(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6536296
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】コンベヤベルトの耐衝撃性評価方法
(51)【国際特許分類】
G01N 3/303 20060101AFI20190625BHJP
【FI】
G01N3/303 D
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-171014(P2015-171014)
(22)【出願日】2015年8月31日
(65)【公開番号】特開2017-49054(P2017-49054A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2018年8月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(72)【発明者】
【氏名】鄒 徳慶
【審査官】
福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−257187(JP,A)
【文献】
特開2008−224510(JP,A)
【文献】
特開2012−242200(JP,A)
【文献】
特開2010−216852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/303
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベヤベルトの試験サンプルに衝撃付与体を衝突させるコンベヤベルトの耐衝撃性試験方法について、前記衝撃付与体の前記試験サンプルに対する衝突速度、衝突荷重および接触面積の適用範囲を設定したデータベースを予め作成しておき、実際のコンベヤラインにおいてコンベヤベルトに投入される搬送物のそのコンベヤベルトに対する実際の衝突速度、衝突荷重および接触面積を取得し、この取得した結果と前記データベースとに基づいて、前記取得した衝突速度、衝突荷重および接触面積が適用範囲にある試験方法を前記複数種類の試験方法から選択し、選択した試験方法において前記衝突速度、衝突荷重および接触面積を、前記取得した結果と同一と見なせる範囲に設定して、その選択した試験方法を行って前記実際のコンベヤラインのコンベヤベルトの耐衝撃性を評価することを特徴とするコンベヤベルトの耐衝撃性評価方法。
【請求項2】
前記それぞれの試験方法の外部環境温度の適用範囲も設定して前記データベースを予め作成し、前記実際のコンベヤラインにおける外部環境温度も取得し、前記取得した外部環境温度が適用範囲にある試験方法を前記複数種類の試験方法から選択し、選択した試験方法において前記外部環境温度を、前記取得した結果と同一と見なせる範囲に設定して、その選択した試験方法を行う請求項1に記載のコンベヤベルトの耐衝撃性評価方法。
【請求項3】
前記実際の接触面積として、前記搬送物の粒度分布の中央値の粒径の搬送物のコンベヤベルトとの接触面積を採用する請求項1または2に記載のコンベヤベルトの耐衝撃性評価方法。
【請求項4】
前記搬送物の種類毎に前記データベースを作成する請求項1〜3のいずれかに記載のコンベヤベルトの耐衝撃性評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤベルトの耐衝撃性評価方法に関し、さらに詳しくは、使用条件に合致したコンベヤベルトの耐衝撃性を高精度で効率的に把握できるコンベヤベルトの耐衝撃性評価方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄鉱石や石灰石等の鉱物資源をはじめとして様々な物がコンベヤベルトによって搬送される。コンベヤベルトによって物が搬送される場合、その搬送物はホッパや別のコンベヤベルトからコンベヤベルトの上カバーゴムに投入される。投入された搬送物は上カバーゴムに積載されてコンベヤベルトの走行方向に搬送される。コンベヤベルトの上カバーゴムに搬送物が投入される際には、上カバーゴムは衝撃を受け、その搬送物の表面が鋭利であればカット傷が生じることもある。投入される搬送物により上カバーゴムに生じるカット傷の大きさや損傷モードは、コンベヤベルトの使用条件によって大きく変化する。
【0003】
従来、コンベヤベルトの耐衝撃性を評価する方法は種々提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。一般的にゴムの耐衝撃性を評価するには、試験サンプルに対して衝撃付与体を衝突させる。これにより試験サンプルの損傷状態を把握して耐衝撃性を評価している。しかしながら、試験サンプルに対する衝撃付与体の衝突速度、衝突荷重および接触面積の設定可能範囲が、それぞれの試験方法によって異なることがある。また、これら条件の設定可能範囲内でも、実際のコンベヤベルトの耐衝撃性を精度よく再現できる範囲と、再現性が低下する範囲がある。そのため、実際のコンベヤベルトの耐衝撃性を精度よく評価するには、そのコンベヤベルトの使用条件に適合した試験方法を選択する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−216852号公報
【特許文献2】特開2011−257187号公報
【特許文献3】特開2012−189533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、使用条件に合致したコンベヤベルトの耐衝撃性を高精度で効率的に把握できるコンベヤベルトの耐衝撃性評価方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明のコンベヤベルトの耐衝撃性評価方法は、コンベヤベルトの試験サンプルに衝撃付与体を衝突させるコンベヤベルトの耐衝撃性試験方法について、前記衝撃付与体の前記試験サンプルに対する衝突速度、衝突荷重および接触面積の適用範囲を設定したデータベースを予め作成しておき、実際のコンベヤラインにおいてコンベヤベルトに投入される搬送物のそのコンベヤベルトに対する実際の衝突速度、衝突荷重および接触面積を取得し、この取得した結果と前記データベースとに基づいて、前記取得した衝突速度、衝突荷重および接触面積が適用範囲にある試験方法を前記複数種類の試験方法から選択し、選択した試験方法において前記衝突速度、衝突荷重および接触面積を、前記取得した結果と同一と見なせる範囲に設定して、その選択した試験方法を行って前記実際のコンベヤラインのコンベヤベルトの耐衝撃性を評価することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、予め作成したデータベースと、実際のコンベヤラインにおけるコンベヤベルトに対する衝撃付与体の衝突速度、衝突荷重および接触面積から、実際の使用条件に合致したコンベヤベルトの耐衝撃性試験方法を効率的に選択できる。そして、選択した試験方法において、試験サンプルに対する衝撃付与体の衝突速度、衝突荷重および接触面積を、前記取得した結果と同一と見なせる範囲に設定して、実際の使用条件に近似させて試験を行う。それ故、実際の使用条件に合致したコンベヤベルトの耐衝撃性を、高精度で把握することが可能になる。
【0008】
ここで、前記それぞれの試験方法の外部環境温度の適用範囲も設定して前記データベースを予め作成し、前記実際のコンベヤラインにおける外部環境温度も取得し、前記取得した結果が前記外部環境温度の適用範囲にある試験方法を前記複数種類の試験方法から選択し、選択した試験方法において前記外部環境温度を、前記取得した結果と同一と見なせる範囲に設定して、その選択した試験方法を行うこともできる。コンベヤベルトを使用する際の外部環境温度は、コンベヤベルトの耐衝撃性に比較的大きく影響するので、外部環境温度を考慮することにより、一段と精度よく耐衝撃性を把握することが可能になる。
【0009】
前記実際の接触面積として例えば、前記搬送物の粒度分布の中央値の粒径の搬送物のコンベヤベルトとの接触面積を採用する。これにより、簡便に実際の接触面積に近似させることができる。
【0010】
前記搬送物の種類毎に前記データベースを作成することもできる。搬送物の種類もコンベヤベルトの耐衝撃性に比較的大きく影響するので、搬送物の種類毎にデータベースを作成して用いることで、一段と精度よく耐衝撃性を把握することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】コンベヤベルトラインを単純化して例示する説明図である。
【
図3】コンベヤベルトに衝突する時の搬送物の速度を示す説明図である。
【
図4】衝撃試験装置の基本構造を例示する説明図である。
【
図5】データベースの構造を例示する説明図である。
【
図6】搬送物の粒度分布を例示するグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のコンベヤベルトの耐衝撃性評価方法を、図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0013】
図1に例示するコンベヤベルトラインでは、別のコンベヤベルト7によって搬送された搬送物Cがコンベヤベルト1に投入されて、このコンベヤベルト1によって搬送先に搬送される。コンベヤベルト1にはホッパ等を通じて搬送物Cが投入されることもある。コンベヤベルト1は、プーリ5a、5b間に架け渡されていて所定のテンションで張設されている。
【0014】
図2に例示するようにコンベヤベルト1は、帆布やスチールコード等の心体で構成される心体層2と、心体層2を挟む上カバーゴム3と下カバーゴム4とにより構成されている。心体層2は、コンベヤベルト1を張設するためのテンションを負担する部材である。コンベヤベルト1のキャリア側では下カバーゴム4が支持ローラ6により支持され、リターン側では上カバーゴム3が支持ローラ6により支持されている。コンベヤベルト1のキャリア側ではベルト幅方向に3つの支持ローラ6が配置されていて、これらの支持ローラ6によってコンベヤベルト1は所定のトラフ角度aで凹状に支持されている。駆動側のプーリ5aが回転駆動することにより、コンベヤベルト1は一方向に所定の走行速度V1で稼働する。搬送物Sは上カバーゴム3の上に投入され、上カバーゴム3に積載されて搬送される。
【0015】
このコンベヤベルトラインでは
図3に例示するように、このコンベヤベルト1と別のコンベヤベルト7とが上下差h(それぞれの搬送面の高さ位置の差h)で配置されている。別のコンベヤベルト7では搬送物Cが水平方向速度V0(V0<V1)で搬送されている。投入された搬送物Cが別のコンベヤベルト7からコンベヤベルト1に衝突した瞬間、搬送物Cは水平方向速度V0である。一方、搬送物Cの垂直方向速度はゼロからV2に加速される。この垂直方向速度V2は、(2gH)
1/2である。したがって、搬送物Cがコンベヤベルト1の上カバーゴム3に衝突する時の実際の衝突速度Vrは、(V0
2+V2
2)
1/2=(V0
2+2gH)
1/2となる。gは重力加速度である。
【0016】
そして、投入された搬送物Cが上カバーゴム3に対して衝突した際の実際の接触面積Arと衝突荷重Frとから、上カバーゴム3に対する搬送物Cの実際の面圧Prは、Pr=Fr/Arとなる。衝突荷重Frは搬送物Cの重量Wと見なすことができる。搬送物Cが衝突したことによる上カバーゴム3の損傷具合は、主にこの面圧Prの大きさに多大な影響を受ける。その他、実際の衝突速度Vrや外部環境温度Tr等も上カバーゴム3の損傷具合に影響する。
【0017】
ゴムの衝撃試験装置8は一般的に
図4に例示するように、衝撃付与体9と、衝撃付与体9を着脱自在に保持する保持機構10と、コンベヤベルトの試験サンプルSを支持する支持台11と、試験サンプルSに張力を付与するテンショナ12とを備えている。この衝撃試験装置8を用いた試験方法は、所定の張力を付与した状態の試験サンプルSを、間隔をあけて配置された支持台11によって支持する。次いで、試験サンプルSに対して、支持台11と支持台11との間の位置に衝撃付与体9を落下させて試験サンプルSに衝突させる。
【0018】
この試験によって衝撃付与体9を衝突させた試験サンプルSの傷深さや傷のモードを把握する。従来の種々の耐衝撃性試験は、衝撃付与体9、支持台11の仕様や衝撃付与体9の落下高さ等がそれぞれ異なっている。
【0019】
そこで本発明では、複数種類の衝撃試験方法について、
図5に例示するように、それぞれの試験方法E1〜E5の衝撃付与体9の試験サンプルSに対する衝突速度V、衝突荷重Fおよび接触面積Aのそれぞれの適用範囲(Z
V1、Z
V2、Z
V3、Z
V4、Z
V5)、(Z
F1、Z
F2、Z
F3、Z
F4、Z
F5)および(Z
A1、Z
A2、Z
A3、Z
A4、Z
A5)を設定したデータベースDBを予め作成する。この実施形態では、それぞれの試験方法の外部環境温度Tの適用範囲(Z
T1、Z
T2、Z
T3、Z
T4、Z
T5)も設定してデータベースDBを作成している。それぞれの試験方法において、試験サンプルSに対する衝撃付与体9の面圧PはF/Aとなる。
【0020】
ここで、それぞれの試験方法の衝突速度Vの適用範囲(Z
V1、・・・、Z
V5)とは、その試験方法において、ばらつきが少ない安定した結果が得られる衝突速度Vの範囲である。例えば、適用範囲Z
V1は、衝突速度Vが0.1m/s〜1m/sと設定され、他のそれぞれの適用範囲Z
V2、・・、Z
V5にも具体的な数値範囲が設定されている。
【0021】
それぞれの試験方法の衝突荷重Fの適用範囲(Z
F1、・・・、Z
F5)とは、その試験方法において、ばらつきが少ない安定した結果が得られる衝突荷重Fの範囲である。それぞれの衝突荷重Fの適用範囲には具体的な数値範囲が設定されている。衝突荷重Fは、衝撃付与体9の重量と見なすことができる。
【0022】
それぞれの試験方法の接触面積Aの適用範囲(Z
A1、・・・、Z
A5)とは、その試験方法において、ばらつきが少ない安定した結果が得られる接触面積Aの範囲である。それぞれの接触面積Aの適用範囲には具体的な数値範囲が設定されている。
【0023】
それぞれの試験方法の外部環境温度Tの適用範囲(Z
T1、・・・、Z
T5)とは、その試験方法において、ばらつきが少ない安定した結果が得られる外部環境温度Tの範囲である。それぞれの外部環境温度Tの適用範囲には具体的な数値範囲が設定されている。
【0024】
実際のコンベヤラインに装備されたコンベヤベルト1の耐衝撃性を評価する場合は、そのコンベヤベルト1に投入される搬送物Cのそのコンベヤベルト1に対する実際の衝突速度Vr、衝突荷重Fr、接触面積Arおよび外部環境温度Trを取得する。そして、この取得した実際の衝突速度Vr、衝突荷重Fr、接触面積Arおよび外部環境温度Trと、予め作成したデータベースDBとに基づいて、そのコンベヤベルト1の耐衝撃性を評価するのに適した試験方法を選択する。
【0025】
具体的には、取得した実際の衝突速度Vr、衝突荷重Fr、接触面積Arおよび外部環境温度Trのすべてが適用範囲にある試験方法を、データベースDBに記録している複数種類の試験方法から選択する。次いで、選択した試験方法において衝突速度V、衝突荷重F、接触面積Aおよび外部環境温度Tを、それぞれ取得した実際の衝突速度Vr、衝突荷重Fr、接触面積Arおよび外部環境温度Trと同一と見なせる範囲に設定して、その選択した試験方法で衝撃試験を行う。
【0026】
選択した試験方法で用いる試験サンプルSには、評価対象となるコンベヤベルト1のカットサンプルやこのコンベヤベルト1と同等仕様に製造されたサンプル等を用いる。この試験サンプルSは、心体層2と上カバーゴム3と下カバーゴム4とが一体化したものが好ましいが、上カバーゴム3だけであってもよい。
【0027】
実際の衝突速度Vr、衝突荷重Fr、接触面積Ar、外部環境温度Trと同一と見なせる範囲とは、例えば、実際の衝突速度Vr、衝突荷重Fr、接触面積Ar、外部環境温度Trに対してそれぞれ、±5%の範囲、より好ましくは±2%の範囲である。そして、その試験方法による試験サンプルSの傷の深さや傷のモードを把握して、実際のコンベヤラインのコンベヤベルト1の耐衝撃性を評価する。傷のモードとは、単純に穴があく、異常な形状でえぐられる等の傷の形態である。
【0028】
上述のように本発明によれば、予め作成したデータベースDBと、実際のコンベヤラインにおけるコンベヤベルト1に対する搬送物Cの衝突速度Vr、衝突荷重Fr、接触面積Ar、外部環境温度Trから、そのコンベヤベルト1の実際の使用条件に合致したコンベヤベルト1(上カバーゴム3)の衝撃試験方法を効率的に選択できる。即ち、適切な衝撃試験を選択するために要する時間や労力を低減することができる。
【0029】
また、選択した適切な試験方法において、試験サンプルSに対する衝撃付与体9の衝突速度V、衝突荷重F、接触面積A、外部環境温度Tのすべてをそれぞれ、実際の衝突速度Vr、衝突荷重Fr、接触面積Ar、外部環境温度Trと同一と見なせる範囲に設定するので、実際の使用条件に近似させて試験を行うことができる。これにより、実際の使用条件に合致したコンベヤベルト1の耐衝撃性を高精度で把握することが可能になっている。
【0030】
使用現場におけるコンベヤベルト1の外部環境温度Trは、コンベヤベルト1の耐衝撃性に比較的大きく影響する。そのため、この実施形態では、それぞれの試験方法の外部環境温度Tの適用範囲も設定してデータベースDBを予め作成し、実際の外部環境温度Trも取得して、試験方法を選択している。これにより、一段と精度よくコンベヤベルト1の耐衝撃性を把握することが可能になっている。
【0031】
実際の面圧Prを算出するために必要になる実際の接触面積Arは、それぞれの搬送物Cの大きさ、形状等が異なっているので、厳密に把握することが難しい。そこで例えば、
図6に例示する搬送物Cの粒度分布の中央値CLの粒径を代表の搬送物Cとする。そして、この粒径の搬送物Cのコンベヤベルト1(上カバーゴム3)との接触面積を実際の接触面積Arとして用いるとよい。具体的には、例えば中央値CLの粒径の搬送物Cの平面投影面積を実際の接触面積Arとする。或いは、搬送物Cが全体的に鋭利な場合は例えば、中央値CLの粒径の搬送物Cの平面投影面積の30%程度(20%〜50%)を実際の接触面積Arとする。搬送物Cの鋭利さに応じて、このパーセンテージの範囲内で適切な数値を設定する。このように接触面積Arを設定すると、実際の面圧Prの近似値を算出することが容易になる。
【0032】
データベースDBは、搬送物Cの種類毎に作成することもできる。搬送物Cの種類が異なると、搬送物Cの比重、表面の粗さ、硬度等も異なるので、コンベヤベルト1の耐衝撃性には比較的大きく影響することがある。それ故、搬送物Cの種類毎にデータベースDBを作成して用いることで、コンベヤベルト1の耐衝撃性を一段と精度よく把握することが可能になる。
【0033】
データベースDBに記録している複数種類の試験方法から選択する際に、条件に合致する試験方法が複数ある場合は、その複数種類の試験方法を実施してすることもできる。そして、それぞれの試験方法でえられた結果どうしを比較して、互いの結果に大きな相違がなければ、一応、それぞれが適切な試験結果であると判断できる。
【0034】
一方、互いの試験結果に大きな相違がある場合は、いずれか、または、それぞれが不適切な試験結果であると推定される。この場合は、実際のコンベヤベルト1の耐衝撃性をある程度把握してから、適切な試験方法、不適切な試験方法を判断する。そして、不適切と判断された試験方法については、その適用範囲を見直す等により、データベースDSを改善することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 コンベヤベルト
2 心体層
3 上カバーゴム
4 下カバーゴム
5a、5b プーリ
6 支持ローラ
7 別のコンベヤベルト
8 衝撃試験装置
9 衝撃付与体
10 保持機構
11 支持台
12 テンショナ
S 試験サンプル
C 搬送物