形可能な発泡倍率を測定した。その結果、成形可能な発泡倍率は、サンプルD1では4倍、サンプルD2では2.3倍であった。この結果は、LDPEとHDPEの質量比が1:1である場合以外であっても、MTが100〜250mNであり且つせん断粘度が350〜450Pa・sであるLDPEを用いることによって発泡成形体の発泡倍率を高めることができることを示している。
【符号の説明】
【0041】
1:発泡押出機、3:シリンダ、5:樹脂投入口、7:スクリュー、9:温度制御部、11:樹脂押出口、12:ダイヘッド、13:発泡パリソン、14:分割金型、P:発泡剤注入口
図1
図2
図3
図4