(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6536290
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】箱および該箱用のブランクシート
(51)【国際特許分類】
B65D 5/52 20060101AFI20190625BHJP
B65D 5/36 20060101ALI20190625BHJP
【FI】
B65D5/52 J
B65D5/36 F
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-168318(P2015-168318)
(22)【出願日】2015年8月27日
(65)【公開番号】特開2017-43394(P2017-43394A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2017年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】今川 明日香
【審査官】
長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−015705(JP,A)
【文献】
実開昭59−007116(JP,U)
【文献】
英国特許出願公告第01563383(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/52
B65D 5/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に平行な一対の第1縁辺およびこれら第1縁辺と直交する相互に平行な一対の第2縁辺によって仕切られる矩形の底壁部と、
前記一対の第1縁辺から前記底壁部に対してそれぞれ直角に立ち上がる一対の第1側壁部と、
該一対の第1側壁部のそれぞれから、前記第1縁辺と平行な第3縁辺を介して前記底壁部と平行に延在するとともに、前記底壁部の上方で間隙を形成する一対の上壁部と、
前記一対の第2縁辺から前記底壁部に対してそれぞれ直角に立ち上がる一対の第2側壁部と、
を具え、
前記一対の第2側壁部のそれぞれは、
前記一対の第1側壁部のそれぞれに連続し、前記第1側壁部および前記底壁部と直角な一対の端部と、
該一対の端部をつなぐ第2側壁本体部であって、前記第2縁辺に一致する下底と、前記第2縁辺より短い上底とを有する等脚台形状を呈するように折り返され、当該折り返し部が前記端部の一部に重畳されて剥離可能に接着される第2側壁本体部と、
を有し、
さらに、前記上壁部に連続して設けられた折り曲げ部であって、前記端部と重畳するように折り曲げられ、前記端部の前記一部とは異なる部位で前記端部に接着された折り曲げ部、
を備えたことを特徴とする箱。
【請求項2】
前記上壁部、前記第1および第2側壁部がなす角から、前記第3縁辺に対向する前記上壁部の縁辺まで、当該縁辺の中央側に向けて延在する折り曲げ線を有することを特徴とする請求項1に記載の箱。
【請求項3】
前記折り曲げ部は、前記第2側壁本体部とは重畳しないことを特徴とする請求項1または2に記載の箱。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の箱を形成するための、二対の対向辺を有する矩形の四隅が切り欠かれた形状のブランクシートであって、
一方の一対の対向辺のそれぞれに対して平行に設けられ、前記底壁部、前記第1側壁部および前記端部を形成するための一対の第1折り曲げ線と、
他方の一対の対向辺のそれぞれに対して平行に設けられ、前記底壁部および前記第2側壁部を形成するための一対の第2折り曲げ線と、
前記第1折り曲げ線に対して平行に、且つ前記一方の一対の対向辺の側にそれぞれに偏倚して設けられ、前記上壁部を形成するための一対の第3折り曲げ線と、
前記一対の第1折り曲げ線および前記一対の第2折り曲げ線の交点のそれぞれから、前記他方の一対の対向辺のそれぞれまで、当該対向辺の中央側に向けて延在する、前記折り返し部を形成するための第4折り曲げ線と、
を具えたことを特徴とするブランクシート。
【請求項5】
前記一対の第2折り曲げ線および前記一対の第3折り曲げ線の交点のそれぞれから、前記一方の一対の対向辺のそれぞれまで、当該対向辺の中央側に向けて延在する第5折り曲げ線を有することを特徴とする請求項4に記載のブランクシート。
【請求項6】
前記折り曲げ部が前記第2側壁本体部と重畳しないように、前記矩形の四隅が切り欠かれていることを特徴とする請求項4または5に記載のブランクシート。
【請求項7】
請求項1ないし3のいずれかに記載の箱の前記端部から前記折り返し部を剥離し、前記一対の上壁部を互いに引き離すことで、前記第1側壁部が前記底壁部とともに新たな底壁となり、前記第2側壁部および前記上壁部が側壁となったトレイの形態を有する箱の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を流通および展示するために収容する箱、および、それを形成するためのブランクシートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の箱として、例えば特許文献1に開示されたもののように、矩形状の底壁部と、底壁部の四辺から立ち上がる側壁部と、対向する一対の側壁の上縁からそれぞれ底壁部と平行に延在するとともに、底壁部の上方において間隙を形成する上壁部と、を備えたものがある。かかる構成は、収容されている物品を間隙を通して外から視認できるため、箱の外側の表示等を読むことで収納物品の種別等を確認する作業を省略することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3070757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのような箱は、収容物品の流通過程での確認には有用であるが、上面の一部が上壁部によって覆われているため、販売のための展示には必ずしも適していない。特に、上壁部が形成する間隙が、収納物品の脱落を防止し得るように設定されている場合、視認性が劣るだけでなく、消費者が実際に手にとって物品を確認することができない。従って、そのような箱は、展示時には分解するか、または少なくとも上壁部を除去する手間を要するものであった。
【0005】
よって本発明は、流通過程に適した物品収容形態から、販売のための展示に適した物品収容形態へと、簡単且つ容易に変形できる箱およびそのためのブランクシートを提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明の他の目的は、展示に適した物品の収容形態からさらに、処分に適した形態にも簡単且つ容易に変形できる箱およびそのためのブランクシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために、本発明
の箱は、相互に平行な一対の第1縁辺およびこれら第1縁辺と直交する相互に平行な一対の第2縁辺によって仕切られる矩形の底壁部と、一対の第1縁辺から底壁部に対してそれぞれ直角に立ち上がる一対の第1側壁部と、該一対の第1側壁部のそれぞれから、第1縁辺と平行な第3縁辺を介して底壁部と平行に延在するとともに、底壁部の上方で間隙を形成する一対の上壁部と、一対の第2縁辺から底壁部に対してそれぞれ直角に立ち上がる一対の第2側壁部と、を具え、一対の第2側壁部のそれぞれは、一対の第1側壁部のそれぞれに連続し、第1側壁部および底壁部と直角な一対の端部と、該一対の端部をつなぐ第2側壁本体部であって、第2縁辺
に一致する下底と、第2縁辺より短い上底とを有する等脚台形状を呈するように折り返され、当該折り返し部が端部の一部に重畳されて
剥離可能に接着される第2側壁本体部と、を有し、
さらに、上壁部
に連続して設けられた折り曲げ部であって、端部と重畳するように折り曲げられ、端部の一部とは異なる部位で端部に接着された折り曲げ部
、を備えたことを特徴とする。
【0008】
ここで、上壁部、第1および第2側壁部がなす角から、第3縁辺に対向する上壁部の縁辺まで、当該縁辺の中央側に向けて延在する折り曲げ線を有するものとすることができる。
【0009】
また、折り曲げ部は、第2側壁本体部とは重畳しないものとすることができる。
【0010】
また、本発明は、上記の箱を形成するための、二対の対向辺を有する矩形の
四隅が切り欠かれた形状のブランクシートであって、一方の一対の対向辺のそれぞれに対して平行に設けられ、底壁部、第1側壁部および端部を形成するための一対の第1折り曲げ線と、他方の一対の対向辺のそれぞれに対して平行に設けられ、底壁部および第2側壁部を形成するための一対の第2折り曲げ線と、第1の折り曲げ線に対して平行に、且つ一方の一対の対向辺のそれぞれに偏倚して設けられ、上壁
部を形成するための一対の第3折り曲げ線と、一対の第1折り曲げ線および一対の第2折り曲げ線の交点のそれぞれから、他方の一対の対向辺のそれぞれまで、当該対向辺の中央側に向けて延在する、折り返し部を形成するための第4折り曲げ線と、を具えたことを特徴とする。
【0011】
ここで、一対の第2折り曲げ線および一対の第3折り曲げ線の交点のそれぞれから、一方の一対の対向辺のそれぞれまで、当該対向辺の中央側に向けて延在する第5折り曲げ線を有するものとすることができる。
【0012】
また、折り曲げ部が第2側壁本体部と重畳しないように、矩形の四隅が切り欠かれているものとすることができる。
【0013】
さらに、本発明は、上記の箱の端部から折り返し部を剥離し、一対の上壁部を互いに引き離すことで、第1側壁部が底壁部とともに新たな底壁となり、第2側壁部および上壁部が側壁となったトレイの形態を有する箱
を形成する方法に存する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、単に上記端部から折り返し部を剥離し、一対の上壁部を互いに引き離すことで、第1側壁部が底壁部とともに新たな底壁となり、第2側壁部および上壁部が側壁となったトレイの形態に変形させることのできる箱が提供される。
【0015】
また、トレイの形態の箱に対し、折り曲げ部を含めて第2側壁部を底壁側に折り畳む操作を行えば、処分に適した、実質的に平坦となった形態に変形させることができる。この際、上壁部、第1および第2側壁部がなす角から、第3縁辺に対向する上壁部の縁辺まで、当該縁辺の中央側に向けて延在する折り曲げ線を有していれば、操作の容易化および変形のし易さに資するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る箱の斜視図である。
【
図2】
図1に示した箱を形成するためのブランクシートの平面図である。
【
図3】(a)〜(c)は、箱の組み立て工程の説明図である。
【
図4】(d)および(e)は、箱の組み立て工程の説明図である。
【
図5】(a)〜(c)は、箱の変形工程の説明図である。
【
図6】他の実施形態に係る箱の一部を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0018】
(箱)
図1は、本発明の一実施形態に係る箱の外観斜視図である。なお、
図1は、二点差線で示すカップ入り食品を収容した状態の箱を示しているが、収容される物品としてはこれに限られるものではなく、例えば缶,瓶などに封入された食品または飲料や、野菜または果実類などであってもよい。
【0019】
図1の実施形態に係る箱は、相互に平行な一対の第1縁辺11およびこれら第1縁辺11と直交する相互に平行な一対の第2縁辺21によって仕切られる矩形の底壁部40を備える。一対の第1縁辺11からは相互に対向する一対の第1側壁部10が、また一対の第2縁辺21からは相互に対向する一対の第2側壁部20が、それぞれ底壁部40に対して直角に立ち上がっている。一対の第1側壁部10のそれぞれは第1縁辺11と平行な第3縁辺31を有し、各第3縁辺31からは上壁部30が底壁部40と平行に延在している。一対の上壁部30は底壁部40の上方で間隙を画成しており、本実施形態では、その間隙は収容する物品の脱落が生じない寸法に設定されている。
【0020】
各第2側壁部20は、隣接する第1側壁部10に連続し、第1側壁部10および底壁部40と直角な一対の端部23と、そのそれぞれに連続し、且つその一部と重畳するように折り返される一対の折り返し部25と、一対の折り返し部25に連続するとともに、底壁部に対する稜すなわち第2縁辺21が下底となる台形状の第2側壁本体部27と、を有する。折り返し部25は、その一部において端部23と例えば接着剤により接着されている。その接着力は、後述するトレイの形態への変形操作を考慮して、接着剤の種類、濃度、塗布量ないしは塗布範囲を適切に定めることで、比較的弱くされていることが好ましい。
【0021】
各上壁部30に連続して、第2側壁部20の端部23と重畳するように折り曲げられた折り曲げ部33を有する。この折り曲げ部33は、折り返し部25が重畳する端部23の上記一部とは異なる部位に接着される。この接着も接着剤を用いて行うことができるが、その接着力の強さは任意である。
【0022】
(ブランクシート)
図2は、
図1に示した箱を組み立てるためのブランクシートの平面図である。本実施形態では、ブランクシートとして、シングルフルートの両面段ボール原紙から得られるものを用いる。しかしブランクシートの材料としては、板紙や、複数回にわたって反復使用可能なプラスチックなどの材料を用いたもので構成することも可能であり、本実施形態の如き段ボール原紙に限定されない。
【0023】
本実施形態のブランクシートは、四隅が斜めに切り欠かれた、二対の対向辺1,2を有する略矩形の形状である。そして、略矩形の一方の一対の対向辺1のそれぞれに対して平行に設けられた一対の第1折り曲げ線111と、他方の一対の対向辺2のそれぞれに対して平行に設けられた一対の第2折り曲げ線121と、第1の折り曲げ線111のそれぞれに対して平行に、且つ第1の折り曲げ線111よりも一対の対向辺1に偏倚して設けられた一対の第3折り曲げ線131と、を備える。また、本実施形態のブランクシートは、一対の第1折り曲げ線111および一対の第2折り曲げ線121の交点P12のそれぞれから、一対の対向辺2のそれぞれまで中央側に向けて斜め45度の角度をなして延在する二対の第4折り曲げ線126と、一対の第3折り曲げ線131と一対の第2折り曲げ線121の交点P23のそれぞれから、一対の対向辺2まで延在する二対の切れ込み135と、を備える。なお、図示の例では、折り曲げ線126には、折り曲げ操作を容易に行うことができるようにスリット126Sが設けられている。
【0024】
折り曲げ線111、121および131は、それぞれ、
図1における第1縁辺11、第2縁辺21および第3縁辺31となる部分を含んでおり、
図2では折り曲げ線を示す符号に、対応する縁辺を示す符号を括弧書きで付してある。また、折り曲げ線111、121、131、126および辺1、2によって区画される各領域が、底壁部40、第1側壁部10と、端部23、折り返し部25および第2側壁本体部27を有する第2側壁部20と、上壁部30とに対応しており、
図2では各領域に、対応する各部の符号を括弧書きにて示している。従って、
図2に示すブランクシートを適宜折り曲げることによって、
図1に示した箱が組み立てられる。
【0025】
さらに本実施形態のブランクシートは、一対の第3折り曲げ線131と一対の第2折り曲げ線121の交点P23のそれぞれから、一対の対向辺1のそれぞれまで中央側に向けて斜めに延在する二対の第5折り曲げ線137を備えている。これは、後述するトレイ形態から処分時の形態に箱を変形させる際の操作を容易にするためである。なお、図示の例では、折り曲げ線137には、折り曲げ操作を容易に行うことができるようにスリット137Sが設けられている。
【0026】
領域の寸法について述べると、まず底壁部40となる領域の寸法は、収納する物品の底面の形状、寸法および収納個数に応じて適宜定め得る。また、第1側壁部10となる領域の幅w1は、収納する物品の高さに応じて定められる。第2側壁部20となる領域の幅w2は、収納物品の脱落が生じない高さを第2側壁部20に提供する寸法とされ、上壁部30の幅w3は、収納物品の脱落が生じない間隙を上壁部30が形成するのに適した寸法とされる。
図1の箱では、第1側壁部10の高さが第2側壁部20よりも大(すなわちw1>w2)となっており、また、箱を後述のようにトレイの形態に変形させることを考慮して、第2側壁部20の高さと上壁部30の幅とを等しく(すなわちw2=w3)としている。しかし箱ないしブランクシートの各部の寸法は、要求される特性や機能などに応じて、適宜変更することが可能である。
【0027】
(箱の組み立て)
図3の(a)〜(c)および
図4の(d)および(e)を用い、
図2に示したブランクシートから
図1に示した箱を組み立てる手順を説明する。なお、これらの図においても、
図1の箱の各部となる各領域に、各部の符号を括弧書きにて示している。また、以下の説明において、「山折り」とは
図2において紙面の上面側が凸となる折り曲げを意味し、「谷折り」とは紙面の上面側が凹となる折り曲げを意味する。
【0028】
図3の(a)は
図2のブランクシートの斜視図であり、この状態から、第1側壁部10に対応する第1折り曲げ線111aの部分の谷折り、端部23と折り返し部25との接続部分に対応する第1折り曲げ線111の部分111bの山折り、第1側壁部10と端部23との接続部分に対応する第2折り曲げ線121の部分121bの谷折り、および、折り返し部25と第2側壁本体部27との接続部分にある第4折り曲げ線126の山折りを同時に行うことで、
図3の(b)に示した状態を得る。
【0029】
次に、第2側壁部20に対応する第2折り曲げ線121の部分121aの谷折りを行うことで、
図3の(c)に示すように、折り返し部25が端部23の一部に重畳した状態で第2側壁部20が形成される。これに先立って、折り返し部25またはこれが重畳する端部23の一部(例えばハッチングを施した符号Bで示す部分)に接着剤を塗布しておくことで、両者が接着される。
【0030】
次に、
図4の(d)に示すように上壁部30に対応する第3折り曲げ線131の谷折りを行い、さらに上壁部30と折り曲げ部33との接続部分に対応する第2折り曲げ線121の谷折りを行うとともに、予め折り曲げ部33または端部23の一部に塗布しておいた接着剤によって両者の接着を行うことで、
図4(e)に示すように箱が形成される。
【0031】
なお、本実施形態では、一対の上壁部30が形成する間隙は、流通過程において収容物品の脱落が生じない寸法に設定される。従って、物品は、底壁部40の上方に上壁部30を形成する前に、底壁部40または底壁部40となる領域に対して配置しておけばよい。
【0032】
(箱の変形)
本実施形態に係る箱は、販売のための物品の展示および取り出しに適した形態、すなわちトレイの形態への変形が可能であり、さらには販売後の処分に適した形態への変形が可能である。
【0033】
図5の(a)〜(c)を用いて箱の変形手順を説明するに、
図4の(e)に示した状態から
図5の(a)に示すように第2側壁部20を倒した状態とする。端部23および折り返し部25の間に適用される接着力が適切に定められていれば、第2側壁部20を倒す操作には大きな力を要しないものとなる。次に、一対の上壁部30を互いに離れるように矢印で示す方向に引く操作を行うことで、
図5の(b)に示すように、第1側壁部10が底壁部40とともに底壁となり、第2側壁部20および上壁部30が側壁となったトレイ状の形態に変形する。この状態では、収容している物品が完全に露出するので、消費者は、物品の全体を視認したり、実際に手にとって物品を確認したりすることができる。
【0034】
収容している物品がすべてなくなると、処分に適した形態となることが好ましい。その場合、折り曲げ部33を含めて第2側壁部20を底壁側に折り畳む操作を行えば、
図5の(c)に示したような、実質的に平坦となった形態に変形させることができる。本実施形態では、第5折り曲げ線137がその操作の容易化および変形のし易さに資するものとなる。
【0035】
(その他)
本発明は、以上の実施形態および随所に述べた変形例に限らず、適宜の変更が可能である。例えば、上述の実施形態では、ブランクシートとして四隅を切り欠いた略矩形状のものとし、折り曲げ部33が第2側壁本体部27とは重畳することなく端部23に重畳するものとした。しかしブランクシートを、そのような切り欠きをもたない矩形状のものとすることも可能である。その場合、
図6に示すように、折り返し部の一部は第2側壁本体部27の一部と重畳するため、その重畳部位に接着剤が塗布されないように意を払うこと(例えば
図6においてハッチングで示す部分B’に接着範囲を限定すること)や、端部23から折り返し部25を剥離する際に折り返し部をめくる動作が必要となる。しかし、切り欠きを設けない分、廃材の発生を抑制することができるので、
図6に示した構成は、歩留まりの観点からは有利である。
【0036】
また、例えば冷蔵状態で流通させることが望ましい物品を収容することを考慮して、第1および/または第2側壁等に通気用の開口を設けておくこともできる。さらに、複数の箱が積載される際の安定性を考慮して、例えば、第1側壁部10と隣接する上壁部30の部位に、第1側壁部10と面一となる切り起こしを形成する一方、底壁部40と隣接する第1側壁部10の部位に、下に積まれる箱の切り起こしと係合可能な穴を設けておくこともできる。
【符号の説明】
【0037】
1、2 ブランクシートの辺
10 第1側壁部
11 第1縁辺
20 第2側壁部
21 第2縁辺
23 端部
25 折り返し部
27 第2側壁本体部
30 上壁部
31 第3縁辺
33 折り曲げ部
40 底壁部
111、121、131、126 137 折り曲げ線
126、137 スリット
P12、P23 折り曲げ線の交点